(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167630
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】アレーアンテナ及びアンテナシステム
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/40 20060101AFI20221027BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01Q3/40
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073561
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅 瑞紀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 耕大
(72)【発明者】
【氏名】新井 拓人
(72)【発明者】
【氏名】白戸 裕史
(72)【発明者】
【氏名】内田 大誠
(72)【発明者】
【氏名】俊長 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】北 直樹
(72)【発明者】
【氏名】加保 貴奈
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA07
5J021DB03
5J021FA07
5J021GA02
5J021HA05
(57)【要約】
【課題】マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制する技術を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、複数のアンテナ素子と、給電回路として動作する複数のマトリクス回路と、N枚(Nは2以上の整数)の基板と、を備え、N枚の前記基板それぞれには、少なくとも1つの前記アンテナ素子と少なくとも1つの前記マトリクス回路とが形成されており、N枚の前記基板は積層された状態にあり、前記アンテナ素子の位置は、複数の前記アンテナ素子はアレー状に配置されるという条件と、前記アンテナ素子が電磁波を放射又は受信する方向には前記電磁波を遮る遮蔽物が存在しないという条件と、積層方向に隣接する任意の2つの前記基板の一方におけるアンテナ素子の位置と他方におけるアンテナ素子の位置との間の積層方向に垂直な方向の距離は前記電磁波の波長の半分以上であるという条件と、を含む、アレーアンテナである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子と、
給電回路として動作する複数のマトリクス回路と、
N枚(Nは2以上の整数)の基板と、
を備え、
N枚の前記基板それぞれには、少なくとも1つの前記アンテナ素子と少なくとも1つの前記マトリクス回路とが形成されており、
N枚の前記基板は積層された状態にあり、
前記アンテナ素子の位置は、複数の前記アンテナ素子はアレー状に配置されるという条件と、前記アンテナ素子が電磁波を放射又は受信する方向には前記電磁波を遮る遮蔽物が存在しないという条件と、積層方向に隣接する任意の2つの前記基板の一方におけるアンテナ素子の位置と他方におけるアンテナ素子の位置との間の積層方向に垂直な方向の距離は前記電磁波の波長の半分以上であるという条件と、を含む、
アレーアンテナ。
【請求項2】
積層方向の向き合う2つの前記基板の向き合う2面の間の距離は零より大きい、
請求項1に記載のアレーアンテナ。
【請求項3】
N枚の前記基板それぞれは、空隙を介して配置される、
請求項2に記載のアレーアンテナ。
【請求項4】
前記アンテナ素子が位置する部位の厚みが少なくとも1つの前記基板については他の前記基板と異なる、
請求項1に記載のアレーアンテナ。
【請求項5】
基板の重心の移動方向である変位方向と積層方向とに垂直な方向に平行にアレー状に配置された複数のコネクタを備える、
請求項1に記載のアレーアンテナ。
【請求項6】
複数のアンテナ素子と、給電回路として動作する複数のマトリクス回路と、N枚(Nは2以上の整数)の基板と、を備え、N枚の前記基板それぞれには、少なくとも1つの前記アンテナ素子と少なくとも1つの前記マトリクス回路とが形成されており、N枚の前記基板は積層された状態にあり、前記アンテナ素子の位置は、複数の前記アンテナ素子はアレー状に配置されるという条件と、前記アンテナ素子が電磁波を放射又は受信する方向には前記電磁波を遮る遮蔽物が存在しないという条件と、積層方向に隣接する任意の2つの前記基板の一方におけるアンテナ素子の位置と他方におけるアンテナ素子の位置との間の積層方向に垂直な方向の距離は前記電磁波の波長の半分以上であるという条件と、を含む、右アンテナと、前記右アンテナと同一の構成の左アンテナとが、積層方向に垂直な面内で向き合うように接着された状態にある、
アレーアンテナ。
【請求項7】
複数のアンテナ素子と、給電回路として動作する複数のマトリクス回路と、N枚(Nは2以上の整数)の基板と、を備え、N枚の前記基板それぞれには、少なくとも1つの前記アンテナ素子と少なくとも1つの前記マトリクス回路とが形成されており、N枚の前記基板は積層された状態にあり、前記アンテナ素子の位置は、複数の前記アンテナ素子はアレー状に配置されるという条件と、前記アンテナ素子が電磁波を放射又は受信する方向には前記電磁波を遮る遮蔽物が存在しないという条件と、積層方向に隣接する任意の2つの前記基板の一方におけるアンテナ素子の位置と他方におけるアンテナ素子の位置との間の積層方向に垂直な方向の距離は前記電磁波の波長の半分以上であるという条件と、を含む、アレーアンテナと、
前記マトリクス回路の各入出力端子に対する入出力信号を切り替えることで直交する2方向の一方のビームの伝搬方向を制御し、前記基板に形成された回路それぞれに対する入出力信号の位相を制御することにより他方のビームの伝搬方向を制御する制御部と、
を備えるアンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレーアンテナ及びアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信システムの普及に伴い、6GHz以下の周波数の利用が逼迫してきている。高速化、大容量化のニーズの高まりから、準ミリ波帯域やミリ波帯域など、より高い周波数帯域の利用が検討されている。このような高い周波数を用いる場合、電波の直進性が強いため、移動端末で快適に使うには、高利得のビームを作り、そのビームの方向を制御することが検討されている(非特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】岸山祥久、外4名、「ミリ波を用いた超高速・長距離伝送の5G屋外実験」、NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル、Vol.26、No.1、pp.25-32、April、2018.
【非特許文献2】C. H. Hsieh, Y. T. Lin, H. C. Jhan, Z. M. Tsai, “A Novel Concept for 2D Butler Matrix with Multi-Layers Technology”, Proceedings of 2018 Asia-Pacific Microwave Conference, pp.533-535, 2018.
【非特許文献3】B. Piovano, L. Accatino, F. Muoio, G. Caille, M. Mongiardo, “Cad and Mechanical Realization of Planar, Ka-Band, 8x8 Butler Matrices,” Proc. of 32nd European Microwave Conference, 2002.
【非特許文献4】Pascual Hilario Re, Cristian Alistarh, Symon Podilchak, George Goussetis, John Thompson, Jaesup Lee, “Millimeter-Wave FMCW Radar Development using SIW Butler Matrix for Time Domain Beam Steering,” Proceedings of the 16th European Radar Conference, pp.141-144, 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線信号のビーム方向を電気的に制御するためのアナログ回路技術としては、大別するとRF(無線周波数)やIF(中間周波数)帯域の可変移相器を使ったビーム形成回路と、バトラーマトリクス回路が挙げられる。
【0005】
可変移相器を使ったフェーズドアレーアンテナは、一般的にはビーム方向の細かな制御が可能である利点がある。しかしながら、通常はアンテナ素子数と同じ数の可変移相器が必要となり、部品点数が増加すること、それに伴い可変移相器の制御信号も増加し、装置が複雑になるという課題がある。
【0006】
バトラーマトリクス回路とアレーアンテナを組合せる方法は、ビームの方向は離散的な制御となるが、信号入力または信号出力端子の選択でビームが決まるため、ビームの制御は単純であるというメリットがある。しかし、バトラーマトリクスは配線を交差させるため入出力端子数を増加させることが難しく、アレーアンテナの多素子化が難しい。実際に試作等を行って発表されているものは4~16素子程度のリニアアレーアンテナに組合せている例が多い。2次元アレーアンテナとの接続は、配線が複雑になりやすい。配線が複雑になることは、例えば非特許文献2の
図1や、非特許文献2の
図3や、非特許文献3の
図1や、非特許文献4の
図4に記載されている。
【0007】
非特許文献2の
図1は、水平方向と垂直方向のバトラーマトリクス回路基板を合計8枚用意し、コネクタ、ケーブルで2次元アレーアンテナと接続した例を示す。数GHz以下の低い周波数帯域では位相誤差が少ないため構成しやすいが、ミリ波帯域ではコネクタの実装やケーブルの曲げによる損失および位相変化が大きくなること、コネクタやケーブルの価格が高いという課題がある。また、8枚の基板を縦横に接続するため、装置の体積が大きくなるといった課題がある。
【0008】
非特許文献2の
図3は、バトラーマトリクス部分の基板と、アンテナと接続するための交差配線を含む基板とを作り、基板間をプッシュオンコネクタ(SMP)で接続している構成がある。こちらは小型化には向いているが、ミリ波帯域ではプッシュオンコネクタの通過位相のばらつきが大きいこと、コネクタの部品価格が高いことが課題となる。特に、バトラーマトリクスとアンテナの間にコネクタを用いることは、位相特性のばらつきの原因となり、ビーム特性に与える影響が大きい。
【0009】
非特許文献3の
図1は、導波管でバトラーマトリクスを構成する例もある。特にミリ波帯域では導波管の方がプリント基板より伝送信号の通過損失が小さいことから、衛星搭載用などに使われている。しかしながら、配線の交差部分に導波管の90度ハイブリッドを2段使う必要があるなど、体積が大きく、重量が重くなるという課題がある。
【0010】
非特許文献4の
図4のように、同一のプリント基板にバトラーマトリクス回路とアンテナを構成した例もある。この例ではコネクタもケーブルも不要であるが、アンテナは2次元アレーアンテナに接続しても、水平もしくは垂直方向のどちらかしかビームを動かすことはできない。
【0011】
このことは給電回路としてバトラーマトリクス回路を備えるアンテナに限らず、給電回路としてマトリクス回路を備えるアンテナに共通の課題である。
【0012】
上記事情に鑑み、本発明は、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、複数のアンテナ素子と、給電回路として動作する複数のマトリクス回路と、N枚(Nは2以上の整数)の基板と、を備え、N枚の前記基板それぞれには、少なくとも1つの前記アンテナ素子と少なくとも1つの前記マトリクス回路とが形成されており、N枚の前記基板は積層された状態にあり、前記アンテナ素子の位置は、複数の前記アンテナ素子はアレー状に配置されるという条件と、前記アンテナ素子が電磁波を放射又は受信する方向には前記電磁波を遮る遮蔽物が存在しないという条件と、積層方向に隣接する任意の2つの前記基板の一方におけるアンテナ素子の位置と他方におけるアンテナ素子の位置との間の積層方向に垂直な方向の距離は前記電磁波の波長の半分以上であるという条件と、を含む、アレーアンテナである。
【0014】
