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特開2022-166357血中カルシウム濃度予測装置、デバイス固定具、血中カルシウム濃度予測方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166357
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】血中カルシウム濃度予測装置、デバイス固定具、血中カルシウム濃度予測方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/346 20210101AFI20221026BHJP
   A01K 67/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
A61B5/346
A01K67/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071512
(22)【出願日】2021-04-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人北海道国立大学機構
(71)【出願人】
【識別番号】310010575
【氏名又は名称】地方独立行政法人北海道立総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】中島 康博
(72)【発明者】
【氏名】神谷 裕子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 知之
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127GG10
(57)【要約】
【課題】従来技術においては、所定時間後の血中カルシウム濃度を予測できなかった。
【解決手段】心電に関する心電関連情報の2以上の時点の時系列の情報である心電時系列情報、または血中カルシウム濃度の時系列の情報である濃度時系列情報を取得する時系列情報取得部131と、時系列情報取得部131が取得した心電時系列情報または濃度時系列情報を用いて、将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得する推定部132と、推定値を用いて、予め決められた処理を行う推定値処理部133とを具備する血中カルシウム濃度予測装置1により、所定時間後の血中カルシウム濃度を予測できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電に関する心電関連情報の2以上の時点の時系列の情報である心電時系列情報、または血中カルシウム濃度の時系列の情報である濃度時系列情報を取得する時系列情報取得部と、
前記時系列情報取得部が取得した前記心電時系列情報または前記濃度時系列情報を用いて、将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得する推定部と、
前記推定値を用いて、予め決められた処理を行う推定値処理部とを具備する血中カルシウム濃度予測装置。
【請求項2】
前記推定値処理部は、
前記推定値を用いて、低カルシウム血症となる時を特定する時情報を取得し、当該時情報を出力する、請求項1記載の血中カルシウム濃度予測装置。
【請求項3】
前記推定値処理部は、
前記推定値が低濃度条件を満たすか否かを判断する処理判断手段と、
前記処理判断手段が前記低濃度条件を満たすと判断した場合に、予め決められた通知先に通知する通知手段とを具備する請求項1記載の血中カルシウム濃度予測装置。
【請求項4】
前記時系列情報取得部は、
前記心電時系列情報を取得し、当該心電時系列情報を用いて、前記濃度時系列情報を取得し、
前記推定部は、
前記時系列情報取得部が取得した前記濃度時系列情報を用いて、回帰推定により前記推定値を取得する、請求項1から請求項3いずれか一項に記載の血中カルシウム濃度予測装置。
【請求項5】
心電時系列情報または濃度時系列情報と予め決められた時間後の血中カルシウム濃度の推定値とを有する2以上の教師データを機械学習のアルゴリズムにより学習処理を行い取得された学習モデルが格納される格納部をさらに具備し、
前記推定部は、
前記時系列情報取得部が取得した前記心電時系列情報または前記濃度時系列情報と、前記学習モデルとを用いて、機械学習のアルゴリズムにより予測処理を行い、前記推定値を取得する、請求項1から請求項3いずれか一項に記載の血中カルシウム濃度予測装置。
【請求項6】
前記推定部は、
前記時系列情報取得部が取得した1以上の血中カルシウム濃度が処理条件に合致するか否かを判断する推定判断手段と、
前記推定判断手段が前記処理条件に合致すると判断した場合に、当該1以上の血中カルシウム濃度に対応する濃度時系列情報を用いて前記推定値を取得する推定手段とを具備する請求項4または請求項5記載の血中カルシウム濃度予測装置。
【請求項7】
前記処理条件は、1以上の血中カルシウム濃度が平常時の血中カルシウム濃度と比較して低いことである、請求項6記載の血中カルシウム濃度予測装置。
【請求項8】
動物の心電位を継続して取得するために、心電位を取得する心電計測デバイスを固定するデバイス固定具であり、
前記動物の体に巻くためのシートと、
前記心電計測デバイスを前記シートに固定するデバイス固定手段と、
前記シートを前記動物の体に密着させるための密着手段とを具備するデバイス固定具。
【請求項9】
前記シートの裏地の少なくとも一部は、
所定の値以下の摩擦係数である、請求項8記載のデバイス固定具。
【請求項10】
時系列情報取得部と、推定部と、推定値処理部とにより実現される血中カルシウム濃度予測方法であって、
前記時系列情報取得部が、心電に関する心電関連情報の2以上の時点の時系列の情報である心電時系列情報、または血中カルシウム濃度の時系列の情報である濃度時系列情報を取得する時系列情報取得ステップと、
前記推定部が、前記時系列情報取得ステップで取得された前記心電時系列情報または前記濃度時系列情報を用いて、将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得する推定ステップと、
前記推定値処理部が、前記推定値を用いて、予め決められた処理を行う推定値処理ステップとを具備する血中カルシウム濃度予測方法。
【請求項11】
コンピュータを、
心電に関する心電関連情報の2以上の時点の時系列の情報である心電時系列情報、または血中カルシウム濃度の時系列の情報である濃度時系列情報を取得する時系列情報取得部と、
前記時系列情報取得部が取得した前記心電時系列情報または前記濃度時系列情報を用いて、将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得する推定部と、
