(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162937
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】押出器具及び吐出製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20221018BHJP
B65D 83/76 20060101ALI20221018BHJP
B05C 17/005 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B65D83/00 M
B65D83/76 120
B05C17/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068054
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】笠川 郁
(72)【発明者】
【氏名】中谷 耕治
【テーマコード(参考)】
3E014
4F042
【Fターム(参考)】
3E014KA05
4F042AA01
4F042AB00
4F042FA22
4F042FA28
4F042FA30
4F042FA35
(57)【要約】
【課題】押出部材がどの程度回転したかを容易に視認することができる、容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る押出器具は、内容物を収容可能な筒状に形成された収容部材と、前記収容部材の内部に収容され、前記収容部材の軸方向に沿って移動可能であり、前記収容部材の軸線と一致する回転軸回りに回転可能である押出部材と、を備え、前記押出部材は、前記収容部材の内部に収容される本体部と、前記本体部に連結され、前記収容部材の外部に配置されて操作者が把持する把持部と、を備え、前記回転軸と直交する断面において、前記回転軸から前記把持部の外周縁の第1点までの距離が、前記回転軸から前記把持部の外周縁の前記第1点とは異なる第2点までの距離と相違する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容可能な筒状に形成された収容部材と、
前記収容部材の内部に収容され、前記収容部材の軸方向に沿って移動可能であり、前記収容部材の軸線と一致する回転軸回りに回転可能である押出部材と、
を備え、
前記押出部材は、
前記収容部材の内部に収容される本体部と、
前記本体部に連結され、前記収容部材の外部に配置されて操作者が把持する把持部と、
を備え、
前記回転軸と直交する断面において、前記回転軸から前記把持部の外周縁の第1点までの距離が、前記回転軸から前記把持部の外周縁の前記第1点とは異なる第2点までの距離と相違する、押出器具。
【請求項2】
前記把持部は、前記回転軸を挟むように平行に配置される第1面及び第2面を有している、請求項1に記載の押出器具。
【請求項3】
前記把持部は、操作者の指が嵌まる凹部を有している、請求項1または2に記載の押出器具。
【請求項4】
前記把持部は、前記凹部に少なくとも1つの突部を有している、請求項3に記載の押出器具。
【請求項5】
前記把持部は、可撓性を有する樹脂材料により形成されている、請求項1から4のいずれかに記載の押出器具。
【請求項6】
前記把持部と前記本体部との間に、首部をさらに備えており、
前記首部の前記回転軸回りの外周長は、前記把持部の前記回転軸回りの最大外周長よりも小さい、請求項1から5のいずれかに記載の押出器具。
【請求項7】
前記首部と前記本体部との間に、フランジ部をさらに備えており、
前記フランジ部の前記回転軸回りの外周長は、前記首部及び前記本体部の前記回転軸回りの外周長よりも大きい、請求項6に記載の押出器具。
【請求項8】
前記首部から前記フランジ部に至る面が、前記回転軸側に向かって凸である湾曲面である、請求項1から7のいずれかに記載の押出器具。
【請求項9】
前記首部の少なくとも一部が、中空である、請求項6から8のいずれかに記載の押出器 具。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の押出器具と、
前記本体部に収容された前記内容物と、
を備える吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出器具及び吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲル状薬剤などの流動性を有する内容物を収容した収容部材から内容物を押出部材によって複数回に分けて押し出すことが可能な押出器具が従来から知られている。例えば、特許文献1には、軸方向の一端側に内容物の吐出部を有する収容部材と、収容部材の軸方向に沿って移動可能であるとともに収容部材の軸周りに回転可能である押出部材とを備えた押出器具が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の押出器具では、押出部材は、収容部材に挿入される押出軸部と、押出軸部に軸方向に間隔をあけて設けられた複数の突起とを有しており、収容部材は、軸方向の他端側に、押出軸部が段階的に挿入されるように押出部材の移動を規制するリング状の規制部を有している。この規制部は、押出軸部の複数の突起のうちの収容部材外に位置しかつ収容部材に最も近い位置の突起が押出部材の回転に伴い所定位置に位置したときに該突起の軸方向への移動を許容する回避部と、該突起が前記所定位置に位置しないときに該突起の軸方向への移動を禁止する受け部とを有している。これにより、押出部材は突起が規制部に対して前記所定位置に位置したときに軸方向に移動可能となり、押出軸部が収容部材に所定ストローク挿入されることで、内容物を吐出部に向けて押し込む。その結果、内容物が吐出部から吐出される。この内容物は、例えば便器の内面に付着するように吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記押出器具では、押出部材の上端に円柱状の把持部が形成されており、使用者はこの把持部を掴んで押出部材を回転させたり、押し込んだりするようになっている。そして、上記押出器具では、押出部材を180度回転させた後、押込操作を行って内容物を排出するようにしている。しかしながら、把持部が円柱状であると、押出部材を回転させたときに、押込部材をどこまで回転させたか分からなくなり、180度回転させる前に押込操作を行う可能性がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、押出部材がどの程度回転したかを容易に視認することができる、容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る押出器具は、内容物を収容可能な筒状に形成された収容部材と、前記収容部材の内部に収容され、前記収容部材の軸方向に沿って移動可能であり、前記収容部材の軸線と一致する回転軸回りに回転可能である押出部材と、を備え、前記押出部材は、前記収容部材の内部に収容される本体部と、前記本体部に連結され、前記収容部材の外部に配置されて操作者が把持する把持部と、を備え、前記回転軸と直交する断面において、前記回転軸から前記把持部の外周縁の第1点までの距離が、前記回転軸から前記把持部の外周縁の前記第1点とは異なる第2点までの距離と相違する。
【0008】
上記押出器具において、前記把持部は、前記回転軸を挟むように平行に配置される第1面及び第2面を有することができる。
【0009】
上記押出器具において、前記把持部は、操作者の指が嵌まる凹部を有することができる。
【0010】
上記押出器具において、前記把持部は、前記凹部に少なくとも1つの突部を有することができる。
【0011】
上記押出器具において、前記把持部は、可撓性を有する樹脂材料により形成することができる。
【0012】
上記押出器具においては、前記把持部と前記本体部との間に、首部をさらに備えることができ、前記首部の前記回転軸回りの外周長は、前記把持部の前記回転軸回りの最大外周長よりも小さくすることができる。
【0013】
上記押出器具においては、前記首部と前記本体部との間に、フランジ部をさらに備えることができ、前記フランジ部の前記回転軸回りの外周長は、前記首部及び前記本体部の前記回転軸回りの外周長よりも大きくすることができる。
【0014】
上記押出器具においては、前記首部から前記フランジ部に至る面を、前記回転軸側に向かって凸である湾曲面とすることができる。
【0015】
上記押出器具においては、前記首部の少なくとも一部を、中空とすることができる。
【0016】
