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特開2022-162451難水溶性物質の可溶化方法および難水溶性物質の可溶化組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162451
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】難水溶性物質の可溶化方法および難水溶性物質の可溶化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/42 20170101AFI20221017BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20221017BHJP
   A61K 31/409 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 33/44 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20221017BHJP
   A61K 31/015 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
A61K47/42
A61K9/10
A61K47/34
A61K31/409
A61K33/44
A61K31/337
A61K31/55
A61K31/015
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067318
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 篤志
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 陸
(72)【発明者】
【氏名】日野 彰大
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA22
4C076EE26
4C076EE26E
4C076EE42
4C076EE42E
4C076FF11
4C076FF43
4C076GG03
4C076GG41
4C086AA10
4C086BA02
4C086BC32
4C086CB04
4C086DA50
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA23
4C086NA02
4C206AA10
4C206BA04
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA43
4C206NA02
(57)【要約】
【課題】生体適合性が高く、環境負荷の低い可溶化剤を用い、簡易な方法で幅広い種類の難水溶性物質に適用可能な汎用性の高い難水溶性物質の可溶化方法および難水溶性物質の可溶化組成物を提供する。
【解決手段】難水溶性物質と、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンから選択される少なくとも1種である可溶化剤とを、ボールミル、または、乳鉢および乳棒を用いて粉砕混合することにより粉砕混合物を得る工程と、前記粉砕混合物に水を加えて、該粉砕混合物の水溶液を得る工程とを含むことにより、難水溶性物質を可溶化する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難水溶性物質と、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンから選択される少なくとも1種である可溶化剤を、ボールミル、または、乳鉢および乳棒を用いて粉砕混合することにより粉砕混合物を得る工程と、
前記粉砕混合物に水を加えて、該粉砕混合物の水溶液を得る工程と、を含むことを特徴とする難水溶性物質の可溶化方法。
【請求項2】
前記難水溶性物質が、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、フラーレン誘導体、ポリヘテロ環化合物、カロテノイド類、カルバマゼピン、パクリタキセル、ポリフェノール類からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の難水溶性物質の可溶化方法。
【請求項3】
難水溶性物質と、可溶化剤と、水と、を含有し、
前記可溶化剤は、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンから選択される少なくとも1種であり、
前記難水溶性物質の分散粒子の平均粒子径が、50~1500nmであることを特徴とする難水溶性物質の可溶化組成物。
【請求項4】
前記難水溶性物質の分散粒子の平均粒子径が、80~600nmであることを特徴とする請求項3に記載の難水溶性物質の可溶化組成物。
【請求項5】
前記難水溶性物質が、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、フラーレン誘導体、ポリヘテロ環化合物、カロテノイド、カルバマゼピン、パクリタキセル、ポリフェノール類からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または4に記載の難水溶性物質の可溶化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難水溶性物質の可溶化方法および難水溶性物質の可溶化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品、化学等の分野において用いられている薬理活性物質や機能性物質には、水への溶解性が低い難水溶性物質が多く存在する。そのような難水溶性物質を可溶化することができれば、薬理活性物質や機能性物質の汎用性を高めることが可能となる。
