(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166455
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】電極群及び鉛蓄電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/12 20060101AFI20221026BHJP
H01M 50/466 20210101ALI20221026BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20221026BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H01M10/12 K
H01M50/466
H01M50/463 A
H01M4/62 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071666
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(72)【発明者】
【氏名】原 耕介
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
5H021CC09
5H021CC18
5H021HH10
5H028AA05
5H028CC08
5H028CC10
5H028CC11
5H028EE01
5H028EE04
5H050AA02
5H050AA07
5H050BA09
5H050CA06
5H050CB15
5H050DA03
5H050DA19
5H050EA01
5H050EA08
5H050FA15
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】鉛蓄電池において、優れた充電受け入れ性が得られると共に、充放電に伴う電解液の減液を抑制することが可能な電極群を提供する。
【解決手段】正極板10と、負極板20と、正極板10及び負極板20の間に配置されたセパレータ30と、を備え、負極板20が、集電体と、当該集電体に支持された負極材と、を有し、負極材が炭素材料を含有し、セパレータ30が、互いに対向する一方面及び他方面を有するベース部と、前記一方面において一方向に延びるリブと、前記他方面において前記一方向に交差する方向に延びるリブと、を有する、鉛蓄電池用の電極群1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、を備え、
前記負極が、集電体と、当該集電体に支持された負極材と、を有し、
前記負極材が炭素材料を含有し、
前記セパレータが、互いに対向する一方面及び他方面を有するベース部と、前記一方面において一方向に延びるリブと、前記他方面において前記一方向に交差する方向に延びるリブと、を有する、鉛蓄電池用の電極群。
【請求項2】
前記セパレータが袋状であり、
前記セパレータの内部空間に前記負極が収容されている、請求項1に記載の電極群。
【請求項3】
前記一方面の前記リブ及び前記他方面の前記リブが互いに直交する、請求項1又は2に記載の電極群。
【請求項4】
前記負極材が硫酸バリウムを更に含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電極群。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電極群を備える、鉛蓄電池。
【請求項6】
前記セパレータの前記一方面が前記正極に対向し、
前記セパレータの前記他方面が前記負極に対向し、
前記他方面の前記リブが水平方向に延びる、請求項5に記載の鉛蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極群、鉛蓄電池等に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、従来から使用されている二次電池の一つであり、信頼性、価格の安さ等から産業用又は民生用の二次電池として広く用いられている。鉛蓄電池に対しては、特に、自動車用鉛蓄電池、電動車用鉛蓄電池、電源装置用鉛蓄電池等としての需要が多い。
【0003】
例えば自動車用鉛蓄電池は、エンジン始動用及び電装品の電力供給用として広汎に用いられている。近年、環境保護及び燃費改善の取り組みとして、車両の一時停止時にはエンジンを止め、発進時に再始動するアイドリングストップシステム(以下、「ISS」という)が実施され始めている。ISSにおいて使用される鉛蓄電池では、頻繁にエンジンの始動及び停止が繰り返されることにより、エンジン始動時の大電流放電回数が増え、電装品の使用と重なり放電負荷が多くなる。
【0004】
自動車用鉛蓄電池の充電は、オルタネータによる定電圧充電である。近年、充電中の水の分解による電解液の減少を抑制することを目的として、オルタネータ電圧の設定値は低下してきている。また、近年では、このような低い充電電圧を採用することに加えて、発電制御システムと呼ばれる「走行中のオルタネータによる充電を、車両の走行状態及び鉛蓄電池の充電状態に応じて制御することにより、エンジン負荷を低減し、燃費向上及びCO2削減を図る」方式も採用されている。このような方式では、鉛蓄電池の充電が行われにくく、満充電状態になりにくい。このような使用条件において鉛蓄電池は、充分に充電されず放電過多で使用されることが多くなる。