前記推定値を用いて、予め決められた処理を行う推定値処理部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛等の動物の将来の血中カルシウム濃度を推定する血中カルシウム濃度予測装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、心電図波形から血中カルシウム濃度を取得する技術があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6554720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術において、現時点から所定時間後の将来の血中カルシウム濃度を予測できなかった。そのため、従来技術では、例えば、将来の低カルシウム血症を予期できず、適切なタイミングでカルシウム剤の投与等の措置が行えなかった。
【0005】
なお、北海道では、分娩牛の約9%にあたる年間約4万頭が起立不能となり、約4千頭が死亡している。そして、起立不能の約6割は低カルシウム血症が原因である。また、北海道内の起立不能による年間経済損失は、推定60億円以上である。
また、起立してはいるが血中カルシウム濃度が低下する「潜在性低カルシウム血症」の存在も大きな問題である。潜在性低カルシウム血症により、食欲不振や他の周産期病の誘発により、乳量や繁殖能力が低下する。
【0006】
以上より、起立不能の牛や潜在性低カルシウム血症の牛等の動物に対し低カルシウム血症の有無を早急に判断する必要ある。
【0007】
本願発明は、かかる必要性に鑑み、動物の将来の血中カルシウム濃度を予測し、予測結果を利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第一の発明の血中カルシウム濃度予測装置は、心電に関する心電関連情報の2以上の時点の時系列の情報である心電時系列情報、または血中カルシウム濃度の時系列の情報である濃度時系列情報を取得する時系列情報取得部と、時系列情報取得部が取得した心電時系列情報または濃度時系列情報を用いて、将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得する推定部と、推定値を用いて、予め決められた処理を行う推定値処理部とを具備する血中カルシウム濃度予測装置である。
【0009】
かかる構成により、所定時間後の血中カルシウム濃度を予測できる。
【0010】
また、本第二の発明の血中カルシウム濃度予測装置は、第一の発明に対して、推定値処理部は、推定値を用いて、低カルシウム血症となる時を特定する時情報を取得し、時情報を出力する、血中カルシウム濃度予測装置である。
【0011】
かかる構成により、将来の低カルシウム血症についての情報が得られる。
【0012】
また、本第三の発明の血中カルシウム濃度予測装置は、第一の発明に対して、推定値処理部は、推定値が低濃度条件を満たすか否かを判断する処理判断手段と、処理判断手段が低濃度条件を満たすと判断した場合に、予め決められた通知先に通知する通知手段とを具備する血中カルシウム濃度予測装置である。
【0013】
かかる構成により、所定時間後の血中カルシウム濃度が低濃度条件を満たす場合に、通知できる。
【0014】
また、本第四の発明の血中カルシウム濃度予測装置は、第一から第三いずれか1つの発明に対して、時系列情報取得部は、心電時系列情報を取得し、心電時系列情報を用いて、濃度時系列情報を取得し、推定部は、時系列情報取得部が取得した濃度時系列情報を用いて、回帰推定により推定値を取得する、血中カルシウム濃度予測装置である。
【0015】
かかる構成により、所定時間後の血中カルシウム濃度を予測できる。
【0016】
また、本第五の発明の血中カルシウム濃度予測装置は、第一から第三いずれか1つの発明に対して、心電時系列情報または濃度時系列情報と予め決められた時間後の血中カルシウム濃度の推定値とを有する2以上の教師データを機械学習のアルゴリズムにより学習処理を行い取得された学習モデルが格納される格納部をさらに具備し、推定部は、時系列情報取得部が取得した心電時系列情報または濃度時系列情報と、学習モデルとを用いて、機械学習のアルゴリズムにより予測処理を行い、推定値を取得する、血中カルシウム濃度予測装置である。
【0017】
かかる構成により、所定時間後の血中カルシウム濃度を予測できる。
【0018】
また、本第六の発明の血中カルシウム濃度予測装置は、第四または第五の発明に対して、推定部は、時系列情報取得部が取得した1以上の血中カルシウム濃度が処理条件に合致するか否かを判断する推定判断手段と、推定判断手段が処理条件に合致すると判断した場合に、1以上の血中カルシウム濃度に対応する濃度時系列情報を用いて推定値を取得する推定手段とを具備する血中カルシウム濃度予測装置である。
【0019】
かかる構成により、所定時間後の血中カルシウム濃度を適切なタイミングで予測できる。
【0020】
また、本第七の発明の血中カルシウム濃度予測装置は、第六の発明に対して、処理条件は、1以上の血中カルシウム濃度が平常時の血中カルシウム濃度と比較して低いことである、血中カルシウム濃度予測装置である。
【0021】
かかる構成により、所定時間後の血中カルシウム濃度を適切なタイミングで予測できる。
【0022】
また、本第八の発明のデバイス固定具は、動物の心電位を継続して取得するために、心電位を取得する心電計測デバイスを固定するデバイス固定具であり、動物の体に巻くためのシートと、心電計測デバイスをシートに固定するデバイス固定手段と、シートを動物の体に密着させるための密着手段とを具備するデバイス固定具である。
【0023】
かかる構成により、動物の心電位を継続して取得できる。
【0024】
また、本第九の発明のデバイス固定具は、第八の発明に対して、シートの裏地の少なくとも一部は、所定の値以下の摩擦係数である、デバイス固定具である。
【0025】
かかる構成により、心電位を取得する電極が摩擦でずれることを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による血中カルシウム濃度予測装置によれば、所定時間後の血中カルシウム濃度を予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施の形態1における予測システムAの概念図
図2】同予測システムAのブロック図
図3】同デバイス固定具2の概要図
図4】同血中カルシウム濃度予測装置1の動作例について説明するフローチャート
図5】同処理条件判断処理の例について説明するフローチャート
図6】同推定処理の第一の例について説明するフローチャート
図7】同推定処理の第二の例について説明するフローチャート
図8】同推定値処理の例について説明するフローチャート
図9】同デバイス固定具2の使用時のイメージを示す図
図10】同血中カルシウム濃度予測装置1の動作を説明するフラグ
図11】同出力例を示す図
図12】同コンピュータシステムの概観図
