(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163857
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068949
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茶野 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】王 楠
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 厚紀
(72)【発明者】
【氏名】井上 篤史
(72)【発明者】
【氏名】飯田 英一
(72)【発明者】
【氏名】平島 正隆
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA52
5F131CA05
5F131DA16
5F131EA05
5F131EB01
5F131EB32
(57)【要約】
【課題】除電ユニットを備える基板処理装置において、装置の大型化、コスト増を無くしつつ、基板の除電効率を上げる。
【解決手段】基板19下面を保持するテーブル30と、基板19上面を保持しテーブル30へ基板19を搬入出する搬送ユニット52と、イオン化エアを噴射する第1エア噴射口29を有し、イオン化エアを基板19に吹き付けて除電するユニット21と、除電ユニット21から噴射されたイオン化エアと交差する方向にエアを噴射する第2エア噴射口69を有し、イオン化エアの進行方向を変更可能なエア噴射ユニット61と、を備え、基板19がテーブル30に保持された状態と、搬送ユニット52に保持された状態と、のいずれかの状態において、除電ユニット21から噴射されたイオン化エアの方向をエア噴射ユニット61で変更して、基板19がテーブル30、又は搬送ユニット52のいずれに保持された状態でも、基板19にイオン化エアを吹き付け可能な基板処理装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面を保持する保持テーブルと、
基板の上面を保持し、該保持テーブルに対して基板を搬入、又は該保持テーブルから基板を搬出する搬送ユニットと、
イオン化エアを噴射する第1のエア噴射口を有し、該イオン化エアを基板に吹き付けて基板の帯電を緩和する除電ユニットと、
該除電ユニットから噴射された該イオン化エアと交差する方向にエアを噴射する第2のエア噴射口を有し、該イオン化エアの進行方向を変更可能なエア噴射ユニットと、を備え、
基板が該保持テーブルに保持された状態と、該搬送ユニットに保持された状態と、のいずれかの状態において、該除電ユニットから噴射された該イオン化エアの方向を該エア噴射ユニットによって変更して、基板が該保持テーブル、又は該搬送ユニットのいずれに保持された状態でも、基板に向かって該イオン化エアを吹き付け可能な基板処理装置。
【請求項2】
前記第1のエア噴射口は、前記保持テーブルに保持された基板の上面に向けて形成されており、
前記第2のエア噴射口は、前記搬送ユニットによって保持され該保持テーブルから搬出された基板の下面に向けて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1のエア噴射口は、前記搬送ユニットによって前記保持テーブルから搬出された基板の下面に向けて形成され、
前記第2のエア噴射口は、該保持テーブルに保持された基板の上面に向けて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1のエア噴射口を複数備え、前記第2のエア噴射口を複数備え、該第1のエア噴射口の並び方向と該第2のエア噴射口の並び方向とが平行となっていることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1のエア噴射口は1本のスリット状であり、前記第2のエア噴射口は1本のスリット状であり、該第1のエア噴射口の延在方向と該第2のエア噴射口の延在方向とが平行となっていることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の帯電を緩和する除電ユニットを有する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の基板に切削加工や研削加工を施す基板処理装置においては、保持テーブルの保持面から基板を搬出するため、保持面から基板を剥離するタイミングで基板が剥離帯電し易く、帯電によって基板に形成されているデバイスが破壊されてしまう恐れがある。そのため、基板に例えばイオン化エアを吹き付けて除電する必要があるが、除電を効率よく行うために、除電ユニットを基板の移動に伴うように移動させて、除電ユニットから噴射するイオン化エアの噴射方向を変更する機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、除電ユニットを移動させてイオン化エアの噴射方向を変更するためには、モータ等の駆動部が必要なため、また、除電ユニットを設置するスペースを確保するために装置が大型化しコストもかかるという問題がある
よって、基板を除電する除電ユニットを備える基板処理装置においては、装置が大型化したり、コストが増大したりしてしまうことが無いようにし、また、基板の除電効率を上げるという解決課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、基板の下面を保持する保持テーブルと、基板の上面を保持し、該保持テーブルに対して基板を搬入、又は該保持テーブルから基板を搬出する搬送ユニットと、イオン化エアを噴射する第1のエア噴射口を有し、該イオン化エアを基板に吹き付けて基板の帯電を緩和する除電ユニットと、該除電ユニットから噴射された該イオン化エアと交差する方向にエアを噴射する第2のエア噴射口を有し、該イオン化エアの進行方向を変更可能なエア噴射ユニットと、を備え、基板が該保持テーブルに保持された状態と、該搬送ユニットに保持された状態と、のいずれかの状態において、該除電ユニットから噴射された該イオン化エアの方向を該エア噴射ユニットによって変更して、基板が該保持テーブル、又は該搬送ユニットのいずれに保持された状態でも、基板に向かって該イオン化エアを吹き付け可能な基板処理装置である。
【0006】
