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特開2022-165311バーコードの読み取り方法及びバーコード読み取り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165311
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】バーコードの読み取り方法及びバーコード読み取り装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/14 20060101AFI20221024BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
G06K7/14 091
G06K7/10 372
G06K7/14 013
G06K7/14 065
G06K7/10 452
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070638
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】宮田 諭
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バーコードをバーコードリーダによって読み取る際に何度もリトライすることになり生産性が悪化するという問題を解消するバーコードの読み取り方法を提供する。
【解決手段】方法は、物体に形成されたバーコードにバーコードリーダを対面させて撮像してバーコードを読み取る読み取り、奇数列の走査線で構成された画像で偶数列の画像を補完して偶数列補完画像を生成すると共に、偶数列の走査線で構成された画像で奇数列の画像を補完して該奇数列補完画像を生成し、バーコードを読み取ることができない読み取り不良が発生した場合、該偶数列補完画像と該奇数列補完画像とを比較して、両者が一致しない場合には、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動があったと判断して再び該読み取りを実施するよう指示し、両者が一致する場合には、バーコードとバーコードリーダとにおいて、相対的な振動に起因しない別の原因が存在するとしてエラーを表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターレースカメラで構成されたバーコードリーダで物体に形成されたバーコードを読み取るバーコードの読み取り方法であって、
物体に形成されたバーコードにバーコードリーダを対面させて撮像してバーコードを読み取る読み取り工程と、
該バーコードリーダが読み取った奇数列の走査線で構成された画像で偶数列の画像を補完して偶数列補完画像を生成すると共に、偶数列の走査線で構成された画像で奇数列の画像を補完して該奇数列補完画像を生成する画像補完工程と、
該読み取り工程においてバーコードを読み取ることができない読み取り不良が発生した場合、該偶数列補完画像と該奇数列補完画像とを比較して、両者が一致しない場合には、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動があることに起因して該バーコードを読み取ることができなかったと判断して再び該読み取り工程を実施するよう指示するリトライ工程と、
該読み取り工程においてバーコードを読み取ることができない読み取り不良がある場合、該偶数列補完画像と該奇数列補完画像とを比較して両者が一致する場合には、バーコードとバーコードリーダとにおいて、相対的な振動に起因しない別の原因が存在するとしてエラーを表示するエラー表示工程と、
を備えるバーコード読み取り方法。
【請求項2】
インターレースカメラで構成されたバーコードリーダで物体に形成されたバーコードを読み取るバーコードの読み取り装置であって、
物体に形成されたバーコードを撮像してバーコードを読み取るバーコードリーダと、制御手段と、を備え、
該制御手段は、
該バーコードリーダが読み取った奇数列の走査線で構成された画像で偶数列の画像を補完して偶数列補完画像を生成して記録する偶数列補完画像記録部と、
該バーコードリーダが読み取った偶数列の走査線で構成された画像で奇数列の画像を補完して奇数列補完画像を生成して記録する奇数列補完画像記録部と、
該バーコードリーダによってバーコードを読み取ることができない読み取り不良が生じた場合に、該偶数列補完画像記録部に記録されている該偶数列補完画像と、該奇数列補完画像記録部に記録されている該奇数列補完画像とを比較して一致しない場合に、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動があることに起因して該バーコードを読み取ることができなかったと判断して再び該読み取りを指示するリトライ指示部と、
