(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165620
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】固定体取付構造及び電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20221025BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20221025BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H02G3/16
F16B5/02 N
H05K5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071036
(22)【出願日】2021-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】郡 智之
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 明晴
(72)【発明者】
【氏名】楠山 一博
(72)【発明者】
【氏名】伊野 大輔
【テーマコード(参考)】
3J001
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
3J001FA13
3J001GB01
3J001HA02
3J001JA03
3J001KA23
3J001KB01
4E360AB02
4E360AB12
4E360AC02
4E360AC15
4E360AC21
4E360CA02
4E360EA03
4E360ED02
4E360GA60
4E360GB99
5G361BA06
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】この発明は、ボルト固定する固定脚部におけるボルト孔に液体が侵入することを防止できる固定体取付構造及び電気接続箱を提供する。
【解決手段】固定体取付構造1は、パネルPに、固定本体部20と固定脚部30とが備えられた電気接続箱10をボルトXで取り付ける構造であり、固定脚部30は、固定本体部20を取り付けるパネルPの取付面Mに対して傾斜するとともに、先端側LfにボルトXを装着するボルト装着部32が設けられ、ボルト装着部32は、取付面Mに直交する直交方向に貫通する第1ボルト孔511を形成する孔形成部51と、傾斜する固定脚部30の傾斜面31aと孔形成部51の外縁との間に配置された直交方向の周壁部52と、傾斜面31aにおける周壁部52より外側に配置され、傾斜面31aより突出する突出部53とが設けられ、突出部53は、周壁部52が設けられた範囲を囲うように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定部材に固定体をボルトで取り付ける固定体取付構造であって、
前記固定体は、固定本体部と、該固定本体部から前記被固定部材に向かって延びる固定脚部からなり、
該固定脚部は、前記固定本体部を取り付ける前記被固定部材の取付面に対して傾斜するとともに、先端側に前記ボルトを装着するボルト装着部が設けられ、
該ボルト装着部は、
前記取付面に直交する直交方向に貫通するボルト孔を形成する孔形成部と、
傾斜する前記固定脚部の傾斜面と前記孔形成部の外縁との間に配置された前記直交方向の周壁部と、
前記傾斜面における前記周壁部より外側に配置され、前記傾斜面より突出する突出部とが設けられ、
前記突出部は、前記周壁部が設けられた範囲を囲うように形成された
固定体取付構造。
【請求項2】
前記突出部は、
前記傾斜面における前記周壁部より傾斜方向上流側において、前記周壁部の端部を囲うように沿って形成された
請求項1に記載の固定体取付構造。
【請求項3】
前記周壁部は、前記孔形成部における前記先端側が開放された
請求項1又は請求項2に記載の固定体取付構造。
【請求項4】
前記周壁部は、前記ボルト孔より先端側までを囲う範囲に形成された
請求項3に記載の固定体取付構造。
【請求項5】
前記孔形成部は、前記取付面に平行なフラット面を有する
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の固定体取付構造。
【請求項6】
前記孔形成部の裏面には、前記直交方向に延びるリブが設けられ、前記リブによって前記取付面に平行な仮想フラット面が形成される
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載の固定体取付構造。