本発明に係る吐出製品は、上述したいずれかの押出器具と、前記本体部に収容された前記内容物と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、キャップの取付時に容器本体が変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の押出器具の斜視図である。
【
図3】押出器具を載置台に載置した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5と異なる角度における規制部の斜視図である。
【
図12】押出部材の収容部材に対する装着時を示す斜視図である。
【
図16】1次挿入突起と規制部とが特定の角度関係にある状態を示す斜視図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線での断面図である。
【
図19】
図4のXIX-XIX線での断面図である。
【
図21】吐出部から内容物が吐出された状態を示す側面図である。
【
図22】吐出部から内容物が吐出された状態を示す側面図である。
【
図23】内容物が被付着面に付着することにより形成された付着体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態の押出器具について、
図1~
図23を参照しながら説明する。
【0020】
<1.押出器具の概要>
本実施形態に係る吐出製品600は、押出器具700と、内容物400(
図21を参照)と、を含む。本実施形態に係る押出器具700は、
図1、
図3、
図4に示されるように、収容部材100と、押出部材200と、を備えている。収容部材100は、流動性を有する内容物400を収容するとともにこの内容物400を吐出することが可能な形状を有している。押出部材200は、収容部材100に収容された内容物400を収容部材100から複数回に分けて押し出すことができるように構成されている。これら収容部材100及び押出部材200は、可撓性のある樹脂材料で形成することができる。このような樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)等を採用することができる。
【0021】
本実施形態では、収容部材100には、内容物400として、流動性を有するとともに便器の内面等の被付着面S(
図21、
図22を参照)に付着可能な粘着剤が収容されている。具体的に、この粘着剤は、便器の内面に付着可能なゲル強度(25℃で200~2000mN程度が好ましい。)を有している。なお、ゲル強度は、レオメーター(株式会社サン科学製、CR-500DX、データ解析ソフトとしてRHEO DATA ANALIZER for win)を使用して定深度測定法によって測定される。測定方法としては、アダプターの直径を20mm、貫入速度を60mm/min、設定距離(貫入の深さ)を20mmとし、マヨネーズ瓶(柏洋硝子株式会社製、M-70)にサンプル50gを入れ、24時間経過後に測定する。このとき測定された最大荷重をゲル強度とする。この粘着剤には、芳香成分や洗浄成分等を含む薬剤が含まれている。ただし、収容部材100には、内容物400として、食品や化粧品等の上記粘着剤とは異なるものが収容されてもよい。
【0022】
図2は、粘着体カートリッジ20を示している。粘着体カートリッジ20は、上述した収容部材100と、この収容部材100に収容された内容物400(粘着体400)と、収容部材100に対して着脱自在に装着可能なキャップ500と、を有している。なお、
図2では、内容物400の図示は省略されている。
【0023】
この押出器具700では、押出部材200によって収容部材100内からすべての内容物400が押し出されると、収容部材100は廃棄される一方、押出部材200は再利用されることが可能である。すなわち、内容物400及び収容部材100を含む粘着体カートリッジ20の使用が終了した後(収容部材100から内容物400が全て押し出された後)、別の粘着体カートリッジ20の使用時に押出部材200が利用されることが可能である。また、本押出器具700は、
図3に示されるように、使用途中において、キャップ500で立てて保管されることが可能である。以下、各部材について詳細に説明する。
【0024】
<2.収容部材>
図1に示すように、収容部材100は、円筒状の収容部110と、この収容部110の上端部設けられた規制部120と、収容部110の下端部に設けられた吐出部160と、収容部110の内部に設けられた栓部材180と、を有している。
【0025】
<2-1.収容部>
収容部110は、円筒状に形成されており、内容物400を収容するようになっている。収容部110の軸方向の上端部には、規制部120を接続するための接続部111が形成されている。接続部111は、収容部110の外周面の一部が上方に突出することで形成されている。
【0026】
規制部120は、押出部材200の収容部110内への挿入姿勢を規制(制限)するための部材である。規制部120は、収容部110の接続部111に接続されている。この規制部120の詳細は、後述する。
【0027】
<2-2.吐出部>
吐出部160は、収容部110に収容されている内容物400を吐出する部位である。この吐出部160は、ここから吐出された内容物400が被付着面S(
図21、
図22を参照)に付着することによって形成される付着体450(
図23を参照)として様々な外形を有するものの形成を可能とする形状を有する。吐出部160が被付着面Sに当接された状態において、押出方向に沿って押し出された内容物400は、被付着面の面方向に吐出するように構成されている。
図7~
図9に示されるように、吐出部160は、区画部161と、接続部162と、複数の隙間形成部163と、を有する。
【0028】
区画部161は、内容物400を押出方向に沿って被付着面Sに向けて流出させるための流出口を区画する。具体的には、区画部161は、流出口を取り囲む内周面を有している。本実施形態では、この内周面の内径は、収容部110の内径よりも小さく設定されている。
【0029】
接続部162は、収容部110の押出方向の先端部と区画部161とを接続する。
図9に示されるように、接続部162は、押出方向に向かうにしたがって次第に当該接続部162の内周面の径を小さくする形状に形成されている。
【0030】
複数の隙間形成部163は、接続部162の押出方向の先端部に接続されている。複数の隙間形成部163は、
図8に示されるように、押出方向と平行な軸O(区画部161の中心を通る軸)を中心とする周方向に沿って間欠的に並ぶように配置されている。本実施
形態では、6つの隙間形成部163が周方向に沿って等間隔で並ぶように配置されている。ただし、隙間形成部163の数はこれに限られない。各隙間形成部163は、接続部162の押出方向の先端部から押出方向に向かって延びる形状を有する。
【0031】
被付着面S上を吐出方向に沿って内容物400を吐出する際、被付着面Sには、複数の隙間形成部163の押出方向の先端164が当接される。
図21及び
図22に示されるように、これら当接面は、同一平面上に形成されている。これら隙間形成部163は、周方向に互いに隣接する隙間形成部163間に、当該隙間形成部163の先端である当接部164(当接面)が被付着面Sに当接した当接状態において押出方向に沿って収容部110から押し出された内容物400が、被付着面S上を当接部164(当接面)よりも外側に向かって広がるように吐出されるのを許容する形状を有する隙間Cを形成する形状を有する。
【0032】
<2-3.栓部材>
図4に示されるように、栓部材180は、円柱状に形成されており、収容部110内に配置されている。栓部材180の外周面181は、収容部110の内周面に密着しており、この密着状態を保ちつつ、栓部材は、押出方向に沿って収容部110内を移動可能となっている。これにより、栓部材180は、押出方向に移動しつつ、内容物400を押出方向に沿って押圧する。
【0033】
栓部材180の上端部には、円筒状の凹部182が形成されており、この凹部に押出部材200の先端部211が嵌合するようになっている。一方、栓部材の下端部183は、収容部110の内部を閉塞するように形成されており、この下端部によって内容物を押圧するようになっている。
【0034】
<2-4.押出部材>
押出部材200は、回転操作と押込操作とを交互に繰り返すことにより収容部材100から内容物400を複数回に分けて押し出すための部材である。回転操作とは、収容部材100に対して押出部材200をその中心軸(回転軸)回りに回転させる操作であり、押込操作とは、収容部材100に対して押出方向に沿って押出部材200を押し込む操作である。本実施形態では、回転操作の回転方向は、平面視において右回りに設定されている。