【0005】
鉛蓄電池の充電が完全に行われず、充電量の低い状態が継続すると、不活性の放電生成物である硫酸鉛が電極(極板等)に蓄積する現象(サルフェーション)が起こる場合がある。このような状況では、活物質が還元されにくい(充電されにくい)状態であることから、充電受け入れ性等の電池性能が低下することが知られている。
【0006】
また、完全な充電が行われにくい場合には、鉛蓄電池内における電極の上部と下部との間で、電解液である希硫酸の濃淡差が生じる成層化現象が起こる。この場合、電極下部における希硫酸の濃度が高くなりサルフェーションが発生する。そのため、電極下部の反応性が低下し、電極上部だけが集中的に反応するようになる。その結果、活物質間の結びつきが弱くなる等の劣化が進み、電極上部において、活物質を支持する集電体(例えば集電体格子)から活物質が剥離して、充電受け入れ性等の電池性能が低下する。
【0007】
これに対し、充電受け入れ性を向上させるための手段として、下記特許文献1には、負極活物質と、フェノール系樹脂と、重油を原料としたカーボンブラックと、を用いて得られる鉛蓄電池用負極に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、鉛蓄電池に対しては、充電受け入れ性の向上だけでなく、充放電に伴う電解液の減液を抑制することが求められる場合がある。
【0010】
本開示の一側面は、鉛蓄電池において、優れた充電受け入れ性が得られると共に、充放電に伴う電解液の減液を抑制することが可能な電極群を提供することを目的とする。本開示の他の一側面は、当該電極群を備える鉛蓄電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、負極材の構成成分として炭素材料を用いることにより充電受け入れ性を向上させることに着目したものの、この場合、充放電に伴う電解液の減液量が増加する傾向があることを見出した。これに対し、本発明者は、セパレータのベース部の一方面及び他方面にそれぞれ配置されたリブの相対関係を調整することにより、優れた充電受け入れ性を得つつ、充放電に伴う電解液の減液を抑制することができることを見出した。
【0012】
本開示の一側面は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、を備え、前記負極が、集電体と、当該集電体に支持された負極材と、を有し、前記負極材が炭素材料を含有し、前記セパレータが、互いに対向する一方面及び他方面を有するベース部と、前記一方面において一方向に延びるリブと、前記他方面において前記一方向に交差する方向に延びるリブと、を有する、鉛蓄電池用の電極群に関する。
【0013】
このような電極群によれば、鉛蓄電池において、優れた充電受け入れ性が得られると共に、充放電に伴う電解液の減液を抑制することができる。
【0014】
本開示の他の一側面は、上述の電極群を備える、鉛蓄電池に関する。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一側面によれば、鉛蓄電池において、優れた充電受け入れ性が得られると共に、充放電に伴う電解液の減液を抑制することが可能な電極群を提供することができる。本開示の他の一側面によれば、当該電極群を備える鉛蓄電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図2は、セパレータの一方面を示す平面図である。
【
図3】
図3は、セパレータの他方面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示を実施するための形態について説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
本明細書において、数値範囲の「A以上」とは、A、及び、Aを超える範囲を意味する。数値範囲の「A以下」とは、A、及び、A未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。比重は、温度によって変化するため、本明細書においては、20℃で換算した比重と定義する。
【0019】
本実施形態に係る電極群は、鉛蓄電池用の電極群であり、正極(例えば正極板)と、負極(例えば負極板)と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、を備え、負極が、集電体と、当該集電体に支持された負極材と、を有し、負極材が炭素材料を含有し、セパレータが、互いに対向する第1の面(一方面)及び第2の面(他方面)を有するベース部と、第1の面において第1の方向(一方向)に延びる第1のリブと、第2の面において第1の方向に交差する第2の方向に延びる第2のリブと、を有する。すなわち、第1のリブの軸線方向と第2のリブの軸線方向とは互いに交差している。例えば、第1のリブは正極に接してよく(第1の面は正極に対向してよく)、第2のリブは負極に接してよい(第2の面は負極に対向してよい)。本実施形態に係る鉛蓄電池は、本実施形態に係る電極群を備える。