本発明に係る基板処理装置において、前記第1のエア噴射口は、前記保持テーブルに保持された基板の上面に向けて形成されており、前記第2のエア噴射口は、前記搬送ユニットによって保持され該保持テーブルから搬出された基板の下面に向けて形成されていると好ましい。
【0007】
本発明に係る基板処理装置において、前記第1のエア噴射口は、前記搬送ユニットによって前記保持テーブルから搬出された基板の下面に向けて形成され、前記第2のエア噴射口は、該保持テーブルに保持された基板の上面に向けて形成されていると好ましい。
【0008】
本発明に係る基板処理装置は、前記第1のエア噴射口を複数備え、前記第2のエア噴射口を複数備え、該第1のエア噴射口の並び方向と該第2のエア噴射口の並び方向とが平行となっていると好ましい。
【0009】
本発明に係る基板処理装置は、前記第1のエア噴射口は1本のスリット状であり、前記第2のエア噴射口は1本のスリット状であり、該第1のエア噴射口の延在方向と該第2のエア噴射口の延在方向とが平行となっていると好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る基板処理装置は、基板の下面を保持する保持テーブルと、基板の上面を保持し、保持テーブルに対して基板を搬入、又は保持テーブルから基板を搬出する搬送ユニットと、イオン化エアを噴射する第1のエア噴射口を有し、イオン化エアを基板に吹き付けて基板の帯電を緩和する除電ユニットと、除電ユニットから噴射されたイオン化エアと交差する方向にエアを噴射する第2のエア噴射口を有し、イオン化エアの進行方向を変更可能なエア噴射ユニットと、を備えることで、基板が保持テーブルに保持された状態で基板の露出面である上面に除電ユニットから噴射させたイオン化エアを吹き付けることができるとともに、基板が保持テーブルに保持された状態から例えば搬送ユニットに保持された状態に切り替った場合であっても、除電ユニットから噴射させたイオン化エアの方向をエア噴射ユニットによって変更して、保持された基板の露出面となった下面に向かってイオン化エアを吹き付け可能となる。即ち、基板が保持テーブルに保持された状態、又は搬送ユニットに保持された状態のいずれの状態においても、基板にイオン化エアを吹き付けることができる。そして、従来のような除電ユニットを移動させてイオン化エアの噴射方向を変更するための駆動源となるモータ等を備える必要が無いため、装置が大型化しコストが増加することもなく、また、基板の除電効率も向上させることが可能となる。
なお、除電ユニットはエア噴射ユニットに比べて部品が多くサイズが大きくなるために設置場所が限定されるが、除電ユニットよりも部品が少なくサイズを小さくできるエア噴射ユニットは、装置内において除電ユニットよりも設置できる場所の自由度が高い。よって基板処理装置内部のレイアウトによって、基板を除電することに適した場所に除電ユニットをおけない場合も、エア噴射ユニットを除電ユニットをイオン化エアの進行変更補助ができる場所に設置する事で、基板にイオン化されたエアを適切に吹き付けて除電する事が可能となる。
【0011】
本発明に係る基板処理装置において、第1のエア噴射口は、保持テーブルに保持された基板の上面に向けて形成されており、第2のエア噴射口は、搬送ユニットによって保持され該保持テーブルから搬出された基板の下面に向けて形成されていることで、基板が保持テーブルに保持されている状態においては、エア噴射ユニットからのエアの噴射を停止した状態で、除電ユニットからイオン化エアを直に基板の露出面である上面に吹き付け、基板が保持テーブルに保持された状態から搬送ユニットに保持された状態に切り替った場合には、除電ユニットからイオン化エアを噴射するとともに、エア噴射ユニットからエアをイオン化エアと交差する方向に噴射させて、イオン化エアの進行方向を基板の露出面となった下面に向かうように変更させて、基板の下面にイオン化エアを吹き付けることが可能となる。
【0012】
本発明に係る基板処理装置において、第1のエア噴射口は、搬送ユニットによって保持テーブルから搬出された基板の下面に向けて形成され、第2のエア噴射口は、保持テーブルに保持された基板の上面に向けて形成されていることで、基板が保持テーブルに保持されている状態においては、除電ユニットからイオン化エアを噴射するとともに、エア噴射ユニットからエアをイオン化エアと交差する方向に噴射させて、イオン化エアの進行方向を基板の露出面である上面に向かうように変更させて、基板の上面にイオン化エアを吹き付けることが可能であり、基板が保持テーブルに保持された状態から搬送ユニットに保持された状態に切り替った場合には、エア噴射ユニットからのエアの噴射を停止させて、除電ユニットからイオン化エアを直に上面側が保持された状態の基板の露出面である下面に吹き付けることが可能となる。
【0013】
本発明に係る基板処理装置は、第1のエア噴射口を複数備え、第2のエア噴射口を複数備え、第1のエア噴射口の並び方向と第2のエア噴射口の並び方向とが平行となっていることで、複数の第1のエア噴射口から並び方向において隙間を空けることなくエアカーテンを形成するように噴射させたイオン化エアを、該並び方向においてエアカーテンを形成するように第2のエア噴射口から噴射させたエアで進行方向を変更して、基板の所望の露出面の略全面にイオン化エアを漏れなく吹き付けることが可能となる。
【0014】
本発明に係る基板処理装置は、第1のエア噴射口は1本のスリット状であり、第2のエア噴射口は1本のスリット状であり、第1のエア噴射口の延在方向と第2のエア噴射口の延在方向とが平行となっていることで、第1のエア噴射口から延在方向において隙間を空けることなくエアカーテンを形成するように噴射させたイオン化エアを、延在方向においてエアカーテンを形成するように第2のエア噴射口から噴射させたエアで進行方向を変更して、基板の所望の露出面の略全面にイオン化エアを漏れなく吹き付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】基板処理装置の一例を示す全体斜視図である。
【
図2】保持テーブルに保持された基板の露出面である上面に、エア噴射ユニットからのエアの噴射を停止した状態で、除電ユニットから噴射させたイオン化エアを直に吹き付けている状態を説明する側面図である。
【
図3】保持テーブルから搬出され搬送ユニットに保持された基板の露出面である下面に、除電ユニットから噴射させたイオン化エアを、イオン化エアと交差する方向にエア噴射ユニットから噴射させたエアによって進行方向を基板の下面側に向かうように変更して、基板の下面に吹き付けている状態を説明する側面図である。
