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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163831
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】MFI型ゼオライト
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/36 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
C01B39/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068899
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智
(72)【発明者】
【氏名】三島 崇禎
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA69
4G073BA75
4G073BA82
4G073BB05
4G073BD10
4G073BD21
4G073CZ49
4G073FA10
4G073FB28
4G073FC12
4G073FC19
4G073FC30
4G073GA01
4G073GA11
4G073GA12
4G073GB02
4G073UA01
(57)【要約】
【課題】 蝋状分子を含む炭化水素供給材料の接触的脱蝋反応用触媒等で高い適性の期待されるゼオライトを提供する。
【解決手段】 下記(i)および(ii)の特性を満足することを特徴とするMFI型ゼオライト。
(i)窒素物理吸着に関してt-プロット法に依って測定される全表面積が≧500m/g以上である。
(ii)分散液の状態において動的光散乱法で測定した粒子径分布の体積基準の累積曲線におけるメジアン径(D50)が10μm以下である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)および(ii)の特性を満足することを特徴とするMFI型ゼオライト。
(i)窒素物理吸着に関してt-プロット法に依って測定される全表面積が500m/g以上である。
(ii)分散液の状態において動的光散乱法で測定した粒径分布の体積基準の累積曲線のメジアン径(D50)が10μm以下である。
【請求項2】
ゼオライトのアルミナに対するシリカのモル比(SiO/Al比)が50以上500以下であることを特徴とする請求項1に記載のゼオライト。
【請求項3】
ケイ素源、アルミニウム源、テトラプロピルアンモニウムカチオン、及びアルカリ金属源を含み、かつSiO/Alのモル比が50以上500以下であり、かつ以下のモル組成を有する原料組成物を80℃以上200℃以下で結晶化する結晶化工程を有することを特徴とする請求項1あるいは2に記載のMFI型ゼオライトの製造方法。
TPA/SiO 0.01以上0.2以下
OH/SiO 0.05以上0.5以下
【請求項4】
結晶化温度が80℃以上180℃以下であることを特徴とする請求項3に記載のMFI型ゼオライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い全表面積を有するMFI型ゼオライトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、ゼオライト構造由来の均一な細孔を利用した吸着剤、分子篩、高選択性触媒等として用いられている。その中で、国際ゼオライト学会に登録されているゼオライト構造の一つであるMFI型(またはZSM-5)ゼオライトは、例として、減圧軽油の流動接触分解(FCC)用触媒等で現在世界中で工業的に利用されている。(例えば、特許文献1、2参照。)
ゼオライトは、骨格構造内にミクロ細孔と呼ばれる細孔径が2nm以下の細孔を有することを特徴とする。分子径が2nmより小さい分子を反応基質とし、ゼオライトを触媒に用いた反応の場合、反応基質はミクロ細孔内へ拡散し、ミクロ細孔内部で反応が進行する。
【0003】
このミクロ細孔は、炭化水素供給材料との触媒反応が進行するに従い、生成する重質炭化水素成分により閉塞し(コーキング)、結晶内部の触媒反応活性点への供給材料のアクセスが阻害されるため、経時的に反応活性が低下する。ゼオライトの結晶径が大きいほど、ゼオライト結晶表面のコーキングにより阻害される結晶内部の反応活性点が多いため、短時間で触媒が失活する。そのため、ゼオライト結晶の小粒径化により触媒や吸着剤などの用途における寿命の改善が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4773420号公報
【特許文献2】特許第5339845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、結晶の粒径が小さく高い全表面積を有し、長寿命など触媒としての適性の期待されるMFI型ゼオライトを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、従来よりも結晶粒径が小さく高い全表面積を有し、寿命の改善が期待され操作性に優れたMFI型ゼオライトを作製し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は特許請求の範囲に記載の発明の通りであり、また、本開示の要旨は以下の通りである。
【0008】
[1] 下記(i)および(ii)の特性を満足することを特徴とするMFI型ゼオライト。
(i)窒素物理吸着に関してt-プロット法に依って測定される全表面積が500m/g以上である。