該バーコードリーダによってバーコードを読み取ることができない読み取り不良がある場合に、該偶数列補完画像記録部に記録されている該偶数列補完画像と、該奇数列補完画像記録部に記録されている該奇数列補完画像とを比較して一致する場合には、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動がなく別の原因が存在することにより読み取り不良が発生したと判断してエラーの表示を指示するエラー表示指示部と、を備えるバーコード読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターレースカメラで構成されたバーコードリーダでバーコードを読み取るバーコードの読み取り方法、及びインターレースカメラで構成されたバーコードリーダでバーコードを読み取るバーコード読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等のデバイスが分割予定ラインによって区画された表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
ダイシング装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを回転可能に備えた切削手段とを備えていて、ウエーハを高精度に分割することができる。
【0004】
ダイシング装置は、被加工物であるウエーハの種類や加工条件等に応じて適正な切削ブレードを選択しなければならないため、バーコードが形成された複数種類の切削ブレードを用意しておき、バーコードリーダによって切削ブレードに形成されたバーコードを読み取り、該バーコードによって読み取られた情報に基づいて切削ブレードを特定し、該特定された切削ブレードの特性(切り刃の厚み、刃先出し量、砥粒の粒径、砥粒を固定するボンド材の種類等)がダイシング装置の制御手段に登録され、切削加工が実施される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-144034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したダイシング装置において、切削ブレードに形成されたバーコードをバーコードリーダによって読み取る際に、バーコードから情報が適切に読み取れない場合がある。その場合、作業者は、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動があることに起因して該バーコードを読み取ることができなかったと判断して、該相対的な振動が収まるタイミングを見計らって、再びバーコードリーダによる読み取り作業を実施するようにしている。
【0007】
ところで、上記したように、バーコードから情報が適切に読み取れない場合、上記した相対的な振動が収まることを待って再び読み取り作業を実施することを繰り返したとしても、バーコードから情報を適切に読み取ることができないケースが発生する。このようなケースで該バーコードから情報が読み込めない原因を調査すると、切削ブレード側に形成されたバーコードに汚れが付着していたり、バーコードに傷があったりしていることが判明する。すなわち、作業者がバーコードの読み込みを実施して、バーコードから情報が読み取れない場合、その原因がバーコードとバーコードリーダとの相対的な振動に起因するものであるのか、バーコードの汚れや傷に起因するものであるのか、すぐには判明せず、結局、読み取り作業を何度も繰り返すことになって時間が経過し、生産性が悪化するという問題がある。
【0008】
これは、作業員が手に持ってバーコードを読み取る形式のバーコードリーダであっても、固定式のバーコードリーダであっても同様に発生し得る問題である。また、このような問題は、切削ブレードに形成されたバーコードを読み取る場合に限定されず、被加工物であるウエーハを保持するフレームにバーコードが形成されて、該フレームのバーコード情報をバーコードリーダによって読み取り、該バーコードの情報に基づいて、ウエーハを各種のダイシング装置に振り分けるシステムであっても、同様の問題は起こり得る。