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特開2022-167906光学フィルム、光学フィルムの製造方法および有機発光電子装置の製造方法
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  • 特開-光学フィルム、光学フィルムの製造方法および有機発光電子装置の製造方法 図1
  • 特開-光学フィルム、光学フィルムの製造方法および有機発光電子装置の製造方法 図2
  • 特開-光学フィルム、光学フィルムの製造方法および有機発光電子装置の製造方法 図3
  • 特開-光学フィルム、光学フィルムの製造方法および有機発光電子装置の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167906
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】光学フィルム、光学フィルムの製造方法および有機発光電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/16 20150101AFI20221027BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221027BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221027BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221027BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20221027BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221027BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20221027BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20221027BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20221027BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20221027BHJP
【FI】
G02B1/16
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/10
H05B33/04
G09F9/00 342
C09J7/38
C09J7/29
B32B7/023
B32B7/025
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022125114
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2020522806の分割
【原出願日】2018-10-23
(31)【優先権主張番号】10-2017-0137759
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジヒョン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ユンキョン・クォン
(57)【要約】
【課題】本発明は、光学フィルム、光学フィルムの製造方法および有機発光電子装置の製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層と、保護フィルム、該保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層および第4帯電防止層、および前記第3帯電防止層の前記保護フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた離型層を含む保護層とを含み、前記基材層および保護層は、前記第2帯電防止層と前記離型層が向かい合うように粘着剤層によって接合され、前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、前記粘着剤層は、100kHz下で比誘電率が3.5以上である光学フィルムを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層と、
保護フィルム、該保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層および第4帯電防止層、および前記第3帯電防止層の前記保護フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた離型層を含む保護層とを含み、
前記基材層および保護層は、前記第2帯電防止層と前記離型層が向かい合うように粘着剤層によって接合され、
前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、
前記粘着剤層は、100kHz下で比誘電率が3.5以上である光学フィルム。
【請求項2】
前記粘着剤層の厚さは、10μm以上200μm以下である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記粘着剤層は、金属イオンの含有量が50ppm以下である、請求項1または2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記粘着剤層は、非シリコーン系粘着剤層である、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記粘着剤層は、ガラスに対する180゜の剥離角度および0.3m/minの剥離速度で測定した剥離力が0.5gf/in以上15gf/in以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記粘着剤層は、ガラスに対するウェッティング(wetting)時間が1sec~6secである、請求項1から5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項7】
