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特開2022-162742番組選択装置、番組選択方法及び番組選択プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162742
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】番組選択装置、番組選択方法及び番組選択プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/735 20190101AFI20221018BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20221018BHJP
   G06F 40/279 20200101ALI20221018BHJP
   G06F 16/783 20190101ALI20221018BHJP
【FI】
G06F16/735
H04N21/435
G06F40/279
G06F16/783
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067719
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】上村 真利奈
(72)【発明者】
【氏名】金子 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 正男
【テーマコード(参考)】
5B091
5B175
5C164
【Fターム(参考)】
5B091CD11
5B175DA04
5B175FA01
5B175HA01
5C164MA06S
5C164UB10P
5C164UB31S
5C164UD53S
(57)【要約】
【課題】ロボットごとの個性として番組への興味、及びその変化を表現できる番組選択装置、番組選択方法及び番組選択プログラムを提供すること。
【解決手段】番組選択装置1は、ロボットが取得した所定期間の番組情報から所定種類のキーワードを抽出するキーワード抽出部11と、キーワードのそれぞれについて、所定期間の番組情報内での当該キーワードの出現回数、及び当該キーワードが出現した番組回数をカウントするキーワード算出部12と、出現回数が多いほど、番組回数が少ないほど大きくなる興味度の指標に基づいて、興味キーワードを抽出する興味キーワード抽出部13と、番組情報データベースから、興味キーワードを含む番組を、ロボットの興味番組として抽出する興味番組抽出部21と、興味番組の視聴要求をユーザに提示するために、当該興味番組の情報を出力するロボット興味番組通信部30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットが取得した所定期間の番組情報から所定種類のキーワードを抽出するキーワード抽出部と、
前記キーワードのそれぞれについて、前記所定期間の番組情報内での当該キーワードの出現回数、及び当該キーワードが出現した番組回数をカウントするキーワード算出部と、
前記出現回数が多いほど、前記番組回数が少ないほど大きくなる興味度の指標に基づいて、興味キーワードを抽出する興味キーワード抽出部と、
番組情報データベースから、前記興味キーワードを含む番組を、前記ロボットの興味番組として抽出する興味番組抽出部と、
前記興味番組の視聴要求をユーザに提示するために、当該興味番組の情報を出力するロボット興味番組通信部と、を備える番組選択装置。
【請求項2】
前記興味キーワードの抽出、及び前記興味番組の抽出を所定のタイミングで繰り返すことにより、前記興味番組を変化させて出力する請求項1に記載の番組選択装置。
【請求項3】
前記キーワード抽出部は、前記番組情報の量に応じて、前記所定期間の長さを調整する請求項1又は請求項2に記載の番組選択装置。
【請求項4】
前記キーワード抽出部は、前記番組情報として、字幕データに加えて、映像又は音声からテキスト情報を取得する請求項1から請求項3のいずれかに記載の番組選択装置。
【請求項5】
前記ロボットが視聴した番組の情報を取得し、当該番組が前記興味番組である場合に、当該興味番組の前記興味キーワードに対する満足度を変動させる満足度算出部と、
前記興味キーワードごとの満足度を更新して記憶する満足度更新部と、を備え、
前記ロボット興味番組通信部は、前記満足度が相対的に低い興味キーワードを含む前記興味番組を出力する請求項1から請求項4のいずれかに記載の番組選択装置。
【請求項6】
前記満足度算出部は、前記興味番組の視聴回数に応じて限界効用を逓減させつつ、前記満足度を変動させる請求項5に記載の番組選択装置。
【請求項7】
前記限界効用は、前記ロボットごとに設定される請求項6に記載の番組選択装置。
【請求項8】
前記限界効用は、前記興味度の指標に応じて設定される請求項6又は請求項7に記載の番組選択装置。
【請求項9】