【
図4】保持テーブルに保持された基板の露出面である上面に、除電ユニットから噴射させたイオン化エアを、イオン化エアと交差する方向にエア噴射ユニットから噴射させたエアによって進行方向を基板の上面側に向かうように変更して、基板の上面に吹き付けている状態を説明する側面図である。
【
図5】保持テーブルから搬出され搬送ユニットに保持された基板の露出面である下面に、エア噴射ユニットからのエアの噴射を停止した状態で、除電ユニットから噴射させたイオン化エアを直に吹き付けている状態を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す基板処理装置1は、例えば、保持テーブル30に保持された基板19に対して図示しない切削ユニットによって切削加工を施す切削装置である。なお、基板処理装置1は、レーザー照射によって基板19に所望の加工(例えば、基板改質や溝形成)を施すレーザー加工装置、回転する研削砥石で基板19を研削して薄化する研削装置、又は研磨パッドで基板19を研磨する研磨装置であってもよい。
【0017】
図1に示す基板19は、例えば、円形板状のシリコン半導体ウェーハであり、基板19の上側を向いた状態の表面190には、分割予定ライン191によって区画された格子状の領域にデバイス192が形成されている。例えば、基板19の裏面193はダイシングテープ198の貼着面(表面)に貼着されている。ダイシングテープ198の外周部は環状フレーム197に貼着されており、これにより、基板19は、ダイシングテープ198を介して環状フレーム197に支持され、環状フレーム197を用いたハンドリングが可能なワークセット199となっている。環状フレーム197の中心と基板19の中心とは略合致した状態になっている。なお、基板19は上記例に限定されるものではなく、ワークセット199となっておらず基板単体であってもよく、シリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、樹脂、セラミックス、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、パッケージ基板等でもよい。
【0018】
図1に示すように、基板処理装置1の装置ベース10上の後方側(-X方向側)には筐体100が配設されており、筐体100内部に加工室が画成されており、該加工室内部において、切削ブレードを備える図示しない切削手段によって基板19の切削加工が行われる。
基板処理装置1の装置ベース10上の前方側(+X方向側)は、X軸方向に往復移動可能であり筐体100内部の加工室に進入可能な保持テーブル30に対するワークセット199の搬入出、及び切削加工が施された基板19の洗浄等が実施される着脱領域となっている。
筐体100の外側面には、基板処理装置1の装置全体を制御する制御ユニットに対して制御データなどを入力可能なタッチパネル等の入力部101が配設されている。
【0019】
保持テーブル30は、カバー31によって周囲から囲まれ、カバー31の下方に配設された図示しない回転ユニットによりZ軸方向の回転軸を軸にして回転可能になっている。カバー31には、X軸方向に伸縮する蛇腹カバー311が連結しており、カバー31及び蛇腹カバー311の下方には、保持テーブル30を切削送り方向(X軸方向)に往復移動させる図示しない切削送りユニットが配設されている。切削送りユニットは、例えば、モータによりボールネジを回動させて保持テーブル30を切削送りするボールネジ機構である。
【0020】
基板19を保持する
図1に示す保持テーブル30は、例えば、平面視円形状であり、図示しない吸引源に連通する平坦な保持面300上で基板19を吸引保持する。また、保持テーブル30の周囲には、本実施形態のように基板19がワークセット199となっている場合に、環状フレーム197を挟持固定できる固定クランプ32が例えば4つ周方向に等間隔を空けて均等に配設されている。
【0021】
図1に示すように、基板処理装置1の装置ベース10上の-Y方向側の一角には、カセット載置台13が設置されており、カセット載置台13は、その下方に配設された図示しない昇降エレベータによりZ軸方向に上下動可能となっている。そして、ワークセット199を複数枚内部の棚に収容したカセット14がカセット載置台13上に載置された状態で、昇降エレベータによりカセット載置台13が昇降されることで、カセット14から狙いの基板19を出し入れする際の高さ位置が調整される。
【0022】
例えば、
図1に示すカセット載置台13に載置されたカセット14の+Y方向側の図示しない開口の前方には、カセット14から加工前の基板19を引き出すとともに、切削加工され洗浄されたワークセット199をカセット14に差し込むプッシュプル15が配設されている。
【0023】
例えば、保持テーブル30の移動経路の上方には、Y軸方向に移動可能なプッシュプル15によりカセット14から引き出されたワークセット199を一定の位置に位置合わせする一対のガイドレールからなるセンタリングガイド16が配設されている。断面がL字状に形成されY軸方向に延在する各ガイドレールは、X軸方向に相互に離間又は接近可能であり、段状のガイド面(内側面)が対向するように配置されている。保持テーブル30にワークセット199が搬入される際には、プッシュプル15によりカセット14から1つのワークセット199が引き出されてセンタリングガイド16に載置される。また、加工後のワークセット199の洗浄が完了すると、例えば第1搬送ユニット51又は第2搬送ユニット52によってセンタリングガイド16に載置されたワークセット199が、プッシュプル15によりカセット14に差し込まれて内部の棚に載置される。
センタリングガイド16の一対のガイドレールは、ワークセット199の載置時には相互に接近して環状フレーム197の外周縁を支持して保持テーブル30に対する位置決め(センタリング)をし、ワークセット199の非載置時には保持テーブル30の保持面300上方を空けるように相互に離間する。
【0024】
図1に示すように、基板処理装置1は、基板19を保持し、保持テーブル30に対して基板19を搬入、又は保持テーブル30から基板19を搬出する搬送ユニットを備えており、本実施形態においては、例えば、ワークセット199となっている基板19を搬送する第1搬送ユニット51、及びワークセット199を搬送する第2搬送ユニット52を備えている。
【0025】
例えば、筐体100の前面に、第1搬送ユニット51及び第2搬送ユニット52が配設されている。