基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層と、
前記第2帯電防止層の前記基材フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた粘着剤層とを含み、
前記粘着剤層の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、
前記粘着剤層は、100kHz下で比誘電率が3.5以上である光学フィルム。
【請求項8】
前記粘着剤層のガラスに対する180゜の剥離角度および0.3m/minの剥離速度で測定した剥離力は、0.5gf/in以上15gf/in以下である、請求項7に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記粘着剤層は、ガラスに対するウェッティング(wetting)時間が1sec~6secである、請求項7または8に記載の光学フィルム。
【請求項10】
基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層を形成するステップと、
保護フィルム、該保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層および第4帯電防止層、および前記第3帯電防止層の前記保護フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた離型層を含む保護層を形成するステップと、
前記基材層と前記保護層とを前記第2帯電防止層と前記離型層が向かい合うように粘着剤層によって接合するステップとを含む光学フィルムの製造方法であって、
前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、前記粘着剤層は、100kHz下で比誘電率が3.5以上である光学フィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に規定の光学フィルムから前記保護層を除去するステップと、前記光学フィルムの粘着剤層を有機発光素子の封止層上に付着させるステップとを含む有機発光電子装置の製造方法。
【請求項12】
前記有機発光素子は、バックプレート、プラスチック基板、薄膜トランジスタ、有機発光ダイオード、および封止層を順次に含むものである、請求項11に記載の有機発光電子装置の製造方法。
【請求項13】
前記光学フィルムを前記封止層から剥離するステップと、前記封止層上にタッチスクリーンパネルおよびカバーウィンドウを積層するステップとをさらに含む、請求項11または12に記載の有機発光電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月23日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0137759号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
本発明は、光学フィルム、前記光学フィルムの製造方法および前記光学フィルムを用いた有機発光電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、自発光型表示装置であって、液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)とは異なり、別途の光源を必要とせず、軽量薄型で製造可能である。また、有機発光素子は、低電圧駆動によって消費電力の面で有利なだけでなく、応答速度、視野角および明暗コントラスト比(contrast ratio)にも優れ、次世代ディスプレイとして研究されている。
【0003】
前記有機発光素子は、不純物、酸素および水分に非常に弱くて外部露出または水分、酸素浸透によって特性が劣化しやすく、寿命が短縮される問題がある。このような問題を解決するために、有機発光素子の内部に酸素、水分などが流入するのを防止するための封止層(Encapsulation)が求められている。
【0004】
前記封止層は、製造された後に封止層を保護するための保護フィルムを含むが、通常の保護フィルムは、素材の特性上、高い表面電気抵抗による静電気によって、保護フィルムを封止層から剥離時、前記封止層に残像が残り、塵や埃などの異物が付着して有機発光素子に損傷を示し、有機発光素子の発光不良を引き起こすことがある。このような問題点を解決するために、作業者がいちいち静電気除去器により静電気を除去する工程を要することにより、生産時間、費用が増加して生産性が低下する問題がある。このような問題点を解決するための方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有機発光電子装置内の封止層の表面を保護し、帯電防止機能に優れた光学フィルム、前記光学フィルムの製造方法、封止層の表面の保護方法および有機発光電子装置の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様は、基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層と、保護フィルム、該保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層および第4帯電防止層、および前記第3帯電防止層の前記保護フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた離型層を含む保護層とを含み、前記基材層および保護層は、前記第2帯電防止層と前記離型層が向かい合うように粘着剤層によって接合され、前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、前記粘着剤層は、100kHz下で比誘電率が3.5以上である光学フィルムを提供する。
【0007】