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、バーコードをバーコードリーダによって読み取る際に何度もリトライすることになり生産性が悪化するという問題を解消するバーコードの読み取り方法、及びバーコード読み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、インターレースカメラで構成されたバーコードリーダで物体に形成されたバーコードを読み取るバーコードの読み取り方法であって、物体に形成されたバーコードにバーコードリーダを対面させて撮像してバーコードを読み取る読み取り工程と、該バーコードリーダが読み取った奇数列の走査線で構成された画像で偶数列の画像を補完して偶数列補完画像を生成すると共に、偶数列の走査線で構成された画像で奇数列の画像を補完して該奇数列補完画像を生成する画像補完工程と、該読み取り工程においてバーコードを読み取ることができない読み取り不良が発生した場合、該偶数列補完画像と該奇数列補完画像とを比較して、両者が一致しない場合には、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動があることに起因して該バーコードを読み取ることができなかったと判断して再び該読み取り工程を実施するよう指示するリトライ工程と、該読み取り工程においてバーコードを読み取ることができない読み取り不良がある場合、該偶数列補完画像と該奇数列補完画像とを比較して両者が一致する場合には、バーコードとバーコードリーダとにおいて、相対的な振動に起因しない別の原因が存在するとしてエラーを表示するエラー表示工程と、を備えるバーコードの読み取り方法が提供される。
【0011】
また、上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、インターレースカメラで構成されたバーコードリーダで物体に形成されたバーコードを読み取るバーコードの読み取り装置であって、物体に形成されたバーコードを撮像してバーコードを読み取るバーコードリーダと、制御手段と、を備え、該制御手段は、該バーコードリーダが読み取った奇数列の走査線で構成された画像で偶数列の画像を補完して偶数列補完画像を生成して記録する偶数列補完画像記録部と、該バーコードリーダが読み取った偶数列の走査線で構成された画像で奇数列の画像を補完して奇数列補完画像を生成して記録する奇数列補完画像記録部と、該バーコードリーダによってバーコードを読み取ることができない読み取り不良が生じた場合に、該偶数列補完画像記録部に記録されている該偶数列補完画像と、該奇数列補完画像記録部に記録されている該奇数列補完画像とを比較して一致しない場合に、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動があることに起因して該バーコードを読み取ることができなかったと判断して再び該読み取りを指示するリトライ指示部と、該バーコードリーダによってバーコードを読み取ることができない読み取り不良がある場合に、該偶数列補完画像記録部に記録されている該偶数列補完画像と、該奇数列補完画像記録部に記録されている該奇数列補完画像とを比較して一致する場合には、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動がなく別の原因が存在することにより読み取り不良が発生したと判断してエラーの表示を指示するエラー表示指示部と、を備えるバーコード読み取り装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバーコードの読み取り方法は、物体に形成されたバーコードにバーコードリーダを対面させて撮像してバーコードを読み取る読み取り工程と、該バーコードリーダが読み取った奇数列の走査線で構成された画像で偶数列の画像を補完して偶数列補完画像を生成すると共に、偶数列の走査線で構成された画像で奇数列の画像を補完して該奇数列補完画像を生成する画像補完工程と、該読み取り工程においてバーコードを読み取ることができない読み取り不良が発生した場合、該偶数列補完画像と該奇数列補完画像とを比較して、両者が一致しない場合には、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動があることに起因して該バーコードを読み取ることができなかったと判断して再び該読み取り工程を実施するよう指示するリトライ工程と、該読み取り工程においてバーコードを読み取ることができない読み取り不良がある場合、該偶数列補完画像と該奇数列補完画像とを比較して両者が一致する場合には、バーコードとバーコードリーダとにおいて、相対的な振動に起因しない別の原因が存在するとしてエラーを表示するエラー表示工程と、を備えることから、バーコードリーダによるバーコードの読み取り不良がバーコードの汚れや傷に原因があるのにも関わらず、バーコードリーダによる読み取りのリトライが何度も繰り返されて生産性が悪化するという問題が解消する。
【0013】