図13】同コンピュータシステムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、血中カルシウム濃度予測装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態において、動物の時系列の心電関連情報または時系列の血中カルシウム濃度を用いて、所定時間後の血中カルシウム濃度を推定し、当該推定した値を用いて所定の処理を行う血中カルシウム濃度予測装置について説明する。なお、所定の処理は、例えば、出力処理、後述する通知処理である。なお、動物とは、通常、牛であるが、他の動物でも良い。また、血中カルシウム濃度を推定する方法は、例えば、回帰推定による方法、機械学習による方法である。
【0030】
また、本実施の形態において、所定時間後の血中カルシウム濃度が低濃度条件を満たす場合に、所定の処理を行う血中カルシウム濃度予測装置について説明する。所定の処理は、例えば、動物にカルシウム剤を投与することを支援する処理である。カルシウム剤を投与することを支援する処理は、例えば、後述する通知処理である。
【0031】
さらに、本実施の形態において、心電計測デバイス、および当該デバイスを動物に対して固定するデバイス固定具について説明する。
【0032】
図1は、本実施の形態における予測システムAの概念図である。予測システムAは、血中カルシウム濃度予測装置1、1または2以上のデバイス固定具2、1または2以上の心電計測デバイス3、1または2以上のユーザ端末4を備える。なお、デバイス固定具2と心電計測デバイス3とは対応付いている。
【0033】
血中カルシウム濃度予測装置1は、心電計測デバイス3が測定した心電位を受け付け、血中カルシウム濃度を予測する装置である。血中カルシウム濃度予測装置1は、例えば、いわゆるサーバである。血中カルシウム濃度予測装置1は、例えば、クラウドサーバ、ASPサーバであるが、その種類は問わない。ただし、血中カルシウム濃度予測装置1は、スタンドアロンの装置でも良い。また、血中カルシウム濃度予測装置1は、心電計測デバイス3を含む構成でも良い。
【0034】
デバイス固定具2は、心電計測デバイス3を動物の体に固定するためのデバイスである。なお、固定とは、全く動かない場合に限らない。つまり、固定とは、心電計測デバイス3を用いて心電位が測定できる状態を継続できれば良い趣旨である。
【0035】
心電計測デバイス3は、心電位を測定するデバイスであり、公知の装置が利用可能である。
【0036】
ユーザ端末4は、ユーザが使用する端末であり、例えば、動物の低カルシウム血症の予測結果を受信し、出力する装置である。ユーザ端末4は、例えば、スマートフォン、パソコン、タブレット等であるが、その種類は問わない。
【0037】
また、血中カルシウム濃度予測装置1と心電計測デバイス3、および血中カルシウム濃度予測装置1とユーザ端末4とは、インターネット等のネットワークにより、通信可能であることは好適である。
【0038】
なお、図1における5は、動物である。心電計測デバイス3による動物5の心電位の測定を可能にするために、デバイス固定具2は、動物5の体に密着するための構造を有する。
【0039】
図2は、本実施の形態における予測システムAのブロック図である。
【0040】
血中カルシウム濃度予測装置1は、格納部11、受信部12、および処理部13を備える。処理部13は、時系列情報取得部131、推定部132、および推定値処理部133を備える。推定部132は、推定判断手段1321、および推定手段1322を備える。推定値処理部133は、処理判断手段1331、および通知手段1332を備える。
【0041】
デバイス固定具2は、シート21、デバイス固定手段22、および密着手段23を備える。
【0042】
心電計測デバイス3は、心電情報取得手段31、および送信手段32を備える。
【0043】
血中カルシウム濃度予測装置1の格納部11には、各種の情報が格納される。各種の情報は、心電関連情報、心電時系列情報、血中カルシウム濃度、または濃度時系列情報のうちの1種類以上の情報である。各種の情報は、例えば、後述する低濃度条件、後述する処理条件、後述する学習データである。
【0044】
心電関連情報は、心電に関する情報である。心電関連情報は、通常、心電位である。心電時系列情報は、心電関連情報の2以上の時点の時系列の情報である。心電時系列情報は、時刻の順に格納されている心電関連情報の集合でも良いし、時刻に対応する時情報と対になる心電関連情報の集合でも良い。
【0045】
濃度時系列情報は、血中カルシウム濃度の時系列の情報である。濃度時系列情報は、時刻の順に格納されている血中カルシウム濃度の集合でも良いし、時刻に対応する時情報と対になる血中カルシウム濃度の集合でも良い。
【0046】
また、格納部11の心電関連情報、心電時系列情報、血中カルシウム濃度、または濃度時系列情報は、動物識別子に対応付いていることは好適である。動物識別子は、監視対象の動物5を識別する情報である。監視対象の動物5は、心電関連情報を取得する対象の動物5、血中カルシウム濃度を監視する対象の動物5である。動物識別子は、心電計測デバイス3を識別する情報でも良い。動物識別子は、例えば、ID、心電計測デバイス3のIPアドレスである。
【0047】
受信部12は、各種の情報を受信する。受信部12は、例えば、1または2以上の心電計測デバイス3から心電関連情報を受信する。受信部12は、例えば、動物識別子と対に心電関連情報を受信する。
【0048】
処理部13は、各種の処理を行う。各種の処理は、例えば、時系列情報取得部131、推定部132、推定値処理部133が行う処理である。
【0049】
時系列情報取得部131は、心電時系列情報または濃度時系列情報を取得する。時系列情報取得部131は、例えば、受信部12が受信した心電時系列情報を取得する。また、時系列情報取得部131は、心電計測デバイス3から心電時系列情報を受信しても良い。また、時系列情報取得部131は、心電計測デバイス3が取得し、何らかの手段により、格納部11に格納されるに至った心電時系列情報を、格納部11から読み出しても良い。時系列情報取得部131は、心電計測デバイス3が動物5から取得した心電関連情報を、時間の遅れが少なく取得することは好適である。時間の遅れが少なく取得することは、概ねリアルタイムに取得することは好適である。
【0050】
時系列情報取得部131は、心電時系列情報を取得し、当該心電時系列情報を用いて、濃度時系列情報を取得することは好適である。さらに具体的には、時系列情報取得部131は、例えば、時系列の順に、2以上の心電時系列情報を取得し、当該2以上の各心電時系列情報に対応する血中カルシウム濃度を取得する。なお、時系列情報取得部131は、例えば、特許文献1に記載の技術により、心電時系列情報を用いて、血中カルシウム濃度を取得する。時系列情報取得部131は、2以上の各心電時系列情報を用いて、異なる時点の2以上の血中カルシウム濃度を取得することは好適である。異なる時点の2以上の血中カルシウム濃度は、濃度時系列情報である。
【0051】
推定部132は、時系列情報取得部131が取得した濃度時系列情報を用いて、将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得することは好適である。