第1搬送ユニット51は、保持テーブル30に保持されたワークセット199を上方から保持する保持パッド511と、保持パッド511を上下動させる上下動ユニット512と、保持パッド511をY軸方向に往復移動可能とするY軸移動ユニット513と、を備えている。
Y軸移動ユニット513は、例えば、筐体100の前面に配設された電動アクチュエータ等である。
例えば、上下動ユニット512は、Y軸移動ユニット513のスライダー514に取り付けられた電動シリンダ(又は、空圧シリンダ)等である。
【0026】
上下動ユニット512の図示しない昇降ロッドの下端側に取り付けられた保持パッド511は、例えば平面視H形状となっており、基板19を支持する環状フレーム197を吸着する4個の吸着盤515をその下面に有している。各吸着盤515は、吸着力を生み出す図示しない真空発生装置等の吸引源に連通している。
本実施形態においては、プッシュプル15が、保持パッド511と共にY軸方向に往復移動可能となっているが、プッシュプル15が単独でY軸方向に移動可能となっていてもよい。
【0027】
図1に示す保持テーブル30から切削加工後の基板19(ワークセット199)を搬出すると共に、該ワークセット199を後述する洗浄ユニット12の保持テーブル120上に搬入する第2搬送ユニット52は、例えば、保持テーブル30に保持されたワークセット199を上方から保持する保持パッド521と、保持パッド521を上下動させる上下動ユニット522と、保持パッド521をY軸方向に往復移動可能とするY軸移動ユニット523と、を備えている。
【0028】
Y軸移動ユニット523は、例えば、筐体100の前面に配設された電動アクチュエータ等である。Y軸移動ユニット523の
図1に示すスライドブロック524は第1搬送ユニット51のスライダー514に比べて、X軸方向における寸法が長く形成されており、このように長く形成されたスライドブロック524の下面に上下動ユニット522及び保持パッド521が取り付けられている。そのため、第2搬送ユニット52の保持パッド521の動線上から保持パッド521の上下動ユニット512はX軸方向においてずれている。したがって、保持テーブル30からワークセット199を搬出する際に、第2搬送ユニット52の保持パッド521は第1搬送ユニット51に衝突することなくワークセット199をY軸方向に搬送できる。
【0029】
保持パッド521は、例えば平面視H形状となっており、図示しない吸引源に連通し基板19を支持する環状フレーム197を吸着する4個の吸着盤525をその下面に有している。
【0030】
図1に示すように、第1搬送ユニット51及び第2搬送ユニット52の可動範囲内には、加工後の基板19を洗浄する枚葉式の洗浄ユニット12が配置されている。洗浄ユニット12は、平坦な保持面121を備える保持テーブル120でワークセット199を吸引保持し、基板19の上方を旋回移動する図示しない洗浄ノズルから、洗浄水を回転させた基板19の被切削面である表面190に噴射して表面190の洗浄を行う。
【0031】
基板処理装置1は、イオン化エアを噴射する第1のエア噴射口29(
図2参照)を有し、イオン化エアを基板19に吹き付けて基板19の帯電を緩和するカセット側除電ユニット21、及び洗浄ユニット側除電ユニット22と、カセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エアと交差する方向にエアを噴射する第2のエア噴射口69(
図2参照)を有し、イオン化エアの進行方向を変更可能なカセット側エア噴射ユニット61と、洗浄ユニット側除電ユニット22から噴射されたイオン化エアと交差する方向にエアを噴射する第2のエア噴射口69を有し、イオン化エアの進行方向を変更可能な洗浄ユニット側エア噴射ユニット62と、を備えている。
【0032】
本実施形態において、カセット側除電ユニット21は、カセット載置台13上に載置されプッシュプル15によってワークセット199が引き出し可能となった状態のカセット14の+Y方向側の図示しない開口の前方下方で、かつ、基板19を搬入する位置に位置付けされた状態の保持テーブル30の外周より外側上方の位置(基板19の保持面300に対する搬入出を妨げない位置)に配設されている。また、カセット側除電ユニット21と共に動作可能なカセット側エア噴射ユニット61は、
図1、
図2、及び
図3に示す例においては、保持テーブル30の外周より外側で、カセット側除電ユニット21よりも低い位置に配設されている。
【0033】
また、本実施形態において、洗浄ユニット側除電ユニット22は、
図1に示す洗浄ユニット12の保持テーブル120の外周より外側上方の位置(基板19の保持テーブル120に対する搬入出を妨げない位置)に配設されている。また、洗浄ユニット側除電ユニット22と共に作動する洗浄ユニット側エア噴射ユニット62は、
図1に示す例においては、保持テーブル120の外周より外側で、洗浄ユニット側除電ユニット22よりも保持テーブル120に近く、洗浄ユニット側除電ユニット22よりも低い位置に配設されている。
【0034】
カセット側除電ユニット21と洗浄ユニット側除電ユニット22とは、略同一の構成となっているため、
図1に示す洗浄ユニット側除電ユニット22の構成について以下に説明していく。
洗浄ユニット側除電ユニット22は、例えば、内部に給電可能な電極針等を備えたパルスAC方式のノズルタイプのイオナイザーであるが、これに限定されず、パルスDC方式のものであってもよいし、ファンタイプのものであってもよい。洗浄ユニット側除電ユニット22は、コンプレッサー等からなる図示しないエア供給源が連通しており、先端側に第1のエア噴射口29を備えている。第1のエア噴射口29は、円形口であっても、長尺口であってもよい。
【0035】
洗浄ユニット側除電ユニット22は、少なくとも基板19の除電を行うにあたって、図示しないエア供給源から供給されたエアを、正に帯電したイオン化エアと、例えば概略同じ量の負に帯電したイオン化エアとにし、第1のエア噴射口29から噴射させる。なお、洗浄ユニット側除電ユニット22の噴射するイオン化エアは、そのイオンバランスを適宜可変となっている。
【0036】
本実施形態において、
