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特開2022-162978光トランシーバのチューニング方法、試験測定装置及び機械学習システムのトレーニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162978
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】光トランシーバのチューニング方法、試験測定装置及び機械学習システムのトレーニング方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/073 20130101AFI20221018BHJP
   H04B 10/40 20130101ALI20221018BHJP
【FI】
H04B10/073
H04B10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022048778
(22)【出願日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/165,698
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/701,411
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン・ダグラス・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン・ジェイ・ピカード
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ・ファブリシオ・フローレス・イエペス
(72)【発明者】
【氏名】ヘイケ・トリッチュラー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光トランシーバを迅速にチューニングする方法、トレーニングする方法及び試験測定装置を提供する。
【解決手段】光トランシーバ32に接続され、1つ以上のプロセッサ38を有する試験測定装置30において、プロセッサ38は、最初、光トランシーバ32の動作パラメータを平均パラメータに設定し、光トランシーバ32からの波形を取得し、取得した波形を測定してトランシーバの動作の合否を判断し、波形及び動作パラメータを機械学習システム42に送信して推定パラメータを得る。プロセッサ38は、光トランシーバ32が不合格の場合、推定パラメータに基づいて動作パラメータを調整し、光トランシーバ32が合格するまで必要に応じて取得、測定、送信及び調整を反復する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光トランシーバをチューニングする方法であって、
トランシーバを試験測定装置に接続する処理と、
上記トランシーバの動作パラメータを平均パラメータ・セットに設定する処理と、
上記トランシーバからの波形を取り込む処理と、
上記波形を測定して上記トランシーバが合格か不合格かを判断する処理と、
上記トランシーバが不合格の場合に上記波形と上記動作パラメータを機械学習システムに送信する処理と、
調整動作パラメータを提供するために上記機械学習システムを使用する処理と、
上記動作パラメータを上記調整動作パラメータに設定する処理と、
上記トランシーバが合格するまで、上記取り込む処理、上記送信する処理、上記使用する処理及び上記設定する処理を反復する処理と
を具える光トランシーバのチューニング方法。
【請求項2】
上記調整動作パラメータを提供する処理が、
上記機械学習システムから提供される推定パラメータを上記動作パラメータから減算して差分を見つける処理と、
上記差分を上記動作パラメータに加えて新しい動作パラメータを生成する処理と
を含む請求項1の光トランシーバのチューニング方法。
【請求項3】
上記取り込む処理及び上記送信する処理を反復する処理が、
上記トランシーバが合格しなければ、所定回数に到達するまで上記取り込む処理及び上記送信する処理を反復する処理と、
別の方法を使用して上記トランシーバを試験する処理と
を含む請求項1の光トランシーバのチューニング方法。
【請求項4】
上記波形が、1レベル信号遷移から構成されるアイ・ダイアグラムとして表される請求項1の光トランシーバのチューニング方法。
【請求項5】
上記波形を測定する処理が、TDECQ値を測定する処理を含む請求項1の光トランシーバのチューニング方法。
【請求項6】
試験測定装置であって、
該試験測定装置を光トランシーバに接続可能にするための接続部と、
上記1つ以上のプロセッサと
