(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166629
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】保護フィルム付き成形体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20221026BHJP
G02B 1/10 20150101ALI20221026BHJP
G02B 5/02 20060101ALN20221026BHJP
【FI】
B32B27/00 Z
G02B1/10
G02B5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071967
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】三村 直之
(72)【発明者】
【氏名】安部 浩司
(72)【発明者】
【氏名】内田 厚
【テーマコード(参考)】
2H042
2K009
4F100
【Fターム(参考)】
2H042BA03
2H042BA16
2K009AA00
2K009BB11
2K009CC21
2K009FF03
4F100AK01B
4F100AK04B
4F100AK25C
4F100AK25D
4F100AK45A
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA10B
4F100DD07C
4F100EJ91B
4F100JB14C
4F100JL11
4F100JL13D
4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】設計通りに外形加工できているかを確認できる保護フィルム付き成形体を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる保護フィルム付き成形体は、微細凹凸構造を有する凹凸部が表面に形成された成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着された保護フィルム付き成形体であって、前記凹凸部の中に、非凹凸部分が部分的に存在することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細凹凸構造を有する凹凸部が表面に形成された成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着された保護フィルム付き成形体であって、前記凹凸部の中に、非凹凸部分が部分的に存在することを特徴とする保護フィルム付き成形体。
【請求項2】
前記凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度(X)が
0.002N/25mm≦X≦0.2N/25mmであることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム付き成形体。
【請求項3】
前記凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度(X)が
0.015N/25mm<X<0.05N/25mmであることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム付き成形体。
【請求項4】
前記凹凸部の各凹凸の幅が10μm~500μmで、かつ、各凹凸部の高さが5μm~150μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の保護フィルム付き成形体。
【請求項5】
前記非凹凸部分の幅が20μmより大きくかつ、500μmより小さいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の保護フィルム付き成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保護フィルム付き成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
保護フィルムは、パターン付き成形体の表面を保護するために使われる。一方で、異物付着や擦れなど傷つきによる外観不良や光学特性に悪影響を及ぼすことがある。
