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特開2022-166351酸化アルミニウム粉末及びその製造方法
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  • 特開-酸化アルミニウム粉末及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166351
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】酸化アルミニウム粉末及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/02 20220101AFI20221026BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20221026BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
C01F7/02 G
C08K3/22
C08L101/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071501
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】千振 正登
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 晃匡
(72)【発明者】
【氏名】福永 豊
(72)【発明者】
【氏名】高草木 誠
【テーマコード(参考)】
4G076
4J002
【Fターム(参考)】
4G076AA02
4G076AB02
4G076BA38
4G076BA46
4G076BB02
4G076BB05
4G076BD02
4G076CA02
4G076CA25
4G076CA26
4G076DA02
4G076DA20
4J002AC081
4J002BB031
4J002BB121
4J002BB151
4J002CC031
4J002CD001
4J002CG001
4J002CP031
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】 低充填率でも高い熱伝導率となる樹脂組成物を得ることが出来る酸化アルミニウム粉末を提供すること。
【解決手段】 乾式粒子像分析装置により測定される最大長から求められる体積基準の粒子径分布における最大ピーク径が10~200μmの範囲内にあり、上記最大ピーク径の30%以上の大きさを有する粒子について、少なくとも2個以上の谷部を有し、乾式粒子像分析装置により測定されるHS円形度が0.2~0.7である粒子の個数割合が25%以上であることを特徴とする酸化アルミニウム粉末。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式粒子像分析装置により測定される最大長から求められる体積基準の粒子径分布における最大ピーク径が10~200μmの範囲内にあり、上記最大ピーク径の30%以上の大きさを有する粒子について、少なくとも2個以上の谷部を有し、乾式粒子像分析装置により測定されるHS円形度が0.2~0.7である粒子の個数割合が25%以上であることを特徴とする酸化アルミニウム粉末。
【請求項2】
請求項1記載の酸化アルミニウム粉末よりなる、放熱材料用フィラー。
【請求項3】
請求項2記載の放熱材料用フィラーと、樹脂とを含む、樹脂組成物。
【請求項4】
酸化アルミニウム原料粉末を、1500~1700℃の温度下に6時間以上焼成する焼成工程、及び、上記焼成工程で得られる酸化アルミニウム塊を解砕する解砕工程を含むことを特徴とする酸化アルミニウム粉末の製造方法。
【請求項5】
前記酸化アルミニウム原料粉末の平均粒子径が、1~50μmである請求項4記載の酸化アルミニウム粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な酸化アルミニウム粉末に関する。詳しくは、酸化アルミニウムの部分接合により形成される異形状の粒子形態を有する酸化アルミニウム異形粒子を含むことにより、樹脂にフィラーとして充填した場合に、比較的低い充填量においても高い熱伝導性を樹脂組成物に付与することが可能な酸化アルミニウム粉末を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
放熱シートや放熱グリースとして各種電子機器に広く利用される放熱材料として、シリコーン樹脂やシリコーングリースなどの樹脂に、熱伝導性フィラーを充填した樹脂組成物が使用されている。上記熱伝導性フィラーとしては、酸化アルミニウムが広く用いられている。
【0003】
一般に、放熱材料の熱伝導率を向上させるには、上記熱伝導性フィラーを高充填することが重要であると考えられている。フィラーを樹脂に高充填するために、円形度の高い球状・丸み状酸化アルミニウムを用いることが開示されている。(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-240351号公報