を具え、
最初に上記光トランシーバの動作パラメータを平均パラメータに設定する処理と、
上記光トランシーバからの波形を取り込む処理と、
取り込まれた上記波形を測定する処理と、
上記光トランシーバの動作が合格か不合格かを判断する処理と、
上記光トランシーバが不合格の場合に上記波形と上記動作パラメータとを機械学習システムに送信して推定パラメータを得る処理と、
上記推定パラメータに基づいて上記動作パラメータを調整する処理と、
上記光トランシーバが合格するまで、必要に応じて、上記取り込む処理、上記測定する処理及び上記調整する処理を反復する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように上記1つ以上のプロセッサが構成される試験測定装置。
【請求項7】
上記1つ以上のプロセッサが、該1つ以上のプロセッサに上記トランシーバの温度を設定させるプログラムを実行するように更に構成される請求項6の試験測定装置。
【請求項8】
上記1つ以上のプロセッサが、該1つ以上のプロセッサに、夫々異なる温度で上記プログラムの実行を複数回反復するように更に構成される請求項7の試験測定装置。
【請求項9】
上記1つ以上のプロセッサに上記動作パラメータを調整させるプログラムが、上記1つ以上のプロセッサに上記動作パラメータから推定パラメータを減算させて差分を見つけ、該差分を上記平均パラメータに加えて新しい動作パラメータを生成させるプログラムを含む請求項7の試験測定装置。
【請求項10】
光トランシーバの動作パラメータを求めるための機械学習システムをトレーニングする方法であって、
上記トランシーバを試験測定装置に接続する処理と、
上記トランシーバをパラメータ・セットでチューニングする処理と、
上記トランシーバからの波形を捕捉する処理と、
上記波形及び上記パラメータ・セットを上記機械学習システムに送信する処理と、
充分な数のサンプルが収集されるまで上記チューニングする処理、上記捕捉する処理及び上記送信する処理を反復する処理と
を具える機械学習システムのトレーニング方法
【請求項11】
上記トランシーバの温度を設定する処理と、
上記温度が安定するまで待機する処理と、
上記パラメータを記録する処理と
を更に具える請求項10の機械学習システムのトレーニング方法。
【請求項12】
充分な数のサンプルが収集されるまで上記設定する処理、上記待機する処理及び上記記録する処理を反復する処理を更に具える請求項11の機械学習システムのトレーニング方法。
【請求項13】
上記波形を捕捉する処理が、1レベル遷移のみを含むアイ・ダイアグラム・オーバーレイを生成する処理を更に含む請求項10の機械学習システムのトレーニング方法。
【請求項14】
上記パラメータを変更した後に上記反復する処理を行って、上記パラメータ・セット内の上記パラメータの夫々が範囲を掃引する請求項10の機械学習システムのトレーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定システムに関し、特に、光トランシーバを、例えば、製造中に、チューニングするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光トランシーバの製造業者(メーカー)は、光トランシーバのチューニング(最も良い状態に調整)に、最悪の例では、最大2時間かかることがある。メーカーは、通常、チューニング・パラメータを掃引(sweep:広く次々に値を変化させる)することによって、これを実現する。場合によっては、最悪の場合で、200回の反復処理が必要となることがあり、最も良い場合で、3から5回の反復処理が必要となることがある。
【0003】
現在、光トランシーバのチューニングでは、トランシーバのチューニングと試験に必要な時間を短縮するのに、いかなる種類の機械学習も使用していない。機械学習のトレーニングにかかる時間は、トランシーバの全体的なコストを増加させることになる。図1は、典型的な製造業者のワークフローを示す。10において、ユーザは、光トランシーバ(DUT:被試験デバイス)を試験測定装置に接続する。なお、本願で使用される場合、用語「試験測定装置」には、試験を行って、被試験デバイスとしての光トランシーバの結果として生じる動作を測定できる任意の装置が含まれる。
【0004】