【0035】
図1、
図4、
図10等に示されるように、押出部材200は、円柱状に形成された押出軸部220と、その押出軸部220の上端に設けられた把持部210と、押出軸部の外周面に形成された複数の押込位置規定部230と、阻止部240と、を有する。
【0036】
<2-4-1.把持部>
把持部210は、操作者が把持するための部位である。把持部210は、円板状に形成されており、その面方向が押出軸部220の軸方向に沿うように形成されている。把持部210は、中実である。把持部210の両面には、円形状の凹部212が形成されており、この凹部212に操作者の指を配置できるようになっている。また、把持部210の下端には首部214が形成されている。首部214の少なくとも一部は、中空である(
図24参照)。すなわち、首部214は、内部に空洞を有する。首部214の下端には、径方向外方に突出する平面視円形のフランジ部215が形成されている。フランジ部215は、中空である(
図24参照)。すなわち、フランジ部215は、内部に空洞を有する。首部214は、把持部210とフランジ部215との間の部位であり、くびれている部位である。把持部210の中央から首部214に向かって、押出部材200の回転軸回りの外周長が徐々に小さくなっている。首部214においては回転軸に対して直交する断面が楕円状である(
図25参照)。首部214からフランジ部215にいくにしたがって回転軸回りの外周長が大きくなっている。
【0037】
<2-4-2.押出軸部>
押出軸部220は、フランジ部215から押出方向に沿って延びる円柱状に形成されている。押出軸部220の外径は、フランジ部215の外径よりも小さく、収容部110の内径よりも小さく設定されている。
図3及び
図14等に示されるように、押出軸部220には、その外面と内面とを貫通する複数の開口222が形成されている。本実施形態では、押出軸部220に8つの開口222が形成されている。複数の開口222は、押出軸部220の軸方向に互いに離間しかつ押出軸部220の周方向に互いに離間した位置に設けられている。具体的には、8つの開口222のうちの4つの開口222は、押出軸部220の軸方向に所定間隔をおいて並んでいる。残りの4つの開口222は、前記4つの開口222から押出軸部220の周方向に180度離間した位置に形成され、押出軸部220の軸方向に所定間隔をおいて並んでいる。
【0038】
図4に示されるように、押出軸部220の先端部221は、栓部材180の上面に形成された環状の凹部182に嵌合可能な形状に形成されている。より詳細には、先端部221の内周面が、凹部182の内周面に接するように、先端部221が凹部182に嵌まる。
【0039】
<2-4-3.押込位置規定部>
各押込位置規定部230は、押出軸部220に接続されており、当該押出軸部220の収容部材100に対する押込位置を規定するものであり、上述した8つの開口と対応する位置にそれぞれ形成されている。各押込位置規定部230は、押出軸部220に接続された撓み片231と、撓み片231に接続された膨出部232と、を有している。
【0040】
撓み片231は、当該撓み片231のうち押出軸部220の周方向の一端部(
図10の左側の端部)が押出軸部220につながる片持ち梁状に形成されている。撓み片231のうち押出軸部220の周方向の他方側(自由端側)の端部には、膨出部232が接続されている。撓み片231は、膨出部232が径方向内方に変位するのを許容するように撓み変形(弾性変形)可能な形状を有する。
【0041】
撓み片231は、押出軸部220の開口222内に位置する形状に設定されている。
図10及び
図11に示されるように、押出軸部220は、開口222内に位置する撓み片231のうち押出方向の先端部と当該押出軸部220の中心軸方向に対向する先端側対向部223と、開口222内に位置する撓み片231のうち押出方向の後端部と当該押出軸部220の中心軸方向に対向する後端側対向部224と、を有している。
図11に示されるように、撓み片231は、当該撓み片231の押出方向の先端部と先端側対向部223との隙間h1よりも当該撓み片231の押出方向の後端部と後端側対向部224との隙間h2を小さくする形状を有する。
【0042】
膨出部232は、押出軸部220の外周面よりも押出軸部220の径方向外方に膨出する形状を有する。より具体的には、膨出部232は、撓み片231が撓み変形していない状態において押出軸部220の外周面から径方向の外向きに突出する形状を有する。押出軸部220の中心軸から各膨出部232の径方向の外端部までの寸法は、収容部110の半径よりも小さく設定されている。
【0043】
各膨出部232は、撓み片231の自由端側の端部に接続されている。つまり、複数の(本実施形態では8つの)膨出部232は、押出軸部220の中心軸方向に互いに離間しかつ押出軸部220の周方向に互いに離間した位置に設けられている。具体的に、8つの膨出部232のうちの4つの膨出部232(以下、「第1膨出部群」という。)は、押出軸部220の中心軸方向に互いに離間し、かつ当該中心軸方向に互いに重なる位置に設けられており、8つの膨出部232のうちの残りの4つの膨出部232(以下、「第2膨出部群」という。)は、第1膨出部群から押出軸部220の周方向に180度離間しかつ互いに押出軸部220の中心軸方向に重なる位置に設けられている。
【0044】
第1膨出部群は、複数の膨出部232のうち押出方向について最も先端側に位置する最先端膨出部232f(
図1、
図10を参照)を含んでおり、第2膨出部群は、複数の膨出部232のうち押出方向について最も後端側に位置する膨出部232を含んでいる。第2膨出部群に含まれる各膨出部232は、第1膨出部群に含まれる各膨出部232から周方向に180度離間し、かつ押出方向と反対方向に所定寸法離間した位置に設けられている。
図10に示されるように、最先端膨出部232fと押出方向について最先端膨出部232fの1つ後方に位置する膨出部232(第2膨出部群のうち押出方向について最も先端側に位置する膨出部232)との間の中心軸方向の距離t1は、複数の膨出部232のうち最先端膨出部232fを除く他の7つの膨出部232間の中心軸方向の距離t2よりも大きく設定されている。複数の膨出部232のうち最先端膨出部232fを除く他の7つの膨出部232間の中心軸方向の距離t2は、互いに等しく設定されている。
【0045】
図3及び
図15に示すように、各膨出部232は、突起233と、張出部234と、を有している。突起233は、撓み片231の自由端に接続されている。張出部234は、撓み片231の基端部と自由端との間の部位に接続されている。突起233の押出軸部220の外周面からの突出量は、張出部234の押出軸部の外周面からの突出量よりも大きく設定されている。
【0046】
図4、
図10等に示されるように、各突起233は、押出方向に向かうにしたがって押出軸部220の外周面からの突出量が次第に大きくなる形状を有する。また、
図15に示されるように、各突起233は、撓み片231の基端部側から自由端側に向かうにしたがって撓み片231からの突出量が次第に小さくなる形状を有する。なお、
図15は、
図4のXV-XV線での断面図である。
図15に示されるように、張出部234は、撓み片231の基端側から自由端側に向かうにしたがって撓み片231からの突出量が次第に大きくなる形状を有する。
【0047】
<2-4-4.阻止部>
阻止部240は、押出軸部220の径方向における突起233の外端部が押出軸部220の外周面よりも径方向の内側に至るのを阻止する。換言すれば、阻止部240は、突起233が押出軸部220の外周面よりも内側に完全に没入するのを阻止する。
図4、
図15等に示されるように、阻止部240は、押出軸部220の内周面から中心軸に向かって径方向内方に突出する形状を有する。阻止部240は、突起233が押出軸部220の径方向の内側に向かって変位したときに、突起233の径方向の外端部が押出軸部220の外周面よりも径方向の内側に至る前に突起233の周方向(
図18の反時計回りの方向)の先端部と当接する位置に設けられている。本実施形態では、第1膨出部群の各突起233と当接する位置、及び、第2膨出部群の各突起233と当接する位置に、阻止部240が設けられている。
【0048】
<2-5.規制部>
次に、規制部120について説明する。
図5及び
図6に示すように、規制部120は、複数の突起233のうち収容部110外に位置しかつ押出方向について最も先端側に位置する1次挿入突起233a(
図3及び
図4を参照)と当該規制部120とが押出軸部の中心軸回りについて特定の角度関係(