図1に示すように、洗浄ユニット側除電ユニット22は、装置ベース10上に立設された門型の支持柱107の前面に複数並べて配設されており、X軸方向に並ぶ複数の第1のエア噴射口29は、保持テーブル120の保持面121に斜め上方から交差するように開口している。複数の洗浄ユニット側除電ユニット22は、並び方向であるX軸方向において、保持テーブル120の直径よりも端から端までの距離が長くなるように配設されている。なお、洗浄ユニット側除電ユニット22は、例えば保持テーブル120の+X方向側の外周を通る仮想的な接線上に1つ配設され、保持テーブル120の中心を挟んで+X方向側の外周と反対になる-X方向側の外周を通る仮想的な接線上にもう1つ配設されていてもよい。
なお、洗浄ユニット側除電ユニット22は、1つであってもよい。
【0037】
図1に示す洗浄ユニット側エア噴射ユニット62は、例えば、1本の細長いパイプノズルであって、図示しないエア供給源に連通し、保持テーブル120の直径よりも長い長さでX軸方向に平行に延在している。X軸方向に延びるノズル状の洗浄ユニット側エア噴射ユニット62は、保持テーブル120側の外側面に斜め上方に向かって開口する複数の第2のエア噴射口69を備えている。そして、複数の第2のエア噴射口69の並び方向はX軸方向であり、複数の洗浄ユニット側除電ユニット22の第1のエア噴射口29の並び方向と平行になっている。
【0038】
例えば、洗浄ユニット側除電ユニット22は、複数配設されているのではなく、またノズル状ではなくX軸方向に延在するバー状の形態を備え、第1のエア噴射口29は保持テーブル120に吸引保持された少なくとも基板19の直径よりも長い長さの1本のスリット状にX軸方向に延在するように形成されていてもよい。
また、1本の細長いパイプノズルである洗浄ユニット側エア噴射ユニット62の外側面に、保持テーブル120に吸引保持された少なくとも基板19の直径よりも長い長さの1本のスリット状の第2のエア噴射口69が形成されており、第1のエア噴射口29の延在方向(X軸方向)と第2のエア噴射口69の延在方向(X軸方向)とが平行となっていてもよい。
【0039】
図1、
図2に示すカセット側除電ユニット21の構成は、上記洗浄ユニット側除電ユニット22の構成と略同一になっており、また、カセット側エア噴射ユニット61の構成は、上記洗浄ユニット側エア噴射ユニット62の構成と略同一となっている。そして、本実施形態においては、
図1、
図2に示すカセット側除電ユニット21は、X軸方向に複数並べて保持テーブル30の直径よりも端から端までの距離が長くなるように配設されている。また、各カセット側除電ユニット21の第1のエア噴射口29は、それぞれ保持テーブル30の保持面300に対して斜め上方から交差する方向に開口している。また、1本の細長いパイプノズル状のカセット側エア噴射ユニット61は、保持テーブル30の直径よりも長い長さでX軸方向に平行に延在している。X軸方向に延びるカセット側エア噴射ユニット61は、保持テーブル30側のその外側面に斜め上方に向かって開口する複数の第2のエア噴射口69を備えている。即ち、複数の第2のエア噴射口69の並び方向は、X軸方向となっており、複数のカセット側除電ユニット21の第1のエア噴射口29の並び方向と平行になっている。
【0040】
以下に、
図1に示す基板処理装置1によりワークセット199となっている基板19を切削する場合の、基板処理装置1の各構成の動作、並びに、特にカセット側除電ユニット21(洗浄ユニット側除電ユニット22)、及びカセット側エア噴射ユニット61(洗浄ユニット側エア噴射ユニット62)の動作について詳しく説明する。
【0041】
まず、
図1に示すワークセット199を複数枚収容したカセット14が、カセット載置台13に載置され、その後、昇降エレベータによりカセット14の高さ調整が行われる。次に、プッシュプル15が、-Y方向に移動してカセット14内部に進入し、狙いの棚に載置されているワークセット199の環状フレーム197を把持する。プッシュプル15によって、カセット14からワークセット199が1枚引き出され、センタリングガイド16上に環状フレーム197が載置される。そして、センタリングガイド16の一対のガイドレールが相互に接近し、環状フレーム197の外周縁部を支持しつつ、ワークセット199のセンタリング(中心位置の検出)を行う。
【0042】
第1搬送ユニット51のY軸移動ユニット513によって、保持パッド511がY軸方向に移動し、保持パッド511がセンタリングガイド16上の環状フレーム197の上方に位置付けられ、保持パッド511の中心とワークセット199の中心とは略合致した状態になる。さらに、上下動ユニット512が保持パッド511を降下させ、4つの吸着盤515が環状フレーム197の上面に接触して吸着を行う。
態になる。
【0043】
次いで、センタリングガイド16の一対のガイドレールは、相互に離間する方向に移動し、一対のガイドレールの間にはワークセット199の降下する隙間ができる。そして、保持パッド511が降下して、予めセンタリングガイド16の下方に位置付けされていた保持テーブル30の保持面300にワークセット199を載置する。保持テーブル30が保持面300上で基板19を吸引保持し、また、環状フレーム197が固定クランプ32により挟持固定された後、保持パッド511による環状フレーム197の吸着が解除され、保持パッド511がワークセット199から離脱する。
【0044】
本実施形態においては、保持パッド511は環状フレーム197を吸着保持しており、基板19の上面となっている表面190を直に吸着保持していなかったため、いわゆる剥離帯電は少量となるが、基板19の表面190が搬送ユニットにより直に吸着保持されていた場合に起きる剥離帯電や、保持テーブル30に基板19が吸引保持されるまでの間に基板19及び基板19が貼着されているダイシングテープ198が帯電している場合や、基板19が帯電量を厳しく管理する必要があるデバイスが形成されている基板である場合等においては、ワークセット199の基板19、及びダイシングテープ198が正(+)、又は負(-)の電荷をもって帯電していると、後述するダイシング加工を基板19に適切に施せない場合や、デバイスの帯電による破壊が生じる場合がある。
【0045】
そこで、
図2に示す保持テーブル30に吸引保持された状態のワークセット199の基板19の露出面である表面190及びダイシングテープ198の上面に、複数のカセット側除電ユニット21と、カセット側エア噴射ユニット61とにより、イオン化エアを吹き付ける。
【0046】
具体的には、
図1、及び
