(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165312
(43)【公開日】2022-10-31
(54)【発明の名称】加工装置の管理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221024BHJP
G05B 19/4063 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B19/4063 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021070639
(22)【出願日】2021-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】大森 崇史
【テーマコード(参考)】
3C100
3C269
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA59
3C100BB13
3C100CC02
3C100EE06
3C269AB11
3C269CC01
3C269CC15
3C269KK04
3C269QC01
3C269QD02
3C269QE11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の加工装置のそれぞれに入力された加工条件を容易に確認することができる加工装置の管理方法を提供する。
【解決手段】加工装置の管理方法は、2以上の加工装置を通信可能に接続する接続工程と、加工装置の表示手段8に他の加工装置の制御手段に入力されている加工条件を表示する表示工程とを備える。加工装置は、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする送り手段と、制御手段と、該制御手段に加工条件を入力するための入力手段と、入力された加工条件を表示する表示手段と、を備えた加工装置である。また、2以上の加工装置は、同種の被加工物を加工しており、加工条件が一致しているか確認する確認工程が含まれていてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする送り手段と、制御手段と、該制御手段に加工条件を入力するための入力手段と、入力された加工条件を表示する表示手段と、を備えた加工装置の管理方法であって、
2以上の加工装置を通信可能に接続する接続工程と、
加工装置の表示手段に他の加工装置の制御手段に入力されている加工条件を表示する表示工程と、
を備える加工装置の管理方法。
【請求項2】
2以上の加工装置は、同種の被加工物を加工しており、加工条件が一致しているか確認する確認工程が含まれる請求項1記載の加工装置の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
ダイシング装置は、ウエーハを保持する保持手段と、保持手段に保持されたウエーハを切削する切削手段と、保持手段と切削手段とを相対的に加工送りする送り手段と、制御手段と、制御手段に加工条件を入力するための入力手段と、入力された加工条件を表示する表示手段とを備えていて、ウエーハを高精度に個々のデバイスチップに分割できる(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
また、レーザー加工装置は、切削手段に代えてレーザー照射手段を備えていること以外は、ダイシング装置とほぼ同様に構成されている。
【0005】
上記したダイシング装置およびレーザー加工装置を含む各種加工装置は、同種の被加工物を2以上の同一仕様の加工装置で同一の加工条件で同時に加工して生産性の向上を図ることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、2以上の同一仕様の加工装置に入力された実際の加工条件のすべてが一致しているか否かの疑問が生じた場合、オペレータは各加工装置に出向き加工条件を確認しなければならず、煩に耐えないという問題がある。
【0008】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、複数の加工装置のそれぞれに入力された加工条件を容易に確認することができる加工装置の管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記課題を解決する以下の加工装置の管理方法が提供される。すなわち、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする送り手段と、制御手段と、該制御手段に加工条件を入力するための入力手段と、入力された加工条件を表示する表示手段と、を備えた加工装置の管理方法であって、2以上の加工装置を通信可能に接続する接続工程と、加工装置の表示手段に他の加工装置の制御手段に入力されている加工条件を表示する表示工程と、を備える加工装置の管理方法が提供される。
【0010】
好ましくは、2以上の加工装置は、同種の被加工物を加工しており、加工条件が一致しているか確認する確認工程が含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加工装置の管理方法は、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に加工送りする送り手段と、制御手段と、該制御手段に加工条件を入力するための入力手段と、入力された加工条件を表示する表示手段と、を備えた加工装置の管理方法であって、2以上の加工装置を通信可能に接続する接続工程と、加工装置の表示手段に他の加工装置の制御手段に入力されている加工条件を表示する表示工程と、を備えるので、複数の加工装置のそれぞれに入力された加工条件を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の管理方法が実施される加工装置群の斜視図。
【
図2】
図1に示す加工装置群の加工条件が表示手段に表示された状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の加工装置の管理方法の好適実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
まず、本発明の加工装置の管理方法が実施される加工装置について説明する。
図1には、3台の加工装置A、B、Cが示されている。加工装置A~Cは、同一仕様のダイシング装置であるので、以下、加工装置Aについて説明し、加工装置B、Cについての説明は省略する。また、加工装置A~Cは、同一の加工条件で同種の被加工物(たとえば、シリコン製のウエーハW)を加工するものとする。
【0015】