ユーザは、12において、温度を設定し、温度が安定するまで待機する。次に、ユーザは、14において、電圧を設定する。ユーザは、16で、DUTの動作パラメータを設定し、DUTを動作させてから、18において、その動作を測定する。測定には様々な形式があるが、これについては後で詳しく説明する。20において、システムは、部品が測定値の所望範囲内で動作していることを測定が示しているか否かを判断する。20において、もし所望の範囲で動作している場合には、パラメータは、21において、再び測定される。22において、パラメータが基準に合格(pass)するかどうかが判定される。パラメータが合格すると、24において、試験で使用された最終的な温度と電圧は保存され、次のトランシーバに使用され、次いで、26において、その部品の試験は完了する。
【0005】
DUTが、20において、チューニングされていない場合、又は、22において、基準に合格しない場合、22を通して戻り、ユーザが16においてパラメータを調整し、試験を再実行できる。このプロセスは、DUTが24において基準に合格するまで、何回も繰り返されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2015-528257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トランシーバをチューニングするための反復処理の回数を減らして、チューニング・プロセスを高速化すれば、製造の時間と、従って、製造のコストの両方を削減することになる。
【0008】
開示された装置及び方法の実施形態は、従来技術における欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述のプロセスは、時間のかかる、そして、結果として費用のかかるプロセスである。本願の実施形態は、機械学習を利用して、より正確な出発点を提供し、パラメータをより効率的に調整する。
【0010】
機械学習プロセスを使用すると、チューニング、試験、そして、部品が合格又は不合格かどうかの判断に必要な時間を短縮できる。図2は、機械学習システムを使用して、部品の動作パラメータを決定する試験測定システム又は試験測定装置の実施形態を示す。出力される測定値には、TDECQ(transmitter and dispersion eye closure penalty quaternary)、消光比(extinction ratio)、平均光パワー、光変調振幅(optical modulation amplitude:OMA)、レベル分離ミスマッチ率(level separation mismatch ratio)などがあっても良く、これらは、ユーザがチューニングでき、また、動作の測定に利用されることになる。変更又は調整されても良い光トランシーバのチューニング・パラメータとしては、バイアス電流、変調電圧その他のものなどがあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、光トランシーバのパラメータをチューニングするための製造ワークフローの一例を示す。
図2図2は、光トランシーバをチューニングするのに利用可能な試験測定装置を示す。
図3図3は、光トランシーバをチューニングするための機械学習システムをトレーニングするプロセスの一実施形態のフローチャートを示す。
図4図4に、機械学習を使用して光トランシーバをチューニングするプロセスの一実施形態のフローチャートを示す。
図5図5は、機械学習を使用して光トランシーバをチューニングするプロセスの一部の一実施形態のフローチャートを示す。
図6図6は、機械学習システムで使用する波形から導出されたテンソル画像の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、光トランシーバのチューニングに使用可能な試験測定装置30を示す。試験測定装置30は、多種多様なコンポーネントを有していても良い。図2は、1つの可能な実施形態を示し、より多くの又はより少ないコンポーネントを有していても良い。図2の試験測定装置は、DUT(被試験デバイス)、この場合は、光トランシーバ32に接続される。オシロスコープなどの試験測定装置30は、光電(O/E)変換モジュール34を有していても良く、これは、接続部(36など)を介して試験測定装置30に接続される。プロセッサ38は、1つ以上のプロセッサを表し、製造業者の試験自動化プログラム40を含むプログラムを実行して、プロセッサ38に様々なタスクを実行させるように構成されることになる。あるいは、試験自動化プログラムが、試験測定装置30とは別のコンピューティング装置の一部であって、これと、プロセッサ38が相互に作用するようにすることもできる。図2は、機械学習システム42を、試験測定装置30の一部として示している。また、機械学習システムが、別の独立したコンピュータなどの装置上に存在していて、試験測定装置30と通信するようにしても良い。
【0013】