【0020】
本実施形態に係る電極群によれば、鉛蓄電池において、優れた充電受け入れ性が得られると共に、充放電に伴う電解液の減液を抑制することができる。このような効果が得られる要因は明らかでないが、一例として下記要因が挙げられる。但し、要因は当該内容に限定されない。すなわち、第1の面において、第1の方向に第1のリブが延び、第2の面において、第1の方向に交差する第2の方向に第2のリブが延びることにより、第1の面に対向する電極、及び、第2の面に対向する電極の少なくとも一方の表面において、電極反応に伴い発生する気泡の移動がリブに妨げられて、気泡が電極の表面に留まりやすい。これにより、電極の表面の有効面積(電極反応に寄与する面積)が減少するため減液が抑制されやすい。また、リブが介在することにより電極とベース部とが離れることによって成層化が抑制されるため減液が抑制されやすい。したがって、負極材の構成成分として炭素材料を用いることにより充電受け入れ性を向上させつつ電解液の減液を抑制することができる。
【0021】
セパレータの構成材料(セパレータを構成する基材の構成材料)としては、有機系バインダー等が挙げられる。有機系バインダーとしては、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。セパレータはガラスを含有しなくてよい。
【0022】
正極及び負極の間に配置されたセパレータとして、セパレータの少なくとも一部が正極及び負極の間に配置されていればよい。電極群は、複数のセパレータを有してよい。セパレータは、袋状であってよく、枚葉であってよい。
【0023】
袋状セパレータは、電極(正極又は負極)を収容可能であり、電極(正極又は負極)を収容する内部空間を有する。例えば、本実施形態に係る電極群は、セパレータが袋状であり、セパレータの内部空間に負極が収容されている態様であってよい。「袋状セパレータ」では、内部空間において電極の一方面及び他方面のそれぞれの少なくとも一部(一部又は全部)が覆われると共に、電極群が鉛蓄電池に収容された状態で、鉛直方向の下部において電極を支持して電極が内部空間に保持されていればよい。袋状セパレータは、電極を収容するための開口(電極が挿通可能な開口)を有してよい。袋状セパレータでは、電極を収容するための開口の開口方向(電極群が鉛蓄電池に収容された状態における電槽の高さ方向(例えば鉛直方向)。以下同様)の下方側に位置する部分の少なくとも一部(一部又は全部)が封止されていてよい。袋状セパレータは、一枚の基材を折り返すことにより構成される態様(基材の折り返し部が封止部である態様)であってよく、複数の基材で構成されると共に、開口方向の下方側に位置する部分において基材同士を接合する態様(基材同士の接合部が封止部である態様)であってよい。袋状セパレータでは、開口方向に交差(例えば直交)すると共にセパレータの内面(主面)に略平行な方向における端部(電極群が鉛蓄電池に収容された状態において袋状セパレータの側部)の少なくとも一方(一端部又は両端部)が封止されていてよく、当該端部が基材同士の接合部で封止されていてよい。基材同士の接合部は、溶着部、圧着部(メカニカルシール部)等であってよい。袋状セパレータでは、内面及び外面にリブが配置されており、例えば、第1のリブが外面に配置され、第2のリブが内面に配置されてよい。
【0024】
第1のリブは、上述の第1の方向に延びる長尺部材である。第2のリブは、上述の第2の方向に延びる長尺部材である。第1のリブ及び第2のリブを有する袋状のセパレータにおいて、第1のリブ及び第2のリブのうちの一方は、開口方向に延びていてよく、第1のリブ及び第2のリブのうちの他方は、開口方向に交差(例えば直交)する方向に延びていてよい。電極群が鉛蓄電池に収容された状態において、第1のリブ及び第2のリブのうちの一方は、電槽の高さ方向に延びていてよく、鉛直方向に延びてよい。電極群が鉛蓄電池に収容された状態において、第1のリブ及び第2のリブのうちの他方は、電槽の高さ方向に交差(例えば直交)する方向に延びていてよく、水平方向に延びてよい。電極群が鉛蓄電池に収容された状態においてリブが電槽の高さ方向に延びることに関する表現は、リブが電槽の下部(底部)から上部に向かって延びることを意図しており、電槽の底面に対して垂直な方向にリブが延びてよく、電槽の底面に対する垂線に対して傾斜する方向(例えば電槽の底面に対する垂線に対して±45°、±30°又は±10°傾斜する方向)にリブが延びていてもよい。電極群が鉛蓄電池に収容された状態においてリブが電槽の高さ方向に交差する方向に延びることに関する表現についても同様であり、電槽の底面に対する垂線に直交する方向に対して傾斜する方向(例えば電槽の底面に対する垂線に直交する方向に対して±45°、±30°又は±10°傾斜する方向)にリブが延びていてもよい。
【0025】