前記満足度更新部は、前記満足度の上昇度合いが所定以下となった場合に、前記興味キーワード抽出部に新たな興味キーワードの抽出を要求する請求項5から請求項8のいずれかに記載の番組選択装置。
【請求項10】
前記興味キーワード抽出部は、過去に抽出した前記興味キーワードを抽出対象外にする請求項1から請求項9のいずれかに記載の番組選択装置。
【請求項11】
ロボットが取得した所定期間の番組情報から所定種類のキーワードを抽出するキーワード抽出ステップと、
前記キーワードのそれぞれについて、前記所定期間の番組情報内での当該キーワードの出現回数、及び当該キーワードが出現した番組回数をカウントするキーワード算出ステップと、
前記出現回数が多いほど、前記番組回数が少ないほど大きくなる興味度の指標に基づいて、興味キーワードを抽出する興味キーワード抽出ステップと、
番組情報データベースから、前記興味キーワードを含む番組を、前記ロボットの興味番組として抽出する興味番組抽出ステップと、
前記興味番組の視聴要求をユーザに提示するために、当該興味番組の情報を出力するロボット興味番組通信ステップと、をコンピュータが実行する番組選択方法。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の番組選択装置としてコンピュータを機能させるための番組選択プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人と一緒にテレビ番組を視聴するコミュニケーションロボットの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人と一緒にテレビを視聴し対話を行うコミュニケーションロボットの実現が望まれている。
例えば、特許文献1では、テレビ番組の映像、音声、字幕データからキーワードを抽出し、発話文を生成するロボットが提案されている。これにより、ロボットが番組に関連した発話をし、ロボットと人とがテレビ視聴時の対話をすることが出来る。
【0003】
また、特許文献2では、視聴者の視聴番組情報から、興味領域及び興味領域を特徴付ける興味モデルを学習し、興味モデルのパラメータを用いて、視聴中の番組のキーワードと視聴状況から、ユーザごとの興味キーワードを抽出する手法が提案されている。
さらに、特許文献3では、ユーザがロボットの内部記憶領域の行動データを更新することで、同じ行動の繰り返しによる飽きを与えることのない振る舞いを提供する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-185400号公報
【特許文献2】特開2015-215794号公報
【特許文献3】特開2005-246591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、視聴しているテレビ番組の映像又は字幕データなどからキーワードを抽出してロボットが発話を行うため、ロボットの発話の内容から、ユーザが新たに視聴したい番組を発見したり、番組の嗜好が変化したりすることはあっても、ロボット自身の個性を表すものではなかった。
また、特許文献2の技術も、ユーザの興味キーワードを抽出する技術であり、ロボット自身の興味を表すものではなかった。
【0006】
特許文献3の技術では、ロボットの行動データの更新をすることで、ロボットの成長を表現できるとしても、更新はユーザが行うため、ロボットが自ら行動を変化させ成長することは出来なかった。
【0007】
本発明は、ロボットごとの個性として番組への興味、及びその変化を表現できる番組選択装置、番組選択方法及び番組選択プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る番組選択装置は、ロボットが取得した所定期間の番組情報から所定種類のキーワードを抽出するキーワード抽出部と、前記キーワードのそれぞれについて、前記所定期間の番組情報内での当該キーワードの出現回数、及び当該キーワードが出現した番組回数をカウントするキーワード算出部と、前記出現回数が多いほど、前記番組回数が少ないほど大きくなる興味度の指標に基づいて、興味キーワードを抽出する興味キーワード抽出部と、番組情報データベースから、前記興味キーワードを含む番組を、前記ロボットの興味番組として抽出する興味番組抽出部と、前記興味番組の視聴要求をユーザに提示するために、当該興味番組の情報を出力するロボット興味番組通信部と、を備える。
【0009】
前記番組選択装置は、前記興味キーワードの抽出、及び前記興味番組の抽出を所定のタイミングで繰り返すことにより、前記興味番組を変化させて出力してもよい。
【0010】
前記キーワード抽出部は、前記番組情報の量に応じて、前記所定期間の長さを調整してもよい。
【0011】
前記キーワード抽出部は、前記番組情報として、字幕データに加えて、映像又は音声からテキスト情報を取得してもよい。
【0012】
