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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163856
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20221020BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20221020BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221020BHJP
   H05F 3/04 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/78 N
H01L21/304 621
H05F3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068947
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄司 啓一
(72)【発明者】
【氏名】新田 秀次
【テーマコード(参考)】
5F057
5F063
5F131
5G067
【Fターム(参考)】
5F057AA16
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB07
5F057BB09
5F057BB12
5F057DA02
5F057DA11
5F057DA14
5F057DA21
5F063AA13
5F063FF33
5F063FF42
5F063FF43
5F063FF45
5F063FF55
5F131AA02
5F131AA21
5F131AA22
5F131AA23
5F131BA31
5F131BA32
5F131BA37
5F131BA43
5F131CA05
5F131CA16
5F131DA13
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DB22
5F131DB42
5F131DB62
5F131DB72
5F131EA05
5F131EA06
5F131EA14
5F131EA15
5F131EA22
5F131EA24
5F131EB01
5F131EB82
5F131FA13
5F131FA14
5F131FA32
5F131JA36
5G067AA42
5G067DA01
5G067DA18
5G067DA22
(57)【要約】
【課題】基板を除電する場合に、基板全体を均一に除電できるようにする。
【解決手段】基板19を搬送する搬送装置4であって、保持テーブル30に保持された基板19を上方から保持する保持プレート41と、基板19を保持テーブル30から少なくとも剥離させる方向に保持プレート41を移動させる移動ユニット42と、イオン化されたエアを噴射するエア噴射口440を有する除電装置44と、を備え、エア噴射口440は、保持プレート41に基板19の外周に沿うように形成され、除電装置44は、基板19を基板19の外周側から多角的に除電することを特徴とする搬送装置4。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送装置であって、
保持テーブルに保持された該基板を上方から保持する保持プレートと、
該基板を該保持テーブルから少なくとも剥離させる方向に該保持プレートを移動させる移動ユニットと、
イオン化されたエアを噴射するエア噴射口を有する除電装置と、を備え、
該エア噴射口は、該保持プレートに該基板の外周に沿うように形成され、
該除電装置は、該基板を該基板の外周側から多角的に除電することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記エア噴射口は、前記保持プレートに前記基板の外周に沿うように間隔を空けて複数形成される事を特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記エア噴射口は、前記保持プレートに前記基板の外周に沿うようにスリット状に形成される事を特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板を搬送するとともに除電する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板処理装置内に設置されるイオナイザ(例えば、特許文献1参照)は、保持テーブルや装置基台の搬送経路等に設置されており、帯電した基板に向かって除電するためのイオン化されたエアを噴射するが、設置できる面積が限られるため、基板に対し一方向からイオン化されたエアを吹き付けるバー状のイオナイザ、又はノズル状のイオナイザが一般的となっている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-327613号公報