また、本発明のバーコード読み取り装置は、物体に形成されたバーコードを撮像してバーコードを読み取るバーコードリーダと、制御手段と、を備え、該制御手段は、該バーコードリーダが読み取った奇数列の走査線で構成された画像で偶数列の画像を補完して偶数列補完画像を生成して記録する偶数列補完画像記録部と、該バーコードリーダが読み取った偶数列の走査線で構成された画像で奇数列の画像を補完して奇数列補完画像を生成して記録する奇数列補完画像記録部と、該バーコードリーダによってバーコードを読み取ることができない読み取り不良が生じた場合に、該偶数列補完画像記録部に記録されている該偶数列補完画像と、該奇数列補完画像記録部に記録されている該奇数列補完画像とを比較して一致しない場合に、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動があることに起因して該バーコードを読み取ることができなかったと判断して再び該読み取りを指示するリトライ指示部と、該バーコードリーダによってバーコードを読み取ることができない読み取り不良がある場合に、該偶数列補完画像記録部に記録されている該偶数列補完画像と、該奇数列補完画像記録部に記録されている該奇数列補完画像とを比較して一致する場合には、バーコードとバーコードリーダとに相対的な振動がなく別の原因が存在することにより読み取り不良が発生したと判断してエラーの表示を指示するエラー表示指示部と、を備えていることから、バーコードリーダによるバーコードの読み取り不良が、バーコードの汚れや傷に原因があるのにも関わらず、バーコードリーダによる読み取りのリトライが何度も繰り返されて生産性が悪化するという問題が解消する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態のバーコード読み取り装置が配設されたダイシング装置の全体斜視図である。
図2】(a)図1のダイシング装置に装着された切削手段の分解斜視図、(b)(a)に示す切削手段を組み立てた状態を示す斜視図である。
図3】本実施形態の読み取り工程の実施態様を示す斜視図である。
図4】(a)本実施形態において、情報が適切に読み取られるバーコードの概念図、(b)本実施形態において読み取り不良となるバーコードの概念図である。
図5】(a)本実施形態のバーコードに係る奇数列画像及び偶数列補完画像の概念図、(b)本実施形態のバーコードに係る偶数列画像及び奇数列補完画像の概念図である。
図6】(a)別の実施形態のバーコードに係る奇数列画像及び偶数列補完画像の概念図、(b)別の実施形態のバーコードに係る偶数列画像及び奇数列補完画像の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に基づいて構成されるバーコードの読み取り方法、及びバーコード読み取り装置に係る実施形態について添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0016】
図1には、本実施形態のバーコード読み取り装置20が配設されたダイシング装置1が示されている。図示の実施形態におけるダイシング装置1は、略直方体状の装置ハウジング2を備え、被加工物であるウエーハ10を保持するチャックテーブル3と、チャックテーブル3に保持されたウエーハ10を切削する切削ブレード41を備えた切削手段4と、バーコード読み取り装置20と、制御手段100と、を含み構成されている。なお、図1に示す制御手段100は、説明の都合上、ダイシング装置1の外部に示しているが、実際は、ダイシング装置1の装置ハウジング2の内部に収容されている。また、本実施形態において加工されるウエーハ10は、図に示すように、例えば、略円板形状の半導体ウエーハであって、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画された表面に形成されたものであり、粘着テープTを介して環状のフレームFに支持されている。
【0017】
ダイシング装置1は、複数のウエーハ10を収容するカセット5(2点鎖線で示す)と、カセット5に収容されたウエーハ10を搬出して仮置きする仮置きテーブル6と、仮置きテーブル6にウエーハ10を搬出する搬出入手段7と、仮置きテーブル6に搬出されたウエーハ10をチャックテーブル3上に旋回して搬送する搬送手段8と、切削手段4により切削加工されたウエーハ10を洗浄する洗浄手段9(詳細は省略している)と、切削加工されたウエーハ10をチャックテーブル3から洗浄手段9へ搬送する洗浄搬送手段11と、チャックテーブル3上のウエーハ10を撮像する撮像手段12と、装置ハウジング2の上部に配設された表示手段13とを備えている。カセット5は、図示しない昇降手段によって上下に移動可能に配設されたカセットテーブル5a上に載置されており、カセット5からウエーハ10を搬出入手段7によって搬出する際には、カセット5の高さが適宜調整される。
