(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162307
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20221017BHJP
G05F 3/26 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G05F1/56 310U
G05F3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067074
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 猛昭
【テーマコード(参考)】
5H420
5H430
【Fターム(参考)】
5H420NB02
5H420NB12
5H420NB25
5H420NB36
5H420NC02
5H420NC03
5H420NC23
5H420NC26
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430EE08
5H430FF04
5H430FF13
5H430GG01
5H430HH03
(57)【要約】
【課題】第1の電源回路の出力電流の変動を抑制し、駆動回路へ安定した電源供給を行うことができる電源回路を提供する。
【解決手段】メイン電源REG1は、一定となるように制御された出力電圧が出力される出力端子P2を有する。ローカル電源REG21A、REG22Aは、出力電圧から生成した出力電圧VOUT21、VOUT22を負荷に対して出力する。ローカル電源REG21A、REG22Aは、負荷に供給する出力電流IOUT1に応じたドレイン電流I3を出力する。補助電源REGBKは、ドレイン電流I3を入力し、ドレイン電流I3に応じた出力電流IOUT2を出力して、メイン電源REG1の出力端子P2に供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定となるように制御された出力電圧が出力される出力端子を有する第1の電源回路と、
前記出力電圧から生成した駆動電圧を負荷に対して出力する駆動回路とを備えた電源回路において、
前記駆動回路は、前記負荷に供給する第1の出力電流に応じた信号を出力し、
前記信号を入力し、該信号に応じた第2の出力電流を出力して、前記第1の電源回路の前記出力端子に供給する第2の電源回路を備えた、
電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路において、
前記第2の電源回路は、入力された電流をミラーした前記第2の出力電流を出力する第1のカレントミラー回路から構成され、
前記駆動回路は、前記信号を前記第1のカレントミラー回路に入力する、
電源回路。
【請求項3】
請求項2に記載の電源回路において、
前記駆動回路は、複数設けられ、
複数の前記駆動回路から出力される複数の前記信号が、一つの前記第1のカレントミラー回路に入力される、
電源回路。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の電源回路において、
前記駆動回路は、前記第1の出力電流が所定値を超えた場合に前記第1の出力電流に応じた前記信号を出力する、
電源回路。
【請求項5】
請求項4に記載の電源回路において、
前記駆動回路は、前記第1の電源回路の前記出力端子と前記負荷との間に接続される第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタにミラー接続され、前記第1のトランジスタに流れる第1電流に応じた第2電流が流れる第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタに流れる第2電流が供給される抵抗と、前記抵抗に生じる電圧がバイアス電圧として供給される第3のトランジスタとを有し、前記第3のトランジスタに流れる第3電流が前記信号として出力される、
電源回路。
【請求項6】
請求項5に記載の電源回路において、
前記抵抗に生じる電圧がバイアス電圧として供給される第4のトランジスタと、前記第4のトランジスタに流れる第4電流に応じた第5電流を出力する第2のカレントミラー回路とを有し、
前記第2のカレントミラー回路から出力される第5電流が前記第1のトランジスタの制御端子に供給される、
電源回路。
【請求項7】
請求項1~3の何れか1項に記載の電源回路において、
前記駆動回路は、前記第1の電源回路の前記出力端子と前記負荷との間に接続される第5のトランジスタと、前記第5のトランジスタにミラー接続され、前記第5のトランジスタに流れる第6電流に応じた第7電流が流れる第6のトランジスタとを有し、前記第6のトランジスタに流れる前記第7電流が前記信号として出力される、