【0003】
従来の難水溶性物質の可溶化剤として、シクロデキストリン、プルラン等の糖類や、人工細胞膜であるリポソーム、高分子ミセル等が知られている。糖類やリポソームは天然由来物質であるため、生体適合性が高く、環境への負荷が少ないが、高分子ミセルは合成物であるため、生体適合性や環境への負荷について長期の確認が必要となる。
【0004】
糖類を可溶化剤として用いた例として、非特許文献1には、水への溶解性の低いC60フラーレンをγ-シクロデキストリン溶液と混合し、加熱撹拌することによって、C60フラーレンの可溶化複合体が得られたと記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.Andersson,K.Nilsson,M.Sundahl,G.Westman,O.Wennerstrom,C60 embedded in γ-cyclodextrin:a water-soluble fullerene, J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1992,604-606.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、難水溶性物質を可溶化するために加熱撹拌することは一般的であるが、熱安定性の低い難水溶性物質に対しては有効な手法ではない。また、従来のように、難水溶性物質の種類に応じて、可溶化剤の選定や可溶化の手法を設定したのでは効率が悪い。
【0007】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、幅広い種類の難水溶性物質に適用可能な汎用性の高い難水溶性物質の可溶化方法および難水溶性物質の可溶化組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の難水溶性物質の可溶化方法は、難水溶性物質と、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンから選択される少なくとも1種である可溶化剤とを、ボールミル、または、乳鉢および乳棒を用いて粉砕混合することにより粉砕混合物を得る工程と、前記粉砕混合物に水を加えて、該粉砕混合物の水溶液を得る工程と、を含むことを特徴とする。また、本発明の難水溶性物質の可溶化組成物は、難水溶性物質と、可溶化剤と、水と、を含有し、前記可溶化剤は、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の難水溶性物質の可溶化方法および難水溶性物質の可溶化組成物によれば、生体適合性が高く、環境負荷の低い可溶化剤を用い、簡易な方法で幅広い種類の難水溶性物質を可溶化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】フラーレンの可溶化組成物の可溶化方法の違いによる可視紫外吸収スペクトルである。
図2】テトラフェニルポルフィリンの可溶化組成物の可溶化方法の違いによる可視紫外吸収スペクトルである。
図3】フラーレンの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図4】テトラフェニルポルフィリンの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図5】フラーレンの可溶化組成物の長期安定性を示すグラフである。
図6】テトラフェニルポルフィリンの可溶化組成物の長期安定性を示すグラフである。
図7】フラーレンおよびテトラフェニルポルフィリンの可溶化組成物の熱安定性を示すグラフである。
図8】フラーレン誘導体の可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図9】フタロシアニンの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図10】キンキチオフェンの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図11】β-カロテンの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図12】カルバマゼピンの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図13】パクリタキセルの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図14】クルクミンの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
図15】レスベラトロールの可溶化組成物の可視紫外吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(難水溶性物質の可溶化組成物)
本発明の難水溶性物質の可溶化組成物は、難水溶性物質と、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンから選択される少なくとも1種である可溶化剤とを含み、該難水溶性物質と該可溶化剤をボールミル、または、乳鉢および乳棒を用いて粉砕混合し、水を加えることにより得られる。
【0012】
本発明において、「難水溶性」とは、25℃における水への溶解度が0.1g/L以下であることを意味し、25℃において水に全く溶けないものを含む。
【0013】