【0018】
装置ハウジング2内には、チャックテーブル3と切削手段4とを相対的に加工送りする送り手段であって、チャックテーブル3を切削送り方向である矢印Xで示すX軸方向に移動させるX軸送り手段、切削手段4をチャックテーブル3に対して矢印Yで示すY軸方向に移動させるY軸送り手段、及び切削手段4をチャックテーブル3に対して矢印Zで示すZ軸方向に移動させるZ軸送り手段が配設されている(いずれも図示は省略する)。
【0019】
チャックテーブル3は、図示を省略する回転駆動手段によって回転可能に構成されている。また、ウエーハ10が載置されるチャックテーブル3の保持面3aは通気性を有する部材で形成されており、図示を省略する吸引手段に接続されている。該吸引手段を作動させることにより、保持面3aに負圧が生成されて、チャックテーブル3に載置されたウエーハ10を吸引保持することができる。
【0020】
ウエーハ10を個々のデバイスチップに分割すべく、ダイシング装置1を使用して切削加工を実施する際には、上記した送り手段を作動して、チャックテーブル3に吸引保持されたウエーハ10を撮像手段12の直下に位置付けて、ウエーハ10を撮像し、切削加工位置(分割予定ライン)を検出して、制御手段100に記憶する(アライメント)。該アライメントを実施した後、チャックテーブル3を切削手段4の直下に位置付けて、該アライメントによって検出された切削加工位置の情報に基づいて、上記したX軸送り手段、Y軸送り手段、Z軸送り手段、さらに図示を省略する回転駆動手段等を作動して、切削手段4と、チャックテーブル3に保持されたウエーハ10とを相対的に移動させて、ウエーハ10を切削して個々のデバイスチップに分割する。
【0021】
図2(a)には、図1に示したブレードカバー42が省略された切削手段4を分解した斜視図が示されている。図2(a)に示す切削ブレード41は、円形基台411と切り刃部412とを一体的に成形したものであり、円形基台411の中心部には、切削手段4の回転スピンドル43に装着するための装着孔413が形成されている。
【0022】
また、円形基台411の表面側には、該切削ブレード41の特性を特定するためのバーコード44が形成されている。バーコード44の形式は特に限定されないが、例えば、数字、アルファベット、記号等を情報として含む縞模様状の1次元バーコードであるCODE39を選択することが可能である。しかし、本発明はこれに限定されず、バーコード44が、他のタイプの1次元バーコードであってもよく、またいわゆる2次元バーコードであってもよい。
【0023】
このバーコード44には、切削ブレード41を製造する段階において設定された切削ブレード41の固有の特性が記録され、例えば、製造番号と共に、切り刃部412の厚さ、刃先突出量、外径、砥粒の粒径、ボンド材の種類等を特定するための情報が含まれている。
【0024】
図2(a)に示すように、切削手段4は、スピンドルハウジング45によって回転可能に支持された回転スピンドル43の先端に装着孔413を挿嵌し、切削ブレード41の裏面を回転スピンドル43の先端近傍に形成したストッパ部46に当接させ、ナット47を雄ネジ部48に螺合して締め付けることにより、切削ブレード41を回転スピンドル43に強固に固定して、図2(b)に示す切削手段4に組み立てる。なお、スピンドルハウジング45の後方には、図示を省略する電動モータが配設され、該電動モータによって切削ブレード41が回転するように構成されている。該電動モータも、上記した制御手段100によって制御される。
【0025】
図1に戻り説明を続けると、バーコード読み取り装置20は、バーコードを読み取るためのバーコードリーダ22を備えている。バーコードリーダ22は、作業者が手に持って使用するものであって、上記したバーコード44に向け、バーコード44の情報を読み取るハンディタイプのカメラである。バーコードリーダ22を使用して撮像した画像情報は、制御手段100に送られて適宜記録される。バーコードリーダ22は、いわゆるインターレース方式で被撮像物を撮像するインターレースカメラであり、水平方向に沿う有効走査線は、例えば480本であって、奇数番目の走査線によって構成される画像の情報を先に制御手段100に送り、残りの偶数番目の走査線によって構成される画像の情報をその後に送る。制御手段100は、奇数番目の走査線によって構成される奇数列画像と、偶数番目の走査線によって構成される偶数列画像とを交互に繰り返し生成して記録する。なお、バーコードリーダ22を使用しないときには、バーコードリーダ22に装着されたリング221を、ダイシング装置1のフック222に掛けた状態とする。
