(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164727
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ファイバーケーブル切断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 1/14 20060101AFI20221020BHJP
B26D 3/16 20060101ALI20221020BHJP
B26D 1/15 20060101ALI20221020BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20221020BHJP
G02B 6/46 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B26D1/14 F
B26D3/16 A
B26D1/15
B24B27/06 M
G02B6/46
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130345
(22)【出願日】2022-08-18
(62)【分割の表示】P 2018156423の分割
【原出願日】2018-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
(57)【要約】
【課題】ファイバーケーブルの加工品質を向上させることができるファイバーケーブル切断装置を提供する。
【解決手段】テーブル16と、ブレード18と、固定部20と、を有し、テーブル16と固定部20と間に設けられ、ケーブル領域13をX方向に摺動自在に支持した状態でZ方向下側から受け支えるガイドバー22を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバーケーブルの被切断部が固定されて水平方向のうち第1方向に移動可能なテーブルと、
水平方向のうち前記第1方向に直交する第2方向に回転軸を有するブレードと、
前記テーブルに対して前記第2方向に離間した位置に配置され、前記ファイバーケーブルの被固定部を固定する固定部と、
を備え、前記ブレード及び前記固定部に対して前記テーブルを前記第1方向に移動させながら、回転する前記ブレードによって前記被切断部を切断するファイバーケーブル切断装置であって、
前記テーブルと前記固定部と間に設けられ、前記ファイバーケーブルの前記被切断部と前記被固定部との間のケーブル領域を前記第1方向に摺動自在に支持した状態で鉛直方向下側から受け支える支持部材を有する、ファイバーケーブル切断装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向の位置を調整する調整機構を有する、請求項1に記載のファイバーケーブル切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバーケーブル切断装置に係り、特にファイバーケーブルの端部を切断するファイバーケーブル切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバーケーブルは、主に基板と基板との間で信号を伝達するケーブルとして使用される。また、ファイバーケーブルは、その端部を基板のコネクタに挿入して使用するものなので、端部を高精度に切断加工する必要がある。
【0003】
特許文献1には、ファイバーケーブル切断装置の一例が開示されている。この切断装置は、ファイバーケーブルを送り出す搬送手段と、ファイバーケーブルを切断する切断刃と、を備えており、搬送手段によってファイバーケーブルを送りつつ、切断刃によってファイバーケーブルの端部を切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1に開示されたファイバーケーブル切断装置とは別に、半導体ウェーハ等のワークを切削加工するダイシング装置やスライサー等の切削加工装置をファイバーケーブル切断装置に適用することが考えられる。
【0006】
ここで、上記の切削加工装置は、一般的に、ワークに対して相対的にY方向にインデックス送りとZ方向に切り込み送りとがされるブレードと、ワークを載置してブレードに対し相対的にX方向の切削送りがされるテーブルとを有している。
【0007】
しかしながら、このような構成の切削加工装置をファイバーケーブル切断装置として適用した場合、加工対象物が板状のワークから長尺状のファイバーケーブルに変更されることに伴い、以下の問題点を改善する必要がある。