本発明に使用される難水溶性物質は、特に制限されず、難水溶性の薬理活性物質、飲料やサプリメント等、食品分野へ用いるための難水溶性の機能性物質、化学材料分野において従来有機溶媒による溶解が必要だった難水溶性の化合物等、様々な難水溶性の物質が挙げられる。
【0014】
難水溶性の薬理活性物質としては、例えばFDAによって規定された生物薬剤学的分類システム(Biopharmaceutical Classification System)において、クラス2(溶解度低く、膜透過性良好)やクラス4(溶解度低く、膜透過性悪い)に分類されるものである。具体的には、パクリタキセル(タキソール)やカルバマゼピン等が挙げられる。
【0015】
食品分野や化学材料分野における難水溶性の機能性物質としては、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、フラーレン誘導体、オリゴチオフェン、ポリピロール等のポリヘテロ環化合物、α-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、リコピン、クリプトキサンチン等のカロテノイド類、クルクミン、レスベラトロール、アスタキサンチン等のポリフェノール類等が挙げられる。
【0016】
これらの難水溶性物質は、1種類のみで使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
難水溶性物質は、ボールミル、または、乳鉢と乳棒を用いて可溶化剤と粉砕混合された状態において、分散粒子の平均粒子径が、50~1500nmであり、好ましくは、80~600nmである。本発明において平均粒子径とは、動的光分散法により得られた平均粒子径である。なお、測定装置にはZetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd.,Malvern,UK)を用いた。
【0018】
本発明に使用される可溶化剤は、天然由来物質であるポリペプチドである。具体的には、例えば、ゼラチン、コラーゲン、ポリグルタミン酸、ポリリジン等であり、好ましくは、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジン、より好ましくは、ゼラチンおよびポリリジンである。コラーゲンは、カルバマゼピンと混合した際に可溶化組成物が高い溶解性を示す。ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンは、難水溶性物質の種類に関わらず可溶化剤として使用可能であり、汎用性が高い。
【0019】
本発明の可溶化組成物は、溶媒として水を含有する。
【0020】
また、本発明の可溶化組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0021】
(難水溶性物質の可溶化方法)
本発明の難水溶性物質の可溶化方法は、難水溶性物質と、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンから選択される少なくとも1種である可溶化剤とを、ボールミル、または、乳鉢および乳棒を用いて粉砕混合することにより粉砕混合物を得る工程と、粉砕混合物に水を加えて、粉砕混合物の水溶液を得る工程と、を含む。
【0022】
本発明においては、ボールミルの1種として高速振動粉砕機を用いた粉砕混合方法を用いる。高速振動粉砕機は、難水溶性物質と可溶化剤を入れた容器の中空部内において硬球が高速で往復移動することにより、難水溶性物質と可溶化剤が粉砕混合される。具体的には、例えば、180~2100rpm(3~35Hz)の振動回転速度により、数nmから数百μmの粒径とすることが可能なボールミルである。
【0023】
乳鉢および乳棒を用いた粉砕混合において、乳鉢および乳棒の材質は限定されず、例えば、磁製、ガラス製、メノウ製の乳鉢および乳棒を用いることができるが、好ましくは磁製である。
【実施例0024】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0025】
(高速振動粉砕機、または、乳鉢および乳棒を用いた難水溶性物質の可溶化組成物の合成)
-実施例1-
難水溶性物質としてフラーレン(図および表中にC60と記載する)を用い、可溶化剤としてゼラチン(図および表中にGELと記載する)を用い、高速振動粉砕法によって可溶化組成物を合成した。
【0026】
具体的には、まず、フラーレン1.4mg(2.0μmol)と、ゼラチン10.0mgをメノウボールとともに円筒形状のメノウ容器に入れ、高速振動粉砕機(Retsch製、MM200型)を用いて、30Hz、20分の高速振動粉砕を行い、粉砕混合物を得た。その後、この粉砕混合物に超純水2.0mLを加えて抽出した。得られた抽出液に60分の超音波照射を行った後、遠心分離機(4500rpm、20分)により不溶なフラーレンを沈殿させ、上澄みを分取した。この上澄み液がフラーレンとゼラチンの可溶化組成物である。
【0027】
-実施例2-
難水溶性物質としてフラーレン(図および表中にC60と記載する)を用い、可溶化剤としてゼラチン(図および表中にGELと記載する)を用い、乳鉢および乳棒を用いる混練法によって可溶化組成物を合成した。
【0028】
具体的には、まず、フラーレン1.4mg(2.0μmol)と、ゼラチン10.0mgを磁製乳鉢に入れ、磁製乳棒によって、20分の粉砕を行い、粉砕混合物を得た。その後、この粉砕混合物に超純水2.0mLを加えて抽出した。得られた抽出液に60分の超音波照射を行った後、遠心分離機(4500rpm、20分)により不溶なフラーレンを沈殿させ、上澄みを分取した。この上澄み液がフラーレンとゼラチンの可溶化組成物である。
【0029】
-実施例3-