【0052】
推定部132は、時系列情報取得部131が取得した心電時系列情報を用いて、将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得しても良い。
【0053】
推定部132は、時系列情報取得部131が取得した1または2以上の血中カルシウム濃度が予め決められた処理条件に合致する場合に、当該1以上の血中カルシウム濃度に対応する濃度時系列情報を取得し、当該濃度時系列情報を用いて推定値を取得することは好適である。なお、時系列情報取得部131が取得した1以上の各血中カルシウム濃度は、通常、時系列情報取得部131が心電関連情報から取得した情報であるが、他の装置で取得された心電関連情報から取得した情報でも良い。
【0054】
なお、推定値を取得することは、血中カルシウム濃度を推定するための式を取得することを含んでも良い。
【0055】
また、処理条件は、例えば、1以上の血中カルシウム濃度が平常時の血中カルシウム濃度と比較して低いことである。平常時の血中カルシウム濃度とは、平常時の血中カルシウム濃度の代表値(例えば、平均値、中央値)、または血中カルシウム濃度の低下前の血中カルシウム濃度の集合から得られる回帰直線からの距離が閾値以内の値または閾値より小さい値である。低いことは、例えば、平常時の血中カルシウム濃度より閾値以下または閾値より小さいことである。低いことは、例えば、時系列の2以上の血中カルシウム濃度から得られる血中カルシウム濃度の低下度が閾値以上または閾値より大きいこと(低下の度合いが大きいこと)である。
【0056】
また、当該1以上の血中カルシウム濃度に対応する濃度時系列情報は、例えば、処理条件に合致するとの判断に使用した1以上の血中カルシウム濃度を含み、当該血中カルシウム濃度に対応する時刻より後の時刻の1以上の血中カルシウム濃度を含む濃度時系列情報である。また、該1以上の血中カルシウム濃度に対応する濃度時系列情報とは、例えば、処理条件に合致するとの判断に使用した1以上の血中カルシウム濃度を含まず、当該血中カルシウム濃度に対応する時刻より後の時刻の2以上の血中カルシウム濃度を含む濃度時系列情報である。
【0057】
1以上の血中カルシウム濃度に対応する濃度時系列情報に対応する時間、または血中カルシウム濃度の数は、予め決められていても良いし、決められていなくても良い。
【0058】
以下、推定部132が将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得する具体的な3つのアルゴリズム例を説明する。
(1)回帰推定を用いる方法
【0059】
推定部132は、時系列情報取得部131が取得した濃度時系列情報を用いて、回帰推定により推定値を取得する。つまり、推定部132は、時系列情報取得部131が取得した2以上の時系列の血中カルシウム濃度を用いて、回帰式「C=f(h)」(Cは血中カルシウム濃度,hは将来の時点(例えば、現在からの経過時間))を構成し、当該回帰式に対して、将来の1以上の時点(h)を代入し、血中カルシウム濃度(C)を算出する。なお、推定部132が用いる回帰推定は、直線回帰でも、多項式回帰でも、円弧回帰でも良く、問わない。なお、2以上の情報(ここでは、2以上の時点の血中カルシウム濃度)を用いて、回帰推定を行う技術は公知技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0060】
また、推定部132が推定値を取得することは、回帰式を取得することでも良い。
【0061】
推定部132は、時系列情報取得部131が取得した心電時系列情報または濃度時系列情報と、学習モデルとを用いて、機械学習のアルゴリズムにより予測処理を行い、推定値を取得する。機械学習を用いる方法の例として、以下の(2)(3)がある。
(2)心電時系列情報を用いる場合
(2-1)一つの学習モデルを用いる場合
【0062】
処理部13または図示しない学習装置は、2以上の心電関連情報を含む心電時系列情報と、心電時系列情報に対応する時刻より将来の時点(例えば、基準時点からの経過時間)を示す時情報と、当該時情報の時点の血中カルシウム濃度とを有する2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、学習モデルを構築する。かかる学習モデルは、格納部11に蓄積される、とする。
【0063】
そして、推定部132は、推定に使用する2以上の心電関連情報を含む心電時系列情報と、推定する時点を示す時情報と、格納部11の学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、推定値を取得する。
【0064】
なお、推定部132は、2以上の予め決められた時点の各時情報ごとに、機械学習の予測処理を行い、各時情報ごとの推定値を取得することは好適である。また、2以上の予め決められた時点の各時情報は、例えば、格納部11に格納されている。
【0065】
また、機械学習のアルゴリズムは問わない。機械学習のアルゴリズムは、深層学習が好適であるが、例えば、決定木、ランダムフォレスト、SVR等でも良く、機械学習の種類は問わない。また、機械学習のモジュールは、例えば、TensorFlowのライブラリの中の各種の関数、R言語のrandom forestのモジュール、tinySVM等である。かかることは、学習処理でも予測処理でも同様である。
(2-2)将来の2以上の各時点ごとの学習モデルを用いる場合
【0066】
処理部13または図示しない学習装置は、2以上の心電関連情報を含む心電時系列情報と、心電時系列情報に対応する時点より将来の第一の時点を示す時情報の時点の血中カルシウム濃度とを有する2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、第一の時点に対応する第一の学習モデルを構築する。かかる第一の学習モデルは、第一の時点を示す時情報に対応付けられて格納部11に蓄積される、とする。
【0067】
また、処理部13または図示しない学習装置は、2以上の心電関連情報を含む心電時系列情報と、心電時系列情報に対応する時点より将来の第二の時点を示す時情報の時点の血中カルシウム濃度とを有する2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、第二の時点に対応する第二の学習モデルを構築する。かかる第二の学習モデルは、第二の時点を示す時情報に対応付けられて格納部11に蓄積される、とする。
【0068】
さらに、処理部13または図示しない学習装置は、第三以降の時点の学習モデルを構築し、当該学習モデルを第三以降の時点を示す時情報に対応付けて格納部11に蓄積することは好適である。
【0069】
そして、推定部132は、推定に使用する2以上の心電関連情報を含む心電時系列情報と、格納部11の第一の学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、第一の時点の推定値を取得する。
【0070】