(ii)分散液の状態において動的光散乱法で測定した粒径分布の体積基準の累積曲線のメジアン径(D50)が10μm以下である。
[2] ゼオライトのアルミナに対するシリカのモル比(SiO/Al比)が50以上500以下であることを特徴とする[1]に記載のゼオライト。
[3] ケイ素源、アルミニウム源、テトラプロピルアンモニウムカチオン、及びアルカリ金属源を含み、かつSiO/Alのモル比が50以上500以下であり、かつ以下のモル組成を有する原料組成物を80℃以上200℃以下で結晶化する結晶化工程を有することを特徴とする[1]あるいは[2]に記載のMFI型ゼオライトの製造方法。
TPA/SiO 0.01以上0.2以下
OH/SiO 0.05以上0.5以下
[4] 結晶化温度が80℃以上180℃以下であることを特徴とする[3]に記載のMFI型ゼオライトの製造方法。
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のMFI型ゼオライトは上記(i)および(ii)の特性を満足するものであり、MFI型ゼオライトとしては、国際ゼオライト学会で定義される構造コードMFIに属するアルミノシリケート化合物を示すものである。
【0011】
本発明における全表面積、は、窒素吸着法で得られた測定結果を解析することにより得ることができる。その解析には、t-プロット法(Studies on Pore System in Catalyst V. The t Method、1965年)を使用する。
【0012】
窒素吸着法により得られた吸着等温線を、窒素分子における単分子層の厚み0.354nmを用い、窒素分子が吸着される試料表面に六方最密充填していると仮定すると、下記式(1)のように吸着量を吸着層の厚みに換算することができる。
【0013】
【数1】
【0014】
tは吸着層の厚み、Vaは単位重量(g)あたりの窒素吸着量、Vmは窒素単分子層の吸着量を表す。これにより原点を通る吸着層厚みと吸着量の曲線(t-プロット)が得られ、原点を通るt-プロットの直線近似の傾き(L1)から全表面積を算出することができる。
【0015】
ゼオライトは一般的に結晶構造に応じたマイクロ孔を有するため、窒素吸着初期には外部表面に加えマイクロ孔内部へ吸着され、傾きは大きくなる(L1)。一方吸着が進行しマイクロ孔への吸着が完了すると、外部表面への吸着のみとなるため、t-プロットの傾きはL1より小さくなる。
【0016】
L1を導出するための直線近似は、原点とt≦0.6nmの範囲の任意の測定点との直線近似により求められる。
【0017】
本発明のMFI型ゼオライトは、(i)窒素物理吸着に関してt-プロット法に依って測定される全表面積が500m/g以上である。510m/g以上であると好ましい。ゼオライトの結晶径が小さいほど全表面積は大きいため、ゼオライト結晶内の反応活性点がコーキングにより阻害されにくく、触媒寿命が長時間化することが期待できる。全表面積が500m/g未満であると触媒寿命改善が十分とはいえなくなる。
【0018】
MFI型ゼオライトの粒子径を測定する方法としては、分散液の状態において動的光散乱法で測定する方法を用いる。
【0019】
本発明のMFI型ゼオライトの粒径分布の体積基準の累積曲線のメジアン径(D50)は10μm以下である。5μm以下であると好ましい。10μmを超えた場合、本発明のMFI型ゼオライトを含む触媒の加工時の操作性が悪く、例えば成形加工前の混錬物の粘度増加を招く。平均粒子径を10μm以下にすることで加工時に高い分散性を有し、生産性に優れるMFI型ゼオライトとなる。
【0020】
本願発明のMFI型ゼオライトは、耐熱性、反応選択性、生産性により優れる触媒となることから、SiO/Al(モル比)が50以上500以下が好ましく、50以上400以下がより好ましく、60以上300以下が特に好ましく、70以上250以下が最も好ましい。
【0021】
本願発明のMFI型ゼオライトを用いる際の形態としては、制限されるものではなく、例えば合成されたMFI型ゼオライト粉末をそのまま触媒として用いること、圧縮成型を行い特定の形状物として用いること、バインダー等と混合し成形を行い特定の形状物として用いること、等のいずれの形態として用いることも可能である。
【0022】
次に、本発明のMFI型ゼオライトの製造方法について説明する。
【0023】
本願発明のMFI型ゼオライトはケイ素源、アルミニウム源、テトラプロピルアンモニウムカチオン、及びアルカリ金属源を含み、かつSiO/Alのモル比が50以上500以下であり、かつ以下のモル組成を有する原料組成物を80℃以上200℃以下で結晶化する結晶化工程を有する製造方法により製造することができる。
【0024】
TPA/SiO 0.01以上0.2以下
OH/SiO 0.05以上0.5以下
ケイ素源はケイ素(Si)を含む化合物であり、例えば、テトラエトキシシラン、シリカゾル、ヒュームドシリカ、沈降法シリカ、ケイ酸ソーダ、無定形ケイ酸、及び無定形アルミノケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種等を挙げることができる。工業的な製造に適しているため、ケイ素源はシリカゾル、ヒュームドシリカ、沈降法シリカ、ケイ酸ソーダ、無定形ケイ酸、及び無定形アルミノケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0025】