第2のリブは、第1のリブが延びる第1の方向に交差する第2の方向に延びている。セパレータは、第1の面において第1の方向に延びる少なくとも一つの第1のリブと、第2の面において第2の方向に延びる少なくとも一つの第2のリブと、を有していればよい。第1のリブ又は第2のリブは、電極の電極材領域に対向する領域に配置されてよく、電極の電極材領域に対向する領域と、電極の電極材領域に対向しない領域と、に配置されてよい。「電極の電極材領域」は、電極(正極又は負極)において電極材(正極材又は負極材)が配置された領域である。
【0026】
第1のリブに対する第2のリブの傾斜角度(第1のリブの軸線に対する第2のリブの軸線の傾斜角度)は、0°を超え90°以下であり、優れた充電受け入れ性を得やすい観点、及び、充放電に伴う電解液の減液を抑制しやすい観点から、1°以上、5°以上、10°以上、30°以上、45°以上、45°超、60°以上、75°以上、80°以上、又は、85°以上であってよい。第1のリブ及び第2のリブは、優れた充電受け入れ性を得やすい観点、及び、充放電に伴う電解液の減液を抑制しやすい観点から、互いに直交してよい。セパレータが袋状セパレータである場合、袋状セパレータの開口方向に対する第1のリブの傾斜角度は、45°未満、30°以下、10°以下、5°以下、1°以下、又は、0°であってよく、袋状セパレータの開口方向に対する第2のリブの傾斜角度は、45°超、60°以上、75°以上、80°以上、85°以上、又は、90°であってよい。
【0027】
第1のリブは、第1の面(袋状セパレータの内面における基材同士の接合部を除く)において一端から他端にかけて延在してよい。第1のリブは、連続的又は断続的な部材であってよく、第1の面において一端から他端にかけて連続的又は断続的に延在してよい。第2のリブは、第2の面(袋状セパレータの内面における基材同士の接合部を除く)において一端から他端にかけて延在してよい。第2のリブは、連続的又は断続的な部材であってよく、第2の面において一端から他端にかけて連続的又は断続的に延在してよい。第1のリブ又は第2のリブは、袋状セパレータの内面における基材同士の接合部に延在してもよい。
【0028】
セパレータは、第1の面において複数の第1のリブを有してよく、第2の面において複数の第2のリブを有してよい。複数の第1のリブは、第1の方向に直交する方向に互いに離間して配置されていてよく、略等間隔をおいて配置されてよい。複数の第2のリブは、第2の方向に直交する方向に互いに離間して配置されていてよく、略等間隔をおいて配置されてよい。一つの第1のリブは、複数の第2のリブと交差してよい。一つの第2のリブは、複数の第1のリブと交差してよい。セパレータが袋状セパレータであり、第1のリブが袋状セパレータの外面に配置されると共に第2のリブが袋状セパレータの内面に配置され、第1のリブが袋状セパレータの開口方向に延びる場合、第1のリブは、開口方向に直交する方向における第1の面の両端部と、当該両端部の間の中央部と、に配置されてよい。中央部の第1のリブは、電極(例えば正極)の電極材領域に対向する領域に配置されてよい。両端部の第1のリブは、電極(例えば正極)の電極材領域に対向しない領域に配置されてよい。
【0029】
セパレータは、優れた充電受け入れ性を得やすい観点、及び、充放電に伴う電解液の減液を抑制しやすい観点から、下記の範囲の間隔(第1のリブ同士の間隔又は第2のリブ同士の間隔)を有する第1のリブ又は第2のリブを有してよい。第1のリブ又は第2のリブの間隔は、0.1mm以上、0.3mm以上、0.5mm以上、1mm以上、3mm以上、5mm以上、8mm以上、10mm以上、10mm超、又は、11mm以上であってよい。第1のリブ又は第2のリブの間隔は、20mm以下、15mm以下、12mm以下、11mm以下、10mm以下、8mm以下、5mm以下、3mm以下、1mm以下、又は、0.5mm以下であってよい。これらの観点から、第1のリブ又は第2のリブの間隔は、0.1~20mm、0.3~15mm、又は、0.5~11mmであってよい。第1のリブの間隔及び第2のリブの間隔が互いに異なる場合、第1のリブの間隔及び第2のリブの間隔は上述の任意の範囲であってよく、例えば、第1のリブの間隔が1~20mm、5~15mm又は8~12mmであり、第2のリブの間隔が0.1~10mm、0.3~5mm又は0.5~1mmであってよい。リブの間隔は、互いに隣接するリブA及びリブBについて、リブAにおける最もリブB側の部分、及び、リブBにおける最もリブA側の部分の間の距離(例えば最短距離)であってよい。
【0030】
ベース部の厚さT、第1のリブの高さH1、第2のリブの高さH2、ベース部の厚さTに対する第1のリブの高さH1の比率H1/T、又は、ベース部の厚さTに対する第2のリブの高さH2の比率H2/Tは、優れた充電受け入れ性を得やすい観点、及び、充放電に伴う電解液の減液を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。
【0031】