【0026】
制御手段100は、コンピュータにより構成され、制御プログラムに従って演算処理する中央演算処理装置(CPU)と、該制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、検出した検出値、演算結果、画像情報等を一時的に格納するための読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、入力インターフェース、及び出力インターフェースとを備えている(詳細についての図示は省略する)。制御手段100には、上記した切削手段4、撮像手段12、表示手段13、バーコードリーダ22、更には、図示を省略するX軸送り手段、Y軸送り手段、及びZ軸送り手段等の作動部が接続され、各作動部を制御している。また、制御手段100は、追って詳述する偶数列補完画像記録部102、奇数列補完画像記録部104、リトライ指示部106、エラー表示指示部108を備えており、これらは、制御手段100に格納された制御プログラム、RAM等によって実現される。該表示手段13には、必要に応じて、撮像手段12が撮像した画像、バーコードリーダ22によって検出された情報の他、ダイシング装置1において切削加工が実施される際の加工条件等が表示される。
【0027】
ダイシング装置1に装着される切削ブレード41は、被加工物であるウエーハ10の材質、厚み、形成しようとする切削溝の幅、深さ等に応じて適宜交換される。ここで、図3に示すように、本実施形態の切削手段4に新たな切削ブレード41を装着する場合、新たな切削ブレード41の特性、例えば、製品番号、切り刃部412の厚さ、刃先突出量、外径、砥粒の粒径、ボンド材の種類等を、制御手段100に登録する必要がある。そこで、ダイシング装置1を使用して切削加工を担当する作業者は、バーコードリーダ22によって切削ブレード41に形成されたバーコード44を読み取るべく、上記したバーコード読み取り装置20を使用して、以下に示す本実施形態のバーコードの読み取り方法を実行する。
【0028】
まず、図3に示すように、切削手段4の回転スピンドル43に対して、新たな切削ブレード41の装着孔413を嵌めて、切削ブレード41に形成されたバーコード44が外部から確認できる状態とする。この状態で、作業者が上記したバーコードリーダ22を持ち、撮像素子(図示は省略)が配設された撮像面23側を切削ブレード41に形成されたバーコード44に対面させる。次いで、バーコードリーダ22の読み取りボタン22aを押して、バーコードリーダ22を作動し、切削ブレード41に形成されたバーコード44を撮像する。なお、必ずしも前記読み取りボタン22aを搭載している必要はなく、作業者がバーコードリーダ22を手に持った時点で自動的に作動を開始し、バーコード44に向けるだけで、バーコード44の読み取りが開始されるものであってもよい。
【0029】
上記したように、バーコードリーダ22は、インターレースカメラであり、バーコードリーダ22によってバーコード44が撮像されると、水平方向の奇数番目の走査線によって構成される奇数列画像と、その後の偶数番目の走査線によって構成される偶数列画像とが生成され、これらを合成して、バーコードを生成(例えば、図4(a)に示すバーコード110、又は図4(b)に示すバーコード120)して、制御手段100に記録する(読み取り工程)。なお、図4(a)、(b)に示すバーコード110、120における水平方向の破線は、説明の都合上、走査線の概念を示すべく表記したものに過ぎず、実際の画像では該破線は表示されない。また、該破線の間隔は、実際の走査線の幅寸法に沿ったものではない。さらに、バーコードリーダ22によって撮像され生成されるバーコードは、上記したバーコード110、120の形態に限定されるわけではなく、単なる一例を示したに過ぎない。
【0030】
ここで、バーコードリーダ22によって撮像されて生成されて、制御手段100に記録されたバーコードが、正常である場合(例えば図4(a)のバーコード110)は、情報を読み取る所定のルール、例えば、該縞模様を構成する黒いバーの太さ、及び隣接する黒いバー間の白いスペースで示す間隔の組み合わせに基づき、アルファベット、数字、記号等に正常に変換されて、切削ブレード41の特性に関連する情報が正常に読み取られる。これに対し、バーコードリーダ22によって撮像されて生成され、制御手段100に記録されたバーコードが不良である場合(例えば図4(b)のバーコード120)は、該所定のルールに基づいてアルファベット、数字、記号等に変換しようとしても、黒いバーの太さと、黒いバーの間の白いスペースで示す間隔の組み合わせが該所定のルールに合致せず、必要な情報に変換できない読み取り不良が発生する。
