(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167507
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】熱処理設備
(51)【国際特許分類】
C21D 1/00 20060101AFI20221027BHJP
C21D 11/00 20060101ALI20221027BHJP
F27B 9/38 20060101ALI20221027BHJP
F27B 9/40 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C21D1/00 112L
C21D1/00 120
C21D11/00 105
F27B9/38
F27B9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073336
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 公輔
【テーマコード(参考)】
4K034
4K038
4K050
【Fターム(参考)】
4K034AA14
4K034AA15
4K034AA17
4K034AA19
4K034BA02
4K034BA03
4K034DA01
4K034DA05
4K034DA06
4K034DA08
4K034DB02
4K034DB03
4K034DB04
4K034DB05
4K034DB06
4K034EA11
4K034EB31
4K034EB36
4K034FA05
4K034FA06
4K034FB01
4K034FB11
4K038AA03
4K038AA04
4K038BA01
4K038CA01
4K038CA03
4K038DA01
4K038DA03
4K038EA01
4K038EA03
4K038FA02
4K050AA02
4K050BA02
4K050CA13
4K050CF06
4K050CF09
4K050EA03
(57)【要約】
【課題】多段体と単段体とのいずれの鋼材をも熱処理可能な熱処理設備の提供。
【解決手段】熱処理設備22は、複数の第一鋼材を水平方向に並べた単段体を供給する第一供給モードと、複数の第二鋼材を上下方向に重ねた多段体を供給する第二供給モードとに切り替えられる供給装置24と、単段体を搬送しつつ単段体に適した条件で熱処理する第一熱処理モードと、多段体を搬送しつつ多段体に適した条件で熱処理する第二熱処理モードとに切り替えられる熱処理装置26とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第一鋼材を水平方向に並べた単段体を供給する第一供給モードと、複数の第二鋼材を上下方向に重ねた多段体を供給する第二供給モードとに切り替えられる供給装置と、
前記単段体を搬送しつつ前記単段体に適した条件で熱処理する第一熱処理モードと、前記多段体を搬送しつつ前記多段体に適した条件で熱処理する第二熱処理モードとに切り替えられる熱処理装置と
を備える、熱処理設備。
【請求項2】
前記供給装置が、
上下方向に重ねられた状態で複数の前記第一鋼材を供給される予備テーブルと、
前記予備テーブルから供給された複数の前記第一鋼材を前記単段体として前記熱処理装置に供給する供給テーブルと
を備える、請求項1に記載の熱処理設備。
【請求項3】
前記供給テーブルが、複数の前記第二鋼材を前記多段体として前記熱処理装置に供給する、請求項2に記載の熱処理設備。
【請求項4】
前記供給装置を前記第一供給モードに切り替えることで、前記熱処理装置が前記第一熱処理モードに切り替えられ、
前記供給装置を前記第二供給モードに切り替えることで、前記熱処理装置が前記第二熱処理モードに切り替えられる、請求項1から3のいずれかに記載の熱処理設備。
【請求項5】
前記第一熱処理モードにある前記熱処理装置がその熱処理を完了するまで前記供給装置が前記第一供給モードに維持され、
前記第二熱処理モードにある前記熱処理装置がその熱処理を完了するまで前記供給装置が前記第二供給モードに維持される、請求項4に記載の熱処理設備。
【請求項6】
前記熱処理装置が前記第一熱処理モードにあるか又は前記第二熱処理モードにあるかを記憶し、
前記熱処理装置が記憶した熱処理を終了すると前記第一熱処理モード又は前記第二熱処理モードの記憶をクリアし、この記憶のクリアによって熱処理の完了を決定する、
制御装置を更に備える、請求項5に記載の熱処理設備。