【特許文献2】特開2002-066865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献2に開示されているように、基板に対して一方向からイオン化エアを噴射する場合、基板全体を均一に除電できないという問題があった。また搬送中に基板を除電するために除電装置を備えた搬送ユニットも開発されているが、基板の上方や下方、又は側方などの一方向からエアを噴射する事が一般的であった。
【0005】
よって、基板を除電する場合には、基板全体を均一に除電できるようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、基板を搬送する搬送装置であって、保持テーブルに保持された該基板を上方から保持する保持プレートと、該基板を該保持テーブルから少なくとも剥離させる方向に該保持プレートを移動させる移動ユニットと、イオン化されたエアを噴射するエア噴射口を有する除電装置と、を備え、該エア噴射口は、該保持プレートに該基板の外周に沿うように形成され、該除電装置は、該基板を該基板の外周側から多角的に除電することを特徴とする搬送装置である。
【0007】
本発明に係る搬送装置において、前記エア噴射口は、前記保持プレートに前記基板の外周に沿うように間隔を空けて複数形成されていると好ましい。
【0008】
本発明に係る搬送装置において、前記エア噴射口は、前記保持プレートに前記基板の外周に沿うようにスリット状に形成されていると好ましい。
【発明の効果】
【0009】
基板を搬送する本発明に係る搬送装置は、保持テーブルに保持された基板を上方から保持する保持プレートと、基板を保持テーブルから少なくとも剥離させる方向に保持プレートを移動させる移動ユニットと、イオン化されたエアを噴射するエア噴射口を有する除電装置と、を備え、エア噴射口は、保持プレートの例えば下面に基板の外周に沿うように形成されていることで、除電装置によって、エア噴射口からイオン化されたエアを噴射し、基板を基板の外周側から多角的に除電することが可能となり、基板全体を均一に除電することが可能となる。
【0010】
本発明に係る搬送装置において、エア噴射口は、保持プレートの例えば下面に基板の外周に沿うように間隔を空けて複数形成されていることで、複数のエア噴射口からイオン化されたエアを噴射し、基板を基板の外周側から多角的に除電することが可能となり、基板全体を均一に除電することが可能となる。
【0011】
本発明に係る搬送装置において、エア噴射口は、保持プレートの例えば下面に基板の外周に沿うようにスリット状に形成されていることで、エア噴射口からイオン化されたエアを噴射し、基板を基板の外周側から多角的に除電することが可能となり、基板全体を均一に除電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】基板を除電できる搬送装置を備え、基板を切削加工する加工装置の一例を示す斜視図である。
図2】保持プレートと、保持プレートに設置された除電装置との一例を示す斜視図である。
図3】保持プレートと、保持プレートに設置された除電装置との別例を示す斜視図である。
図4】保持プレートの下面側に保持プレートの周方向に所定間隔を空けて形成された円形のエア噴射口を説明する平面図である。
図5】保持プレートの下面側に円周状に全周連続した一本のスリット状のエア噴射口を説明する平面図である。
図6】保持プレートの下面側に円周状に等間隔を空けて不連続に形成された複数のスリット状のエア噴射口を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す加工装置1は、例えば、保持テーブル30に保持された基板19に対して第1切削ユニット61、又は第2切削ユニット62によって切削加工を施す切削装置であり、本発明に係る第1搬送装置4、及び第2搬送装置5を備えている。なお、第1搬送装置4、及び第2搬送装置5は、レーザー照射によって基板19に所望の加工(例えば、基板改質や溝形成)を施すレーザー加工装置、回転する研削砥石で基板19を研削して薄化する研削装置、又は研磨パッドで基板19を研磨する研磨装置に配設されていてもよいし、第1搬送装置4、又は第2搬送装置5単体で使用可能となっていてもよい。また、加工装置1は、例えば第2搬送装置5のみを備えていてもよい。
【0014】
基板19は、例えば、円形板状のシリコン半導体ウェーハであり、基板19の上側を向いた状態の表面190には、分割予定ライン191によって区画された格子状の領域にデバイス192が形成されている。例えば、基板19の裏面193はダイシングテープ198の貼着面(表面)に貼着されている。ダイシングテープ198の外周部は環状フレーム197に貼着されており、これにより、基板19は、ダイシングテープ198を介して環状フレーム197に支持され、環状フレーム197を用いたハンドリングが可能なワークセット199となっている。環状フレーム197の中心と基板19の中心とは略合致した状態になっている。なお、基板19は上記例に限定されるものではなく、ワークセット199となっておらず単体となっていてもよく、シリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、樹脂、セラミックス、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、パッケージ基板等でもよい。
