(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163692
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】アルキルグリセリルエーテルの製造方法、アルキルグリセリルエーテル及び該アルキルグリセリルエーテルを含有する化粧料組成物又は洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 41/26 20060101AFI20221019BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221019BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20221019BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20221019BHJP
C07C 43/10 20060101ALI20221019BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
C07C41/26
A61K8/34
A61Q19/10
A61Q5/02
C07C43/10
C11D7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039101
(22)【出願日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2021068351
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】松倉 範佳
(72)【発明者】
【氏名】中島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼▲崎▼ 壽生
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴裕
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
4H006
【Fターム(参考)】
4C083AC171
4C083AC172
4C083CC01
4C083CC23
4C083CC38
4C083EE12
4C083FF01
4H003EB06
4H006AA02
4H006AB12
4H006AB84
4H006AC41
4H006AC43
4H006AD11
4H006GP01
4H006GP10
(57)【要約】
【課題】植物由来アルコール化合物を用いてアルキルグリセリルエーテルを製造する新規の方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、植物由来アルコール化合物と、植物由来エピクロルヒドリンとを反応させてヒドリン化体を得るヒドリン化工程と、得られたヒドリン化体を閉環反応により閉環させて閉環化体を得る閉環工程と、得られた閉環化体を開環反応により開環させてアルキルグリセリルエーテルを得る開環工程と、を含むアルキルグリセリルエーテルの製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来アルコール化合物と、植物由来エピクロルヒドリンとを反応させてヒドリン化体を得るヒドリン化工程と、得られたヒドリン化体を閉環反応により閉環させて閉環化体を得る閉環工程と、得られた閉環化体を開環反応により開環させてアルキルグリセリルエーテルを得る開環工程と、を含むアルキルグリセリルエーテルの製造方法。
【請求項2】
植物由来アルコール化合物が、炭素数5~18の直鎖アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物、炭素数5~18の分岐アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物、又は、炭素数5~18の脂環式アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物である、請求項1に記載のアルキルグリセリルエーテルの製造方法。
【請求項3】
前記アルキルグリセリルエーテルが、炭素数5~18の直鎖アルキル基、炭素数5~18の分岐アルキル基、又は、炭素数5~18の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルである、請求項1又は2に記載のアルキルグリセリルエーテルの製造方法。
【請求項4】
閉環工程の後に、閉環化体を含む生成物を蒸留する第1の蒸留工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のアルキルグリセリルエーテルの製造方法。
【請求項5】
開環反応において、触媒としてリン酸を用いる、請求項1~4のいずれか1項に記載のアルキルグリセリルエーテルの製造方法。
【請求項6】
開環工程の後に、アルキルグリセリルエーテルを含む生成物を蒸留する第2の蒸留工程を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のアルキルグリセリルエーテルの製造方法。
【請求項7】