【0008】
切削加工装置のテーブルにファイバーケーブルの被切断部を固定して、ファイバーケーブルの他端部を切削加工装置の装置外に配置した場合、テーブルをX方向に切削送りしたときに、テーブルの移動に伴ってファイバーケーブルに垂れ下がりや捩じれが発生する。このような現象が発生すると、加工端部であるファイバーケーブルの被切断部に引っ張りや捩じれの力が加わるため、ブレードによる加工精度が悪化して加工品質が低下するという問題があった。
【0009】
上記の問題は、切削加工装置のテーブルに全長分のファイバーケーブルを載置すれば解消できるが、ファイバーケーブルの長さが例えば10メートルを超えるような場合には困難であった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ファイバーケーブルの被加工部をテーブルに固定し、テーブルを移動させながらファイバーケーブルの被加工部をブレードによって切断するファイバーケーブル切断装置において、ファイバーケーブルの加工品質を向上させることができるファイバーケーブル切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のファイバーケーブル切断装置は、本発明の目的を達成するために、ファイバーケーブルの被切断部が固定されて水平方向のうち第1方向に移動可能なテーブルと、水平方向のうち第1方向に直交する第2方向に回転軸を有するブレードと、テーブルに対して第2方向に離間した位置に配置され、ファイバーケーブルの被固定部を固定する固定部と、を備え、ブレード及び固定部に対してテーブルを第1方向に移動させながら、回転するブレードによって被切断部を切断するファイバーケーブル切断装置であって、テーブルと固定部と間に設けられ、ファイバーケーブルの被切断部と被固定部との間のケーブル領域を第1方向に摺動自在に支持した状態で鉛直方向下側から受け支える支持部材を有し、支持部材は、第2方向から見た場合、固定部からテーブルが離れる第1方向に沿って、テーブルに近づくように鉛直方向下方側に屈曲される。
【0012】
本発明の一形態は、支持部材は、第1方向と第2方向とに直交する第3方向の位置を調整する調整機構を有することが好ましい。
【0013】
本発明のファイバーケーブル切断装置は、本発明の目的を達成するために、ファイバーケーブルの被切断部が固定されて水平方向のうち第1方向に移動可能なテーブルと、水平方向のうち第1方向に直交する第2方向に回転軸を有するブレードと、テーブルに対して第2方向に離間した位置に配置され、ファイバーケーブルの被固定部を固定する固定部と、を備え、ブレード及び固定部に対してテーブルを第1方向に移動させながら、回転するブレードによって被切断部を切断するファイバーケーブル切断装置であって、テーブルと固定部と間に設けられ、ファイバーケーブルの被切断部と被固定部との間のケーブル領域を第1方向に摺動自在に支持した状態で鉛直方向下側から受け支える支持部材と、支持部材を鉛直方向下方側及び鉛直方向上側に移動させる移動機構と、第2方向から見た場合、固定部からテーブルが離れる動作に連動してテーブルに近づくように支持部材を鉛直方向下方側に移動させ、固定部にテーブルが近づく動作に連動してテーブルから離れるように支持部材を鉛直方向上側に移動させるように移動機構を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ファイバーケーブルの加工品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るファイバーケーブル切断装置の正面図
【
図2】
図1に示したファイバーケーブル切断装置の左側面図
【
図3】
図1に示したファイバーケーブル切断装置の斜視図
【
図4】本発明の第2実施形態に係るファイバーケーブル切断装置の左側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係るファイバーケーブル切断装置の好ましい実施形態について詳説する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態のファイバーケーブル切断装置10の正面図、
図2は、
図1に示したファイバーケーブル切断装置10の左側面図、
図3は、ファイバーケーブル切断装置10の全体斜視図である。
図1から
図3に示すX方向は、水平方向のうちの第1方向であって後述するテーブル16の移動方向を指す。また、Y方向は、水平方向のうちX方向に直交する第2方向を指す。更に、Z方向は、鉛直方向であって、X方向及びY方向に直交する第3方向を指す。