【0015】
図1に示すように、加工装置1の基台10上の後方側(-X方向側)には、図示しない筐体内部に加工室が画成されており、該加工室内部に、第1切削ユニット61、第1切削ユニット61をY軸方向にインデックス送りする第1インデックス送りユニット21、及び第1切削ユニット61をZ軸方向(鉛直方向)に切込み送りする第1切込み送りユニット24、並びに第2切削ユニット62、第2切削ユニット62をY軸方向にインデックス送りする第2インデックス送りユニット22、及び第2切削ユニット62をZ軸方向に切込み送りする第2切込み送りユニット25が配設されている。
【0016】
加工装置1の基台10上の前方側(+X方向側)は、X軸方向に往復移動可能な保持テーブル30に対するワークセット199の搬入出、及び切削加工が施された基板19の洗浄等が実施される着脱領域となっている。
【0017】
保持テーブル30は、カバー31によって周囲から囲まれ、カバー31の下方に配設された図示しない回転ユニットによりZ軸方向の回転軸を軸に回転可能になっている。カバー31には、X軸方向に伸縮する蛇腹カバー311が連結しており、カバー31及び蛇腹カバー311の下方には、保持テーブル30を切削送り方向(X軸方向)に往復移動させる図示しない切削送りユニットが配設されている。切削送りユニットは、例えば、モータによりボールネジを回動させて保持テーブル30を切削送りするボールネジ機構である。
【0018】
図1に示す保持テーブル30は、例えば、平面視円形状であり、図示しない吸引源に連通する保持面300上で基板19を吸引保持する。また、保持テーブル30の周囲には、本実施形態のように基板19がワークセット199となっている場合に、環状フレーム197を挟持固定できる固定クランプ32が例えば4つ周方向に等間隔を空けて均等に配設されている。
【0019】
保持テーブル30の移動経路の上方に互いが対向するように配設された第1切削ユニット61と第2切削ユニット62、第1インデックス送りユニット21と第2インデックス送りユニット22、及び第1切込み送りユニット24と第2切込み送りユニット25は、それぞれ略同様の構成をしているため、第1切削ユニット61、第1インデックス送りユニット21、及び第1切込み送りユニット24についてのみ説明する。
なお、加工装置1は、本実施形態のようなデュアルカットが実施可能であるタイプに限定されない。
【0020】
加工装置1の基台10上の後方側(-X方向側)には、保持テーブル30の移動経路を跨ぐように加工室門型コラム11が立設されており、加工室門型コラム11の前面に、第1切削ユニット61、第1インデックス送りユニット21、及び第1切込み送りユニット24が配設されている。
【0021】
図1に示すように、第1インデックス送りユニット21は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ210と、ボールネジ210と平行に配設された一対のガイドレール211と、ボールネジ210を回動させる図示しないモータと、内部のナットがボールネジ210に螺合し側部が一対のガイドレール211に摺接する可動板213とを備えており、図示しないモータによってボールネジ210が回転駆動され、これに伴い可動板213が一対のガイドレール211にガイドされてY軸方向に移動する構成となっている。可動板213がY軸方向に移動すると、第1切削ユニット61及び第1切込み送りユニット24も、Y軸方向に移動する。
【0022】
第1切込み送りユニット24は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心を有するボールネジ240と、ボールネジ240と平行に可動板213上に配設された一対のガイドレール241と、ボールネジ240を回動させるモータ242と、内部のナットがボールネジ240に螺合するとともに側部が一対のガイドレール241に摺接する昇降板243とを備えており、モータ242によってボールネジ240が回転駆動され、これに伴い昇降板243がガイドレール241にガイドされてZ軸方向に移動する構成となっている。
【0023】
第1切込み送りユニット24の昇降板243にアーム部材244を介して取り付けられ保持テーブル30の移動経路上方に位置付けされている第1切削ユニット61は、軸方向がY軸方向であるスピンドル610と、スピンドル610を回転可能に支持するスピンドルハウジング611と、スピンドル610を回転させる図示しないモータと、スピンドル610に固定されている切削ブレード613とを備えており、モータがスピンドル610を回転駆動することに伴って切削ブレード613も高速回転する。
【0024】
