(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162977
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】試験測定システム、光トランスミッタのチューニング方法及び光トランスミッタをチューニングするための機械学習システムのトレーニング方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/073 20130101AFI20221018BHJP
H04B 10/50 20130101ALI20221018BHJP
【FI】
H04B10/073
H04B10/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022048374
(22)【出願日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/165,698
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/272,998
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/701,186
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン・ジェイ・ピカード
(72)【発明者】
【氏名】カン・タン
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン・ダグラス・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ヘイケ・トリッチュラー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光トランスミッタを迅速にチューニングするシステム及び方法を提供する。
【解決手段】トランスミッタを含む光トランシーバ12に接続される試験測定装置10において、プロセッサ18は、光トランシーバ12の動作パラメータを基準動作パラメータに設定して、光トランシーバ12から波形を取得し、基準動作パラメータの所定数のセットの夫々について、動作パラメータの設定と波形取得とを繰り返し、取得した波形から1つ以上のテンソルを生成し、1つ以上のテンソルを、機械学習システム又はニューラル・ネットワーク22に送信して予測動作パラメータのセットを得て、光トランシーバ12の動作パラメータを予測動作パラメータに設定し、予測動作パラメータを用いて光トランシーバ12を試験する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験測定システムであって、
試験測定装置と、
該試験測定装置を光トランスミッタに接続できるようにする接続部と、
1つ以上のプロセッサと
を具え、
該1つ以上のプロセッサが、プログラムを実行して、上記1つ以上のプロセッサに
上記光トランスミッタの動作パラメータを基準動作パラメータに設定する処理と、
上記光トランスミッタからの波形を取り込む処理と、
上記基準動作パラメータの所定数のセットの夫々について上記動作パラメータを設定する処理と上記波形を取り込む処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを繰り返し実行する処理と、
取り込まれた波形から1つ以上のテンソルを生成する処理と、
上記1つ以上のテンソルを機械学習システムに送信して予測動作パラメータのセットを得る処理と、
上記光トランスミッタの上記動作パラメータを上記予測動作パラメータに設定する処理と、
上記予測動作パラメータを用いて上記光トランスミッタを試験する処理と
を行わせるよう構成される試験測定システム。
【請求項2】
上記1つ以上のプロセッサが、温度設定の範囲内において各温度を設定するためのプログラムの実行を繰り返す処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるように更に構成される請求項1の試験測定システム。
【請求項3】
上記機械学習システムが、複数のニューラル・ネットワークを有し、1つ以上が上記予測動作パラメータを生成し、1つが予測測定値を生成し、1つが最適化FFEフィルタのタップ値のセットを生成する請求項1に記載の試験測定システム。
【請求項4】
上記1つ以上のプロセッサが、逆正規化処理を上記予測動作パラメータに適用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように更に構成される請求項1に記載の試験測定システム。
【請求項5】
光トランスミッタをチューニングする方法であって、
上記光トランスミッタを試験測定装置に接続する処理と、
上記トランスミッタをチューニングするための動作パラメータを基準動作パラメータに設定する処理と、
上記光トランスミッタからの波形を取り込む処理と、
上記基準動作パラメータの所定数のセットの夫々について上記動作パラメータを設定する処理と上記波形を取り込む処理とを繰り返す処理と、
取り込まれた波形から1つ以上のテンソルを生成する処理と、
上記1つ以上のテンソルを機械学習システムに送信して予測動作パラメータのセットを得る処理と、
上記トランスミッタをチューニングするための上記動作パラメータを上記予測動作パラメータに設定する処理と、
上記予測動作パラメータを検証する処理と
を具える光トランスミッタのチューニング方法。
【請求項6】
温度範囲内の温度の夫々について上記方法を繰り返す処理を更に具える請求項5の光トランスミッタのチューニング方法。
【請求項7】
上記1つ以上のテンソルを生成する処理が、レベル・テンソル、インパルス・テンソル及び合成テンソルを生成する処理を有する請求項5又は6の光トランスミッタのチューニング方法。
【請求項8】