開環工程の後に、アルキルグリセリルエーテルを含む生成物を脱臭する脱臭工程を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のアルキルグリセリルエーテルの製造方法。
【請求項8】
植物由来アルコール化合物と、植物由来エピクロルヒドリンとを反応させてヒドリン化体を得るヒドリン化工程と、得られたヒドリン化体を閉環させて閉環化体を得る閉環工程と、得られた閉環化体を開環する開環工程を含む製造方法により得られるアルキルグリセリルエーテル。
【請求項9】
請求項8に記載のアルキルグリセリルエーテルを含有する、化粧料組成物又は洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来アルコール化合物を用いてアルキルグリセリルエーテルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料や洗浄剤等には、防腐等の目的で抗菌剤を使用することが多い。これらの抗菌剤として最も使用されているのはパラベン類であるが、パラベン類は皮膚刺激性が高く安全性が低いために使用濃度範囲が制限されるという欠点を有し、そのため化粧料においては、パラベン類の使用濃度が1%以下に制限されている。また最近は、パラベン類に対してアレルギー反応を起こす人が増加しており、パラベン類を配合しない化粧料の需要が増加している。
【0003】
そこで、抗菌剤として良好な性能を持ちながら、パラベン類と比較して人体に対する安全性が高い化合物として、アルキルグリセリルエーテル類を使用することが知られている(例えば、特許文献1~2)。このようなアルキルグリセリルエーテル類は、アルコール化合物とエピハロヒドリンとを反応させ、次いで加水分解する方法(特許文献3)等により製造できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭51-076424号公報
【特許文献2】特開平08-310947号公報
【特許文献3】特開昭52-012109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来アルキルグリセリルエーテルの製造に用いられなかった植物由来アルコール化合物を用いてアルキルグリセリルエーテルを製造する新規の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者等は鋭意検討し、本発明に至った。即ち、本発明は、植物由来アルコール化合物と、植物由来エピクロルヒドリンとを反応させてヒドリン化体を得るヒドリン化工程と、得られたヒドリン化体を閉環反応により閉環させて閉環化体を得る閉環工程と、得られた閉環化体を開環反応により開環させてアルキルグリセリルエーテルを得る開環工程と、を含むアルキルグリセリルエーテルの製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、植物由来アルコール化合物を用いてアルキルグリセリルエーテルを製造する新規の方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に用いる植物由来アルコール化合物とは、植物資源を原料に得られるアルコール化合物であり、例えば、パーム油、パーム核油、大豆油、菜種油、オリーブ油、綿実油、ヤシ油等の植物油を精製及び/又は分離処理することにより得られるアルコール化合物、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、小麦、大麦、ライ麦等のバイオマスを微生物により発酵させて得られるアルコール化合物、及びこれらを原料に用いて合成して得られるアルコール化合物等が挙げられる。
【0009】
パーム油、パーム核油、大豆油、菜種油、オリーブ油、綿実油、ヤシ油等の植物油を精製及び/又は分離処理することによりアルコール化合物を得る方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、パーム油、パーム核油、大豆油、菜種油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ヤシ油、コーン油、ベニバナ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ツバキ油、亜麻仁油等の植物油に含まれる脂肪酸グリセリドを加水分解することにより得られる脂肪酸から製造する方法等を用いることができる。このとき、脂肪酸からアルコール化合物を製造する方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、脂肪酸をメチルエステル化した後に水素添加する方法や、脂肪酸を直接水素化する方法等を用いることができる。また、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、小麦、大麦、ライ麦等のバイオマスを微生物により発酵させてアルコール化合物を得る方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、小麦、大麦、ライ麦等のバイオマスから得られるセルロース等の糖類を、適切な温度、湿度、雰囲気等の環境下で、糖類の発酵又は代謝能を有する菌類、酵素、酵母等の微生物により発酵又は代謝する方法等を用いることができる。
【0010】