本発明の他の実施態様は、基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層と、前記第2帯電防止層の前記基材フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた粘着剤層とを含み、前記粘着剤層の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、前記粘着剤層は、100kHz下で比誘電率が3.5以上である光学フィルムを提供する。
【0008】
本発明の一実施態様は、基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層を形成するステップと、保護フィルム、該保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層および第4帯電防止層、および前記第3帯電防止層の前記保護フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた離型層を含む保護層を形成するステップと、前記基材層と前記保護層とを前記第2帯電防止層と前記離型層が向かい合うように粘着剤層によって接合するステップとを含む光学フィルムの製造方法であって、前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、前記粘着剤層は、100kHz下で比誘電率が3.5以上である光学フィルムの製造方法を提供する。
【0009】
本発明の他の実施態様は、前述した光学フィルムから前記保護層を除去するステップと、前記光学フィルムの粘着剤層を有機発光素子の封止層上に付着させるステップとを含む有機発光電子装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本出願は、帯電防止機能に優れ、有機発光電子装置の製造工程中、素子の表面から剥離時、静電気によって発生する異物および素子の不良を防止する光学フィルムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】光学フィルムの形態を例示的に示す図である。
図2】光学フィルムの形態を例示的に示す図である。
図3】本発明の光学フィルムが被着材に付着した形態を例示的に示す図である。
図4】有機発光電子装置の製造工程中、封止層上に粘着剤層が付着した状態を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0013】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について、添付した図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0014】
本出願は、基材層と、保護層と、粘着剤層とを含む光学フィルムに関する。
前記基材層は、基材フィルムと、該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層とを含む。
前記保護層は、保護フィルムと、該保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層および第4帯電防止層と、前記第3帯電防止層の前記保護フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた離型層とを含む。
【0015】
図1を参照すれば、前記光学フィルムは、基材フィルム111、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層11Aおよび第2帯電防止層11Dを含む基材層110と、保護フィルム131、保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層11Bおよび第4帯電防止層11C、および前記第3帯電防止層11Bの前記保護フィルム131に接する面とは反対の面に接して設けられた離型層123を含む保護層130とを含み、前記基材層110と前記保護層130は、前記第2帯電防止層11Dおよび前記離型層123が向かい合うように粘着剤層124によって接合された構造を有する。
【0016】
一実施態様において、前記光学フィルムは、工程中に有機発光素子の表面を保護できる表面保護フィルムである。
【0017】
一実施態様において、前記光学フィルムは、前記光学フィルムから保護層を除去した後に、粘着剤層を被着材の表面に付着させて用いることができる。
【0018】
図2を参照すれば、保護層が除去された光学フィルムは、基材フィルム111、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層11Aおよび第2帯電防止層11Dを含む基材層110と、前記第2帯電防止層11Dの前記基材フィルム111に接する面とは反対の面に接して設けられた粘着剤層124とを含む。
【0019】
図3は、被着材の表面を保護するために、前記図2の光学フィルムを被着材140の表面に付着させた形態を示すものである。
【0020】
本明細書において、被着材とは、粘着剤層が粘着できる物質を意味する。一実施態様において、前記被着材は、有機発光素子の封止層および素子に適用されるプラスチック基板を意味することができるが、これに限定されない。
【0021】
本発明の光学フィルムは、前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗が10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、前記粘着剤層の100kHz下での比誘電率が3.5以上であることを特徴とする。
【0022】
本発明の一実施態様に係る粘着剤層は、比誘電率が100kHz下で3.5以上を満足することにより、帯電防止機能に優れ、被着材の表面から粘着剤層を剥離時静電気によって被着材の表面に発生しうる汚染およびそれによる製品の不良を防止することができる。
【0023】
また、前記粘着剤層が前記範囲の比誘電率の値を有する場合、粘着剤層が帯電防止剤などの帯電防止特性を示し得る物質を含まなくても、第2帯電防止層の帯電防止特性が粘着剤層の表面に実現できる。これは、本発明において、第2帯電防止層が基材フィルムの一面に設けられず、前記粘着剤層が基材フィルムの一面に接して設けられる場合、粘着剤層の表面抵抗値が高くなって、粘着剤層に本発明が目的とする帯電防止特性が実現されないことを意味する。一実施態様において、前記粘着剤層は、前記第2帯電防止層に接する。