図18の角度関係)になったときに、1次挿入突起233aの押出方向への通過を許容するとともに、1次挿入突起233aと当該規制部120とが押出軸部220の中心軸回りについて前記特定の角度関係とは異なる角度関係(
図3、
図15等の角度関係)のときに、1次挿入突起233aの押出方向への通過を禁止する形状を有する。
【0049】
具体的には、
図5及び
図6等に示されるように、規制部120は、1次挿入突起233aと規制部120とが前記特定の角度関係とは異なる角度関係のときに1次挿入突起233aを押出方向と反対方向から受ける形状を有する受け部122と、1次挿入突起233aと規制部120とが前記特定の角度関係のときに1次挿入突起233aから前記径方向に退避する形状を有する回避部141と、を含む。規制部120は、1次挿入突起233aと当該規制部120との角度関係にかかわらず、押出軸部220の押出方向への挿通を許容する形状を有する。つまり、規制部120は、押出軸部220を受け入れ可能な「受入部120」を構成する。本実施形態では、規制部120は、回避部141を含む包囲部127と、傾斜部130と、をさらに有している。
【0050】
受け部122は、1次挿入突起233aと規制部120とが前記特定の角度関係とは異なる角度関係のときに当該1次挿入突起233aを含む膨出部232を押出方向と反対方向から受ける形状を有する。受け部122は、略円環状に形成されている。具体的に、受け部122は、押出軸部220の挿通を許容しかつ押出方向に膨出部232と重なる形状を有する内側縁部121を有するとともに、この内側縁部121から前記径方向の外向きに張り出す形状を有する。内側縁部121は、押出軸部220の外径よりも大きくかつ押出軸部220の中心軸から張出部234の径方向の外端部までの距離よりも小さな内径を有する円形状の縁部を含む。本実施形態では、受け部122は、下段受け部123と、上段受け部124と、を有している。
【0051】
下段受け部123は、1次挿入突起233aと規制部120(受け部122)とが前記特定の角度関係にある状態において押出軸部220の押出方向への移動に伴って当該1次挿入突起233aが押出方向に移動したときに、当該移動前において1次挿入突起233aから押出軸部220の周方向に180度離間しかつ押出方向について1次挿入突起233aの1つ後方に位置する2次挿入突起233b(前記移動後における1次挿入突起233a)を押出方向と反対方向から受ける形状を有する。
【0052】
上段受け部124は、押出軸部220の周方向について下段受け部123から離間した位置でかつ押出方向について下段受け部123よりも後方の位置に配置されている。上段受け部124は、下段受け部123が前記2次挿入突起233b(前記移動後における1次挿入突起233a)を受けるのと同時に、当該2次挿入突起233bから押出軸部の周方向に180度離間しかつ押出方向について当該2次挿入突起233bの1つ後方に位置する3次挿入突起233c(前記移動後における2次挿入突起233b)を押出方向と反対方向から受ける形状を有する。つまり、上段受け部124と下段受け部123との押出方向の距離は、最先端膨出部232fの突起233を除く他の突起233間の押出方向の距離t2に等しく設定されている。
【0053】
本実施形態では、下段受け部123と上段受け部124との段差は、第1段部125及び第2段部126により接続されている。第1段部125は、平面視において、時計回りの方向について下段受け部123の先端側でかつ上段受け部124の後端側の位置に設けられている。
【0054】
包囲部127は、押出軸部220の挿通を許容する空間を包囲する形状を有する。包囲部127は、前記空間を取り囲む内周面127aを有する。包囲部127は、下段受け部123の内側縁部121から押出方向に向かって延びる形状を有する下段側包囲部128と、上段受け部124の内側縁部121から押出方向に向かって延びる形状を有する上段側包囲部129と、を有している。下段側包囲部128は、前記回避部141を有している。回避部141は、下段側包囲部128の内周面127aのうち回避部141以外の部位から前記径方向の外側に向かって窪む形状を有する。回避部141は、包囲部127の中心軸方向について下段側包囲部128の一端から他端に至るように前記中心軸方向(押出方向)に沿って連続的に延びる形状を有する。
【0055】
傾斜部130は、包囲部127の押出方向の先端部に接続されている。傾斜部130は、包囲部127の押出方向の先端部から押出方向に向かうにしたがって次第に径方向の外向きに広がるように傾斜する形状を有する。傾斜部130は、回避部141を除いて周方向に連続的に延びる形状を有する。本実施形態では、傾斜部130は、下段側包囲部128につながる第1傾斜部131と、上段側包囲部129につながる第2傾斜部132と、を有する。第2傾斜部132の押出方向の先端部には、円弧状の円弧部133が接続されている。この円弧部133の周方向の端部は、第1傾斜部131の周方向の端部とつながっている。
【0056】
包囲部127の中心から各傾斜部131,132の径方向の内側の端部までの距離(包囲部127の半径)は、押出軸部220の中心軸から突起233の径方向の外端部までの距離よりも小さく設定されている。このため、複数の突起233のうち収容部110内に位置する突起233は、押出軸部220が押出方向と反対方向に変位したときに各傾斜部131,132に接触する。つまり、各傾斜部131,132は、押出軸部220が押出
方向と反対方向に変位するときに突起233を押出軸部220の径方向の内側に向かって押圧可能な形状を有する「突起押圧部(第1突出部押圧部)」を構成する。また、包囲部127の内径は、栓部材180の外周面181の外径よりも小さく設定されている。このため、規制部120は、栓部材180の押出方向と反対方向への変位(収容部110からの離脱)を規制する機能をも有する。包囲部127の中心から第2傾斜部132の径方向の外側の端部までの距離(円弧部133の半径)は、押出軸部220の中心軸から突起233の径方向の外端部までの距離よりも大きく設定されている。本実施形態では、第2傾斜部132及び円弧部133は、押出軸部220が中心軸回りに回転する間(押出部材200が回転操作される間)に突起233が描く軌跡から径方向に退避する形状を有する。
【0057】
本実施形態では、押出部材200は、複数の圧接部250と、隆起部260と、脚部270と、をさらに有している。
【0058】
各圧接部250は、押出部材200の収容部材100への装着時に規制部120の内周面127aに対して圧接する。複数の圧接部250は、押出軸部220の外周面のうち当該押出軸部220の周方向に互いに離間する部位から押出軸部220の径方向(軸直交方向)について外向きに突出するとともに規制部120の内周面127aに対して圧接可能な形状を有する。押出軸部220の中心軸から各圧接部250の径方向の外端部までの寸法は、収容部110の半径よりも小さく設定されている。本実施形態では、複数の圧接部250は、4つの圧接部250を有する。具体的に、4つの圧接部250は、押出軸部220の外周面のうち押出軸部220の周方向に90度間隔で離間する部位に接続されている。
【0059】
図14に示されるように、各圧接部250は、押出軸部220の先端部221が押出方向に沿って規制部120内に挿入されてから当該先端部221が所定ストローク挿入される間、規制部120の内周面127aに対して同時に圧接し続ける形状を有する。
図1、
図12、
図13に示されるように、4つの圧接部250のうち互いに隣接する2つの圧接部250は、最先端膨出部232fと押出軸部220とを接続する撓み片231が位置する開口222を取り囲む部位から押出方向に沿って延びる形状を有する。4つの圧接部250のうち残りの2つの圧接部250は、第2膨出部群のうち押出方向について最も先端側に位置する膨出部232と押出軸部220とを接続する撓み片231が位置する開口222を取り囲む部位から押出方向に沿って延びる形状を有する。すなわち、本実施形態では、各圧接部250は、押出軸部220の先端部221が押出方向に沿って規制部120内に挿入されてから最先端膨出部232fが下段受け部123に当接するまでの間、規制部120の内周面127aに対して同時に圧接し続ける形状を有する。
【0060】
隆起部260は、押出軸部220の外周面から径方向の外向き隆起する(突出する)形状を有する。隆起部260は、押出軸部220の中心軸方向に沿って延びる形状を有する。隆起部260は、押出軸部220の外周面のうち第1膨出部群と第2膨出部群との間の部位に設けられている。本実施形態では、隆起部260は、第1隆起部261と、第2隆起部262と、を有している。
【0061】