【特許文献2】特開2014-9140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記球状酸化アルミニウム粉末は、粒径の異なる酸化アルミニウムを適切な配合比で組み合わせて高充填しなければ高い熱伝導率を達成できず、高い熱伝導率の放熱材料を得るためには、樹脂組成物の組成が限定されてしまっていた。そのため、樹脂組成物の取り扱い性が悪くなったり、製造コストが上昇してしまったりする場合があるという課題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、フィラー充填率が低い場合においても、樹脂組成物に高い熱伝導性を付与することが可能な酸化アルミニウム粉末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、異形状を成す、特定の形状を有する酸化アルミニウム粒子を含む酸化アルミニウム粉末により、粒子同士の接点と粒子内の熱パス径路とが機能的に働き、フィラー充填率が低い場合においても、樹脂組成物に高い熱伝導性を付与することができ、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、乾式粒子像分析装置により測定される最大長から求められる体積基準の粒子径分布における最大ピーク径が10~200μmの範囲内にあり、上記最大ピーク径の30%以上の大きさを有する酸化アルミニウムについて、少なくとも2個以上の谷部を有し、乾式粒子像分析装置により測定されるHS円形度が0.2~0.7を示す粒子の個数割合が25%以上であることを特徴とする酸化アルミニウム粉末が提供される。
【0009】
また本発明によれば、前記酸化アルミニウム粉末からなる放熱材料用フィラー、及び、前記放熱材料用フィラーと樹脂とを含む樹脂組成物が提供される。
【0010】
本発明の酸化アルミニウム粉末は、酸化アルミニウム原料粉末を、1500~1700℃の温度下に6時間以上焼成する焼成工程、及び、上記焼成工程で得られる酸化アルミニウム塊を解砕して酸化アルミニウム粉末を得る解砕工程を含む方法により製造することができる。前記酸化アルミニウム原料粉末は、平均粒子径が1~50μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の酸化アルミニウム粉末により、これを樹脂に充填して樹脂組成物を構成する際、前記酸化アルミニウム粉末に含まれる酸化アルミニウム異形粒子が機能的に働くことにより、比較的低い充填量でも高い熱伝導性を樹脂組成物に付与することを可能とする。
【0012】
因みに、球状酸化アルミニウムが殆どを占める従来の酸化アルミニウム粉末を用いた場合、樹脂組成物に高い熱伝導性を付与するためには、かかる粒子が細密状態となる多量の充填量を必要とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】乾式粒子像分析装置により観察される、実施例1で得られた酸化アルミニウム粉末の画像。
図2】乾式粒子像分析装置により観察される、実施例2で得られた酸化アルミニウム粉末の画像。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の酸化アルミニウム粉末は、前記したように、乾式粒子像分析装置により測定される最大長から求められる体積基準の粒子径分布における最大ピーク径が10~200μmの範囲内にあり、上記最大ピーク径の30%以上の大きさを有する酸化アルミニウムについて、少なくとも2個以上の谷部を有し、乾式粒子像分析装置により測定されるHS円形度が0.2~0.7を示す粒子(以下、「異形粒子」ともいう)の個数割合が25%以上であることを特徴とする。
【0015】
本発明の酸化アルミニウム粉末は、乾式粒子像分析装置により測定される最大長から求められる体積基準の粒子径分布における最大ピーク径が10~200μm、好ましくは20~40μmの範囲内にあることにより、樹脂に充填した場合の異形粒子による熱伝導性の向上効果が発揮される。
【0016】
なお、前記体積基準の粒子径分布は乾式粒子像分析装置を使用して求めた値であり、各粒子の体積は計測された最大長の球相当体積であるとして体積基準の粒子径分布が算出される。
【0017】
HS円形度は、乾式粒子像分析装置により測定されるものであり、観察面上に散布された個々の粒子の形状を投影陰により画像化し、画像より円形度を算出することによって求めたものである。HS円形度は、投影された物体の面積(A)とその物体の周囲長(L)の2乗との比率であり、以下の式で装置にて自動計算される。
HS円形度=4πA/L
【0018】
また、乾式粒子像分析装置によれば特定の粒子径範囲を選択してその個数を測定し、範囲内の粒子のHS円形度を算出することも可能である。さらに、前記投影陰により、個々の粒子が谷部を有することを確認することが出来る。
【0019】
本発明における異形粒子により、低充填率で高い熱伝導率が得られる理由は明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、HS円形度が0.2~0.7であり、2個以上の谷部を有することで、球状粒子よりも他粒子と接点をとりやすくなり、他粒子との接触頻度が高くなる。さらに、谷部を有する異形粒子構造を持つことにより、球状粒子よりも熱パス経路の距離を稼ぐことが容易となる。これにより、樹脂組成物内で粒子間の熱パス径路を増やすことができるため、フィラー充填率が低い場合でも効率的な熱パスが可能となり、低充填率で高い熱伝導率を有する樹脂組成物を得ることが可能となると推察される。