特許文献1では、微細凹凸構造を有する凹凸部と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部が表面に形成された成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き成形体であって、前記凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度が0.03N/25mm以下であり、かつ、前記非凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度よりも小さいことを特徴とする保護フィルム付き成形体が開示されている。当該保護フィルム付き成形体では、必要以上に粘着力の強い粘着剤を含有した保護フィルムを用いることなく、成形体の表面に保護フィルムを貼着でき、その結果、時間が経過することで保護フィルムの接着面積が増えても保護フィルムを容易に剥離できることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、非凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度よりも小さいことを特徴とする保護フィルム付き成形体により、必要以上に粘着力の強い粘着剤を含有した保護フィルムを用いることなく、成形体の表面に保護フィルムを貼着できることが記載されている。しかし、特許文献1の凹凸部に対する密着強度では、鏡面部(非凹凸パターン)を設けた場合において、MLA(Micro Lens Array)やモスアイなどのように保護フィルムとの接触面積が小さい凹凸パターン形状のときに、凹凸パターンで浮きが生じない強い粘着力の保護フィルムを選定すると、保護フィルムと鏡面部との密着が強すぎて剥がしにくい場合がある。また、粘着力が強いと糊残りも発生する。一方で、鏡面部を剥がしやすい程度に粘着力を下げると凹凸パターン部に貼着されている保護フィルムが浮いて結露が発生するなどの問題が生じる場合がある。また、加工時や取り扱いの際に、保護フィルムが剥がれて、成形体に傷や異物が付着する場合もある。そのため、非凹凸部に保護フィルムが密着しないように、成形体の保護フィルムを貼着する面の全面に凹凸パターンを配置することが好ましい。
【0005】
しかしながら、全面に凹凸パターンを配置した成形体の面積が製品サイズよりも大きい場合は、製品サイズに合わせて外形加工する必要がある。その際に、打ち抜き刃を使って成形体を製品サイズに外形加工するが、全面に凹凸パターンがある場合は、基準がないため、設計通りに外形加工できているか検査ができないという問題がある。
【0006】
本発明は、設計通りに外形加工できているかを確認できる保護フィルム付き成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記[1]~[5]の構成を有する保護フィルム付き成形体を提供する。
[1]微細凹凸構造を有する凹凸部が表面に形成された成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着された保護フィルム付き成形体であって、前記凹凸部の中に、非凹凸部分が部分的に存在することを特徴とする保護フィルム付き成形体。
[2]前記凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度(X)が
0.002N/25mm≦X≦0.2N/25mmであることを特徴とする[1]の保護フィルム付き成形体。
[3]前記凹凸部に対する前記保護フィルムの初期密着強度(X)が
0.015N/25mm<X<0.05N/25mmであることを特徴とする[1]の保護フィルム付き成形体。
[4]前記凹凸部の各凹凸の幅が10μm~500μmで、かつ、各凹凸部の高さが5μm~150μmであることを特徴とする[1]~[3]の保護フィルム付き成形体
[5]前記非凹凸部分の幅が20μmより大きくかつ、500μmより小さいことを特徴とする[1]~[4]の保護フィルム付き成形体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設計通りに外形加工できているかを確認できる保護フィルム付き成形体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る実施形態について説明する。
本実施形態に係る保護フィルム付き成形体は、微細凹凸構造を有する凹凸部が表面に形成された成形体に、該成形体の表面を保護する保護フィルムが貼着された保護フィルム付き成形体であって、前記凹凸部の中に、非凹凸部分が部分的に存在することを特徴とする保護フィルム付き成形体である。本実施形態に係る保護フィルム付き成形体は、前記凹凸部の中に、非凹凸部分が部分的に存在するため、設計通りに外形加工できているかを確認できる。
本実施形態に係る保護フィルム付き成形体は、マイクロレンズアレイ等の光学製品へ適用できる。
【0011】
本実施形態に係る保護フィルム付き成形体について説明する。
図1は、本実施形態に係る保護フィルム付き成形体1の断面図である。保護フィルム付き成形体1は、成形体7、保護フィルム8を有しており、成形体7の表面に保護フィルム8が貼着されている。