図10に示されるように、第1隆起部261は、押出軸部220の外周面のうち、平面視における時計回りの方向について第1膨出部群の後端部と第2膨出部群の先端部との間の部位に接続されている。第1隆起部261は、押出軸部220のうち押出方向の後端部(
図10の上端部)から最先端膨出部232fよりも当該押出軸部220の先端部221側の部位に至るように押出方向に沿って延びる形状を有している。このため、第1隆起部261のうち押出方向の先端部は、押出軸部220の周方向に各圧接部250と重なる。つまり、本実施形態では、第1隆起部261の前記先端部は、押出部材200の収容部材100への装着時における「圧接部」としても機能する。
【0062】
図13に示されるように、第2隆起部262は、押出軸部220の外周面のうち、平面視における時計回りの方向について第1膨出部群の先端部と第2膨出部群の後端部との間の部位に接続されている。第2隆起部262は、押出軸部220のうち押出方向の後端部(
図10の上端部)から最先端膨出部232fの押出方向の先端部と前記周方向に離間した位置まで押出方向に沿って延びる形状を有している。
【0063】
本実施形態では、下段側包囲部128及び上段側包囲部129には、各隆起部261,262と係合可能な凹部143,144が形成されている。各凹部143,144は、包囲部127の内周面127aのうち当該凹部143,144以外の部位から前記径方向の外側に向かって窪む形状を有する。凹部143は、包囲部127の中心軸方向について下段側包囲部128の一端から他端に至るように前記中心軸方向に沿って連続的に延びる形状を有し、凹部144は、包囲部127の中心軸方向について上段側包囲部129の一端から他端に至るように前記中心軸方向に沿って連続的に延びる形状を有する。各凹部143,144は、1次挿入突起233aと規制部120とが前記特定の角度関係にあるとき(1次挿入突起233aと回避部141とが径方向に並ぶとき)に径方向について各隆起部261,262と対向する位置に形成されている。
【0064】
各隆起部261,262は、包囲部127の内周面127a(内側縁部121)のうち凹部143,144及び回避部141以外の部位に対して径方向の外向きに圧接するとともに、1次挿入突起233aと回避部141とが径方向に並ぶ状態のときに凹部143,144内に嵌まり込む形状を有する。本実施形態では、各隆起部261,262は、1次挿入突起233aが下段受け部123に当接した状態から1次挿入突起233aと規制部120とが前記特定の角度関係になる状態(1次挿入突起233aと回避部141とが径方向に並ぶ状態)まで押出部材200が押出軸部220の中心軸回りに回転される正回転方向(平面視における時計回りの方向)と逆方向に向かうにしたがって次第に押出軸部220の外周面からの突出量が増加する形状を有する。
【0065】
脚部270は、押出部材200の収容部材100への装着時における押出軸部220と規制部120との角度関係を特定するための部位である。脚部270は、押出軸部220のうち第2隆起部262から押出方向に離間した部位に形成されている。具体的に、脚部270は、前記部位から押出方向に沿って延びる片持ち梁状に形成されている。脚部270は、押出方向の後端部(固定端側の端部)を支点として押出方向の先端部(自由端側の端部)が径方向の内側に向かって変位するのを許容する形状を有する。
図14に示されるように、脚部270は、回避部141内を押出方向に沿って通過可能な形状を有している。
【0066】
<3.押出器具の使用方法>
次に、押出器具700の使用方法について説明する。押出器具700の使用時には、まず、収容部材100に対して押出部材200が装着される。そして、回転操作と押込操作とを交互に繰り返すことにより、収容部材100から内容物400が複数回に分けて押し出される。具体的に、内容物400の押出しは、1度の回転操作と1度の押込操作により達成される。複数回の押出しが終了すると(収容部材100内の内容物400が全て押し出されると)、押出部材200が収容部材100から引き抜かれ、収容部材100は廃棄される。以下、押出部材200の収容部材100への装着から順に説明する。
【0067】
<3-1.押出部材の収容部材への装着>
まず、押出部材200を収容部材100に対して装着する。具体的には、押出軸部220と規制部120との角度関係が、脚部270が回避部141内に位置する角度関係(
図12~
図14の角度関係)の状態において、押出軸部220を押出方向に沿って収容部材100内に挿入する。このとき、
図14に示されるように、押出軸部220の先端部221の規制部120内への挿入の開始以降、周方向に90度間隔で互いに離間する4つの圧接部250が規制部120の内周面127aに対して同時に圧接し続ける。よって、収容部材100に対する押出部材200の前記軸直交方向への変位(がたつき)や、押出軸部220の中心軸の収容部110の中心軸に対する傾きが抑制される。したがって、特に不安定となりやすい装着時の収容部材100に対する押出部材200の挿入姿勢が安定する。
【0068】
また、本実施形態では、収容部110の内周面は、押出軸部220が押出方向に沿って変位する間に各圧接部250から軸直交方向に離間する形状を有するので、複数の圧接部250は、前記装着時において規制部120を通過する間は当該規制部120の内周面127aに対して同時に圧接する一方、規制部120を通過した後の押込操作時には、収容部110の内周面に対して同時に圧接しない。よって、前記装着時における収容部材100に対する押出部材200の挿入姿勢が安定し、かつ、各圧接部250が規制部120を通過した後の押込操作時における押出部材200の収容部110内への挿入抵抗の増大が抑制される。
【0069】
そして、最先端膨出部232fが下段受け部123に当接することによりそれ以上の押出部材200の押込操作が規制され、これにより前記装着が完了する。なお、このとき、押出方向について最先端膨出部232fの1つ後方に位置する膨出部232(第2膨出部群のうち押出方向について最も先端側に位置する膨出部232)は、上段受け部124に当接しない。本実施形態では、最先端膨出部232fが下段受け部123に当接するまで各圧接部250が規制部120の内周面127aに同時に圧接し続ける。また、第1隆起部261の前記先端部も、下段側包囲部128の内周面127aに圧接する。
【0070】
ここで、装着の完了時(
図15を参照)、最先端膨出部232f、つまり、突起233及び張出部234の双方が下段受け部123に当接するので、下段受け部123に当接する部位の面積が十分に確保される。このため、装着完了後に押出部材200が誤ってそのまま押込操作されることが有効に抑制され、かつ、装着完了時に突起233が下段受け部123から受ける反力が低減されるので、突起233の破損も抑制される。なお、
図15は、前記装着完了時を示したものではないが、膨出部232と受け部122との位置関係は、前記装着完了時のそれと同じである。
【0071】
また、装着の完了時に、押出軸部220の先端部221が栓部材180の嵌合部182に嵌合する。そして、キャップ500を取り外す。なお、キャップ500は、装着の前に取り外されてもよい。
【0072】
<3-2.内容物の押出し>
<3-2-1.1回目の押込位置までの回転操作>
装着後、最先端膨出部232fが下段受け部123に当接している。この状態から押出部材200を回転操作する(押出部材200を収容部材100に対して周方向に相対変位させる)。本実施形態では、押出部材200を正回転方向(平面視において右回り)に、すなわち、最先端膨出部232fが回避部141に近づく方向に回転させる。この回転操作時、隆起部260は、規制部120の内周面127aに圧接し続ける。具体的には、回転操作時、第1隆起部261は、下段側包囲部128の内周面127aに圧接し続け、第2隆起部262は、上段側包囲部129の内周面127aに圧接し続ける。そして、張出部234のうち正回転方向の先端側の部位が第1段部125と上段側包囲部129との境界に当接すると、それ以降の押出部材200の回転操作時に境界が張出部234を径方向の内向きに押圧し続ける。つまり、本実施形態では、第1段部125と上段側包囲部129との境界が膨出部232を径方向の内向きに押圧する「膨出部押圧部142(張出部押圧部142)」を構成する。なお、膨出部押圧部142の押出方向の寸法は、各突起233間の中心軸方向の寸法以下に設定されている。本実施形態では、張出部234の膨出部押圧部142への当接以降、押出部材200の回転操作に伴って撓み片231の撓み(突起233の径方向の内側への変位量)が次第に大きくなる。
【0073】