また、これらのアルコール化合物を原料に用いて合成してアルコール化合物を得る方法は特に限定されず、所望のアルコール化合物が得られる公知の方法を用いることができる。このとき、原料として用いるアルコール化合物と異なる炭素数の炭化水素基を有するアルコール化合物を製造してもよく、例えば、原料とするアルコールを公知の方法により酸化してアルデヒド化合物を得た後、得られたアルデヒド化合物を縮合又は水素添加することにより、原料として用いたアルコール化合物に含まれる炭化水素基より炭素数の増加した炭化水素基を有するアルコール化合物を、植物由来アルコール化合物として本発明に用いてもよい。また、本発明においては、BASF社製Lorol(登録商標)C6、Lorol(登録商標)C6 98、Lorol(登録商標)C8-98、Lorol(登録商標)C8-C10、Lorol(登録商標)C10-98、Lorol(登録商標)C10 98-100、Lorol(登録商標)C10-C12、Lorol(登録商標)C12 98-100、Lorol(登録商標)C12-C14、Lorol(登録商標)C14、Lorol(登録商標)C14-95、Lorol(登録商標)C16等のLorol(登録商標)シリーズ、花王株式会社製カルコール0898、カルコール0880、カルコール1098、カルコール2098、カルコール4098、カルコール6098、カルコール8098等のカルコールシリーズ、Wilmar International社製WILFAROL 0899、WILFAROL 1618、WILFAROL 1699等のWILFAROLシリーズ、Arkema社製Oleris(登録商標)ヘプタノール等の市販の植物由来アルコール化合物を用いてもよい。
【0011】
本発明においては、植物由来アルコール化合物が、炭素数5~18の直鎖アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物、炭素数5~18の分岐アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物、又は、炭素数5~18の脂環式アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物であることが好ましい。このようなアルコール化合物を得る方法は、例えば、植物油を精製及び/又は分離処理することにより得る方法、バイオマスを微生物により発酵させて得られるアルコール化合物を原料に用いて合成する方法等が挙げられる。本発明の効果の観点からは、これらの植物由来アルコール化合物の中でも、植物油を精製及び/又は分離処理することにより得られる炭素数5~10の直鎖又は分岐アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物、バイオマスを微生物により発酵させて得られるアルコール化合物をアルデヒド化した後、縮合又は水素添加することにより得られる炭素数5~10の直鎖又は分岐アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物であることがより好ましい。
【0012】
本発明に用いる植物由来エピクロルヒドリンとは、植物資源から製造されるエピクロルヒドリンであり、例えば、大豆油、菜種油、又はパーム核油等の植物油、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、小麦、大麦、ライ麦等のバイオマスから製造される植物由来エピクロルヒドリン等が挙げられる。このような植物由来エピクロルヒドリンを製造する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、大豆油、菜種油、又はパーム核油等の植物油に含まれるグリセリン脂肪酸エステルや、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、小麦、大麦、ライ麦等のバイオマスから製造されるグリセリン脂肪酸エステルと、塩素化剤とを用いて植物由来ジクロロプロパノールを製造した後、脱塩化水素により植物由来エピクロルヒドリンを得る方法等が挙げられる。また、本発明においては、Solvay社製Epicerol(登録商標)等の市販の植物由来エピクロルヒドリンも用いてもよい。
【0013】
本発明におけるヒドリン化工程は、植物由来アルコール化合物の水酸基と、植物由来エピクロルヒドリンのエポキシ基とを反応させてヒドリン化体を得るヒドリン化工程である。ヒドリン化工程における、植物由来アルコール化合物と植物由来エピクロルヒドリンの使用量の比は特に限定されないが、本発明の効果の観点からは、植物由来アルコール化合物と植物由来エピクロルヒドリンの使用量が、モル比で1.0:0.2~1.0:1.2であることが好ましく、1.0:0.3~1.0:1.0であることがより好ましい。
【0014】
ヒドリン化工程における、植物由来アルコール化合物と、植物由来エピクロルヒドリンとを反応させる方法は特に限定されず、例えば、植物由来アルコール化合物と植物由来エピクロルヒドリンとを混合し、必要に応じ加熱及び冷却を行いながら、20~150℃で1分~24時間反応させる方法等が挙げられる。また、ヒドリン化工程において、公知の触媒を用いてもよい。
【0015】