【0012】
図1に示すように、成形体7は、基材樹脂フィルム2、凹凸部3、非凹凸部6を有しており、微細凹凸構造を有する凹凸部3と、微細凹凸構造を有さない非凹凸部6が基材樹脂フィルム2の表面に形成されている。
【0013】
保護フィルム8は、粘着剤層4、フィルム基材5を有する。保護フィルム8は、成形体7の表面を保護するためのものであり、成形体7上に、粘着剤を含む粘着剤層4及びフィルム基材5が積層して構成される。
【0014】
保護フィルム8は、
図1に示すように成形体7の表面、すなわち凹凸部3に貼着する。具体的には、保護フィルム8は、凹凸部3の微細凹凸構造の凸部の頂点で主に接着することになる。つまり、成形体7の表面に凹凸部3を設けることによって、保護フィルム8と成形体7との接着面積を小さくすることができる。一方で、非凹凸部6には、粘着剤層4の粘着剤が接触することがないため、剥がしやすい保護フィルム付き成形体を得ることができる。
【0015】
以下、それぞれの構成要素について詳細に説明する。
【0016】
(基材)
基材樹脂フィルム2の材料としては、特に制限されず、加工性および成形安定性に優れることから、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびこれらの組合せ等が好ましい。なお、基材樹脂フィルム2の屈折率は、特に制限されない。
【0017】
(微細凹凸構造)
凹凸部3の微細凹凸構造としては、略半球状レンズ形状、1次元プリズム形状、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるマイクロレンズアレイが好ましい。マイクロレンズアレイを加工する方法としては、機械加工、マスクを用いたフォトリソグラフィ、マスクレスリソグラフィ、エッチング、レーザーアブレーションなど多くの加工方法を使うことができる。これらの技術を用いて金型を製造し、樹脂を成形してマイクロレンズアレイを有する拡散板部材を製造する。前記金型を直接反射型の拡散板として使ってもよい。成形方法は、ロールトゥロール成形、熱プレス成形、紫外線硬化性樹脂を用いた成形、射出成形など数多くの成形方法の中から適宜選択すればよい。
【0018】
図2は、凹凸部3の各凹凸の幅及び各凹凸部の高さを示した図である。
図2に示すように、各凹凸の幅とは、凸形状の底面の幅であり、各凹凸部の高さとは、凸形状の底面から最も高い部分までの高さである。
【0019】
凹凸部3の各凹凸の幅が、10μm~500μmで、かつ、各凹凸部の高さが5μm~150μmであることが好ましい。
凹凸部3の各凹凸の幅を10μm以上かつ各凹凸部の高さを5μm以上とすることで、保護フィルム8の粘着剤層4の粘着剤が凹凸部3に入り込み密着力が強くなりすぎて保護フィルム8が剥がれにくくなることを抑制することができる。
また、凹凸部3の各凹凸の幅を500μm以下かつ各凹凸部の高さを150μm以下とすることで、凹凸部3と保護フィルム8の粘着剤層4の粘着剤との接触点を十分に確保することができる。これにより、打抜き加工時や取り扱いで保護フィルム8が剥離してしまうことを抑制することができる。
【0020】
以上のように、各凹凸の幅及び各凹凸部の高さを上記の範囲とすることで、保護フィルム8を剥がしやすく取り扱い易い保護フィルム付き成形体1を得ることができる。
【0021】
なお、各凹凸の幅は、電子顕微鏡観察によって凸部の幅を10点測定し、これらの値を平均化することで測定できる。また、各凹凸部の高さは、電子顕微鏡観察によって、凸部の高さを10点測定し、これらの値を平均化することで測定できる。
【0022】
凹凸部3の微細凹凸構造の材料としては、特に制限されないが、紫外線(UV)および電子線等の活性エネルギー線の照射によって硬化する活性エネルギー線硬化性材料が好ましい。中でも、硬化が容易で、信頼性等の長期安定性に優れることから、紫外線硬化樹脂が好ましく、ウレタンアクリレート系、アクリルアクリレート系、およびエポキシアクリレート系等の紫外線硬化樹脂がより好ましい。
【0023】
凹凸部3の微細凹凸構造は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部を有するもので、金型表面の微細凹凸構造を転写して形成することができる。
【0024】
図3A、
図3Bは、凹凸部3のパターンの例を示す平面図である。複数の凸部の配列は、例えば、
図3A、
図3Bに示すような最密正方配列とすることができる。なお、
図3A、
図3Bにおいて、複数の凸部が配置される位置を複数の四角形で示している。
【0025】
成形体7には、製品として使用する範囲である有効エリアにおいて、非凹凸部6を形成する。非凹凸部6以外は、全面に凹凸がある金型を使って作製する。