電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源回路としては、
図3に示すものが提案されている。従来の電源回路100は、第1の電源回路としての電源REG1と、その出力に接続される駆動回路としての負荷回路LC1~LCnとを有している。電源REG1は、リニアレギュレータやSW電源などの降圧電源回路で、電源電圧VDDを降圧した一定の出力電圧を後述する負荷回路LC1~LCnへ電源供給する。負荷回路LC1~LCnは、互いに並列接続され、電源REG1から供給される出力電圧から駆動電圧を生成し、図示しない負荷に供給する。
【0003】
また、上述した電源回路に関連する技術として、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源REG1は、通常その内部で出力電圧の電圧値を監視し、出力電圧の変動に応じてその出力電流を制御する、所謂フィードバック制御が成されていることが一般的である。フィードバック制御は、その動作に時間的遅れが生じるため、出力電圧が変化してから正常値に戻るまでにある程度の時間を要する。
【0006】
また、電源REG1には複数の負荷回路LC1~LCnが接続されている。これら負荷回路LC1~LCnは、出力電流が常に変動する。よって、1つの電源REG1に複数の負荷回路LC1~LCnが接続されている構成では、電源REG1は、負荷回路LC1~LCnのそれぞれの出力電流の変動に対応することが望まれる。従来の電源回路では、負荷回路LC1~LCnの出力電流が変動すると、電源REG1の出力電圧、出力電流が変動する。電源REG1は、出力電圧が一定になるようにフィードバック制御するが、上述のフィードバック制御の時間遅れの結果、すぐに定常値に戻せない。即ち、従来の電源回路では、負荷回路LC1~LCnの出力電流の変動によって電源REG1から出力される出力電圧が一定に保てず変動してしまうおそれがあった。
【0007】
この電源REG1の出力電圧の変動によって、負荷回路LC1~LCnの動作に悪影響を及ぼすことがある。より具体的には、負荷回路LC1~LCnのうち1つの出力電流の増加により電源REG1の出力電圧低下が生じ、他の負荷回路LC1~LCnに誤動作が発生したり、電源REG1の出力電圧変動がノイズとなり、各負荷回路LC1~LCnに回り込み、出力ノイズを増加させたりする。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1の電源回路の出力電流の変動を抑制し、駆動回路へ安定した電源供給を行うことができる電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電源回路は、下記[1]~[7]を特徴としている。
[1]
一定となるように制御された出力電圧が出力される出力端子を有する第1の電源回路と、
前記出力電圧から生成した駆動電圧を負荷に対して出力する駆動回路とを備えた電源回路において、
前記駆動回路は、前記負荷に供給する第1の出力電流に応じた信号を出力し、
前記信号を入力し、該信号に応じた第2の出力電流を出力して、前記第1の電源回路の前記出力端子に供給する第2の電源回路を備えた、
電源回路であること。
[2]
[1]に記載の電源回路において、
前記第2の電源回路は、入力された電流をミラーした前記第2の出力電流を出力する第1のカレントミラー回路から構成され、
前記駆動回路は、前記信号を前記第1のカレントミラー回路に入力する、
電源回路であること。
[3]
[2]に記載の電源回路において、
前記駆動回路は、複数設けられ、
複数の前記駆動回路から出力される複数の前記信号が、一つの前記第1のカレントミラー回路に入力される、
電源回路であること。
[4]
[1]~[3]の何れか1項に記載の電源回路において、
前記駆動回路は、前記第1の出力電流が所定値を超えた場合に前記第1の出力電流に応じた前記信号を出力する、
電源回路であること。
[5]
[4]に記載の電源回路において、
前記駆動回路は、前記第1の電源回路の前記出力端子と前記負荷との間に接続される第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタにミラー接続され、前記第1のトランジスタに流れる第1電流に応じた第2電流が流れる第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタに流れる第2電流が供給される抵抗と、前記抵抗に生じる電圧がバイアス電圧として供給される第3のトランジスタとを有し、前記第3のトランジスタに流れる第3電流が前記信号として出力される、
電源回路であること。