【請求項7】
前記供給装置を前記第一供給モードに切り替えると共に前記熱処理装置を前記第一熱処理モードに切り替え、
前記供給装置を前記第二供給モードに切り替えると共に前記熱処理装置を前記第二熱処理モードに切り替える、
スイッチを更に備える、請求項1から6のいずれかに記載の熱処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材を熱処理する熱処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼材として、鋼線、棒形状の棒鋼、パイプ形状の鋼管が例示される。これらの鋼材は、それぞれの形状や用途に適した熱処理がされる。例えば、伸線された鋼線は、鋼線に適した熱処理装置で熱処理される。この様な熱処理装置の例が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、棒鋼や鋼管は、運搬や保管を容易にするため、束ねられる。束ねられることで、これらの鋼材は、水平方向及び上下方向に並べられた多段体にされる。この多段体では、これらの鋼材は上下方向に重ねられている。これらの鋼材は、多段体として、運搬され保管される。
【0005】
図4(A)には、多段体のまま鋼材を熱処理する熱処理設備1が示されている。この熱処理設備1では、多段体が熱処理装置2の搬送装置3に供給される。熱処理装置2は、搬送装置3で多段体のまま搬送しつつ鋼材を熱処理する。熱処理された鋼材は、多段体のまま搬送装置3から運び出される。この多段体のままでの熱処理は、生産性の向上に寄与する。
【0006】
この多段体では、鋼材が上下方向に重ねられた状態で熱処理がされる。この鋼材では、歪みが残留し易い。歪みが残留した鋼材は、用途によっては、製品規格を満たさない。多段体のままの熱処理では製品規格を満たさない場合には、熱処理前に多段体がばらされる。多段体から取り出された複数の鋼材が水平方向に並べられ単段体にされる。この単段体では、鋼材は上下に重ね合わされない。これらの鋼材は、単段体にされて熱処理される。
【0007】
図4(B)には、単段体の鋼材を熱処理する熱処理設備4が示されている。この熱処理設備4では、多段体として鋼材が供給テーブル5に積み込まれる。供給テーブル5で多段体の結束が解除される。多段体から取り出された複数の鋼材は、熱処理装置6の搬送装置7に供給される。これらの鋼材は水平方向に並べられた単段体にされる。搬送装置7は、単段体を搬送する。熱処理装置6は、搬送装置7で単段体を搬送しつつ鋼材を熱処理する。熱処理された鋼材は、搬送装置7から払出テーブル8に払い出される。
【0008】
この様な鋼材の熱処理では、加熱温度、加熱速度、冷却温度、冷却速度等の熱処理条件の管理が重要である。
図4(A)の多段体の熱処理と
図4(B)の単段体の熱処理とでは、ヒータや冷却装置に必要とされる能力が異なる。このため、前述の様に、多段体のまま熱処理可能な鋼材には熱処理設備1が使用され、単段体にされて熱処理される鋼材には熱処理設備4が使用される。
【0009】
しかしながら、熱処理設備1及び熱処理設備4を用いた熱処理では、熱処理設備1又は熱処理設備4のいずれか一方の処理能力が不足すれば、他方の処理能力に余力があっても、設備の増設が必要である。
【0010】
本発明の目的は、多段体と単段体とのいずれの鋼材をも熱処理可能な熱処理設備の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る熱処理設備は、
複数の第一鋼材を水平方向に並べた単段体を供給する第一供給モードと、複数の第二鋼材を上下方向に重ねた多段体を供給する第二供給モードとに切り替えられる供給装置と、
前記単段体を搬送しつつ前記単段体に適した条件で熱処理する第一熱処理モードと、前記多段体を搬送しつつ前記多段体に適した条件で熱処理する第二熱処理モードとに切り替えられる熱処理装置と
を備える。
【0012】
好ましくは、前記供給装置は、
上下方向に重ねられた状態で複数の前記第一鋼材を供給される予備テーブルと、
前記予備テーブルから供給された複数の前記第一鋼材を前記単段体として前記熱処理装置に供給する供給テーブルと
を備える。
【0013】
好ましくは、前記供給テーブルは、複数の前記第二鋼材を前記多段体として前記熱処理装置に供給する。
【0014】
好ましくは、この熱処理設備では、
前記供給装置を前記第一供給モードに切り替えることで、前記熱処理装置が前記第一熱処理モードに切り替えられ、
