(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168396
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】流体制御弁及び位置センサ
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
F16K37/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073800
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】ランズデル ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェブスター デイビッド
【テーマコード(参考)】
3H065
【Fターム(参考)】
3H065AA01
3H065BA02
3H065BB11
(57)【要約】
【課題】流体制御弁を大型化することなく、位置センサの分解能を向上して弁体の位置を精度良く測定する。
【解決手段】弁座21に対して接離可能に設けられた弁体3をアクチュエータ4によって移動させる流体制御弁100であって、弁座21に対して接離方向に移動する弁体3の位置に応じた出力値を出力する位置センサ5を備え、位置センサ5は、弁体21とともに移動する第1センサ要素51と、弁座21に対して固定された第2センサ要素52とを有し、第1センサ要素51及び第2センサ要素52の相対位置に基づいて出力値を出力するものであり、第1センサ要素51及び第2センサ要素52は、絶縁層50aを介して複数の導体層50bが積層された多層基板50であり、多層基板50の積層方向に交差する方向を向く端面51x、52xが互いに対向するように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座に対して接離可能に設けられた弁体をアクチュエータによって移動させる流体制御弁であって、
前記弁座に対して接離方向に移動する前記弁体の位置に応じた出力値を出力する位置センサを備え、
前記位置センサは、前記弁体とともに移動する第1センサ要素と、前記弁座に対して固定された第2センサ要素とを有し、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素の相対位置に基づいて前記出力値を出力するものであり、
前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素は、絶縁層を介して複数の導体層が積層された多層基板であり、前記多層基板の積層方向に交差する方向を向く端面が互いに対向するように配置されている、流体制御弁。
【請求項2】
前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素は、互いに同一の積層構成を有する多層基板である、請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記端面には複数の前記導体層が露出している、請求項1又は2に記載の流体制御弁。
【請求項4】
前記端面において複数の前記導体層が露出していない、請求項1又は2に記載の流体制御弁。
【請求項5】
前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素は、互いに隙間を空けて同心円状に配置された円環形状をなすものである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体制御弁。
【請求項6】
前記第1センサ要素は、前記弁体に接続されたシャフトの外側周面に固定された円環形状をなすものであり、
前記第2センサ要素は、前記第1センサ要素の外側周面を取り囲むように設けられた円環形状をなすものである、請求項1乃至5の何れか一項に記載の流体制御弁。
【請求項7】
前記多層基板は、前記複数の導体層がビアにより互いに電気的に接続されている、請求項1乃至6の何れか一項に記載の流体制御弁。
【請求項8】
前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素の相対位置によるインダクタンス変化を測定し、当該インダクタンス変化に基づいて前記出力値を出力する測定用回路基板を有し、
前記測定用回路基板は、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素を収容する空間と同じ空間に設けられている、請求項1乃至7の何れか一項に記載の流体制御弁。
【請求項9】
弁座に対して接離可能に設けられた弁体をアクチュエータによって移動させる流体制御弁に用いられ、前記弁座に対して接離方向に移動する前記弁体の位置に応じた出力値を出力する位置センサであって、