この説明に関して、本願で使用される用語「試験測定装置」は、試験測定装置の一部として外部のコンピューティング装置を有する実施形態を含むとする。メモリ44は、試験測定装置30上に存在するか、又は試験測定装置30とコンピューティング装置との間に分散配置されても良い。後でより詳細に説明するように、メモリ44は、機械学習システムによって使用されるトレーニング・データ及びランタイム・データを含んでもよい。試験測定装置30には、また、ユーザ・インタフェース46があっても良く、これは、タッ
チスクリーン、ビデオ・スクリーン、ノブ、ボタン、ライト(光源)、キーボード、マウスなどの1つ以上を有していても良い。
【0014】
動作中、光トランシーバ32は、O/E変換部34及び接続部36を介して、試験測定装置30に接続される。試験自動化プロセス40は、トランシーバ・チューニング・パラメータを光トランシーバ32に送信する。このトランシーバ・パラメータは、機械学習システム42から受信され、試験及びトレーニングを通じて創出された平均パラメータに基づいても良い。試験測定装置30は、トランシーバ(DUT)から波形を取り込み、その波形をプロセッサ38に返す。システムは、波形を測定し、そのチューニング・パラメータのセット(set of tuning parameters:一連のチューニング・パラメータ)に関して、トランシーバ32の合否を判定する。
【0015】
測定値の1つは、上述したTDECQで、これは、PAM4のアイ・ダイアグラムを使用している。上述のように、これは、トランシーバをチューニングしたときの動作時の複数の測定値の1つであって、他には、消光比(ER)、平均光パワー(AOP)、光変調振幅(OMA)、レベル分離ミスマッチ(RLM)率、その他があっても良い。
【0016】
機械学習(machine learning)システム42は、そのトレーニングに基づいて、チューニング・パラメータを実行時に選択及び調整する。このトレーニング・プロセスでは、チューニング・パラメータ及び関連する波形のトレーニング・セットを構築するが、それ故に、これらは、DUTから取得した波形に基づいて、チューニング・パラメータを選択する情報を提供できる。図3は、機械学習システムをトレーニングするプロセスを示すが、これは、ランタイム試験プロセスの開始パラメータも提供する。
【0017】
以下の説明では、いくつかの用語が特定の意味を持っている。機械学習システムのトレーニングでは、プロセスが、トレーニング用のパラメータのセットと関連する波形を必要とする。以下で詳細に論じるように、ユーザは、多数のトランシーバを最適にチューニングし、その結果、本願で「最適化パラメータ」と呼ぶパラメータのセットが得られ、多数のトランシーバは、これら多数のトランシーバの各々に関する最適化パラメータを保持することになる。用語「平均パラメータ」は、それぞれが特定のパラメータの平均を表すパラメータのセットを指す。
【0018】
第1の反復サブ・プロセスにおいて、ユーザは、50において、光トランシーバを試験測定装置に接続する。このプロセスは、典型的には、トランシーバの温度の安定化を可能にする処理を含む。トランシーバは、52において、標準的なチューニングを受けるが、これは、本願の実施形態を実施する前に使用されている現在の何らかのチューニング手順を意味する。特定のトランシーバがチューニングされて、チューニングされた(最適に調整された)状態に達したら、その状態で使用されているパラメータは、そのトランシーバに関する最適化パラメータである。これら反復処理夫々の最適化パラメータは、56においてヒストグラムなどへ収集され、58において平均が求められる。
【0019】
図4及びランタイム環境に関して、以下でより詳細に説明されるように、これらの平均は、ランタイム・プロセスの初期開始パラメータとして機能する。このプロセスは、54において、充分な数のトランシーバがチューニングを受けたと判断されるまで続く。どのくらいの数のトランスミッタを充分とするかの判断は、機械学習システムのアーキテクチャと、このシステムが、どのくらいの数の正確な結果の生成を必要とするかとに依存するであろう。
【0020】
第2の反復サブ・プロセスは60から始まる。ユーザは、トランシーバを接続し、温度を安定させる。トランシーバは、62において、パラメータの「次の」セットにチューニングされるが、これらパラメータ・セットは、最初の反復処理では、パラメータの初期セットから構成されている。システムは、また、機械学習システムに送信されるこれらのパラメータを記録する。各反復処理では、パラメータが掃引される。つまり、システムは、そのパラメータの複数の設定の全てを完了するまで、各パラメータをそのパラメータの次の設定に調整する。
【0021】