本発明における閉環工程は、ヒドリン化工程で得られたヒドリン化体を、閉環反応により閉環させて閉環化体を得る閉環工程である。つまり、ヒドリン化体からクロロ基が脱離してエポキシ基が形成される。閉環工程において、ヒドリン化体を閉環反応により閉環させる方法は特に限定されず、例えば、ヒドリン化体に公知のアルカリ剤を加え、脱水縮合させる方法等を用いることができる。このとき、公知のアルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物及びこれらの水溶液等を用いることができる。ヒドリン化体に公知のアルカリ剤を加えて脱水縮合させる際の、ヒドリン化体とアルカリ剤の使用量の比率は特に限定されないが、本発明の効果の観点からは、ヒドリン化体とアルカリ剤の使用量が、モル比で1:0.5~1:3であることが好ましく、1:1~1:2であることがより好ましい。
【0016】
閉環工程において、閉環反応として、ヒドリン化体に公知のアルカリ剤を加え、脱水縮合させる方法を用いるときの方法は特に限定されないが、例えば、ヒドリン化体に公知のアルカリ剤を加えて混合し、必要に応じ加熱及び冷却を行いながら、20~150℃で1分~24時間反応させる方法等が挙げられる。また、閉環反応において、公知の触媒を用いてもよい。
【0017】
本発明における開環工程は、閉環工程で得られた閉環化体を、開環反応により開環させてアルキルグリセリルエーテルを得る開環工程である。つまり、閉環化体のエポキシ基が開環して水酸基を生じる。開環工程において、閉環化体を開環反応により開環させる方法は特に限定されず、例えば、閉環化体を加水分解して開環させる方法等を用いることができる。閉環化体を加水分解して開環させる方法は特に限定されないが、例えば、閉環化体に水を加え、必要に応じ減圧または加圧環境下(0.01kPa~10MPa)で、加熱及び冷却を行いながら、20~200℃で1分~24時間反応させる方法等が挙げられる。また、開環反応において、公知の触媒を用いてもよく、例えば、硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、酢酸、過酢酸等の酸を用いることが好ましく、本発明の効果の観点からは、リン酸を用いることがより好ましい。
【0018】
本発明は、前述したヒドリン化工程と、閉環工程と、開環工程と、を含むことで、植物由来アルコール化合物を用いてアルキルグリセリルエーテルを製造することができる。本発明においては、本発明の効果の観点から、炭素数5~18の直鎖アルキル基、炭素数5~18の分岐アルキル基、又は、炭素数5~18の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルの製造方法であることが好ましい。
【0019】
本発明のアルキルグリセリルエーテルの製造方法は、さらに、閉環工程の後に、閉環化体を含む生成物を蒸留する中間蒸留工程(以下「第1の蒸留工程」と称することもある)を含み得る。閉環化体を含む生成物を蒸留する方法は特に限定されず、例えば、常圧蒸留、減圧蒸留、分子蒸留、水蒸気蒸留等の方法を用いることができ、より具体的には、単式蒸留、分留、フラッシュ蒸留、蒸気蒸留、真空蒸留、短行程蒸留、薄膜蒸留、反応蒸留、抽出蒸留等の方法を用いることができる。
【0020】
本発明のアルキルグリセリルエーテルの製造方法は、さらに、開環工程の後に、アルキルグリセリルエーテルを含む生成物を蒸留する最終蒸留工程(以下「第2の蒸留工程」と称することもある)を含み得る。アルキルグリセリルエーテルを含む生成物を蒸留する方法は特に限定されず、例えば、常圧蒸留、減圧蒸留、分子蒸留、水蒸気蒸留等の方法を用いることができ、より具体的には、単式蒸留、分留、フラッシュ蒸留、蒸気蒸留、真空蒸留、短行程蒸留、薄膜蒸留、反応蒸留、抽出蒸留等の方法を用いることができる。
【0021】
本発明のアルキルグリセリルエーテルの製造方法は、さらに、開環工程の後に、アルキルグリセリルエーテルを含む生成物を脱臭する脱臭工程を含み得る。本発明においては、このような脱臭工程により、アルキルグリセリルエーテルの品質の安定性等を向上させることができるため好ましい。アルキルグリセリルエーテルを含む生成物を脱臭する方法は特に限定されないが、例えば、アルキルグリセリルエーテルを含む生成物に、常圧又は減圧下で、水、水蒸気又は不活性ガスを接触させる方法等を用いることができる。本発明の効果の観点からは、脱臭工程として、アルキルグリセリルエーテルを含む生成物に、0.10kPa以上10kPa以下の減圧環境下で水、水蒸気又は不活性ガスを1分以上1200分以下接触させる工程を含むことが好ましい。
【0022】
本発明においては、得られるアルキルグリセリルエーテルの品質の安定性等をより向上させる観点からは、減圧環境の圧力を0.50kPa以上7.0kPa以下とすることがより好ましく、1.0kPa以上5.0kPa以下とすることが更により好ましい。このとき、減圧環境の圧力がこの範囲を維持するような条件下で水蒸気を投入する際の水、水蒸気又は不活性ガスの投入量に特に制限はないが、アルキルグリセリルエーテルの品質安定性等の観点からは、アルキルグリセリルエーテル100質量部に対して1時間あたり0.1~50質量部投入し接触させることが好ましく、0.5~30質量部がより好ましく、1~10質量部がさらに好ましい。
【0023】