加工装置Aは、被加工物を保持する保持手段2と、保持手段2に保持された被加工物に加工を施す加工手段4と、保持手段2と加工手段4とを相対的に加工送りする送り手段(図示していない。)と、制御手段(図示していない。)と、制御手段に加工条件を入力するための入力手段6と、入力された加工条件を表示する表示手段8とを備える。
【0016】
保持手段2は、
図1に矢印Xで示すX軸方向に移動自在かつ上下方向を軸心として回転自在に構成されたチャックテーブル10を含む。チャックテーブル10の上端部分には、吸引手段(図示していない。)に接続された多孔質の円形状吸着チャック12が配置されている。チャックテーブル10は、吸引手段で吸着チャック12に吸引力を生成することにより、上面に載せられた被加工物を吸引保持する。また、チャックテーブル10の周縁には、周方向に間隔をおいて複数のクランプ14が配置されている。なお、
図1に矢印Yで示すY軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向およびY軸方向が規定するXY平面は実質上水平である。
【0017】
図示の実施形態の加工手段4は、被加工物に対して切削加工を施す切削手段である。加工手段(切削手段)4は、チャックテーブル10に吸引保持された被加工物を切削する環状の切削ブレード(符号省略)を回転可能に備えている。
【0018】
上記送り手段は、図示してないが、保持手段2のチャックテーブル10をX軸方向に移動させるX軸送り手段と、加工手段4をY軸方向に移動させるY軸送り手段とを含む。X軸送り手段は、チャックテーブル10に連結されX軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。また、Y軸送り手段は、加工手段4に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0019】
上記制御手段は、コンピュータから構成される。制御手段は、図示していないが、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)とを含み、加工装置Aの作動を制御するようになっている。
【0020】
入力手段6は、キーボード、タッチパネル、バーコードリーダ等を有する公知の構成でよい。加工装置Aのオペレータは、入力手段6を用いて、加工装置Aの制御手段に加工条件を入力することができるようになっている。
【0021】
表示手段8には、入力手段6によって制御手段に入力された加工条件が表示される。たとえば、
図2に示すとおり、(1)切削ブレードの型式、(2)切削ブレードの回転数、(3)チャックテーブル10のX軸方向への加工送り速度、(4)被加工物に対する切削ブレードの切り込み深さ、(5)保持手段2に対する加工手段4のY軸方向へのインデックス量、等の加工条件が表示手段8に表示される。
【0022】
図1に示すとおり、加工装置Aは、さらに、複数の被加工物を収容したカセット16が置かれる昇降自在なカセット台18と、カセット16から加工前の被加工物を引き出し仮置きテーブル20まで搬出すると共に、仮置きテーブル20に位置づけられた加工済みの被加工物をカセット16に搬入する搬出入手段22と、カセット16から仮置きテーブル20に搬出された加工前の被加工物を保持手段2に搬送する第一の搬送手段24と、加工済みの被加工物を洗浄する洗浄手段26と、加工済みの被加工物を保持手段2から洗浄手段26に搬送する第二の搬送手段28とを備える。
【0023】
次に、本発明の加工装置A~Cの管理方法について説明する。図示の実施形態においては、まず、2以上の加工装置を通信可能に接続する接続工程を実施する。接続工程では、
図1に示すとおり、加工装置A、B、Cに、相互に通信可能な通信機30A、30B、30Cを設置し、通信機30A~30Cを加工装置A~Cの制御手段に接続する。なお、通信機30A~30C同士の接続や、通信機30A~30Cと加工装置A~Cの制御手段との接続は、有線であっても無線であってもよい。
【0024】
加工装置A~Cを相互に通信可能に接続することにより、加工装置Aの制御手段に入力された加工条件が、通信機30A~30Cを介して加工装置B・Cに送信され得る。同様に、加工装置Bの制御手段に入力された加工条件が加工装置A・Cに、加工装置Cの制御手段に入力された加工条件が加工装置A・Bに、それぞれ送信可能となる。
【0025】
接続工程を実施した後、加工装置の表示手段8に他の加工装置の制御手段に入力されている加工条件を表示する表示工程を実施する。
図2に示すとおり、表示工程では、加工装置A~Cのうち少なくとも1台の加工装置の表示手段8に、加工装置A~Cの加工条件を表示させればよい。
【0026】
表示工程を実施した後、加工条件が一致しているか確認する確認工程を実施する。
図2に示す例を確認すると、加工装置A~Cにおいては、切削ブレードの回転数(20,000rpm)、加工送り速度(100mm/s)、インデックス量(4.5mm)が一致しているものの、加工装置Cに装着されている切削ブレードの型式「Z0003」が、加工装置A・Bに装着されている切削ブレードの型式「Z0001」と異なる。また、加工装置Cにおける切り込み深さ「55μm」が、加工装置A・Bにおける切り込み深さ「50μm」に一致していない。なお、
図2においては、わかりやすさの観点から、加工装置Cの切削ブレードの型式および切り込み深さを点線で囲んでいる。
【0027】
このように、
図2に示す例では、加工装置A~Cの加工条件に、共通していない点(型式・切り込み深さ)がある。そこで、加工装置Cに装着されている切削ブレードを型式「Z0003」から型式「Z0001」のものに交換し、加工装置Cにおける切り込み深さを「55μm」から「50μm」に変更することにより、加工装置A~Cのすべての加工条件を一致させることができる。切り込み深さ等の加工条件の数値入力については、他の装置から遠隔で行うことができるようになっていてもよい。ただし、切削ブレード等の部品交換は、該当装置において行う必要がある。
【0028】
以上のとおりであり、図示の実施形態の加工装置の管理方法は、2以上の加工装置A~Cを通信可能に接続する接続工程と、加工装置の表示手段8に他の加工装置の制御手段に入力されている加工条件を表示する表示工程と、を備えるので、複数の加工装置A~Cのそれぞれに入力された加工条件を容易に確認することができる。
【0029】
なお、図示の実施形態では、2以上の加工装置が、被加工物に切削加工を施すダイシング装置群である例を説明したが、本発明の加工装置の管理方法は、被加工物にレーザー加工を施すレーザー加工装置群や、被加工物を研削する研削装置群など、同一仕様の加工装置群に対して適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
A、B、C:加工装置
2:保持手段
4:加工手段
6:入力手段
8:表示手段