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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161681
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】半導体スイッチ回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/693 20060101AFI20221014BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H03K17/693 A
H03K17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066681
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099818
【弁理士】
【氏名又は名称】安孫子 勉
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大介
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX06
5J055AX38
5J055AX52
5J055AX64
5J055BX03
5J055CX03
5J055CX24
5J055DX12
5J055DX43
5J055DX49
5J055DX52
5J055DX72
5J055DX83
5J055EX04
5J055EY01
5J055EY03
5J055EY10
5J055EZ12
5J055EZ13
5J055GX01
5J055GX06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スイッチ動作を行う電界効果トランジスタの良否判定を可能としつつ、大信号入力時のアイソレーションの劣化を抑制する半導体スイッチ回路を提供する。
【解決手段】半導体スイッチ回路は、第2の入出力端子62とグランドとの間に、第2の単位スイッチ102と共に導通状態とする第1のシャントスイッチ103及び第1のDCカットコンデンサ49が直列接続されて設けられ、第3の入出力端子63とグランドとの間に、第1の単位スイッチ101と共に導通状態とされる第2のシャントスイッチ104及び第2のDCカットコンデンサ50が直列接続されて設けられる。第1のシャントスイッチ103と第1のDCカットコンデンサ49との接続点と第1の入出力端子61間に電圧抑制用第1の抵抗器33が、第2のシャントスイッチ104と第2のDCカットコンデンサ50との接続点と第1の入出力端子61間に電圧抑制用第2の抵抗器34が、夫々接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入出力端子と第2の入出力端子間に、複数の電界効果トランジスタが直列接続されてなる第1の単位スイッチが設けられ、
前記第1の入出力端子と第3の入出力端子間に、複数の電界効果トランジスタが直列接続されてなる第2の単位スイッチが設けられ、
前記第2の入出力端子とグランドとの間には、前記第2の入出力端子側から、前記第2の単位スイッチと共に導通状態とされる第1のシャントスイッチ及び第1のDCカットコンデンサが直列接続されて設けられ、
前記第3の入出力端子とグランドとの間には、前記第3の入出力端子側から、前記第1の単位スイッチと共に導通状態とされる第2のシャントスイッチ及び第2のDCカットコンデンサが直列接続されて設けられ、
前記第1乃至第3の入出力端子に接続する電界効果トランジスタのゲートと前記第1乃至前記第3の入出力端子のそれぞれとの間に、コンデンサが接続されてなる半導体スイッチ回路であって、
前記第1のシャントスイッチと前記第1のDCカットコンデンサとの接続点と前記第1の入出力端子間に電圧抑制用第1の抵抗器が、前記第2のシャントスイッチと前記第2のDCカットコンデンサとの接続点と前記第1の入出力端子間に電圧抑制用第2の抵抗器が、それぞれ接続されてなることを特徴とする半導体スイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号の切り替えを行う半導体スイッチ回路に係り、特に、アイソレーション特性の向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の半導体スイッチ回路の構成例として、例えば、図4に示されたような構成を有するものが知られている。
以下、図4を参照しつつ、かかる従来回路について説明することとする。
この半導体スイッチ回路は、2つの電界効果トランジスタが直列接続されてなる第1の単位スイッチSW1と、同じく2つの電界効果トランジスタが直列接続されてなる第2の単位スイッチSW2とが直列接続され、その相互の接続点に第1の入出力端子61Aが設けられると共に、第1の単位スイッチSW1の他方の端部には、第2の入出力端子62Aが、第2の単位スイッチSW2の他方の端部には、第3の入出力端子63Aが、それぞれ接続されて設けられたものとなっている。
【0003】
さらに、第2の入出力端子62Aとグランドとの間には、第1のシャントスイッチSW3が、第3の入出力端子63Aとグランドとの間には、第2のシャントスイッチSW4が、それぞれ設けられたものとなっている。