前記供給装置を前記第二供給モードに切り替えることで、前記熱処理装置が前記第二熱処理モードに切り替えられる。
【0015】
好ましくは、この熱処理設備では、
前記第一熱処理モードにある前記熱処理装置がその熱処理を完了するまで前記供給装置が前記第一供給モードに維持され、
前記第二熱処理モードにある前記熱処理装置がその熱処理を完了するまで前記供給装置が前記第二供給モードに維持される。
【0016】
好ましくは、本発明に係る熱処理設備は、
前記熱処理装置が前記第一熱処理モードにあるか又は前記第二熱処理モードにあるかを記憶し、
前記熱処理装置が記憶した熱処理を終了すると前記第一熱処理モード又は前記第二熱処理モードの記憶をクリアし、この記憶のクリアによって熱処理の完了を決定する、
制御装置を更に備える。
【0017】
好ましくは、本発明に係る熱処理設備は、
前記供給装置を前記第一供給モードに切り替えると共に前記熱処理装置を前記第一熱処理モードに切り替え、
前記供給装置を前記第二供給モードに切り替えると共に前記熱処理装置を前記第二熱処理モードに切り替える、
スイッチを更に備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る熱処理設備は、単段体の鋼材を処理するための第一供給モード及び第一熱処理モードと、多段体の鋼材を処理するための第二供給モード及び第二熱処理モードとに切り替えられる。この熱処理設備は、単段体と多段体とのいずれをも熱処理できる。この熱処理設備は、鋼材の製造コストを抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る熱処理設備で熱処理される複数の第一鋼材が水平方向に並べられた単段体が示された斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る熱処理設備で熱処理される複数の第二鋼材が上下方向に重ねられた多段体が示された斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る熱処理設備が示された概念図である。
【
図4】
図4(A)は多段体の鋼材を熱処理する熱処理設備が示された概念図であり、
図4(B)は単段体の鋼材を熱処理する熱処理設備が示された概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0021】
図1には、中空なパイプ形状の複数の鋼材10が束ねられた単段体12が示されている。この鋼材10は、いわゆる鋼管であるが、これに限定されない。この単段体12では、複数の鋼材10が水平方向としての横方向に並べられている。これらの鋼材10は、上下方向に重ねられていない。本発明における単段体12は複数の鋼材10が上下方向に重ねられていなければよい。また、複数の鋼材10は、結束線14によって束ねられている。単段体12は、必ずしも結束線14で束ねられていなくてもよい。
【0022】
図2には、中実な丸棒形状の複数の鋼材16が束ねられた多段体18が示されている。この鋼材16は、いわゆる棒鋼であるが、これに限定されない。この多段体18では、複数の鋼材16が水平方向としての横方向と上下方向とに並べられている。この多段体18では、複数の鋼材16が上下方向に重ねられている。本発明における多段体18は複数の鋼材16が上下方向に重ねられていればよい。また、複数の鋼材16は、結束線20によって束ねられている。多段体18は、必ずしも結束線20で束ねられていなくてもよい。なお、この多段体18の断面形状は略台形状にされているが、これに限定されない。多段体18の断面形状は、略矩形であってもよいし、円形や楕円形であってもよい。
【0023】
なお、鋼材10や鋼材16の大きさは特に限定されないが、例えば、直径10mm以上240mm以下である。また、多段体18が含む鋼材16の本数も特に限定されないが、例えば、500本以下である。
【0024】
また、この実施形態では、複数の鋼材10は、熱処理設備22に、多段体18と同様に束ねられた状態で供給される。この状態では、複数の鋼材10は上下方向に重ね合わされている。ここでは、複数の鋼材10は、多段体18と同様に結束された状態を例に説明がされるが、必ずしも結束されていなくてもよい。この複数の鋼材10が束ねられた状態における、その結束体の断面形状、鋼材10の本数等は、多段体18のそれらと同様である。
【0025】