また、減圧環境の温度は特に限定されないが、例えば60℃以上160℃以下とすることが好ましく、80℃以上140℃以下とすることがより好ましく、90℃以上130℃以下とすることがさらに好ましい。また、脱臭工程においてアルキルグリセリルエーテルを水、水蒸気又は不活性ガスに接触させる時間は、アルキルグリセリルエーテルの品質の安定性等をより向上させる観点からは、30分以上600分以下とすることが好ましく、60分以上300分以下とすることがより好ましく、60分以上180分以下とすることが更により好ましい。
【0024】
また、本発明は、植物由来アルコール化合物と、植物由来エピクロルヒドリンとを反応させてヒドリン化体を得るヒドリン化工程と、得られたヒドリン化体を閉環させて閉環化体を得る閉環工程と、得られた閉環化体を開環する開環工程、により製造されるアルキルグリセリルエーテルに関する。本発明において、ヒドリン化工程として植物由来アルコール化合物と、植物由来エピクロルヒドリンとを反応させる方法、閉環工程としてヒドリン化体を閉環させて閉環化体を得る方法、開環工程として閉環化体を開環する方法は、それぞれ前述した方法を用いることができる。
本発明のアルキルグリセリルエーテルは植物由来アルコール化合物及び植物由来エピクロルヒドリンを原料に由来する不可避不純物をわずかに含む。前記不可避不純物を特定することで本発明のアルキルグリセリルエーテルと非植物由来の原料から製造される公知のアルキルグリセリルエーテルとを区別することが可能ではあるが、原料となる植物の種類によって含まれる不純物は異なり、一様に不可避不純物を特定することは不可能である。そのため、本発明のアルキルグリセリルエーテルを、原料を限定した製造方法により特定する。
【0025】
また、本発明のアルキルグリセリルエーテルは、植物由来アルコール化合物と植物由来エピクロルヒドリンとを反応させてヒドリン化体を得るヒドリン化工程、得られたヒドリン化体を閉環させて閉環化体を得る閉環工程、得られた閉環化体を開環する開環工程以外に、本発明の効果を損なわない範囲で他の工程を用いて製造されるアルキルグリセリルエーテルであってもよく、例えば、閉環工程の後に閉環化体を含む生成物を蒸留する中間蒸留工程(第1の蒸留工程)、開環工程の後にアルキルグリセリルエーテルを含む生成物を蒸留する最終蒸留工程(第2の蒸留工程)、開環工程の後にアルキルグリセリルエーテルを含む生成物を脱臭する脱臭工程等をさらに用いて製造されてもよい。
【0026】
本発明においては、本発明の効果の観点から、植物由来アルコール化合物として、炭素数5~18の直鎖アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物、炭素数5~18の分岐アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物、又は、炭素数5~18の脂環式アルキル基を有する1価の植物由来アルコール化合物を用いて製造される、炭素数5~18の直鎖アルキル基、炭素数5~18の分岐アルキル基、又は、炭素数5~18の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルであることが好ましい。本発明のアルキルグリセリルエーテルは、例えば、化粧料や洗浄剤に抗菌剤として添加して使用することができる。
【0027】
本発明のアルキルグリセリルエーテルは、長期の品質安定性の面からは、アルキルグリセリルエーテルと、トコフェロール類等の酸化防止剤をアルキルグリセリルエーテル100質量部に対して0.05~0.30質量部含有する、アルキルグリセリルエーテル含有組成物としてもよい。酸化防止剤としては、例えば、d-α-トコフェロール、dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール等のトコフェロール類やその他の公知の酸化防止剤を用いることができるが、長期の品質安定性の面からは、アルキルグリセリルエーテル含有組成物中の酸化防止剤全量のうちトコフェロール類が50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、75質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、100質量%(酸化防止剤がトコフェロール類のみからなる)であることが特に好ましい。
【0028】
本発明の化粧料組成物又は洗浄剤組成物は、前述のアルキルグリセリルエーテルを含有する化粧料組成物又は洗浄剤組成物である。本発明のアルキルグリセリルエーテルの化粧料組成物又は洗浄剤組成物における配合量は特に限定されないが、好ましくは化粧料組成物又は洗浄剤組成物全量に対して0.01~20.0質量%になるように添加することが好ましく、0.05~10.0質量%がより好ましく、0.10~5.0質量%が更に好ましい。
【0029】
本発明の化粧料組成物又は洗浄剤組成物の具体的な使用形態は特に限定されず、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、化粧水、化粧液、乳液、クリーム、洗顔フォーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、クレンジングオイル、養毛剤、ヘアリキッド、セットローション、ヘアブリーチ、カラーリンス、パーマネントウェーブ液、口紅、パック、ファンデーション、オーデコロン、サンスクリーン、防臭剤、香水及び化粧オイル等が挙げられる。