難水溶性物質として、テトラフェニルポルフィリン(図および表中にTPPと記載する)1.1mg(2.0μmol)を用い、可溶化剤としてゼラチンを用いた可溶化組成物を、実施例1と同様に高速振動粉砕法によって合成した。
【0030】
-実施例4-
難水溶性物質として、テトラフェニルポルフィリン(図および表中にTPPと記載する)1.1mg(2.0μmol)を用い、可溶化剤としてゼラチンを用いた可溶化組成物を、実施例2と同様に乳鉢および乳棒を用いる混練法によって合成した。
【0031】
(加熱撹拌による難水溶性物質の可溶化組成物の合成)
-比較例1-
次に、難水溶性物質としてフラーレンを用い、可溶化剤としてゼラチンを用いて、加熱撹拌によって難水溶性物質の可溶化組成物を合成した。
【0032】
具体的には、まず、フラーレン1.4mg(2.0μmol)と、ゼラチン10.0mgと、超純水2.0mLをナスフラスコに入れ、80℃で24時間、加熱撹拌した。その後、遠心分離機(4500rpm、20分)により不溶なフラーレンを沈殿させ、上澄みを分取した。
【0033】
(超音波照射による難水溶性物質の可溶化組成物の合成)
-比較例2-
次に、難水溶性物質としてフラーレンを用い、可溶化剤としてゼラチンを用いて、超音波照射によって難水溶性物質の可溶化組成物を合成した。
【0034】
具体的には、まず、フラーレン1.4mg(2.0μmol)と、ゼラチン10.0mgと、超純水2.0mLをナスフラスコに入れ、超音波照射を2時間行った。その後、遠心分離機(4500rpm、20分)により不溶なフラーレンを沈殿させ、上澄みを分取した。
【0035】
-比較例3-
難水溶性物質としてテトラフェニルポルフィリン1.1mg(2.0μmol)を用い、可溶化剤としてゼラチンを用いた可溶化組成物を、比較例1と同様に加熱撹拌によって合成した。
【0036】
-比較例4-
難水溶性物質としてテトラフェニルポルフィリン1.1mg(2.0μmol)を用い、可溶化剤としてゼラチンを用いた可溶化組成物を、比較例2と同様に超音波照射によって合成した。
【0037】
(紫外可視吸収スペクトルの測定)
上記の方法でそれぞれ得られた可溶化組成物の紫外可視吸収スペクトルを測定し、難水溶性物質が水に溶けているか否かを確認した。具体的には、上記の方法でそれぞれ得られた可溶化組成物を1mmセルに入れ、紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。実施例1、実施例2、比較例1および比較例2で得られたフラーレンとゼラチンとの可溶化組成物の紫外可視吸収スペクトルを図1に示し、実施例3、実施例4、比較例3および比較例4で得られたテトラフェニルポルフィリンとゼラチンとの可溶化組成物の紫外可視吸収スペクトルを図2に示す。
【0038】
図1および図2に示すように、難水溶性物質としてフラーレンとテトラフェニルポルフィリンを用いたいずれの場合においても、加熱撹拌および超音波照射にて合成した可溶化組成物ではほとんど吸収が観測されず、高速振動粉砕法および乳鉢・乳棒を用いた実施例1~4ではフラーレンとテトラフェニルポルフィリン由来の吸収が観測された。この結果から、加熱撹拌および超音波照射を用いて難水溶性物質を可溶化することは困難であり、高速振動粉砕法、または、乳鉢および乳棒を用いた方法、好ましくは高速振動粉砕法が適切であることが分かった。
【0039】
次に、高速振動粉砕法を用い、可溶化剤としてポリペプチドを用いた場合と、従来使用されていた多糖類を用いた場合とで、各種難水溶性物質の溶解性を比較検討した。
【0040】
(フラーレンの可溶化組成物の合成)
-実施例5,6および比較例5~7-
難水溶性物質であるフラーレン1.4mg(2.0μmol)を、各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様に可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例5ではポリ-γ-グルタミン酸(図および表中にγ-PGAと記載する)10.0mg、実施例6ではα-ポリ-L-リジン(図および表中にα-PLと記載する)10.0mg、比較例5ではγ-シクロデキストリン(図および表中にγ-CDxと記載する)10.0mg、比較例6ではプルラン(図および表中にPLと記載する)10.0mg、比較例7ではコラーゲン(図および表にCOLと記載する)を用いた。
【0041】
実施例1,5,6および比較例5~7においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物をそれぞれ10倍に希釈して1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図3に示す。図3に示すように、実施例1、5および比較例5は大きな吸収を示し、フラーレンが良く溶解していることが分かった。
【0042】
(テトラフェニルポルフィリンの可溶化組成物の合成)
-実施例7、8および比較例8~10-
難水溶性物質であるテトラフェニルポルフィリン1.1mg(2.0μmol)を、各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例7ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例8ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例8ではトリメチル-β-シクロデキストリン(図および表中にTMe-β-CDxと記載する)10.0mg、比較例9ではプルラン10.0mg、比較例10ではコラーゲンを用いた。
【0043】