切削ブレード613の近傍には、切削ブレード613の径方向外側から切削ブレード613と基板19との接触部位(加工点)に向かって切削水を噴射する径方向ノズル615が配設されている。また、切削ブレード613の下部をY軸方向両側から挟むようにして、+X方向側に互いに平行に延びる一対の冷却水ノズル616が配設されている。一対の冷却水ノズル616は切削ブレード613の側面に向く複数の噴射口を備えており、噴射口から噴射される切削水によって、切削ブレード613は冷却及び洗浄される。
【0025】
例えば、スピンドルハウジング611の側面近傍には、基板19の切削すべき分割予定ライン191を、撮像画像を用いたパターンマッチングを実施して検出するアライメントユニット67が配設されている。第1切削ユニット61とアライメントユニット67は連動してY軸方向及びZ軸方向へと移動する。
【0026】
図1に示すように、加工装置1の基台10上の-Y方向側の一角には、カセット載置台13が設置されており、カセット載置台13は、その下方に配設された図示しない昇降エレベータによりZ軸方向に上下動可能となっている。そして、ワークセット199を複数枚内部の棚に収容したカセット14がカセット載置台13上に載置された状態で、昇降エレベータによりカセット載置台13が昇降されることで、カセット14から狙いの基板19を出し入れする際の高さ位置が調整される。
【0027】
例えば、図1に示すカセット載置台13に載置されたカセット14の+Y方向側の図示しない開口の前方には、カセット14から加工前の基板19を引き出すとともに、切削加工され洗浄されたワークセット199をカセット14に差し込むプッシュプル15が設けられている。
【0028】
例えば、保持テーブル30の移動経路の上方には、プッシュプル15によりカセット14から引き出されたワークセット199を一定の位置に位置合わせする一対のガイドレールからなるセンタリングガイド16が配設されている。断面がL字状に形成されY軸方向に延在する各ガイドレールは、X軸方向に相互に離間又は接近可能であり、段状のガイド面(内側面)が対向するように配置されている。保持テーブル30にワークセット199が搬入される際には、プッシュプル15によりカセット14から1つのワークセット199が引き出されてセンタリングガイド16に載置される。また、加工後のワークセット199の洗浄が完了すると、例えば第2搬送装置5によってセンタリングガイド16に載置されたワークセット199が、プッシュプル15によりカセット14に差し込まれてカセット棚に載置される。
センタリングガイド16の一対のガイドレールは、ワークセット199の載置時には相互に接近して環状フレーム197の外周縁を支持して保持テーブル30に対する位置決め(センタリング)をし、ワークセット199の非載置時には保持テーブル30の保持面300上方を空けるように相互に離間する。
【0029】
図1に示すように、加工装置1は、例えば、ワークセット199となっている基板19を搬送する第1搬送装置4、及びワークセット199を搬送する第2搬送装置5を備えている。
例えば保持テーブル30に加工前のワークセット199を搬入する第1搬送装置4は、保持テーブル30に保持されたワークセット199を上方から保持する保持プレート41と、ワークセット199を保持テーブル30から少なくとも剥離させる方向(Z軸方向)に保持プレート41を移動させる移動ユニット42と、イオン化されたエアを噴射するエア噴射口440を有する除電装置44(図2参照)と、を備えている。なお、図1においては、保持プレート41を簡略化して示している。
【0030】
加工装置1の基台10上の前方側(+X方向側)には、保持テーブル30の移動経路を跨ぐように着脱領域門型コラム18が立設されており、着脱領域門型コラム18の前面に、第1搬送装置4及び第2搬送装置5が配設されている。
【0031】
第1搬送装置4の保持プレート41及び移動ユニット42は、着脱領域門型コラム18の前面に取り付けられた例えば電動スライダー49によって、Y軸方向に往復移動可能となっている。
【0032】
例えば、移動ユニット42は、側面視L字状の外形をしており、電動スライダー49のスライドブロック490の前面に取り付けられた電動シリンダ420(又は、空圧シリンダ機構)と、電動シリンダ420の図示しないZ軸方向に昇降可能な昇降ロッドの下端に後端側が接続されたアーム部材421と、アーム部材421の先端側下面に配設され保持プレート41の上面に下端が接続された支持柱422とを備えている。
【0033】
図2に示すように、保持プレート41は、エア噴射口440が形成される外周部に囲繞される中央部には開口が形成され、例えば平面視円環状のプレート基台410を有しており、プレート基台410の上面に十字状の板状骨材411が取り付けられており、全体的な軽量化が図られている。そして、板状骨材411の上面に移動ユニット42の支持柱422(図1参照)の下端側が接続されている。なお、図2においては、プレート基台410を破線で示している。
例えば、十字状の板状骨材411の上面には、除電装置44に電力を供給するための図示しないケーブル等が沿わせられており、該ケーブルは、ケーブルカバー417で保護されている。除電装置44の電源本体は、プレート基台410と一体となっている。