本発明の一態様は、複数のアンテナ素子と、給電回路として動作する複数のマトリクス回路と、N枚(Nは2以上の整数)の基板と、を備え、N枚の前記基板それぞれには、少なくとも1つの前記アンテナ素子と少なくとも1つの前記マトリクス回路とが形成されており、N枚の前記基板は積層された状態にあり、前記アンテナ素子の位置は、複数の前記アンテナ素子はアレー状に配置されるという条件と、前記アンテナ素子が電磁波を放射又は受信する方向には前記電磁波を遮る遮蔽物が存在しないという条件と、積層方向に隣接する任意の2つの前記基板の一方におけるアンテナ素子の位置と他方におけるアンテナ素子の位置との間の積層方向に垂直な方向の距離は前記電磁波の波長の半分以上であるという条件と、を含む、アレーアンテナと、前記マトリクス回路の各入出力端子に対する入出力信号を切り替えることで直交する2方向の一方のビームの伝搬方向を制御し、前記基板に形成された回路それぞれに対する入出力信号の位相を制御することにより他方のビームの伝搬方向を制御する制御部と、を備えるアンテナシステムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態のアンテナシステム100の構成の一例を示す図。
【
図2】第1実施形態におけるアレーアンテナ1の回路構成の第1の例を説明する説明図。
【
図3】第1実施形態におけるアレーアンテナ1の回路構成の第2の例を説明する説明図。
【
図4】第1実施形態におけるアレーアンテナ1の回路構成の第3の例を説明する説明図。
【
図5】第1実施形態におけるアンテナ制御装置2のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図6】第2実施形態のアンテナシステム100aの構成の一例を示す図。
【
図7】第3実施形態のアンテナシステム100bの構成の一例を示す図。
【
図8】第4実施形態のアンテナシステム100cの構成の一例を示す図。
【
図9】第5実施形態のアンテナシステム100dの構成の一例を示す図。
【
図10】6実施形態のアンテナシステム100eの構成の一例を示す図。
【
図11】第7実施形態のアンテナシステム100fの構成の一例を示す図。
【
図12】変形例におけるアンテナシステム100gの回路構成の一例を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のアンテナシステム100の構成の一例を示す図である。アンテナシステム100は、アレーアンテナ1及びアンテナ制御装置2を備える。アレーアンテナ1はアレーアンテナである。アレーアンテナ1は2次元又は3次元のアレーアンテナである。アンテナ制御装置2はアレーアンテナ1の動作を制御する。以下説明の簡単のため、アレーアンテナ1が2次元のアレーアンテナである場合を例に、アンテナシステム100を説明する。
【0018】
アンテナシステム100は、アレーアンテナ1によりビームを形成する。なお、ビームとは、アレーアンテナ1が備えるアンテナ素子101の送受信した電磁波の干渉の結果の電磁波である。すなわちビームとは、各アンテナ素子101が送受信した電磁波の合波である。
【0019】
アレーアンテナ1が形成するビームの方向は、アンテナ制御装置2による制御により制御される。すなわち、アンテナシステム100は可変ビームの機能を有するビーム形成システムである。アンテナシステム100におけるビーム方向は、例えば
図1におけるZ軸方向(すなわち積層方向)である。
【0020】
なお、一般にアンテナは電磁波を放射(すなわち送信)する機能を有するとともに受信する機能も有する。そしてアンテナは電磁波の送受信に関して、時間反転対称性を有する。アレーアンテナ1についてもこのことは同様である。そこで以下説明の簡単のため、放射を例にアンテナシステム100を説明するが、受信についても同様である。なお、時間反転対称性を有する点で送信についてのアレーアンテナ1の動作と受信についてのアレーアンテナ1の動作とが同様であるため、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われる。
【0021】
アレーアンテナ1は、複数のアンテナ素子101と、複数のマトリクス回路102と、N枚(Nは2以上の整数)の基板103と、機能回路104と、複数の入出力コネクタ105とを少なくとも備えるアレーアンテナである。
図1の例における基板103の数は4である。アレーアンテナ1は、さらに後述の分配器143と後述のデジタルBFN145とのいずれか一方を備える。分配器143とデジタルBFN145とは入出力コネクタ105に接続される。
【0022】
アンテナ素子101それぞれは給電されることで電磁波を放射するアンテナ素子である。アンテナ素子101は、電圧又は電流が印加された場合に、所定の強度以上の電磁波を放射可能であればどのようなものであってもよい。そのため、アンテナ素子101は、例えば導線で形成される。
【0023】
複数のマトリクス回路102はそれぞれ、給電回路として動作するマトリクス回路である。マトリクス回路102は、例えばバトラーマトリクス回路である。
【0024】
基板103それぞれは、プリント基板や低温焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramics;LTCC)基板等の基板である。基板103の形状は、積層可能な形状であればどのような形状であってもよい。基板103の形状は、例えば平面形状である。
【0025】
機能回路104は、バトラーマトリクス回路等のマトリクス回路102に接続される回路である。機能回路104は、基板103の面であってマトリクス回路102が形成された面の反対側の面に形成される。
【0026】
入出力コネクタ105は、機能回路104とアンテナ制御装置2とを接続するコネクタである。入出力コネクタ105を介して、機能回路104にアンテナ制御装置2で生成された送信信号が入力される。機能回路104は、アンテナ制御装置2の制御信号によって動作する。送信信号はアレーアンテナ1が送信する信号である。なお機能回路104の動作を制御する制御信号は、アンテナ制御装置2と機能回路104とをつなぐ経路であって入出力コネクタ105を介さない経路を伝搬することでアンテナ制御装置2から機能回路104まで伝搬してもよい。機能回路104の動作を制御する制御信号は、入出力コネクタ105を介してアンテナ制御装置2から機能回路104まで伝搬してもよい。経路は、具体的には例えば導線である。
【0027】
N枚の基板103それぞれは、少なくとも1つのアンテナ素子101と少なくとも1つのマトリクス回路102とが形成された状態にある。N枚の基板103は積層された状態にある。
図1において積層方向は、Z軸方向である。
図1においてZ軸方向は、基板103の面に垂直な方向である。また、N枚の基板103それぞれは、少なくとも1つの機能回路104と少なくとも1つの入出力コネクタ105とが形成された状態にある。
【0028】
アレーアンテナ1は、アンテナ素子101の位置に関する所定の条件である配置条件を満たす。配置条件は、第1副配置条件、第2副配置条件、第3副配置条件を少なくとも含む。
【0029】
第1副配置条件は、複数のアンテナ素子101はアレー状に配置された状態にある、という条件である。
【0030】
第2副配置条件は、アンテナ素子101が電磁波を放射又は受信する方向には電磁波を遮る遮蔽物が存在しないという条件である。遮蔽物は、アンテナ素子101が放射又は受信する電磁波を遮るものであればどのようなものでもよい。遮蔽物は、例えば他のアンテナ素子101である。基板103が電磁波を遮る物質で形成されている場合には、基板103は遮蔽物の一例である。
【0031】
第3副配置条件は、積層方向に隣接する任意の2つの基板103の一方の基板103におけるアンテナ素子101の位置と他方の基板103におけるアンテナ素子101の位置との間の積層方向に垂直な方向の距離はアンテナ素子101が放射又は受信する電磁波の波長の半分以上であるという条件である。
【0032】
図1の例のアレーアンテナ1は、上記配置条件を満たす。その理由を説明する。
図1の例のアレーアンテナ1は、基板103ごとに、基板103のX軸正方向の端部にY軸に平行にアレー状にアンテナ素子101が配置された状態にある。さらに、
図1の例のアレーアンテナ1は、X軸方向にもアレー状にアンテナ素子101が配置された状態にある。これは
図1の例のアレーアンテナ1が第1副配置条件を満たすことを示す。
【0033】
図1の例のアレーアンテナ1において、4枚の基板103は大きさ及び形状が基板103に依らず同一であり、各基板103が送信又は受信する電磁波の波長の半分以上、それぞれ一方向にずらして重ねて配置された状態にある。より具体的には、
図1の例のアレーアンテナ1では4枚の基板103は大きさ及び形状が基板103に依らず同一であり、隣接する基板103同士はX軸方向の端部が、各基板103が送信又は受信する電磁波の波長の半分の長さずらして重ねられた状態にある。そして、
図1の例のアレーアンテナ1において各基板103におけるアンテナ素子101の位置は、基板103に依らず同一である。そのため、アレーアンテナ1は、第3副配置条件を満たす。
【0034】
以下、基板103が積層される際にずらされる一方向を変位方向という。より具体的には、変位方向は、積層された各基板103の重心の移動方向である。
図1の例において変位方向はX軸方向である。変位方向は積層方向に垂直である。
【0035】
また隣接する基板103同士は、隣接基板上のアンテナ素子101同士の変位方向の間隔が、放射又は受信する電磁波の波長の半分以上の等間隔であるようずらして重ねられている。そして、各基板103におけるアンテナ素子101の位置は基板103に依らず同一である。さらに、
図1の例のアレーアンテナ1では、基板103の重心の変位方向の位置は、基板103の重心のZ軸方向の位置に比例した位置に存在する。そのため、
図1の例のアレーアンテナ1では、アンテナ素子101が電磁波を放射する方向には遮蔽物が位置しない、これは
図1の例のアレーアンテナ1が第2副配置条件を満たすことを意味する。
【0036】
このように、
図1のアレーアンテナ1は、配置条件を満たす。なお、
図1のアレーアンテナ1では、アンテナ素子101のZ軸正方向には基板103が存在しない。しかしながら、基板103が例えば電波を透過させる物質である場合には、基板103は遮蔽物ではないので、アンテナ素子101のZ軸正方向に基板103が存在してもよい。
【0037】
なお、
図1のアレーアンテナ1では、基板103の大きさ及び形状は基板103に依らず同一であるが、配置条件が満たされていれば基板103は必ずしも大きさ及び形状が同一である必要は無い。例えば、各基板103のY軸方向の幅は、それぞれ異なってもよい。
【0038】
ただし、基板103の大きさ及び形状は基板103に依らず同一である方が、製造に要する負担を軽減することができるため好ましい。製造に要する負担は、例えば設計コストである。製造に要する負担は、例えば部品コストである。基板103の大きさ及び形状が基板103に依らず同一である場合、基板103や実装部品の量産性及び汎用性が高まる。そのため、基板103の大きさ及び形状が基板103に依らず同一である場合、アレーアンテナ1は部品コストを軽減する効果を奏する。
【0039】
バトラーマトリクス回路のみで2次元方向のビームの制御を実現する場合、片方向(すなわち、垂直方向又は水平面方向のいずれか一方)のビーム用の回路の出力端子と反対方向のビーム用の回路の入力端子とを立体的に交差させる必要がある。立体的な配線以外にも例えば接続用基板とプッシュオンコネクタを用いる方法や導波管を用いる方法がある。このような立体的に交差する配線等の3次元的な配線が必要になるため、バトラーマトリクス回路のみで2次元方向のビームの制御を実現する場合には、配線の複雑化が生じる。一方、アンテナシステム100では、配置条件が満たされる場合、スイッチを介して各マトリクス回路102の入力端子と分配器143とが接続された状態にあるだけで、2次元方向のビームの制御が実現される。そのため、アンテナシステム100では、配線の複雑化を抑制することができる。
【0040】
また、アレーアンテナ1では、立体的に交差させるような多層配線ではなく基板を積層することで基板103の平坦性を向上させることができる。また、バトラーマトリクス回路とアンテナ素子の間でコネクタやケーブルを使用しないことでアレーアンテナ1は通過損失を軽減することができる。アレーアンテナ1は、例えばミリ波帯の通過損失を低減することができる。
【0041】
また、アレーアンテナ1では各基板103あたりの多層配線の数を軽減することができるため、配線間のビア配置の自由度を増大させることができる。そのため、アレーアンテナ1は、アレーアンテナ1自体の設計を容易にすることができる。
【0042】
アンテナ制御装置2は、アレーアンテナ1の動作を制御する。アンテナ制御装置2の制御により、アレーアンテナ1は例えばZ軸正方向に電磁波を放射する。
【0043】