実施例3、7、8および比較例9、10においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物を10倍に希釈し、比較例8において得られた上澄みは100倍に希釈して、1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図4に示す。図4に示すように、実施例3,7,8および比較例9は大きな吸収を示し、テトラフェニルポルフィリンが良く溶解していることが分かった。
【0044】
(長期安定性の評価)
このようにして得られた可溶化組成物について、長期安定性の評価を行った。実施例1,3,5~8および比較例5,6,8,9において上澄みとして得られた可溶化組成物を10倍に希釈して1mmセルに入れ、室温(25℃)に放置し、1日後、3日後、7日後に紫外可視吸収スペクトルを測定した。各吸収極大の吸光度変化(Abs/Abs,Absは初期値)から、長期安定性を評価した。
【0045】
なお、各吸収極大は、フラーレン・シクロデキストリン組成物(比較例5)では260nm、フラーレン・プルラン組成物(比較例6)では264nm、フラーレン・ゼラチン組成物(実施例1)では262nm、フラーレン・ポリ-γ-グルタミン酸組成物(実施例5)では261nm、フラーレン・α-ポリ-L-リジン組成物(実施例6)では262nm、テトラフェニルポルフィリン・シクロデキストリン組成物(比較例8)では416nm、テトラフェニルポルフィリン・プルラン組成物(比較例9)では431nm、テトラフェニルポルフィリン・ゼラチン組成物(実施例3)では423nm、テトラフェニルポルフィリン・ポリ-γ-グルタミン酸組成物(実施例7)429nm、テトラフェニルポルフィリン・α-ポリ-L-リジン組成物(実施例8)では420nmを用いた。実施例1,5,6および比較例5,6の結果を図5に示し、実施例3,7,8および比較例8,9の結果を図6に示す。
【0046】
図5に示すように、フラーレンの可溶化組成物では大きく安定性が損なわれるものはなかったが、図6に示すように、テトラフェニルポルフィリンの可溶化組成物では、テトラフェニルポルフィリン・シクロデキストリン組成物(比較例8)の吸光度が1日後には初期値の半分以下に低下し、目視で確認できるほどの析出が見られた。
【0047】
(熱安定性の評価)
次に、熱安定性の評価を行った。実施例1,3,5~8および比較例5,6,8,9において上澄みとして得られた可溶化組成物を10倍に希釈して1mmセルに入れ、80℃で2時間加熱後に室温にて各可溶化組成物の紫外可視吸収スペクトルを測定した。各吸収極大の吸光度変化(Abs/Abs,Absは初期値)から、長期安定性を評価した。なお、吸光度変化を判断した各吸収極大は、それぞれ上記長期安定性の評価にて観測したものと同じである。熱安定性の評価の結果を図7に示す。
【0048】
図7に示すように、シクロデキストリンを可溶化剤として用いた比較例5および比較例8において、吸光度が大きく低下しており、熱安定性が低いことがわかった。
【0049】
上記、実施例1,3,5~8および比較例5~10における溶解性評価、長期安定性評価および熱安定性評価の結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1において、溶解性の評価については、紫外可視吸収スペクトルの吸光度から、非常によく溶解していると言える場合は◎、ある程度溶解すると言える場合は〇、若干溶解すると言える場合は△、全く溶解しないと言える場合は×とした。-と表記したものは溶解性が低かったため、長期安定性評価および熱安定性評価を実施していない。なお、紫外可視吸収スペクトルは、可溶化剤により難水溶性物質が会合し、ピークのブロード化が起こっていたため、ピーク面積によりその溶解性を判断した。
【0052】
また、表1において、長期安定性および熱安定性の評価については、ピーク強度により、難水溶性物質が水溶液中に90%以上残っていると言える場合は◎、80~89%残っていると言える場合は〇、50~79%残っていると言える場合は△、50%より少ないと言える場合は×とした。
【0053】
表1によれば、可溶化剤として、ゼラチン、ポリ-γ-グルタミン酸、α-ポリ-L-リジンを用いた実施例1,3,5~8では、溶解性、長期安定性および熱安定性ともに良好であり、比較例5~10と比較して相対的に良い結果が得られた。
【0054】
続いて、他の各種難水溶性物質の可溶化組成物についても高速振動粉砕法を用い、可溶化剤としてポリペプチドを用いた場合と、従来使用されていた多糖類を用いた場合とで溶解性を比較検討した。
【0055】
(フラーレン誘導体の可溶化組成物の合成)
-実施例9~11および比較例11~13-
難水溶性物質であるフラーレン誘導体、C60-N,N-ジメチルピロリジウムヨージド(図および表中にC60-1と記載する)1.8mg(2.0μmol)を、各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例9ではゼラチン10.0mg、実施例10ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例11ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例11ではγ-シクロデキストリン10.0mg、比較例12ではプルラン10.0mg、比較例13ではコラーゲンを用いた。
【0056】
実施例9~11および比較例11~13においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物を10倍に希釈して1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図8に示す。
【0057】