前記番組選択装置は、前記ロボットが視聴した番組の情報を取得し、当該番組が前記興味番組である場合に、当該興味番組の前記興味キーワードに対する満足度を変動させる満足度算出部と、前記興味キーワードごとの満足度を更新して記憶する満足度更新部と、を備え、前記ロボット興味番組通信部は、前記満足度が相対的に低い興味キーワードを含む前記興味番組を出力してもよい。
【0013】
前記満足度算出部は、前記興味番組の視聴回数に応じて限界効用を逓減させつつ、前記満足度を変動させてもよい。
【0014】
前記限界効用は、前記ロボットごとに設定されてもよい。
【0015】
前記限界効用は、前記興味度の指標に応じて設定されてもよい。
【0016】
前記満足度更新部は、前記満足度の上昇度合いが所定以下となった場合に、前記興味キーワード抽出部に新たな興味キーワードの抽出を要求してもよい。
【0017】
前記興味キーワード抽出部は、過去に抽出した前記興味キーワードを抽出対象外にしてもよい。
【0018】
本発明に係る番組選択方法は、ロボットが取得した所定期間の番組情報から所定種類のキーワードを抽出するキーワード抽出ステップと、前記キーワードのそれぞれについて、前記所定期間の番組情報内での当該キーワードの出現回数、及び当該キーワードが出現した番組回数をカウントするキーワード算出ステップと、前記出現回数が多いほど、前記番組回数が少ないほど大きくなる興味度の指標に基づいて、興味キーワードを抽出する興味キーワード抽出ステップと、番組情報データベースから、前記興味キーワードを含む番組を、前記ロボットの興味番組として抽出する興味番組抽出ステップと、前記興味番組の視聴要求をユーザに提示するために、当該興味番組の情報を出力するロボット興味番組通信ステップと、をコンピュータが実行する。
【0019】
本発明に係る番組選択プログラムは、前記番組選択装置としてコンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロボットごとの個性として番組への興味、及びその変化を表現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態における番組選択装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】実施形態におけるキーワード抽出部及びキーワード算出部によるキーワード情報の抽出例を示す図である。
図3】実施形態における興味キーワード抽出部による興味キーワードの抽出例を示す図である。
図4】実施形態における番組選択装置による処理の流れを示すフローチャートである。
図5】実施形態におけるロボットが興味番組を視聴した際の満足度の算出方法を例示する図である。
図6】実施形態における満足度データ部による処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
本実施形態の番組選択装置は、ロボットが自律的に視聴したいテレビ番組を見つけ出す装置であり、視聴した番組内のキーワードから、ロボット自身が興味のあるキーワードを見つけ出し、このキーワードが含まれたテレビ番組をロボット自身が視聴したい番組として個性を表現する。
さらに、番組選択装置は、ロボットがテレビ番組を視聴していくことで別の番組に興味を持つような成長感を持たせる。
【0023】
図1は、本実施形態における番組選択装置1の機能構成を示すブロック図である。
番組選択装置1は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置(コンピュータ)であり、ロボットに組み込まれ、あるいは通信接続されて、抽出結果である番組情報を出力する。
【0024】
番組選択装置1の制御部は、記憶部に記憶されたソフトウェア(番組選択プログラム)を読み出して実行することにより、次の各機能部として動作する。また、記憶部には、番組選択プログラムの他、各種のデータベース(DB)が格納される。
【0025】
具体的には、制御部は、興味データ部10と、番組データ部20と、ロボット興味番組通信部30と、満足度データ部40とを備える。
また、記憶部は、興味データDB50と、ロボット興味番組DB60と、番組データDB70と、満足度データDB80とを備える。
【0026】
興味データ部10は、キーワード抽出部11と、キーワード算出部12と、興味キーワード抽出部13とを備え、ロボット自身の興味を示すキーワードデータを興味データDB50に出力する。
【0027】
キーワード抽出部11は、ロボットが所定期間(例えば、直近の1週間)に視聴した番組のテキスト情報を取得し、当該テキスト情報から所定種類のキーワードを抽出する。
番組のテキスト情報は、例えば、字幕データ又は電子番組表(EPG)データなどであってよい。この他、例えば、映像又は音声から、既存の手法を用いてテキスト情報が抽出されてもよい。
また、抽出するキーワードは名詞であってよく、例えば、固有名詞の他、所定の辞書に含まれる単語が抽出される。
【0028】
キーワード算出部12は、キーワード抽出部11により抽出されたキーワードそれぞれについて、所定期間の番組のテキスト情報内で出現した回数(出現回数)と、出現した番組の回数(番組回数)とをカウントする。
