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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167030
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】チップ間隔形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20221027BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01L21/78 W
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072523
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 篤
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA31
5F063CB07
5F063CB29
5F063DD68
5F063DD72
5F063DD93
5F063DG21
5F063FF04
5F131AA02
5F131BA52
5F131BA53
5F131CA06
5F131CA32
5F131DA13
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA05
5F131EA07
5F131EA23
5F131EB01
5F131EB31
5F131EB36
5F131EB81
5F131EB89
5F131EC33
5F131EC75
(57)【要約】
【課題】チップ間に所定の間隔を良好に形成する。
【解決手段】チップ間隔形成ステップにおいて、エキスパンドシート113の下方に設置された保持テーブル62の保持面622からエアを噴出することにより、エキスパンドシート113と保持面622との摩擦を低減している。したがって、エキスパンドシート113を容易に拡張することが可能となるので、チップ120間に所定の間隔を良好に形成することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状フレームの開口にエキスパンドシートを介して支持されている被加工物を構成する複数のチップ間に所定の間隔を形成するチップ間隔形成方法であって、
該エキスパンドシートの下方に設置された保持テーブルの保持面からエアを噴出することにより、該エキスパンドシートと該保持面との摩擦を低減した状態で、該エキスパンドシートを拡張して、該チップ間に所定の間隔を形成するチップ間隔形成ステップと、
該チップ間隔形成ステップを実施した後、該保持テーブルの該保持面によって、該エキスパンドシートの該チップに対応する領域を吸引保持し、該チップ同士の間隔を維持した状態で、該環状フレームの内周縁と被加工物の外周縁との間の該エキスパンドシートの部分を加熱することによって、この部分を収縮させる収縮ステップと、
を備えることを特徴とするチップ間隔形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキスパンドシートを拡張して、被加工物を構成する複数のチップの間に所定の間隔を形成するチップ間隔形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分割予定ラインに沿って内部に破断起点が形成されたウエーハ、または、分割予定ラインに沿って複数のチップに分割されたウエーハを、エキスパンドシートに貼着し、エキスパンドシートを拡張することで、チップ間隔を広げるプロセスがある。
【0003】
また、ダイアタッチフィルムと呼ばれる粘着シートが積層されたエキスパンドシートに上記のウエーハを貼着し、エキスパンドシートを拡張することで、ウエーハのチップ間隔を広げると共に、ダイアタッチフィルムをチップに応じて分割するプロセスがある。
【0004】
シート拡張装置は、フレーム固定部と、吸引保持テーブルと、吸引保持テーブルの外周に配置される拡張ドラムとを有する。拡張ドラムを垂直方向に上昇させることで、エキスパンドシートを拡張して、チップ間隔を拡張する。その後、拡張されたチップ間隔を維持するために、エキスパンドシートを吸引保持テーブルによって吸引保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6741529号公報
【特許文献2】特開2007-123658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のシート拡張装置では、拡張ドラムの上昇時に、拡張ドラムと吸引保持テーブルとが、ほぼ同一平面に配置される。したがって、エキスパンドシートにおけるチップに対応する中央領域と、吸引保持テーブルの保持面との間に摩擦が発生するため、エキスパンドシートの中央領域を十分に拡張することが困難である。