合成テンソルを生成する処理が、3つ以上のチャンネルを用いて画像を生成する処理を含む請求項7の光トランスミッタのチューニング方法。
【請求項9】
上記画像が、温度値及びノイズ値の中の少なくとも1つを表す棒グラフ画像を含む請求項8の光トランスミッタのチューニング方法。
【請求項10】
複数の光トランスミッタを複数の温度でチューニングする処理と、
チューニングされた上記複数の光トランスミッタに関して、上記温度の夫々において、上記チューニング・パラメータ夫々のヒストグラムを生成する処理と、
上記ヒストグラム中のパラメータ夫々の値を平均化することによって平均基準パラメータ・セットを算出する処理と、
上記平均パラメータ・セット中の値を増加させて第1デルタ基準パラメータ・セットを作成する処理と、
上記平均パラメータ・セット中の値を減少させて第2デルタ基準パラメータ・セットを作成する処理と
を有する基準動作パラメータを生成する処理を更に具える請求項5から9のいずれかの光トランスミッタのチューニング方法。
【請求項11】
上記1つ以上のテンソルを機械学習システムに送信する処理が、
上記1つ以上のテンソルを上記機械学習システム内の2つのニューラル・ネットワークに送信して最適化動作パラメータを得る処理と、
インパルス・テンソルを第3ニューラル・ネットワークに送信して最適化FFEフィルタのタップを得る処理と、
合成テンソルを第4ニューラル・ネットワークに送信して予測TDECQ測定値を得る処理と
を有する請求項5から10のいずれかの光トランスミッタのチューニング方法。
【請求項12】
上記予測動作パラメータに逆正規化処理を適用する処理を更に具える請求項5から11のいずれかの光トランスミッタのチューニング方法。
【請求項13】
光トランスミッタをチューニングするための機械学習システムをトレーニングする方法であって、
基準動作パラメータの所定数のセットを作成する処理と、
上記基準動作パラメータのセットの夫々について、
上記光トランスミッタの動作パラメータを基準動作パラメータのセットに設定する処理と、
上記光トランスミッタからの波形を取り込む処理と、
所望出力を実現するように上記光トランスミッタをチューニングする処理と、
上記波形についてTDECQ分析を実行する処理と
を繰り返す処理と、
上記分析の結果と上記波形をテンソル・ビルダに供給する処理と、
1つ以上のテンソルを、関連する波形及び基準動作パラメータと共に、1つ以上のニューラル・ネットワークに送信する処理と、
充分な数のトランスミッタがチューニングされるまで上記方法を繰り返す処理と
を具える光トランスミッタをチューニングするための機械学習システムのトレーニング
方法。
【請求項14】
上記基準動作パラメータの所定数のセットを作成する処理が、
複数の温度で複数の光トランスミッタをチューニングする処理と、
チューニングされた上記複数の光トランスミッタについて上記温度の夫々において上記パラメータ夫々のヒストグラムを生成する処理と、
上記ヒストグラム中の上記パラメータ夫々の値を平均化することによって平均基準パラメータ・セットを計算する処理と、
上記平均パラメータ・セット中の値を増加させて第1デルタ基準パラメータ・セットを作成する処理と、
上記平均パラメータ・セット中の値を減少させて第2デルタ基準パラメータ・セットを作成する処理と
を有する請求項13の光トランスミッタをチューニングするための機械学習システムのトレーニング方法。
【請求項15】
上記1つ以上のニューラル・ネットワークが、レベル用の1つ以上のニューラル・ネットワークと、FFEフィルタ用の値を供給する1つのネットワークと、TDECQ値用の1つのネットワークとを有する請求項13又は14の光トランスミッタをチューニングするための機械学習システムのトレーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定システムに関し、特に、被試験デバイス(例えば、光トランスミッタ)のパラメータをチューニングするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光トランスミッタの製造業者(メーカー)は、製造業者の光トランスミッタをチューニングして試験し、光トランスミッタが正しく動作することを確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最悪の例では、各トランスミッタに、最大2時間かかることがある。チューニングは、通常、チューニング・パラメータを掃引する形式をとる、つまり、トランスミッタが各パラメータの各レベルでチューニングを行う。最悪の場合では、これには200回の反復処理が必要となることがあり、最も良い場合で、3から5回の反復処理が必要となることがある。トランシーバをチューニングするための反復処理の回数を減らして、このプロセスを高速化すれば、製造の時間と、従って、製造のコストの両方を削減することになる。
【0005】
開示される装置及び方法の実施形態は、従来技術における欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
現在、光トランスミッタのチューニングでは、トランスミッタのチューニングと試験に必要な時間を短縮するのに、いかなる種類の機械学習も使用していない。機械学習のトレーニングにかかる時間は、トランスミッタの全体的なコストを増加させることになる。機械学習プロセスを使用すると、チューニング、試験、そして、部品が合格又は不合かどうかの判断に必要な時間を短縮できる。本願の実施形態は、1つ以上のニューラル・ネットワークを使用して光トランスミッタのチューニング・パラメータを得て、トランスミッタが正しく動作するかどうかの判定を、現在のプロセスよりも迅速に行えるようにする。
【0007】