システムは、64において、パラメータのセット夫々に関する波形を捕捉し、また、波形を機械学習システムに送信する。波形を捕捉する処理の一部として、システムはクロック・リカバリを実行し、ショート・パターン・オーバーレイとも呼ばれる部分的なアイ・ダイアグラムを生成しても良い。ある実施形態では、部分的アイ・ダイヤグラムは、1レベル遷移のみを含んでも良く、このとき、1レベル遷移とは、米国特許出願第17/592,437号に記載されている1レベル部分に分離したアイ・ダイヤグラムのように、1レベルだけ低から高、高から低などの1つの遷移で別のレベルへ遷移することを意味する。この結果として生じるオーバーレイが、機械学習システムに送信される波形を構成しても良いが、別の実施形態では、波形が、他のフォーマット又はベクトル空間で表されても良い。一実施形態では、波形捕捉処理の一部として、システムが、上述のように、TDECQ、OMA、ER、AOP、RLM、などの多数の測定値も計算する。66において、システムは、パラメータの各セットに関連付けられた収集した情報を処理のために機械学習システムに送信するが、この情報には、ヒストグラム、平均及び反復処理夫々に固有の情報、例えば、波形、ショート・パターン・オーバーレイ、測定値が含まれる。機械学習システムは、この情報の全てを波形に関連付けて、次の反復処理で最も正確なパラメータを特定するために、機械学習システムをトレーニングする。このプロセスは、1つのパラメータに関する全ての反復処理が掃引されたと68において確認されるまで繰り返される。
【0022】
機械学習トレーニング・プロセスの一環として、システムは、試験と検証を受ける。システムは、機械学習システムに試験波形を供給して、機械学習システムに次のパラメータ・セットの予測値を生成させ、これらのパラメータを試験して、機械学習システムが正確な予測を行ったかどうかを確認する。トレーニングのプロセスは、70において、充分な個数のトランシーバがスクリーニングを受け、機械学習システムが所望の精度で結果を生成するまで続く。これを達成すると、トレーニング・プロセスは、72で完了し、システムはランタイム使用に移行できる。予測精度が低下した場合や、被試験トランシーバの性質に何らかの変化が生じた場合など、必要に応じて、システムは、トレーニング・プロセスに戻っても良いことに留意されたい。
【0023】
図4は、ランタイム環境における光トランシーバの試験方法の一実施形態を示す。80で、ユーザはトランシーバを試験測定装置に接続し、温度を安定させる。温度は、実施する複数の調整の1つであっても良く、複数の反復処理では、様々な温度としても良い。システムは、82において、トランシーバを特定の動作パラメータ・セットにチューニングする。本願で使用される場合、用語「動作パラメータ」は、トランシーバに対して設定されたパラメータを意味する。動作パラメータは、プロセス中での位置に応じて変更されることがある。最初に、プロセスは、トレーニング・プロセスの最初の部分で創出された平均パラメータに動作パラメータを設定する。試験測定装置は、84において、トランシーバから波形を取り込む。トレーニング・プロセスと同様に、これには、クロック・リカバリの実行と、1レベル遷移のみを含む部分的アイ・ダイアグラム・オーバーレイの生成が含まれても良い。システムは、また、86において、TDECQ、ER、AOP、OMA、RLMなどの測定を実行しても良い。88において、結果が、トランシーバの動作が所望の範囲内にあることを示している場合、トランシーバは、90で合格となる。
【0024】
図4に示す測定と合否(pass fail)の判断の一実施形態では、図5に示すように、プ
ロセスがクロック・リカバリ110を実行し、これから、111において、テンソル画像を生成する。テンソル像の例を図6に示す。図6は、左側に入力波形を示し、3つのチャンネルが、赤色チャンネル120、青色チャンネル122及び緑色チャンネル124上の入力波形を示す。テンソル130及び図に広がる同じポジションのテンソルは、赤色チャンネルに対応し、テンソル132のポジションは青色チャンネルに対応し、テンソル134のポジションは緑色チャンネルに対応する。取得した波形から作成されるショート・パターン画像は、3つのカラー・チャンネル全てに配置されても良い。異なるコード・シーケンスを異なるカラー・チャンネルに配置しても良い。パターンとチャンネルの組み合わせは、多数可能である。
【0025】
テンソル画像は、機械学習システムで使用される波形画像として機械学習システムに送信される。このプロセスは、次いで、図5の112において、波形を測定し、次に、114において、測定結果が範囲内にあるかどうかを確認する。次いで、プロセスは、図4の88に戻る。
【0026】