なお、プレート基台410は、基板19が矩形基板である場合には、平面視四角環状に形成されていてもよい。
【0034】
板状骨材411の例えばX軸方向における両端部分は、それぞれ左右(Y軸方向)に水平に延在しており、該延在した部分の下面に吸着パッド413が例えば一つずつ配設されている。即ち、本実施形態における保持プレート41は、計4つの吸着パッド413を備えている。
【0035】
吸着パッド413は、例えば、変形可能なゴム等の弾性材を平面視円形状で下方に向かって拡径するように形成されている。吸着パッド413の下面が吸着面となり、また、吸着パッド413には保持プレート41の移動に追従できるように樹脂チューブからなる吸引管414が連通しており、各吸引管414はそれぞれ、図示しない真空発生装置やエジェクター機構等の吸引源に連通している。
【0036】
例えば、除電装置44は、保持プレート41に保持プレート41で保持した基板19の外周に沿うように形成された例えばパイプノズル状のエア噴射口440を備えており、例えばパルスAC方式のものであるが、これに限定されずパルスDC方式のものであってもよい。
【0037】
本実施形態における除電装置44は、少なくとも基板19の除電を行うにあたって、図示しないエア供給源からエア噴射口440に供給されたエアを、プレート基台410と一体となっている電源から給電されエア噴射口440内部に配設された図示しない電極針等によって、正に帯電したイオン化エアと、例えば概略同じ量の負に帯電したイオン化エアとにし、エア噴射口440から噴射させる。なおエア噴射口440の噴射するイオン化エアは、そのイオンバランスを適宜可変となっている。
【0038】
図示の例においては、プレート基台410の下面に、プレート基台410の周方向に等間隔、即ち、本実施形態においては、60度間隔を空けて計6つのエア噴射口440が配設されている。各エア噴射口440は、例えば保持プレート41に保持プレート41の中心と中心を略合致した状態で吸着パッド413によって吸引保持されたワークセット199の環状フレーム197の外周よりも外側で該外周に沿うように形成されている。なお、保持プレート41の吸引保持対象が、基板19単体である場合には、例えば6つのエア噴射口440は、基板19の外周よりも外側で該外周に沿うように形成されている。例えば、各エア噴射口440は、プレート基台410の下面において、環状フレーム197や基板19の直径に合わせて、プレート基台410の径方向にその位置をスライド移動可能となっていてもよい。
なお、各エア噴射口440は、例えば、プレート基台410の内周面に取り付けられていてもよい。
また、保持プレート41の吸引保持対象である基板が矩形の基板である場合には、各エア噴射口440は、平面視矩形環状に等間隔を空けてプレート基台に配設されており、プレート基台の形状も円環状となっていなくてもよい。
【0039】
図1に示す保持テーブル30から切削加工後の基板19(ワークセット199)を搬出すると共に、該ワークセット199を後述する洗浄ユニット12のスピンナテーブル120上に搬入する第2搬送装置5は、例えば、先に説明した除電装置44のエア噴射口440が配設された保持プレート41と、ワークセット199を保持テーブル30から少なくとも剥離させる方向(Z軸方向)に保持プレート41を移動させる電動シリンダ等の移動ユニット52と、保持プレート41をY軸方向に往復移動可能にする電動スライダー等のY軸移動ユニット53と、を備えている。
【0040】
Y軸移動ユニット53は、着脱領域門型コラム18の前面に取り付けられており、Y軸方向に往復移動可能なスライドブロック534を備えている。例えば、スライドブロック534は、電動スライダー49のスライドブロック490に比べて、X軸方向における寸法が長く形成されており、このように長く形成されたスライドブロック534の+X方向側の下面に移動ユニット52は取り付けられている。そのため、移動ユニット52の下端側に接続されている保持プレート41の動線上から第1搬送装置4の移動ユニット42はX軸方向においてずれている。これによって、保持テーブル30からワークセット199を搬出する際に、第2搬送装置5の保持プレート41は第1搬送装置4に衝突することなくワークセット199をY軸方向に搬送できる。
【0041】
例えば、第1搬送装置4、及び第2搬送装置5が備える保持プレート41のプレート基台410は、図3に示す円形板状でエア噴射口440に対する給電が可能な電源本体と一体となっているプレート基台419であってもよい。そして、除電装置44のノズル状のエア噴射口440は、例えば、プレート基台419の下面に図4に示すように、プレート基台419の周方向に45度間隔を空けて8つ配設されていてもよい。図2図3、又は図4に示すエア噴射口440は、例えば円形に形成されている。なお、図3において、プレート基台419は、破線で示している。