そして、最先端膨出部232fの突起233(1次挿入突起233a)が第1段部125に当接することによりそれ以上の押出部材200の正回転方向への回転操作が規制され、これにより回転操作が完了する。このとき、
図16~
図18に示されるように、1次挿入突起233aが回避部141内に収まる。このため、押出部材200の押出方向への押込操作が可能となる。このように、この押出器具700では、内容物400を押し出すための押出軸部220に1回の押込操作を規定可能な押込位置規定部230が接続されており、規制部120がその押込位置規定部230を前記軸直交方向の内側に向かって押圧可能な形状を有する膨出部押圧部142を有しているので、押出部材200の構造を簡素化しながら複数回に分けて内容物400を押し出すことが可能となる。
【0074】
本実施形態では、前記回転操作の完了時、各隆起部261,262が凹部143,144に嵌まり込むので、操作者にいわゆるクリック感が付与される。具体的に、1次挿入突起233aが下段受け部123に当接した状態(前記装着が終了した状態)から当該1次挿入突起233aが回避部141内に収まるまで押出部材200が回転操作される間、各隆起部261,262が規制部120の内周面127aに圧接し続けるので、操作者はこの間の回転操作に抵抗を感じる一方、1次挿入突起233aが回避部141内に収まったとき(押込操作が可能となったとき)、各隆起部261,262が各凹部143,144に嵌まり込むので、前記抵抗が低減される。この回転操作時の抵抗の変化(低減)が、操作者にクリック感として伝わる。よって、操作者は、押出部材200の押込操作が可能となったことを明確に認識することができる。
【0075】
また、本実施形態では、各隆起部261,262は、正回転方向と逆方向に向かうにしたがって次第に押出軸部220の外周面からの突出量が増加する形状を有するので、各隆起部261,262が各凹部143,144に嵌まり込んだ状態から押出部材200を正回転方向に回転操作するときの抵抗よりも当該押出部材200を正回転方向と逆方向に回転操作するときの抵抗の方が大きくなる。このため、各隆起部261,262が各凹部143,144に嵌まり込んだ状態から押出部材200が前記逆方向に回転操作されることが抑制される。
【0076】
また、本実施形態では、突起233の押出軸部220の外周面からの突出量が、張出部234のそれよりも大きく設定されているので、撓み片231の撓み、つまり、撓み片231と押出軸部220との境界に生じる曲げ応力の増大を抑制しながら、押込位置を有効に規定することができる。具体的に、撓み片231の先端部(自由端側の端部)、つまり、撓み片231のうち撓みの最も大きな部位に相対的に突出量の大きな突起233が接続され、撓み片231のうち基端部(固定端側の端部)と前記先端部との間の部位、つまり、撓み片231のうち前記先端部よりも撓みの小さな部位に相対的に突出量の小さな張出部234が接続されているので、膨出部232全体を規制部120の内側縁部121よりも前記軸直交方向の内側に変位させるのに必要な撓み片231の撓みの増大を抑制しながら、押出軸部220が押出方向に変位したときの膨出部232と受け部122との接触面積を有効に確保することによって押込位置を有効に規定することができる。
【0077】
本実施形態では、前記回転操作の完了時、2次挿入突起233bは、下段受け部123と押出方向に重なり、3次挿入突起233cは、上段受け部124と押出方向に重なる。
【0078】
そして、吐出部160の当接部164を被付着面Sに当接させる。このとき、すべての当接部164が被付着面Sに対して同時に当接するので、これら当接部164を被付着面Sに当接させたときの押出器具700の姿勢が安定する。より具体的には、各隙間形成部163の先端である当接面は、被付着面Sに対して面接触可能な平面に形成されていることから、各当接面と被付着面Sとの接触面積が確保される。よって、これら当接面を被付着面Sに当接させたときの押出器具700の姿勢が安定する。この状態において、被付着面Sのうち当接部164よりも外側に、内容物400(粘着体400)を吐出可能な吐出領域が形成される。なお、当接部164の被付着面Sへの当接は、前記回転操作の前、あるいは、前記回転操作中に行われてもよい。
【0079】
<3-2-2.1回目の押込操作>
前記回転操作の終了時、1次挿入突起233aが回避部141内に収まっている。この状態において、押出部材200の押込操作(押出部材200を押出方向に沿って押し込む操作)を行う。そうすると、押出軸部220によって栓部材180が押出方向に沿って押圧され、それにより内容物400が吐出部160から吐出領域に吐出される。具体的に、収容部110内の内容物400は、押出方向に沿って区画部161内の流出口から流出した後、被付着面Sのうち当接部164の内側の領域に接触する。その後も押出部材200を押込み続けると、内容物400は、
図21に示されるように、被付着面Sのうち当接部164よりも外側に形成される吐出領域に向かって、前記周方向に間欠的に並ぶ複数の隙間Cのみから放射状に吐出される。詳細には、粘着体400は、各隙間形成部163が存在する領域では、当接部164の外側に向かって被付着面S上を流動するのを遮られる一方、隙間Cが形成されている領域では、この隙間Cを通じて被付着面Sに沿って外側に向かって流出することが許容される。より詳細には、粘着体400は、各隙間形成部163が存在する領域では、隙間形成部163の内側面163aによってこの隙間形成部163の前記周方向の両側に形成された両隙間Cに向けて案内され、隙間Cが形成された領域では、当接部164の内側の領域から当該隙間Cに向かって流動するものと当該隙間Cの両側の内側面163aによって当該隙間Cに案内されたものとが合流しながら、隙間Cを通じて被付着面Sに沿って外側に向かって広がるように流動する。なお、
図21では、説明のため、単一の隙間Cから吐出された内容物400のみが示されている。
【0080】
引き続き押出部材200の押込操作が継続されることにより、各隙間Cを通じて当接部164の外側に流出した粘着体400は、
図22に示されるように、前記吐出領域上を被付着面Sに沿ってさらに外側に向かって流動しながら被付着面Sから隆起する形状となる。なお、
図22においても、単一の隙間Cから吐出された内容物400のみが示されている。
【0081】
この押込操作が行われている間、栓部材180は、外周面181の外周面を収容部110の内周面に密着させながら押出方向に沿って収容部110に対して相対変位する。よって、栓部材180を収容部110から取り外すことなく当該栓部材180を押出方向に沿って押出部材200で押し込むことにより、収容部110内の密封状態を維持しながら内容物400を押し出すことができる。
【0082】
また、前記押込操作が行われている間、押出軸部220は、押出軸部220のうち押出方向に互いに離間する2箇所で収容部材100により支持されるので、押込操作時の押出部材200の姿勢が安定する。具体的に、押出軸部220の先端部221は、栓部材180の嵌合部182及び外周面181を介して収容部110に密着し、かつ、押出軸部220の他の部位の一部は規制部120の内周面127aに接するので、収容部材100に対する押出部材200の径方向(軸直交方向)への変位や、押出軸部220の中心軸の収容部110の中心軸に対する傾きが抑制される。
【0083】
さらに、この押込操作中は、各隆起部261,262が各凹部143,144に嵌まり込んだ状態が維持されるので、押出部材の押込み姿勢がさらに安定する。
【0084】
そして、最先端膨出部232fの突起233が回避部141を通過し、1次挿入突起233a(第2膨出部群のうち最も押出方向の先端側に位置する突起233)を含む膨出部232が下段受け部123に当接するとともに2次挿入突起233b(第1膨出部群のうち最先端膨出部232fよりも押出方向について1つ後方に位置する突起233)を含む膨出部232が上段受け部124に当接することにより、それ以上の押出部材200の押込操作が規制され、これにより前記押込操作が完了する。このとき、1次挿入突起233aを含む膨出部232が下段受け部123で受けられるとともに2次挿入突起233bを含む膨出部232が上段受け部124で受けられるので、前記装着時のように最先端膨出部232fのみが下段受け部123により受けられる場合に比べ、各膨出部232が受け部122に当接した際に当該膨出部232が受け部122から受ける反力が低減される。よって、各膨出部232(突起233)の破損が抑制される。
【0085】
また、押込操作の終了時、
図4及び