図3には、単段体12の鋼材10及び多段体18の鋼材16を熱処理する熱処理設備22が示されている。この熱処理設備22は、供給装置24、熱処理装置26、排出装置28及び制御装置30を備える。この熱処理設備22は、例えば、鋼材10や鋼材16の焼なまし、焼ならし、焼入れ、焼戻し等の熱処理に用いられる。
【0026】
供給装置24は、複数の鋼材10が上下方向に重ね合わされ結束された状態で供給される予備テーブル32と、多段体18が供給される供給テーブル34とを備える。供給テーブル34は、予備テーブル32と熱処理装置26との間に位置する。
【0027】
予備テーブル32は、複数の鋼材10を搬送可能なコンベヤベルト32Aを備える。このコンベヤベルト32Aは、複数の鋼材10を搬送可能であればよく、これに限定されない。供給テーブル34は、複数の鋼材10を単段体12に整形可能にされている。供給テーブル34は、単段体12と多段体18とを搬送可能なコンベヤベルト34Aを備える。このコンベヤベルト34Aは、単段体12や多段体18を搬送可能であればよく、これに限定されない。
【0028】
この供給装置24の予備テーブル32は、上下方向に重ね合わされ結束された状態の複数の鋼材10が供給される。この予備テーブル32で複数の鋼材10の結束が解除される。予備テーブル32は、取り出された鋼材10を、供給テーブル34に自動供給可能である。供給テーブル34で複数の鋼材10で形成された単段体12を熱処理装置26に自動で供給可能である。また、この供給テーブル34は、多段体18を、熱処理装置26に自動で供給可能である。
【0029】
この供給装置24は、熱処理装置26に複数の鋼材10を単段体12として供給する第一供給モードと、熱処理装置26に複数の鋼材16を多段体18として熱処理装置26に供給する第二供給モードとに切り替え可能である。
【0030】
第一供給モードでは、予備テーブル32は複数の鋼材10の束を載置可能にされ、供給テーブル34は単段体12を搬送装置40に供給可能にされる。一方で、供給テーブル34は、多段体18を搬送装置40に供給することが禁止される。
【0031】
第二供給モードでは、供給テーブル34は多段体18を搬送装置40に供給可能にされる。一方で、供給テーブル34は、単段体12を搬送装置40に供給することが禁止される。
【0032】
例えば、供給装置24は、重量検知センサを備える。供給装置24は、重量検知センサによって、単段体12及び多段体18を検知する。供給装置24は、この検知信号を制御装置30に送信する。制御装置30は、供給装置24が第一供給モードであるとき供給テーブル34が多段体18を搬送装置40に供給することを禁止する。制御装置30は、供給装置24が第二供給モードであるとき供給テーブル34が単段体12を搬送装置40に供給することを禁止する。ここでは、重量検知センサを例に説明がされたが、光センサや磁気センサで、単段体12又は多段体18までの距離やこれらの形状に基づいて、単段体12及び多段体18が検出されてもよい。
【0033】
熱処理装置26は、炉36、冷却装置38及び搬送装置40を備える。この搬送装置40に、供給装置24が接続されている。搬送装置40は、炉36内及び冷却装置38内を通されている。この搬送装置40に、供給装置24は、単段体12や多段体18を自動で供給可能である。搬送装置40は、ローラコンベヤ40Aを備える。搬送装置40は、単段体12や多段体18を搬送可能である。このローラコンベヤ40Aは、例示であって、単段体12や多段体18を搬送可能であればよい。
【0034】
炉36は、搬送装置40が搬送する単段体12の鋼材10や多段体18の鋼材16を加熱するヒータを備える。冷却装置38は、搬送装置40が搬送する単段体12の鋼材10や多段体18の鋼材16を冷却する。例えば、冷却装置38は、冷却水を複数の鋼材10や多段体18に吹き付ける、多数のノズルを備える。冷却装置38は、ノズルに限定されず、冷却槽であってもよい。また冷却媒体は、冷却水に限定されず、冷却油等、他の冷却流体であってもよい。
【0035】
この熱処理装置26は、単段体12の鋼材10を熱処理する第一熱処理モードと、多段体18の鋼材16を熱処理する第二熱処理モードとに切り替え可能である。
【0036】
第一熱処理モードでは、熱処理装置26は、単段体12に適した条件で鋼材10を熱処理する。搬送装置40は、単段体12としての鋼材10に適した、加熱温度、加熱速度、保持時間、冷却温度、冷却速度等の熱処理条件になる様に、単段体12を適した搬送速度で搬送する。炉36は、単段体12に適した熱処理条件で加熱する。冷却装置38は、単段体12に適した熱処理条件で冷却する。