[6]
[5]に記載の電源回路において、
前記抵抗に生じる電圧がバイアス電圧として供給される第4のトランジスタと、前記第4のトランジスタに流れる第4電流に応じた第5電流を出力する第2のカレントミラー回路とを有し、
前記第2のカレントミラー回路から出力される第5電流が前記第1のトランジスタの制御端子に供給される、
電源回路であること。
[7]
[1]~[3]の何れか1項に記載の電源回路において、
前記駆動回路は、前記第1の電源回路の前記出力端子と前記負荷との間に接続される第5のトランジスタと、前記第5のトランジスタにミラー接続され、前記第5のトランジスタに流れる第6電流に応じた第7電流が流れる第6のトランジスタとを有し、前記第6のトランジスタに流れる前記第7電流が前記信号として出力される、
電源回路であること。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電源回路によれば、第1の電源回路の出力電流の変動を抑制し、駆動回路へ安定した電源供給を行うことができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施例における本発明の電源回路を示す回路図である。
【
図2】
図2は、第2実施例における本発明の電源回路を示す回路図である。
【
図3】
図3は、従来の電源回路の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
(第1実施例)
第1実施例の電源回路1Aについて
図1を参照して説明する。同図に示すように、電源回路1Aは、第1の電源回路としてのメイン電源REG1と、駆動回路としての複数のローカル電源REG21A、REG22Aと、第2の電源回路としての補助電源REGBKとを備えている。なお、本実施例のメイン電源REG1は従来回路における電源REG1に相当する。また、本実施例では複数の駆動回路が2個の場合として図示しているが、駆動回路は2個に限らず1個あるいは3個以上であってもよい。メイン電源REG1は、リニアレギュレータやスイッチング電源などの降圧電源回路から構成されている。メイン電源REG1は、出力電圧の電圧値を監視し、出力電圧の変動に応じてその出力電流を制御することにより、出力電圧を一定にするフィードバック制御を行っている。メイン電源REG1は、入力端子P1と出力端子P2との間に接続され、入力端子P1に入力される電源電圧VDDを降圧し、一定となるように制御された出力電圧VOUT1を出力端子P2から出力する。
【0015】
ローカル電源REG21A、REG22Aは、互いに同じ回路構成のリニアレギュレータから構成される。ローカル電源REG21A、REG22Aは、入力端子P21A、P22Aと出力端子P21B、P22Bとの間にそれぞれ接続されている。入力端子P21A、P22Aは、メイン電源REG1の出力端子P2に接続され、メイン電源REG1から出力される出力電圧VOUT1が供給される。出力端子P21B、P22Bには、それぞれ図示しない負荷が接続される。ローカル電源REG21A、REG22Aは、メイン電源REG1から供給される出力電圧VOUT1から出力電圧VOUT21、VOUT22(駆動電圧)を生成して、各負荷に供給する。
【0016】
ローカル電源REG21A、REG22Aは、同一回路構成であるため、ここではローカル電源REG21Aの構成を代表して説明する。ローカル電源REG21Aは、基準電圧源VREF1と、エラーアンプAMP1と、出力トランジスタMP1と、分圧抵抗である抵抗RD1、RD2と、過電流保護回路C1と、トランジスタMN2とを備えている。
【0017】
エラーアンプAMP1は、反転入力に基準電圧VREF1が入力され、非反転入力に出力電圧VOUT21を抵抗RD1、RD2で分圧した分圧電圧が入力される。エラーアンプAMP1は、基準電圧VREF1と、出力電圧VOUT21の分圧電圧との差分に応じた出力電圧を出力する。
【0018】
出力トランジスタMP1は、PチャンネルのMOSFETから構成される。出力トランジスタMP1は、第1のトランジスタとして機能し、メイン電源REG1の出力端子P2と負荷との間に接続される。詳しく説明すると、出力トランジスタMP1は、ソースが入力端子P21Aに接続され、ドレインが出力端子P21Bに接続され、ゲートがエラーアンプAMP1の出力に接続されている。エラーアンプAMP1の出力電圧によって、出力トランジスタMP1のゲート電圧が制御される。抵抗RD1、RD2は、出力トランジスタMP1のドレインとグランドとの間に直列接続されている。この抵抗RD1、RD2の接続点が、エラーアンプAMP1の非反転入力に接続されている。また、出力トランジスタMP1と、抵抗RD1との接続点が、出力端子P21Bに接続されている。