【0030】
本発明の化粧料組成物又は洗浄剤組成物は、使用目的に応じて保存時、使用時、使用後にて各種特性(溶解性、分散性、安定性、使用感、塗布性、浸透性、保湿性、安全性、意匠性、光学特性、芳香性、美白性等)を向上改質させるために化粧料又は洗浄剤で一般に使用される添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、高級アルコール、粉末成分、高級脂肪酸、保湿剤、水溶性高分子、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、水、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸及びその誘導体、有機アミン、pH調整剤、ビタミン、紫外線防御成分、酸化防止剤、増粘剤、その他の配合可能成分(防腐剤、血行促進剤、消炎剤、賦活剤、美白剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、各種抽出物及び植物海藻エキス等)が挙げられ、これらの1種又は2種以上を任意に配合することができる。
【0031】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖高級アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分岐鎖高級アルコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0032】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン、ジェランガム等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等);ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000又は60,000を原料とするポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0037】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0039】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール等)、3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0040】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0041】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0042】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0044】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0045】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0046】
ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0047】
紫外線防御成分としては、粉体顔料、金属粉末顔料等の無機系の紫外線防御成分及びこれらの表面処理品や、有機系の紫外線防御成分を用いることができ、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタンなどの金属酸化物、水酸化鉄などの金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレークなどの金属フレーク類、炭化珪素などのセラミック類およびこれらのフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理品等や、サリチル酸系、パラアミノ安息香酸系、ベンゾフェノン系、ケイ皮酸系、ベンゾイルメタン系、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルへキシル、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、シノキサート、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、これらの高分子誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0048】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0049】
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、βグルカン、βグルカン誘導体、ジェランガム、デキストラン、α-グルコース及びα-グルコースの誘導体、セルロース又はその誘導体、ケラチン及びコラーゲン又はそれらの誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、カルボマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムヘクトライト、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0050】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0051】