【0018】
実施形態においては、ファイバーケーブルとして、複数本のファイバーケーブルからなる帯状部材12を例示する。帯状部材12は、一例として、直径が200μmの100本のファイバーケーブルを有し、その幅寸法W(
図3参照)は約80mmである。なお、
図1から
図3おいて、帯状部材12はその大きさを誇張して示している。
【0019】
ファイバーケーブル切断装置10は、一例として、半導体ウェーハ等のワークを切削加工するダイシング装置が適用されたものであり、その構成は、帯状部材12の加工端部である被切断部12Aが固定されるテーブル16と、帯状部材12の被切断部12Aを幅方向に切断するブレード18と、を有している。また、特有の構成部材として、帯状部材12の被固定部12Bを固定する固定部20と、帯状部材12を支持するガイドバー22と、有している。このガイドバー22は、本発明の構成要素である支持部材の一例である。
【0020】
テーブル16は、一例として円盤状に構成されており、その上面には水平方向に平坦な固定面24を備え、この固定面24に帯状部材12の被切断部12Aが固定される。固定面24に対する被切断部12Aの固定方式として、固定面24を真空吸着可能な吸引口を備えた吸着面として構成し、この固定面24に被切断部12Aを真空吸着する方式を例示する。また、真空吸着方式に代えてメカニカルな構造にて被切断部12Aを固定面24に固定する方式であってもよい。なお、実施形態では、被切断部12Aの下面に金属製又は樹脂製のプレート25を着脱自在に接着し、このプレート25を介して被切断部12Aを固定面24に固定している。
【0021】
テーブル16は、その下部に、テーブル16をX方向に沿って往復移動させるX移動機構部26を備えている。X移動機構部26は、X方向に沿って配設された一対のガイドレール28、28と、一対のガイドレール28、28の間に配置されたボールネジ装置30と、を備えている。このX移動機構部26によれば、ボールネジ装置30を正転又は反転駆動することにより、テーブル16を一対のガイドレール28、28に沿ってX(+)方向又はX(-)方向に移動させることができる。X移動機構部26として、上記のボールネジ装置30を使用することにより、端面研磨に要求される低速で高精細な送り速度(例えば、0.02~0.03mm/s)を実現することが可能となるので好ましい。
【0022】
ここで、
図2及び
図3の実線で示すテーブル16の位置が切断開始位置であることを示しており、
図2及び
図3の二点鎖線で示すテーブル16の位置が切断終了位置であることが示されている。したがって、上記のX移動機構部26によりテーブル16を切断開始位置から切断終了位置に向けてX(-)方向に移動させることにより、帯状部材12の被切断部12Aを回転するブレード18によって切断することができる。また、切断終了位置からテーブル16をX(+)方向に移動させることにより切断開始位置にテーブル16を戻すことができる。なお、
図2及び
図3では、Y方向において被切断部12Aと被固定部12Bとが互いに対向した位置、つまり、XYZ座標において被切断部12Aと被固定部12Bとが最も近接した位置が切断開始位置に設定されているが、切断開始位置は任意の位置に設定可能である。
【0023】
ブレード18は、一例として、ダイヤモンド砥粒又はCBN(cubic boron nitride)砥粒をニッケルで電着した電着ブレードを例示することができる。また、電着ブレードの他、金属粉末を混入した樹脂で結合したメタルレジンボンドのブレードも使用することができる。このよう構成されたブレード18は、Y方向に沿って配置された高周波モータ内蔵型のスピンドル32に連結されており、このスピンドル32によって、例えば、6000rpm~80000rpmで高速回転される。また、スピンドル32は、
図1に示すように、Z移動機構部34に取り付けられており、Z移動機構部34はY移動機構部36に取り付けられている。このような構成によりブレード18は、Z移動機構部34によってZ方向における切り込み量の調整と、Y移動機構部36によってY方向における切断位置の調整と、がなされる。なお、Z移動機構部34及びY移動機構部36においても、X移動機構部26と同様の構造(ガイドレールとボールネジ装置とを有する構造)を適用することができる。
【0024】
このように構成されたファイバーケーブル切断装置10のように、ワークに対して相対的にY方向にインデックス送りとZ方向に切り込み送りとがされるブレードと、ワークを載置してブレードに対し相対的にX方向の切削送りがされるテーブルとを有する構成の場合、