なお、アレーアンテナ1の各基板103に配置された複数のアンテナ素子101は、各基板103において1次元的に配置されている。以下、基板103ごとに定義される集合であって各基板103において1次元的に配置された複数のアンテナ素子101の集合を、リニアアレー集合という。そのため、アレーアンテナ1は、各基板103に1つのリニアアレー集合が形成された状態にある。
図1の例では、リニアアレー集合は、Y軸に平行である。
【0044】
図2は、第1実施形態におけるアレーアンテナ1の回路構成の第1の例を説明する説明図である。
図2において、枠A1~枠A4で囲まれた領域は、それぞれ1つの基板103に形成された回路を表す。以下、説明の簡単のため
図1に記載の機能と同様の機能を有するものについては、
図1と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0045】
図2の例において各基板103は、移相器141と、スイッチ142と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101とから形成された状態にある。移相器141は、可変位相器等の移相器である。移相器141は、例えばアナログ可変位相器であってもよい。
図2の例では、移相器141は一方がスイッチ142に接続され他方が分配器143に接続される。スイッチ142は、電流の流れる方向や電流のオンとオフ等の電流の流れを制御するスイッチである。分配器143は分配器である。分配器143は、複数の移相器141に接続される。分配器143は、入出力コネクタ105に接続される。
【0046】
図2の例において各基板103の機能回路104は、各基板103に形成された移相器141とスイッチ142とによって構成される回路である。送信信号は、分配器143を介して各基板103の機能回路104に入力される。なお、
図2における送受信信号は、送信信号又は受信信号を意味する。受信信号は、アレーアンテナ1が受信する信号である。送信信号は、アンテナ制御装置2から分配器143に送信される。受信信号は分配器143を通ってアンテナ制御装置2まで伝搬する。送信信号は、アンテナ制御装置2が備える機能部であって後述するRF部27が生成する。
【0047】
図2の例では、マトリクス回路102は、バトラーマトリクスである。マトリクス回路102は、スイッチ142とアンテナ素子101とに接続される。
【0048】
図2の例において、移相器141及びスイッチ142はアンテナ制御装置2によって動作が制御される。
【0049】
図2の例では、水平方向又は垂直方向等の直交する2方向の一方についてのビームの伝搬方向の制御はマトリクス回路102によって行われる。マトリクス回路102によって行われるとは、具体的には、送信信号を入力するマトリクス回路102の各入出力端子を切り替えること、を意味する。送信信号の入力先の入力端子であってマトリクス回路102の各入力端子は、例えばアンテナ制御装置2の制御を受けるスイッチによって切り替えられる。
図2の例では、直交する2方向のうちマトリクス回路102によって制御されない他方の方向についてのビームの伝搬方向の制御については移相器141によって行われる。
【0050】
移相器141は伝搬方向を制御するだけではなく、基板103のZ軸方向の高さの違いによって生じる位相差を軽減することもできる。このことについて説明する。アレーアンテナ1が備える各基板103は、Z軸方向の高さが異なる。そのため、アンテナ素子101に到達する2つの電気信号であって互いに異なる基板103を伝搬する2つの電気信号の間には、たとえ初期位相が同一でXY面内での電気信号の伝送経路の長さが同じであっても、位相差が生じる。移相器141は、電気信号の位相を回転させるため、基板103のZ軸方向の高さの違いによって生じる位相差を軽減することができる。
【0051】
移相器141及びスイッチ142は、チップ部品等の半導体回路で小型に実装可能である。そのため移相器141及びスイッチ142は、基板103への実装が容易である。なお、半導体回路は、
図1に示すように、アレーアンテナ1において第3副配置条件が満たされることで現れた基板103の裏面に例えば形成される。
【0052】
なお、
図2の例において、アレーアンテナ1が備える基板103と各基板103に形成された移相器141、スイッチ142、マトリクス回路102及びアンテナ素子101との組は説明の簡単のため4つである。すなわち、
図2の例において、基板103と、移相器141と、スイッチ142と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101との組は4つである。しかしながら、基板103と、移相器141と、スイッチ142と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101との組は5つ以上であってもよいし、4つ未満であってもよい。また、
図2の例において、各基板103が備えるリニアアレー集合は4つのアンテナ素子101から構成されている。しかしながらリニアアレー集合を構成するアンテナ素子101は5つ以上であってもよいし、4つ未満であってもよい。
【0053】
図3は、第1実施形態におけるアレーアンテナ1の回路構成の第2の例を説明する説明図である。
図3において、枠A5~枠A8で囲まれた領域は、それぞれ1つの基板103に形成された回路を表す。以下、説明の簡単のため
図1~2に記載の機能と同様の機能を有するものについては、
図1~2と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0054】
図3の例において各基板103は、周波数変換器144と、スイッチ142と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101とが形成された状態にある。
図3の例では、周波数変換器144は一方がスイッチ142に接続され他方が入出力コネクタ105を介してデジタルBFN145に接続される。周波数変換器144は、デジタルBFN(Beam Forming Network)145が出力した信号の周波数を無線周波数に変換する周波数変換器である。周波数変換器144は、例えばアップコンバータ又はダウンコンバータである。周波数変換器144は、周波数変換後の信号をスイッチ142に出力する。デジタルBFN145はA/D(Analog/Digital;アナログ/デジタル)変換機能、D/A(Digital/Analog;デジタル/アナログ)変換機能及びデジタル信号処理機能を備え、入力された信号に対してデジタル信号処理を実施する。
【0055】
なお、A/D機能を有するとはアナログ信号をデジタル信号に変換する処理を実行可能であることを意味する。D/A機能を有するとはデジタル信号をアナログ信号に変換する処理を実行可能であることを意味する。デジタル信号処理機能とは、デジタル信号処理を実行可能であることを意味する。デジタル信号処理は、例えばプレコーディングである。
【0056】
デジタル信号処理は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ93及びメモリ94を備える制御部451と、記憶部452と、入出力部453と、を少なくとも備える情報処理部450によって実行される。そのため、デジタル信号処理機能と、A/D変換機能と、D/A変換機能とを備えるデジタルBFN145は、少なくとも情報処理部450とAD変換器460とDA変換器470とを備える装置である。AD変換器460はA/D変換を行う。DA変換器470はD/A変換を行う。
【0057】
このように、デジタルBFN145は、バスで接続されたプロセッサ93及びメモリ94を備える制御部451と、記憶部452と、入出力部453と、通信部454とを少なくとも備える。より具体的にデジタルBFN145について説明する。デジタルBFN145は、制御部451を備え、プログラムを実行する。デジタルBFN145は、プログラムの実行によって制御部451、記憶部452、入出力部453、通信部454、AD変換器460及びDA変換器470を備える装置として機能する。
【0058】
さらに具体的には、デジタルBFN145は、プロセッサ93が記憶部452に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ94に記憶させる。プロセッサ93が、メモリ94に記憶させたプログラムを実行することによって、デジタルBFN145は、制御部451、記憶部452、入出力部453、通信部454、AD変換器460及びDA変換器470を備える装置として機能する。
【0059】
制御部451は、デジタルBFN145が備える各機能部の動作を制御する。制御部451は、例えば通信部454の動作を制御することで通信部454を介してアンテナ制御装置2が出力した制御信号を取得する。制御部451は、アンテナ制御装置2がデジタルBFN145に対して出力した制御信号、が示す内容にしたがった制御を実行する。アンテナ制御装置2がデジタルBFN145に対して出力した制御信号の内容は、例えばデジタルBFN145が備える制御部にプレコーディングを実行させる指示である。
【0060】
制御部451は、例えば入出力部453の動作を制御する。制御部451は、例えばデジタル信号処理を実行する。制御部451が実行するデジタル信号処理は、予め定められた処理であって、例えばデジタルBFN145が備える通信部に入力された制御信号に基づきプレコーディングを実行する処理である。
【0061】
制御部451は、例えばアレーアンテナ1が出力するビームの伝搬方向を制御する。制御部451は、具体的にはビームを形成するように各基板に入力される信号の位相を制御することで、アレーアンテナ1が出力するビームの伝搬方向を制御する。
【0062】
記憶部452は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部452はデジタルBFN145に関する各種情報を記憶する。記憶部452は、例えばデジタルBFN145が備える各機能部の動作を制御するプログラムを予め記憶する。
【0063】
入出力部453は、AD変換器460に接続するインタフェースとDA変換器470に接続するインタフェースとを含んで構成される。入出力部453は、AD変換器460が出力した信号の入力を受け付け、受け付けた信号を制御部451に出力する。入出力部453は、AD変換器460が出力した信号を取得した制御部451が出力した信号を、DA変換器470に出力する。入出力部453は、DA変換器470が出力した信号の入力を受け付け、受け付けた信号を、入出力コネクタ105を介して各基板103に出力する。
【0064】
通信部454は、アンテナ制御装置2に接続するインタフェースを含んで構成される。通信部454は、有線又は無線を介してアンテナ制御装置2と通信する。通信部454はアンテナ制御装置2との通信によってアンテナ制御装置2が出力した制御信号を取得する。
【0065】
AD変換器460は入出力部453と入出力コネクタ105とに接続され、入出力コネクタ105から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し入出力部453に出力する。DA変換器470は入出力部453と入出力コネクタ105とに接続され、入出力部453から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換し入出力コネクタ105に出力する。
【0066】
デジタルBFN145は、複数の周波数変換器144に接続される。デジタルBFN145は、入出力コネクタ105に接続される。より具体的にはデジタルBFN145は、入出力部453を介して入出力コネクタ105に接続される。
【0067】
図3の例において各基板103の機能回路104は、各基板103に形成された周波数変換器144とスイッチ142とによって構成される回路である。
【0068】
図3の例では、マトリクス回路102は、バトラーマトリクスである。マトリクス回路102は、スイッチ142とアンテナ素子101とに接続される。
【0069】
図3の例において、周波数変換器144、スイッチ142、及びデジタルBFN145はアンテナ制御装置2によって動作が制御される。
【0070】
図3の例では、水平方向又は垂直方向等の直交する2方向の一方についてのビームの伝搬方向の制御はマトリクス回路102によって行われる。
図3の例では、直交する2方向のうちマトリクス回路102によって制御されない他方の方向についてのビームの伝搬方向の制御についてはデジタルBFN145によって行われる。
図3に例示するアレーアンテナ1は、各基板103で実行されるアナログビームフォーミングとデジタルBFN145で実行されるデジタル処理とを組み合わせたアナログ・デジタルのハイブリッドビームフォーミングの構成である。そのため、アレーアンテナ1は、アナログ・デジタルのハイブリッドビームフォーミングを行うことができる。
【0071】