【0031】
上記した読み取り不良が発生した場合は、制御手段100に格納された制御プログラムに基づいて、以下に説明するバーコード読み取り方法を実施する。
【0032】
上記したように、本実施形態のバーコードリーダ22は、インターレース方式によって画像を撮像するカメラであり、最初に上から奇数番目の走査線によって構成される画像の情報を制御手段100に送り、図5(a)の上方に示すような奇数番目の走査線によって構成される奇数列画像122aを生成する。また、これに続き、上から偶数番目の走査線によって構成される画像の情報を制御手段100に送り、図5(b)の上方に示す偶数番目の走査線によって構成される偶数列画像124aを生成する。さらに、制御手段100は、図5(a)に示された奇数列画像122aで、奇数列画像122aの走査線のうち、偶数列の画像を所定のルールに基づいて補完して、図5(a)の下方に示す偶数列補完画像122bを生成する。当該補完は、例えば、ある偶数列に上下方向で隣接する奇数列に黒の像が存在している場合は、それに隣接する該偶数列においても、当該黒の像が存在していると推定して、該偶数列に黒の像を埋めて補完する処理である。このような処理を奇数列画像122a全体に施すことにより、偶数列の走査線が奇数列の像と上下方向で連続するように補完され、図5(a)の下方に示すように偶数列が補完された偶数列補完画像122bが得られる。また、図5(b)に示す偶数列画像124aで、ある奇数列に上下方向で隣接する偶数列に黒の像が存在している場合、それに隣接する奇数列においても、当該黒の像が存在していると推定して、該奇数列に黒の像を埋めて補完する処理を実施する。このような処理を偶数列画像124a全体に施すことにより、図5(b)の下方に示すように奇数列が補完された奇数列補完画像124bが得られる。上記した処理によって得られた偶数列補完画像122bは、図1に示す制御手段100に配設された偶数列補完画像記録部102に記録され、奇数列補完画像124bは、制御手段100に配設された奇数列補完画像記録部104に記録される。このような画像補完工程は、バーコードリーダ22によってバーコード44を読み込む毎に実施される。
【0033】
バーコードリーダ22によってバーコード44を読み込むことができない読み取り不良が発生した場合は、偶数列補完画像記録部102に記録された偶数列補完画像122bと、奇数列補完画像記録部104に記録された奇数列補完画像124bとを比較して、両画像が一致するか否かを判定する。該一致するか否かの判定は、例えば、周知のパターンマッチング等を使用して実現され、所定の一致度(例えば95%)を閾値として、該閾値に達しない場合は、偶数列補完画像122bと、奇数列補完画像124bとが一致していないと判定し、該所定の閾値に達している場合は一致していると判定する。
【0034】
ここで、例えば、図5(a)に示す偶数列補完画像122bと、図5(b)に示す奇数列補完画像124bとを対比した場合、一致していないと判定される。これは、切削ブレード41に形成されたバーコード44とバーコードリーダ22との間において、相対的な振動がある状態で撮像されたことに起因し、両者の画像が水平方向でぶれている場合である。よって、制御手段100のリトライ指示部106は、前記した判定に基づいて、表示手段13を介して再びバーコードリーダ22によってバーコード44を読み取るように作業者に対して指示(リトライ指示)を行う。なお、該リトライ指示において表示手段13に具体的に表示される内容は特に限定されず、例えば「リトライ」、「再読み込み」等でよく、作業者がバーコードリーダ22によって再びバーコード44を読み込む作業を実施すべきことが理解できる内容であればよい。このように、上記の読み込み不良が、バーコード44とバーコードリーダ22との間に相対的な振動がある状態で撮像されたことに起因していた場合は、相対的な振動がない状態で、再度の読み込み作業が実施されることによってバーコード44を正常に読み取ることができる。
【0035】
次に、図5に示すケースとは別の原因でバーコードリーダ22によってバーコード44が読み取ることができない読み込み不良について、図6を参照しながら説明する。
【0036】