エア噴射口440から基板19の外周側、及び環状フレーム197の外周側に向かって噴射されるイオン化エアは、基板19の上面となる表面190に対し90度未満の角度で傾斜した方向に噴射すると、イオン化エアが基板19の裏面193、即ち、本実施形態においては、基板19の裏面193に貼着されているダイシングテープ198の裏面側にも回り込みやすくなるので好ましい。
【0042】
図5に、除電装置44の図2図3、及び図4に示すエア噴射口440の別形態であるエア噴射口448を示している。エア噴射口448は、保持プレート41のプレート基台419の下面(又は、図2に示すプレート基台410の下面、若しくは内周面)に基板19の外周、及び環状フレーム197の外周に沿うように形成された1本の連続する円周となるスリット状の噴射口である。
【0043】
図6に、除電装置44の図2図3、及び図4に示すエア噴射口440の別形態であるエア噴射口447を示している。エア噴射口447は、保持プレート41のプレート基台419の下面(又は、図2に示すプレート基台410の下面、若しくは内周面)に基板19の外周、及び環状フレーム197の外周に沿うように形成された不連続の全体として円周状となる複数のスリット状の噴射口である。図6に示す例においては、周方向に60度間隔を空けて、6つのスリット状のエア噴射口447が形成されている。
【0044】
図1に示すように、第2搬送装置5の可動範囲内には、加工後の基板19を洗浄する枚葉式の洗浄ユニット12が配置されている。洗浄ユニット12は、スピンナテーブル120で基板19を吸引保持し、基板19の上方を旋回移動する図示しない洗浄ノズルから、洗浄水を回転させた基板19の被切削面である表面190に噴射して表面190の洗浄を行う。
【0045】
以下に、図1に示す加工装置1によりワークセット199となっている基板19を切削する場合の、加工装置1の各構成の動作、及び、特に第1搬送装置4と第2搬送装置5との動作について詳しく説明する。
まず、図1に示すワークセット199を複数枚収容したカセット14が、カセット載置台13に載置され、その後、昇降エレベータによりカセット14の高さ調整が行われる。
【0046】
次に、図1に示すプッシュプル15が-Y方向に移動してカセット14内部に進入する。さらに、プッシュプル15によって狙いの棚に載置されているワークセット199の環状フレーム197が把持され、カセット14からワークセット199が1枚引き出され、センタリングガイド16上に環状フレーム197が載置される。そして、センタリングガイド16の一対のガイドレールが、X軸方向において相互に接近し環状フレーム197の外周縁部を支持しつつ、ワークセット199のセンタリングを行う。
【0047】
次いで、図1に示す電動スライダー49によって、第1搬送装置4がY軸方向に移動し、第1搬送装置4の保持プレート41がセンタリングガイド16上の環状フレーム197の上方に位置付けられる。ここで、保持プレート41の中心とワークセット199の中心とは略合致した状態になる。さらに、移動ユニット42が保持プレート41を-Z方向に降下させ、4つの吸着パッド413(図2参照)が環状フレーム197の上面に接触して吸着を行うことで、保持プレート41がワークセット199をピックアップする。
【0048】
この状態において、図2に示すように、除電装置44のエア噴射口440は、例えば環状フレーム197の外周よりも少しだけ外側で該外周に沿うように、環状フレーム197の周方向に60度間隔を空けて、環状フレーム197の斜め外側上方に位置付けられた状態になる。
【0049】
ワークセット199が第1搬送装置4によってピックアップされると、センタリングガイド16の一対のガイドレールは、相互に離間する方向に移動し、一対のガイドレールの間にはワークセット199の通る隙間ができる。そして、移動ユニット42が保持プレート41を降下させ、予めセンタリングガイド16の下方に位置付けされていた保持テーブル30の保持面300にワークセット199を載置する。保持テーブル30が保持面300上で基板19を吸引保持し、また、環状フレーム197が固定クランプ32により挟持固定された後、保持プレート41による環状フレーム197の吸着が解除され、保持プレート41がワークセット199から離脱する。
【0050】
なお、上記センタリングガイド16からワークセット199が離脱する場合に、センタリングガイド16は環状フレーム197のみに接触しているため、ワークセット199の剥離帯電は少量となるが帯電量を厳しく管理する必要があるデバイスが形成されている基板では、後述するような除電装置44によるワークセット199の除電を行ってもよい。
【0051】
次いで、基板19を吸引保持する保持テーブル30は、図示しない切削送りユニットにより-X方向に送られて図示しない加工室内に進入し、また、図1に示すアライメントユニット67によって切削すべき分割予定ライン191の位置が検出される。分割予定ライン191が検出されるのに伴って、例えば第1切削ユニット61がY軸方向にインデックス送りされ、狙いの分割予定ライン191と切削ブレード613とのY軸方向における位置合わせがなされる。