(フタロシアニンの可溶化組成物の合成)
-実施例12~14および比較例14~16-
難水溶性物質であるフタロシアニン(図および表中にPcと記載する)1.0mg(2.0μmol)を、各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例12ではゼラチン10.0mg、実施例13ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例14ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例14ではトリメチル-β-シクロデキストリン10.0mg、比較例15ではプルラン10.0mg、比較例16ではコラーゲンを用いた。
【0058】
実施例12~14および比較例14~16においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物を10倍に希釈して1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図9に示す。
【0059】
(オリゴチオフェンの可溶化組成物の合成)
-実施例15~16および比較例17~19-
難水溶性物質であるオリゴチオフェンの一種、キンキチオフェン(図および表中に5Tと記載する)2.1mg(5.0μmol)を、各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例15ではゼラチン10.0mg、実施例16ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例17ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例17ではトリメチル-β-シクロデキストリン10.0mg、比較例18ではプルラン10.0mg、比較例19ではコラーゲンを用いた。
【0060】
実施例15~17および比較例17~19においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物を1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図10に示す。キンキチオフェンは、シクロデキストリン、プルラン、コラーゲンを可溶化剤として用いた場合、ほとんど溶けなかったが、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンを可溶化剤として用いた場合、良好な溶解性を示した。
【0061】
(カロテノイドの可溶化組成物の合成)
-実施例18~20および比較例20~22-
難水溶性物質であるカロテノイドの一種、β-カロテン(図および表中にβ-Cと記載する)1.1mg(2.0μmol)を各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例18ではゼラチン10.0mg、実施例19ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例20ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例20ではγ-シクロデキストリン10.0mg、比較例21ではプルラン10.0mg、比較例22ではコラーゲンを用いた。
【0062】
実施例18~20および比較例20~22においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物を1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図11に示す。β-カロテンは、シクロデキストリンまたはコラーゲンを可溶化剤として用いた場合、ほとんど溶けなかったが、ゼラチン、ポリグルタミン酸およびポリリジンを可溶化剤として用いた場合、良好な溶解性を示した。
【0063】
(カルバマゼピンの可溶化組成物の合成)
-実施例21~23および比較例23~25-
難水溶性物質であるカルバマゼピン(図および表中にCBZと記載する)1.2mg(5.0μmol)を各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例21ではゼラチン10.0mg、実施例22ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例23ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例23ではトリメチル-β-シクロデキストリン10.0mg、比較例24ではプルラン10.0mg、比較例25ではコラーゲンを用いた。
【0064】
実施例21~23および比較例23~25においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物を10倍に希釈して1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図12に示す。
【0065】
(パクリタキセルの可溶化組成物の合成)
-実施例24~26および比較例26~28-
難水溶性物質であるパクリタキセル(図および表中にPTXと記載する)1.7mg(2.0μmol)を各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例24ではゼラチン10.0mg、実施例25ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例26ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例26ではトリメチル-β-シクロデキストリン10.0mg、比較例27ではプルラン10.0mg、比較例28ではコラーゲンを用いた。