図2及び
図3に示した切断開始位置と切断終了位置との間でテーブル16が移動したときに、ケーブル領域13に垂れ下がりや捩じれが発生する。
【0025】
そこで、実施形態のファイバーケーブル切断装置10は、上記の垂れ下がりと捩じれを防止するために、固定部20とガイドバー22とを備えている。
【0026】
固定部20は、テーブル16に対してY(-)方向側に離間して配置される。固定部20は、テーブル16の外側に配置された台座部38と、台座部38の上面に着脱自在なクランプ部材40と、を有し、台座部38とクランプ部材40との間で被固定部12Bを挟持することにより、帯状部材12の被固定部12Bを固定することができる。
【0027】
ガイドバー22は、テーブル16と固定部20との間でX方向に沿って配置されている。このガイドバー22は、ファイバーケーブル12の被切断部12Aと被固定部12Bとの間のケーブル領域13(
図1参照)をX方向に摺動自在に支持した状態でZ方向下側から受け支え可能に構成されている。これにより、ケーブル領域13の垂れ下がりが防止されている。
【0028】
ここで、ガイドバーがX方向に沿った直棒状の支持部材により構成された場合、次のような課題がある。すなわち、ケーブル領域13の長さは、固定部20からテーブル16が最も離れた位置、つまりテーブル16が切断終了位置に対応した長さに設定する必要がある。しかしながら、このような長さにケーブル領域13を設定すると、固定部20にテーブル16が最も接近した位置、つまりテーブル16が切断開始位置に位置したときにケーブル領域13の余長が大きくなり、その余長に応じてケーブル領域13が捩じれやすくなってしまうので、余長分の捩じれを防止する必要がある。
【0029】
そこで、実施形態のガイドバー22は、上記の課題を解決するために、次のように構成されている。すなわち、ガイドバー22は、切断開始位置に対応した上位部22Aと、切断終了位置に対応した下位部22Bと、上位部22Aと下位部22Bとを連結する傾斜部22Cと、を有し、Y方向から見た場合、固定部20からテーブル16が離れるX(-)方向に沿って、テーブル16に近づくようにZ方向下方側に屈曲されている。ガイドバー22にZ方向下方側に傾斜した傾斜部22Cを備えることにより、ケーブル領域13の長さを、上記した直棒状の支持部材を適用した場合の長さよりも短くすることができる。これにより、テーブル16が切断開始位置に位置したときに生じるケーブル領域13の余長分の長さを短くすることができる。
【0030】
このような構成のガイドバー22を備えることにより、ケーブル領域13の垂れ下がりと余長分の捩じれを防止することができるので、被切断部12Aに引っ張りや捩じれの力が加わることを抑制することができる。よって、実施形態のファイバーケーブル切断装置10によれば、ブレード18による加工精度が良好となり加工品質が向上する。
【0031】
なお、ガイドバー22の傾斜部22Cは、全体として角部の無い円弧状に構成されており、また、上位部22CAの連結部、及び下位部22Bとの連結部においても角部の無い形状に構成されている。
【0032】
次に、ファイバーケーブル切断装置10の作用について説明する。
【0033】
まず、テーブル16を
図2及び
図3の切断開始位置に位置させる。次に、帯状部材12の被切断部12Aを、ガイドバー22の上方からテーブル16に向けて這わせてテーブル16の固定面24に固定する。このとき、
図1に示すように、ガイドバー22の上位部22Aにケーブル領域13の下面13Aが、X方向に摺動自在に支持される。次に、
図2に示すように帯状部材12の被固定部12Bを固定部20に固定する。これにより、ファイバーケーブル切断装置10に対する帯状部材12の取り付け作業が完了する。
【0034】
次に、Z移動機構部34によってブレード18のZ方向における切り込み量の調整と、Y移動機構部36によってブレード18のY方向における切断位置の調整と、を行う。これにより、切断準備が完了する。
【0035】
次に、X移動機構部26によってテーブル16を
図2及び
図3の切断開始位置から切断終了位置に向けてX(-)方向に移動させて、被切断部12Aの切断を開始する。このテーブル16の移動に伴ってケーブル領域13の下面13Aは、上位部22Aから傾斜部22Cを摺動して傾斜部22Cに支持される。そして、テーブル16が切断終了位置に移動して被切断部12Aの切断が終了すると、上記の下面13Aは、傾斜部22Cから下位部22Bに支持される。