図3を再度参照すると、この実施形態では、波形を捕捉するプロセスが、機械学習システムで使用される画像及びテンソルを生成する処理を含むであろう。機械学習システムは、これらの形式のテンソル画像でトレーニングされる。これにより、システムは、ランタイム(実行)時に、機械学習システムのテンソル画像を使用できる。
【0027】
もしトランシーバが、使用する測定値の所望の範囲内で動作しないことを結果が示した場合、トランシーバは不合格となる。システムは、92において、トランシーバが何回プロセスを受けたかを確認しても良い。回数が所定数未満である場合、結果は、94において、次の動作パラメータ・セットの決定のために、機械学習システムに送信される。すると、機械学習システムは、次の反復処理のための推定パラメータを提供する。一実施形態では、次の反復処理におけるトランシーバの動作パラメータは、前の動作パラメータから推定パラメータを減算して差分を見つけ、次いで、この差分を平均パラメータに加算して新しい動作パラメータを生成することで得られる「調整パラメータ」から構成される。
【0028】
92に戻ると、機械学習プロセスを何度繰り返しても、トランシーバが不合格になり続ける場合、システムは、96において、チューニングに「標準」手順を使用する。これは、本願の実施形態を実装する以前から使用されていた何らかのチューニング手順から構成される。その後、トランシーバの動作が、98において所望の測定値を満たし、90においてトランシーバが合格するまで、このプロセスが続行される。しかし、標準的チューニング処理を行っても、トランシーバが所望の範囲内で動作するように調整できない場合、トランシーバは、100において、不合格となる。
【0029】
このようにして、機械学習システムはチューニング・プロセスの効率を高めることができる。これにより、システムは、トランシーバを、より迅速に合格又は不合格にすることができ、製造プロセスの時間とコストの両方を削減できる。
【0030】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0031】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0032】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0033】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
【0034】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0035】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。

実施例
【0036】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0037】
実施例1は、光トランシーバをチューニングする方法であって、トランシーバを試験測定装置に接続する処理と、上記トランシーバの動作パラメータを平均パラメータ・セットに設定する処理と、上記トランシーバからの波形を取り込む処理と、上記波形を測定して上記トランシーバが合格か不合格かを判断する処理と、上記トランシーバが不合格の場合に上記波形と上記動作パラメータを機械学習システムに送信する処理と、調整動作パラメータを提供するために上記機械学習システムを使用する処理と、上記動作パラメータを上記調整動作パラメータに設定する処理と、上記トランシーバが合格するまで、上記取り込む処理、上記送信する処理、上記使用する処理及び上記設定する処理を反復する処理とを具える。
【0038】
実施例2は、実施例1の方法であって、上記トランシーバの温度を設定する処理を更に具える。
【0039】
実施例3は、実施例2の方法であって、上記方法を夫々異なる温度で複数回反復する処理を更に具える。
【0040】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの方法であって、上記調整動作パラメータを提供する処理が、上記機械学習システムから提供される推定パラメータを上記動作パラメータから減算して差分を見つける処理と、上記差分を上記動作パラメータに加えて新しい動作パラメータを生成する処理とを含む。
【0041】
実施例5は、実施例1から4のいずれかの方法であって、トランシーバが合格すれば、トランシーバの試験を完了する処理を更に具える。
【0042】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの方法であって、上記取り込む処理及び上記送信する処理を反復する処理が、上記トランシーバが合格しなければ、所定回数に到達するまで上記取り込む処理及び上記送信する処理を反復する処理と、別の方法を使用して上記トランシーバを試験する処理とを含む。