【0066】
比較例26、27においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物はそのまま1mmセルに入れて測定したが、実施例24~26および比較例28では、水溶液のままではパクリタキセルと可溶化剤の吸収スペクトルが重なってしまい、確認が困難だったことから、水溶液を一度凍結乾燥させ、エタノールでパクリタキセルを抽出したものを1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図13に示す。
【0067】
(クルクミンの可溶化組成物の合成)
-実施例27~29および比較例29~31-
難水溶性物質であるクルクミン(図および表中にCurと記載する)1.8mg(5.0μmol)を各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例27ではゼラチン10.0mg、実施例28ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例29ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例29ではトリメチル-β-シクロデキストリン10.0mg、比較例30ではプルラン10.0mg、比較例31ではコラーゲンを用いた。
【0068】
実施例27~29および比較例29~31においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物を10倍に希釈して1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図14に示す。
【0069】
(レスベラトロールの可溶化組成物の合成)
-実施例30~32および比較例32~34-
難水溶性物質であるクルクミン(図および表中にResと記載する)1.1mg(5.0μmol)を各可溶化剤と高速振動粉砕法によって粉砕混合し、実施例1と同様の手順で可溶化組成物を合成した。可溶化剤として、実施例30ではゼラチン10.0mg、実施例31ではポリ-γ-グルタミン酸10.0mg、実施例32ではα-ポリ-L-リジン10.0mg、比較例32ではトリメチル-β-シクロデキストリン10.0mg、比較例33ではプルラン10.0mg、比較例34ではコラーゲンを用いた。
【0070】
実施例30~32および比較例32~34においてそれぞれ上澄みとして得られた可溶化組成物を10倍に希釈して1mmセルに入れ、上記と同様に紫外可視分光光度計(Shimadzu製、UV-3600)により測定した。測定結果を図15に示す。
【0071】
表2に、実施例2,4,9~32および比較例1~4,11~34における溶解性の評価結果を示す。なお、表2において、表1と同様に、紫外可視吸収スペクトルの吸光度から、非常によく溶解していると言える場合は◎、ある程度溶解すると言える場合は〇、若干溶解すると言える場合は△、全く溶解しないと言える場合は×とした。
【0072】
【表2】
【0073】
表1および表2に示すように、ゼラチン、ポリ-γ-グルタミン酸、α-ポリ-L-リジンを、テトラフェニルポルフィリン、フラーレン誘導体、カルバマゼピン、パクリタキセル、クルクミンおよびレスベラトロールの可溶化剤として用い、高速振動粉砕法によって可溶化組成物を得た場合、従来の可溶化剤であるプルランやシクロデキストリン等の糖類と同等の溶解性を示した。さらに、ゼラチン、ポリ-γ-グルタミン酸、α-ポリ-L-リジンを可溶化剤として用いた場合、プルランやシクロデキストリンを用いた場合に溶解性の低かったフラーレン、フタロシアニン、キンキチオフェン、β-カロテンおよびカルバマゼピンにおいて、高い溶解性を示した。
【0074】
ゼラチン、ポリ-γ-グルタミン酸、α-ポリ-L-リジンは、様々な種類の難水溶性物質と高速振動粉砕法によって粉砕混合することにより可溶化組成物を得ることが可能であり、従来可溶化剤として用いられてきた糖類よりも相対的に溶解性が高く、汎用性が高いと言える。また、ゼラチン、ポリ-γ-グルタミン酸、α-ポリ-L-リジンを可溶化剤として用い、高速振動粉砕法によって可溶化組成物を得た場合、シクロデキストリンを用いた場合に比べて長期安定性および熱安定性が高いという結果も得られている。ゼラチン、ポリ-γ-グルタミン酸、α-ポリ-L-リジンは、天然由来物質であるため、生体適合性が高く環境への負荷も低い。以上の結果から、ゼラチン、ポリ-γ-グルタミン酸、α-ポリ-L-リジンは可溶化剤として有用である。
【0075】
なお、ゼラチン、ポリ-γ-グルタミン酸、α-ポリ-L-リジンと同じポリペプチドであるコラーゲンは、カルバマゼピンとの可溶化組成物としては非常に高い溶解性を示したため、カルバマゼピンの可溶化剤としては有用である。
【0076】
(平均粒子径の測定)
粒径の大きさは、動的光散乱法によって求めた。測定装置にはZetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd., Malvern, UK)を用いた。流体力学的直径(Hydrodynamic diameter:Dhy)と多分散度(Polydispersity:PDI)を表3にまとめた。表1から3の結果より、高速振動粉砕法および乳鉢・乳棒を用いて粉砕混合した難水溶性物質の分散粒子の平均粒子径が、50~1500nm、好ましくは、80~600nmである場合に、可溶化の効果が高いと考えられる。
【0077】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15