図19に示されるように、撓み片231は、当該撓み片231に外力が作用していない定常状態に弾性復帰する。具体的に、本実施形態では、膨出部押圧部142の押出方向の寸法は、各突起233間の中心軸方向の寸法以下に設定されており、しかも、第2傾斜部132及び円弧部133は、突起233から径方向に離間する形状を有するので、押込操作の終了後、膨出部押圧部142による最先端膨出部232fの押圧が解除され、撓み片231は定常状態に弾性復帰する。よって、押込操作の終了後における撓み片231のクリープ変形が抑制される。
【0086】
また、本実施形態では、1回目の押込操作のストロークが2回目以降の押込操作のストロークよりも長くなるように各膨出部232の配置が設定されているので、1回目の押込操作により収容部材100から押し出される内容物400の量が2回目以降の押込操作により収容部材100から押し出される内容物400の量よりも多くなる。よって、収容部110への内容物400の充填量の僅かなばらつきに起因して1回目の押込操作による押出し量が2回目以降の押込操作による押出し量よりも少なくなることが抑制される。このため、各回の押込操作時の内容物400の押出し量が所定量以上に確保される。
【0087】
そして、押込操作の終了により、被付着面Sのうち当接部164の外側の吐出領域には、複数箇所(本実施形態では6箇所)に前記吐出方向と平行な方向に延びる形状(例えば花びら状)に粘着体400が付着する。
【0088】
ここで、
図21及び
図22に示される状態では、互いに隣接する2つの隙間Cから被付着面Sに沿って外側に向かって吐出された内容物400は、両隙間C間に位置する隙間形成部163の外側に回り込むように流動することによって当該隙間形成部163の外側面163bに接触している。この状態から、押出方向と反対方向に向かって(
図22の上向きに)吐出部160を変位させることにより当該吐出部160を被付着面Sから離間させると、
図23に示されるように、被付着面S上に付着体450が形成される。本実施形態では、花を模した形状に付着体450が形成される。なお、このときに本押出器具700を保管する場合、
図3に示されるように、キャップ500で立てられる。
【0089】
このように、本押出器具700では、被付着面Sのうち当接部164よりも外側に前記吐出領域が形成されるので、押出方向と直交する軸直交方向の寸法を大型化しなくても内容物400を吐出可能な吐出面積が当接部164の外側の吐出領域に確保され、しかも、その吐出領域に向かって、つまり前記吐出方向に沿って内容物400が隙間Cを介して被付着面S上を広がるように流動するので、押出部材200の押込み量(内容物400の吐出量)を調整することによって、当接部164の外側の吐出領域において、内容物400を様々な形状に変化させることが可能となる。換言すれば、被付着面Sのうち当接部164の外側に前記吐出領域を形成し、かつ、隙間Cを介してその吐出領域に向かうように被付着面Sに沿って外側に向かって内容物400を吐出させることにより、軸直交方向への大型化の回避と付着体450の外形の柔軟な変更との双方が達成される。
【0090】
また、本押出器具700では、隙間Cを介して被付着面S上を外側に向かって広がるように流動する内容物400は、規定面165に接触する。本実施形態では、規定面165は、前記当接状態において外側に向かうにしたがって被付着面Sに近付くように傾斜する形状を有するので、隙間Cを介して外側に向かって広がる内容物400は、規定面165によって被付着面Sに向かって押し付けられるような誘導を受ける。このため、被付着面S上を前記吐出方向に沿って広がるように流動する内容物400が被付着面Sから受ける摩擦抵抗が大きくなる。よって、内容物400の被付着面Sへの付着性が向上する。また、隙間Cを介して被付着面S上を外側に向かって広がるように流動する内容物400は、規定面165に接触すると同時に対向面163cにも接触する。本実施形態では、対向面163cは、前記吐出方向と平行な方向について内側から外側に向かうにしたがって次第に隙間Cを大きくする形状に設定されているので、各隙間Cを介して被付着面Sに沿って当接部164の外側に吐出される内容物400の体積が増加する。よって、内容物400と被付着面Sとの接触面積が大きくなるので、内容物400の被付着面Sへの付着性が一層向上する。
【0091】
また、吐出部160を被付着面Sから離間させるとき、内容物400には隙間形成部163の外側面163bに沿ってせん断抵抗が作用する。より具体的には、前記せん断抵抗は、各外側面163bを含むとともに前記周方向の全域にわたって連続する面に沿って作用する。そのため、当該付着体450には、隙間形成部163の外側面163bに接触していた部位に加えて、前記周方向に互いに隣接する外側面163b間に位置する部位にも、被付着面Sに向かうにしたがって次第に内側に向かう形状の内側面が形成される。よって、例えば便器の内面に付着体450が形成され、当該付着体450に水流が衝突した場合であっても、付着体450の内側面に前記水流が衝突することによって当該内側面が前記水流から受ける抵抗が抑制されるので、付着体450のうち前記内側面から下流側に存在するものの便器の内面(被付着面S)からの離脱が抑制される。
【0092】
また、本実施形態では、隙間形成部163は、内側に向かって凸となるように湾曲する形状の内側面163aを有するので、各隙間形成部163の内側で被付着面Sに接触した後に当接部164の外側の吐出領域に向かう内容物400は、隙間形成部163の内側面163aによって当該内側面163aの周方向の両側の隙間Cにスムーズに誘導される。
【0093】
<3-2-3.押込操作後の回転操作(2回目以降の回転操作)>
ここでは、上記<3-2-1>項で説明した内容と異なる内容についてのみ説明し、上記<3-2-1>と同様の内容については省略する。
【0094】
前記押込操作の終了時(
図3、
図19等で示される突起233と規制部120との関係と同じ状態)から、押出部材200を正回転方向に180度回転操作する。
【0095】
この回転操作時には、回避部141を通過した突起233が第2傾斜部132及び円弧部133の内側を押出軸部220の中心軸回りに回転する。本実施形態では、第2傾斜部132及び円弧部133は、押出軸部220が中心軸回りに回転する間(押出部材200が回転操作される間)に突起233が描く軌跡から径方向に退避する形状を有するので、この回転操作中において、突起233の規制部120への接触が回避される(
図20を参照)。よって、押込操作の終了後から次の押込操作が可能となるまで押出部材が正回転方向に180度回転操作される間、撓み片231の撓み変形の解除状態が維持されるので、撓み片231のクリープ変形がより確実に抑制される。
【0096】
<3-3.押出部材の引抜操作>
本押出器具700では、上記の要領で回転操作及び押込操作が交互に繰り返されることによって収容部110内の内容物400が全て押し出されると、すなわち、8回の押出しが行われると、粘着体カートリッジ20は使用済みとなる。
【0097】
その後、収容部材100から押出部材200が押出方向と反対方向に引き抜かれる。ここで、各突起233は、撓み片231に接続されており、規制部120は、突起押圧部(各傾斜部131,132)を有しているため、収容部材100から押出部材200を容易に引き抜くことが可能となる。具体的に、収容部110内から押出軸部220を押出方向と反対方向に引き抜く際に、突起押圧部が突起233を径方向の内側に向かって押圧することによって撓み片231が撓み変形し、これにより突起233が包囲部127の内周面127a(内側縁部121)よりも内側まで変位する。よって、規制部120と押出軸部220との角度関係にかかわらず、押出部材200を押出方向と反対方向に引き抜くことにより押出部材200が引き抜かれる。
【0098】
また、各撓み片231は、押出軸部220から周方向に沿って延びる形状を有し、各撓み片231の前記周方向の寸法は、撓み片231の前記中心軸方向の寸法よりも大きく設定されている。よって、押出軸部220の前記中心軸方向への著しい大型化を回避しながら、押出軸部220の中心軸方向に沿って複数の突起233を配置することと、押出部材200の引抜操作に必要な力を小さくすることと、が可能となる。具体的に、各撓み片231の前記周方向の寸法は、当該撓み片231の前記中心軸方向の寸法よりも大きく設定されているので、複数の突起233を前記中心軸方向に沿って並べるときの押出軸部220の前記中心軸方向への大型化が回避され、しかも、各撓み片231は、前記周方向の一端側で押出軸部220につながる形状を有するので、各撓み片231が前記中心軸方向の一端側で押出軸部220につながる形状を有する場合に比べ、各撓み片231のうち押出軸部220と突起233とを結ぶ方向(周方向)の寸法を大きく確保すること、すなわち、各突起233を径方向の内側へ変位させるのに必要な力を低減することが可能となる。