かかる構成においては、第1及び第2の制御端子64A,65Aに印加される制御電圧によって、第1の入出力端子61Aと第2の入出力端子62Aとの間、又は、第1の入出力端子61Aと第3の入出力端子63Aとの間のいずれか一方を選択的に導通状態とすることができるようになっている。
【0004】
このような従来回路においては、回路動作の線形性向上のために、各電界効果トランジスタのゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間に容量が付加されたものとなっている。その影響のため、例えば、第1の単位スイッチSW1がオン、第2の単位スイッチSW2がオフ状態にあって、第2の入出力端子62Aに入力される高周波信号の電力が大きくなるにしたがって、オフ状態にある第2の単位スイッチSW2のアイソレーション、すなわち、第2の単位スイッチSWの第3の入出力端子63A側におけるアイソレーション特性が劣化することがあった。
【0005】
この原因は、入出力端子63Aにおける電圧が、入力高周波信号のレベル上昇に伴い定常状態より上昇し、本来はオン状態であるべき第2のシャントスイッチSW4がオフ状態となることがあるためである。
このような問題に対しては、特許文献1に開示されたように、第1の入出力端子61Aと第2の入出力端子62Aの間に抵抗器91を、また、第1の入出力端子61Aと第3の入出力端子63Aの間に抵抗器92を、それぞれ設けることにより、上述のような必要以上の電圧上昇を抑制し、アイソレーションの劣化を抑制する手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-186702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電圧上昇の抑制効果を上げるためには、上述の入出力端子間に設ける抵抗器の抵抗値を小さくする必要があるが、例えば、抵抗器81,82に対して抵抗器91の抵抗値を小さくすると、次述するように第1の単位スイッチSW1を構成する電界効果トランジスタの良否判別ができなくなる場合があり、回路の十分な安全性、信頼性の確保が困難となるという問題がある。
【0008】
以下、図4に示された回路を参照しつつ具体的に説明する。
同図において、抵抗器81、抵抗器82、及び抵抗器91の各々の抵抗値を、それぞれR81、R82、R91とする。第1の単位スイッチSW1がオフ状態となった場合、通常は、入出力端子61Aと入出力端子62Aの間の抵抗値は、抵抗器81と抵抗器82の直列抵抗に対する抵抗器91の並列接続による合成抵抗値(R81+R82)∥R91となる。一方、電界効果トランジスタ1Aが不良で、オフ状態とならなかった場合、抵抗器81は短絡状態とされるため、入出力端子61Aと入出力端子62Aの間の抵抗値は、抵抗器82と抵抗器91の並列接続による合成抵抗値R82∥R91となる。
【0009】
ここで、例えば、R81=R82=30kΩ、R91=10kΩとした場合、入出力端子61Aと入出力端子62Aの間の抵抗値は、通常動作であれば約8.6kΩとなるが、電界効果トランジスタ1Aがオフできない状態となると、抵抗値は7.5kΩとなる。通常、抵抗器の抵抗値には、ばらつきがあり、例えば、20%変動してしまうと、8.6kΩが6.8kΩとなり、電界効果トランジスタ1Aがオフできない状態の7.5kΩより小さくなってしまうため、良否判断が困難となる。したがって、上述の例の場合、抵抗器91の抵抗値を小さくすることができず、アイソレーション劣化を招く場合があった。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、スイッチ動作を行う電界効果トランジスタの良否判定を可能としつつ、大信号入力時のアイソレーション劣化を抑制可能な半導体スイッチ回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る半導体スイッチ回路は、
第1の入出力端子と第2の入出力端子間に、複数の電界効果トランジスタが直列接続されてなる第1の単位スイッチが設けられ、
前記第1の入出力端子と第3の入出力端子間に、複数の電界効果トランジスタが直列接続されてなる第2の単位スイッチが設けられ、
前記第2の入出力端子とグランドとの間には、前記第2の入出力端子側から、前記第2の単位スイッチと共に導通状態とされる第1のシャントスイッチ及び第1のDCカットコンデンサが直列接続されて設けられ、
前記第3の入出力端子とグランドとの間には、前記第3の入出力端子側から、前記第1の単位スイッチと共に導通状態とされる第2のシャントスイッチ及び第2のDCカットコンデンサが直列接続されて設けられ、
前記第1乃至第3の入出力端子に接続する電界効果トランジスタのゲートと前記第1乃至前記第3の入出力端子のそれぞれとの間に、コンデンサが接続されてなる半導体スイッチ回路であって、
前記第1のシャントスイッチと前記第1のDCカットコンデンサとの接続点と前記第1の入出力端子間に電圧抑制用第1の抵抗器が、前記第2のシャントスイッチと前記第2のDCカットコンデンサとの接続点と前記第1の入出力端子間に電圧抑制用第2の抵抗器が、それぞれ接続されてなるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オフ状態の入出力端子に接続されるオン状態のシャントスイッチとDCカットコンデンサの接続点とオン状態の入出力端子との間に抵抗器を接続する構成とすることにより、スイッチを構成する半導体素子の良否を判別可能としつつ、大信号入力時に、オン状態のシャントスイッチを介して、オフ状態の入出力端子における電圧上昇が抑制されるため、従来に比して、大信号入力時におけるアイソレーションの劣化を確実に防止できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の回路構成例を示す回路図である。