第1切込み送りユニット24が第1切削ユニット61を降下させ、例えば、切削ブレード613が基板19をフルカットしてダイシングテープ198に切り込む高さ位置に第1切削ユニット61を位置付ける。
【0052】
図示しない切削送りユニットが保持テーブル30を-X方向に送り出すとともに、切削ブレード613が高速回転をしながら基板19に切り込み、分割予定ライン191を切削する。切削ブレード613が分割予定ライン191を切削し終えるX軸方向の所定の位置まで基板19が-X方向に進行すると、図示しない切削送りユニットが基板19の切削送りを一度停止させ、第1切込み送りユニット24が第1切削ユニット61を上昇させて切削ブレード613を基板19から離間させる。そして、図示しない切削送りユニットが保持テーブル30を+X方向へ送り出して元の位置に戻すとともに、隣り合う分割予定ライン191の間隔ずつ第1切削ユニット61がY軸方向にインデックス送りされて順次同様の切削が行われ、同方向の全ての分割予定ライン191が切削される。さらに、保持テーブル30が90度回転されて同様の切削が行われることで、全ての分割予定ライン191が縦横に全てカットされて基板19がデバイス192を備えるチップへと分割される。
【0053】
図示しない切削送りユニットにより保持テーブル30が+X方向に送られて、例えば第2搬送装置5が保持テーブル30からワークセット199を搬出する。
具体的には、図1に示すY軸移動ユニット53により第2搬送装置5の保持プレート41がY軸方向に移動し、保持テーブル30に保持されているワークセット199の上方に位置付けされ、保持プレート41の中心とワークセット199の中心とが略合致した状態になる。さらに、移動ユニット52が保持プレート41を-Z方向に降下させ、4つの吸着パッド413(図2参照)が環状フレーム197の上面に接触して吸着を行う。
【0054】
この状態において、除電装置44のエア噴射口440は、本実施形態においては、環状フレーム197の外周よりも少しだけ外側で該外周に沿うように、環状フレーム197の周方向に60度間隔を空けて、環状フレーム197の斜め外側上方に位置付けられた状態になる。
【0055】
このまま保持プレート41を上昇させて、真空吸着を停止した保持テーブル30の保持面300からワークセット199を離脱させるときに、帯電が生じることがある。いわゆる剥離帯電と呼ばれる現象で、これが生じてしまうと、離脱した後のワークセット199の基板19、及びダイシングテープ198が正(+)、又は負(-)の電荷をもって帯電してしまうという問題がある。
【0056】
そこで、例えば、保持プレート41による保持テーブル30からのワークセット199の離脱と並行して、図2に示す除電装置44のエア噴射口440が、図示しないエア供給源から供給されたエアを、正に帯電したイオン化エアと、例えば概略同じ量の負に帯電したイオン化エアとにして噴射する。
【0057】
6つのエア噴射口440から噴射されたイオン化エア4409は、例えば扇状に広がりながら基板19に対して基板19の外周側から多角的に到達する。即ち、基板19には、基板19の外周の略全周からイオン化エア4409が到達する。これによって、剥離帯電により基板19に帯電していた静電気が均一に除電されていく。
【0058】
また、6つのエア噴射口440から噴射されたイオン化エア4409の一部は、環状フレーム197の外周からワークセット199の裏面側(ダイシングテープ198の裏面側)にも回り込むため、ダイシングテープ198上を基板19の外周に向かって流れダイシングテープ198の表面を均一に除電するイオン化エア4409とともに、ダイシングテープ198の裏面側全体も均一に除電される。
なお、保持プレート41が基板19単体を吸引保持している場合においても同様に、基板19の裏面193側にもイオン化エア4409の一部が回り込むため、基板19は外周側から均一に除電されるとともに、裏面193側からも均一に除電される。
【0059】
除電装置44が、基板19の外周側から多角的に均一に基板19、及びダイシングテープ198を除電することは、図3に示すような保持プレート41が円形板状のプレート基台419を備えており、図4に示すエア噴射口440、図5に示す一本の連続する円周となるスリット状のエア噴射口448、又は図6に示す不連続の全体として円周状に形成された複数のスリット状のエア噴射口447からイオン化エア4409を噴射した場合においても略同様に実現できる。
【0060】
上記のような除電がなされつつ、ワークセット199が、洗浄ユニット12のスピンナテーブル120上に第2搬送装置5によって搬送され、ワークセット199が基板19を上側になるようにしてスピンナテーブル120に載置された後、吸引保持される。なお、第1搬送装置4によって、上記と同様の基板19等の除電が行われつつ、基板19が保持テーブル30からスピンナテーブル120に搬送されてもよい。
次いで、図示しない洗浄ノズルが、ワークセット199の上方を所定角度で往復するように旋回移動する。また、スピンナテーブル120が所定の回転速度で回転することで、基板19の表面190全面に向かって洗浄ノズルから洗浄水が噴射され、洗浄が行われる。