図2に示す複数のカセット側除電ユニット21に対して、図示しないエア供給源からエアが供給されるとともに、各カセット側除電ユニット21が正に帯電したイオン化エアと、例えば概略同じ量の負に帯電したイオン化エアとにし、第1のエア噴射口29から噴射させる。本実施形態においては、カセット側除電ユニット21の第1のエア噴射口29は、保持テーブル30に保持された基板19の露出面である上面190(表面190)に向けて形成されており、X軸方向に並べて配設された複数のカセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エア291が、少なくとも基板19をX軸方向側に横断するエアカーテン状になって斜め下方に位置する保持テーブル30に吸引保持されたワークセット199に吹き付けられる。ここで、カセット側エア噴射ユニット61からは、エアの噴射を行わない。
【0047】
エアカーテン状のイオン化エア291は、ワークセット199の露出面であるダイシングテープ198の上面の略全面、及び基板19の上面190(表面190)の略全面に沿って流れていき、これによって基板19やダイシングテープ198に帯電していた静電気が均一に除電されていく。
【0048】
次いで、除電された基板19を吸引保持する保持テーブル30は、図示しない切削送りユニットにより-X方向に送られて
図1に示す筐体100内部の図示しない加工室内に進入する。そして、加工室内において、基板19がダイシングによるフルカット、又はハーフカットされて、加工が完了する。
【0049】
図示しない切削送りユニットにより保持テーブル30が+X方向に送られ加工室内部から搬出され、次いで、例えば
図1に示す第2搬送ユニット52が保持テーブル30からワークセット199を搬出する。Y軸移動ユニット523により保持パッド521がY軸方向に移動し、保持テーブル30に保持されているワークセット199の上方に位置付けされ、保持パッド521の中心とワークセット199の中心とが略合致した状態になる。さらに、上下動ユニット522が保持パッド521を降下させ、4つの吸着盤525が環状フレーム197の上面に接触して吸着を行う。
【0050】
このまま保持パッド521を上昇させて、真空吸着を停止した保持テーブル30の保持面300からワークセット199を離脱させるときに、剥離帯電が生じて、離脱後のワークセット199の基板19、及びダイシングテープ198が帯電してしまう場合がある。
【0051】
そこで、基板19が保持テーブル30に保持された
図2に示す状態から
図3に示す第2搬送ユニット52に保持された状態に切り替った場合であっても、カセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エア291の方向をカセット側エア噴射ユニット61によって変更して、
図3に示す第2搬送ユニット52で保持された基板19の露出面である下面193(本実施形態においては、ダイシングテープ198の下面)に向かってイオン化エア291を吹き付ける。
【0052】
本実施形態においては、
図2に示すようにカセット側除電ユニット21の第1のエア噴射口29は、保持テーブル30に保持された基板19の露出面である上面190に向けて形成されており、
図3に示すようにカセット側エア噴射ユニット61の第2のエア噴射口69は、第2搬送ユニット52の保持パッド521によって保持され保持テーブル30から搬出された基板19の露出面である下面193(本実施形態においては、ダイシングテープ198の下面)に向けて形成されている。
【0053】
図1、及び
図3に示す複数のカセット側除電ユニット21に対して、図示しないエア供給源からエアが供給されるとともに、各カセット側除電ユニット21がエアを所定のイオンバランスのイオン化エア291にし、第1のエア噴射口29から噴射させる。そして、本実施形態においては、X軸方向に並べて配設された複数のカセット側除電ユニット21から、イオン化エア291がエアカーテン状になって
図3に示すように斜め下方に噴射される。また、カセット側エア噴射ユニット61からは、カセット側除電ユニット21から保持テーブル30に向けて斜め下方に噴射されたイオン化エア291と交差する方向、即ち、第2搬送ユニット52の保持パッド521によって保持されたワークセット199の露出面であるダイシングテープ198の下面に向かう方向に、所定圧力の圧縮エア699が噴射される。
【0054】
その結果、カセット側エア噴射ユニット61から噴射されたエア699によって、カセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エア291の進行方向が、第2搬送ユニット52で保持された基板19の露出面である下面193(本実施形態においては、ダイシングテープ198の下面)に向かうように変更される。エアカーテン状のイオン化エア291は、ワークセット199の露出面であるダイシングテープ198の下面の略全面に沿って流れていき、これによって基板19やダイシングテープ198が均一に除電される。
【0055】
例えば、ワークセット199を吸引保持した保持パッド521の上昇、及び+Y方向への移動に伴う上記のようなワークセット199の除電がなされた後、ワークセット199が、
図1に示す洗浄ユニット12の保持テーブル120上に第2搬送ユニット52によって搬入され、ワークセット199が基板19を上側にして保持テーブル120に載置され吸引保持される。
【0056】
本実施形態においては、保持パッド521は環状フレーム197を吸着保持しており、基板19の上側を向いた露出面となっている表面190を直に吸着保持していなかったため、いわゆる剥離帯電は少量であるが、基板19の表面190が例えば第2搬送ユニット52により直に吸着保持されていた場合等には、剥離帯電が基板19の露出面である表面190に残る。したがって、この場合には、
図1に示す複数の洗浄ユニット側除電ユニット22にエアが供給され、各洗浄ユニット側除電ユニット22が第1のエア噴射口29からイオン化エアを噴射させる。ここで、
図1に示す洗浄ユニット側エア噴射ユニット62からは、エアの噴射を行わない。
【0057】
複数の洗浄ユニット側除電ユニット22から噴射されエアカーテン状となったイオン化エアは、斜め下方に向かって進行して、そのままワークセット199の露出面であるダイシングテープ198の上面の略全面、及び基板19の上面190(表面190)の略全面に沿って流れていき、これによって基板19やダイシングテープ198が除電されていく。
【0058】