デジタルBFN145は伝搬方向を制御するだけではなく、基板103のZ軸方向の高さの違いによって生じる位相差を軽減することもできる。このことについて説明する。上述したように、アレーアンテナ1が備える各基板103は、Z軸方向の高さが異なる。そのため、アンテナ素子101に到達する2つの電気信号であって互いに異なる基板103を伝搬する2つの電気信号の間には、たとえ初期位相が同一でXY面内での電気信号の伝送経路の長さが同じであっても、位相差が生じる。デジタルBFN145は、Z軸方向の高さが異なることにより生じる位相差を相殺する位相をあらかじめデジタル処理にて信号に与えておくことにより、基板103のZ軸方向の高さの違いによって生じる位相差を軽減することができる。
【0072】
周波数変換器144は、上述したように例えばアップコンバータ又はダウンコンバータであるが、アップコンバータ又はダウンコンバータは、チップ部品等の半導体回路で小型に実装可能である。そのため、周波数変換器144は基板103への実装が容易である。
【0073】
なお、
図3の例において、アレーアンテナ1は、周波数変換器144による周波数の変換前に信号の増幅を行う増幅器をさらに備えてもよい。また、
図3の例において、アレーアンテナ1は、周波数変換器144による周波数の変換後に信号の増幅を行う増幅器をさらに備えてもよい。すなわち、スイッチ142には、デジタルBFN145が出力した信号に対して周波数変換が行われた信号だけが入力される必要は無く、デジタルBFN145が出力した信号に対して周波数変換と増幅とが行われた信号が入力されてもよい。
【0074】
なお、
図3の例において、アレーアンテナ1が備える基板103と各基板103に形成された周波数変換器144、スイッチ142、マトリクス回路102及びアンテナ素子101との組は説明の簡単のため4つである。すなわち、
図3の例において、基板103と、周波数変換器144と、スイッチ142と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101との組は4つである。しかしながら、基板103と、周波数変換器144と、スイッチ142と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101との組は5つ以上であってもよいし、4つ未満であってもよい。
【0075】
図4は、第1実施形態におけるアレーアンテナ1の回路構成の第3の例を説明する説明図である。
図4において、枠A9-1~枠A9-Q(Qは2以上の整数)で囲まれた領域は、それぞれ1つの基板103に形成された回路を表す。
【0076】
図4の例において各基板103は、複数の周波数変換器144と、複数の増幅器146と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101とが形成された状態にある。増幅器146は、増幅器である。
図4の例において増幅器146は、周波数変換器144が出力した信号を増幅する。以下、説明の簡単のため
図1~3に記載の機能と同様の機能を有するものについては、
図1~3と同じ符号を付すことで説明を省略する。なお、アレーアンテナ1は、必ずしも増幅器146を備える必要は無い。
【0077】
図4の例では、周波数変換器144は一方が増幅器146に接続され他方がデジタルBFN145に接続される。
図4の例では、各基板103において、周波数変換器144の数と、増幅器146の数と、アンテナ素子101の数とは同一である。
【0078】
図4の例において各基板103の機能回路104は、各基板103に形成された周波数変換器144と増幅器146とによって構成される回路である。
【0079】
図4の例では、マトリクス回路102は、バトラーマトリクスである。マトリクス回路102は、増幅器146とアンテナ素子101とに接続される。
【0080】
図4の例において、周波数変換器144及びデジタルBFN145はアンテナ制御装置2によって動作が制御される。
【0081】
図4の例では、水平方向又は垂直方向等の直交する2方向の一方に伝搬する複数のビームがマトリクス回路102によって制御される。
図4の例では、水平方向又は垂直方向等の直交する2方向の他方に伝搬する複数のビームがデジタルBFN145によって制御される。
【0082】
なお、
図4の例において、
図2及び
図3の例と異なり、直交する2方向の各方向についてそれぞれ複数のビームが形成される理由は、マトリクス回路102の複数の入力ポートに信号が入力されることにより一方に伝搬する複数のビームが形成されるからである。そして、マトリクス回路102の入力ポートに入力される信号はそれぞれデジタルBFN145にて他方に伝搬するビームを制御されるからである。そのため、
図4に例示するアレーアンテナ1は、複数のビームを同時に生成するアナログ・デジタルのハイブリッドのMIMO(multiple-input and multiple-output)空間多重を行うことができる。
【0083】
図4に例示するアレーアンテナ1は、ビーム間の信号間のアイソレーションを確保することで、伝送速度の高速化が可能である。なぜなら、ビーム間の信号間のアイソレーションが確保されることでMIMO空間多重を実行可能だからである。また、ビーム間の信号間のアイソレーションは、例えばマトリクス回路102によるアナログビームフォーミングによって確保される。なお、マトリクス回路102によるアナログビームフォーミングによって2つの信号が十分に分離できている状態が信号のアイソレーションが確保された状態の一例である。2つの信号が十分に分離できているとは、2つの信号間の干渉が所定の基準より少ない、ことを意味する。なおビーム間の信号間とは、第1ビームが搬送する信号と第2ビーム2が搬送する信号との間、を意味する。第1ビームと第2ビームとは、アレーアンテナ1が送信する2つの互いに異なるビームである。
【0084】
図4に例示するアレーアンテナ1においてマトリクス回路102の端子へ入力される信号の有無は、デジタルBFN145によって決定されてもよい。デジタルBFN145は、例えば第1制御情報に基づき各出力ポートからの出力信号のONとOFFとの制御を実行することで、マトリクス回路102の端子へ入力する信号の有無を決定する。第1制御情報は、デジタルBFN145が備える制御部451が出力する制御に関する情報である。第1制御情報は、制御部451においてアンテナ制御装置2が送信した制御に関する情報である第2制御情報に基づき内容が決定される。例えば内容は、第2制御情報に基づき制御部451が所定の処理を実行することによって決定する。
【0085】
図2~
図4の例で説明したように、マトリクス回路102は、水平または垂直方向等の所定の一軸におけるビームの伝搬方向の切り替えを行う。また
図4の例で説明したように、マトリクス回路102は、複数のビームの同時送信または受信を行う。
【0086】
図5は、第1実施形態におけるアンテナ制御装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。アンテナ制御装置2は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部21を備え、プログラムを実行する。アンテナ制御装置2は、プログラムの実行によって制御部21、通信部22、入力部23、記憶部24、出力部25、接続部26及びRF部27を備える装置として機能する。
【0087】
なお
図5は一例であり、アレーアンテナ1がデジタルBFN145を備える場合には、アンテナ制御装置2は必ずしもRF部27を備える必要は無い。アレーアンテナ1がデジタルBFN145を備える場合には、RF部27に代えてデジタルBFN145が送信信号を生成してもよい。具体的には、デジタルBFN145が、アンテナ制御装置2の制御を受けてプログラムを実行し、プログラムの実行によって送信信号を生成する。
【0088】
より具体的には、アンテナ制御装置2は、プロセッサ91が記憶部24に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、アンテナ制御装置2は、制御部21、通信部22、入力部23、記憶部24、出力部25、接続部26及びRF部27を備える装置として機能する。
【0089】
制御部21は、アンテナ制御装置2が備える各機能部の動作を制御する。制御部21は、例えば接続部26を介して、アレーアンテナ1の動作を制御する。より具体的には、制御部21は、機能回路104の動作を制御する。制御部21は、例えばアレーアンテナ1の制御の履歴を記憶部24に記録する。制御部21は、例えば通信部22の動作を制御する。
【0090】
制御部21は、例えばRF部27の動作を制御する。制御部21は、例えばRF部27の動作を制御することでRF部27に、分配器143又はデジタルBFN145に入力させる信号(送信信号)を生成させる。送信信号は、分配器143又はデジタルBFN145と、入出力コネクタ105と、機能回路104と、マトリクス回路102とを介してアンテナ素子101から送信される。
【0091】
制御部21は、例えば、ビームの伝搬方向を制御する。例えば制御部21は、マトリクス回路102の各入出力端子に対して信号を入力する端子を切り替えることで直交する2方向の一方のビームの伝搬方向を制御する。制御部21は、基板103に形成された回路それぞれに対する入出力信号の位相を、移相器141もしくはデジタルBFN145を制御することにより直交する2方向の他方のビームの伝搬方向を制御する。
【0092】
通信部22は、アンテナ制御装置2を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部22は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。
【0093】
入力部23は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部23は、これらの入力装置をアンテナ制御装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部23は、アンテナ制御装置2に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部23には、例えばアレーアンテナ1の動作の開始の指示(以下「動作開始指示」という。)が入力される。
【0094】
なお、動作開始指示は、必ずしも入力部23に入力される必要は無い。動作開始指示は、アレーアンテナ1のユーザの端末から通信部22に入力されてもよい。
【0095】
記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部24はアンテナ制御装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部24は、例えばアンテナ制御装置2が備える各機能部の動作を制御するプログラムを予め記憶する。
【0096】
出力部25は、各種情報を出力する。出力部25は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部25は、これらの表示装置をアンテナ制御装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部25は、例えば入力部23に入力された情報を出力する。出力部25は、例えば通信部22に入力された情報を表示してもよい。
【0097】
接続部26は、制御部21と機能回路104とを接続する回路である。制御部21は、接続部26を介して機能回路104に制御信号を送る。
【0098】
RF部27は、制御部21の制御にしたがって動作する。RF部27は、制御部21の制御により、信号(送信信号)を生成する。RF部27は、分配器143又はデジタルBFN145に接続されており、RF部27が生成した信号はRF部27から分配器143又はデジタルBFN145に出力される。
【0099】
このように構成された第1実施形態におけるアレーアンテナ1は、配置条件を満たす。配置条件が満たされる場合、
図1のアレーアンテナ1に図示されているように、アンテナ素子101の数を増やす場合に必ずしも1枚の基板103に配置するアンテナ素子101の数を増やす必要はなく、基板103を追加すればよい。基板103を追加することによる追加の配線は分配器143と追加する基板103の入出力コネクタ105との接続のみで済む。そのため、アレーアンテナ1は、マトリクス回路102を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0100】
また、アレーアンテナ1は、必ずしもアンテナ素子101とマトリクス回路102との間をコネクタやケーブルで接続する必要が無い。例えばアンテナ素子101とマトリクス回路102とを同一基板上に形成する場合、アンテナ素子101とマトリクス回路102との間をコネクタやケーブルで接続する必要が無い。
【0101】