ベース部の厚さTは、0.01mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上、0.15mm以上、0.2mm以上、又は、0.25mm以上であってよい。ベース部の厚さTは、1.0mm以下、0.8mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、又は、0.25mm以下であってよい。これらの観点から、ベース部の厚さTは、0.01~0.5mm、0.05~0.4mm、又は、0.1~0.3mmであってよい。
【0032】
第1のリブの高さH1は、0.1mm以上、0.3mm以上、0.5mm以上、0.5mm超、又は、0.6mm以上であってよい。第1のリブの高さH1は、2.0mm以下、1.5mm以下、1.0mm以下、0.8mm以下、又は、0.6mm以下であってよい。これらの観点から、第1のリブの高さH1は、0.1~2.0mm、0.3~1.0mm、0.3~0.8mm、又は、0.5~1.0mmであってよい。セパレータにおける全ての第1のリブの高さがこれらの範囲であってよい。
【0033】
第2のリブの高さH2は、0.01mm以上、0.03mm以上、0.04mm以上、又は、0.05mm以上であってよい。第2のリブの高さH2は、1.0mm以下、0.8mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下、又は、0.05mm以下であってよい。これらの観点から、第2のリブの高さH2は、0.01~1.0mm、0.03~0.3mm、0.03~0.1mm、又は、0.04~0.3mmであってよい。セパレータにおける全ての第2のリブの高さがこれらの範囲であってよい。
【0034】
比率H1/Tは、0.1以上、0.5以上、1.0超、1.5以上、2.0以上、又は、2.4以上であってよい。比率H1/Tは、5.0以下、4.0以下、3.0以下、2.5以下、又は、2.4以下であってよい。これらの観点から、比率H1/Tは、0.1~5.0、1.0~3.0、1.0~2.5、又は、2.0~3.0であってよい。
【0035】
比率H2/Tは、0.01以上、0.05以上、0.1以上、0.15以上、又は、0.2以上であってよい。比率H2/Tは、2.0以下、1.5以下、1.0以下、1.0未満、0.8以下、0.5以下、0.3以下、又は、0.2以下であってよい。これらの観点から、比率H2/Tは、0.01~2.0、0.05~1.0、0.05~0.5、又は、0.1~1.0であってよい。
【0036】
電極群は、複数の正極を有してよく、複数の負極を有してよい。電極群における正極及び負極は、同数であってよく、同数でなくてよい。正極及び負極が同数でない場合、負極の方が正極より多くてよい。電極群における正極又は負極の数は、5以上、6以上、7以上、又は、8以上であってよい。電極群における正極又は負極の数は、10以下、9以下、8以下、又は、7以下であってよい。電極群における正極又は負極の数は、5~10、6~9、又は、7~8であってよい。電極群における最外電極の少なくとも一方(一方又は両方)は、負極であってよい。
【0037】
正極は、正極集電体と、正極集電体に支持された正極材と、を有している。負極は、負極集電体と、負極集電体に支持された負極材と、を有している。正極及び負極は、セパレータを介して交互に配置されてよい。正極から正極集電体を除いた部材を「正極材」と称し、負極から負極集電体を除いた部材を「負極材」と称する。
【0038】
正極集電体は、正極材からの電流の導電路となり、かつ、正極材を保持するものである。負極集電体は、負極材からの電流の導電路となり、かつ、負極材を保持するものである。負極集電体は、正極集電体と同一であってもよく、異なっていてもよい。集電体の構成材料としては、鉛-カルシウム-錫系合金、鉛-アンチモン-ヒ素系合金等の鉛合金などが挙げられる。用途に応じて、セレン、銀、ビスマス等を集電体に添加してもよい。集電体は、例えば格子状を呈しており、鋳造格子体、エキスパンド格子体等であってよい。鉛合金を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより集電体を得ることができる。
【0039】
正極集電体に設けられた耳部同士がストラップを介して接続されることにより、複数の正極は互いに電気的に接続されてよい。正極のストラップには、正極を正極端子に接続するための正極柱が設けられてよい。負極集電体に設けられた耳部同士がストラップを介して接続されることにより、複数の負極は互いに電気的に接続されてよい。負極のストラップには、負極を負極端子に接続するための負極柱が設けられてよい。
【0040】
正極材は、鉛成分(Pb成分)を含有し、β-PbO2を含有してよい。正極材は、α-PbO2を含有してよく、α-PbO2を含有しなくてよい。正極材は、必要に応じて、PbO2以外の鉛成分(例えばPbSO4)、添加剤等を含有することができる。
【0041】
正極材に含まれ得る添加剤としては、炭素材料、補強用短繊維(炭素繊維を除く)等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(例えばオイルファーネスブラック)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等が挙げられる。