【請求項7】
前記傾斜面における前記固定本体部側の端部付近に、前記直交方向に貫通する水抜孔が設けられた
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載の固定体取付構造。
【請求項8】
前記固定本体部は、前記直交方向から視て、二組の対向する側壁を有する略箱状であり、
前記固定脚部は、
一組の対向する前記側壁の一方に配置されるとともに、他の対向する前記側壁のうち一方の側壁に沿って形成された
請求項1乃至請求項7のうちいずれかに記載の固定体取付構造。
【請求項9】
前記固定脚部は、前記直交方向から視て、
他の対向する前記側壁のうち一方の側壁に沿う辺を有する略直角三角形状である
請求項8に記載の固定体取付構造。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のうちいずれかに記載の固定体取付構造と、前記固定本体部が備えられるとともに、
箱状の前記固定本体部において前記固定体取付構造が取り付けられた面と異なる面に、電線が挿通される挿通口が設けられた
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ボルトとで被固定部材に取り付ける固定体取付構造及び前記固定体取付構造を備えた電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されている電気接続箱は一般的に、基板やヒューズ、リレー等の電子部品が収容される接続箱本体と、接続箱本体の開口を覆うカバー部材とを備え、車両における電気機器類と電気的に接続されている。
【0003】
この電気接続箱は、例えば特許文献1に開示されているように、開口をカバー部材で覆った接続箱本体の側面から、車両本体のパネルなどの被固定部材に向かって延びる固定脚部が備えられ、固定脚部と被固定部材とをボルト固定することで、電気接続箱を被固定部材に固定することがある。
【0004】
このような電気接続箱は、車両に搭載する電子機器類などとワイヤーハーネスを介して接続されており、エンジンルームの奥まった位置などに搭載されることがある。このため、例えば雨天走行時などにおいて、エンジンルーム内に侵入した雨水が電気接続箱にかかり、意図せずに固定脚部を伝うことでボルト孔に不具合が生じるおそれがあった。そのため、雨水などの液体がボルト孔に侵入することを防止する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述した問題を鑑み、車両本体とボルト固定する固定脚部におけるボルト孔に液体が侵入することを防止できる固定体取付構造及び電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、被固定部材に固定体をボルトで取り付ける固定体取付構造であって、前記固定体は、固定本体部と、該固定本体部から前記被固定部材に向かって延びる固定脚部からなり、該固定脚部は、前記固定本体部を取り付ける前記被固定部材の取付面に対して傾斜するとともに、先端側に前記ボルトを装着するボルト装着部が設けられ、該ボルト装着部は、前記取付面に直交する直交方向に貫通するボルト孔を形成する孔形成部と、傾斜する前記固定脚部の傾斜面と前記孔形成部の外縁との間に配置された前記直交方向の周壁部と、前記傾斜面における前記周壁部より外側に配置され、前記傾斜面より突出する突出部とが設けられ、前記突出部は、前記周壁部が設けられた範囲を囲うように形成された固定体取付構造であることを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、上述の固定体取付構造と、前記固定本体部が備えられるとともに、箱状の前記固定本体部において前記固定体取付構造が取り付けられた面と異なる面に、電線が挿通される挿通口が設けられた電気接続箱であることを特徴とする。
【0009】
前記突出部は、傾斜面を伝って流れる水などの液体の流れる方向を変え、孔形成部に液体が侵入することを防止できればどのような場所に設けられていてもよく、例えば、周壁部と所定の間隔を隔てた箇所から突出する場合や、周壁部における端部から突出する場合を含む。
上述の説明における液体には、例えば粘性を有するゲル状のものなども含む。
【0010】
この発明により、車両本体とボルト固定する固定脚部におけるボルト孔に液体が侵入することを防止できる。