アレーアンテナ1は、同一の基板103を用いて構成されてもよい。そのため、アレーアンテナ1は、量産性及び汎用性が高い、という効果を奏する。
【0102】
また、第1実施形態のアンテナシステム100は、アレーアンテナ1を備える。そのため、アンテナシステム100は、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0103】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態のアンテナシステム100aの構成の一例を示す図である。以下、説明の簡単のためアンテナシステム100が備える機能部と同様の機能を有するものについては
図1~
図4と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0104】
アンテナシステム100aは、アレーアンテナ1a及びアンテナ制御装置2を備える。アンテナシステム100aは、アレーアンテナ1aからビームを放射する。アレーアンテナ1aが放射するビームの放射方向は、アンテナ制御装置2による制御により制御される。すなわち、アンテナシステム100aは可変ビームの機能を有するビームの放射のシステムである。なお、アンテナシステム100aにおけるビームの放射方向は、例えば
図6におけるZ軸方向(すなわち積層方向)である。
【0105】
なお、第1実施形態において説明しように、アンテナは電磁波の送受信に関して、時間反転対称性を有する。アレーアンテナ1aについてもこのことは同様である。そこで以下説明の簡単のため、放射を例にアンテナシステム100aを説明するが、受信についても同様である。なお、時間反転対称性を有する点で送信についてのアレーアンテナ1aの動作と受信についてのアレーアンテナ1aの動作とが同様であるため、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われる。
【0106】
アレーアンテナ1aは、複数のアンテナ素子101と、複数のマトリクス回路102と、N枚(Nは2以上の整数)の基板103と、機能回路104と、複数の入出力コネクタ105とを備えるアレーアンテナである。
図6の例における基板103の数は2である。
【0107】
N枚の基板103それぞれは、複数のアンテナ素子101と、複数のマトリクス回路102と、少なくとも1つの機能回路104と、少なくとも1つの入出力コネクタ105とが形成された状態にある。N枚の基板103は積層された状態にある。
図6において積層方向は、Z軸方向である。
【0108】
アレーアンテナ1aでは各基板103に複数のアンテナ素子101が2次元的に配置されている。より具体的には、アレーアンテナ1は、各基板103に互いに平行な2つのリニアアレー集合が形成された状態にある。
図6の例では、各リニアアレー集合は、Y軸に平行である。
【0109】
図6の例のアレーアンテナ1aは、配置条件を満たす。その理由を説明する。
図6の例のアレーアンテナ1aは、基板103ごとに、基板103のX軸正方向の端部にY軸に平行に2つのリニアアレー集合が互いに平行に配置された状態にある。さらに、
図6の例のアレーアンテナ1aは、変位方向にもアレー状にアンテナ素子101が配置された状態にある。これは
図6の例のアレーアンテナ1aが第1副配置条件を満たすことを示す。
【0110】
図6の例のアレーアンテナ1aにおいて、2枚の基板103は大きさ及び形状が基板103に依らず同一であり、各基板103が送信又は受信する電磁波の波長の半分以上の長さ、それぞれ一方向にずらして重ねて配置された状態にある。より具体的には、
図6の例のアレーアンテナ1aでは2枚の基板103は大きさ及び形状が基板103に依らず同一であり、隣接する基板103同士は変位方向の端部が、各基板103が送信又は受信する電磁波の波長の半分の長さずらして重ねられた状態にある。そして、
図6の例のアレーアンテナ1aにおいて各基板103におけるアンテナ素子101の位置は、基板103に依らず同一である。そのため、アレーアンテナ1aは、第3副配置条件を満たす。
【0111】
また隣接する基板103同士は隣接基板上のアンテナ素子101同士が変位方向において放射又は受信する電磁波の波長の半分以上の等間隔になるようずらして重ねられており、各基板103におけるアンテナ素子101の位置は基板103に依らず同一である。さらに、
図6の例のアレーアンテナ1aでは、基板103の重心の変位方向の位置は、基板103の重心のZ軸方向の位置に比例した位置に存在する。そのため、
図6の例のアレーアンテナ1aでは、アンテナ素子101が電磁波を放射する方向には遮蔽物が位置しない、これは
図6の例のアレーアンテナ1aが第2副配置条件を満たすことを意味する。
【0112】
このように、
図6のアレーアンテナ1aは、配置条件を満たす。なお、
図6のアレーアンテナ1aでは、アンテナ素子101のZ軸正方向には基板103が存在しない。しかしながら、基板103が例えば電波を透過させる物質である場合には、基板103は遮蔽物ではないので、アンテナ素子101のZ軸正方向に基板103が存在してもよい。
【0113】
なお、
図6のアレーアンテナ1aでは、基板103の大きさ及び形状は基板103に依らず同一であるが、配置条件が満たされていれば基板103は必ずしも大きさ及び形状が同一である必要は無い。例えば、各基板103のY軸方向の幅は、それぞれ異なってもよい。
【0114】
アレーアンテナ1aにおける機能回路104は、アレーアンテナ1における機能回路と同様である。すなわち、アレーアンテナ1aにおける機能回路104は、例えば
図2において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図3において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図4において説明した機能回路104であってもよい。
【0115】
このように構成された第2実施形態におけるアレーアンテナ1aは、配置条件を満たす。配置条件が満たされる場合、アレーアンテナ1aは、アレーアンテナ1と同様に、アンテナ素子101の数を増やす場合に必ずしも1枚の基板103に配置するアンテナ素子101の数を増やす必要が無い。そのため、アレーアンテナ1aは、マトリクス回路102を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0116】
アレーアンテナ1aは、アレーアンテナ1よりもアンテナ素子101の存在する領域の平坦性が高い。なぜなら、同一面内に存在するアンテナ素子101の数がアレーアンテナ1よりも多いため、同じ数のアンテナ素子を備えるアレーアンテナを構成する場合に基板の積層数を削減することができるからである。そのため、アレーアンテナ1aは、アレーアンテナ1よりもミリ波帯の特性が良い、という効果を奏する。なお、平坦性が高いほどミリ波帯の特性が良いのは、平坦性が良いほど、Z軸方向の高さが異なることにより生じる位相差が低減されるからである。
【0117】
また、アレーアンテナ1aは、必ずしもアンテナ素子101とマトリクス回路102との間をコネクタやケーブルで接続する必要が無い。
【0118】
アレーアンテナ1aは、同一の基板103を用いて構成されてもよい。そのため、アレーアンテナ1aは、量産性及び汎用性が高い、という効果を奏する。
【0119】
また、第2実施形態のアンテナシステム100aは、アレーアンテナ1aを備える。そのため、アンテナシステム100aは、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0120】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態のアンテナシステム100bの構成の一例を示す図である。以下、説明の簡単のためアンテナシステム100又はアンテナシステム100aが備える機能部と同様の機能を有するものについては
図1~
図6と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0121】
アンテナシステム100bは、アレーアンテナ1b及びアンテナ制御装置2を備える。アンテナシステム100bは、アレーアンテナ1bからビームを放射する。アレーアンテナ1bが放射するビームの放射方向は、アンテナ制御装置2による制御により制御される。すなわち、アンテナシステム100bは可変ビームの機能を有するビームの放射のシステムである。なお、アンテナシステム100bにおけるビームの放射方向は、例えば
図7におけるZ軸方向(すなわち積層方向)である。
【0122】
なお、第1実施形態において説明しように、アンテナは電磁波の送受信に関して、時間反転対称性を有する。アレーアンテナ1bについてもこのことは同様である。そこで以下説明の簡単のため、放射を例にアンテナシステム100bを説明するが、受信についても同様である。なお、時間反転対称性を有する点で送信についてのアレーアンテナ1bの動作と受信についてのアレーアンテナ1bの動作とが同様であるため、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われる。
【0123】
アレーアンテナ1bは、複数のアンテナ素子101と、複数のマトリクス回路102と、N枚(Nは2以上の整数)の基板103と、機能回路104と、複数の入出力コネクタ105と、増幅器146とを備えるアレーアンテナである。
図7の例における基板103の数は2である。
【0124】
アレーアンテナ1bにおける機能回路104は、アレーアンテナ1における機能回路と同様である。すなわち、アレーアンテナ1bにおける機能回路104は、例えば
図2において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図3において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図4において説明した機能回路104であってもよい。
【0125】
N枚の基板103それぞれは、複数のアンテナ素子101と、マトリクス回路102と、少なくとも1つの機能回路104と、少なくとも1つの入出力コネクタ105とが形成された状態にある。N枚の基板103は積層された状態にある。
図7において積層方向は、Z軸方向である。
【0126】
アレーアンテナ1bでは各基板103に複数のアンテナ素子101が2次元的に配置されている。より具体的には、アレーアンテナ1は、各基板103に互いに平行な2つのリニアアレー集合が形成された状態にある。
図7の例では、各リニアアレー集合は、Y軸に平行である。なお、アレーアンテナ1bの各基板103における複数のアンテナ素子101の配置は、必ずしも2次元的である必要は無く1次元的であってもよい。
【0127】
図7の例のアレーアンテナ1bは、配置条件を満たす。その理由を説明する。
図7の例のアレーアンテナ1bは、基板103ごとに、基板103のX軸正方向の端部にY軸に平行に2つのリニアアレー集合が互いに平行に配置された状態にある。さらに、
図7の例のアレーアンテナ1bは、変位方向にもアレー状にアンテナ素子101が配置された状態にある。これは
図7の例のアレーアンテナ1bが第1副配置条件を満たすことを示す。
【0128】
図7の例のアレーアンテナ1bにおいて、2枚の基板103は大きさ及び形状が基板103に依らず同一であり、各基板103が送信又は受信する電磁波の波長の半分以上の長さ、それぞれ一方向にずらして重ねて配置された状態にある。より具体的には、
図7の例のアレーアンテナ1bでは2枚の基板103は大きさ及び形状が基板103に依らず同一であり、隣接する基板103同士は隣接基板上のアンテナ素子101同士が変位方向において放射又は受信する電磁波の波長の半分以上の等間隔になるようずらして重ねられた状態にある。そして、
図7の例のアレーアンテナ1bにおいて各基板103におけるアンテナ素子101の位置は、基板103に依らず同一である。そのため、アレーアンテナ1bは、第3副配置条件を満たす。
【0129】
また隣接する基板103同士は隣接基板上のアンテナ素子101同士が変位方向において放射又は受信する電磁波の波長の半分以上の等間隔になるようずらして重ねられており、各基板103におけるアンテナ素子101の位置は基板103に依らず同一である。さらに、
図7の例のアレーアンテナ1bでは、基板103の重心の変位方向の位置は、基板103の重心のZ軸方向の位置に比例した位置に存在する。そのため、
図7の例のアレーアンテナ1bでは、アンテナ素子101が電磁波を放射する方向には遮蔽物が位置しない。これは
図7の例のアレーアンテナ1aが第2副配置条件を満たすことを意味する。
【0130】
このように、
図7のアレーアンテナ1bは、配置条件を満たす。なお、
図7のアレーアンテナ1bでは、アンテナ素子101のZ軸正方向には基板103が存在しない。しかしながら、基板103が例えば電波を透過させる物質である場合には、基板103は遮蔽物ではないので、アンテナ素子101のZ軸正方向に基板103が存在してもよい。