図4A、
図4B、
図4Cは、保護フィルム付き成形体を上から見たときの、非凹凸部6の配置を示す図である。非凹凸部6は、少なくとも有効エリアに、例えば、
図4Aのように2箇所、好ましくは、
図4Bのように4箇所に配置する。もしくは、
図4Cのように非凹凸部6が全て繋がって配置されてもよい。非凹凸部6の配置方法は、これらに限定されるものではなく、製品として使用する範囲である有効エリアが特定できる配置であればよい。
【0026】
非凹凸部6の非凹凸部分の幅が、20μmより大きくかつ、500μmより小さいことが好ましい。非凹凸部6の非凹凸部分の幅が20μmより小さい場合は、機械による寸法検査で正確に読み取りにくい。また、非凹凸部6の非凹凸部分の幅が500μmより大きい場合は、保護フィルムの粘着剤が非凹凸部6に接触して剥離しにくくなる。また、この場合、非凹凸部6に保護フィルムの粘着剤が残ることもある。
【0027】
凹凸部3及び非凹凸部6を上述のように設計することによって、設計通りに外形加工できているかを確認できて、且つ剥がしやすい保護フィルム付き成形体1を提供することができる。
【0028】
成形体7は、以下の方法で製造することができる。
上述したような金型に活性エネルギー線硬化性材料を流し込み、この上に基材樹脂フィルム2を載置した後、活性エネルギー線照射により活性エネルギー線硬化性材料を硬化し、金型から硬化物と基材樹脂フィルム2とからなる微細凹凸パターン付きフィルム(成形体)7を取り外すことで、微細凹凸パターン付きフィルム(成形体)7を製造することができる。
【0029】
(保護フィルム)
保護フィルム8は、成形体7の表面を保護するものであり、例えば
図1に示すように、粘着剤を含む粘着剤層4、フィルム基材5が積層して構成される。
【0030】
粘着剤層4に含まれる粘着剤としては、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などからなるフィルムを挙げることができ、中でも、微細凹凸表面の粘着剤残りの観点からアクリル系樹脂が好ましい。なお、粘着剤層4には、粘着剤以外の任意成分が含まれていてもよい。
【0031】
フィルム基材5としては、例えばポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられるが、これに制限されるものではない。フィルム基材5の厚さは、20~75μmが好ましい。
【0032】
保護フィルム8としては、市販のものを用いてもよい。例えばスミロン社製の「EC-755(商品名)」、寺岡製作所社製の「寺岡9492(商品名)」、サンエー化研製の「PAC-NA2(商品名)」等が挙げられる。
【0033】
<保護フィルム付き成形体の製造方法>
以下、保護フィルム付き成形体の製造方法について説明する。まず、成形体7の表面に、保護フィルム8を貼着する。具体的には、先に得られた成形体7を一対のニップロールの間に通過させると同時に、保護フィルム繰り出し機から繰り出される保護フィルム8を、微細凹凸構造が形成された側の表面に貼着するように、成形体7と一対のニップロールの間に供給する。このとき、成形体7を、成形体7の裏面(微細凹凸構造が形成されていない側の面)が剛性ロールに接触するように、弾性ロールと剛性ロールとの間に送り込む。
一方、保護フィルム8の粘着剤層4を成形体7の表面(微細凹凸構造が形成された側の面)に接触させ、フィルム基材5が弾性ロールと接触するようにして、保護フィルム8を弾性ロールと成形体7の間に送り込む。
【0034】
ついで、成形体7の表面に保護フィルム8の粘着剤層4が接触した状態で、成形体7と保護フィルム8とを弾性ロールと剛性ロールとの間で挟持し、空気圧シリンダによって一対のニップロールのニップ圧を調整しながら、成形体7に保護フィルム8を貼着する。こうして、
図1に示すような、成形体7の表面、すなわち凹凸部3に保護フィルム8が接着した保護フィルム付き成形体1を得ることができる。
なお、成形体7の表面は、保護フィルム8を介して弾性ロールと接触することになるため、微細凹凸構造の変形や破損を低減することができる。なお、保護フィルム8としては、上述したような材料を用いて別途作製したものを用いてもよく、また、市販のものを用いてもよい。
【0035】
成形体7は、表面に微細凹凸構造を有する凹凸部3を備えるので、光学用途成形体として好適である。成形体7をHUD(Head Up Display)スクリーン等に利用する場合には、場所によってパターン形状が違うので正確に打ち抜く必要がある。
本実施形態に係る保護フィルム付き成形体1では、非凹凸部6が部分的に存在するため、非凹凸部6を基準として、正確に打ち抜くことができる。また、非凹凸部6が部分的に存在するため、打ち抜いた際に設計通りに外形加工できているか確認できる。