【0042】
負極材は、鉛成分(Pb成分)を含有し、鉛(Pb)を含有してよい。負極材は、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)を含有してよい。負極材は、必要に応じて、鉛(Pb)以外の鉛成分(例えばPbSO4)を含有してよい。
【0043】
負極材は、炭素材料を含有する。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(例えばオイルファーネスブラック)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。
【0044】
負極材(化成前又は化成後の負極材)における炭素材料の含有量は、負極材の全質量を基準として下記の範囲であってよい。炭素材料の含有量は、優れた充電受け入れ性を得やすい観点から、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.08質量%以上、0.09質量%以上、0.1質量%以上、0.15質量%以上、0.18質量%以上、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.27質量%以上、0.3質量%以上、0.35質量%以上、0.36質量%以上、0.4質量%以上、又は、0.45質量%以上であってよい。炭素材料の含有量は、充放電に伴う電解液の減液を抑制しやすい観点から、1質量%以下、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、0.6質量%以下、0.5質量%以下、0.45質量%以下、0.4質量%以下、0.36質量%以下、0.35質量%以下、0.3質量%以下、0.27質量%以下、0.25質量%以下、0.2質量%以下、0.18質量%以下、0.15質量%以下、0.1質量%以下、又は、0.09質量%以下であってよい。これらの観点から、炭素材料の含有量は、0.01~1質量%、0.08~0.5質量%、0.1~0.5質量%、又は、0.08~0.4質量%であってよい。
【0045】
負極材は、必要に応じて、添加剤(炭素材料を除く)を含有してよい。負極材に含まれ得る添加剤としては、スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂、補強用短繊維(炭素繊維を除く)、硫酸バリウム等が挙げられる。スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩(例えばリグニンスルホン酸ナトリウム)、フェノール類とアミノアリールスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、ビスフェノールとアミノベンゼンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物)等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等が挙げられる。
【0046】
負極材は、優れた充電受け入れ性を得やすい観点、及び、充放電に伴う電解液の減液を抑制しやすい観点から、硫酸バリウムを含有してよい。負極材(化成前又は化成後の負極材)における硫酸バリウム(硫酸バリウム粒子)の粒径(例えば平均粒径)は、優れた充電受け入れ性を得やすい観点から、下記の範囲であってよい。硫酸バリウムの粒径は、100nm以上、200nm以上、300nm以上、400nm以上、500nm以上、600nm以上、又は、700nm以上であってよい。硫酸バリウムの粒径は、2000nm以下、1500nm以下、1200nm以下、1000nm以下、800nm以下、又は、700nm以下であってよい。これらの観点から、硫酸バリウムの粒径は、100~2000nm、300~1500nm、又は、500~1000nmであってよい。硫酸バリウムの粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布計により測定できる。
【0047】
正極材及び負極材は、電極材(正極材又は負極材)の原料を含む電極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の電極材を得た後に未化成の電極材を化成することで得ることができる。正極及び負極は、集電体に支持された電極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の電極材を得た後に未化成の電極材を化成することで得ることができる。電極材ペーストは、溶媒及び/又は硫酸を含んでよい。溶媒としては、水(例えばイオン交換水)、有機溶媒等が挙げられる。未化成の正極材は、主成分として三塩基性硫酸鉛を含んでよい。正極材の原料としては、鉛粉、鉛丹(Pb3O4)等が挙げられる。未化成の負極材は、主成分として三塩基性硫酸鉛を含んでよい。負極材の原料としては、鉛粉等が挙げられる。
【0048】
本実施形態に係る鉛蓄電池は、複数の電極群を備えてよい。本実施形態に係る鉛蓄電池は、複数の電極群における少なくとも一つの電極群として、本実施形態に係る電極群を有してよい。