【0019】
以上の構成によれば、出力電圧VOUT21を抵抗RD1、RD2によって分圧した分圧電圧と基準電圧VREF1の差分に応じた出力電圧がエラーアンプAMP1から出力される。仮に出力電圧VOUT21が低下すると、エラーアンプAMP1の非反転入力に入力される電圧が低下し、エラーアンプAMP1の出力電圧が低下する。このため、出力トランジスタMP1のゲート電圧が低下し、出力トランジスタMP1のゲート・ソース間電圧が増加する。すると、出力トランジスタMP1のドレイン電流I1が増加することで、出力電圧VOUT21は上昇する。このようにローカル電源REG21Aは、出力電圧VOUT21の変化に対して負帰還動作することで、出力電圧VOUT21を一定に保つことができる。
【0020】
過電流保護回路C1は、出力電流IOUT1が過電流となるのを抑制して、過電流から各素子を保護する回路である。過電流保護回路C1は、トランジスタMP2と、プルダウン抵抗RPD1と、トランジスタMN1と、トランジスタMP3及びMP4とを有している。トランジスタMP2は、PチャンネルのMOSFETから構成されている。トランジスタMP2は、第2のトランジスタとして機能し、出力トランジスタMP1とそのゲート及びソースが共通接続され、出力トランジスタMP1にミラー接続されている。これにより、トランジスタMP2には、出力トランジスタMP1のドレイン電流I1(第1電流)に応じたドレイン電流I2(第2電流)が流れる。プルダウン抵抗RPD1は、トランジスタMP2のドレインと、グランドとの間に接続される。プルダウン抵抗RPD1は、抵抗として機能し、トランジスタMP2のドレイン電流I2が供給される。
【0021】
トランジスタMN1は、NチャンネルのMOSFETから構成されている。トランジスタMN1のゲートは、トランジスタMP2のドレインとプルダウン抵抗RPD1との接続点に接続される。トランジスタMN1は、ソースがグランドに接続される。以上のことから明らかなように、トランジスタMN1は、第4のトランジスタとして機能し、プルダウン抵抗RPD1にドレイン電流I2が流れることにより生じる電圧がゲートバイアス電圧として供給される。
【0022】
トランジスタMP3及びMP4は、PチャンネルのMOSFETから構成されている。トランジスタMP3は、ドレインがトランジスタMN1のドレインに接続されている。また、トランジスタMP3は、ゲート及びドレインが互いに接続され、ソースが入力端子P21Aに接続されている。トランジスタMP4は、トランジスタMP3とそのゲート及びソースが共通接続され、ドレインが出力トランジスタMP1のゲート(制御端子)に接続されている。即ち、トランジスタMP3及びMP4は第2のカレントミラー回路を構成しており、トランジスタMN1のドレイン電流I4(第4電流)がトランジスタMP4のドレイン電流I5(第5電流)へ折り返され、出力トランジスタMP1のゲートに供給される。上述したように、ドレイン電流I2~I5は、ドレイン電流I1に応じた電流であり、ドレイン電流I1は、出力電流IOUT1(第1の出力電流)に応じた電流である。
【0023】
上記構成の過電流保護回路C1は以下のように動作する。仮に出力電流IOUT1が増加した場合、即ち出力トランジスタMP1のドレイン電流I1が増加した場合、エラーアンプAMP1により出力トランジスタMP1のゲート・ソース間電圧には、定常時より大きな電圧が与えられている。上述のようにトランジスタMP2は、出力トランジスタMP1とゲート及びソースが共通接続されたカレントミラー回路を構成している。このため、出力トランジスタMP1のドレイン電流I1が大きい状態では、トランジスタMP2のドレイン電流I2も必然的に大きな値となる。
【0024】
次に、このトランジスタMP2のドレイン電流I2はプルダウン抵抗RPD1に流れ、トランジスタMN1のゲート電圧が上昇する。ゲート電圧が閾値を超えるとトランジスタMN1のドレイン電流I4が流れ始める。トランジスタMN1のドレイン電流I4が増加すると、トランジスタMP3のドレイン電流I4も増加し、トランジスタMP3と第2のカレントミラー回路を構成しているトランジスタMP4のドレイン電流I5も増加する。トランジスタMP4のドレイン電流I5が増加すると、出力トランジスタMP1のゲート電圧が引き上げられるため、出力トランジスタMP1のゲート・ソース間電圧は減少に転じ、ドレイン電流I1が低下し、出力電流IOUT1は過大にならず、出力過電流保護が働いた状態となる。
【0025】