例えば、傾斜面に沿って液体がボルト孔に向けて流れる場合、周壁部が設けられた範囲を囲うように形成された突出部に沿って液体の流れを変えることができる。このように傾斜面を沿って流れる液体の流れを突出部で変えることで、孔形成部に液体が流れることを防止し、ボルト孔に液体が侵入することを防止できる。
【0011】
この発明の態様として、前記突出部は、前記傾斜面における前記周壁部より傾斜方向上流側において、前記周壁部の端部を囲うように沿って形成されてもよい。
この発明によると、傾斜面の上流側から流れてきた液体を周壁部の端部に囲うように形成された突出部に沿って流すことができる。これにより、液体の流れを孔形成部に向かう方向と異なる方向に向けて変え、孔形成部に向けて液体が流れることを防止できる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記周壁部は、前記孔形成部における前記先端側が開放されてもよい。
この発明により、孔形成部における先端側に空間を形成することができるため、孔形成部に対して容易にボルトを装着することができるとともに、仮に傾斜面に沿って流れてきた液体が孔形成部に侵入したとしても、孔形成部に留まることなく開放された先端側から液体を抜くことができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記周壁部は、前記ボルト孔より先端側までを囲う範囲に形成されてもよい。
この発明により、周壁部が設けられた範囲を囲うように形成された突出部により、傾斜面を流れてきた液体をボルト孔の先端側まで案内することができるため、より確実にボルト孔への液体の侵入を防止できる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記孔形成部は、前記取付面に平行なフラット面を有してもよい。
この発明により、取付面に対してボルトを直交させることができるため、取付面に対して固定脚部を確実に固定することができるとともに、仮に孔形成部に液体が侵入したとしても、液体が孔形成部に留まることを抑制できる。また、仮に取付面が傾斜している場合などには、孔形成部に侵入した液体を傾斜方向に流すことができるため、仮に液体が孔形成部に侵入したとしても、液体を排出することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記孔形成部の裏面には、前記直交方向に延びるリブが設けられ、前記リブによって前記取付面に平行な仮想フラット面が形成してもよい。
この発明により、孔形成部の強度を向上させることができるとともに、孔形成部の裏面と取付面とを当接させることができる。このため、取付面に対する固定脚部のガタツキを抑制し、固定脚部の固定状態を安定させることができる。これにより、所望の固定状態とすることができ、意図的に液体が孔形成部に侵入しないように固定脚部を被固定体に固定できる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記傾斜面における前記固定本体部側の端部付近に、前記直交方向に貫通する水抜孔が設けられてもよい。
この発明によると、固定本体部の側面を伝う液体を、水抜孔から固定脚部の裏面側に排出することができるため、傾斜面を伝う液体の量を減少させることができる。したがって、ボルト孔に液体が侵入することをより確実に防止できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記固定本体部は、前記直交方向から視て、二組の対向する側壁を有する略箱状であり、前記固定脚部は、一組の対向する前記側壁の一方に配置されるとともに、他の対向する前記側壁のうち一方の側壁に沿って形成されてもよい。
この発明によると、固定本体部における他の対向する側壁の外方に固定脚部が延出されることがないため、固定体のコンパクト化を図ることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記固定脚部は、前記直交方向から視て、他の対向する前記側壁のうち一方の側壁に沿う辺を有する略直角三角形状であってもよい。
この発明によると、固定本体部に意図しない外力が作用した場合に、外力を一方の側壁と他方の側壁とに分散させることができるため、固定脚部の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、車両本体とボルト固定する固定脚部におけるボルト孔に液体が侵入することを防止できる固定体取付構造及び電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】電気接続箱をパネルにボルト固定した固定体取付構造の概略斜視図。