【0049】
本実施形態に係る鉛蓄電池は、電極群を収容する電槽を備えてよい。電槽は、中空状であり、電極群を収容する内部空間を有する。本実施形態に係る鉛蓄電池は、電槽を密閉する蓋体を備えてよい。蓋体には、電槽内の圧力を制御する制御弁と、正極を外部に接続する正極端子と、負極を外部に接続する負極端子とが設けられてよい。
【0050】
本実施形態に係る鉛蓄電池は、電解液を備えてよい。電解液は、電槽に収容することができる。電解液は、硫酸を含有してよく、硫酸イオンを含有してよい。電解液は、アルミニウムイオン等の金属イオンを含有してよい。電解液の比重(化成前又は化成後)は、1.23~1.35、1.25~1.3、又は、1.26~1.28であってよい。
【0051】
本実施形態に係る鉛蓄電池は、セパレータの第1の面が正極に対向し、セパレータの第2の面が負極に対向し、第2の面の第2のリブが水平方向に延びる態様であってよく、当該態様において、第1の面の第1のリブが鉛直方向に延びてよい。
図1~3を用いて、このような態様の鉛蓄電池における電極群及びセパレータの一例を示す。
図1は、電極群の一例として、電極群1を示す斜視図である。
図1に示すように、電極群1は、正極板(正極)10と、負極板(負極)20と、正極板10及び負極板20の間に配置されたセパレータ30と、を備えている。正極板10は、正極集電体12と正極材14とを有している。負極板20は、負極集電体22と負極材24とを有している。セパレータ30は袋状セパレータであり、セパレータ30の内部空間に負極板20が収容されている。電極群1は、セパレータ30を介して正極板10と負極板20とが交互に積層された構造を有している。電極群1において、複数の正極板10の耳部10a同士は、正極柱を介して正極端子に接続される正極側ストラップ40で集合溶接されている。複数の負極板20の耳部20a同士は、負極柱を介して負極端子に接続される負極側ストラップ50で集合溶接されている。
【0052】
図2は、セパレータの一方面として、袋状セパレータであるセパレータ30の外面を示す平面図である。
図3は、セパレータの他方面として、袋状セパレータであるセパレータ30の内面を示す平面図である。セパレータ30は、ベース部30aと、第1のリブ30bと、第2のリブ30cと、を有している。ベース部30aは、互いに対向する一方面及び他方面として、袋状セパレータの外面及び内面を有している。第1のリブ30bは、セパレータ30の外面において第1の方向(紙面上下方向)に延びている。第2のリブ30cは、セパレータ30の内面において第1の方向に直交する第2の方向(紙面左右方向)に延びている。
【0053】
本実施形態に係る自動車、電動車又は電源装置は、本実施形態に係る鉛蓄電池を備える。電動車としては、電動フォークリフト、ゴルフカート等が挙げられる。電源装置としては、UPS(Uninterruptible Power Supply)、防災(非常)無線用電源、電話用電源等が挙げられる。本実施形態によれば、自動車、電動車又は電源装置用の鉛蓄電池が提供される。
【実施例0054】
以下、実施例及び比較例を挙げて本開示をより具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
<負極板の作製>
鉛粉の全質量を基準として、リグニン0.2質量%と、炭素材料(オイルファーネスブラック)と、硫酸バリウム(平均粒径:700nm)1.0質量%とを鉛粉に対して添加した後に乾式混合した。炭素材料の配合量は、鉛粉の全質量を基準として、実施例1において0.1質量%であり、実施例2及び比較例1、2において0.2質量%であり、実施例3において0.3質量%であり、実施例4において0.4質量%であり、実施例5において0.5質量%であった。次に、希硫酸(比重:1.26)及び水を加えながら混練して負極材ペーストを作製した。負極材ペーストを厚さ0.9mmのエキスパンド集電体(鉛-カルシウム-錫系合金)に充填した。続いて、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥することにより未化成の負極板を得た。
【0056】
<正極板の作製>
鉛粉の全質量を基準として0.01質量%の補強用短繊維(ポリエチレン繊維)を鉛粉に対して添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重:1.26)及び水を加えて混練して正極材ペーストを作製した。正極材ペーストを厚さ1.1mmのエキスパンド集電体(鋳造格子体、鉛-カルシウム-錫合金)に正極材ペーストを充填した。続いて、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥することにより未化成の正極板を得た。
【0057】
<セパレータの準備>
(実施例1~5)