【0029】
図2は、本実施形態におけるキーワード抽出部11及びキーワード算出部12によるキーワード情報の抽出例を示す図である。
この例では、まず、1週間分の視聴した番組の字幕データから、キーワード辞書に含まれる単語が順に、キーワードとして抽出されている。
【0030】
これらのキーワードは、「北海道」「ワイン」などのように重複して複数回抽出される。そこで、抽出したキーワードごとの出現回数、及び番組回数がカウントされる。
例えば、「北海道」は、1週間の番組の中で、1つの番組にのみ現れ、この番組の中で30回現れている。また、「ワイン」は、2つの番組に合わせて15回現れている。
【0031】
なお、キーワードの抽出及びカウントの対象期間は、ユーザごとに適宜設定されてよい。また、番組情報(例えば、字幕データ)の量に応じて、対象期間の長さが調整させてもよく、例えば、字幕データが所定量に満たない場合に対象期間が長く設定されてもよい。
【0032】
興味キーワード抽出部13は、キーワード抽出部11により抽出されたキーワードのうち、より出現回数が多く、より番組回数が少ないキーワードを抽出し、ロボットの興味キーワードとして興味データDB50に記憶する。
【0033】
図3は、本実施形態における興味キーワード抽出部13による興味キーワードの抽出例を示す図である。
キーワード算出部12によりキーワードごとにカウントされた出現回数及び番組回数に基づいて、出現回数が多く、番組回数が少ないキーワードが抽出される。
【0034】
具体的には、興味度z=出現回数/番組回数を指標として、興味度zが大きい上位のキーワードが抽出される。
ここでは、「北海道」が興味度z=30で最大となっており、興味キーワードの抽出結果として興味データDB50に記憶されている。
なお、抽出される興味キーワードは、複数でもよく、例えば、興味度zが上位の所定数、又は興味度zが閾値以上のキーワードが抽出されてもよい。
【0035】
番組データ部20は、興味番組抽出部21を備え、ロボット自身の興味がある番組を示すデータをロボット興味番組DB60に出力する。
興味番組抽出部21は、EPG情報など、外部の番組情報DBから、興味データ部10により抽出された興味キーワードが含まれている番組を抽出し、抽出した番組をロボット自身が興味を持っている番組(ロボット興味番組)として、ロボット興味番組DB60に記憶する。
【0036】
ロボット興味番組通信部30は、ロボットがユーザに向けて例えば、「“○○○(ロボット興味番組)”が見たいな」のような発話をして視聴要求を提示するために、ロボット興味番組DB60からロボット興味番組のデータを取得し、ロボットの発話システムへ送信する。
【0037】
図4は、本実施形態における番組選択装置1による処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1において、キーワード抽出部11は、指定期間に視聴したテレビ番組の字幕データなどからキーワードを取得する。
【0038】
ステップS2において、キーワード算出部12は、ステップS1で取得されたキーワードのそれぞれについて、出現回数及び番組回数をカウントする。
【0039】
ステップS3において、興味キーワード抽出部13は、ステップS2でカウントされた出現回数が多く番組回数が少ない、興味キーワードを抽出する。
【0040】
ステップS4において、興味キーワード抽出部13は、抽出した興味キーワードを、興味データDB50に記憶する。
【0041】
ステップS5において、興味番組抽出部21は、ステップS4で興味データDB50に記憶された興味キーワードを取得し、この興味キーワードが含まれている番組を、ロボット興味番組として番組情報DBから抽出する。
【0042】
ステップS6において、興味番組抽出部21は、抽出したロボット興味番組の情報を、ロボット興味番組DB60に記憶する。
【0043】
ステップS7において、ロボット興味番組通信部30は、ステップS6でロボット興味番組DB60に記憶されたロボット興味番組の情報を取得し、発話システムへ送信する。
【0044】
ここで、興味データ部10による興味キーワードの抽出、及び番組データ部20によるロボット興味番組の抽出は、所定のタイミングで繰り返し実行されることにより、視聴番組の変化に伴ってロボット興味番組も変化して出力される。
なお、興味キーワード及びロボット興味番組を抽出するタイミングは、一定周期であってもよいが、満足度データ部40により算出される満足度の変化(例えば、低下)に応じて、あるいは、いずれか早いタイミングなど、適宜設定されてよい。
【0045】
満足度データ部40は、満足度算出部41と、満足度更新部42とを備え、ロボット興味番組の視聴状況に応じたロボットの満足度を算出し、満足度データDB80に出力する。
【0046】