また、推定部132は、推定に使用する2以上の心電関連情報を含む心電時系列情報と、格納部11の第二の学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、第二の時点の推定値を取得する。
【0071】
そして、推定部132は、同様に、第三の時点以降の時点の推定値を取得する。
【0072】
なお、上述した通り、機械学習のアルゴリズムは問わない。
(3)濃度時系列情報を用いる場合
(3-1)一つの学習モデルを用いる場合
【0073】
処理部13または図示しない学習装置は、2以上の血中カルシウム濃度を含む濃度時系列情報と、当該濃度時系列情報に対応する時点より将来の時点を示す時情報と、当該時情報の時点の血中カルシウム濃度とを有する2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、学習モデルを構築する。かかる学習モデルは、格納部11に蓄積される、とする。
【0074】
そして、推定部132は、推定に使用する2以上の血中カルシウム濃度を含む濃度時系列情報と、推定する時点を示す時情報と、格納部11の学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、推定値を取得する。
【0075】
なお、推定部132は、2以上の予め決められた時点の各時情報ごとに、機械学習の予測処理を行い、各時情報ごとの推定値を取得することは好適である。
【0076】
また、上述した通り、機械学習のアルゴリズムは問わない。
(3-2)将来の2以上の各時点ごとの学習モデルを用いる場合
【0077】
処理部13または図示しない学習装置は、2以上の血中カルシウム濃度を含む濃度時系列情報と、当該濃度時系列情報に対応する時点より将来の第一の時点を示す時情報の時点の血中カルシウム濃度とを有する2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、第一の時点に対応する第一の学習モデルを構築する。かかる第一の学習モデルは、第一の時点を示す時情報に対応付けられて格納部11に蓄積される、とする。
【0078】
また、処理部13または図示しない学習装置は、2以上の血中カルシウム濃度を含む濃度時系列情報と、当該濃度時系列情報に対応する時点より将来の第二の時点を示す時情報の時点の血中カルシウム濃度とを有する2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、第二の時点に対応する第二の学習モデルを構築する。かかる第二の学習モデルは、第二の時点を示す時情報に対応付けられて格納部11に蓄積される、とする。
【0079】
さらに、処理部13または図示しない学習装置は、第三以降の時点の学習モデルを構築し、当該学習モデルを第三以降の時点を示す時情報に対応付けて格納部11に蓄積することは好適である。
【0080】
そして、推定部132は、推定に使用する2以上の血中カルシウム濃度を含む濃度時系列情報と、格納部11の第一の学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、第一の時点の推定値を取得する。
【0081】
また、推定部132は、推定に使用する2以上の血中カルシウム濃度を含む濃度時系列情報と、格納部11の第二の学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、第二の時点の推定値を取得する。
【0082】
そして、推定部132は、同様に、第三の時点以降の時点の推定値を取得する。
【0083】
また、上述した通り、機械学習のアルゴリズムは問わない。
【0084】
推定判断手段1321は、時系列情報取得部131が取得した1以上の血中カルシウム濃度が処理条件に合致するか否かを判断する。処理条件については上述した。
【0085】
推定手段1322は、推定判断手段1321が処理条件に合致すると判断した場合に、当該1以上の血中カルシウム濃度に対応する濃度時系列情報を用いて推定値を取得する。なお、推定値を取得することは、回帰式を取得することでも良い。また、当該1以上の血中カルシウム濃度に対応する濃度時系列情報については上述した。
【0086】
推定手段1322は、上述した(1)(2)または(3)のうちのいずれかのアルゴリズムにより、推定値を取得する。
【0087】
推定値処理部133は、推定部132が取得した1以上の推定値を用いて、予め決められた処理を行う。予め決められた処理は、例えば、(1)推定値出力処理、(2)低Ca時刻出力処理、または(3)通知処理である。
(1)推定値出力処理
【0088】
推定値処理部133は、推定部132が取得した1以上の推定値を出力する。かかる処理を推定値出力処理という。推定値出力処理は、推定部132が取得した1以上の推定値に対応する回帰式または当該回帰式に対応するグラフを出力することでも良い。
【0089】
ここで、出力とは、例えば、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音声出力、ユーザ端末4への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
(2)低Ca時刻出力処理
【0090】
処理判断手段1331は、推定値処理部133が取得した推定値が予め決められた低濃度条件を満たすか否かを判断する。低濃度条件は、例えば、低カルシウム血症であると考えられる血中カルシウム濃度の閾値以下であること、低カルシウム血症であると考えられる血中カルシウム濃度の閾値より小さいこと等である。
【0091】
そして、推定値処理部133は、例えば、低濃度条件を満たす場合の時点を特定する時情報を取得する。そして、推定値処理部133は、例えば、当該時情報を出力する。
(3)通知処理
【0092】
処理判断手段1331は、推定値処理部133が取得した推定値が予め決められた低濃度条件を満たすか否かを判断する。
【0093】
次に、通知手段1332は、処理判断手段1331が低濃度条件を満たすと判断した場合に、予め決められた通知先に通知する。予め決められた通知先は、格納部11に格納されている。通知先は、例えば、メールアドレス、電話番号、ユーザID等である。
【0094】
なお、推定値処理部133は、低濃度条件を満たす場合の時点を特定する時情報を取得し、通知手段1332は当該時情報をも予め決められた通知先に通知することは好適である。また、推定値処理部133は、低濃度条件を満たす場合の時点を特定する時情報を含む警告情報を構成し、通知手段1332は当該警告情報を予め決められた通知先に通知することは好適である。なお、警告情報は、例えば、1以上の推定値、推定値が表出されたグラフ等を含むことは好適である。
【0095】