【0036】
保護フィルムを剥がしやすく取り扱い易い保護フィルム付き成形体1を作成する点から、凹凸部3に対する保護フィルムの初期密着強度(X)は、0.002N/25mm≦X≦0.2N/25mmであることが好ましく、0.015N/25mm<X<0.05N/25mmであることがより好ましい。
【0037】
このような保護フィルム付き成形体1の用途としては、HUD用スクリーン、加飾フィルム、拡散板などが挙げられる。
【0038】
(密着強度の測定方法)
初期密着強度は、以下のようにして測定される値である。
保護フィルム付き成形体を密着強度測定機(ORIENTEC社製 テンシロン試験機)にセットし、10Nのロードセルを使用して、JISZ-0237に準拠して、180°剥離で剥離速度を300mm/minで、初期密着強度を測定する。
【実施例0039】
(保護フィルム付き成形体の製造)
[実施例1]
実施例1として、以下の条件で保護フィルム付き成形体を作製し評価を行った。
成形体の基材樹脂フィルムには、厚さ0.3mmのPC(ポリカーボネート)フィルムを用いた。凹凸部のパターンの材料としては、アクリル系紫外線硬化樹脂を使用した。凹凸部のパターンの幅を正方形30μm角、凹凸部のパターンの高さを最大10μmの凸形状として、
図3Aの最密正方配列で凹凸部のパターンを成形体の基材樹脂フィルム上に形成した。また、凹凸部のパターンの中に、外形加工時の基準となる非凹凸部分を幅60μmで、成形体の基材樹脂フィルム上に形成した。
保護フィルムとしては、以下の表に記載の保護フィルムを使用した。なお、保護フィルムのフィルム基材としてはポリエチレン(PE)、粘着剤としてはアクリル系樹脂が使用されている。なお、保護フィルムの厚み(フィルム基材、粘着剤層)は60μmである。
上述した製造方法にて、成形体及び表1に記載の保護フィルムを用いて、縦300mm、横300mm、厚さ0.4mmの保護フィルム付き成形体を製造した。
保護フィルム付き成形体の初期粘着強度を測定した結果を表1に示す。
表1中のN1、N2、N3は測定回数を示している。また、粘着強度の単位は、ニュートン(N)/25mmで表記している。以下の表2~4も同様である。
【0040】
【0041】
上記の結果、表1の保護フィルム付き成形体では、凹凸パターンの位置を正確に読み取ることができ、設計通りに外形加工できているかを確認することができた。さらに、適度な粘着性を有しており、保護フィルムを剥がしやすく取り扱い易い保護フィルム付き成形体を得ることができた。つまり、設計通りに外形加工できているかを確認できて、且つ剥がしやすい保護フィルム付き成形体を得ることができた。
【0042】
[実施例2]
実施例2は、保護フィルムの種類を表2のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム付き成形体を製造した。
保護フィルム付き成形体の初期粘着強度を測定した結果を表2に示す
【0043】
【0044】
上記の結果、表2の保護フィルム付き成形体では、凹凸パターンの位置を正確に読み取ることができ、設計通りに外形加工できているかを確認することができた。一方で、保護フィルムが剥がしにくく、環境試験後に糊残りが発生した。つまり、表2の保護フィルム付き成形体では、設計通りに外形加工できているかを確認できたが、剥がしにくく、環境試験後に糊残りが発生した。
【0045】
[実施例3]
実施例3は、保護フィルムの種類を表3の示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム付き成形体を製造した。
保護フィルム付き成形体の初期粘着強度を測定した結果を表3に示す
【0046】
【0047】
上記の結果、表3の保護フィルム付き成形体では、凹凸パターンの位置を正確に読み取ることができ、設計通りに外形加工できているかを確認することができた。一方で、加工(打抜き)で剥がれ、また、浮いた部分が結露になった。つまり、表3の保護フィルム付き成形体では、設計通りに外形加工できているかを確認できたが、加工(打抜き)で剥がれ、且つ浮いた部分が結露になる問題が生じた。
【0048】
[比較例1]
比較例1は、非凹凸部の幅を0μm(非凹凸部を設けない)とした以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム付き成形体を製造した。
保護フィルム付き成形体の初期粘着強度を測定した結果を表4に示す
【0049】
【0050】
上記の結果、表4の保護フィルム付き成形体では、保護フィルムが剥がれることはなかった。一方で、非凹凸部が存在せず、凹凸パターンの位置を正確に読み取ることができなかったため、設計通りに外形加工できているかを確認することができなかった。