除電完了後に、図示しない洗浄ノズルが、ワークセット199の上方を所定角度で往復するように旋回移動する。また、保持テーブル120が所定の回転速度で回転することで、基板19の表面190全面に向かって洗浄ノズルから洗浄水が噴射され、洗浄が行われる。洗浄後、ワークセット199のエア乾燥、又は回転乾燥が行われる。
【0059】
基板19の洗浄後、例えば、
図1に示す第1搬送ユニット51の保持パッド511が保持テーブル120上のワークセット199の上方に位置付けられる。さらに、保持パッド511を降下させ、4つの吸着盤515が環状フレーム197上面に接触して吸着を行う。
【0060】
次いで、保持パッド511が上下動ユニット512によって上昇することで、吸着保持を解除した保持テーブル120からワークセット199を離脱させる際においても、剥離帯電によってワークセット199は帯電する。そこで、
図1に示す複数の洗浄ユニット側除電ユニット22に図示しないエア供給源からエアが供給されるとともに、各洗浄ユニット側除電ユニット22が適宜のイオンバランスとしたイオン化エアを各第1のエア噴射口29から噴射させる。そして、各洗浄ユニット側除電ユニット22から、イオン化エアがエアカーテン状になって斜め下方に噴射される。また、洗浄ユニット側除電ユニット22から保持テーブル120に向けて斜め下方に噴射されたイオン化エアと交差する方向、即ち、第1搬送ユニット51の保持パッド511によって保持されたワークセット199の露出面であるダイシングテープ198の下面に向かう方向に、洗浄ユニット側エア噴射ユニット62から所定圧力の圧縮エアが噴射される。
【0061】
その結果、洗浄ユニット側エア噴射ユニット62から噴射されたエアによって、洗浄ユニット側除電ユニット22から噴射されたイオン化エアの進行方向が、第1搬送ユニット51で保持されたワークセット199のダイシングテープ198の下面に向かうように変更される。エアカーテン状のイオン化エアは、ダイシングテープ198の下面の略全面に沿って流れていき、これによって洗浄後の基板19やダイシングテープ198に帯電していた静電気が均一に除電されていく。
【0062】
除電完了後、保持パッド511が-Y方向に移動して、センタリングガイド16上にワークセット199の環状フレーム197が載置される。さらに、プッシュプル15により、環状フレーム197の把持が行われた後、ワークセット199がカセット14の棚に挿入される。
【0063】
上記のように、本発明に係る基板処理装置1は、基板19の下面193(裏面193)を保持する保持テーブル30と、基板19の上面190側(表面190側)を例えば環状フレーム197を介して保持し、保持テーブル30に対して基板19を搬入、又は保持テーブル30から基板19を搬出する第2搬送ユニット52と、イオン化エアを噴射する第1のエア噴射口29を有し、イオン化エアを基板19に吹き付けて基板19の帯電を緩和するカセット側除電ユニット21と、カセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エアと交差する方向にエアを噴射する第2のエア噴射口69を有し、イオン化エアの進行方向を変更可能なカセット側エア噴射ユニット61と、を備えることで、基板19が保持テーブル30に保持された状態で基板19の露出面である上面190にカセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エアをそのまま吹き付けることができるとともに、基板19が保持テーブル30に保持された状態から第2搬送ユニット52に保持された状態に切り替った場合であっても、カセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エアの方向をカセット側エア噴射ユニット61によって変更して、保持された基板19の露出面となった下面193に向かってイオン化エアを吹き付け可能となる。即ち、基板19が保持テーブル30に保持された状態、又は第2搬送ユニット52に保持された状態のいずれにおいても、基板19にイオン化エアを吹き付けることができる。そして、従来のようなカセット側除電ユニット21を回転移動させてイオン化エアの噴射方向を変更するための駆動源となるモータ等を備える必要が無いため、装置が大型化しコストが増加することもなく、また、基板19の除電効率も向上させることが可能となる。
【0064】
なお、イオナイザーであるカセット側除電ユニット21は、例えばパイプ状のカセット側エア噴射ユニット61に比べて部品が多くサイズが大きくなるために設置場所が限定されるが、カセット側除電ユニット21よりも部品が少なくサイズを小さくできる例えばパイプ状のカセット側エア噴射ユニット61は、カセット側除電ユニット21よりも設置できる場所の自由度が高い。よって基板処理装置1内部のレイアウトによって、基板19を除電することに適した場所にカセット側除電ユニット21をおけない場合も、カセット側エア噴射ユニット61を、カセット側除電ユニット21にイオン化エアの吹き付けの補助できる場所に設置する事で、基板19にイオン化されたエアを適切に吹き付けて除電する事が可能となる。
【0065】
本発明に係る基板処理装置1において、第1のエア噴射口29は、保持テーブル30に保持された基板19の露出面である上面190に向けて形成されており、第2のエア噴射口69は、第2搬送ユニット52によって保持され保持テーブル30から搬出された基板19の露出面である下面193に向けて形成されていることで、基板19が保持テーブル30に保持されている状態においては、カセット側エア噴射ユニット61からのエアの噴射を停止した状態で、カセット側除電ユニット21からイオン化エアを直に基板19の露出面である上面190に吹き付け、基板19が保持テーブル30に保持された状態から第2搬送ユニット52に保持された状態に切り替った場合には、カセット側除電ユニット21からイオン化エアを噴射するとともに、カセット側エア噴射ユニット61からエアをイオン化エアと交差する方向に噴射させて、イオン化エアの進行方向を基板19の露出面である下面193に向かうように該エアにより変更させて、基板19の下面193(本実施形態においては、ダイシングテープ198の下面)にイオン化エアを吹き付けることが可能となる。
【0066】
本発明に係る基板処理装置1は、第1のエア噴射口29を複数備え、第2のエア噴射口69を複数備え、第1のエア噴射口29の並び方向(X軸方向)と第2のエア噴射口69の並び方向(X軸方向)とが平行となっていることで、複数の第1のエア噴射口29から並び方向において隙間を空けることなくエアカーテンを形成するように噴射させたイオン化エアを、並び方向においてエアカーテンを形成するように第2のエア噴射口69から噴射させたエアで進行方向を変更して、基板19の所望の露出面の略全面にイオン化エアを漏れなく吹き付けることが可能となる。