【0036】
被切断部12Aの切断が終了すると、次の切断を開始するために、テーブル16を切断終了位置から切断開始位置に向けてX(+)方向に移動させる。このテーブル16の移動に伴ってケーブル領域13の下面13Aは、下位部22Bから傾斜部22Cを摺動して傾斜部22Cに支持される。そして、テーブル16が切断開始位置に移動されると、上記の下面13Aは、傾斜部22Cから上位部22Aに支持される。
【0037】
したがって、実施形態のファイバーケーブル切断装置10によれば、テーブル16と固定部20と間にガイドバー22を設け、このガイドバー22によってケーブル領域13をX方向に摺動自在に支持した状態でZ方向下側から受け支えるようにしたので、切断加工中のケーブル領域13の垂れ下がりを防止することができる。また、ガイドバー22は、Y方向から見た場合、固定部20からテーブル16が離れるX(-)方向に沿って、テーブル16に近づくようにZ方向下方側に屈曲されているので、テーブル16が切断開始位置に位置したときに生じるケーブル領域13の余長分の長さを短くすることができる。これにより、ケーブル領域13の垂れ下がりと余長分の捩じれを防止することができるので、被切断部12Aに引っ張りや捩じれの力が加わることを抑制することができ、よって、ブレード18による加工精度が良好となり加工品質が向上する。
【0038】
実施形態のガイドバー22は、
図2及び
図3に示すように、ガイドバー22のZ方向の位置を調整する調整機構50を備えていることが好ましい。
【0039】
調整機構50は、装置本体62にZ方向に立設されたポール52と、ポール52に沿ってZ方向に昇降自在なホルダ本体54と、を有している。ホルダ本体54は、ポール52が挿入される孔部56と、ガイドバー22の上位部22AのX(+)側の端部22Dを保持する一対のホルダ58と、ホルダ本体54に螺入されてポール52に押圧されるネジ部60と、を有している。
【0040】
このように構成された調整機構50によれば、ネジ部60を緩めることにより、ポール52に対するホルダ本体54のZ方向の位置を、
図2の矢印Aに示すように調整することができ、これによって、ガイドバー22のZ方向の位置を調整することができる。
【0041】
ガイドバー22のZ方向の位置を調整可能とすることにより、幅寸法の異なる帯状部材12に対応することができる。例えば、
図3に示した幅寸法Wよりも大きい幅寸法を有する帯状部材12の場合、切断開始位置と切断終了位置との間のX方向の長さ(テーブル16のX方向移動ストロークとも言う)を、幅寸法Wの帯状部材12の場合よりも長めに設定する必要がある。このような場合には、ガイドバー22の高さを
図3の位置よりも高めに設定する。これにより、幅寸法Wよりも大きい幅寸法を有する帯状部材12であっても、被切断部12Aを安定して切断することができる。これとは逆に、幅寸法Wよりも小さい幅寸法を有する帯状部材12の場合、テーブル16のX方向移動ストロークを、幅寸法Wの帯状部材12の場合よりも短めに設定する必要がある。このような場合には、ガイドバー22の高さを
図3の位置よりも低めに設定する。これにより、幅寸法Wよりも小さい幅寸法を有する帯状部材12であっても、被切断部12Aを安定して切断することができる。
【0042】
実施形態のガイドバー22においては、その表面に自己潤滑作用のある潤滑剤をコーティングすることが好ましい。これにより、帯状部材12の下面13Aとガイドバー22との間の摩擦抵抗を小さくすることができるので、ガイドバー22に対して下面13Aが円滑に摺動し、被切断部12Aの切断を更に安定して実施することができる。
【0043】
また、実施形態では固定部20を装置本体36に固定したが、
図1に示すように、Z方向に沿った軸Bを中心に回動自在に構成してもよい。この構成によれば、テーブル16の移動位置に応じて固定部20の向きを追従させることができるので、帯状部材12に生じる捩じれを抑制することができる。なお、固定部20の回転機構として、台座部38を装置本体62(
図3参照)に軸Bを中心に回動自在に連結する構造を例示することができる。
【0044】
図4は、第2実施形態に係るファイバーケーブル切断装置70の左側面図である。
【0045】
第2実施形態では、支持部材の一例であるガイドバー72が直棒状に構成され、第1実施形態のガイドバー22と同様にテーブル16と固定部20との間でX方向に沿って配置されている。
【0046】