満足度算出部41は、番組データDB70からロボットが視聴した番組のデータを取得し、ロボット興味番組DB60からロボット興味番組のデータを取得する。なお、番組データDB70には、ロボットが視聴した、すなわちロボットが動作中に提示されていた番組の情報、少なくともロボット興味番組とのマッチングが可能な情報がEPG又は字幕データなどから抽出されて格納されている。
満足度算出部41は、番組データDB70から取得した番組データがロボット興味番組と合致した場合、すなわちロボットが興味番組を視聴した場合、ロボットの興味キーワードに対する満足度を変動させる。
【0047】
このとき、満足度算出部41は、ロボット興味番組の視聴回数に応じて限界効用を逓減させつつ、満足度を変動(上昇又は下降)させる。
限界効用の初期値及び逓減度合いは、一定でもよいが、ロボットごとに、あるいは、興味キーワードごとの興味度の指標に応じて設定されてもよい。
【0048】
また、視聴する番組によって飽きるタイミングが変わることを表現するため、番組に応じて、例えば、興味キーワードとロボット興味番組との合致度合いに基づいて限界効用が調整されてもよい。
さらに、時間経過による興味の薄れなどを表現するため、興味キーワードを抽出してからの時間の経過により限界効用が調整されてもよい。
【0049】
満足度更新部42は、満足度算出部41により興味キーワードごとに算出された満足度を更新して満足度データDB80に記憶する。
興味キーワードが複数抽出される場合、満足度データDB80には、これらの興味キーワードごとの満足度が記憶される。ロボット興味番組通信部30は、例えば、この満足度が相対的に低い興味キーワードを含むロボット興味番組を出力してもよい。
【0050】
また、満足度更新部42は、ロボット興味番組の視聴が繰り返され、限界効用の逓減により満足度の上昇度合い(上昇率又は上昇量)が所定以下に低下、例えば満足度が下がった場合、新たなロボット興味番組を抽出するために、興味キーワード抽出部13に新たな興味キーワードの抽出を要求する。
このとき、満足度更新部42は、満足度データDB80に記録されている過去の興味キーワード情報を興味キーワード抽出部13へ通知し、興味キーワード抽出部13は、過去に抽出した興味キーワードを抽出対象外としてよい。
なお、興味キーワード抽出部13は、過去の興味キーワードを全て対象外としてよいが、これには限られず、例えば、満足度が下降に転じた興味キーワード、又は抽出時から所定時間の経過した興味キーワードなどを対象外としてもよい。
【0051】
図5は、本実施形態におけるロボットが興味番組を視聴した際の満足度の算出方法を例示する図である。
この例では、限界効用の初期値z1=40とし、ある興味キーワードに対して、対応するロボット興味番組を初めて視聴した際に満足度y1=40となる。また、限界効用は、ロボット興味番組を視聴する度に、例えば半分に逓減する。
【0052】
この場合、2回目のロボット興味番組の視聴により、限界効用z2=z1/2=20となり、満足度y2=y1×z2=40×20=800となる。
同様に、ロボット興味番組の視聴の度に、満足度は、y3=8000、y4=40000、y5=100000、y6=125000と上昇していくが、上昇率は低下し、7回目の視聴によりy7=78125となって、満足度は下降に転じる。
【0053】
例えば、この満足度が下降に転じた7回目の視聴の後、興味キーワードが更新され、新たなロボット興味番組が抽出される。あるいは、例えば満足度の上昇率が3割未満となった6回目の視聴の後、新たなロボット興味番組が抽出されてもよい。
【0054】
なお、限界効用の逓減率は1/2には限られず、また、率の代わりに一定量が減算されてもよい。
また、満足度の算出式は一例であり、例えば、限界効用が加算されていくこととしてもよい。
【0055】
図6は、本実施形態における満足度データ部40による処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS11において、満足度算出部41は、ロボット興味番組DB60から、ロボット興味番組を取得する。
【0056】
ステップS12において、満足度算出部41は、番組データDB70から、ロボットが視聴した番組のデータを取得する。
【0057】
ステップS13において、満足度算出部41は、ロボットが視聴した番組とロボット興味番組との合致回数に応じて、興味キーワードごとの満足度を算出する。
【0058】
ステップS14において、満足度更新部42は、満足度が低下したか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS15に移り、判定がNOの場合、処理は終了する。
【0059】
ステップS15において、満足度更新部42は、新たなロボット興味番組を取得するため、興味キーワード抽出部13に新たな興味キーワードの抽出を要求する。
【0060】
本実施形態によれば、番組選択装置1は、ロボットが取得した所定期間の字幕データなどの番組情報から所定種類のキーワードを抽出し、出現回数が多いほど、番組回数が少ないほど大きくなる興味度の指標に基づいて、興味キーワードを抽出する。そして、番組選択装置1は、この興味キーワードを含む番組を、ロボットの興味番組として出力することにより、興味番組の視聴要求をロボットからユーザに提示させる。