【0024】
本明細書において、誘電率は、不導体の電気的な特性を示す値で、具体的には、初期電場を基準として電場がどれだけ弱くなったかを示す値である。不導体の極性の程度を誘電率で表現できるので、有極性で極性が高い場合は、誘電率が高く、無極性で極性が低い場合は、誘電率が低く測定される。
【0025】
本明細書において、粘着剤層の比誘電率(ε)とは、粘着剤層の誘電率(ε)の真空の誘電率(ε)に対する比を意味する。
【0026】
一実施態様において、前記粘着剤層の比誘電率は、3.5以上;4以上;5以上;6以上;または7以上であってもよい。粘着剤層の比誘電率が高いほど、粘着剤層内の分極度(polarity)が高くなって外部の電界を相殺させることが容易である。比誘電率が高いほど、粘着剤層の帯電防止特性が向上できる。
【0027】
一実施態様において、前記粘着剤層の比誘電率の上限は限定されない。一実施態様において、粘着剤層の材料の特性上、前記粘着剤層の比誘電率は、10以下であってもよい。
【0028】
前記比誘電率(ε)は、粘着剤層の両面に直径30mmのCu電極および直径30mmのCu電極をそれぞれ形成し、インピーダンス分析器(Impedance/gain-phase analyzer、HP4194A)を用いて、25℃および100kHzの周波数で静電容量(C)を測定した後、下記数式1で計算することができ、
【0029】
【数1】
【0030】
前記数式1中、Aは、粘着剤層の面積であり、hは、粘着剤層の厚さである。
【0031】
一実施態様において、前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下である。
【0032】
一実施態様において、前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗は、光学フィルムを幅10cm、長さ10cmとなるように裁断し、前記光学フィルムから保護層を剥離した後、表面抵抗測定器(ハイレスタ-UP MCP-HT450、Mitsubishi化学社)を用いて、前記粘着剤層の真中;および前記粘着剤層の真中から前記粘着剤層の幅方向にそれぞれ2.5cmである2つの地点を100Vの印加電圧および2kgfの圧力で10秒間測定して求めた3つの表面抵抗の平均値である。
【0033】
前記基材フィルムの種類は特に限定されない。前記基材フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルム、またはポリイミドフィルムなどを使用することができるが、これらに制限されるわけではない。本発明の一実施態様において、前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであってもよい。
【0034】
前記基材フィルムの厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記基材フィルムの厚さは、25μm以上150μm以下;50μm以上125μm以下;または50μm以上100μm以下であってもよい。有機発光素子の封止層に光学フィルムを貼着時、基材フィルムの範囲が前記厚さ範囲未満の場合、基材フィルムの変形が発生しやすい恐れがあり、基材フィルムの範囲が前記厚さ範囲超過の場合、貼着不良が発生しうる。
【0035】
前記基材フィルムには、例えば、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、またはスパッタエッチング処理などの適切な粘着処理が行われていてよいが、これに制限されるわけではない。
【0036】
一実施態様において、前記基材フィルムは、第1および/または第2帯電防止層に直接付着してもよい。他の実施態様において、前記基材フィルムに表面処理されている場合、表面処理された基材フィルムに第1および/または第2帯電防止層が付着できる。
【0037】
本明細書上、用語「帯電防止層」は、静電気の発生を抑制することを目的とする層を意味する。
前記第1から第4帯電防止層は、目的の効果を達成するために、公知の方法で形成される。例えば、前記第1から第4帯電防止層は、基材フィルムの両面および保護フィルムの両面にインラインコーティング方法によって形成される。前記インラインコーティング方法は、押出されて出たフィルムを一軸延伸後、コーティング層を塗布して、再び二軸延伸でフィルムを完成する方法である。前記インラインコーティング方法は、フィルムの製造工程中にコーティングが行われるので、コーティング層とフィルムとの間の密着性が増加し、コーティング層の付与がフィルムの製造とともに連続的に行われるので、工程が短縮され、フィルムを最大限に薄く製造できるという利点がある。
【0038】
本発明において、前記第1から第4帯電防止層は、本出願の目的を考慮して適切な帯電防止組成物で形成される。例えば、前記第1から第4帯電防止層は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で熱硬化性バインダー樹脂を含むことができる。
【0039】
本明細書において、用語「熱硬化性バインダー樹脂」は、適切な熱の印加または熟成(aging)工程により硬化できるバインダー樹脂を意味する。例えば、前記熱硬化性バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタン-アクリル系共重合体、エステル系樹脂、エーテル系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、およびメラミン樹脂からなる群より選択された1つまたはこれらの混合物を使用することができるが、これに限定されない。
【0040】
一つの例において、前記第1から第4帯電防止層は、導電性物質を含むことができる。前記導電性物質は、導電性高分子またはカーボンナノチューブを含むことができるが、これに限定されない。
【0041】
前記導電性高分子は、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン系、これらの誘導体および共重合体から構成されるが、これに限定されない。
【0042】