トランジスタMN2は、NチャンネルのMOSFETから構成されている。トランジスタMN2は、出力電流IOUT1に応じたドレイン電流I3(信号)を後述する補助電源REGBKに供給するために設けられている。トランジスタMN2は、ゲートがトランジスタMP2とプルダウン抵抗RPD1との接続点に接続され、ソースがグランドに接続され、ドレインが出力端子P21Cに接続されている。即ち、トランジスタMN2は、第3のトランジスタとして機能し、プルダウン抵抗RPD1にドレイン電流I2が流れることにより生じる電圧がゲートバイアス電圧として供給される。
【0026】
よって、出力電流IOUT1が上昇すると、それに伴ってドレイン電流I2が上昇して、トランジスタMN2のゲート電圧が上昇する。出力電流IOUT1が所定値を超えると、トランジスタMN2のゲート電圧が閾値を超えて、トランジスタMN2にドレイン電流I3が流れ始める。このドレイン電流I3は、ドレイン電流I2に応じた電流、即ち出力電流IOUT1に応じた電流であり、出力端子P21Cから出力される。即ち、ドレイン電流I3は、出力電流IOUT1が所定値を超えた場合のみ出力される信号である。
【0027】
補助電源REGBKは、出力電流IOUT1に応じた出力電流IOUT2(第2の出力電流)を生成して、メイン電源REG1の出力端子P2に供給する。補助電源REGBKは、第1のカレントミラー回路を構成するトランジスタMPC1及びMPC2を有している。トランジスタMPC1及びMPC2は、PチャンネルのMOSFETから構成されている。トランジスタMPC1は、ゲート及びドレインが互いに接続され、ドレインが入力端子P3Bを介してローカル電源REG21Aの出力端子P21Cに接続されている。また、トランジスタMPC1のソースは、入力端子P3Aを介して、入力端子P1に接続されている。トランジスタMPC2は、トランジスタMPC1とゲート及びソースが共通接続され、ドレインが出力端子P3Cに接続されている。出力端子P3Cは、出力端子P2に接続されている。
【0028】
以上の構成によれば、トランジスタMN2のドレイン電流I3が出力端子P21C、入力端子P3Bを介して補助電源REGBKに入力される。ドレイン電流I3は、トランジスタMPC1及びMPC2によって折り返され、出力端子P3Cから出力電流IOUT2として出力され、出力端子P2に供給される。即ち、出力端子P2には、メイン電源REG1及び補助電源REGBKの双方の出力から電流が供給される。
【0029】
ここでローカル電源REG21Aの出力端子P21Bに接続された負荷抵抗(図示せず)が変化し、ローカル電源REG21Aの出力電流IOUT1が増加したと仮定する。上述のように出力電流IOUT1の増加に伴ってドレイン電流I3も増加する。そして、ドレイン電流I3の増加に伴って補助電源REGBKの出力電流IOUT2も増加する。
【0030】
以上の動作により、出力端子P2を基準としてその入出力電流を見てみると、ローカル電源REG21Aの出力電流IOUT1の増加(消費)と補助電源REGBKの出力電流IOUT2の増加(供給)により、出力端子P2における入出力電流は互いに相殺された状態となる。これにより、メイン電源REG1の実質の出力電流は、その変動を抑えられ、出力端子P2における出力電圧VOUT1の変動が小さい動作となり、ローカル電源REG21A、REG22Aへ安定した電源供給を行うことができる。
【0031】
また、上述した第1実施例によれば、複数の出力端子P21C、P22Cからそれぞれ出力されるドレイン電流I3(信号)がトランジスタMPC1、MPC2からなる一つの第1のカレントミラー回路に入力される。これによりローカル電源REG22Aの出力端子P22Bの出力電流IOUT1が変化した際にも、上述と同様にその出力電流IOUT1に応じた電流が出力端子P22C、補助電源REGBKの入力端子P3Bを介して伝達され、補助電源REGBKの出力電流IOUT2が変化することとなる。このように、出力端子P2に接続される全てのローカル電源REG21A、REG22Aの出力電流IOUT1の変化に応じて、補助電源REGBKの出力電流IOUT2が変化する。即ち出力端子P2における入出力電流が相殺され、メイン電源REG1の出力電流変動が低減される。また、上記構成によれば、複数のローカル電源REG21A、REG22Aに対してそれぞれカレントミラー回路を設ける必要がなく、補助電源REGBKの構成を簡素にすることができる。
【0032】