【
図7】液体の流れを表示したボルト装着部の拡大平面図。
【
図8】他の実施形態におけるボルト装着部の拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
本実施形態の電気接続箱10は、固定本体部20と固定脚部30とを備え、例えば車両のエンジンルームに配置されている。このような電気接続箱10を、被固定体であるエンジンルームにおけるパネルPにボルトXで取り付ける固定体取付構造1について、
図1から
図7に基づいて説明する。
【0022】
図1は固定体取付構造1の概略斜視図を示し、
図2は電気接続箱10の側面図を示し、
図3は電気接続箱10の平面図を示す。
図4は電気接続箱10の部分断面図を示し、
図5及び
図6は固定脚部30の先端側Lfに設けられたボルト装着部32の拡大断面図を示す。
図7は固定脚部30に対する液体Rの流れを表した固定脚部30の拡大平面図を示す。
【0023】
なお、
図4は
図3のA-A矢視断面における固定脚部30の拡大断面図を示し、
図5は
図4におけるボルト装着部32の拡大断面図を示し、
図6は
図3のB-B矢視断面におけるボルト装着部32の拡大断面図を示す。
【0024】
ここで、便宜上、
図1における電気接続箱10の長手方向を長手方向Lとし、電気接続箱10の短手方向を幅方向Wとし、
図1における上下方向を高さ方向Hとする。また、
図1において、長手方向Lに沿って左側を先端側Lf、右側を基端側Lbとし、接続箱本体21に対してカバー部材22が配置されている方向を上方とし、カバー部材22に対して接続箱本体21が配置されている方向を下方とする。なお、長手方向Lと幅方向Wと高さ方向Hとは互いに直交するものとする。
この方向は、
図2乃至
図7でも同様とする。
【0025】
固定体取付構造1は電気接続箱10における固定脚部30と被固定部材であるパネルPとをボルトXで固定し、電気接続箱10をパネルPにボルトで取り付ける構造である。
電気接続箱10は、基板やヒューズ、リレー等の電子部品が収容する固定本体部20と、固定本体部20からパネルPにおける第1被固定部P1に向けて延びる固定脚部30と、固定本体部20からパネルPにおける第2被固定部P2に向けて延びる第2固定脚部40とが備えられている。そして、固定本体部20の内部に収容された電子部品と車両に搭載された電気機器類とは、電線WHを介して接続されている。
【0026】
固定本体部20は、
図1及び
図2に示すように、接続箱本体21と、接続箱本体21の開口を覆うカバー部材22とが備えられており、接続箱本体21とカバー部材22とを係止固定する固定部23が設けられている。
【0027】
接続箱本体21は、固定本体部20における底面を構成する底部211と、長手方向Lに沿って立設する第1側面212,212と、幅方向Wに沿って立設する第2側面213,213とで構成されている。
【0028】
第1側面212は、
図1及び
図2に示すように、接続箱本体21における幅方向Wの両端から立設されている。そして、対向する第1側面212,212における第1側面212の一方側には、固定本体部20の内部に収容された電子部品と電気的に接続する電線WHが固定本体部20の外部に引き出すために挿通される挿通孔24が設けられている。
【0029】
第2側面213は、
図1及び
図2に示すように、接続箱本体21における長手方向Lの両端から立設されている。そして、対向する第2側面213,213における第2側面213の一方側(先端側Lfの第2側面213)には、第1被固定部P1に向かって延びる固定脚部30が備えられている。一方で、第2側面213の他方側(基端側Lbの第2側面213)には、第2被固定部P2に向かって延びる第2固定脚部40が設けられている。
【0030】
固定脚部30は、
図1乃至
図3に示すように、先端側Lfの第2側面213に配置されるとともに、第1側面212の一方に沿って形成されており、固定本体部20から先端側Lfに向かうに伴い、下方に向けて延びるように構成されている。また、平面視において、第1側面212の一方に沿う辺が長手方向Lに沿った略直角三角形状をしている。
【0031】
すなわち、固定脚部30は、先端側Lfに向かうに伴い第2側面213から下方に向かって延出するとともに、先細りするように構成されており、パネルPに対して取り付けた状態において、パネルPにおける取付面Mに対して傾斜している。
【0032】
このように構成された固定脚部30は、
図2乃至
図4に示すように、先端側Lfに向かうに伴い下方に向けて傾斜する傾斜部31と、傾斜面31aの先端側LfにおいてボルトXを装着してパネルPと固定するボルト装着部32とで構成されている。