【0131】
なお、
図7のアレーアンテナ1bでは、基板103の大きさ及び形状は基板103に依らず同一であるが、配置条件が満たされていれば基板103は必ずしも大きさ及び形状が同一である必要は無い。例えば、各基板103のY軸方向の幅は、それぞれ異なってもよい。
【0132】
増幅器146は、アンテナ素子101とマトリクス回路102との間に位置する。無線通信システムでは、アンテナ素子101の近くに増幅器があるほど、送信電力の増加と受信側の雑音指数を低減することができる。
【0133】
このように構成された第3実施形態におけるアレーアンテナ1bは、配置条件を満たす。配置条件が満たされる場合、アレーアンテナ1bは、アレーアンテナ1と同様に、アンテナ素子101の数を増やす場合に必ずしも1枚の基板103に配置するアンテナ素子101の数を増やす必要が無い。なぜなら、1枚の基板103に配置するアンテナ素子101の数を増やす代わりに、アンテナ素子101が形成された基板103を追加すればいいからである。したがって、アレーアンテナ1bでは、アンテナ素子101の数が増えたとしても、各基板103における配線の複雑化が生じない。この事情は、アンテナ素子101とマトリクス回路102との間に増幅器146を備える場合であっても同様である。そのため、アレーアンテナ1bは、マトリクス回路102を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0134】
アレーアンテナ1bは、アンテナ素子101の存在する領域の平坦性について、アレーアンテナ1及びアレーアンテナ1aと同等の平坦性を有する。そのため、アレーアンテナ1bは、アレーアンテナ1及びアレーアンテナ1aと同様にミリ波帯において良い特性を有する。
【0135】
アレーアンテナ1bは、アンテナ素子101の近くに増幅器が配置されることで、アレーアンテナ1及びアレーアンテナ1aよりも信号の雑音を低減することができる。すなわち、アレーアンテナ1bは、アレーアンテナ1及びアレーアンテナ1aよりも信号品質の劣化を抑制するという効果を奏する。
【0136】
また、アレーアンテナ1bは、必ずしもアンテナ素子101とマトリクス回路102との間をコネクタやケーブルで接続する必要が無い。
【0137】
アレーアンテナ1bは、同一の基板103を用いて構成されてもよい。そのため、アレーアンテナ1bは、量産性及び汎用性が高い、という効果を奏する。
【0138】
また、第3実施形態のアンテナシステム100bは、アレーアンテナ1bを備える。そのため、アンテナシステム100bは、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0139】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態のアンテナシステム100cの構成の一例を示す図である。以下、説明の簡単のためアンテナシステム100、アンテナシステム100a又はアンテナシステム100bが備える機能部と同様の機能を有するものについては
図1~
図7と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0140】
アンテナシステム100cは、アレーアンテナ1c及びアンテナ制御装置2を備える。アンテナシステム100cは、アレーアンテナ1cからビームを放射する。アレーアンテナ1cが放射するビームの放射方向は、アンテナ制御装置2による制御により制御される。すなわち、アンテナシステム100cは可変ビームの機能を有するビームの放射のシステムである。なお、アンテナシステム100cにおけるビームの放射方向は、例えば
図8におけるZ軸方向(すなわち積層方向)である。
【0141】
なお、第1実施形態において説明しように、アンテナは電磁波の送受信に関して、時間反転対称性を有する。アレーアンテナ1cについてもこのことは同様である。そこで以下説明の簡単のため、放射を例にアンテナシステム100cを説明するが、受信についても同様である。なお、時間反転対称性を有する点で送信についてのアレーアンテナ1cの動作と受信についてのアレーアンテナ1cの動作とが同様であるため、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われる。
【0142】
アレーアンテナ1cは、アレーアンテナ1、アレーアンテナ1a又はアレーアンテナ1bのいずれか1つである左アンテナと、左アンテナと同じ構成を有する右アンテナと、を向かい合わせで接着させたアンテナである。すなわち、アレーアンテナ1cは、左アンテナと右アンテナとを組み合わせたアンテナであって、左アンテナ又は右アンテナの一方は積層方向に垂直な面内で他方の向きが反転した状態にあるという条件を満たすアンテナである。より具体的には、アレーアンテナ1cは、対称条件と、谷形状条件とを満たすように左アンテナと右アンテナとが接着されたアンテナである。
【0143】
対称条件は、積層方向に平行な面をはさんで対称であるという条件である。谷形状条件は、積層方向に垂直な方向の少なくとも一つから見たアンテナ素子101の集合の形状がV字谷を形成するという条件である。
【0144】
なお
図8の例において、左アンテナは左アンテナ11-1である。
図8の例において、右アンテナは右アンテナ11-2である。
【0145】
このように、左アンテナは右アンテナと同一の構成であり、アレーアンテナ1cは、右アンテナと左アンテナとが積層方向に垂直な面内で向き合うように接着された状態にあるアンテナである。
【0146】
図8の例のアレーアンテナ1cは、配置条件を満たす。その理由を説明する。
図8の例のアレーアンテナ1cは、上述したように左アンテナと右アンテナとを組み合せたアンテナである。左アンテナは、アレーアンテナ1、アレーアンテナ1a又はアレーアンテナ1bのいずれか1つであり、右アンテナも、アレーアンテナ1、アレーアンテナ1a又はアレーアンテナ1bのいずれか1つである。そのため、左アンテナも右アンテナもどちらも配置条件を満たす。
【0147】
そして、左アンテナと右アンテナとは、積層方向に垂直な面内で向き合うように接着された状態にある。そのため、谷形状条件が満たされる。谷形状条件が満たされるため、左アンテナ及び右アンテナで満たされていた配置条件は、左アンテナと右アンテナとの組み合わせであるアレーアンテナ1cにおいても満たされる。
【0148】
このように、
図8のアレーアンテナ1cは、配置条件を満たす。なお、
図8のアレーアンテナ1cでは、アンテナ素子101のZ軸正方向には基板103が存在しない。しかしながら、基板103が例えば電波を透過させる物質である場合には、基板103は遮蔽物ではないので、アンテナ素子101のZ軸正方向に基板103が存在してもよい。
【0149】
アレーアンテナ1cは、左アンテナと右アンテナとを組み合わせたアンテナであるため、機能回路104を備える。アレーアンテナ1cにおける機能回路104は、アレーアンテナ1における機能回路と同様である。すなわち、アレーアンテナ1cにおける機能回路104は、例えば
図2において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図3において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図4において説明した機能回路104であってもよい。
【0150】
このように構成された第4実施形態におけるアレーアンテナ1cは、配置条件を満たす。配置条件が満たされる場合、アレーアンテナ1cは、アレーアンテナ1と同様に、アンテナ素子101の数を増やす場合に必ずしも1枚の基板103に配置するアンテナ素子101の数を増やす必要が無い。そのため、アレーアンテナ1cは、マトリクス回路102を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0151】
また、アレーアンテナ1cでは、ビームが振られる角度範囲がアレーアンテナ1とは異なる。具体的には、アレーアンテナ1において基板103の積層によって斜めに傾いていたアレー面が、アレーアンテナ1cにおいては対象構造であることが理由で正面方向に向く。アレー面が正面方向を向くため、アレーアンテナ1cにおけるビームが振られる角度範囲はアレーアンテナ1と異なる。
【0152】
また、アレーアンテナ1cは、アンテナ素子101の数が増えることでアンテナゲインが向上する。より具体的には、アレーアンテナ1cの備える基板103の積層数がアレーアンテナ1、1a又は1bと同数の積層数である場合における、アレーアンテナ1cの備えるアンテナ素子101の数は、アレーアンテナ1、1a又は1bの備えるアンテナ素子101の数より多い。そのため、アレーアンテナ1cは、基板103の積層数がアレーアンテナ1、1a又は1bと同数の積層数である場合に、アレーアンテナ1、1a又は1bよりもアレーゲインを向上させることができる。
【0153】
また、アレーアンテナ1cは、1枚の基板103上にマトリクス回路102、アンテナ素子101及び機能回路104を備える。したがって、アレーアンテナ1cは、必ずしもアンテナ素子101とマトリクス回路102との間をコネクタやケーブルで接続する必要が無い。そのため、アレーアンテナ1cは、部品の種類を減らすことができる。
【0154】
また、アレーアンテナ1cは、基板103をずらして重ねることで生まれたスペースであって基板103の裏の面のスペースに機能回路104を実装することができる。
【0155】
アレーアンテナ1cは、同一の基板103を用いて構成されてもよい。そのため、アレーアンテナ1cは、量産性及び汎用性が高い、という効果を奏する。
【0156】
また、アレーアンテナ1cは、アンテナ素子101の配置に関して、アレーアンテナ1、1a又は1bよりも少ない積層数で、アレーアンテナ1、1a又は1bと同数のアンテナ素子101の配置が実現可能である。そのため、アレーアンテナ1cはアレーアンテナ1、1a又は1bよりも高い平坦性を有する。したがって、アレーアンテナ1cは、ミリ波帯において良い特性を有する。
【0157】
また、第4実施形態のアンテナシステム100cは、アレーアンテナ1cを備える。そのため、アンテナシステム100cは、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0158】
(第5実施形態)
図9は、第5実施形態のアンテナシステム100dの構成の一例を示す図である。以下、説明の簡単のためアンテナシステム100、アンテナシステム100a、アンテナシステム100b又はアンテナシステム100cが備える機能部と同様の機能を有するものについては
図1~
図8と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0159】
アンテナシステム100dは、アレーアンテナ1d及びアンテナ制御装置2を備える。アンテナシステム100dは、アレーアンテナ1dからビームを放射する。アレーアンテナ1dが放射するビームの放射方向は、アンテナ制御装置2による制御により制御される。すなわち、アンテナシステム100dは可変ビームの機能を有するビームの放射のシステムである。なお、アンテナシステム100dにおけるビームの放射方向は、例えば
図9におけるZ軸方向(すなわち積層方向)である。
【0160】
なお、第1実施形態において説明しように、アンテナは電磁波の送受信に関して、時間反転対称性を有する。アレーアンテナ1dについてもこのことは同様である。そこで以下説明の簡単のため、放射を例にアンテナシステム100dを説明するが、受信についても同様である。なお、時間反転対称性を有する点で送信についてのアレーアンテナ1dの動作と受信についてのアレーアンテナ1dの動作とが同様であるため、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われる。
【0161】
アレーアンテナ1dは、複数のアンテナ素子101と、マトリクス回路102と、N枚(Nは2以上の整数)の基板103と、機能回路104と、複数の入出力コネクタ105と、を備えるアレーアンテナである。
図9の例における基板103の数は4である。
【0162】
アレーアンテナ1dにおける機能回路104は、アレーアンテナ1における機能回路と同様である。すなわち、アレーアンテナ1dにおける機能回路104は、例えば
図2において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図3において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図4において説明した機能回路104であってもよい。
【0163】