また、各ローカル電源REG21A、REG22Aに供給される電流が最大に増加した場合においても、メイン電源REG1は補助電源REGBKによりその出力電流が補填されるため、結果的にメイン電源REG1の出力電流はより小さな値に対応できればよい。なお、補助電源REGBK内の第1のカレントミラー回路を構成しているトランジスタMPC1、MPC2やローカル電源REG21A内のトランジスタMP2、MN1、MN2の素子サイズを変更することで、補助電源REGBKの出力電流IOUT2の大小を変更可能である。よって、補助電源REGBKから補填する出力電流IOUT2とメイン電源REG1で供給可能な出力電流とのバランスを最適化することができる。ただし、ローカル電源REG21A及びREG22Aの出力電流IOUT1(消費)の総和に対して、補助電源REGBKの出力電流IOUT2(供給)が大きな電流値になった場合、メイン電源REG1の出力端子P2の電圧が上昇し、メイン電源REG1の電源としての動作が不可となる。即ち、メイン電源REG1の出力(端子P2)と入力(端子P1)の電位差が無くなり、メイン電源REG1が正常なレギュレーション動作を行えなくなる。よって、如何なる動作状態においても、補助電源REGBKの出力電流IOUT2(供給)は、ローカル電源REG21A及びREG22Aの出力電流IOUT1(消費)の総和に対して、同一か少なくなるように設定する。
【0033】
また、従来回路例で説明したように、メイン電源REG1は内部のフィードバック制御によって、出力電圧VOUT1を一定に保つように動作している。そしてフィードバック制御には遅れが生じるため、出力電流IOUT1の変動により出力電圧VOUT1が変化しその後(フィードバック制御によって)出力電圧VOUT1が正常値に戻るまでには遅れが生じる。一方、補助電源REGBKは、その内部で入力信号となる電流を受けた後、カレントミラー回路により電流を折り返し出力する構成であるため、フィードバック制御が介在せず、より高速な動作が可能である。従って、ローカル電源REG21A、REG22Aの出力電流IOUT1が変動した際、補助電源REGBKが高速に応答することで出力端子P2の電圧変動を抑制することができる。
【0034】
また、上記第1実施例によれば、プルダウン抵抗RPD1に生じる電圧がゲートバイアス電圧として供給されるトランジスタMN2を設け、トランジスタMN2のドレイン電流I3を補助電源REGBKに入力している。これにより、出力電流IOUT1が上昇して所定値を超えたときに、トランジスタMN2のゲート電圧が閾値を超えてドレイン電流I3が流れ始めるため、トランジスタMN2による簡素な構成で出力電流IOUT1が所定値を超えた場合のみにドレイン電流I3を出力することができる。
【0035】
また、上述した第1実施例によれば、トランジスタMP2、プルダウン抵抗RPD1を過電流保護回路C1と、ドレイン電流I3を出力するための回路とで共有することができ、ローカル電源REG21Aの構成を簡素にすることができる。
【0036】
(第2実施例)
次に、第2実施例の電源回路1Bについて
図2を参照して説明する。なお、
図2において、上述した
図1に示す電源回路1Aと同等の部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。同図に示すように、電源回路1Bは、メイン電源REG1と、駆動回路としての複数のアンプAMP21A、AMP22Aと、第2の電源回路としての補助電源REGBK2とを備えている。本実施例においても、複数の複数の駆動回路が2個の場合として図示しているが、駆動回路は2個に限らず1個あるいは3個以上であってもよい。
【0037】
メイン電源REG1は、第1実施例と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。アンプAMP21A、AMP22Aは、第1実施例のローカル電源REG21A、REG22Bに代えて設けられている。アンプAMP21A、AMP22Aは、互いに同じ回路構成のアンプから構成される。アンプAMP21A、AMP22Aは、入力端子P21A、P22Aと出力端子P21B、P22Bとの間にそれぞれ接続されている。入力端子P21A、P22Aは、メイン電源REG1の出力端子P2に接続され、メイン電源REG1から出力される出力電圧VOUT1が供給される。出力端子P21B、P22Bには、それぞれ図示しない負荷が接続される。アンプAMP21A、AMP22Aは、メイン電源REG1から出力される出力電圧VOUT1から出力電圧VOUT21、VOUT22を生成して、各負荷に供給する。
【0038】
アンプAMP21A、AMP22Aは、同一回路構成であるため、ここではアンプAMP21Aの構成を代表して説明する。アンプAMP21Aは、アンプAMP2と、トランジスタQ1、Q2と、抵抗RD1、RD2とを備えている。
【0039】
アンプAMP2は非反転入力が入力端子P21Dに接続され、非反転入力には外部からの入力電圧VIN21が入力される。アンプAMP2は、反転入力に出力電圧VOUT21を抵抗RD1、RD2で分圧した分圧電圧が入力される。アンプAMP2は、入力電圧VIN21と、出力電圧VOUT21の分圧電圧との差分に応じた出力電圧を出力する。
【0040】