【0033】
傾斜部31は、
図2乃至
図4に示すように、幅方向Wの外側が第1側面212に沿うとともに、第2側面213から下方に向けて延出している。この傾斜部31の上面は、平坦な傾斜面31aである。
【0034】
また、傾斜部31における固定本体部20との連結部位付近、すなわち傾斜部31における基端側Lbの端部付近には、固定脚部30を高さ方向Hに貫通する水抜孔33が設けられている(
図4参照)。
【0035】
傾斜部31の先端側Lfに設けられたボルト装着部32は、
図3乃至
図6に示すように、ボルトXを取り付ける孔形成部51と、孔形成部51の周縁を囲う周壁部52と、傾斜面31aよりも上方に突出した突出部53が設けられている。
【0036】
孔形成部51は、第1被固定部P1に対して固定脚部30を固定する箇所であり、
図3に示すように、平面視円形状に形成され、平面視略中央部分には、高さ方向Hに貫通する第1ボルト孔511が形成されている。
【0037】
この孔形成部51の上面であるフラット面51aは、
図5に示すように、固定脚部30をパネルPに固定した状態において取付面Mと平行となるように構成されている。また、孔形成部51の底面には、
図6に示すように、高さ方向Hに沿って延びる複数のリブ512が、第1ボルト孔511を中心として放射線状に設けられている。
【0038】
このリブ512は、固定脚部30をパネルPに固定した状態において取付面Mと平行となるように、高さが調整されている。これにより、孔形成部51の裏面側には、取付面Mと平行となる固定底面51bが形成されている(
図6参照)。
すなわち、第1ボルト孔511は、固定脚部30をパネルPに固定した状態においてパネルPにおける取付面Mと直交することとなる。
【0039】
周壁部52は、高さ方向Hに沿って立設した壁面であり、孔形成部51の上流側(基端側Lb)の外縁と、傾斜面31aとの間に配置されている。
詳しくは、周壁部52は、
図3乃至
図6に示すように、孔形成部51の上流側(基端側Lb)において、平面視円形状に構成されており、孔形成部51の外周に沿って立設されている。また、平面視円形状に構成された周壁部52は、先端側Lfに向かうに伴い高さが低くなり、周壁部52の先端側Lfには開口を有する。すなわち、周壁部52は、平面視において、先端側Lfが開放された円弧状に形成されている。
【0040】
周壁部52の先端側Lfは、側面視において第1ボルト孔511の先端と同じ位置となるように構成されており、第1ボルト孔511の先端側Lfまでを囲っている。換言すると、第1ボルト孔511の中心は、平面視において、周壁部52の先端側Lfを繋いだ直線よりも、基端側Lbに配置されている。
【0041】
突出部53は、
図3乃至
図6に示すように、傾斜面31aにおける周壁部52より外側に配置され、傾斜面31aより上方に所定の長さだけ突出している。
詳述すると、突出部53は、平面視において円弧状に形成された周壁部52の端部を囲うように、周壁部52の上端から周壁部52に沿って上方に所定の長さだけ突出している。なお、突出部53は、周壁部52と同様に、先端側Lfに開口を有する。
【0042】
すなわち、突出部53は、高さ方向Hに沿って周壁部52と面一となるように、周壁部52の端部から上方に向けて突出しており、平面視において、先端側Lfに開口を有する円弧状に形成されている。なお、突出部53の先端側Lfは、側面視において第1ボルト孔511の先端と同じ位置となるように構成されている。したがって、突出部53は、周壁部52が設けられた範囲の上流側(基端側Lb)を囲うように形成されている。
なお、突出部53の基端側Lbと傾斜部31との連結部分は、円弧状に形成されている(
図5及び
図6参照)。
【0043】
第2固定脚部40は、第2側面213の他方側から下方に向けて延出しており、先端にはボルトXを挿通可能に構成された第2ボルト孔42が形成された第2孔形成部41が設けられている。
【0044】
このように構成された第2固定脚部40は、電気接続箱10をパネルPに固定した状態で、第2孔形成部41を第2被固定部P2に配置するとともに、第2ボルト孔42にボルトXを挿通させて第2固定脚部40とパネルPとを固定することができる。
【0045】
このように構成された電気接続箱10は、パネルPにおける第1被固定部P1に対してボルト装着部32を配置するとともに、固定底面51bを取付面Mに取り付けて第1ボルト孔511にボルトXを挿通させ、固定脚部30をパネルPにボルト固定することができる。
【0046】