【0007】
本発明の目的は、チップ間に所定の間隔を良好に形成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチップ間隔形成方法は、環状フレームの開口にエキスパンドシートを介して支持されている被加工物を構成する複数のチップ間に所定の間隔を形成するチップ間隔形成方法であって、該エキスパンドシートの下方に設置された保持テーブルの保持面からエアを噴出することにより、該エキスパンドシートと該保持面との摩擦を低減した状態で、該エキスパンドシートを拡張して、該チップ間に所定の間隔を形成するチップ間隔形成ステップと、該チップ間隔形成ステップを実施した後、該保持テーブルの該保持面によって、該エキスパンドシートの該チップに対応する領域を吸引保持し、該チップ同士の間隔を維持した状態で、該環状フレームの内周縁と被加工物の外周縁との間の該エキスパンドシートの部分を加熱することによって、この部分を収縮させる収縮ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチップ間隔形成方法では、チップ間隔形成ステップにおいて、エキスパンドシートの下方に設置された保持テーブルの保持面からエアを噴出することにより、エキスパンドシートと保持面との摩擦を低減している。したがって、エキスパンドシートのチップに対応する領域を容易に拡張することが可能となるので、チップ間に所定の間隔を良好に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ウェーハを含むワークセットの斜視図である。
図2】改質層形成ステップを示す説明図である。
図3】シート拡張装置の分解斜視図である。
図4】シート拡張装置の断面図である。
図5】チップ間隔形成ステップのフレーム保持工程を示す断面図である。
図6】チップ間隔形成ステップのシート拡張工程を示す断面図である。
図7】収縮ステップのシート吸引保持工程を示す断面図である。
図8】収縮ステップの退避工程を示す断面図である。
図9】収縮ステップのシート収縮工程を示す断面図である。
図10】収縮ステップのシート収縮工程を示す断面図である。
図11】改質層形成ステップの他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態にかかるチップ間隔形成方法では、被加工物として、図1に示すようなウェーハ100が用いられる。ウェーハ100は、円形状を有し、表面に格子状の分割予定ライン103が形成されている。分割予定ライン103によって区画された各領域には、デバイス101が形成されている。
【0012】
本実施形態では、ウェーハ100は、ワークセット110の状態で取り扱われる。ワークセット110は、ウェーハ100を収容可能な開口112を有する環状フレーム111と、環状フレーム111の開口112に位置づけられたウェーハ100とを、エキスパンドシート113によって一体化させることによって形成されている。このように、本実施形態では、ウェーハ100は、環状フレーム111の開口112に、エキスパンドシート113を介して支持されている。
【0013】
次に、本実施形態にかかるチップ間隔形成方法の各ステップについて説明する。このチップ間隔形成方法は、ウェーハ100を構成する複数のチップ間に、所定の間隔を形成するための方法である。
【0014】
[改質層形成ステップ]
このステップでは、図2に示すように、レーザ照射器200を用いて、ウェーハ100の分割予定ライン103に沿ってレーザ光線201を照射する。これにより、ウェーハ100の内部に、分割予定ライン103に沿って、破断起点となる強度の弱い改質層202が形成される。その結果、ウェーハ100が、改質層202により、それぞれ1つのデバイス101を含む複数のチップ120に区分けされる。
【0015】
[チップ間隔形成ステップ]
このステップでは、ワークセット110のエキスパンドシート113を拡張することにより、ウェーハ100のチップ120間に所定の間隔を形成する。
【0016】
このステップでは、図3および図4に示すシート拡張装置4が用いられる。図3に示すように、このシート拡張装置4は、矩形状の基台40を具備している。この基台40の上面に、ワークセット110の環状フレーム111を保持するフレーム保持部材5が配設されている。
【0017】
このフレーム保持部材5は、基台40の上面に配設された筒状ベース51と、この筒状ベース51の上端部外周に配設されたフレーム固定部としての4個のクランプ52とを有している。筒状ベース51の上面は、ワークセット110の環状フレーム111を載置するための載置面511として機能する。載置面511上に載置された環状フレーム111は、クランプ52によって、筒状ベース51に固定される。