アルミニウム源はアルミニウム(Al)を含む化合物であり、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル、アルミン酸ソーダ、及び無定形アルミノケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種等が例示できる。工業的な製造に適しているため、アルミニウム源は硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル、アルミン酸ソーダ、及び無定形アルミノケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種
であることが好ましい。
【0026】
原料組成物におけるアルミニウムに対するシリカのモル比(以下「SiO/Al」とする。)としては50以上500以下が挙げられる。50以上400以下が好ましく、特に60以上300以下が好ましく、70以上250以下が最も好ましい。
【0027】
TPA(テトラプロピルアンモニウムカチオン)は、TPAを含む化合物として原料組成物に含まれる。TPAを含む化合物として、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(以下、「TPAOH」とする。)、テトラプロピルアンモニウムクロリド(以下、「TPACl」とする。)、及びテトラプロピルアンモニウムブロミド(以下、「TPABr」とする。)からなる群から選択される少なくとも1つを挙げることができ、さらに好ましくはTPABrを挙げることができる。
【0028】
TPAはSDAとして機能する。TPAを含有する原料組成物を結晶化することで、一次粒子の形状が制御され、高い表面積を有するMFI型ゼオライトを得ることができる。構造指向剤としての効果を十分に得るために、原料組成物中のシリカに対するTPAのモル比(以下、「TPA/SiO」とする。)としては0.01以上、0.2以下が挙げられる。
【0029】
アルカリ金属源は、アルカリ金属(以下、「M」とする。)としてナトリウム含む化合物であり、ナトリウム(Na)を含む水酸化物、塩化物、臭化物、硫化物、及び珪酸塩からなる群から選択される少なくとも1種、更にはナトリウムを含む水酸化物を例示することができる。ナトリウムを含む化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ケイ酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、及び、他の成分のカウンターカチオンとして含まれるナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種が例示できる。
【0030】
原料組成物中のシリカに対するナトリウムのモル比(以下「Na/SiO」とする。)は特に限定されないが、0.01以上0.80以下が好ましく、0.05以上0.5以下が特に好ましい。
【0031】
OH(水酸化物アニオン)は鉱化剤として機能する。鉱化剤としての効果を十分に得るために、混合物中のシリカに対するOHのモル比(以下、「OH/SiO」とする。) としては、0.05以上、0.5以下が挙げられる。0.1以上、0.4以下であることが好ましい。
【0032】
原料組成物はケイ素源およびアルミニウム源に対して十分に少ない量の種晶を含んでいてもよい。種晶を混合することでMFI型ゼオライトの結晶化が促進される傾向がある。
【0033】
原料組成物に混合される種晶としてMFI型ゼオライト、MTW型ゼオライト、MWW型ゼオライトの群から選ばれる1以上が好ましく、MFIゼオライトであることがより好ましい。同構造のゼオライトを用いることでより簡便に純度の高いMFI型ゼオライトを得ることが可能である。
【0034】
原料組成物の組成は、としては、以下のモル組成が挙げられる。
【0035】
TPA/SiO 0.01以上0.2以下
OH/SiO 0.05以上0.5以下
なお、上記組成における各割合はモル(mol)割合である。
【0036】
好ましい組成としては、以下を挙げることができる。
【0037】
TPA/SiO 0.02以上0.2以下
OH/SiO 0.1以上0.4以下
また、原料組成物中のシリカに対するHOのモル比(以下「HO/SiO」とする。)は特に限定されないが、1以上100以下が好ましい。
上記組成等の原料混合物を密閉式圧力容器中で、80℃以上200℃以下の任意の温度で、十分な時間をかけて結晶化させる結晶化工程により、本発明のMFI型ゼオライトが得られる。結晶化温度は80℃以上180℃以下であることがより好ましい。
【0038】
本発明の製造方法では、結晶化工程の後、洗浄工程、乾燥工程、TPA除去工程、及び、焼成工程から選択される一つ以上を有していてもよい。
【0039】
洗浄工程において、結晶化工程において得られたMFI型ゼオライトを固液分離し、これを固相として得る。洗浄方法は任意であるが、結晶化物を純水で洗浄することが好ましい。
【0040】
乾燥工程では、MFI型ゼオライトを乾燥する。乾燥方法は、大気中、100~200℃で処理することが挙げられる。
【0041】
TPA除去工程では、TPAを除去する。結晶化工程では、MFI型ゼオライトは、TPAを含有した状態で得られる。このようなTPAを含有したMFI型ゼオライトから、適宜、TPAを除去することができる。TPAの除去方法は、酸性水溶液による液相処理、熱分解処理及び焼成処理の群から選ばれる1つ以上が例示できる。製造効率の観点から、TPA除去工程は熱分解処理及び焼成処理の少なくともいずれかであることが好ましい。
熱分解処理および焼成処理によりTPAを除去する場合、含酸素ガス流通下で、300℃以上800℃以下、更には400℃以上700℃以下、0.5から12時間処理することが挙げられる。
【0042】