出力トランジスタQ1は、NPN型のバイポーラトランジスタから構成されている。出力トランジスタQ1は、第5のトランジスタとして機能し、メイン電源REG1の出力端子P2と負荷との間に接続される。詳しく説明すると、出力トランジスタQ1は、コレクタが入力端子P21Aに接続され、エミッタが出力端子P21Bに接続され、ベースがアンプAMP2の出力に接続されている。出力トランジスタQ1は、アンプAMP2の出力を入力とするエミッタフォロワ構成となる。よって、出力端子P21Bからは、入力信号VIN21と、出力電圧VOUT21の分圧電圧とが等しくなるような出力電圧VOUT21が出力される。
【0041】
トランジスタQ2は、NPN型のバイポーラトランジスタから構成されている。トランジスタQ2は、出力電流IOUT1に応じたコレクタ電流I7(信号)を後述する補助電源REGBK2に供給するために設けられている。トランジスタQ2は、第6のトランジスタとして機能し、トランジスタQ1にミラー接続されている。即ち、トランジスタQ2は、トランジスタQ1とエミッタ及びベースが共通接続され、トランジスタQ1に流れるコレクタ電流I6(第6電流)、即ち出力電流IOUT1に応じたコレクタ電流I7(第7電流)が流れる。トランジスタQ2のコレクタは、出力端子P21Cに接続される。
【0042】
補助電源REGBK2は、出力電流IOUT1に応じた出力電流IOUT2を生成して、メイン電源REG1の出力端子P2に供給する。補助電源REGBK2は、第1のカレントミラー回路を構成するトランジスタQC1及びQC2を有している。トランジスタQC1及びQC2は、PNP型のバイポーラトランジスタから構成されている。トランジスタQC1は、ベース及びコレクタが互いに接続され、コレクタが入力端子P3Bを介してアンプAMP21Aの出力端子P21Cに接続されている。また、トランジスタQC1のエミッタは、入力端子P3Aを介して、入力端子P1に接続されている。トランジスタQC2は、トランジスタQC1とベース及びエミッタが共通接続され、コレクタが出力端子P3Cに接続されている。出力端子P3Cは、出力端子P2に接続されている。
【0043】
次に、第2実施例の電源回路1Bの動作について説明する。アンプAMP21Aはその内部で出力トランジスタQ1及びトランジスタQ2のベース・エミッタ間バイアスが共通に印加されている。このため、出力トランジスタQ1のコレクタ電流I6、即ちアンプAMP21Aの出力電流IOUT1に応じたコレクタ電流I7が出力端子P21Cから出力される。そして、出力端子P21Cから出力されるコレクタ電流I7は、補助電源REGBK2の入力端子P3Bに印加され、補助電源REGBK2内部のトランジスタQC1、QC2のカレントミラー回路により折り返され、出力端子P3Cから出力電流IOUT2として出力される。補助電源REGBK2の出力端子P3Cは、メイン電源REG1の出力端子P2に接続されているため、補助電源REGBK2に入力されたアンプAMP21A及びAMP22Aの出力電流IOUT1に応じた出力電流IOUT2が、メイン電源REG1の出力端子P2に印加されることになる。出力端子P2には、元々接続されているメイン電源REG1からも出力電流が供給されているため、出力端子P2にはメイン電源REG1及び補助電源REGBK2の双方の出力から電流が供給される。
【0044】
ここでアンプAMP21Aの入力端子P21Dに印加される信号が変化し、アンプAMP21Aの出力電流IOUT1が増加したと仮定する。上述のように出力電流IOUT1の増加に伴ってコレクタ電流I7も増加する。そして、コレクタ電流I7の増加に伴って補助電源REGBK2の出力電流IOUT2も増加する。
【0045】
以上の動作により、出力端子P2を基準としてその入出力電流を見てみると、アンプAMP21Aの出力電流IOUT1の増加(消費)と補助電源REGBK2の出力電流IOUT2の増加(供給)により、出力端子P2における入出力電流は互いに相殺された状態となる。これにより、メイン電源REG1の実質の出力電流は、その変動を抑えられ、出力端子P2における出力電圧VOUT1の変動が小さい動作となり、アンプAMP21A、AMP22Aに安定した電源供給を行うことができる。
【0046】
また、上述した第2実施例によれば、第1実施例と同様に、複数の出力端子P21C、P22Cからそれぞれ出力されるコレクタ電流I7がトランジスタQC1、QC2からなる一つの第1のカレントミラー回路に入力される。これによりアンプAMP22Aの出力電流IOUT1が変化した際にも、上記と同様にその出力電流IOUT1が応じた電流が出力端子P22C、補助電源REGBK2の入力端子P3Bを介して伝達され、補助電源REGBK2の出力電流IOUT2が変化することとなる。このように、出力端子P2に接続される全てのアンプAMP21A、AMP22Aの出力電流IOUT1の変化に応じて、補助電源REGBK2の出力電流IOUT2が変化する。即ち出力端子P2における入出力電流が相殺され、メイン電源REG1の出力電流変動が低減される。また、上記構成によれば、複数のアンプAMP21A、AMP22Aに対してそれぞれカレントミラー回路を設ける必要がなく、補助電源REGBK2の構成を簡素にすることができる。