前記弁座に対して固定された第1センサ要素と、前記弁体とともに移動する第2センサ要素とを有し、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素の相対位置に基づいて前記出力値を出力するものであり、
前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素は、絶縁層を介して複数の導体層が積層された多層基板であり、前記多層基板の積層方向に交差する方向を向く端面が互いに対向するように配置されている、位置センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御弁及び当該流体制御弁に用いられる位置センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、流体の流量を制御する流体制御用電磁弁において、シート部に接離するバルブの位置を検出するバルブ位置検出手段を有するものが考えられている。
【0003】
このバルブ位置検出手段は、磁束を発生させる位置検出コイルと、磁束を遮蔽するとともにバルブの移動に連動して位置検出コイルに対して相対移動する遮蔽体とを有している。位置検出コイルと遮蔽体とは、バルブの接離方向に直交する方向において互いに対向して設けられている。また、位置検出コイルは、フレキシブル基板に形成された多層導体プリントパターンで構成されており、遮蔽体は、例えば銅系で構成された環状中空部材である。そして、バルブ位置検出手段は、相対移動に伴う位置検出コイルと遮蔽体とが重なる面積の変化に応じて変化する位置検出コイルのインピーダンスからセンサ出力電圧を出力し、このセンサ出力電圧の値からバルブの位置を検出している。
【0004】
上記構成において、流体の流量を高精度に行うためには、バルブ位置検出手段におけるバルブ位置の分解能(感度)を向上することが考えられる。そして、バルブ位置検出手段の分解能(感度)を向上するためには、位置検出コイルの巻き数を増やすことが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記のバルブ位置検出手段では、位置検出コイルがフレキシブル基板に形成された多層導体プリントパターンで構成されているので、位置検出コイルの巻き数を増やすためにはバルブの接離方向にフレキシブル基板がサイズアップしてしまい、流体制御用バルブの大型化を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような問題に鑑みてなされたものであり、流体制御弁を大型化することなく、位置センサの分解能を向上して弁体の位置を精度良く測定することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る流体制御弁は、弁座に対して接離可能に設けられた弁体をアクチュエータによって移動させる流体制御弁であって、前記弁座に対して接離方向に移動する前記弁体の位置に応じた出力値を出力する位置センサを備え、前記位置センサは、前記弁体とともに移動する第1センサ要素と、前記弁座に対して固定された第2センサ要素とを有し、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素の相対位置に基づいて前記出力値を出力するものであり、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素は、絶縁層を介して複数の導体層が積層された多層基板であり、前記多層基板の積層方向に交差する方向を向く端面が互いに対向するように配置されていることを特徴とする。
【0009】
このような流体制御弁であれば、絶縁層を介して複数の導体層が積層された多層基板から第1センサ要素及び第2センサ要素を構成し、それら第1センサ要素及び第2センサ要素を、多層基板の積層方向に交差する方向を向く端面が互いに対向するように配置しているので、流体制御弁を大型化することなく、位置センサの分解能を向上することができる。その結果、弁座に対する弁体の位置を精度良く測定することができるので、弁体を高精度に位置制御(ポジションコントロール)することができ、更には、流量を高精度に制御することができる。
【0010】
前記端面には複数の前記導体層が露出していることが望ましい。
この構成であれば、第1センサ要素及び第2センサ要素の相対位置に基づくインダクタンス変化を大きくすることができ、位置センサの分解能をさらに向上することができる。また、導体層を保護するために、前記端面において複数の前記導体層が露出していない構成としても良い。
【0011】
前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素は、互いに同一の積層構成を有する多層基板であることが望ましい。