【0020】
このような異形粒子としては、2個以上の球状粒子が部分的に接合した形状の粒子が挙げられる。かかる粒子は、従来の球状の酸化アルミニウムに対してHS円形度は低い値を示し、複数の球状粒子が部分的に接合した形状であるため、その接合部部分に2個以上の谷部が形成される。
【0021】
本発明の酸化アルミニウム粉末は、前記最大ピーク径の30%以上の粒径を有する酸化アルミニウムについて、乾式粒子像分析装置により測定されるHS円形度が0.2~0.7を示す粒子(異形粒子)の個数割合が25%以上、好ましくは、40%以上であることが重要である。上記異形粒子の個数割合が25%以上であることにより、樹脂に充填した場合に高い熱伝導率の向上効果が発揮される。上記異形粒子の個数割合の上限は特に限定されないが、多すぎると樹脂への充填性が低下する場合があるため、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。
【0022】
ここで、異形粒子の個数割合を前記特定の大きさ以上の粒子について特定した理由は、異形粒子の構造による効果が、酸化アルミニウム粉末において比較的大きい粒子によってもたらされることにある。
【0023】
本発明の酸化アルミニウム粉末は、以下に示す製造方法によって、好適に製造することができる。
【0024】
即ち、本発明の酸化アルミニウム粉末は、酸化アルミニウム原料粉末を1500~1700℃の温度下に6時間以上焼成する焼成工程、及び、上記焼成工程で得られる酸化アルミニウム塊を解砕する解砕工程、を含む製造方法により製造することができる。
【0025】
上記製造方法において、酸化アルミニウム原料粉末としては、公知の酸化アルミニウム粉末を特に制限なく用いることが出来るが、球状酸化アルミニウム粉末が好ましい。ここでは、球状酸化アルミニウム粉末とは、粒子の平均HS円形度が0.81以上であるものをいう。また、酸化アルミニウム原料粉末の平均粒子径は、高い熱伝導パスの効果を発揮する酸化アルミニウム粉末を得るためには、1~50μmであることが好ましい。焼成温度が1500℃以上であることにより、前記酸化アルミニウム粉末の粒子同士の融着が効率的に進行して、異形粒子を形成しやすくなる。焼成温度が1700℃を超える場合は、焼結が進行しすぎることにより、解砕が困難となる傾向にある。また、6時間以上で焼成することにより、粒子同士の癒着が効率的に進行して、異形粒子を形成しやすくなる。焼成時間の上限は特に限定されないが、生産性の観点から20時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。
【0026】
酸化アルミニウム原料粉末には、焼成時の粒子同士の融着を効率的に進行させるために、焼結助剤として、酸化アルミニウム原料粉末100質量部に対して、希土類化合物を1~5質量部添加しても良い。希土類化合物としては、例えば、希土類金属の酸化物、炭化物又はハロゲン化物が挙げられ、特には取り扱い性の観点から希土類金属の酸化物であることが好ましい。また、後述するようにブロック状で回収される酸化アルミニウム塊の解砕を容易にするために、酸化アルミニウム原料粉末100質量部に対して、窒化ホウ素粉末を1~10質量部添加しても良い。
【0027】
上記焼成によってブロック状の酸化アルミニウム塊が回収されるため、これを解砕することで、本発明の酸化アルミニウム粉末を得ることが出来る。解砕方法は、異形粒子の構造を破壊しない程度の解砕を行う方法であれば特に制限されず、例えば、予備解砕として、ロールクラッシャーによる解砕を行った後、本解砕として、異形粒子の融着部を過度に破壊しない範囲で、ボールミル、振動ミル、摩擦機などを使用して解砕を行う方法が挙げられる。
【0028】
また、解砕を行った後に、使用する樹脂組成物の厚みなどに応じて、篩などによる分級を行い、最大粒径を制御や、平均粒径の調整を行っても良い。
【0029】
本発明の酸化アルミニウム粉末の用途は特に限定されず、酸化アルミニウムの性質を生かした種々の用途に使用することが可能であるが、低充填率でも高い熱伝導性を付与できることから、放熱材料用フィラーとして使用することが好ましい。
【0030】
これにより、本発明の酸化アルミニウム粉末からなる放熱材料用フィラーと、樹脂とを含む樹脂組成物を提供することが可能である。前記樹脂組成物は、低充填率でも高い熱伝導性を付与することが可能であり、特に放熱シート、放熱グリース、放熱接着剤などの放熱材料として好適に使用することが出来る。
【0031】
前記樹脂は特に限定されず公知の樹脂を使用することが可能であり、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂、またシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム等のゴム類、シリコーンオイルが挙げられる。これらのうち、放熱材料の樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0032】