【0043】
実施例7は、実施例1から6のいずれかの方法であって、上記波形は、1レベル遷移から構成されるアイ・ダイアグラムとして表される。
【0044】
実施例8は、実施例1から7のいずれかであって、波形を測定する処理が、TDECQ(transmitter dispersion eye closure quaternary)値を測定する処理を含む。
【0045】
実施例9は、試験測定装置であって、該試験測定装置を光トランシーバに接続可能にするための接続部と、上記1つ以上のプロセッサとを具え、最初に上記光トランシーバの動作パラメータを平均パラメータに設定する処理と、上記光トランシーバからの波形を取り込む処理と、取り込まれた上記波形を測定する処理と、上記光トランシーバの動作が合格か不合格かを判断する処理と、上記光トランシーバが不合格の場合に上記波形と上記動作パラメータとを機械学習システムに送信して推定パラメータを得る処理と、上記推定パラメータに基づいて上記動作パラメータを調整する処理と、上記光トランシーバが合格するまで、必要に応じて、上記取り込む処理、上記測定する処理及び上記調整する処理を反復する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように上記1つ以上のプロセッサが構成される。
【0046】
実施例10は、実施例9の装置であって、1つ以上のプロセッサは、1つ以上のプロセッサに上記トランシーバの温度を設定させるプログラムを実行するように更に構成される。
【0047】
実施例11は、実施例10の装置であって、1つ以上のプロセッサは、1つ以上のプロセッサに、夫々異なる温度で上記プログラムの実行を複数回反復するように更に構成される。
【0048】
実施例12は、実施例10の装置であって、1つ以上のプロセッサに動作パラメータを調整させるプログラムが、1つ以上のプロセッサに動作パラメータから推定パラメータを減算させて差分を見つけ、該差分を上記平均パラメータに加えて新しい動作パラメータを生成させるプログラムを含む。
【0049】
実施例13は、光トランシーバの動作パラメータを求めるための機械学習システムをトレーニングする方法であって、上記トランシーバを試験測定装置に接続する処理と、上記トランシーバをパラメータ・セットでチューニングする処理と、上記トランシーバからの波形を捕捉する処理と、上記波形及び上記パラメータ・セットを上記機械学習システムに送信する処理と、充分な数のサンプルが収集されるまで上記チューニングする処理、上記捕捉する処理及び上記送信する処理を反復する処理とを具える。
【0050】
実施例14は、実施例13の方法であって、上記トランシーバの温度を設定する処理と、上記温度が安定するまで待機する処理と、上記パラメータを記録する処理とを更に具える。
【0051】
実施例15は、実施例14の方法であって、温度に関するパラメータのヒストグラムに上記パラメータ・セットを加える処理を更に具える。
【0052】
実施例16は、実施例14の方法であって、温度に関するパラメータのヒストグラムに上記パラメータ・セットを加える処理を更に具える。
【0053】
実施例17は、実施例14の方法であって、充分な数のサンプルが収集されるまで設定する処理、待機する処理及び記録する処理を反復する処理を更に具える。
【0054】
実施例18は、実施例13から17のいずれかの方法であって、波形を捕捉する処理が、1レベル遷移のみを含むアイ・ダイアグラム・オーバーレイを生成する処理を更に含む。
【0055】
実施例19は、実施例13から18のいずれかの方法であって、上記パラメータを変更した後に上記反復する処理を行って、上記パラメータ・セット内の上記パラメータの夫々が範囲を掃引する。
【0056】
明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0057】
説明の都合上、具体的な実施形態を図示し、説明してきたが、本開示技術の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0058】
30 試験測定装置
32 光トランシーバ(DUT:被試験デバイス)
34 光/電(O/E)変換モジュール
36 試験測定装置の接続部
38 プロセッサ
40 試験自動化プロセス(プログラム)
42 機械学習システム又はニューラル・ネットワーク
44 メモリ
46 ユーザ・インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】