N枚の基板103それぞれは、複数のアンテナ素子101と、マトリクス回路102と、少なくとも1つの機能回路104と、が形成された状態にある。N枚の基板103は、積層された状態にある。積層方向の向き合う2つの基板103の向き合う2面の間の距離は零より大きい。例えば、N枚の基板103それぞれは、空隙を介して配置される。空隙は真空又は気体で満たされた空間である。例えば、N枚の基板103の向き合う2面の間の空間は、基板103とは高分子材料や絶縁体等の異なる物質で埋められていてもよい。N枚の基板103の向き合う2面の間に空間がある場合、その空間への半導体素子などデバイスなど電子部品を配置することが可能である。そのため、N枚の基板103の向き合う2面の間に空間があることは、設計の自由度を高める効果を奏する。
【0164】
図9の例のアレーアンテナ1dは、配置条件を満たす。その理由を説明する。
図9の例のアレーアンテナ1dは、アレーアンテナ1において基板103間の距離を0より大きくしたものである。そのため、アレーアンテナ1において満たされていた配置条件はアレーアンテナ1dにおいても満たされる。
【0165】
このように構成された第5実施形態におけるアレーアンテナ1dは、配置条件を満たす。配置条件が満たされる場合、アレーアンテナ1dは、アレーアンテナ1と同様に、アンテナ素子101の数を増やす場合に必ずしも1枚の基板103に配置するアンテナ素子101の数を増やす必要が無い。そのため、アレーアンテナ1dは、マトリクス回路102を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0166】
上述したようにアレーアンテナ1dでは、基板103とその基板103の積層方向の最近接の他の基板103との積層方向の向き合う2面の間の距離が零より大きい。そのため、アレーアンテナ1dは、各基板103の裏面又は表面に機能回路104を実装できる面積が、基板103とその基板103の積層方向の最近接の他の基板103との積層方向の向き合う2面の間の距離が零であるアレーアンテナよりも、多い。アレーアンテナ1dは、例えばビームの制御に求められる性能が垂直方向と水平方向で異なる場合への適用が望ましい。
【0167】
アレーアンテナ1dの適用場面についてより具体的に説明する。基板103間の距離が離れる場合、距離が近い場合よりもビームは崩れて特性は悪化する。そして、このような基板103間の距離が離れる場合、機能回路104が移相器を備えていても、移相器によって制御される方向のビームは基板103の高低差による位相差によってビーム特性が劣化する。しかしながら、マトリクス回路102で制御する方向のビームはアンテナ素子101が同一基板上(すなわち同一平面上)に配置されているためビーム特性の劣化が抑制される。無線通信では水平面と垂直面のどちらか一方向のみに高性能なビームフォーミングが必要な場面がある。そのような場面にアレーアンテナ1dは適用可能である。
【0168】
また、アレーアンテナ1dは、必ずしもアンテナ素子101とマトリクス回路102との間をコネクタやケーブルで接続する必要が無い。そのため、アレーアンテナ1dは、マトリクス回路102を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。また、アレーアンテナ1dは、基板間に生まれた隙間を利用して、機能回路104を基板103の表の面にも裏の面にも実装することができる。
【0169】
アレーアンテナ1dは、同一の基板103を用いて構成されてもよい。そのため、アレーアンテナ1dは、量産性及び汎用性が高い、という効果を奏する。
【0170】
また、第5実施形態のアンテナシステム100dは、アレーアンテナ1dを備える。そのため、アンテナシステム100dは、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0171】
(第6実施形態)
図10は、第6実施形態のアンテナシステム100eの構成の一例を示す図である。以下、説明の簡単のためアンテナシステム100、アンテナシステム100a、アンテナシステム100b、アンテナシステム100c又はアンテナシステム100dが備える機能部と同様の機能を有するものについては
図1~
図9と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0172】
アンテナシステム100eは、アレーアンテナ1e及びアンテナ制御装置2を備える。アンテナシステム100eは、アレーアンテナ1eからビームを放射する。アレーアンテナ1eが放射するビームの放射方向は、アンテナ制御装置2による制御により制御される。すなわち、アンテナシステム100eは可変ビームの機能を有するビームの放射のシステムである。なお、アンテナシステム100eにおけるビームの放射方向は、例えば
図10におけるZ軸方向(すなわち積層方向)である。
【0173】
なお、第1実施形態において説明しように、アンテナは電磁波の送受信に関して、時間反転対称性を有する。アレーアンテナ1eについてもこのことは同様である。そこで以下説明の簡単のため、放射を例にアンテナシステム100eを説明するが、受信についても同様である。なお、時間反転対称性を有する点で送信についてのアレーアンテナ1eの動作と受信についてのアレーアンテナ1eの動作とが同様であるため、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われる。
【0174】
アレーアンテナ1eは、複数のアンテナ素子101と、複数のマトリクス回路102と、N枚(Nは2以上の整数)の基板103と、機能回路104と、複数の入出力コネクタ105とを備えるアレーアンテナである。
図10の例における基板103の数は4である。
【0175】
アレーアンテナ1eにおける機能回路104は、アレーアンテナ1における機能回路と同様である。すなわち、アレーアンテナ1eにおける機能回路104は、例えば
図2において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図3において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図4において説明した機能回路104であってもよい。
【0176】
アレーアンテナ1eにおいて基板103は、アンテナ素子101が位置する部位の厚みが少なくとも1つの基板103については他の基板103と異なる。アンテナ素子101はアレーアンテナ1と異なり全て同一面内に位置する。このため、アレーアンテナ1eの場合、全ての厚みが同一の場合よりも2次元的に配置されたアンテナ素子101の平坦性がより高い。そのため、アレーアンテナ1eは、基板103の厚みが全て同一のアレーアンテナよりも、ビームの可動範囲を広げる効果を奏する。その理由を説明する。
【0177】
一般に、アンテナ素子101の存在する面の平坦性が高いほど基板103の高低差による位相差は低減される。また、一般にアレーアンテナに使用されるアンテナ素子は、アンテナ素子の特性としてアンテナ正面を中心とした所定の範囲内の角度に対してしか、要求される基準を満たす電波を放射することができない。このような基準を満たす角度の範囲は、半値幅や半値角などと呼称される。そして一般に、基板の高低差によってアレー面が傾くと、高低差のない場合と比べてアンテナ素子の半値幅内で振れるビーム角度は狭くなるため、ビームの可動範囲が狭まる。アレーアンテナは一般にこのような特性を有する。そのため、アンテナ素子101の平坦性を向上させることができるアレーアンテナ1eは、高低差による位相差が抑制された状態を実現することができる。したがって、アレーアンテナ1eは、アレーアンテナ1eの放射するビームの可動範囲を高低差による位相差がゼロのアレーアンテナによるビームの可動範囲と同等にすることができる。
【0178】
図10の例のアレーアンテナ1eは、配置条件を満たす。その理由を説明する。
図10の例のアレーアンテナ1eは、アンテナ素子101が位置する部位の厚みが基板103ごとに異なり、アンテナ素子101はアレーアンテナ1と異なり全て同一面内に位置する。アレーアンテナ1eとアレーアンテナ1との違いは、アンテナ素子101の位置する部位の厚みが全ての基板103で同一か、必ずしも同一では無いか、である。そのため、アレーアンテナ1eは、アレーアンテナ1と同様に配置条件を満たす。
【0179】
このように構成された第6実施形態におけるアレーアンテナ1eは、配置条件を満たす。配置条件が満たされる場合、アレーアンテナ1eは、アレーアンテナ1と同様に、アンテナ素子101の数を増やす場合に必ずしも1枚の基板103に配置するアンテナ素子101の数を増やす必要が無い。そのため、アレーアンテナ1eは、マトリクス回路102を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0180】
また、上述したようにアレーアンテナ1eは、2次元的に配置されたアンテナ素子101の平坦性が基板103の厚みが全て同一のアレーアンテナより高い。平坦性が低い場合、基板の高低差による位相差が大きくなる。平坦性が高いほど基板の高低差による位相差が小さくなるので、ビームの可動範囲が広がる。そのため、アレーアンテナ1eは、基板103の厚みが全て同一のアレーアンテナよりも、ビームの可動範囲を広げる効果を奏 する。
【0181】
また、アレーアンテナ1eは、必ずしもアンテナ素子101とマトリクス回路102との間をコネクタやケーブルで接続する必要が無い。そのため、アレーアンテナ1eは、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0182】
アレーアンテナ1eでは、各基板103に形成されたマトリクス回路102及びアンテナ素子101の数は少ない。そのためアレーアンテナ1eには、ビアの配置などにおける設計の自由度が高い。
【0183】
またアレーアンテナ1eでは、全てのアンテナ素子101が同一平面上に配置される。そのため、アレーアンテナ1eでは、アレーアンテナ1~1dよりも、基板103の積層に伴うZ軸方向の高低差による位相差が小さい。そのため、アレーアンテナ1eは、アレーアンテナ1~1dよりもさらに、ビーム特性の劣化を抑制することができる。
【0184】
また、第6実施形態のアンテナシステム100eは、アレーアンテナ1eを備える。そのため、アンテナシステム100eは、マトリクス回路を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0185】
(第7実施形態)
図11は、第7実施形態のアンテナシステム100fの構成の一例を示す図である。以下、説明の簡単のためアンテナシステム100、アンテナシステム100a、アンテナシステム100b、アンテナシステム100c、アンテナシステム100d又はアンテナシステム100eが備える機能部と同様の機能を有するものについては
図1~
図10と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0186】
アンテナシステム100fは、アレーアンテナ1f及びアンテナ制御装置2を備える。アンテナシステム100fは、アレーアンテナ1fからビームを放射する。アレーアンテナ1fが放射するビームの放射方向は、アンテナ制御装置2による制御により制御される。すなわち、アンテナシステム100fは可変ビームの機能を有するビームの放射のシステムである。なお、アンテナシステム100fにおけるビームの放射方向は、例えば
図11におけるZ軸方向(すなわち積層方向)である。
【0187】
なお、第1実施形態において説明しように、アンテナは電磁波の送受信に関して、時間反転対称性を有する。アレーアンテナ1fについてもこのことは同様である。そこで以下説明の簡単のため、放射を例にアンテナシステム100fを説明するが、受信についても同様である。なお、時間反転対称性を有する点で送信についてのアレーアンテナ1fの動作と受信についてのアレーアンテナ1fの動作とが同様であるため、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われる。
【0188】
アレーアンテナ1fは、複数のアンテナ素子101と、複数のマトリクス回路102と、N枚(Nは2以上の整数)の基板103と、機能回路104と、複数の入出力コネクタ105とを備えるアレーアンテナである。
図11の例における基板103の数は4である。アレーアンテナ1fにおける基板103、アンテナ素子101、マトリクス回路102及び機能回路104の配置は、アレーアンテナ1やアレーアンテナ1dと同様である。そのため、アレーアンテナ1fは、配置条件を満たす。
【0189】
アレーアンテナ1fにおける機能回路104は、アレーアンテナ1における機能回路と同様である。すなわち、アレーアンテナ1fにおける機能回路104は、例えば
図2において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図3において説明した機能回路104であってもよいし、例えば
図4において説明した機能回路104であってもよい。
【0190】