【0099】
また、各突起233は、押出方向に向かうにしたがって押出軸部220の外周面からの突出量が次第に大きくなる形状を有するので、収容部材100から押出部材200をより容易に引き抜くことが可能となる。具体的に、押出部材200を収容部材100から引き抜く引抜操作時には、押出軸部220が押出方向と反対方向に変位するにしたがって、突起233が突起押圧部(各傾斜部131,132)によって径方向の内向きに徐々に押圧されるので、つまり、撓み片231の撓み(引き抜き抵抗)が徐々に増加するので、収容部材100からの押出部材200の引抜操作が容易になる。
【0100】
さらに、各突起233は、撓み片231の固定端側から自由端側に(正回転方向と反対方向に)向かうにしたがって押出軸部220の外周面からの突出量が次第に小さくなる形状を有するので、押出部材200の引抜操作時における突起233と突起押圧部との接触面積が小さくなる。よって、押出部材200を収容部材100から一層容易に引き抜くことができる。
【0101】
また、本実施形態では、突起押圧部は、押出方向と反対方向に向かうにしたがって次第に径方向の内側に向かうように傾斜する形状を有している。このため、押出軸部220が押出方向と反対方向に変位するにしたがって、突起233が突起押圧部によって径方向の内向きに徐々に押圧されるので、つまり、撓み片231の撓み(引き抜き抵抗)が徐々に増加するので、収容部材100からの押出部材200の引抜操作がさらに容易になる。また、突起押圧部は、回避部141を除いて周方向に連続的につながる形状を有するので、規制部120と押出軸部220との角度関係にかかわらず、押出部材200の引抜操作が
容易になる。
【0102】
また、本実施形態では、押出軸部220の内周面に阻止部240が接続されているので、前記引抜操作時における撓み片231の破損を抑制しながら、撓み片231の長手方向(押出軸部220と突起233とを結ぶ方向)の寸法を大きくすることによって押出部材200を収容部材100から引き抜くときの引き抜き抵抗を低減することができる。具体的に、
図18に示されるように、突起233の正回転方向の後端部が阻止部240に当接することによって当該突起233が押出軸部220の外周面よりも径方向の内側へ完全に没入することが阻止されるので、撓み片231の長手方向の寸法を大きくした場合であっても、撓み片231の撓み、つまり、撓み片231と押出軸部220との境界に生じる曲げ応力の増大が抑制される。よって、撓み片231の長手方向の寸法を大きくすることによる前記引き抜き抵抗の低減と、撓み片231と押出軸部220との境界に生じる曲げ応力の増大の抑制による撓み片231の破損の抑制と、を両立することができる。
【0103】
また、各撓み片231は、当該撓み片231の押出方向の先端部と先端側対向部223との隙間h1よりも当該撓み片231の押出方向の後端部と後端側対向部224との隙間h2を小さくする形状を有する。よって、押出部材200の押込操作により突起233が受け部122に当接したときに当該押出部材200のそれ以上の押込みが有効に抑制され、かつ、押出部材200を収容部材100から引き抜く際の引き抜き抵抗が有効に低減される。具体的に、撓み片231の押出方向の先端部と先端側対向部223との隙間h1よりも撓み片231の押出方向の後端部と後端側対向部224との隙間h2の方が小さいので、両隙間の大きさが同じである場合に比べ、突起233の受け部122への当接時に当該突起233が受け部122から反力を受けたときの撓み片231の押出方向と反対方向への変位量が小さくなり、かつ、押出部材200を収容部材100から引き抜く際の撓み片231の押出方向への変位量(撓み)が大きく確保される。
【0104】
そして、押出部材200の引抜操作後、収容部材100及びキャップ500は廃棄される。一方、押出部材200及びキャップ500は、別の粘着体カートリッジ20の使用時に再利用されることが可能である。
【0105】
<4.特徴>
本実施形態に係る押出器具700では、以下の効果を得ることができる。
(1)上記のように、押出部材200は180度ずつ回転させながら、内容物を押し出すように構成されているが、把持部が従来例のように円筒状に形成されていると、把持部の平面視の形状が円形であるため、押出部材を回転させたときに、どの程度回転させたか分からなくなる場合があった。そこで、本実施形態では、把持部210を円板状に形成しているため、平面視の形状が線状になるため(
図25参照)、180度回転させるまでの間、どこまで回転させているかを容易に視認することができる。
【0106】
(2)把持部210に凹部212が形成されているため、指をはめ込み易くなり、把持部210をしっかりと把持することができる。
【0107】
また、
図24に示すように、把持部210において、凹部212が形成されている各面と直交する断面では、各面から首部214を通過してフランジ部215に至る面が円弧状の凹面に形成されているため、この部分に指をフィットさせやすいという利点がある。言い換えると、首部214からフランジ部215に至る面が、回転軸側に向かって凸である湾曲面である。また、
図25に示すように、首部214は平面視における断面が楕円状であるのに対し、フランジ部215は円形であるため、フランジ部215に指を当てることができ、これによって押込操作を行うときに、フランジ部215に対して力を作用させやすいという利点がある。すなわち、本実施形態の把持部210は、どこまで回転させているかを容易に視認できることと、操作時の把持しやすさ及び押し込みやすさの向上と、を両立させることができる。
【0108】
(3)押出部材200が可撓性を有する樹脂材料で形成されているため、把持部210を把持して回転させる際に、把持部210に対してねじりの変形を生じさせることができる。これにより、把持部210に作用する力の一部を吸収することができ、把持部210と押出軸部220との連結部分に力が集中して破断するのを防止することができる。
【0109】
また、首部214の回転軸回りの最大外周長が把持部210の最大外周長よりも小さいため、首部214をより変形させやすくすることができる。さらに、首部214の下方にフランジ部215が形成されているが、フランジ部215は変形しがたいため、把持部212に作用する力を、首部214に作用させやすくすることができ、これによって首部214をさらに変形しやすくすることができる。さらに、首部214が中空であることによって、首部214がさらに変形しやすくなる。首部214が変形することによって首部214でエネルギーが吸収されるので、押出軸部220にかかる力が低減されやすくなる。
【0110】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0111】
(1)
図26に示すように、把持部210の凹部212には、突部216を形成することができる。これにより、指を当接したときに滑り止めとしての役割を果たす。但し、突部216の形状及び数は特には限定されず、種々の態様が可能である。例えば、突部216として、商品名を示す文字を採用することができ、文字を凸状に形成することで、滑り止めとして用いることができる。
【0112】
(2)把持部210の形状は特には限定されない。まず、把持部210の正面視の形状は円形以外でもよく、楕円状、多角形状、異形状など、種々の形状にすることができる。また、把持部210の横断面形状は、上記実施形態のような板状でなくてもよく、回転したときの回転位置がおおよそ分かるような円形以外の形状であればよい。例えば、
図27(a)に示すように、押出部材200の回転軸Xから把持部210の外縁の第1点Aまでの距離と、回転軸Xから第2点Bまでの距離とが相違していればよい。第2点Bは、第1点Aとは異なる点であり、例えば第1点から90度ずれた位置にある。このような形状としては、楕円などが該当するが、これ以外でもよく、例えば、
図27(b)に示すような断面形状の中央部分218の両側から幅の狭い部分219が突出するような形状であってもよい。
【0113】
(3)上記実施形態では、首部214及びフランジ部215を中空に形成しているが、これらの少なくとも一方を中実に形成することもできる。
【0114】
(4)把持部210以外の押出器具700の構成は特には限定されず、押出部材200を所定角度ずつ回転させながら、押込操作を行うことで、内容物を所定量ずつ排出できるような構造であれば、特には限定されない。
【符号の説明】
【0115】
100 収容部材
200 押出部材
210 把持部
212 凹部
214 首部
215 フランジ部
216 凸部