前記カーボンナノチューブは、炭素6個からなる六角形環が互いに連結されてなる黒鉛板状を丸く巻いてできたチューブ形態を有することができる。前記カーボンナノチューブは、剛性および電気伝導性に優れ、光学フィルムの帯電防止層として用いられる場合、帯電防止層の硬度が増加し、帯電防止機能が向上できる。
【0043】
前記第1から第4帯電防止層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能であり、それぞれの帯電防止層の厚さは、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
【0044】
一実施態様において、前記第1から第4帯電防止層の厚さは、それぞれ独立して、10nm以上400nm未満であってもよく、好ましくは20nm以上300nm以下;または20nm以上100nm以下であってもよい。前記第1から第4帯電防止層が前述した範囲内の厚さを有することにより、前記基材フィルムの両面または保護フィルムの両面に優れたコーティング性を有することができる。
一実施態様において、前記第1から第4帯電防止層の表面抵抗は、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、第1から第4帯電防止層の表面抵抗は、それぞれ独立して、10Ω/sq以上;10Ω/sq以上;10Ω/sq以上;10Ω/sq以上;または10Ω/sq以上である。例えば、第1から第4帯電防止層の表面抵抗は、それぞれ独立して、5×1012Ω/sq以下;または1011Ω/sq以下であってもよい。前記第1から第4帯電防止層が前述した範囲内の表面抵抗を有する場合、前記光学フィルムが優れた帯電防止機能を有することができる。
【0045】
一実施態様において、前記第1および第2帯電防止層は、基材フィルムの両面にそれぞれ設けられる。一実施態様において、第1および第2帯電防止層は、それぞれ基材フィルムの両面に直接接する。本発明において、第3および第4帯電防止層は、保護フィルムの両面にそれぞれ設けられる。一実施態様において、第3および第4帯電防止層は、それぞれ保護フィルムの両面に直接接する。
【0046】
一実施態様において、前記粘着剤層は、前記第2帯電防止層と前記離型層に直接接する。
【0047】
一実施態様において、前記粘着剤層は、非シリコーン系粘着剤層であってもよい。前記非シリコーン系粘着剤層は、例えば、ゴム系粘着剤層、ウレタン系粘着剤層、またはアクリル系粘着剤層であってもよいが、これに限定されない。特に、前記粘着剤層が非シリコーン系粘着剤層の場合、低い剥離力でも前記粘着剤層上に残像を発生させずに離型層と粘着剤層を分離することができる。
【0048】
一実施態様において、前記粘着剤層は、ウレタン系粘着剤層であってもよい。粘着剤層がウレタン高分子を含む場合、粘着剤層の比誘電率がより高くなって、第2帯電防止層の帯電防止特性が粘着剤層により良く実現できる。
【0049】
前記ゴム系粘着剤層としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブタジエンゴム、またはスチレン-ブタジエン-スチレンブロック混成重合体などを含む粘着剤層を用いることができる。
【0050】
前記アクリル系粘着剤層としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含むことができる。前記単量体は、重合体に重合単位で含まれる。本明細書において、単量体が重合単位で重合体に含まれるというのは、その単量体が重合反応などを経てその重合体の骨格、例えば、主鎖または側鎖を形成している状態を意味することができる。
【0051】
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。一実施態様において、粘着剤の凝集力やガラス転移温度などを考慮して、前記アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は1~14であってもよい。前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、およびテトラデシル(メタ)アクリレートなどが使用できるが、これらに限定されない。前記アルキル(メタ)アクリレートは、1種または2種以上が使用可能であり、単量体の混合比率は、粘着剤層の粘着力を考慮して適宜選択可能である。
【0052】
前記アクリル系粘着剤層は、エラストマーを追加的に含むことができる。前記エラストマーとしては、例えば、天然イソプレン、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、および水素化ニトリルゴムからなる群より選択された1種または2種以上を含むことができる。
【0053】
前記ウレタン系粘着剤層は、ポリウレタン系樹脂を含む粘着剤層を意味する。前記ポリウレタン樹脂は、ポリオールと多官能性イソシアネート化合物を含有する組成物を硬化させて得られる樹脂を意味する。前記ウレタン系粘着剤層は、例えば、ヒドロキシ基、アミン基、およびカルボキシル基からなる官能基より選択された1以上の基を含有する組成物の硬化物から得られる。
【0054】
前記ポリオールは、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、またはポリカーボネートポリオールを含有することができるが、これに限定されない。前記ポリオール成分の例としては、エチレン、グリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
前記多官能性イソシアネート化合物としては、ウレタン化反応に利用可能な任意の適切な多官能性イソシアネート化合物を採用することができる。このような多官能性イソシアネート化合物の例としては、多官能性脂肪族系イソシアネート化合物、多官能性脂環族系イソシアネート、および多官能性芳香族系イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0056】
前記粘着剤層は、粘着剤組成物を硬化させて形成されるが、前記粘着剤組成物を硬化させる方法は特に限定されず、例えば、適切な乾燥、加熱および/または熟成(aging)工程による硬化;または紫外線(UV)のような電磁波照射による硬化方式を採用することができる。