図2】本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の入力電力に対する端子電圧の変化例を示す特性線図である。
図3】本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の入力電力に対するアイソレーションの変化例を示す特性線図である。
図4】従来回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図3を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の構成について、図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路は、2つの単位スイッチ101,102の組合せによるSPDT(Single Pole Dual Throw)スイッチが構成されてなるもので、第1の入出力端子61と第2の入出力端子62との間、又は、第1の入出力端子61と第3の入出力端子63との間のいずれか一方を、選択的に導通状態として、高周波信号を通過せしめることができるよう構成されたものである。
【0015】
以下、具体的にその構成を説明すれば、まず、第1及び第2の単位スイッチ(図1においては、それぞれ「SW1」、「SW2」と表記)101,102は、直列接続されており、その相互の接続点に第1の入出力端子61が接続されて設けられる一方、第1の単位スイッチ101の他方の端部には、第2の入出力端子62が、また、第2の単位スイッチ102の他方の端部には、第3の入出力端子63が、それぞれ接続されて設けられたものとなっている。
【0016】
そして、第2の入出力端子62とグランドとの間には、第1のシャントスイッチ(図1においては「SW3」と表記)103が、また、第3の入出力端子63とグランドとの間には、第2のシャントスイッチ(図1においては「SW4」と表記)104が、それぞれ設けられたものとなっている。
【0017】
第1の単位スイッチ101は、第1及び第2の電界効果トランジスタ(以下、説明の便宜上、電界効果トランジスタを「FET」と称する)1,2の直列接続により構成され、また、第2の単位スイッチ102は、第3及び第4のFET(図1においては、それぞれ「Q3」、「Q4」と表記)3,4の直列接続により構成されている。
第1の単位スイッチ101においては、第1のFET(図1においては「Q1」と表記)1のソース(又はドレイン)と第2のFET(図1においては「Q2」と表記)2のドレイン(又はソース)が相互に接続されている。また、同様に、第2の単位スイッチ102においては、第3のFET3のソース(又はドレイン)と第4のFET4のドレイン(又はソース)が相互に接続されたものとなっている。
【0018】
そして、第1のFET1の他端、すなわち、ドレイン(又はソース)は、第3のFET3のドレイン(又はソース)と共に、第1の入出力端子61と接続されている。
また、第2のFET2の他端であるソース(又はドレイン)は、第2の入出力端子62に、第4のFET4の他端であるソース(又はドレイン)は、第3の入出力端子63に、それぞれ接続されている。
【0019】
また、第1のFET1のゲートは、第1のゲート抵抗器(図1においては「R21」と表記)21を介して、第2のFET2のゲートは、第2のゲート抵抗器(図1においては「R22」と表記)22を介して、共に第1の制御端子64に接続されている。
同様に、第3のFET3のゲートは、第3のゲート抵抗器(図1においては「R23」と表記)23を介して、また、第4のFET4のゲートは、第4のゲート抵抗器(図1においては「R24」と表記)24を介して、共に第2の制御端子65に接続されている。
【0020】
また、第1のFET1のドレイン・ソース間には、第1のドレイン・ソース間抵抗器(図1においては「R11」と表記)11が、第2のFET2のドレイン・ソース間には、第2のドレイン・ソース間抵抗器(図1においては「R12」と表記)12が、第3のFET3のドレイン・ソース間には、第3のドレイン・ソース間抵抗器(図1においては「R13」と表記)13が、第4のFET4のドレイン・ソース間には、第4のドレイン・ソース間抵抗器(図1においては「R14」と表記)14が、それぞれ接続されている。
【0021】
また、第1のFET1のゲート・ドレイン(又はソース)間には、第1の付加容量(図1においては「C1」と表記)41が、第2のFET2のゲート・ソース(又はドレイン)間には、第2の付加容量(図1においては「C2」と表記)42が、第3のFET3のゲート・ドレイン(又はソース)間には、第3の付加容量(図1においては「C3」と表記)43が、第4のFET4のゲート・ソース(又はドレイン)間には、第4の付加容量(図1においては「C4」と表記)44が、それぞれ接続されている。
【0022】