【0047】
また、第1実施例と同様に、各アンプAMP21A、AMP22Aに供給される電流が最大に増加した場合においても、メイン電源REG1は補助電源REGBK2によりその出力電流が補填されるため、結果的にメイン電源REG1は出力電流のより小さな値に対応した構成にすればよい。なお、補助電源REGBK2内の第1のカレントミラー回路を構成しているトランジスタQC1、QC2やアンプAMP21AやAMP22A内のトランジスタQ2の素子サイズを変更することで、補助電源REGBK2の出力電流IOUT2の大小を変更可能である。よって、補助電源REGBK2から補填する出力電流IOUT2とメイン電源REG1で供給可能な出力電流とのバランスを最適化することができる。ただし、第1実施例と同様、アンプAMP21A及びAMP22Aの出力電流IOUT1(消費)の総和に対して、補助電源REGBK2の出力電流IOUT2(供給)が大きな電流値になった場合、メイン電源REG1の出力である出力端子P2の電圧が上昇し、メイン電源REG1の電源としての動作が不可となる。即ち、メイン電源REG1の出力(端子P2)と入力(端子P1)の電位差が無くなり、メイン電源REG1が正常なレギュレーション動作を行えなくなる。よって、如何なる動作状態においても、補助電源REGBK2の出力電流(供給)は、アンプAMP21A及びAMP22Aの出力電流(消費)の総和に対して、同一か少なくなるように設定する。
【0048】
また、従来回路例で説明したように、メイン電源REG1は内部のフィードバック制御によって、出力電圧VOUT1を一定に保つように動作している。そしてフィードバック制御には遅れが生じるため、出力電流IOUT1の変動により出力電圧VOUT1が変化しその後(フィードバック制御によって)出力電圧VOUT1が正常値に戻るまでには遅れが生じる。一方、補助電源REGBK2は、その内部で入力信号となる電流を受けた後、カレントミラー回路により電流を折り返し出力する構成であるため、フィードバック制御が介在せず、より高速な動作が可能である。従って、アンプAMP21A、AMP22Aの出力電流IOUT1が変動した際、補助電源REGBK2が高速に応答することで出力端子P2の電圧変動を抑制することができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0050】
上述した第1実施例では、メイン電源REG1は、同一構成のローカル電源REG21A、REG22Aを接続し、第2実施例では、メイン電源REG1に、同一構成のアンプAMP21A、AMP22Bを接続していたが、これに限ったものではない。メイン電源REG1には、ローカル電源REG21A、REG22Aと、アンプAMP21A、AMP22Bとが混在して接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1A、1B 電源回路
AMP1 エラーアンプ
AMP2 アンプ
AMP21A、AMP22A アンプ(駆動回路)
I1 ドレイン電流(第1電流)
I2 ドレイン電流(第2電流)
I3 ドレイン電流(第3電流、信号)
I4 ドレイン電流(第4電流)
I5 ドレイン電流(第5電流)
I6 コレクタ電流(第6電流)
I7 コレクタ電流(第7電流、信号)
IOUT1 出力電流(第1の出力電流)
IOUT2 出力電流(第2の出力電流)
MN1 トランジスタ(第4のトランジスタ)
MN2 トランジスタ(第3のトランジスタ)
MP1 出力トランジスタ(第1のトランジスタ)
MP2 トランジスタ(第2のトランジスタ)
MP3、MP4 トランジスタ(第2のカレントミラー回路)
MPC1、MPC2 トランジスタ(第1のカレントミラー回路)
P1 入力端子
P2 出力端子
P21A、P22A 入力端子
P21B、P22B 出力端子
Q1 出力トランジスタ(第5のトランジスタ)
Q2 トランジスタ(第6のトランジスタ)
QC1、QC2 トランジスタ(第1のカレントミラー回路)
REG1 メイン電源(第1の電源回路)
REG21A、REG22A ローカル電源(駆動回路)
REGBK、REGBK2 補助電源(第2の電源回路)
RD1、RD2 抵抗
RPD1 プルダウン抵抗(抵抗)
VREF1 基準電圧
VOUT1 出力電圧
VOUT21、VOUT22 出力電圧(駆動電圧)