図1は、機械学習システムを使用して、部品の動作パラメータを決定する試験測定システム又は試験測定装置の実施形態を示す。出力される測定値には、TDECQ(transmitter dispersion eye closure penalty quaternary)、消光比(extinction ratio)、平均光パワー、光変調振幅(optical modulation amplitude:OMA)、レベル分離ミスマッチ率(level separation mismatch ratio)などがあっても良く、これらは、ユーザがチューニングでき、また、動作の測定に利用されることになる。本願の説明で言及されるチューニング・パラメータとしては、所望の結果を達成するために、トラスミッッタにロードされる設定を含む。これらパラメータは、光トランスミッタの特性と、光トランスミッタの動作方法とに依存して大きく変化する。パラメータには、電圧、電流、周波数、変調などの値が含まれても良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、試験測定システムの一実施形態を示す。
【
図2】
図2は、試験測定システムの一実施形態の一部を示す。
【
図3】
図3は、光トランシーバ/トランスミッタ・チューニング・システムのためのトレーニング・プロセスの実施形態を示す。
【
図4】
図4は、光トランシーバ/トランスミッタ・チューニング・システムのためのランタイム・プロセスの実施形態を示す。
【
図5】
図5は、チューニング・パラメータの集団を得る方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図6】
図6は、光トランシーバの最適化されたチューニング・パラメータを得るためにニューラル・ネットワークをトレーニングする方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図7】
図7は、ニューラル・ネットワークを使用して光トランシーバの最適化されたチューニング・パラメータを得る方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
試験測定装置10は、多種多様なコンポーネントを有していても良い。
図1は、1つの可能な実施形態を示し、より多くの又はより少ないコンポーネントを有していても良い。
図1の装置10は、DUT(被試験デバイス)、この場合は、トランスミッタを有する光トランシーバ12に接続される。オシロスコープなどの試験測定装置10は、光電(O/E)変換モジュール14を有していても良く、これは、接続部(16など)を介して試験測定装置10に接続される。プロセッサ18は、1つ以上のプロセッサを表し、プロセッサに様々なタスクを実行させるように構成されることになる。
図1は、機械学習システム22を、試験測定装置10の一部として示している。また、機械学習システムが、別の独立したコンピュータなどの装置上に存在していて、試験測定装置10と通信するようにしても良い。同様に、プロセッサ18によって実行される試験自動化プロセス(プログラム)20は、製造するデバイス内に存在していても良く、プロセッサ18は、これと接続される。
【0010】
この説明に関して、本願で使用される用語「試験測定装置」は、試験測定装置10の一部として外部のコンピューティング装置を有する実施形態を含むとする。メモリ24は、試験測定装置10上に存在するか、又は試験測定装置10とコンピューティング装置との間に分散配置されても良い。後でより詳細に説明するように、メモリ24は、機械学習システム22によって使用されるトレーニング・データ及びランタイム・データを含んでもよい。試験測定装置10には、また、ユーザ・インタフェース26があっても良く、これは、タッチスクリーン、映像スクリーン、ノブ、ボタン、ライト(光源)、キーボード、マウスなどの1つ以上を有していても良い。
【0011】
図1は、トレーニング中のシステムの実施形態を示す。トレーニングにおいて、光トランシーバ12は、O/E変換部14及び接続部16を介して試験測定装置10に接続される。試験自動化プロセス20は、トランシーバ・チューニング・パラメータをトランシーバ12に送信し、これは、更に詳細に説明するプロセスでは、トランシーバ12に「ロードする」と呼んでも良い。試験自動化プロセス20は、トレーニング・チューニング・パラメータを作成するために動作し、これらを機械学習システム22に送信する。トレーニングに使用されるチューニング・パラメータは、例えば、従来の試験方法を用いた履歴試験によって創出される平均パラメータに基づいても良い。試験測定装置10は、ロードされたチューニング・パラメータで動作するトランシーバ(DUT)から波形を取得し、取得した波形をプロセッサ18に返す。システムは、波形に関して測定を実行し、その波形を機械学習システム22に送信する。
【0012】
図2は、動作中のシステムの一実施形態の一部を示す。プロセスの最初の部分では、試験自動化プロセス20は、基準チューニング・パラメータを生成し、これらをトランシーバ12にロードする。試験測定装置10は、トランシーバ12から基準波形のセット(a set of reference waveforms:一連の基準波形)を取得して返し(リターンし)、これを、機械学習システム22は、最適化されたチューニング・パラメータを予測するために使用する。すると、機械学習システム22は、予測チューニング・パラメータを返すが、これを最適化パラメータとも呼ぶ。試験自動化プロセス20は、次に、これら予測パラメータをトランシーバ12にロードする。試験測定装置10は、予測パラメータで動作しているトランシーバ12から新たに生成された波形(本願では予測波形と呼ぶ)を取得し、この波形を試験自動化プロセス20に戻して、トランシーバ12が合格か又は不合格かを判定する。また、この波形は、トレーニングに関するフィードバックとして、機械学習システム22に戻されても良い。
【0013】
本願の説明では、「基準(reference)」パラメータ又は波形という用語は、試験自動化プロセスによって生成され、機械学習システムのトレーニングとランタイム動作の両方で使用される波形のセット(一連の波形)を指す。用語「予測された(predicted)」は、機械学習システムの出力を指す。「最適化(optimized)」という用語は、試験自動化又は機械学習システムによる最適化プロセスから生じるチューニング・パラメータを指す。