一方、第1のシャントスイッチ103は、第5及び第6のFET(図1においては、それぞれ「Q5」、「Q6」と表記)5,6の直列接続により構成され、また、第2のシャントスイッチ104は、第7及び第8のFET(図1においては、それぞれ「Q7」、「Q8」と表記)7,8の直列接続により構成されている。
【0023】
第1のシャントスイッチ103においては、第5のFET5のソース(又はドレイン)と第6のFET6のドレイン(又はソース)が相互に接続され、また、同様に、第2のシャントスイッチ104においては、第7のFET7のソース(又はドレイン)と第8のFET8のドレイン(又はソース)が相互に接続されたものとなっている。
【0024】
そして、第5のFET5の他端であるドレイン(又はソース)は、第2の入出力端子62に、第7のFET7の他端であるドレイン(又はソース)は、第3の入出力端子63に、それぞれ接続されている。
また、第6のFET6の他端であるソース(又はドレイン)は、第1のDCカットコンデンサ(図1においては「C9」と表記)49を介して、また、第8のFET8の他端であるソース(又はドレイン)は、第2のDCカットコンデンサ(図1においては「C10」と表記)50を介して、共にグランドに接続されている。
【0025】
また、第5のFET5のゲートは、第5のゲート抵抗器(図1においては「R25」と表記)25を介して、第6のFET6のゲートは、第6のゲート抵抗器(図1においては「R26」と表記)26を介して、共に第2の制御端子65に接続されている。
同様に、第7のFET7のゲートは、第7のゲート抵抗器(図1においては「R27」と表記)27を介して、第8のFET8のゲートは、第8のゲート抵抗器(図1においては「R28」と表記)28を介して、共に第1の制御端子64に接続されている。
【0026】
さらに、第5のFET5のドレイン・ソース間には、第5のドレイン・ソース間抵抗器(図1においては「R15」と表記)15が、第6のFET6のドレイン・ソース間には、第6のドレイン・ソース間抵抗器(図1においては「R16」と表記)16が、第7のFET7のドレイン・ソース間には、第7のドレイン・ソース間抵抗器(図1においては「R17」と表記)17が、第8のFET8のドレイン・ソース間には、第8のドレイン・ソース間抵抗器(図1においては「R18」と表記)18が、それぞれ接続されている。
【0027】
そして、第5のFET5のゲート・ドレイン(又はソース)間には、第5の付加容量(図1においては「C5」と表記)45が、第6のFET6のゲート・ソース(又はドレイン)間には、第6の付加容量(図1においては「C6」と表記)46が、第7のFET7のゲート・ドレイン(又はソース)間には、第7の付加容量(図1においては「C7」と表記)47が、第8のFET8のゲート・ソース(又はドレイン)間には、第8の付加容量(図1においては「C8」と表記)48が、それぞれ接続されている。
【0028】
そして、第1のシャントスイッチ103と第1のDCカットコンデンサ49の接続点と第1の入出力端子61の間に抵抗器(電圧抑制用第1の抵抗器)33が接続されている。
また、第2のシャントスイッチ104と第2のDCカットコンデンサ50の接続点と第1の入出力端子61の間に抵抗器(電圧抑制用第2の抵抗器)34が接続されている。
【0029】
次に、上記構成における回路動作について説明する。
まず、スイッチ回路としての基本的な動作は、この種の従来回路と同一であるので、概括的に説明することとする。
例えば、第1の入出力端子61と第2の入出力端子62間を導通状態とする場合には、第1の単位スイッチ101をオン、第2の単位スイッチ102をオフとすると共に、第1のシャントスイッチ103をオフ、第2のシャントスイッチ104をオンとすべく、第1及び第2の制御端子64,65へ、それぞれ所定の制御電圧を印加する。
【0030】
その結果、第1の単位スイッチ101を介して第1の入出力端子61と第2の入出力端子62間が導通状態とされる一方、第2のシャントスイッチ104のオンにより第3の入出力端子63におけるアイソレーションが確保される。
一方、第1の入出力端子61と第3の入出力端子63間を導通状態とする場合には、第1の単位スイッチ101をオフ、第2の単位スイッチ102をオンとすると共に、第1のシャントスイッチ103をオン、第2のシャントスイッチ104をオフとすべく第1及び第2の制御端子64,65へ、それぞれ所定の制御電圧を印加する。
【0031】
その結果、第2の単位スイッチ102を介して第1の入出力端子61と第3の入出力端子63間が導通状態とされる一方、第1のシャントスイッチ103のオンにより第2の入出力端子62におけるアイソレーションが確保される。
【0032】
ここで、従来回路との動作の違いを説明する。
図4に示された従来回路においては、抵抗器91,92が接続されているが、本発明の実施の形態における回路においては、抵抗器91,92に対応する抵抗器が設けられていないため、例えば、第1の単位スイッチ101をオフ状態とすると、第1の単位スイッチ101の入出力間の抵抗値は、R11+R12となる。なお、ここで、R11は抵抗器11の抵抗値、R12は抵抗器12の抵抗値とする。
【0033】
ところが、第1のFET1がオフできない不良の場合、第1の単位スイッチ101をオフ状態とすると、第1の単位スイッチ101の入出力間の抵抗値は、R12となり、正常時の抵抗値(R11+R12)を基準に判断することで第1のFET1がオフできない不良であることが容易に判別可能となる。