この構成であれば、第1センサ要素となる多層基板と、第2センサ要素となる多層基板との熱膨張量が同じとなり、温度変化した場合の熱膨張量の違いによる測定誤差を低減することができる。また、第1センサ要素となる多層基板と、第2センサ要素となる多層基板とを互いに同一の積層構成とすることで、単一の多層基板から第1センサ要素及び第2センサ要素を製作することができ、製造コストを低減することができる。
【0012】
第1センサ要素及び第2線センサ要素の具体的な実施の態様としては、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素は、互いに隙間を空けて同心円状に配置された円環形状をなすものであることが望ましい。
この構成であれば、第1センサ要素及び第2センサ要素の対向面の面積を大きくすることができ、位置センサの分解能を向上することができる。
【0013】
具体的な実施の態様としては、前記第1センサ要素は、前記弁体に接続されたシャフトの外側周面に固定された円環形状をなすものであり、前記第2センサ要素は、前記第1センサ要素の外側周面を取り囲むように設けられた円環形状をなすものであることが望ましい。
【0014】
インダクタンス変化を大きくして、弁体の位置検出の分解能を向上するためには、前記多層基板は、前記複数の導体層がビアにより互いに電気的に接続されていることが望ましい。
【0015】
本発明の流体制御弁は、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素の相対位置によるインダクタンス変化を測定し、当該インダクタンス変化から前記出力値を出力する測定用回路基板を有している。この構成において、流体制御弁の構成を簡単にするとともに小型化するためには、前記測定用回路基板は、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素を収容する空間と同じ空間に設けられていることが望ましい。
【0016】
また、本発明に係る位置センサは、弁座に対して接離可能に設けられた弁体をアクチュエータによって移動させる流体制御弁に用いられ、前記弁座に対して接離方向に移動する前記弁体の位置に応じた出力値を出力する位置センサであって、前記弁座に対して固定された第1センサ要素と、前記弁体とともに移動する第2センサ要素とを有し、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素の相対位置に基づいて前記出力値を出力するものであり、前記第1センサ要素及び前記第2センサ要素は、絶縁層を介して複数の導体層が積層された多層基板であり、前記多層基板の積層方向に交差する方向を向く端面が互いに対向するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上に述べた本発明によれば、流体制御弁を大型化することなく、位置センサの分解能を向上して弁体の位置を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る流体制御弁の全体模式図である。
【
図2】同実施形態の位置センサの(a)弁体が移動する前及び(b)弁体が移動した後における第1センサ要素及び第2センサ要素の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【
図3】同実施形態の第1センサ要素及び第2センサ要素の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】同実施形態の測定用回路基板の機能ブロック図である。
【
図5】同実施形態の第1センサ要素及び第2センサ要素のインダクタンスを示す模式図である。
【
図6】同実施形態の測定用回路基板の出力信号を示すグラフである。
【
図7】変形実施形態の位置センサの(a)弁体が傾いていない状態及び(b)弁体が傾いた状態における第1センサ要素及び第2センサ要素の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【
図8】弁体の傾きによる信号の変化及びその補正を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態に係る流体制御弁について、図面を参照して説明する。
【0020】
<装置構成>
本実施形態の流体制御弁100は、例えばマスフローコントローラ等に用いられる例えば常時開放型(ノーマルオープンタイプ)のものであり、
図1に示すように、弁座21が形成された弁座部材2と、弁座21に対して接離可能に設けられた弁体3と、弁体3を駆動するアクチュエータ4と、弁座21に対する弁体3の位置を検出する位置センサ5と、を備えている。
【0021】
各部について説明する。
【0022】
弁座部材2は、上流側流路R1及び下流側流路R2を仕切るための弁座21を有するものであり、本実施形態では、上流側流路R1及び下流側流路R2が形成された流路ブロック10の凹部10Mに収容されている。本実施形態の弁座部材2は、円環状の弁座21を有しており、弁座21の内側に上流側流路R1に連通する第1内部流路2aが形成されており、弁座21の外側に下流側流路R2に連通する第2内部流路2bが形成されている。