【0014】
以下の説明では、試験自動化プロセスにおいて、トランシーバ12から取得された波形を使用する。以下の実施形態は、非線形トランシーバに関する3つの波形を使用する。ただし、特定の数の波形に限定することは意図しておらず、示唆するものでもない。
【0015】
図3は、機械学習を用いた光トランシーバ・チューニング・システムのためのトレーニング・システムの一実施形態のブロック図を示す。製造試験自動化システムは、光トランシーバTxの量を測定する。試験自動化システムは、「標準」又は従来の製造業者のチューニング・プロセスを使用して、光トランシーバを最適に調整する。トレーニングのため、多数のサンプルTXユニットを測定して最適に調整することで、トレーニング用のデータを提供する必要がある。ユニットの個数は、DUTの最適パラメータ・ヒストグラムに良好な分布を提供するのに充分なものである必要がある。各TXユニットは、Tx34への入力シリアル・データストリーム(これは、Tx夫々に供給される)によって示されるように、シリアル方式で、一度に1つずつ試験される。
【0016】
最適なチューニングのため、各デバイスの各チューニング・パラメータのヒストグラムが、各温度について作成される。そして、これは、平均パラメータ・セットを創出するために使用される。なお、このプロセスでは、平均パラメータ・セットを使用しなければならないわけではないが、説明を簡単にするために、この説明では、これを利用することに留意されたい。次いで、ユーザ又はシステムは、平均パラメータ・セット(MeanPar)の2つのバリエーション(変形)を生成することもできる。例えば、平均パラメータに加算して、Delta1Parセットを生成し、平均パラメータから減算してDelta2Parセットを生成する。
【0017】
次に、MeanParセット並びにDelta1Par及びDelta2Parパラメータ・セットが、システムのトレーニング及びランタイムの基準パラメータとして使用される。その目的は、パラメータの非線形特性曲線上に3つのサンプル・ポイントを提供し、それによって、ニューラル・ネットワークが、これらの基準パラメータの設定から処理された波形を見て、最適なパラメータ・セットを正確に予測するのに充分なデータを持つようにすることである。基準パラメータ・セットの数は、1からNであっても良く、このとき、Nは、演算時間とリソースによって制限される。1つの例では、200個のトランシーバが、これら3つのパラメータ・セットを使用する5個のアクイジションで構成される試験を受け、その結果、各トランシーバについて15個の波形が得られ、合計して3000個の波形がトレーニング用に得られる。
図3では、スイッチ30は、ハードウェア・スイッチからは構成されず、論理ブロックであって、これにより、各パラメータ・セットをトランシーバ32から34の夫々にロードさせるが、ここでもNは、時間とリソースによってのみ制限される。
【0018】
次いで、得られた波形は順次(シーケンス)処理され、これは、スイッチ36と、これに続くデジタイザ38によって表されている。基準パラメータの各セットに関する波形は、
図1に示すようなメモリに記憶される。これは、A/Dによる3個のアクイジションを必要とし、各アクイジションについて、異なる基準パラメータ・セットを使用している。試験自動化アプリケーションは、特定のチューニング・パラメータ・セットに関連するシステムの温度を制御する。この例では、パラメータの各セットに関連付けられた温度(temp)が44で提供され、同様に、装置ノイズ・プロファイルが46で提供される。この温度は、ハイパースペクトル・テンソル・ビルダ42に入力され、トレーニング及びランタイム中に使用されるテンソル画像に組み込まれる。温度は、画像中に棒グラフで示されても良い。しかし、これに代えて、必要に応じて、円グラフ又は他の何らかの形態として表されても良い。
【0019】
上述したように、試験自動化プロセス20は、「標準的な」チューニング・プロセスを使用することになるが、これは、実施形態のより高速な機械学習プロセスに置き換えられる。トレーニングで使用される最適なチューニング・パラメータは、41において、データに応じて正規化処理又は標準化処理を受けても良い。正規化処理又は標準化処理は、ニューラル・ネットワーク22がうまく処理するための正規化された範囲内に収まるようにチューニング・パラメータ値を再スケーリングする。一実施形態では、正規化処理は、チューニング・パラメータを、0から1の値に収まるように、又は、中心をゼロに合わせて-1から1の範囲に、再スケーリングすることになろう。正規化処理の公式の1つの実施形態は、y=(x-min)/(max-min)であり、ここで、yは正規化された値であり、xは元の値である。もしシステムが、正規化処理が組み込まれていない事前トレーニング済みのネットワークを使用する場合には、この正規化処理を使用することになろう。
【0020】
ユーザ・アルゴリズム40は、最適なチューニング・パラメータに関してTxデバイスのサンプルの各々をチューニングし、次いで、この最適なチューニング・パラメータを、温度及びオシロスコープ・ノイズなどの所与の波形形状及び特性に関連付けるようにネットワークをトレーニングするために使用する。この関連付けは、波形のアクイジション中にTx(DUT)に保存されたのと同じ入力基準チューニング・パラメータを使用して常に行われる。
【0021】