また同様に、パネルPにおける第2被固定部P2に対して第2孔形成部41を配置するとともに、第2ボルト孔42にボルトXを挿通させ、第2固定脚部40をPにボルト固定することができる。これにより、電気接続箱10をパネルPに固定することができる。
【0047】
これにより、固定脚部30は取付面Mに対して傾斜することとなる(
図2参照)。このため、仮に電気接続箱10に雨水などの液体Rがかかった場合、液体Rが第1側面212や第2側面213を伝って下方に流れることとなる。
【0048】
このうち、先端側Lfの第2側面213を伝う液体Rの一部は、高さ方向Hに貫通する水抜孔33を通って電気接続箱10の下方側に排水されることとなる。また、第2側面213を伝った液体Rの一部は、
図7に示すように、固定脚部30の傾斜面31aを伝って、先端側Lfに流れることとなる。
【0049】
この場合、先端側Lfに流れてきた液体Rは、周壁部52の上端から立設する突出部53に堰き止められるとともに、平面視円弧状に形成された突出部53に沿って、先端側Lfに流れることとなる。
【0050】
また、周壁部52及び突出部53の先端側Lfは、側面視において第1ボルト孔511の先端(先端側Lf)と同じ位置となるように構成されているため、突出部53と伝って先端側Lfに流れてきた液体Rが、孔形成部51に侵入することを防止できる。これにより、第1ボルト孔511に液体Rが侵入することを防止できる。
【0051】
このように固定体取付構造1は、パネルPに、電気接続箱10をボルトXで取り付ける構造であって、電気接続箱10は、固定本体部20と、固定本体部20からパネルPに向かって延びる固定脚部30とが備えられている。そして、固定脚部30は、固定本体部20を取り付けるパネルPの取付面Mに対して傾斜するとともに、先端側LfにボルトXを装着するボルト装着部32が設けられている。ボルト装着部32は、取付面Mに直交する高さ方向Hに貫通する第1ボルト孔511を形成する孔形成部51と、傾斜する固定脚部30の傾斜面31aと孔形成部51の外縁との間に配置された高さ方向Hの周壁部52と、傾斜面31aにおける周壁部52より外側に配置され、傾斜面31aより突出する突出部53とが設けられている。そして、突出部53は、周壁部52が設けられた範囲を囲うように形成されている。
【0052】
また、電気接続箱10は、固定脚部30と固定本体部20が備えられるとともに、箱状の固定本体部20において固定脚部30が取り付けられた第2側面213と異なる側面である第1側面212に、電線WHが挿通される挿通孔24が設けられている。
【0053】
これにより、
図7に示すように、傾斜面31aに沿って液体Rが第1ボルト孔511に向けて流れる場合、周壁部52が設けられた範囲を囲うように形成された突出部53に沿って液体Rの流れを変えることができる。このように傾斜面31aを沿って流れる液体Rの流れを突出部53で変えることで、孔形成部51に液体Rが流れることを防止し、第1ボルト孔511に液体Rが侵入することを防止できる。したがって、車両本体とボルト固定する固定脚部30における第1ボルト孔511に液体Rが侵入することを防止できる。
【0054】
また、突出部53は、傾斜面31aにおける周壁部52より傾斜方向上流側(基端側Lb)において、周壁部52の端部を囲うように沿って形成されている。このため、傾斜面31aの上流側から流れてきた液体Rを周壁部52の端部に囲うように形成された突出部53に沿って流すことができる。したがって、液体Rの流れを孔形成部51に向かう方向と異なる方向に向けて変え、孔形成部51に向けて液体Rが流れることをより確実に防止できる。
【0055】
また、周壁部52は、孔形成部51における先端側Lfが開放されているため、孔形成部51における先端側Lfに空間を形成することができる。これにより、孔形成部51に対して容易にボルトXを装着することができる。
【0056】
また、仮に傾斜面31aに沿って流れてきた液体Rが孔形成部51に侵入したとしても、孔形成部51に留まることなく開放された先端側Lfから液体Rを抜くことができる。したがって、車両本体とボルト固定する固定脚部30における第1ボルト孔511に液体Rが侵入することを防止できる。
【0057】
さらにまた、周壁部52は、第1ボルト孔511より先端側Lfまでを囲う範囲に形成されている。これにより、周壁部52が設けられた範囲を囲うように形成された突出部53が、傾斜面31aを流れてきた液体Rを第1ボルト孔511の先端側Lfまで案内することができ、より確実に第1ボルト孔511への液体Rの侵入を防止できる。
【0058】