アレーアンテナ1fは、変位方向及び積層方向に垂直な方向(すなわちY軸方向)に平行にアレー状に配置された複数の入出力コネクタ105を備える。例えば
図11の例においては、各基板103はY軸方向にアレー状に位置する2つの入出力コネクタ105を備える。基板103が同一の形状及び大きさである場合、アレーアンテナ1fが備える入出力コネクタ105は、異なる基板103に備えられていたとしても、同一平面状に位置する。
【0191】
そのため、このように構成されたアレーアンテナ1fは、異なる基板103に属する複数の入出力コネクタ105間の接続を容易にする、という効果を奏する。
【0192】
さらに、アレーアンテナ1fでは、基板103を重ねることによって生じるアンテナ面の段差を相殺するように基板103ごとに入出力コネクタ105の位置が調整されていれば、アンテナ面の段差の影響を低減することができる。アンテナ面とは、基板103上の面であってアンテナ素子101が位置する面の集合である。
【0193】
上述したようにアレーアンテナ1fは配置条件を満たす。配置条件が満たされる場合、アレーアンテナ1fは、アレーアンテナ1と同様に、アンテナ素子101の数を増やす場合に必ずしも1枚の基板103に配置するアンテナ素子101の数を増やす必要が無い。そのため、アレーアンテナ1fは、マトリクス回路102を給電回路として備えるアレーアンテナにおける配線の複雑化を抑制することができる。
【0194】
(第1実施形態から第7実施形態に共通する変形例)
以下、アンテナシステム100~アンテナシステム100fに共通する変形例を、アレーアンテナ1を例として用いて説明する。より具体的には、アレーアンテナ1~アレーアンテナ1fを用いた光張り出し無線局であってRoF(Radio on Fiber)を用いた光張り出し無線局の構成のアンテナシステムの一例を説明する説明図である。光張り出し無線局の構成のアンテナシステムは、アンテナシステム100~アンテナシステム100fの一例である。以下、説明の簡単のため
図1~11に記載の機能と同様の機能を有するものについては、
図1~11と同じ符号を付すことで説明を省略する。また、以下光張り出し無線局の構成のアンテナシステムをアンテナシステム100gという。
【0195】
なお、第1実施形態において説明しように、アンテナは電磁波の送受信に関して、時間反転対称性を有する。アンテナシステム100gについてもこのことは同様である。そこで以下説明の簡単のため、放射を例にアンテナシステム100gを説明するが、受信についても同様である。なお、時間反転対称性を有する点で送信についてのアレーアンテナ1gの動作と受信についてのアレーアンテナ1gの動作とが同様であるため、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われる。
【0196】
図12は、変形例におけるアンテナシステム100gの回路構成の一例を説明する説明図である。アンテナシステム100gは、アレーアンテナ1、アンテナ制御装置2、光ファイバ3及び信号処理部4を備える。
図12において、枠A10-1~枠A10-Qで囲まれた領域は、それぞれ1つの基板103に形成された回路を表す。
【0197】
図12の例において各基板103は、複数の増幅器146と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101とが形成された状態にある。
図12の例において、マトリクス回路102は、具体的にはバトラーマトリクス回路である。
【0198】
アレーアンテナ1は、複数の増幅器146と、マトリクス回路102と、複数のアンテナ素子101と、変換分配回路147とを備える。変換分配回路147は、光電気変換器471と電気光変換器472と分配器143とを備える。変換分配回路147は、光ファイバ3が出力した信号が入力される場合、入力された信号を分配器143によって波長ごとに分波した後、光電気変換を光電気変換器471で行う。光電気変換器471は、入力された光信号を電気信号に変換する、光電気変換を行う。電気光変換器472は、入力された電気信号を光信号に変換する、電気光変換を行う。変換分配回路147に入力される信号は、光WDM(Wavelength Division Multiplexing)信号である。分配器143は、具体的にはWDMの波長ごとに分波する。変換分配回路147は、分配後の信号を増幅器146に出力する。なお、光電気変換器471は、必ずしも変換分配回路147が備える必要はなく機能回路104の一部として基板103に実装されてもよい。すなわち、光電気変換器471は、機能回路104が備えてもよい。
【0199】
変換分配回路147は、光ファイバ3に接続された状態にある。光WDM信号は光ファイバ3を伝搬する。光ファイバ3の一方は、変換分配回路147に接続され、他方は信号処理部4に接続される。
【0200】
信号処理部4は、電気光変換器と移相器とを備え、信号処理を行う。信号処理部4は、光WDM信号を光ファイバ3に出力する。信号処理部4は、例えばデジタル信号処理による位相制御後に電気光変換を行う。信号処理部4は、例えば可変移相器による位相制御後に電気光変換を行ってもよい。信号処理部4は、例えば電気光変換の実行後に光移相器による位相制御を行ってもよい。なお可変移相器は、例えば高周波可変移相器であってもよいし、IF(Intermediate Frequency)可変移相器であってもよい。すなわち信号処理部4は、位相制御と電気光変換とを実行することで入力された信号を位相制御された光信号に変換可能であればどのように実装されてもよい。
【0201】
信号処理部4についてより具体的に説明する。信号処理部4は、バスで接続されたプロセッサ95及びメモリ96を備える制御部401と、記憶部402と、入出力部403と、通信部404とを備える情報処理部40と被位相制御光信号入出力部41とを少なくとも備える。より具体的には信号処理部4は、制御部401を備え、プログラムを実行する。信号処理部4は、プログラムの実行によって制御部401、記憶部402、入出力部403、通信部404、被位相制御光信号入出力部41を備える装置として機能する。
【0202】
さらに具体的には、信号処理部4は、プロセッサ95が記憶部402に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ96に記憶させる。プロセッサ95が、メモリ96に記憶させたプログラムを実行することによって、信号処理部4は、制御部401、記憶部402、入出力部403、通信部404及び被位相制御光信号入出力部41を備える装置として機能する。
【0203】
制御部401は、信号処理部4が備える各機能部の動作を制御する。制御部401は、例えば通信部404の動作を制御することで通信部404を介してアンテナ制御装置2が出力した制御信号を取得する。制御部401は、アンテナ制御装置2が信号処理部4に対して出力した制御信号、が示す内容にしたがった制御を実行する。アンテナ制御装置2が信号処理部4に対して出力した制御信号の内容は、例えば信号処理部4が備える被位相制御光信号入出力部に位相制御を実行させる指示である。
【0204】
制御部401は、例えば入出力部403の動作を制御する。制御部401は、例えばデジタル信号処理を実行する。制御部401が実行するデジタル信号処理は、予め定められた処理であって、例えば信号処理部4が備える被位相制御光信号入出力部に出力するデジタル信号を生成する処理である。
【0205】
制御部401は、例えば被位相制御光信号入出力部41の動作を制御する。制御部401は被位相制御光信号入出力部41の動作を制御し、被位相制御光信号入出力部41にA/D変換、D/A変換、電気光変換及び位相制御を実行させる。
【0206】
記憶部402は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部402は信号処理部4に関する各種情報を記憶する。記憶部402は、例えば信号処理部4が備える各機能部の動作を制御するプログラムを予め記憶する。
【0207】
入出力部403は、被位相制御光信号入出力部41に接続するインタフェースを含んで構成される。入出力部403は、被位相制御光信号入出力部41が出力した信号の入力を受け付け、受け付けた信号を制御部451に出力する。入出力部403は、制御部451が出力した信号を、被位相制御光信号入出力部41に出力する。
【0208】
通信部404は、アンテナ制御装置2に接続するインタフェースを含んで構成される。通信部404は、有線又は無線を介してアンテナ制御装置2と通信する。通信部404はアンテナ制御装置2との通信によってアンテナ制御装置2が出力した制御信号を取得する。
【0209】
被位相制御光信号入出力部41は移相器とAD変換器とDA変換器とを備える。また被位相制御光信号入出力部41は、電気光変換器と光電気変換器とを備える。被位相制御光信号入出力部41には電気信号が入力される。被位相制御光信号入出力部41は、位相制御と電気光変換とを実行することで、入力された電気信号を位相制御された光信号に変換する。被位相制御光信号入出力部41は、位相制御された光信号を出力する。被位相制御光信号入出力部41は、位相制御された光信号を光ファイバ3に出力する。
【0210】
アンテナシステム100gは、水平又は垂直方向のビームがマトリクス回路で方向制御され、垂直又は水平方向のビームが光ファイバ3で接続された信号処理部4によって制御される。信号処理部4は、アレーアンテナ1が備える各基板103の高さの差による位相差も補償可能である。RoFを用いた構成には光電気変換器又は電気光変換器が用いられる。光電気変換器又は電気光変換器は変換分配回路147に実装してもよいし、基板103に実装してもよい。光電気変換器又は電気光変換器は半導体回路で小型に作ることができるため、アンテナシステム100gの場合には、アレーアンテナ1を備えるため基板103への実装も容易である。
【0211】
なお、上述したように、放射を例にアンテナシステム100gを説明したが、受信のみの場合には、アンテナシステム100gは必ずしも光電気変換器471を備える必要は無い。なぜなら上述したように、送信において行われる光電気変換は受信においては電気光変換に代えて光電気変換が行われるからである。また、送信のみの場合には、アンテナシステム100gは必ずしも電気光変換器472を備える必要は無い。また、被位相制御光信号入出力部41もまた、受信のみの場合には、必ずしも光電気変換器を備える必要は無い。また被位相制御光信号入出力部41は、送信のみの場合には、必ずしも電気光変換器を備える必要は無い。
【0212】
なお、アンテナ制御装置2は、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、アンテナ制御装置2それぞれが備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0213】
また、アレーアンテナ1~アレーアンテナ1fは、ビームを制御することができる。なぜなら、アレーアンテナ1~アレーアンテナ1fは、マトリクス回路102とリニアアレー集合とが形成された基板103を複数用いて形成されることで、サイドローブの制御が可能だからである。
【0214】
また、アレーアンテナ1~アレーアンテナ1fは、備えるアンテナ素子101の数の変更によりビーム幅の制御が可能である。アンテナ素子101の数の変更は、例えば備える基板103の数の変更によって行われてもよい。
【0215】
なお積層される複数の基板103は、接着剤等を用いて接着されてもよいし、導電性ペーストで互いに固定されてもよいし、ネジで互いに固定されてもよい。
【0216】
なお、アンテナシステム100~100gの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0217】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0218】
100~100g…アンテナシステム、 1~1f…アレーアンテナ、 2…アンテナ制御装置、 3…光ファイバ、 4…信号処理部、 101…アンテナ素子、 102…マトリクス回路、 103…基板、 104…機能回路、 105…入出力コネクタ、 141…移相器、 142…スイッチ、 143…分配器、 144…周波数変換器、 145…デジタルBFN、 146…増幅器、 147…変換分配回路、 21…制御部、 22…通信部、 23…入力部、 24…記憶部、 25…出力部、 26…接続部、 27…RF部、 40…情報処理部、 41…被位相制御光信号入出力部、 401…制御部、 402…記憶部、 403…入出力部、 404…通信部、 450…情報処理部、 451…制御部、 452…記憶部、 453…入出力部、 454…通信部、 460…AD変換器、 470…DA変換器、 471…光電気変換器、 472…電気光変換器、 91…プロセッサ、 92…メモリ、 93…プロセッサ、 94…メモリ、 95…プロセッサ、 96…メモリ