ハイパースペクトル・テンソル・ビルダ42は、機械学習のためにショート・パターン・テンソル生成プロセスを使用しても良い。ハイパースペクトル・テンソル・ビルダ42は、復号されたパターンと入力波形とを用いて、そのレコード長を検索し、予め指定されたパターンを探すが、このパターンは、機械学習システム内のユニット・インターバルから定義されても良いが、アプリケーションによっては、ユーザには、隠される場合がある。いくつかの異なるパターンを使用しても良い。光学的チューニングの場合では、機械がPAM4のレベルを見るのに、5個のユニット・インターバルの間の遷移のない各レベルのショート・パターンを使用するのを、システムが利用しても良い。これにより、機械は、より迅速にTxのレベルのパラメータの設定を認識できる。
【0022】
TXパラメータ設定のFFEタップを認識するために、インパルス応答コード・シーケンス(即ち、ショート・パターン)が抽出され、ニューラル・ネットワーク22に入力される画像に配置される。ハイパースペクトルという用語は、ディープ・ラーニング・ニューラル・ネットワーク22への画像入力が、R、G及びB(赤、緑及び青)とラベルが付された3つのカラー・チャンネルを有するという意味で使用される。これらハイパー
スペクトル画像を構成する波形は、実際に、これらの色という訳ではなく、システムが、3つのカラー・チャンネルを使用して、テンソル・ビルダによって作成される様々な画像を組み合わせるということである。システムは、3つの波形を収集し、3つの波形の夫々に由来する画像の夫々が、これらカラー・チャンネルの1つに入る。例えば、限定するものではないが、MeanParデータ・セットから生成されるwfmMeanは赤色チャンネル上に、Delta1Parセットに由来するwfmDelta1は青色チャンネル上に、Delta2Parセットに由来するwfmDelta2は緑色チャンネル上にある、としても良い。これらのチャンネルに制限はない。必要ならば、RGBに加えて、追加のカラー・チャンネルが組み込まれても良い。本願で使用される事前トレーニング済みディープ・ラーニング・ネットワークには、3つのカラー・チャンネルしかないが、カスタムのディープ・ラーニング・ネットワーク又は複数の事前トレーニング済み3カラー・チャンネル・ネットワークからは、もっと多数のチャンネルが結果として生じることがあり得る。
【0023】
後で詳しく説明するように、本願の説明では、テンソル・ビルダ(tensor builder)の2つのインスタンスを示す。1つは、最適なパラメータ・ネットワークのトレーニングに使用される画像を作成する。もう1つは、TDECQ(transmitter dispersion eye closure quaternary)及び最適化されたFFE(feed-forward equalization:フィード・フォワード・イコライゼイション)フィルタのタップを出力するネットワークのチューニングに使用できる。要約すると、機械学習システムは、波形テンソル画像を受けて、最適化されたトランスミッタ・パラメータのセットを出力するようにトレーニングされ、更に、最適化されたFFEタップ及びTDECQのセットを出力しても良い。
【0024】
図4は、機械学習を用いた光トランシーバ・チューニング・システムのためのランタイム・システムの一実施形態のブロック図を示す。ランタイム時に、ユーザの自動化試験アプリケーションは、チューニング・パラメータの3つの異なる基準セットを、試験を受ける単一のトランシーバ(32など)へと切り替え(スイッチ30で表される)、夫々について波形を取り込む。
図6に90として示すTDECQ分析では、波形を再サンプリングし、パターンをデコードし、パターンと波形を連携させる(align)ことになる。ランタイム時には、TDECQの算出は行わない。TDECQ及びFFEタップは、
図6の100で示される第2のトレーニングされたディープ・ラーニング・ネットワークから出力されることになる。ハイパースペクトル・テンソル・ビルダ42のブロックは、トレーニング中に作成された棒グラフを含む同じ種類の複数のテンソル画像を作成する。これらテンソル画像は、トレーニングされたディープ・ラーニング・ニューラル・ネットワーク22に入力されることになる。トレーニングされたディープ・ラーニング・ニューラル・ネットワーク22の出力は、最適化チューニング・パラメータ、TDECQ及び最適化されたFFEタップである。次いで、システムは、逆正規化処理又は逆標準化処理ブロック43を適用して、ニューラルネットの出力から所望の値を得る。
【0025】
図5は、トレーニング及びランタイム・プロセスで使用される最適化されたチューニング・パラメータのヒストグラムを得る方法の一実施形態を示す。このプロセスでは、従来の「標準」チューニング方法を使用して、平均パラメータ構造(average parameter structure:APS)の作成に使用されるヒストグラムと平均値を生成する。製造業者(メーカー)は、50において、トランシーバを試験測定システムに接続し、次いで、52において、温度を設定して安定するのを待機する。その後、54において、トランシーバからの波形を取り込む。56でのTDECQ分析により、システムは、58において平均を算出できる。同様に、60での標準的チューニング方法により、各トランシーバのチューニング・パラメータが生成され、これらが62において平均化される。これにより、64において、トレーニングで使用されるヒストグラムの形成もできる。こうした情報の全てにより、66において、平均パラメータ構造(APS)が生成され(
図6に関連してより詳細に説明される)、これは、68において、トレーニング及びランタイム・プロセスに送られる。
【0026】
次いで、プロセスは、必要な回数だけループする。各トランシーバについて、70において、トランシーバが所望の温度範囲に関する試験を完了するまで、温度を変化させる。その後、このプロセスは、充分な精度レベルを確保するために充分な数が完了するまで、72において、次のトランシーバに移行する。
【0027】
図6は、最適化トランシーバ・パラメータのランタイム予測を実行するための準備として機械学習システムをトレーニングする実施形態のフローチャートを示す。ユーザは、トランシーバを、80において、試験測定システムに接続し、82において、温度を設定して安定するのを待機する。84において、トランシーバには、