【0034】
次に、大信号入力時の回路動作について説明する。
例えば、第1の入出力端子61と第2の入出力端子62間が導通状態とされる場合、入力電力が大きくなると第3の入出力端子63の電位上昇が発生するが、抵抗器34及びオン状態である第2のシャントスイッチ104の第7及び第8のFET7,8を介して第1の入出力端子61の電位に近づくように電流が流れる。
その結果、第3の入出力端子63の電位上昇が抑圧され、第2のシャントスイッチ104がオフ状態となることが回避されて、アイソレーション劣化が抑制されることとなる。なお、抵抗器34は、抵抗値を低く設定するほど、電位上昇の抑制効果を上げることが可能となる。
【0035】
また、この場合、抵抗器34の抵抗値を低く設定してもFETの良否判定に影響を与えることはないため、電位上昇を抑制するに足りるだけの十分低い抵抗値に設定することが可能となる。ただし、抵抗値を低くしすぎると挿入損失が大きくなるため、50Ωの特性インピーダンスを考慮して設定する必要がある。すなわち、電位上昇の抑制と許容できる挿入損失とのバランスをとった抵抗値に設定することとなり、通常は特性インピーダンス50Ωの100倍程度である数kΩ以上とするのが好適である。
【0036】
図2には、本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の入力電力に対する端子電圧の変化のシミュレーション結果の一例を示す特性線が従来回路の同様な特性線と共に示されており、以下、同図について説明する。
図2において、横軸は入力電力を、縦軸は端子電圧を、それぞれ示している。 また、同図において、本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の特性線は実線により、従来回路の特性線は点線により、それぞれ示されている。
【0037】
図2に示された本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の特性線(実線)は、抵抗器33,34の抵抗値を電位上昇の抑制と許容できる挿入損失とのバランスをとって、共に20kΩとし、第1及び第2の入出力端子61,62間を導通状態とした場合に、通過する高周波信号の入力電力の変化に対する第3の入出力端子63における端子電圧の変化のシミュレーション結果を示している。
【0038】
また、図2に示された従来回路の点線の特性線は、図4に示された構成において、抵抗器91,92の抵抗値を共に100kΩとし、第1及び第2の入出力端子61A,62A間を導通状態とした場合に、通過する高周波信号の入力電力の変化に対する第3の入出力端子63Aにおける端子電圧の変化のシミュレーション結果を示している。
図2によれば、本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の入出力端子における電圧上昇が、従来回路に比して格段に抑制されたものとなっていることが確認できる。
【0039】
次に、図3には、本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の入力電力に対するアイソレーションの変化のシミュレーション結果の一例を示す特性線が従来回路の同様な特性線と共に示されており、以下、同図について説明する。
図3において、横軸は入力電力を、縦軸はアイソレーションを、それぞれ示している。また、同図において、本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の特性線は実線により、従来回路の特性線は点線により、それぞれ示されている。
【0040】
図3に示された本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の特性線(実線)は、抵抗器33,34の抵抗値を共に20kΩとし、第1及び第2の入出力端子61,62間を導通状態とした場合に、通過する高周波信号の入力電力の変化に対する第3の入出力端子63におけるアイソレーションの変化のシミュレーション結果を示している。
【0041】
また、図3に示された従来回路の点線の特性線は、図4に示された構成において、抵抗器91,92の抵抗値を共に100kΩとし、第1及び第2の入出力端子61A,62A間を導通状態とした場合に、通過する高周波信号の入力電力の変化に対する第3の入出力端子63Aにおけるアイソレーションの変化のシミュレーション結果を示している。
図3によれば、本発明の実施の形態における半導体スイッチ回路の入出力端子におけるアイソレーションの劣化が、電圧上昇の劣化に伴い従来回路に比して格段に抑制されたものとなっていることが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
スイッチ動作を行う電界効果トランジスタの良否判定を可能としつつ、大信号入力時のアイソレーション劣化の確実な抑制が所望される半導体スイッチ回路に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
33…電圧抑制用第1の抵抗器
34…電圧抑制用第2の抵抗器
61…第1の入出力端子
62…第2の入出力端子
63…第3の入出力端子
101…第1の単位スイッチ
102…第2の単位スイッチ
103…第1のシャントスイッチ
104…第2のシャントスイッチ
図1
図2
図3
図4