デバイス固定具2を構成するシート21は、心電関連情報を取得する対象の動物5に密着するシートである。シート21は、例えば、布であるが、ビニール等の他の材料でも良く、材料、材質等は問わない。ただし、シート21の裏面(裏地)の少なくとも一部は、所定の値以下の摩擦係数であることは好適である。シート21の裏面の摩擦係数が小さいことにより、心電関連情報を取得するための電極が摩擦によりずれることを防止できる。なお、図3(a)は、デバイス固定具2の表である。また、図3(b)は、シート21の裏面であり、211の領域は、閾値以下の摩擦係数の材質で構成されており、他の領域の材質と比較して、小さい摩擦係数の材質である。閾値以下の摩擦係数の材料は、例えば、ビニールシートである。
【0096】
デバイス固定手段22は、心電計測デバイス3を固定する手段である。デバイス固定手段22は、図3においては、心電計測デバイス3が入るポケットである。ただし、デバイス固定手段22は、心電計測デバイス3をシート21に固定する他の手段でも良い。他の手段は、例えば、両面テープである。
【0097】
密着手段23は、シート21を動物5の体に密着させるための手段である。密着手段23は、例えば、ゴム、紐、ゴム紐(図3(a)参照)である。密着手段23の材質は問わない。密着手段23は、動物5の体にシート21を巻いた後に、シート21が動物5に密着して固定されるように、マジックテープ(登録商標)などの固定手段231を有することは好適である。図3の231は、マジックテープである。
【0098】
また、ここでは、デバイス固定具2には、電極ケーブルを通す穴24が備えられている。
【0099】
心電計測デバイス3は、心電位を取得するデバイスである。心電計測デバイス3は、公知の装置が利用可能である。
【0100】
心電情報取得手段31は、心電関連情報を取得する。心電関連情報は、例えば、心電位である。
【0101】
送信手段32は、心電情報取得手段31が取得した心電関連情報を血中カルシウム濃度予測装置1に送信する。送信手段32は、心電計測デバイス3を特定する動物識別子と対にして、心電関連情報を血中カルシウム濃度予測装置1に送信することは好適である。なお、心電計測デバイス3の図示しない格納手段に動物識別子が格納されている、とする。
【0102】
格納部11は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。また、格納部11に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部11で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が格納部11で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部11で記憶されるようになってもよい。
【0103】
受信部12は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0104】
処理部13、時系列情報取得部131、推定部132、推定値処理部133、推定判断手段1321、推定手段1322、および処理判断手段1331は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。処理部13等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0105】
通知手段1332、送信手段32は、通常、無線または有線の通信手段で実現される。
【0106】
次に、予測システムAの動作例について説明する。まず、血中カルシウム濃度予測装置1の動作例について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0107】
(ステップS401)受信部12は、時系列の1以上の心電関連情報を受信したか否かを判断する。1以上の心電関連情報を受信した場合はステップS402に行き、1以上の心電関連情報を受信しなかった場合はステップS401に戻る。なお、受信部12が一度に受信する心電関連情報の情報量は問わない。
【0108】
(ステップS402)処理部13は、ステップS401で受信された1以上の心電関連情報を格納部11に蓄積する。処理部13は、時系列の順に、心電関連情報を格納部11に蓄積することは好適である。
【0109】
(ステップS403)時系列情報取得部131は、格納部11に蓄積されている2以上の心電関連情報を有する心電時系列情報を用いて、血中カルシウム濃度を取得する。
【0110】
なお、例えば、心電時系列情報の情報量が少ないために、ここで血中カルシウム濃度を取得できない場合もあっても良い。その場合、ステップS401に戻る。
【0111】
(ステップS404)時系列情報取得部131は、ステップS403で取得した血中カルシウム濃度に対応する時情報を取得する。かかる時情報は、血中カルシウム濃度の取得のために使用した2以上の心電関連情報に対応する時情報である。2以上の心電関連情報に対応する時情報は、例えば、2以上の各心電関連情報に対応する時情報の代表値(例えば、中間値、最初の時刻の時情報、最後の時刻の時情報)である。また、かかる時情報は、例えば、現在の時を特定する情報でも良い。
【0112】
(ステップS405)時系列情報取得部131は、ステップS404で取得した時情報に対応付けて、ステップS403で取得した血中カルシウム濃度を格納部11に蓄積する。
【0113】
(ステップS406)推定判断手段1321は、処理条件判断処理を行う。処理条件判断処理の例について、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、処理条件判断処理は、格納部11に蓄積された1または2以上の血中カルシウム濃度が処理条件を満たすか否かを判断する処理である。
【0114】
(ステップS407)推定手段1322は、ステップS406における判断の結果、処理条件を満たす場合はステップS408に処理を進め、処理条件を満たさない場合はステップS401に戻す。
【0115】
(ステップS408)推定手段1322は、推定処理を行う。推定処理の例について、図6図7のフローチャートを用いて説明する。なお、推定処理とは、心電時系列情報または濃度時系列情報を用いて、推定値を取得する処理である。推定値は、将来の血中カルシウム濃度の推定値である。ここで取得される推定値は、推定値を取得するための回帰式でも良い。
【0116】
(ステップS409)推定値処理部133は、推定値処理を行う。ステップS401に戻る。推定値処理の例について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0117】
なお、図4のフローチャートにおいて、一定時間以上の間隔を空けて、ステップS403の血中カルシウム濃度を取得する処理を行っても良い。かかる場合、ステップS401とステップS402との処理が継続して行われることは好適である。
【0118】
また、図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0119】
次に、ステップS406の処理条件判断処理の例について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0120】