図5の平均パラメータ構造(APS)68中の複数の基準パラメータ・セットの中の1つがロードされる。次いで、トランシーバを動作させ、86において、試験測定システムが波形を捕捉する(つまり、取り込む:acquire)。次に、ユーザは、88において、標準的チューニング方法を実行し、システムは、90において、TDECQ分析モジュールを実行する。これは、92に示すように、3つの基準パラメータ・セットの全てが実行されるまで繰り返される。次に、TDECQ分析モジュールは、全ての基準セットの波形とパターンを、94において、テンソル・ビルダに送信する。このTDECQモジュールは、波形を再サンプリングし、パターンをデコードし、パターンと波形を連携(align)させてからテンソル・ビルダに送信する。この実施形態では、トレーニング及びランタイムのために処理される複数の波形全てに対して同じであるため、パターンは1つしかない。
【0028】
テンソル・ビルダ42は、次いで、いくつかの出力を生成し、これらをニューラル・ネットワークに送信するが、これは、機械学習システム内の複数のサブ・ネットワークから構成されても良い。テンソル・ビルダは、レベル・テンソルを第1ニューラル・ネット(ニューラル・ネットワークAとして特定される)に送信し、インパルス・テンソルをトランシーバFFEタップのニューラル・ネットワークBに送信し、TDECQモジュールからの最適化FFEタップ・アレーと共にインパルス・テンソルを最適化FFEタップのニューラル・ネットワークCに送信し、TDECQの結果に関する合成テンソルをニューラル・ネットワークDに送信する。これは、現在のトランシーバが、96において、複数の温度の全てを循環するまで続き、次に、98において、全てのトランシーバについて繰り返されて、充分な数量が処理されたら、その時点で、トレーニング・プロセスが終了する。充分な数のトランシーバが処理されたかどうかの判断には、機械学習システムを試験して、その精度を判断する処理を含めても良い。
【0029】
図8は、波形に由来するオリジナルの4レベルのパルス振幅変調(PAM4)画像の例と、得られたテンソルとを示す。上述したように、この実施形態では、3つのチャンネルを使用する。
図8は、左側に、3つのチャンネルによる複数の入力波形を示し、これらは、赤色チャンネル140、青色チャンネル142及び緑色チャンネル144の入力波形を示す。テンソル150及び図に広がる同じポジションのテンソルは、赤色チャンネルに対応し、テンソル152のポジションは青色チャンネルに対応し、テンソル154のポジションは緑色チャンネルに対応する。
【0030】
トレーニングと検証が完了すると、機械学習システムは、ランタイムで動作することになる。
図7に、この処理の一実施形態のフローチャートを示す。ユーザは、110において、トランシーバを接続し、112において、温度を設定して安定するのを待つ。114において、平均パラメータ構造68に含まれる基準パラメータが、プロセスのこの部分のための適切なパラメータとして、トランシーバにロードされる。後で詳しく説明するように、適切なパラメータは、トランシーバが、そのサイクルのどこにあるかによって変わる可能性がある。
【0031】
このプロセスは、116において、波形を捕捉又は取り込み、118において、TDECQ分析を実行することによって、トレーニング・サイクルと同様に続く。120において、システムは、トランシーバが3つの基準パラメータ・セット全てについての処理を受けたかどうかを確認する。3つの基準セットが全て完了すると、3つの波形とデコードされたパターンが、122において、テンソル・ビルダへ送信される。テンソル・ビルダは、3つの波形全てのテンソル画像を作成し、上述のように、これらの全てを1つのRGB画像に合成する。トレーニング・プロセスと同様に、テンソル・ビルダは、レベル・テンソル、インパルス・テンソル及び合成テンソル画像をニューラル・ネットワーク124に送信する。ただし、ランタイム時には、ニューラル・ネットワーク/機械学習システムは、最適化されたFFEタップとTDECQ情報を生成して、トランシーバの予測最適化チューニング・パラメータ・セットを供給する。
【0032】
予測が行われた後、126において、APSフラグが偽(false)に設定される。プロセスが114に戻り、トランシーバを適切なパラメータに設定すると、適切なパラメータが予測チューニング・パラメータになる。これは、また、システムが1つの波形のみを取り込むべきであり、1つのテンソル画像のみが生成され、ニューラル・ネットワークDが単一のTDECQ値を生成することも示す。APSフラグは、126において、偽のままなので、値が130でチェックされ、トランシーバが合格するか又は不合格になる。もし合格した場合、128において、まだ試験する必要がある場合には次の温度が選択され、さもなくば、プロセスが終了する。
【0033】
このようにして、複数のニューラル・ネットワークが、ニューラル・ネットワーク/機械学習システム全体内でトレーニングされる。2つのネットワークが最適なトランスミッタチューニング・パラメータを予測し、このとき、1つ目のネットワークCがFFEタップを予測するのに使用され、そして、ネットワークDが、TDECQ測定値を予測するのに使用される。
【0034】
このシステムは、トレーニング中にTDECQ測定値をネットワークDへの入力として使用し、ネットワークDは、入力波形をTDECQ値と関連付ける。同様に、TDECQモジュールから出力される最適化FFEタップは、トレーニング中、ネットワークCに使用され、ネットワークCは、波形を最適化タップ値と関連付ける。ネットワークA及びBは、どちらも、3つの基準波形に関連付けるチューニング・パラメータを供給していたものである。ネットワークAは、レベルと利得タイプのパラメータを供給していたものである。ネットワークBは、FFEチューニング・パラメータを関連付けていたものである。トランスミッタには、FFEが内蔵されているため、FFEフィルタのタップは、チューニング・パラメータである。