【0037】
第二熱処理モードでは、熱処理装置26は、多段体18に適した条件で鋼材16を熱処理する。搬送装置40は、多段体18としての鋼材16に適した、加熱温度、加熱速度、保持時間、冷却温度、冷却速度等の熱処理条件になる様に、多段体18を適した搬送速度で搬送する。炉36は、多段体18に適した熱処理条件で加熱する。冷却装置38は、多段体18に適した熱処理条件で冷却する。
【0038】
排出装置28は、搬送装置40に接続されている。排出装置28は、搬送装置40から単段体12を自動で排出可能である。排出装置28は、図示されないが、例えばリフタを備える。このリフタが、搬送装置40の載置された単段体12を持ち上げ傾斜し、排出装置28の排出テーブル28Aに単段体12を排出する。このリフタは、例示であって、単段体12を搬送装置40から排出テーブル28Aに排出可能なものであればよい。
【0039】
この排出装置28は、第一排出モードと第二排出モードとに切り替え可能である。この排出装置28では、第一排出モードでは、単段体12は搬送装置40から排出テーブル28Aに排出可能にされる。第二排出モードでは、単段体12や多段体18は搬送装置40から排出テーブル28Aに排出不可にされる。
【0040】
制御装置30は、供給装置24、熱処理装置26及び排出装置28を制御する。制御装置30は、単段体12を処理するための第一モードと、多段体18を処理するための第二モードとに切り替えるスイッチ30Aを備える。
【0041】
この熱処理設備22では、スイッチ30Aが第一モードに切り替えられると、供給装置24が第一供給モードにされ、熱処理装置26が第一熱処理モードにされ、排出装置28は第一排出モードにされる。スイッチ30Aが第二モードに切り替えられると、供給装置24が第二供給モードにされ、熱処理装置26が第二熱処理モードにされ、排出装置28は第二排出モードにされる。
【0042】
この熱処理設備22では、供給装置24は、複数の鋼材10を水平方向に並べた単段体12を供給する第一供給モードと、複数の鋼材16を上下方向に重ねた多段体18を供給する第二供給モードとに切り替え可能である。熱処理装置26は、単段体12を搬送しつつ単段体12に適した条件で熱処理する第一熱処理モードと、多段体18を搬送しつつ多段体18に適した条件で熱処理する第二熱処理モードとに切り替え可能である。この熱処理設備22は、単段体12と多段体18とのいずれにも使用できる。
【0043】
供給装置24は、上下方向に重ねられた状態で複数の鋼材10を供給される予備テーブル32を備える。予備テーブル32から供給された複数の鋼材10を単段体12として熱処理装置26に供給する供給テーブル34を備える。この熱処理設備22は、上下方向に重ねられた状態で供給される複数の鋼材10を、単段体12に組み替えて、熱処理装置26に供給することが容易にされている。この観点から、供給装置24では、予備テーブル32と供給テーブル34とを備えることが、好ましい。
【0044】
また、ここでは、複数の鋼材10は束にされ結束された状態で予備テーブル32に供給されている。この予備テーブル32に載置した状態で、複数の鋼材10の結束が解除可能にされている。この熱処理設備22では、予備テーブル32を備えることで、結束された状態の複数の鋼材10を単段体12に組み替えて、熱処理装置26に供給することが容易にされている。
【0045】
この供給装置24では、供給テーブル34は、複数の鋼材16を多段体18として熱処理装置26に供給可能である。この熱処理設備22は、単段体12の供給と多段体18の供給とに兼用される供給装置24を備える。これにより、単段体12の供給設備と多段体18の供給設備とを別個に設ける必要がない。この観点から、供給装置24が単段体12と多段体18とのいずれをも熱処理装置26に供給可能にされることが、好ましい。
【0046】
一方で、この供給装置24では、複数の鋼材10が束ねられた結束体は、予備テーブル32に供給される。多段体18は、供給テーブル34に供給される。この結束体と多段体18との供給場所が異なるので、鋼材10を結束体のまま熱処理することが防止できる。多段体18の結束が解除されて鋼材16が熱処理されることが防止できる。この観点からも、供給装置24では、予備テーブル32と供給テーブル34とを備えることが、好ましい。