【0061】
例えば、図1に示す電動スライダー49により、第1搬送装置4がY軸方向に移動し、第1搬送装置4の保持プレート41がスピンナテーブル120上のワークセット199の上方に位置付けられる。保持プレート41の中心とワークセット199の中心とは略合致した状態になる。さらに、移動ユニット42が保持プレート41を-Z方向に降下させ、4つの吸着パッド413(図2参照)が環状フレーム197の上面に接触して吸着を行うことで、保持プレート41がワークセット199をピックアップする。
【0062】
保持プレート41が移動ユニット42によって上昇することで、吸着保持を解除したスピンナテーブル120からワークセット199を離脱させる際においても、剥離帯電によってワークセット199は帯電するため、先に説明したのと同様に、第1搬送装置4の除電装置44により、エア噴射口440からイオン化エア4409を噴射することで、基板19が基板19の外周側から多角的に均一に除電され、また、ダイシングテープ198も除電される。
【0063】
そして、保持プレート41が-Y方向に移動して、センタリングガイド16上にワークセット199の環状フレーム197が載置される。さらに、プッシュプル15による環状フレーム197の把持が行われた後、プッシュプル15によってワークセット199がカセット載置台13上のカセット14の棚に挿入される。
【0064】
上記のように、基板19を搬送する本発明に係る第1搬送装置4(第2搬送装置5)は、保持テーブル30に保持された基板19を上方から保持する保持プレート41と、基板19を保持テーブル30から少なくとも剥離させるZ軸方向に保持プレート41を移動させる移動ユニット42(移動ユニット52)と、イオン化されたエアを噴射するエア噴射口440を有する除電装置44と、を備え、エア噴射口440は、保持プレート41の例えば下面に基板19の外周に沿うように形成されていることで、エア噴射口440からイオン化されたエアを噴射し、基板19を基板19の外周側から多角的に除電することが可能となり、基板19全体を均一に除電することが可能となる。また、本実施形態のように、基板19がワークセット199となっている場合においては、ワークセット199の裏面側であるダイシングテープ198側にもイオン化エアを回り込ませて、ダイシングテープ198の裏面側も除電できる。
【0065】
本発明に係る第1搬送装置4(第2搬送装置5)において、エア噴射口440は、保持プレート41の例えば下面に基板19の外周に沿うように間隔を空けて複数形成されていることで、複数のエア噴射口440からイオン化されたエアを噴射し、基板19を基板19の外周側から多角的に除電することが可能となり、基板19全体を均一に除電することが可能となる。
【0066】
本発明に係る第1搬送装置4(第2搬送装置5)において、図5に示すエア噴射口448(図6に示すエア噴射口447)は、保持プレート41の例えば下面に基板19の外周に沿うようにスリット状に形成されていることで、エア噴射口448(エア噴射口447)からイオン化されたエアを噴射し、基板19を基板19の外周側から多角的に除電することが可能となり、基板19全体を均一に除電することが可能となる。
【0067】
本発明に係る第1搬送装置4、及び第2搬送装置5は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、加工装置1の構成、及び加工装置1を用いた基板19の切削加工も上記実施形態に限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
19:基板 190:基板の表面 191:分割予定ライン 192:デバイス
193:基板の裏面 198:ダイシングテープ 197:環状フレーム
1:加工装置 10:基台
11:加工室門型コラム
61:第1切削ユニット 610:スピンドル 613:切削ブレード
67:アライメントユニット
21:第1インデックス送りユニット 24:第1切り込み送りユニット
62:第2切削ユニット
13:カセット載置台 14:カセット 15:プッシュプル 16:センタリングガイド
18:着脱領域門型コラム
30:保持テーブル 31:カバー 311:蛇腹カバー
4:第1搬送装置
41:保持プレート 410:プレート基台 411:板状骨材 417:ケーブルカバー 413:吸着パッド 414:吸引管
419:円形板状のプレート基台
42:移動ユニット 420:電動シリンダ 421:アーム部材 422:支持柱
49:電動スライダー
44:除電装置 440:エア噴射口
448:連続する一本の円周状でスリット状の噴射口
447:不連続で円周状に並べられたスリット状の噴射口
5:第2搬送装置 41:保持プレート 44:除電装置
52:移動ユニット 53:Y軸移動ユニット
12:洗浄ユニット 120:スピンナテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6