【0035】
TDECQモジュールから出力される最適化FFEタップは、様々である。これらは、TXのチューニング・パラメータではないが、できるだけアイを開いてTDECQ測定を行うためにFFEに設定するであろうものを表している。これらのFFEタップは、TDECQ測定を行う前に波形に適用される。
【0036】
上述の実施形態は、光トランシーバのチューニング・プロセスという例示的なアプリケーションを用いて説明されているが、本開示技術の実施形態は、任意のタイプの被試験デバイスの動作パラメータの調整を含む任意のプロセスにおいて使用することができ、DUTの所望の性能測定値を達成するため又はDUTの試験結果で合格を達成するために、動作パラメータの反復調整を含むプロセスを改善するのに特に有用であろう。
【0037】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シ
グナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0038】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0039】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0040】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
【0041】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。特許請求の範囲、要約及び図面を含め、本明細書に開示される全ての特徴と、開示される全ての方法又は処理における全ての工程は、互いに少なくとも一部分が排他的でない限り、任意に組み合わせても良い。特許請求の範囲、要約及び図面を含め、本明細書に開示される特徴の夫々は、特に明記されていない限り、同じ、等価又は類似の目的に寄与する代替の特徴で置き換えても良い。
【0042】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
実施例
【0043】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0044】
実施例1は、試験測定システムであって、試験測定装置と、該試験測定装置を光トランスミッタに接続できるようにする接続部と、1つ以上のプロセッサとを具え、該1つ以上のプロセッサが、プログラムを実行して、上記1つ以上のプロセッサに、上記光トランスミッタの動作パラメータを基準動作パラメータに設定する処理と、上記光トランスミッタからの波形を取り込む処理と、上記基準動作パラメータの所定数のセットの夫々について上記動作パラメータを設定する処理と上記波形を取り込む処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを繰り返し実行する処理と、取り込まれた波形から1つ以上のテンソルを生成する処理と、上記1つ以上のテンソルを機械学習システムに送信して予測動作パラメータのセットを得る処理と、上記光トランスミッタの上記動作パラメータを上記予測動作パラメータに設定する処理と、上記予測動作パラメータを用いて上記光トランスミッタを試験する処理とを行わせるよう構成される。なお、上記光トランスミッタは、トランシーバに含まれていても良い。
【0045】
実施例2は、実施例1の試験測定システムであって、上記1つ以上のプロセッサが、温度設定の範囲内において各温度を設定するためのプログラムの実行を繰り返す処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるように更に構成される。
【0046】
実施例3は、実施例1又は2の試験測定システムであって、上記1つ以上のプロセッサが、試験測定装置、試験自動化システム及び試験測定装置から独立した機械学習システムの間で分散配置される。
【0047】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの試験測定システムであって、上記機械学習システムが、複数のニューラル・ネットワークを有し、1つ以上が予測動作パラメータを生成し、1つが予測測定値を生成し、1つが最適化されたFFE(feed-forward equalization)フィルタのタップ値のセットを生成する。
【0048】
実施例5は、実施例から4のいずれかの試験測定システムであって、上記基準パラメータのセットの所定数が3であり、1つのセットはパラメータの平均値であり、1つのセットは平均値より高い値を有し、1つのセットは平均値よりも低い値を有する。
【0049】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの試験測定システムであって、上記1つ以上のプロセッサが、逆正規化処理を上記予測動作パラメータに適用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように更に構成される。
【0050】
実施例7は、光トランスミッタをチューニングする方法であって、上記光トランスミッタを試験測定装置に接続する処理と、上記トランスミッタをチューニングするための動作パラメータを基準動作パラメータに設定する処理と、上記光トランスミッタからの波形を取り込む処理と、上記基準動作パラメータの所定数のセットの夫々について上記動作パラメータを設定する処理と上記波形を取り込む処理とを繰り返す処理と、取り込まれた波形から1つ以上のテンソルを生成する処理と、上記1つ以上のテンソルを機械学習システムに送信して予測動作パラメータのセットを得る処理と、上記トランスミッタをチューニン
グするための上記動作パラメータを上記予測動作パラメータに設定する処理と、上記予測動作パラメータを検証する処理とを具える。