本発明の化粧料組成物又は洗浄剤組成物における、高級アルコール、粉末成分、高級脂肪酸、保湿剤、水溶性高分子、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、水、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸及びその誘導体、有機アミン、pH調整剤、ビタミン、紫外線防御成分、酸化防止剤、その他の配合可能成分(防腐剤、血行促進剤、消炎剤、賦活剤、美白剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、各種抽出物及び植物海藻エキス等)を添加する際のそれぞれの含有量は特に限定されず、実施態様や目的に応じて調整すればよいが、例えば、化粧料組成物又は洗浄剤組成物の全質量に対して0.001~50.0質量%をそれぞれ添加してもよい。
【実施例0052】
以下本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
【0053】
<製造例1:ヘキシルグリセリルエーテルの製造>
植物由来アルコール化合物として植物由来のヘキサノール(n-ヘキサノール)を824gと、触媒として無水塩化第二錫3.5gとを反応容器へ加え、80℃に昇温しながら植物由来エピクロルヒドリン(Solvay社製Epicerol(登録商標))249gを加えた後、80℃で4時間反応させることで、ヒドリン化体(498g)を得た。その後、150℃で2.0kPaに減圧することで、未反応の植物由来のヘキサノールを除去した。続いて、常圧で48%水酸化ナトリウム水溶液234gを加えた後、60℃で5時間反応させることで、ヒドリン化体を閉環反応により閉環させて、閉環化体(364g)を得た。続いて、得られた閉環化体を130℃、2.0kPaに減圧することで蒸留した。続いて、常圧で水497g、75%リン酸水溶液1.1gを加えた後、170℃で0.8MPaにて反応させることで、ヘキシルグリセリルエーテル(365g)を得た。さらに、160℃~210℃、1.0kPaにてヘキシルグリセリルエーテルを蒸留した後、110℃、4.0kPaの減圧下でグリセリルエーテル100gに対して1時間あたり10gの水蒸気に接触させることでヘキシルグリセリルエーテルを脱臭した。
【0054】
<製造例2:オクチルグリセリルエーテルの製造>
植物由来アルコール化合物として植物由来のn-オクタノールを1051gと、触媒として無水塩化第二錫3.5gとを反応容器へ加え、80℃に昇温しながら植物由来エピクロルヒドリン(Solvay社製Epicerol(登録商標))249gを加えた後、80℃で4時間反応させることで、ヒドリン化体(570g)を得た。その後、150℃で2.0kPaに減圧することで、未反応の植物由来のn-オクタノールを除去した。続いて、常圧で48%水酸化ナトリウム水溶液234gを加えた後、60℃で5時間反応させることで、ヒドリン化体を閉環反応により閉環させて、閉環化体(429g)を得た。続いて、得られた閉環化体を130℃、2.0kPaに減圧することで蒸留した。続いて、常圧で水585g、75%リン酸水溶液1.3gを加えた後、170℃で0.8kPaにて反応させることで、n-オクチルグリセリルエーテル(423g)を得た。さらに、160℃~210℃、1.0kPaにてn-オクチルグリセリルエーテルを蒸留した後、110℃、4.0kPaの減圧下でグリセリルエーテル100gに対して1時間あたり10gの水蒸気に接触させることでn-オクチルグリセリルエーテルを脱臭した。
【0055】
<製造例3:2-エチルヘキシルグリセリルエーテルの製造>
植物由来アルコール化合物として植物由来のn-ブタノールを縮合させることで製造した2-エチルヘキサノールを1051gと、触媒として無水塩化第二錫3.5gとを反応容器へ加え、80℃に昇温しながら植物由来エピクロルヒドリン(Solvay社製Epicerol(登録商標))249gを加えた後、80℃で4時間反応させることで、ヒドリン化体(570g)を得た。その後、150℃で2.0kPaに減圧することで、未反応の植物由来の2-エチルヘキサノールを除去した。続いて、常圧で48%水酸化ナトリウム水溶液234gを加えた後、60℃で5時間反応させることで、ヒドリン化体を閉環反応により閉環させて、閉環化体(429g)を得た。続いて、得られた閉環化体を130℃、2.0kPaに減圧することで蒸留した。続いて、常圧で水585g、75%リン酸水溶液1.3gを加えた後、170℃で0.8kPaにて反応させることで、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(423g)を得た。さらに、160℃~210℃、1.0kPaにて2-エチルヘキシルグリセリルエーテルを蒸留した後、110℃、4.0kPaの減圧下でグリセリルエーテル100gに対して1時間あたり10gの水蒸気に接触させることで2-エチルヘキシルグリセリルエーテルを脱臭した。
【0056】
本発明によれば、植物由来アルコール化合物を用いてアルキルグリセリルエーテルを製造することができる。