【0057】
前記粘着剤層を形成する粘着剤組成物の組成は、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記粘着剤組成物は、粘着樹脂、硬化剤、可塑剤、光開始剤、溶媒、加水分解防止剤、酸化防止剤、硬化促進剤、遅延防止剤などを含むことができる。
【0058】
本発明において、前記粘着剤層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記粘着剤層の厚さは、10μm以上;30μm以上;または45μm以上であってもよい。例えば、前記粘着剤層の厚さは、200μm以下;150μm以下;100μm以下;または90μm以下であってもよい。
【0059】
粘着剤層の厚さを前記範囲にすることで、粘着剤層の被着材の表面に対する粘着性およびウェッティング性が向上できる。
【0060】
本発明において、前記粘着剤層内の金属イオンの含有量は、50ppm以下であり、好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。前記金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属(1族)を意味する。前記粘着剤層内の金属イオンの含有量とは、粘着剤層の総重量対比、粘着剤層に含まれる金属イオンの含有量を意味する。
【0061】
本発明において、粘着剤層内の金属イオンの含有量が50ppm以下であるとの意味は、粘着剤層内に帯電防止剤が含まれていないことを意味するのである。本発明の光学フィルムは、粘着剤層に帯電防止剤が含まれていなくても帯電防止性を有することができる。
【0062】
本明細書において、特別な限定がない限り、「ガラス」とは、無アルカリガラス(NEG社、OA-21)を意味することができる。
本発明において、前記粘着剤層は、ガラスに対する180゜の剥離角度および0.3m/minの剥離速度で測定した剥離力が0.5gf/in以上15gf/in以下;0.5gf/in以上13gf/in以下;または0.5gf/in以上10gf/in以下であってもよい。
【0063】
一実施態様において、前記粘着剤層のガラスに対する剥離力は、前記光学フィルムから保護層を剥離し、前記光学フィルムを幅2.54mm、長さ250mmとなるように裁断した後、2kgのローラで光学フィルムの粘着剤層をガラスに付着させ、25℃の温度および50%の相対湿度下で24時間保管した後、材料物性分析器(Texture Analyzer、英国ステーブルマイクロシステムズ社製)を用いて、前記光学フィルムを前記ガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力である。
【0064】
一実施態様において、前記光学フィルムを前記ガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力は、25℃の温度および50%の相対湿度下で測定した値である。
【0065】
本明細書において、ウェッティング性(wetting)またはウェッティング時間は、粘着剤が被着材の表面すべてに対してウェッティングされるのにかかる時間を意味し、ウェッティング性を測定する方法は、当業界で一般的に使用される方法を用いることができる。例えば、後述する実験例のウェッティング性評価方法によって測定可能である。
【0066】
前記粘着剤層は、ガラスに対するウェッティング(wetting)時間が0.5sec~6sec;0.5sec~5sec;または1sec~5secであってもよい。前記粘着剤層が前述した範囲内のウェッティング時間を有することにより、前記粘着剤層と離型層を分離する時、粘着剤層の表面に残像を発生させずに分離することができる。
【0067】
一実施態様に係る本発明の粘着剤層は、第2帯電防止層の一面に設けられ、累積静電気量が減少する。また、粘着剤層の表面抵抗が減少するので、光学フィルムから保護層を剥離時、粘着剤層表面の静電気の発生が減少する。
【0068】
本発明において、保護層は、保護フィルムと、保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層および第4帯電防止層とを含む。前記第3帯電防止層の前記保護フィルムに接する面とは反対の面に接しては離型層が設けられる。
【0069】
前記保護フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート;ポリテトラフルオロエチレン;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブテン;ポリブタジエン;塩化ビニル共重合体;ポリウレタン;エチレン-ビニルアセテート;エチレン-プロピレン共重合体;エチレン-アクリル酸エチル共重合体;エチレン-アクリル酸メチル共重合体;ポリイミド;ナイロン;スチレン系樹脂またはエラストマー;ポリオレフィン系樹脂またはエラストマー;その他エラストマー;ポリオキシアルキレン系樹脂またはエラストマー;ポリエステル系樹脂またはエラストマー;ポリ塩化ビニル系樹脂またはエラストマー;ポリカーボネート系樹脂またはエラストマー;ポリフェニレンスルフィド系樹脂またはエラストマー;炭化水素の混合物;ポリアミド系樹脂またはエラストマー;アクリレート系樹脂またはエラストマー;エポキシ系樹脂またはエラストマー;シリコーン系樹脂またはエラストマー;および液晶ポリマーからなる群より選択された1つ以上を含むことができるが、これに制限されるわけではない。
【0070】
前記保護フィルムの厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、25μm以上150μm以下;25μm以上125μm以下;または25μm以上100μm以下であってもよい。保護フィルムの厚さが前記範囲未満であれば、有機発光素子の封止層に粘着剤層が形成された光学フィルムを貼着時、保護フィルムの変形が発生しやすい恐れがあり、保護フィルムの厚さが前記範囲超過であれば、貼着不良が発生しうる。
【0071】