このようにして、フレーム保持部材5は、環状フレーム111およびウェーハ100を含むワークセット110を保持することができる。
【0018】
フレーム保持部材5の筒状ベース51内には、環状フレーム111に装着されたエキスパンドシート113を拡張するシート拡張機構6が配設されている。
このシート拡張機構6は、ウェーハ100を保持する保持テーブル62、保持テーブル62を下方から保持するように配置されている拡張ドラム61、および、拡張ドラム61および保持テーブル62をZ軸方向に沿って移動させる移動部材63を具備している。
【0019】
保持テーブル62は、フレーム保持部材5に保持されているワークセット110のウェーハ100を保持する。保持テーブル62は、円板状の本体621、および、本体621上に配設された保持面(吸着チャック)622を有している。保持面622は、図4に示すように、本体621の上面に、本体621に設けられた本体通気路623を覆うように配設されている。
【0020】
保持面622は、通気性を有しており、図4に示す吸引源637に連通されることによって、エキスパンドシート113におけるウェーハ100が貼着されている領域であるウエーハ貼着領域131(図1参照)を吸引保持する。すなわち、保持テーブル62は、保持面622によって、エキスパンドシート113を介してウェーハ100を吸引保持することができる。
また、保持面622は、図4に示すエア源638に連通されることにより、所定量(たとえば微量)のエアを噴出するように構成されている。
【0021】
このような構成を有する保持テーブル62は、拡張ドラム61に支持されている。
拡張ドラム61は、図3に示すように、環状に形成された周壁611、および、周壁611の下面を覆う円形状の底壁612を有している。底壁612の中央には、底壁612を貫通する穴614が設けられている。また、周壁611の上端には、複数の拡張補助ローラ613が配設されている。図4に示すように、拡張補助ローラ613の上面は、保持テーブル62の保持面622と略同一の高さに配置される。
【0022】
保持テーブル62の本体621は、拡張ドラム61の周壁611によって略隙間なく周囲を覆われているとともに、拡張ドラム61の底壁612上に支持されている。
【0023】
拡張ドラム61は、移動部材63に支持されている。
移動部材63は、エアシリンダ機構からなり、ピストン基台630、ピストン基台630に対してZ軸方向に移動可能に設けられたピストンロッド631、および、ピストンロッド631の上端に設けられた円形状の支持基台632を有している。支持基台632は、拡張ドラム61の底壁612を下方から支持している。
【0024】
したがって、移動部材63では、ピストンロッド631をZ軸方向に移動することにより、拡張ドラム61および保持テーブル62を、Z軸方向に移動させることが可能となっている。
【0025】
支持基台632の中心には、接続管635が設けられている。接続管635は、拡張ドラム61の底壁612の穴614(図3参照)および保持テーブル62の本体621の中央を貫通している。このように、保持テーブル62と拡張ドラム61とは、同一の接続管635によって中央を貫通された状態で、移動部材63の支持基台632によって支持されている。
【0026】
また、図4に示すように、接続管635およびピストンロッド631には、エア通路636が設けられている。このエア通路636の一端は、接続管635および保持テーブル62の本体通気路623を介して、保持テーブル62の保持面622に接続されている。また、エア通路636の他端は、ピストンロッド631および切換え弁639を介して、エア源638および吸引源637に接続されている。
【0027】
すなわち、保持テーブル62の保持面622は、このエア通路636を介して、吸引源637あるいはエア源638に連通されることが可能となっている。
【0028】
また、シート拡張装置4は、図3に示すように、フレーム保持部材5に保持されているワークセット110のエキスパンドシート113を加熱するための加熱部材8を備えている。
【0029】
加熱部材8は、赤外線ヒータ81、赤外線ヒータ81を支持する支持ロッド82、および、支持ロッド82を回動する回動部材83を有している。
赤外線ヒータ81は、エキスパンドシート113における収縮領域132(図1参照)と略対応する大きさの環状に形成されている。この収縮領域132は、エキスパンドシート113におけるウエーハ貼着領域131と環状フレーム111との間の領域、すなわち、環状フレーム111の内周縁とウェーハ100の外周縁との間のエキスパンドシート113の部分である。