したがって、番組選択装置1は、出現回数が多いことで、ロボットがこのキーワードに興味を持ち、また、このキーワードが出現した番組回数が少なければ、ロボットが興味キーワードの出現する番組をもっと視聴したいと設定することで、ロボットが自ら興味を持つ番組を抽出してユーザに提示できる。この結果、視聴番組の変遷に応じたロボットごとの個性として番組への興味、及びその変化により成長感を表現できる。
【0061】
このように、ロボットが自ら興味を持ち、成長する様子が表現されると、ユーザにとっては、価値観の違う人とのテレビ視聴に代わる経験となり、ロボットとのテレビ視聴時の対話がより楽しくなることが期待できる。また、ロボットと一緒にユーザが視聴した番組の内容に基づいて、ロボットが興味のある番組を抽出するため、この番組は、ユーザの興味とも近いと考えられ、ロボットとの共感や、ユーザ自身の新たな興味の発見などに繋がる。
【0062】
番組選択装置1は、興味キーワードの抽出、及びロボット興味番組の抽出を所定のタイミングで繰り返すことにより、ロボット興味番組を変化させて出力するので、時間経過に伴って興味の対象が変化する、ユーザを飽きさせないロボットを実現できる。
【0063】
番組選択装置1は、興味キーワードを抽出するための番組の期間を、番組情報の量に応じて調整することで、視聴状況による興味度の指標のばらつきを低減し、適切な興味キーワードを抽出できる。
【0064】
番組選択装置1は、番組情報として、字幕データに加えて、映像又は音声からテキスト情報を取得することにより、番組ごとの字幕データの量がばらつくことの影響を低減し、さらに情報量が増すことでキーワードごとの興味度を適切に算出できる。
【0065】
番組選択装置1は、ロボットが視聴した番組の情報を取得し、この番組がロボット興味番組である場合に、該当の興味キーワードに対する満足度を変動させ、満足度が相対的に低い興味キーワードを含むロボット興味番組を出力する。
これにより、ロボット興味番組を視聴した場合にロボットの満足度が上がり、キーワード間の満足度の相対変化により、ロボットの番組への興味の変化を表現できる。
【0066】
番組選択装置1は、ロボット興味番組の視聴回数に応じて限界効用を逓減させつつ、満足度を変動させる。すなわち、ロボット興味番組を視聴していく度に、満足度の増加度合いが減少することで、より現実的な満足度を表現できる。
【0067】
この限界効用は、ロボットごとに設定されることで、ロボットごとの個性を表現することができる。
また、限界効用は、キーワードに対する興味度の指標に応じて設定されることで、興味の度合いに応じた満足度の変化の違いを表現することができる。
【0068】
番組選択装置1は、満足度の上昇度合いが所定以下となった場合、例えば満足度が低下した場合に、新たな興味キーワード及びロボット興味番組を抽出する。
これにより、番組選択装置1は、ロボットがロボット興味番組に飽きたこと、及び新たな興味への移り変わりを表現できる。
【0069】
番組選択装置1は、過去に抽出した興味キーワードを抽出対象外にすることで、興味の後戻りなど不自然な変化を抑制し、適切な変化を表現できる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、前述の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0071】
本実施形態では、主に番組選択装置1の構成と動作について説明したが、本発明はこれに限られず、各構成要素を備え、コミュニケーションロボットからユーザに番組の視聴を要求させるための方法、又はプログラムとして構成されてもよい。
【0072】
さらに、番組選択装置1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
【0073】
ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータで読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
【0074】
さらに「コンピュータで読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含んでもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 番組選択装置
10 興味データ部
11 キーワード抽出部
12 キーワード算出部
13 興味キーワード抽出部
20 番組データ部
21 興味番組抽出部
30 ロボット興味番組通信部
40 満足度データ部
41 満足度算出部
42 満足度更新部
50 興味データDB
60 ロボット興味番組DB
70 番組データDB
80 満足度データDB
図1
図2
図3
図4
図5
図6