前記離型層の材料は、本発明の目的に応じて適宜選択可能である。前記離型層としては、本発明分野の一般的な高分子フィルムを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルム、またはポリイミドフィルムなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0072】
前記離型層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記離型層の厚さは、10nm以上500nm以下;10nm以上300nm以下;または10nm以上200nm以下であってもよい。前記離型層が前述した厚さを有しなければ、工程時、フィルムの不良が発生しうるので、前記厚さを有することが好ましい。
【0073】
本明細書は、光学フィルムの製造方法を提供する。前記製造方法は、例えば、前述した光学フィルムの製造方法に関する。したがって、後述する光学フィルムの製造方法で形成された光学フィルムには、前述した光学フィルムに関する内容が同一に適用可能である。
【0074】
一つの例において、前記光学フィルムの製造方法は、基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層を形成するステップと、保護フィルム、該保護フィルムの両面にそれぞれ設けられた第3帯電防止層および第4帯電防止層、および前記第3帯電防止層の前記保護フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた離型層を含む保護層を形成するステップと、前記基材層と前記保護層とを前記第2帯電防止層と前記離型層が向かい合うように粘着剤層によって接合するステップとを含むことができる。
【0075】
前記光学フィルムの製造方法において、前記粘着剤層の前記離型層と接する面の表面抵抗は、10Ω/sq以上5×1012Ω/sq以下であり、前記粘着剤層は、100kHz下で比誘電率が3.5以上である。
【0076】
一実施態様において、基材フィルム、および該基材フィルムの両面にそれぞれ設けられた第1帯電防止層および第2帯電防止層を含む基材層と、前記第2帯電防止層の基材フィルムに接する面とは反対の面に接して設けられた粘着剤層とを含む光学フィルムは、前述した保護層と離型層とを含む光学フィルムから保護層を剥離して製造することができる。
【0077】
本明細書は、有機発光電子装置の製造方法を提供する。
一つの例において、前記有機発光電子装置の製造方法は、前述した光学フィルムから前記保護層を除去するステップと、前記光学フィルムの粘着剤層を有機発光素子の封止層上に付着させるステップとを含むことができる。
【0078】
もう一つの例において、前記有機発光素子は、バックプレート、プラスチック基板、薄膜トランジスタ、有機発光ダイオード、および封止層を順次に含むことができる。
図4は、有機発光電子装置の製造工程中、封止層上に本発明の一実施形態に係る光学フィルムを付着させた状態を例示的に示す図である。図4を参照すれば、本発明の一実施態様に係る図2の光学フィルムは、バックプレート511、プラスチック基板512、薄膜トランジスタ513、有機発光ダイオード514、および封止層515を順次に含む有機発光素子510の封止層515上に粘着剤層と封止層が向かい合うように付着する。
【0079】
前記封止層は、有機発光電子装置において優れた水分遮断特性および光学特性を示すことができる。また、前記封止層は、前面発光(top emission)または背面発光(bottom emission)などの有機発光電子装置の形態に関係なく安定した封止層に形成される。
【0080】
一実施態様において、前記封止層は、単層または多層の無機物層を含むことができる。無機物層が多層の場合、第1無機物層、有機物層、および第2無機物層を順次に含むことができる。前記単層または多層の無機物層は、封止層の最外郭層に含まれる。前記封止層を形成する方法としては、当業界で知られた通常の封止層を形成する方法が適用可能である。一つの例において、前記第2無機物層の有機物層が形成されていない面に粘着剤層が直接付着できる。
【0081】
前記単層または多層の無機物層は、例えば、アルミニウム酸化物(Aluminium oxide)系、シリコーン-窒素化合物(Silicone nitride)系、シリコーン酸化窒素酸化物(Silicone oxynitride)系などを含むことができる。前記有機物層は、第1および第2無機物層の間に導入されて、無機物粒子などによる不規則な表面を平坦化させながら、無機物層のストレスを緩和させる機能を行うことができる。有機物層は、例えば、アクリレート樹脂またはエポキシ樹脂などを含むことができる。
【0082】
本出願の有機発光電子装置の製造方法は、前記光学フィルムを前記封止層から剥離するステップと、前記封止層上にタッチスクリーンパネルおよびカバーウィンドウを積層するステップとをさらに含んでもよい。前記光学フィルムは、封止層から剥離時、封止層に優れた帯電防止機能を示すので、前記封止層上にタッチスクリーンパネルを接合時、封止層とタッチスクリーンとの間に異物が付着するのを防止して素子の不良を防止することができる。
【実施例0083】
以下、本出願による実施例および本出願によらない比較例を通じて本出願をより詳細に説明するが、本出願の範囲が下記に示された実施例によって制限されるわけではない。
【0084】
<光学フィルムの製造>
実施例1
75μmの厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)の両面が第1帯電防止層および第2帯電防止層としてコーティングされたフィルム(H33P-両面、コーロン社)を基材層として用意した。
次いで、エチルヘキシルアクリレート(EHA)93重量部とヒドロキシエチルアクリレート(HEA)7重量部とを混合してアクリル系粘着樹脂を重合し、前記アクリル系粘着樹脂100重量部対比、イソシアネート硬化剤を5重量部添加したコーティング液を第2帯電防止層にコーティング後、乾燥、熟成して30μmの厚さのアクリル系粘着剤層を製造した。
【0085】