図6(a)の上方には、バーコードリーダ22によってバーコード44が正常に読み取れなかった場合の奇数列画像126aが示され、図6(b)の上方には、その際の偶数列画像128aが示されている。本実施形態の制御手段100は、上記したのと同様の手順により、奇数列画像126aと偶数列画像128aに対して補完を実施し、図6(a)の下方に示すような、奇数列画像126aで偶数列の走査線の画像を補完した偶数列補完画像126bを生成して偶数列補完画像記録部102に記録し、図6(b)の下方に示すような偶数列画像128aで奇数列の走査線の画像を補完した奇数列補完画像128bを生成して奇数列補完画像記録部104に記録する。
【0037】
上記した図6のケースにおいて、バーコード44の読み取り不良が発生したならば、上記と同様に、偶数列補完画像記録部102に記録された偶数列補完画像126bと、奇数列補完画像記録部104に記録された奇数列補完画像128bとを比較して、両者が一致するか否かが判定される。この図6に示すケースは、バーコードリーダ22によってバーコード44を読み取る際に、両者に相対的な振動がなく、時間差をもって撮像された奇数列画像126aと、偶数列画像128aとは少なくとも水平方向においてぶれはなかったケースであり、このような場合は、両者が一致すると判定される。ここで、図6(a)の偶数列補完画像126b、及び図6(b)の奇数列補完画像128bに示されているように、バーコードリーダ22によって捕らえられた画像の縞模様の間に、汚れDが写っており、この汚れDが正常なバーコード44の読み込みを妨げていることが理解される。すなわち、バーコードリーダ22によってバーコード44を読み取ることができない読み取り不良がある場合であって、上記した偶数列補完画像126bと、奇数列補完画像128bとが一致した場合には、バーコード44とバーコードリーダ22とにおいて、相対的な振動に起因しない別の原因が存在すると判定し、制御手段100のエラー表示指示部108が、バーコード44の不具合を点検するよう促すべく、上記した表示手段13にエラー表示を指示する。なお、このエラー表示は、例えば「バーコード不具合あり」、「バーコード点検要」等でよく、この内容については特に限定されず、切削ブレード41に形成されたバーコード44の点検が必要であることが作業者に理解される内容であればよい。また、図6に示した例では、バーコードリーダ22によってバーコード44を読み取ることができない読み取り不良の原因が、バーコード44に付着した汚れDにあるものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、バーコード44に傷や剥がれがある場合も同様に判定される。
【0038】
本実施形態のバーコード読み取り装置20、及び上記のように説明したバーコードの読み取り方法によれば、バーコード44をバーコードリーダ22によって読み取る際に読み取り不良が発生した場合、当該読み取り不良の原因が、バーコード44とバーコードリーダ22との間の相対的な振動に起因するものであるのか否かが速やかに判定されるので、バーコード44の汚れや傷に原因があるのにも関わらず、バーコードリーダ22による読み取りのリトライが何度も繰り返されて生産性が悪化するという問題が解消する。
【0039】
上記した実施形態では、バーコード44がダイシング装置1に装着される切削手段4の切削ブレード41に形成され、切削ブレード41の特性を読み取るべく、ダイシング装置1に配設されたバーコード読み取り装置20のバーコードリーダ22によってバーコード44を読み取る例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、被加工物であるウエーハを保持するフレームにバーコードを形成し、該フレームのバーコードをバーコードリーダによって読み取り、該バーコードの情報に基づいて、ウエーハを各種のダイシング装置に振り分けるシステム等にも適用することが可能である。また、バーコード読み取り装置20を配設する装置の種類、バーコードを形成する物体は特に限定されず、更には、バーコード読み取り装置20が独立した装置として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1:ダイシング装置
2:装置ハウジング
3:チャックプレート
3a:保持面
4:切削手段
41:切削ブレード
411:円形基台
412:切り刃部
413:装着孔
42:ブレードカバー
43:回転スピンドル
44:バーコード
45:スピンドルハウジング
46:ストッパ部
5:カセット
6:仮置きテーブル
7:搬出入手段
8:搬送手段
9:洗浄手段
10:ウエーハ
11:洗浄搬送手段
12:撮像手段
13:表示手段
20:バーコード読み取り装置
100:制御手段
102:偶数列補完画像記録部
104:奇数列補完画像記録部
106:リトライ指示部
108:エラー表示指示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6