【0047】
熱処理設備22では、供給装置24を第一供給モードに切り替えることで、熱処理装置26が第一熱処理モードに切り替えられる。供給装置24を第二供給モードに切り替えることで、熱処理装置26が第二熱処理モードに切り替えられる。これにより、供給装置24が単段体12を第二熱処理モードにある熱処理装置26に供給することが防止される。供給装置24が多段体18を第一熱処理モードにある熱処理装置26に供給することが防止される。この観点から、供給装置24を第一供給モードに切り替えることで熱処理装置26が第一熱処理モードに切り替えられ、供給装置24を第二供給モードに切り替えることで熱処理装置26が第二熱処理モードに切り替えられることが、好ましい。
【0048】
熱処理設備22では、第一熱処理モードにある熱処理装置26がその熱処理を完了するまで供給装置24が第一供給モードに維持される。これにより、第一熱処理モードにある熱処理装置26に、供給装置24が多段体18を供給することが防止される。第二熱処理モードにある熱処理装置26がその熱処理を完了するまで供給装置24が第二供給モードに維持される。これにより、第二熱処理モードにある熱処理装置26に、供給装置24が単段体12を供給することが防止される。この観点から、第一熱処理モードにある熱処理装置26がその熱処理を完了するまで供給装置24が第一供給モードに維持され、第二熱処理モードにある熱処理装置26がその熱処理を完了するまで供給装置24が第二供給モードに維持されることが、好ましい。
【0049】
例えば、制御装置30は、熱処理装置26が第一熱処理モードにあるか又は第二熱処理モードにあるかを記憶する。制御装置30は、熱処理装置26がその熱処理を完了するまで、第一熱処理モード又は第二熱処理モードの記憶を維持する。制御装置30は、その熱処理が終了すると、第一熱処理モード又は第二熱処理モードの記憶をクリアする。制御装置30は、この記憶のクリアによって、その熱処理の完了を決定する。
【0050】
この場合、制御装置30は、第一熱処理モード又は第二熱処理モードの記憶が維持されている間、供給装置24における第一供給モード又は第二供給モードを維持し、供給装置24の切り替えを禁止する。これにより、第一熱処理モードにある熱処理装置26に供給装置24が多段体18を供給することが防止され、第二熱処理モードにある熱処理装置26に、供給装置24が単段体12を供給することが防止される。
【0051】
この熱処理設備22が備えるスイッチ30Aは、供給装置24を第一供給モードに切り替えると共に熱処理装置26を第一熱処理モードに切り替える。このスイッチ30Aは、供給装置24を第二供給モードに切り替えると共に熱処理装置26を第二熱処理モードに切り替える。この熱処理設備22はスイッチ30Aを切り替えることで、熱処理設備22の全体を、単段体12を処理する状態と多段体18を処理する状態とに切り替え可能である。この様に熱処理設備22の切り替えを容易にする観点から、熱処理設備22は、スイッチ30Aを備えることが好ましい。この熱処理設備22では、制御装置30がスイッチ30Aを備えるが、スイッチ30Aは制御装置30と別に設けられてもよい。
【0052】
前述の様に、この熱処理設備22では、第一熱処理モードにある熱処理装置26がその熱処理を完了するまで供給装置24が第一供給モードに維持されることが好ましい。且つ、第二熱処理モードにある熱処理装置26がその熱処理を完了するまで供給装置24が第二供給モードに維持されることが好ましい。この観点から、第一熱処理モード又は第二熱処理モードにある熱処理装置26がその熱処理を完了するまでに、スイッチ30Aが供給装置24を第二供給モード又は第一供給モードに切り替えると、供給装置24はモード切替を待機する待機モードにされることが好ましい。更には、この熱処理設備22は、供給装置24が待機モードにあることを表示する表示灯等の表示を備えることが、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明された熱処理設備は、鋼材の熱処理に広く適用されうる。
【符号の説明】
【0054】
10・・・鋼材(第一鋼材)
12・・・単段体
16・・・鋼材(第二鋼材)
18・・・多段体
22・・・熱処理設備
24・・・供給装置
26・・・熱処理装置
30・・・制御装置
30A・・・スイッチ
32・・・予備テーブル
34・・・供給テーブル
36・・・炉
38・・・冷却装置
40・・・搬送装置