【0030】
回動部材83は、赤外線ヒータ81を、退避位置(図3に示す位置)と加熱位置との間で回動させる。加熱位置は、フレーム保持部材5に保持されているワークセット110のエキスパンドシート113における収縮領域132の上方の位置である。
【0031】
また、シート拡張装置4は、制御部17を備えている。制御部17は、シート拡張装置4の各部材の動作を制御することにより、チップ間隔形成ステップを実行する。
【0032】
以下に、このようなシート拡張装置4を用いたチップ間隔形成ステップについて説明する。
【0033】
このステップでは、たとえば作業者が、図5に示すように、ワークセット110の環状フレーム111を、フレーム保持部材5における筒状ベース51の載置面511上に載置し、クランプ52によって筒状ベース51に固定する(フレーム保持工程)。
【0034】
この際、制御部17は、移動部材63を制御して、ピストンロッド631を下方側に移動させておくことにより、図5に示すように、保持テーブル62の保持面622および拡張ドラム61の拡張補助ローラ613を、ワークセット110のエキスパンドシート113よりも下方に配置する。
【0035】
さらに、制御部17は、切換え弁639を制御して、保持テーブル62の保持面622を、エア通路636を介して、エア源638に連通させる。これにより、図5に矢印301を用いて示すように、エキスパンドシート113の下方に設置された保持テーブル62の保持面622から、エアが噴出する。
【0036】
次に、制御部17は、保持面622からエアを噴出させた状態で、移動部材63を制御して、図6に矢印401によって示すように、ピストンロッド631を上方側に移動させる。これにより、制御部17は、図6に示すように、拡張ドラム61の拡張補助ローラ613および保持テーブル62の保持面622が筒状ベース51の載置面511よりも上方に位置するように、拡張ドラム61および保持テーブル62を、所定の拡張位置にまで上昇させる。
【0037】
これにより、拡張ドラム61の拡張補助ローラ613が、エキスパンドシート113に当接して、エキスパンドシート113を押し上げる。これにより、エキスパンドシート113が拡張される(シート拡張工程)。その結果、エキスパンドシート113に貼着されているウェーハ100に、放射状に引張力が作用する。このようにウェーハ100に放射状に引張力が作用することにより、ウェーハ100は、分割予定ライン103に沿って形成された改質層202に沿って破断されて個々のチップ120に分離され、隣接するチップ120間に、所定の間隔が形成される。
【0038】
なお、このシート拡張工程においては、拡張補助ローラ613の上面と略同じ高さに配置されている保持テーブル62の保持面622も、エキスパンドシート113に接触する。これに関し、本実施形態では、保持面622からエアが噴出されていることにより、エキスパンドシート113と保持面622との摩擦が低減されている。したがって、保持面622との摩擦の影響を抑制しながらエキスパンドシート113を容易に拡張することができるので、チップ120間に、所定の間隔を良好に形成することができる。
【0039】
また、制御部17は、拡張ドラム61および保持テーブル62の上方への移動量を制御することによって、エキスパンドシート113の拡張量(伸び量)を調整することができる。そして、制御部17は、エキスパンドシート113の拡張量を調整することにより、個々のチップ120間に形成される間隔を、所定の間隔とすることができる。
【0040】
[収縮ステップ]
このステップでは、制御部17は、個々のチップ120間に所定の間隔が形成された状態で、切換え弁639を制御して、保持テーブル62の保持面622を、吸引源637に連通させる。これにより、制御部17は、図7に矢印302を用いて示すように、保持面622によって、エキスパンドシート113のチップ120に対応する領域(ウエーハ貼着領域131;図1参照)を吸引保持し、チップ120間の間隔を維持する(シート吸引保持工程)。
【0041】
この状態で、制御部17は、移動部材63を制御して、図8に矢印402によって示すように、ピストンロッド631を下方側に移動させる。これにより、制御部17は、保持面622および拡張補助ローラ613の上面が筒状ベース51の載置面511と略同じ高さとなるように、拡張ドラム61および保持テーブル62を、所定の退避位置にまで下降させる(退避工程)。
【0042】
これにより、拡張ドラム61の拡張補助ローラ613が、エキスパンドシート113から離隔される。その結果、エキスパンドシート113におけるウエーハ貼着領域131と環状フレーム111との間の領域(すなわち、ウェーハ100の外周側において引き延ばされた部分)である収縮領域132に、弛みが生ずる。