(ステップS501)推定判断手段1321は、処理条件判断処理を行う際に使用する1以上の血中カルシウム濃度を格納部11から取得する。ここでの1以上の血中カルシウム濃度は、最近の時点の血中カルシウム濃度を含むことは好適である。1以上の血中カルシウム濃度は、例えば、最近の時点の血中カルシウム濃度を含む、連続した2以上の血中カルシウム濃度を含む。
【0121】
(ステップS502)推定判断手段1321は、格納部11の処理条件を取得する。
【0122】
(ステップS503)推定判断手段1321は、ステップS501で取得した1以上の血中カルシウム濃度が、ステップS502で取得した処理条件を満たすか否かを判断する。処理条件を満たす場合はステップS504に行き、処理条件を満たさない場合はステップS505に行く。
【0123】
(ステップS504)推定判断手段1321は、変数「判断結果」に「推定処理を行う旨の情報(例えば「1」)」を代入する。上位処理にリターンする。
【0124】
(ステップS505)推定判断手段1321は、変数「判断結果」に「推定処理を行わない旨の情報(例えば「0」)」を代入する。上位処理にリターンする。
【0125】
次に、ステップS408の推定処理の第一の例について、図6図7のフローチャートを用いて説明する。なお、第一の例は、回帰推定を用いる例である。
【0126】
(ステップS601)推定手段1322は、回帰式を取得するための2以上の血中カルシウム濃度を格納部11から取得する。2以上の血中カルシウム濃度は、血中カルシウム濃度の低下時または低下後の血中カルシウム濃度、および最近の血中カルシウム濃度を含む、時間的に連続した2以上の血中カルシウム濃度であることは好適である。
【0127】
(ステップS602)推定手段1322は、ステップS601で取得した2以上の血中カルシウム濃度を用いて、回帰式を取得する。
【0128】
(ステップS603)推定手段1322は、格納部11から閾値を取得する。かかる閾値は、低カルシウム血症と判断される血中カルシウム濃度の閾値である。
【0129】
(ステップS604)推定手段1322は、ステップS602で取得した回帰式と、ステップS603で取得した閾値とを用いて、低カルシウム血症となる時を特定する時情報を取得する。上位処理にリターンする。
【0130】
次に、ステップS408の推定処理の第二の例について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、第二の例は、機械学習を用いる方法である。
【0131】
(ステップS701)推定手段1322は、機械学習の予測処理を行うための2以上の血中カルシウム濃度を格納部11から取得する。
【0132】
(ステップS702)推定手段1322は、カウンタiに1を代入する。
【0133】
(ステップS703)推定手段1322は、予測処理を行うi番目の時情報が存在するか否かを判断する。i番目の時情報が存在する場合はステップS704に行き、i番目の時情報が存在しない場合はステップS709に行く。なお、i番目の時情報は、通常、相対的な時を特定する情報であり、例えば、現在等の基準時点からの経過時間を特定する情報である。また、いくつの時情報が存在するかは、予め決められている、とする。
【0134】
(ステップS704)推定手段1322は、i番目の時情報を取得する。
【0135】
(ステップS705)推定手段1322は、学習モデルを格納部11から取得する。ここでの学習モデルは、i番目の時情報に対応する学習モデルでも良いし、一の学習モデルでも良い。
【0136】
(ステップS706)推定手段1322は、ステップS701で取得した2以上の血中カルシウム濃度とステップS704で取得した学習モデルとを用いて、機械学習の予測処理を行い、推定値を取得する。なお、時情報に限らず、同じ一つしかない学習モデルを使用する場合、i番目の時情報をも説明変数として、機械学習の予測処理に用いる。
【0137】
(ステップS707)推定手段1322は、ステップS705で取得した推定値をi番目の時情報に対応付けて、格納部11に蓄積する。
【0138】
(ステップS708)推定手段1322は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS703に戻る。
【0139】
(ステップS709)推定手段1322は、格納部11から閾値を取得する。かかる閾値は、低カルシウム血症と判断される血中カルシウム濃度の閾値である。
【0140】
(ステップS710)推定手段1322は、ステップS707で蓄積した1以上の推定値と、ステップS709で取得した閾値とを用いて、低カルシウム血症となる時を特定する時情報を取得する。上位処理にリターンする。
【0141】
次に、ステップS409の推定値処理の例について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0142】
(ステップS801)推定値処理部133は、低カルシウム血症となる時を特定する時情報を用いて、警告情報を構成する。なお、警告情報は、例えば、当該時情報、取得された濃度時系列情報、1以上の推定値、および回帰式のうちの1以上の情報を含む。また、警告情報は、例えば、取得された濃度時系列情報、1以上の推定値または回帰式が表出したグラフを含むことは好適である。
【0143】
(ステップS802)通知手段1332は、格納部11から1以上の通知先を取得する。
【0144】
(ステップS803)通知手段1332は、ステップS802で取得した1以上の各通知先に、ステップS801で構成した警告情報を送信する。上位処理にリターンする。
【0145】
以下、本実施の形態における予測システムAの具体的な動作例について説明する。
【0146】
今、図9に示すように、乳牛には、心電計測デバイス3がポケットに入れられているデバイス固定具2が巻き付いており、心電計測デバイス3により、当該乳牛の心電位が継続して取得されて、血中カルシウム濃度予測装置1に送信されている、とする。
【0147】
そして、血中カルシウム濃度予測装置1の受信部12は、心電位を継続して受信する。そして、処理部13は、受信された心電位を、格納部11に継続して蓄積していく。
【0148】
次に、時系列情報取得部131は、格納部11に蓄積された時系列の心電位の情報である心電時系列情報を用いて、2以上の血中カルシウム濃度の時系列の情報である濃度時系列情報を取得する。かかる取得した濃度時系列情報をグラフ化した図の例が図10である。
【0149】
次に、推定判断手段1321は、過去の平常時の血中カルシウム濃度から回帰直線を取得する。かかる回帰直線は、図10の1001である。
【0150】
次に、推定判断手段1321は、その後取得された血中カルシウム濃度と回帰直線1001との距離が閾値以上になったか否かを判断する。ここで、推定判断手段1321は、図10の1002の距離は閾値以上である、と判断した、とする。つまり、推定判断手段1321は、予め決められた処理条件「平常時の血中カルシウム濃度との差が閾値以上」に合致する、と判断する。