【0023】
弁体3は、弁座部材2の弁座21に着座する着座面31を有するものであり、本実施形態では、アクチュエータ4による進退方向に延びる概略円柱状のロッド部32と、当該ロッド部32の周囲に設けられた概略円板状のダイアフラム部33とを有している。なお、ダイアフラム部33の外周部は概略円筒状の支持体34に接続されている。この支持体34は、流路ブロックに図示しないシール部材を介して固定される。本実施形態では、ロッド部32、ダイアフラム部33及び支持体34が一体形成されている。
【0024】
アクチュエータ4は、ピエゾアクチュエータであり、圧電セラミックス層と電極層が交互に積層されたピエゾスタックを有している。本実施形態のアクチュエータ4は、弁体3のロッド部32に接続されたシャフト部材6に駆動力を作用させることによって弁体3を移動させる。
【0025】
上記の構成により、アクチュエータ4が伸びることによって、弁体3の着座面31が弁座部材2の弁座面21に当接して上流側流路R1及び下流側流路R2が遮断される。また、アクチュエータ4が縮むことによって、弁体3の着座面31が弁座部材2の弁座面21から離れて、上流側流路R1及び下流側流路R2が連通する。そして、アクチュエータ4の伸縮に応じて、弁体3の位置が変化し、その結果、弁座21と弁体3との距離が変化して、流量が制御される。
【0026】
位置センサ5は、弁座21に対して接離方向に移動する弁体3の位置に応じた出力値を出力するものである。具体的に位置センサ5は、特に
図2に示すように、弁体3とともに移動する第1センサ要素51と、弁座21に対して固定された第2センサ要素52とを有し、第1センサ要素51及び第2センサ要素52の相対位置によるインダクタンス変化に基づいて、弁体3の位置に応じた出力値を出力する。
【0027】
図2に示すように、第1センサ要素51及び第2センサ要素52は、絶縁層50aを介して複数の導体層50bが積層された多層基板50から構成されている。具体的に第1センサ要素51及び第2センサ要素52は、互いに同一の積層構成を有する多層基板50である。積層構成を互いに同一にすることによって、第1センサ要素51及び第2センサ要素52は、1つの多層基板を切断することによって製作することができる。本実施形態の多層基板50において複数の導体層50bは、銅であり、円環状をなしている。また、複数の導体層50bが銅であるビア50cにより互いに電気的に接続されている。なお、絶縁層50aは、エポキシ樹脂、フッ素樹脂又はセラミックスから構成することができる。
【0028】
本実施形態の第1センサ要素51及び第2センサ要素52は、10層の導体層50bにより構成され、当該10層の導体層50bをビア50cにより電気的に接続することにより5回巻きのコイルを有する構成としてある。また、第1センサ要素51及び第2センサ要素52において、各導体層50bの厚みは、例えば0.03mmであり、導体層50bの間の絶縁層50aの厚みは、例えば0.1mmである。このような構成の多層基板50全体の厚みは、例えば1.57mmである。また、各導体層50bの幅は、例えば0.3mmである。
【0029】
そして、第1センサ要素51及び第2センサ要素52は、接離方向に交差する方向(具体的には直交する方向)において、多層基板50の積層方向に交差する方向を向く端面51x、52xが互いに対向するように配置されている。本実施形態の互いに対向する端面51x、52xは、多層基板50の積層方向に直交しており、複数の導体層50bが露出している。なお、互いに対向する端面51x、52xは、多層基板50の積層方向に直交する方向から傾斜(例えば±10度以下)していても良い。
【0030】
また、第1センサ要素51及び第2センサ要素52は、
図3に示すように、互いに隙間を空けて同心円状に配置された円環形状をなすものである。
【0031】
具体的に第1センサ要素51は、弁体3に接続されたシャフト部材6の外側周面に固定された円環形状をなすものであり、その外側周面に複数の導体層50bが露出している。この第1センサ要素51において、複数の導体層50bは、当該複数の導体層50bの径方向内側に設けられたビア51cにより電気的に接続されている。なお、第1センサ要素51は、弁体3のロッド部32の外側周面に固定されていても良い。
【0032】
一方、第2センサ要素52は、第1センサ要素51の外側周面を取り囲むように設けられた円環形状をなすものであり、その内側周面に複数の導体層50bが露出している。この第2センサ要素52において、複数の導体層50bは、当該複数の導体層50bの径方向外側に設けられたビア51cにより電気的に接続されている。本実施形態では、第2センサ要素52は、支持体34に接続された円筒部材7の内側周面に固定されている。なお、第2センサ要素52は、支持体34に固定されていても良いし、支持体34以外の静止側部材に固定されていても良い。