【0043】
次に、制御部17は、加熱部材8(図3参照)の赤外線ヒータ81を、図9に示すように、エキスパンドシート113における収縮領域132の上方である加熱位置に位置付けて、赤外線ヒータ81をONとする。これにより、エキスパンドシート113における収縮領域132は、赤外線ヒータ81によって照射される赤外線により加熱され、図10に示すように収縮する(シート収縮工程)。
このように、収縮ステップでは、ウェーハ100の外周側において引き延ばされた収縮領域132を、加熱することによって収縮させる。
【0044】
その後、制御部17は、切換え弁639を制御して、保持テーブル62の保持面622と吸引源637との連通を解除する。そして、たとえば作業者が、ワークセット110をフレーム保持部材5から取り外して、処理を終了する。
【0045】
以上のように、本実施形態では、チップ間隔形成ステップにおいて、エキスパンドシート113の下方に設置された保持テーブル62の保持面622からエアを噴出することにより、エキスパンドシート113と保持面622との摩擦を低減している。したがって、エキスパンドシート113のウエーハ貼着領域131を容易に拡張することが可能となるので、チップ120間に所定の間隔を良好に形成することができる。
【0046】
また、収縮ステップでは、エキスパンドシート113における収縮領域132を収縮させることにより、チップ間隔形成ステップにおいてチップ120間に形成された間隔が維持された状態で、エキスパンドシート113が、弛みなく張った状態に戻る。したがって、たとえば、ワークセット110を図示しないピックアップ装置に搬送する際に、チップ120同士が接触することによる損傷を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、加熱部材8が赤外線ヒータ81を有している。これに関し、加熱部材8は、赤外線ヒータ81に代えて、収縮領域132に熱風を吹き付ける部材を有していてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、図2に示したように、チップ間隔形成ステップの前に改質層形成ステップを実施することにより、ウェーハ100に改質層202を形成している。そして、チップ間隔形成ステップにおいて、改質層202を起点に、ウェーハ100を複数のチップ120に分割している。これに関し、本実施形態では、改質層形成ステップに代えて、以下の分割ステップを実施してもよい。
【0049】
[分割ステップ]
このステップでは、図11に示すように、切削ブレード210を用いて、ウェーハ100の分割予定ライン103に沿って分割溝212を形成する。その結果、ウェーハ100が、分割溝212により、それぞれ1つのデバイス101を含む複数のチップ120に分割される。
【0050】
この場合、チップ間隔形成ステップの実施前に、ウェーハ100は、すでに複数のチップ120に分割されている。このため、チップ間隔形成ステップでは、ウェーハ100におけるチップ120の間隔が、所定の間隔に広げられる。
【0051】
この場合にも、チップ間隔形成ステップでは、保持テーブル62の保持面622からエアを噴出することにより、エキスパンドシート113と保持面622との摩擦が低減される。したがって、エキスパンドシート113のウエーハ貼着領域131を容易に拡張することが可能となるので、チップ120間に所定の間隔を良好に形成することができる。
【0052】
なお、分割ステップでは、分割溝212を、図2に示したレーザ照射器200を用いて、レーザ光によって形成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
4:シート拡張装置、17:制御部、
5:フレーム保持部材、40:基台、
51:筒状ベース、52:クランプ、511:載置面、
6:シート拡張機構、61:拡張ドラム、611:周壁、612:底壁、
613:拡張補助ローラ、614:穴、
62:保持テーブル、621:本体、622:保持面、623:本体通気路、
63:移動部材、630:ピストン基台、631:ピストンロッド、
632:支持基台、635:接続管、636:エア通路、
637:吸引源、638:エア源、639:切換え弁
8:加熱部材、81:赤外線ヒータ、82:支持ロッド、83:回動部材、
200:レーザ照射器、201:レーザ光線、210:切削ブレード、
100:ウェーハ、101:デバイス、103:分割予定ライン、
110:ワークセット、111:環状フレーム、112:開口、
113:エキスパンドシート、120:チップ、
131:ウエーハ貼着領域、132:収縮領域、202:改質層、212:分割溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11