TPA除去工程においては、熱分解処理および焼成処理によるTPA除去後のMFI型ゼオライトを再洗浄してもよい。これにより、残存したアルカリ金属の低減若しくは除去ができる。再洗浄の方法として、水、塩化アンモニウム水溶液、希塩酸、希硫酸、及び希硝酸の群から選ばれる少なくとも1種と、TPA除去後のMFI型ゼオライトを混合することが挙げられる。混合後のMFI型ゼオライトは、例えば、純水による洗浄等、任意の方法で洗浄すればよい。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、高い全表面積を有するMFI型ゼオライトを提供するものであり、触媒や吸着剤などの用途に適応した場合、触媒寿命の改善が期待できるものとなり、工業的に非常に有用であるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】実施例1により得られたMFI型ゼオライトのSEM観察像である。
図2】実施例2により得られたMFI型ゼオライトのSEM観察像である。
図3】実施例3により得られたMFI型ゼオライトのSEM観察像である。
【実施例0045】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
なお実施例により得られたMFI型ゼオライトは以下の方法により評価・測定した。
【0047】
~全表面積の測定~
全表面積は窒素吸着測定により測定した。窒素吸着測定には、一般的な窒素吸着装置(商品名:BELSOAP-miniII、マイクロトラック・ベル社製)を用い、相対圧(P/P)0.05間隔で測定した。外表面積は、t-plot法により求めた。上記L1は上記t-plotの原点とt≦0.6nmの範囲の任意の測定点との直線近似により求めた。L1の値から、全表面積を算出した。細孔分布曲線の解析には日本ベル社製のBELMaster(ver.6.4.1.0)を用いた。
【0048】
~メジアン径(D50)の測定~
光散乱式粒度分布測定により、粒径分布の体積基準の累積曲線を測定した。測定には、光散乱式粒子径分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3300EXII、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いた。得られた粒径分布の体積基準の累積曲線から、メジアン径(D50)を得た。なお粒子屈折率は1.66、粒子の設定は透明非球状粒子、溶媒の液体屈折率は1.33とした。
【0049】
~SiO/Alモル比の測定~
ゼオライトのSiO/Alモル比は、MFI型ゼオライトをフッ酸と硝酸の混合水溶液で溶解し、これをICP装置(商品名:OPTIMA3300DV,PerkinElmer社製)による誘導結合プラズマ発光分光分析((商品名)ICP-AES)での測定に供することにより得た。
【0050】
~粉末X線回折の測定~
X線回折装置(商品名:UltimaIV、リガク社製)を使用し、試料のXRD測定をした。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を使用し、測定範囲は2θとして3°から43°の範囲で測定した。得られたXRDパターンと、国際ゼオライト学会に登録されているMFI型ゼオライトのXRDパターンとを比較することで、試料の構造を同定した。
【0051】
実施例1
TPABrと水酸化ナトリウムの水溶液に不定形アルミノシリケートゲルを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え以下のモル比組成からなる原料組成物とした。種晶の添加量は、原料組成物中のAlとSiOの重量に対して、0.1重量%とした。
SiO/Al 123
TPA/SiO 0.047
Na/SiО 0.160
OH/SiO 0.160
O/SiO
【0052】
得られた原料組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、結晶化温度180℃で攪拌しながら12時間結晶化させ、スラリー状混合液を得た。結晶化後のスラリー状混合液を固液分離した後、十分量の純水で固体粒子を洗浄し、110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。そして、得られた乾燥粉末15gを、600℃で1時間焼成後、60℃、20重量%の塩化アンモニウム水溶液100ml中で20時間交換、ろ過、洗浄してアンモニウム型のMFI型ゼオライトとした。得られたMFI型ゼオライトは、メジアン径(D50)3.4μm、SiO/Alモル比120であった。また、MFI型ゼオライトの全表面積は510m/gであった。
【0053】
実施例2
反応温度を180℃に代えて150℃にし撹拌結晶化した以外は実施例1 と同様の操作を行い、MFI型ゼオライトを得た。得られたMFI型ゼオライトは、メジアン径(D50)3.5μm、SiO/Alモル比122であった。また、MFI型ゼオライトの全表面積は519m/gであった。
【0054】
実施例3
反応温度を180℃に代えて120℃にし撹拌結晶化した以外は実施例1と同様の操作を行い、MFI型ゼオライトを得た。得られたMFI型ゼオライトは、メジアン径(D50)1.7μm、SiO/Alモル比122であった。また、MFI型ゼオライトの全表面積は537m/gであった。
【0055】
比較例1
MFI型ゼオライト(商品名:HSZ-840HOA、東ソー株式会社製)について、実施例と同様の方法で平均粒子径および全表面積を評価した。その結果、メジアン径(D50)12.0μm、SiO/Alモル比40、全表面積は469m/gであった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
触媒用吸着剤用等の用途に適した表面積を改良されたMFI型ゼオライトを提供するものであり、工業的にも非常に有用である。
図1
図2
図3