【0033】
そして、これらの第1センサ要素51及び第2センサ要素52は、
図2に示すように、弁体3が基準位置(例えば弁体3がアクチュエータ4により駆動される前の状態)において、第1センサ要素51の複数の導体層50bと第2センサ要素52の複数の導体層50bとが互いに正対するように配置されている。
【0034】
さらに、本実施形態の位置センサ5は、
図1に示すように、第1センサ要素51及び第2センサ要素52の相対位置によるインダクタンス変化を測定し、当該インダクタンス変化に基づいて、出力値を出力する測定用回路基板53を有している。なお、
図4に、第1センサ要素51及び第2センサ要素52により生じるインダクタンスを模式的に示している。
【0035】
測定用回路基板53は、第2センサ要素52の導体層50bに電気的に接続されており、第2センサ要素52を介して前記インダクタンス変化を測定し、当該インダクタンス変化に基づいて、出力値を出力する。具体的に測定用回路基板53は、
図5に示すように、XOR回路53aと、ローパスフィルタ回路53bと、増幅回路53cと、AD変換回路53dとを有している。
【0036】
また、測定用回路基板53は、
図1に示すように、第1センサ要素51及び第2センサ要素52を収容する空間Sと同じ空間に設けられている。ここでは、同心円状に設けられた第1センサ要素51及び第2センサ要素52よりも弁座21側(ダイアフラム33側)において、支持体34に固定されている。また、測定用回路基板53は、弁体3に接触しないように弁体3を取り囲む円環形状をなしている。なお、測定用回路基板53は、支持体34以外の静止側部材に固定されていても良い。
【0037】
そして、弁座21に対して弁体3が移動すると(
図2(b)参照)、
図6に示すように、相互インダクタンスの変化に基づいて出力値が変化する。この出力値のグラフにおける勾配部分に位置センサ5の出力スパンを設定し、当該出力スパン内に弁体3の全閉状態から全開状態までの弁体3のストローク範囲が含まれるようにする。
【0038】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の流体制御弁100によれば、絶縁層50aを介して複数の導体層50bが積層された多層基板50から第1センサ要素51及び第2センサ要素52を構成し、それら第1センサ要素51及び第2センサ要素52を、接離方向に直交する方向において、多層基板50の積層方向に直交する端面51x、52xが互いに対向するように配置しているので、流体制御弁100を大型化することなく、位置センサ5の分解能を向上することができる。その結果、弁座21に対する弁体3の位置を精度良く測定することができるので、弁体3を高精度に位置制御(ポジションコントロール)することができ、更には、流量を高精度に制御することができる。また、本実施形態では、第1センサ要素51及び第2センサ要素52が接離方向に直交する方向に対向する構成とし、多層基板50を用いることで、それらの対向面積を小さくしているので、弁体3が傾いた場合における測定誤差を低減することもできる。
【0039】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0040】
例えば、前記実施形態の構成に加えて、弁体3が接離方向に対して傾斜した場合(
図7(b)参照)の出力値の誤差を補正するようにしても良い。
図8に示すように、弁体3が傾いた場合には、測定用回路基板53から出力される出力値が小さくなり、この減少分を補正する補正部を有する構成としても良い。
【0041】
また、前記実施形態では、第1センサ要素51を径方向内側に配置し、第2センサ要素52を径方向外側に配置した構成であったが、第1センサ要素51を径方向外側に配置し、第2センサ要素52を径方向内側に配置した構成としても良い。
【0042】
さらに、前記実施形態では、第1センサ要素51及び第2センサ要素52の多層基板を同一の積層構成としたが、両者の積層構成を互いに異ならせても良い。
【0043】
その上、前記実施形態では、第1センサ要素51及び第2センサ要素52の対向面51x、52xにおいて複数の導体層50bが露出する構成であったが、露出しない構成としても良い。
【0044】
加えて、第1センサ要素51を多層基板50から構成することなく、銅などの導電性部材54から構成しても良い。
【0045】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0046】
100・・・流体制御弁
21 ・・・弁座
3 ・・・弁体
4 ・・・アクチュエータ
5 ・・・位置センサ
51 ・・・第1センサ要素
51x・・・第1センサ要素の端面
52 ・・・第2センサ要素
52x・・・第2センサ要素の端面
53 ・・・測定用回路基板
50 ・・・多層基板
50a・・・絶縁層
50b・・・導体層
50c・・・ビア
6 ・・・シャフト部材
S ・・・空間