ガイドバー72のX(+)側の端部72Aは、ネジ装置74を構成するナット部76に固定されている。送りネジ装置74は、モータ78と、ネジ部80と、ナット部76と、を備えており、ネジ部80がZ方向に沿って配置され、このネジ部80にナット部76が螺合されている。したがって、モータ78によってネジ部80を正転又は逆転させることにより、矢印Cに示すようにナット部76がネジ部80に沿ってZ方向に昇降するので、ガイドバー72をZ方向に昇降移動させることができる。なお、ガイドバー72のX(-)側の端部72Bは、ガイドバー72をZ方向に移動自在に支持する直動ガイド部82に支持されている。直動ガイド部82は、Z方向に立設されたポール84と、ポール84に摺動自在に取り付けられた可動部86と、を有し、可動部86に上記の端部72Bが取り付けられている。このような構成により、ガイドバー72はZ方向に円滑に昇降移動することができる。なお、送りネジ装置74は、本発明の構成要素である移動機構の一例である。
【0047】
送りネジ装置74のモータ78は、制御部88によってその回転方向及び回転速度が制御されている。制御部88は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェース等を備えている。制御部88では、ROMに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、モータ78を下記のように制御してガイドバー72を移動させる。すなわち、ガイドバー72をY方向から見た場合、固定部20からテーブル16がX(-)方向に離れる動作に連動して、ガイドバー72がテーブル16に近づくようにガイドバー72をZ方向下方側に移動させる。そして、固定部20にテーブル16が近づく動作に連動して、ガイドバー72がテーブル16から離れるようにガイドバー72をZ方向上側に移動させる。
【0048】
このような構成の第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、切断加工中の帯状部材12の垂れ下がりを防止しつつ、テーブル16が切断開始位置に位置したときに生じるケーブル領域13の余長分の長さを短くすることができる。これにより、ケーブル領域13の垂れ下がりと余長分の捩じれを防止することができるので、被切断部12Aに引っ張りや捩じれの力が加わることを抑制することができ、よって、ブレード18による加工精度が良好となり加工品質が向上する。なお、第2実施形態では、ガイドバー72を直棒状に構成したが、これに限らず、例えば、第1実施形態のように傾斜部22Cを備えた屈曲タイプのものであってもよい。
【0049】
以上説明した実施形態では、帯状部材12を切断するファイバーケーブル切断装置10を例示した。この帯状部材12としては、複数のファイバーをまとめたもの、又は、複数のファイバーをまとめたものの集合体であってもよい。このような帯状部材12は、被切断部12Aで不図示の基材と一体化されていることが好ましい。また、ファイバーケーブル切断装置10は、1本のファイバーケーブルのみを切断する切断装置としても適用可能である。
【0050】
また、上記の実施形態では、ファイバーケーブル切断装置10、70としてダイシング装置を適用したので、特許文献1のようなファイバーケーブル切断装置と比較して、以下の効果を有する。すなわち、ファイバーケーブルの加工工程は、切断による切断工程の他、研磨手段によって端面を研磨する研磨工程が必要となるが、特許文献1のファイバーケーブル切断装置は切断工程のみ行う装置なので、スループットを向上させることができない。これに対して、ダイシング装置に適用されるブレード18は、一般的に砥粒の小さい砥石が使用され、その回転速度も速く、また、加工速度も低速度に制御することができるので高精細にワークを加工可能である。このようなブレード18の性能を利用することにより、ファイバーケーブルの端部の切断工程と端面の研磨工程とを同時に実施することが可能となるので、スループットを向上させることができる。
【符号の説明】
【0051】
10…ファイバーケーブル切断装置、12…帯状部材、16…テーブル、18…ブレード、20…固定部、22…ガイドバー、24…固定面、26…X移動機構部、28…ガイドレール、30…ボールネジ装置、32…スピンドル、34…Z移動機構部、36…Y移動機構部、38…台座部、40…クランプ部材、50…位置調整機構、52…ポール、54…ホルダ本体、56…孔部、58…ホルダ、60…ネジ部、62…装置本体、70…ファイバーケーブル切断装置、72…ガイドバー、74…送りネジ装置、76…ナット部、78…モータ、80…ネジ部、82…直動ガイド部、84…ポール、86…可動部、88…制御部