互いに対向する第1の面及び第2の面のそれぞれに複数の長尺のリブを有する長尺のシート状物(構成材料:ポリエチレン、ベース部の厚さT:0.25mm)を準備した。第1の面の第1のリブは、後述の鉛蓄電池において鉛直方向に延在するように配置されるリブであり、シート状物の長手方向における一端から他端にかけて延在し、シート状物の短手方向における一端から他端にかけて略等間隔(間隔:11mm)に配置されていた。第1のリブの高さH1は0.6mmであった。第2の面の第2のリブは、後述の鉛蓄電池において水平方向に延在するように配置されるリブであり、シート状物の短手方向における一端から他端にかけて延在し、シート状物の長手方向における一端から他端にかけて略等間隔(間隔:0.5mm)に配置されていた。第2のリブの高さH2は0.05mmであった。第1のリブ及び第2のリブは、互いに直交していた。
【0058】
第2のリブが内側に位置するようにシート状物をシート状物の長手方向に折り返した後、シート状物の短手方向(第2のリブの延在方向)の両端をメカニカルシールすることにより袋状セパレータを作製した。第1のリブの長手方向における袋状セパレータの長さは117mmであり、第1のリブの長手方向に直交する方向(第2のリブの長手方向)における袋状セパレータの長さは115mmであった。
【0059】
(比較例1)
第2の面にリブが配置されていないことを除き上述のシート状物と同様の構成を有するシート状物を用いたことを除き実施例と同様に行うことにより袋状セパレータを作製した。
【0060】
(比較例2)
第2の面の第2のリブが第1の面の第1のリブと同様のリブ(シート状物の長手方向に延在するリブ)であることを除き上述のシート状物と同様の構成を有するシート状物を用いたことを除き実施例と同様に行うことにより袋状セパレータを作製した。
【0061】
<鉛蓄電池の作製>
上述の袋状セパレータの内部空間に上述の未化成の負極板を挿入することにより負極部材を得た。次に、上述の未化成の正極板と上述の負極部材とが交互に積層されるように、8枚の負極部材及び7枚の未化成の正極板を積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。この極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS D 5301規定のB24サイズの単セルに相当)を組み立てた。この電池に電解液(希硫酸)を注入した後、40℃の水槽中、通電電流16Aで20時間の条件で化成することにより鉛蓄電池を得た。
【0062】
<炭素材料の含有量>
負極材の全質量を基準とした炭素材料の含有量を測定するための鉛蓄電池として、上述の手順で化成後の鉛蓄電池を作製した後、鉛蓄電池から負極板を取り出した。そして、硝酸・過酸化水素水溶液に負極板を浸漬した後にろ過した。次に、ろ過後の残渣をマンニット液に浸漬した後にろ過した。続いて、ろ過後の残渣を炭酸ナトリウム水溶液に浸漬した後にろ過した。次に、ろ過後の残渣を塩酸で洗浄した後にろ過し、ろ過残渣を純粋で洗浄した。次に、洗浄後の溶液をろ過し、残渣をアセトンに分散し、ストッキングでろ過することでろ液を得た。最後に、ろ液を乾燥し、TG/DTA加熱減量を測定することにより炭素材料の含有量を得た。結果を表1に示す。
【0063】
<電池特性の評価>
(充電受け入れ性)
充電受け入れ性として、電池の充電状態(State of charge)が90%である状態(満充電状態から電池容量の10%を放電し、2.33Vで定電圧充電した状態)の充電開始5秒後の電流値を測定した。比較例1の充電受け入れ性(電流値)を100として相対評価した。充電受け入れ性が大きいほど良好であり、充電受け入れ性に応じて下記の基準で採点した。結果を表1に示す。
{採点基準}
6点:充電受け入れ性が160以上
5点:充電受け入れ性が150以上160未満
4点:充電受け入れ性が130以上150未満
3点:充電受け入れ性が110以上130未満
2点:充電受け入れ性が90以上110未満
1点:充電受け入れ性が90未満
【0064】
(ISS寿命及び減液量)
日本工業規格のアイドリングストップ寿命試験(JIS D 5306)に準じた方法で、ISS寿命として、電池寿命に至るまでのサイクル数を測定した。また、減液量として、試験前、及び、寿命試験の充放電を28800サイクル行った後における電解液の変化量(電解液の減液量。充放電に伴う電解液の質量差)を測定した。比較例1のISS寿命及び減液量を100として相対評価した。ISS寿命(サイクル数)が大きいほど耐久性が高い電池であると評価される。減液量が小さいほど良好であり、減液量に応じて下記の基準で採点した。結果を表1に示す。
{採点基準}
6点:減液量が70以下
5点:減液量が70を超え80以下
4点:減液量が80を超え100以下
3点:減液量が100を超え120以下
2点:減液量が120を超え140以下
1点:減液量が140を超える
【0065】
(総合評価)
充電受け入れ性及び減液量の上述の採点結果の合計値に基づき鉛蓄電池を評価した。合計値が7以上である場合を良好な鉛蓄電池であると判断した。結果を表1に示す。
【0066】
1…電極群、10…正極板、10a,20a…耳部、12…正極集電体、14…正極材、20…負極板、22…負極集電体、24…負極材、30…セパレータ、30a…ベース部、30b…第1のリブ、30c…第2のリブ、40…正極側ストラップ、50…負極側ストラップ。