次に、50μmの厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(XD510P、TAK社)の両面に第3帯電防止層および第4帯電防止層が形成され、第3帯電防止層上に離型層がコーティングされた保護層(12ASW、SKC社)を、前記離型層が粘着剤層に位置するように貼り合わせて光学フィルムを製造した。
【0086】
実施例2
アクリル系粘着樹脂の代わりに、ウレタン系粘着樹脂(UA-4、SAMWHAペイント社)を用い、ウレタン系粘着剤層を50μmの厚さに製造したことを除けば、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造した。
【0087】
実施例3
アクリル系粘着樹脂の代わりに、ウレタン系粘着樹脂(UA-4、SAMWHAペイント社)を用い、ウレタン系粘着剤層を75μmの厚さに製造したことを除けば、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造した。
【0088】
比較例1
実施例1の基材層の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)の一面が第1帯電防止層としてコーティングされたフィルム(H33P-一面、コーロン社)を基材層として用い、コーティング液を基材層の基材フィルムに形成したことを除けば、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造した。
【0089】
比較例2
実施例3の基材層の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)の一面が第1帯電防止層としてコーティングされたフィルム(H33P-一面、コーロン社)を基材層として用い、コーティング液を基材層の基材フィルムに形成したことを除けば、実施例3と同様の方法で光学フィルムを製造した。
【0090】
比較例3
実施例1のアクリル系粘着剤層の代わりに、n-ブチルアクリレート(BA)60重量部、メチルメタクリレート(MMA)30重量部、および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)10重量部を混合して分子量150万g/molのアクリル系粘着樹脂を重合し、前記アクリル系粘着樹脂100重量部対比、硬化剤(TKA-100、Asahi kasei社)30重量部およびIPMS(Isopropyl myristrate)100重量部を添加したコーティング液を第2帯電防止層にコーティング後、乾燥、熟成して製造した35μmの厚さのアクリル系粘着剤層を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で光学フィルムを製造した。
【0091】
以下、実施例および比較例の物性は、下記の方式で評価した。
<比誘電率評価>
実施例1~3および比較例1~3の粘着剤層の両面に、直径30mmのCu電極および直径30mmのCu電極をそれぞれ形成した。インピーダンス分析器(Impedance/gain-phase analyzer、HP4194A)を用いて、25℃の温度で100kHzの周波数下の静電容量(C)を測定した後、粘着剤層の厚さおよび面積を考慮して比誘電率(ε)を計算した。計算式は、以下の数式を用いることができる。
【0092】
【数2】
(A:粘着剤層の面積、h:粘着剤層の厚さ)
【0093】
<表面抵抗の評価>
実施例1~3および比較例1~3の光学フィルムを幅10cm、長さ10cmとなるように裁断して試験片を製造した。前記光学フィルムから保護層を剥離した後、表面抵抗測定器(ハイレスタ-UP MCP-HT450、Mitsubishi化学社)を用いて、測定器の電極を2kgfの圧力で押圧した後、25℃の温度で100Vの電圧を印加して粘着剤層の表面抵抗を測定した。粘着剤層の真中;および粘着剤層の真中から粘着剤層の幅方向にそれぞれ2.5cmである2つの地点を10秒間測定して3つの平均値を取った。
【0094】
<剥離力評価>
実施例1~3の光学フィルムを幅2.54mm、長さ250mmとなるように裁断して試験片を製造した。光学フィルムから保護層を剥離した後、2kgのローラを用いて光学フィルムの粘着剤層をガラスに付着させ、25℃で24時間保管した。次いで、装置(Texture Analyzer、英国ステーブルマイクロシステムズ社製)を用いて、前記光学フィルムを25℃の温度でガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離しながら、剥離力を評価した。
【0095】
<ウェッティング性(wetting)評価>
実施例1~3および比較例1および2の光学フィルムを幅50mm、長さ150mmとなるように裁断し、前記光学フィルムから保護層を剥離して、2kgのローラでガラスに付着させた後、前記ガラスに粘着剤層がすべてウェッティング(wetting)される時間を測定した。
実施例1~3および比較例1~3で製造された光学フィルムに対する物性評価の結果は、下記表1~表3の通りである。
【0096】
【表1】
前記表1にて、overは、粘着剤層の表面抵抗が1013Ω/sqを超えた場合を意味する。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
前記表1のように、実施例1~3の光学フィルムは、比較例1~3の光学フィルムに比べて粘着剤層の表面抵抗値が底いことが分かる。表面抵抗が低いというのは、静電気の発生が抑制されるということであるので、比誘電率が3.5以上の粘着剤層を用いる場合、有機発光電子装置の製造時、素子に静電気の発生による異物の付着防止効果に優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0100】
11A:第1帯電防止層
11B:第3帯電防止層
11C:第4帯電防止層
11D:第2帯電防止層
110:基材層
111:基材フィルム
123:離型層
124:粘着剤層
130:保護層
131:保護フィルム
140:被着材
510:有機発光素子
511:バックプレート
512:プラスチック基板
513:薄膜トランジスタ
514:有機発光ダイオード
515:封止層
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】