また、孔形成部51は、取付面Mに平行なフラット面51aを有していることにより、取付面Mに対してボルトXを直交させることができる。これにより、取付面Mに対して固定脚部30を確実に固定することができるとともに、仮に孔形成部51に液体Rが侵入したとしても、液体Rが孔形成部51に留まることを抑制できる。
【0059】
また、仮に取付面Mが傾斜している場合などには、孔形成部51に侵入した液体Rを傾斜方向に流すことができるため、仮に液体Rが孔形成部51に侵入したとしても、液体Rを排出することができる。
【0060】
さらにまた、孔形成部51の裏面には、高さ方向Hに延びるリブ512が設けられ、リブ512によって取付面Mに平行な仮想フラット面(固定底面51b)が形成されている。これにより、孔形成部51の強度を向上させることができるとともに、孔形成部51の裏面と取付面Mとを当接させることができる。
【0061】
これにより、取付面Mに対する固定脚部30のガタツキを抑制し、固定脚部30の固定状態を安定させることができるため、所望の固定状態とし、意図的に液体Rが孔形成部51に侵入しないように電気接続箱10をパネルPに固定できる。
【0062】
また、傾斜面31aにおける固定本体部20側の端部付近に、高さ方向Hに貫通する水抜孔33が設けられていることにより、固定本体部20の側面を伝う液体Rを、水抜孔33から固定脚部30の裏面側に排出し、傾斜面31aを伝う液体Rの量を減少させることができる。したがって、第1ボルト孔511に液体Rが侵入することをより確実に防止できる。
【0063】
さらにまた、固定本体部20は、高さ方向Hから視て、二組の対向する側壁(第1側面212,212、第2側面213,213)を有する略箱状である。そして、固定脚部30は、一組の対向する第2側面213,213の一方に配置されるとともに、他の対向する第1側面212,212のうち一方に沿って形成されている。これにより、固定本体部20における第1側面212の外方に固定脚部30が延出されることがないため、電気接続箱10のコンパクト化を図ることができる。
【0064】
また、固定脚部30は、高さ方向Hから視て、第2側面213,213のうち一方に沿う辺を有する略直角三角形状である。これにより、固定本体部20に意図しない外力が作用した場合に、外力を一方の側壁と他方の側壁とに分散させることができるため、固定脚部30の耐久性を向上させることができる。
【0065】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の被固定部材は、パネルPに対応し、
以下同様に、
固定本体部は、固定本体部20に対応し、
固定脚部は、固定脚部30に対応し、
固定体は、電気接続箱10に対応し、
ボルトは、ボルトXに対応し、
固定体取付構造は、固定体取付構造1に対応し、
取付面は、取付面Mに対応し、
ボルト装着部は、ボルト装着部32に対応し、
直交方向は、高さ方向Hに対応し、
ボルト孔は、第1ボルト孔511に対応し、
孔形成部は、孔形成部51に対応し、
傾斜面は、傾斜面31aに対応し、
周壁部は、周壁部52に対応し、
突出部は、突出部53に対応し、
フラット面は、フラット面51aに対応し、
リブは、リブ512に対応し、
水抜孔は、水抜孔33に対応し、
二組の対向する側壁は、第1側面212,212及び第2側面213,213、に対応し、
挿通口は、挿通孔24に対応し、
電気接続箱は、電気接続箱10に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0066】
例えば、本実施形態において、突出部53は周壁部52の外縁に沿って上方に突出しているが、この構成に限定されず、例えば周壁部52の基端側Lbにおいて上方に向けて突出していてもよい(
図8(a)参照)。また、突出部53は平面視円弧状に限定されるわけでなく、例えば平面視三角形状であってもよい(
図8(b)参照)。
【0067】
さらには、周壁部52及び突出部53は先端側Lfに開口を有するが、必ずしも開口していなければならないわけではない。また、突出部53の先端側Lfにおける一部分に貫通孔が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 固定体取付構造
10 電気接続箱
20 固定本体部
212 第1側面
213 第2側面
24 挿通孔
30 固定脚部
31a 傾斜面
32 ボルト装着部
33 水抜孔
51 孔形成部
51a フラット面
511 第1ボルト孔
512 リブ
52 周壁部
53 突出部
H 高さ方向
M 取付面
P パネル
X ボルト