【0151】
次に、推定手段1322は、血中カルシウム濃度が下降に転じた点を開始点とし、開始点以降の取得できている血中カルシウム濃度の集合である濃度時系列情報を格納部11から取得する。なお、かかる濃度時系列情報は、推定処理に用いる情報である。また、かかる濃度時系列情報の区間を回帰区間と言っても良い。
【0152】
次に、推定手段1322は、取得した濃度時系列情報を用いて、回帰直線を取得する。かかる直線回帰式は、図10の1003である。
【0153】
次に、推定手段1322は、低カルシウム血症と判断される血中カルシウム濃度の閾値を格納部11から取得する。そして、推定手段1322は、回帰直線と閾値との交点の時情報を取得する。かかる交点の時情報は、低カルシウム血症の発症の予測時である。
【0154】
次に、推定値処理部133は、低カルシウム血症となる時刻を特定する時情報と、過去の血中カルシウム濃度、回帰直線を用いて、警告情報を構成する。
【0155】
次に、通知手段1332は、格納部11から1以上の通知先を取得する。そして、通知手段1332は、取得した1以上の各通知先に、構成した警告情報を送信する。
【0156】
次に、通知先であるユーザ端末4は、警告情報を受信し、出力する。かかる出力例は、図11である。
【0157】
以上、本実施の形態によれば、所定時間後の血中カルシウム濃度を予測できる。
【0158】
また、本実施の形態によれば、低カルシウム血症の発症の予測時を知らせることができる。
【0159】
また、本実施の形態によれば、所定時間後の血中カルシウム濃度を適切なタイミングで予測できる。
【0160】
また、本実施の形態によれば、動物の心電位を継続して取得できるデバイス固定具を提供できる。
【0161】
また、本実施の形態によれば、心電位を取得する電極が摩擦でずれることを防止できる。
【0162】
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における血中カルシウム濃度予測装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、心電に関する心電関連情報の2以上の時点の時系列の情報である心電時系列情報、または血中カルシウム濃度の時系列の情報である濃度時系列情報を取得する時系列情報取得部と、前記時系列情報取得部が取得した前記心電時系列情報または前記濃度時系列情報を用いて、将来の1以上の時点の血中カルシウム濃度の推定値を取得する推定部と、前記推定値を用いて、予め決められた処理を行う推定値処理部として機能させるためのプログラムである。
【0163】
また、図12は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した種々の実施の形態の血中カルシウム濃度予測装置1等を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図12は、このコンピュータシステム300の概観図であり、図13は、システム300のブロック図である。
【0164】
図12において、コンピュータシステム300は、CD-ROMドライブを含むコンピュータ301と、キーボード302と、マウス303と、モニタ304とを含む。
【0165】
図13において、コンピュータ301は、CD-ROMドライブ3012に加えて、MPU3013と、CD-ROMドライブ3012等に接続されたバス3014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM3015と、MPU3013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM3016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3017とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ301は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0166】
コンピュータシステム300に、上述した実施の形態の血中カルシウム濃度予測装置1等の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM3101に記憶されて、CD-ROMドライブ3012に挿入され、さらにハードディスク3017に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ301に送信され、ハードディスク3017に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3016にロードされる。プログラムは、CD-ROM3101またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0167】
プログラムは、コンピュータ301に、上述した実施の形態の血中カルシウム濃度予測装置1等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム300がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0168】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信するステップや、情報を受信するステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0169】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0170】
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
【0171】
また、上記各実施の形態において、各処理は、単一の装置によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0172】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0173】
以上のように、本発明にかかる血中カルシウム濃度予測装置は、所定時間後の血中カルシウム濃度を予測できるという効果を有し、血中カルシウム濃度予測装置等として有用である。
【符号の説明】
【0174】
A 予測システム
1 血中カルシウム濃度予測装置
2 デバイス固定具
3 心電計測デバイス
4 ユーザ端末
11 格納部
12 受信部
13 処理部
21 シート
22 デバイス固定手段
23 密着手段
31 心電情報取得手段
32 送信手段
131 時系列情報取得部
132 推定部
133 推定値処理部
1321 推定判断手段
1322 推定手段
1331 処理判断手段
1332 通知手段
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