【0067】
本発明に係る基板処理装置1において、例えば第1のエア噴射口29は1本のスリット状であり、第2のエア噴射口69は1本のスリット状であり、第1のエア噴射口29の延在方向(X軸方向)と第2のエア噴射口69の延在方向(X軸方向)とが平行となっていることで、第1のエア噴射口29から延在方向において隙間を空けることなくエアカーテンを形成するように噴射させたイオン化エアを、延在方向においてエアカーテンを形成するように第2のエア噴射口69から噴射させたエアで進行方向を変更して、基板19の所望の露出面の略全面にイオン化エアを漏れなく吹き付けることが可能となる。
なお、例えば、第1のエア噴射口29が複数であり、第2のエア噴射口69が1本の連続するスリット状になっていてもよいし、その逆の形態となっていてもよい。
【0068】
本発明に係る基板処理装置1は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、基板処理装置1を用いた基板19の加工も上記実施形態に限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【0069】
例えば、本発明に係る基板処理装置1において、
図5に示すように、第1のエア噴射口29は、第2搬送ユニット52によって保持テーブル30から搬出された基板19の露出面である下面193(本実施形態においては、ダイシングテープ198の下面)に向けて形成され、
図4に示すように、第2のエア噴射口69は、保持テーブル30に保持された基板19の露出面である上面190に向けて形成されていてもよい。
【0070】
即ち、例えば、カセット側除電ユニット21は、
図4、
図5示す保持テーブル30の外周より外側の保持面300より上方の位置(基板19の保持テーブル30に対する搬入出を妨げない位置)に配設されている。また、カセット側除電ユニット21と共に用いるカセット側エア噴射ユニット61は、
図4、
図5示す例においては、保持テーブル30の外周より外側で、カセット側除電ユニット21よりも高い位置に配設されている。
【0071】
例えば、X軸方向に延在するパイプ状のカセット側エア噴射ユニット61のX軸方向に並ぶ複数の第2のエア噴射口69は、保持テーブル30の保持面300に向かって斜め上方から交差する方向に開口している。例えば複数のカセット側除電ユニット21は、並び方向であるX軸方向において、保持テーブル30の直径よりも端から端までの距離が長くなるように配設されている。カセット側除電ユニット21の各第1のエア噴射口29は、保持テーブル30側の斜め上方を向くように開口している。
【0072】
図4に示す保持テーブル30に吸引保持された状態のワークセット199の基板19の露出面である上面(表面)190及びダイシングテープ198の上面に、複数のカセット側除電ユニット21とカセット側エア噴射ユニット61とにより、イオン化エアを吹き付け除電を行う場合について以下に説明する。
【0073】
具体的には、
図4に示すカセット側除電ユニット21に対して、図示しないエア供給源からエアが供給され、各カセット側除電ユニット21が第1のエア噴射口29からイオン化エア291を噴射させる。本実施形態においては、X軸方向に並べて配設された複数のカセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エア291が、エアカーテン状になって斜め上方に噴射される。また、カセット側エア噴射ユニット61からは、カセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エア291と交差する方向、即ち、保持テーブル30によって保持されたワークセット199の露出面であるダイシングテープ198の上面、及び基板19の上面190に向かう方向に、所定圧力の圧縮エア699が噴射される。
【0074】
そして、カセット側エア噴射ユニット61から噴射されたエア699によって、
図4に示すように、カセット側除電ユニット21から噴射されたイオン化エア291の進行方向が、ダイシングテープ198の上面、及び基板19の上面190に向かう方向に変更され、エアカーテン状のイオン化エア291によって基板19やダイシングテープ198が均一に除電されていく。
【0075】
図5に示す第2搬送ユニット52の保持パッド521に吸引保持された状態のワークセット199の基板19の露出面である下面193(本実施形態においては、ダイシングテープ198の下面)に、複数のカセット側除電ユニット21により、イオン化エアを吹き付けて除電を行う場合について以下に説明する。
この場合には、カセット側エア噴射ユニット61からは、エアの噴射を行わず、
図5に示すカセット側除電ユニット21から、イオン化エア291がエアカーテン状になって斜め上方に位置する保持パッド521に吸引保持されたワークセット199の下面側にそのまま吹き付けられ、ワークセット199の露出面であるダイシングテープ198の下面の略全面に沿って流れていき、これによって基板19やダイシングテープ198に帯電していた静電気が均一に除電されていく。
【符号の説明】
【0076】
19:基板 190:基板の表面(上面) 191:分割予定ライン 192:デバイス
193:基板の裏面(下面) 198:ダイシングテープ 197:環状フレーム
1:基板処理装置 10:装置ベース 100:筐体 101:入力部
13:カセット載置台 14:カセット 15:プッシュプル 16:センタリングガイド
30:保持テーブル 300:保持面 31:カバー 311:蛇腹カバー
51:第1搬送ユニット
511:保持パッド 515:吸着盤 512:上下動ユニット 513:Y軸移動ユニット 514:スライダー
52:第2搬送ユニット
521:保持パッド 522:上下動ユニット 523:Y軸移動ユニット 524:スライドブロック 525:吸着盤
107:門型コラム
21:カセット側除電ユニット 29:第1のエア噴射口
61:カセット側エア噴射ユニット 69:第2のエア噴射口
22:洗浄ユニット側除電ユニット 29:第1のエア噴射口
62:洗浄ユニット側エア噴射ユニット 69:第2のエア噴射口
12:洗浄ユニット 120:保持テーブル