【0051】
実施例8は、実施例7の方法であって、温度範囲内の温度の夫々について上記方法を繰り返す処理を更に具える。
【0052】
実施例9は、実施例7又は8の方法であって、上記1つ以上のテンソルを生成する処理が、レベル・テンソル、インパルス・テンソル及び合成テンソルを生成する処理を含む。
【0053】
実施例10は、実施例7から9のいずれかの方法であって、合成テンソルを生成する処理が、3つ以上のチャンネルを用いて画像を生成する処理を含む。
【0054】
実施例11は、実施例10の方法であって、画像が、温度値及びノイズ値の中の少なくとも1つを表す棒グラフ画像を含む。
【0055】
実施例12は、実施例7から11のいずれかの方法であって、更に具える基準動作パラメータを生成する処理が、複数の光トランスミッタを複数の温度でチューニングする処理と、チューニングされた上記複数の光トランスミッタに関して、上記温度の夫々において、上記チューニング・パラメータ夫々のヒストグラムを生成する処理と、上記ヒストグラム中のパラメータ夫々の値を平均化することによって平均基準パラメータ・セットを算出する処理と、上記平均パラメータ・セット中の値を増加させて第1デルタ基準パラメータ・セットを作成する処理と、上記平均パラメータ・セット中の値を減少させて第2デルタ基準パラメータ・セットを作成する処理とを有する。
【0056】
実施例13は、実施例7から13のいずれかの方法であって、上記1つ以上のテンソルを生成する処理が、平均基準テンソル用の1チャンネルと、第1デルタ・テンソル用の1チャンネルと、第2デルタ・テンソル用の1チャンネルの3つのチャンネルを有するテンソルを生成する処理を有する。
【0057】
実施例14は、実施例7から13のいずれかの方法であって、上記1つ以上のテンソルを機械学習システムに送信する処理が、上記1つ以上のテンソルを上記機械学習システム内の2つのニューラル・ネットワークに送信して最適化動作パラメータを得る処理と、インパルス・テンソルを第3ニューラル・ネットワークに送信して最適化FFE(feed-forward equalization)フィルタのタップを得る処理と、合成テンソルを第4ニューラル・ネットワークに送信して予測TDECQ(transmitter and dispersion eye closure penalty quaternary)測定値を得る処理とを有する。
【0058】
実施例15は、実施例7から14のいずれかの方法であって、予測動作パラメータを検証する処理が、上記トランスミッタの出力を測定する処理と、上記出力が所定の範囲内にあるかどうかを判断する処理とを含む。
【0059】
実施例16は、実施例7から15のいずれかの方法であって、上記予測動作パラメータに逆正規化処理を適用する処理を更に具える。
【0060】
実施例17は、光トランスミッタをチューニングするための機械学習システムをトレーニングする方法であって、基準動作パラメータの所定数のセットを作成する処理と、上記基準動作パラメータのセットの夫々について、上記光トランスミッタの動作パラメータを基準動作パラメータのセットに設定する処理、上記光トランスミッタからの波形を取り込む処理、所望出力を実現するように上記光トランスミッタをチューニングする処理及び上記波形についてTDECQ分析を実行する処理を繰り返す処理と、上記分析の結果と上記
波形をテンソル・ビルダに供給する処理と、1つ以上のテンソルを、関連する波形及び基準動作パラメータと共に、1つ以上のニューラル・ネットワークに送信する処理と、充分な数のトランスミッタがチューニングされるまで上記方法を繰り返す処理とを具える。
【0061】
実施例18は、実施例17の方法であって、上記基準動作パラメータの所定数のセットを作成する処理が、複数の温度で複数の光トランスミッタをチューニングする処理と、チューニングされた上記複数の光トランスミッタについて上記温度の夫々において上記パラメータ夫々のヒストグラムを生成する処理と、上記ヒストグラム中の上記パラメータ夫々の値を平均化することによって平均基準パラメータ・セットを計算する処理と、上記平均パラメータ・セット中の値を増加させて第1デルタ基準パラメータ・セットを作成する処理と、上記平均パラメータ・セット中の値を減少させて第2デルタ基準パラメータ・セットを作成する処理とを有する。
【0062】
実施例19は、実施例17又は18の方法であって、上記基準パラメータを正規化する処理を更に具える。
【0063】
実施例20は、実施例17から19のいずれかの方法であって、上記1つ以上のニューラル・ネットワークが、レベル用の1つ以上のニューラル・ネットワークと、FFE(feed-forward equalization)フィルタ用の値を供給する1つのネットワークと、TDECQ値用の1つのネットワークとを有する。
【0064】
明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0065】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0066】
10 試験測定装置
12 光トランシーバ(DUT:被試験デバイス)
14 光/電(O/E)変換モジュール
16 試験測定装置の接続部
18 プロセッサ
20 試験自動化プロセス(プログラム)
22 機械学習システム又はニューラル・ネットワーク
24 メモリ
26 ユーザ・インタフェース
30 スイッチ
32 トランシーバ
34 トランシーバ
36 スイッチ
38 デジタイザ
40 ユーザ・アルゴリズム
42 ハイパースペクトル・テンソル・ビルダー
43 逆正規化又は標準化ブロック
44 温度パラメータ
46 ノイズ・プロファイル・パラメータ
140 赤色チャンネル
142 青色チャンネル
144 緑色チャンネル
150 赤色チャンネルのテンソル
152 青色チャンネルのテンソル
154 緑色チャンネルのテンソル
【外国語明細書】