本発明の樹脂組成物における、本発明の酸化アルミニウム粉末からなる放熱材料用フィラーの含有量は特に限定されないが、高い熱伝導率を得るために、本発明の酸化アルミニウム粉末からなる放熱材料用フィラーを、樹脂組成物に対して40~85容量%含有することが好ましく、特に低充填率で高い熱伝導率が得られるとの効果が顕著に発揮されることから、50~75容量%含有することがより好ましい。
【0033】
本発明の樹脂組成物においては、前記の本発明の酸化アルミニウム粉末からなる放熱フィラー以外の、その他のフィラーを含んでも良い。その他のフィラーとしては、例えば、本発明のものではない酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭化珪素、グラファイトなどを使用できる。
【0034】
本発明の酸化アルミニウム粉末からなる放熱材料用フィラーとその他フィラーを併せた全フィラーの含有量は、樹脂組成物に対して、60~85容量%が好ましく、70~75容量%がより好ましい。なお、全フィラー中における本発明の酸化アルミニウム粉末からなる放熱材料用フィラーの割合は、70容量%以上であることが好ましく、80容量%以上であることがより好ましい。
【実施例0035】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
なお、実施例及び比較例において、酸化アルミニウム粉末の性状は、以下に示す方法により実施した。すなわち、測定試料を5mmの計量スパチュラを用い、乾式粒子像分析装置(マルバーン製Morphologi G3)の試料カートリッジに投入し、粒子像の分析を行うことで、各粒子の最大長、HS円形度を評価した。試料を試料カートリッジからガラスプレートに分散する条件は、分散圧力5bar、圧縮空気印加時間10ms、静置時間60sとした。得られた評価結果から、最大長から求められる体積基準の粒子径分布における最大ピーク径を求めた。次いで、上記最大ピーク径の30%以上の大きさを有する粒子について、測定範囲内の異形粒子の個数を、測定範囲内全体の個数で除することで、異形粒子の個数割合を求めた。なお、谷部は得られた粒子像を目視で確認することで評価した。
【0037】
<実施例1>
平均粒径10μmの球状酸化アルミニウム原料粉末100gに、焼結助剤として酸化イットリウム1gを添加して混合し、これを窒化ホウ素セッターに充填し、焼成温度1500℃で10時間焼成した。得られたブロック状の酸化アルミニウム塊を、ロールクラッシャーで予備解砕を行った後、摩擦機で砥石間ギャップ750μm、砥石回転数1000rpmの条件下で粉末状に解砕した。その後、212μmの篩目を有する振動篩機にて分級を行い、酸化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末について、最大ピーク径、HS円形度、形状の評価を行い、異形粒子の個数割合を算出した。製造条件及び評価結果を表1に示す。
【0038】
<実施例2、比較例2、4>
実施例1における焼成温度を表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様にして酸化アルミニウム粉末を得て、評価を行った。製造条件と評価結果を表1に示す。
【0039】
<比較例1>
市販の酸化アルミニウム粉末(デンカ株式会社、DAW-10)の評価を行った。測定結果を表1に示す。
【0040】
<比較例3>
実施例1における焼成温度、表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様にした。結果、ブロック状で回収された酸化アルミニウム塊の解砕が困難であり、酸化アルミニウム粉末を得ることはできなかった。
【0041】
【表1】
【0042】
各実施例及び比較例で得られた酸化アルミニウム粉末と、D50が1μmの球状酸化アルミニウムとを、8:2の容量比で混合した粉末と、シリコーン樹脂(ダウ・東レ株式会社製 CY52-276A,B)とを、フィラー充填量が70容量%になるように測り取り乳鉢を使用して混錬することにより、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を金型に充填し、80℃×1時間、1tonの熱ブレスを行って厚み1mmのシート体を得て、熱伝導率を測定した。熱伝導率を測定した結果、比較例1の酸化アルミニウム粉末を用いて得られた樹脂組成物と比較して、実施例1、2の酸化アルミニウム粉末を用いて得られた樹脂組成物の熱伝導率は、それぞれ1.10倍、1.13倍、比較例2の酸化アルミニウム粉末を用いて得られた樹脂組成物の熱伝導率は、1.04倍、比較例4の酸化アルミニウムを用いて得られた樹脂組成物の熱伝導率は、1.05倍であった。
【0043】
以上より、乾式粒子像分析装置により測定される最大長から求められる体積基準の粒子径分布における最大ピーク径が10~200μmの範囲内にあり、上記最大ピーク径の30%以上の大きさを有する粒子について、少なくとも2個以上の谷部を有し、乾式粒子像分析装置により測定されるHS円形度が0.2~0.7である粒子の個数割合が25%以上であることを特徴とする酸化アルミニウム粉末よりなる放熱材料用フィラーにより、低充填率で高い熱伝導率を有する樹脂組成物を得ることができることが示された。
図1
図2