(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168510
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221031BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20221031BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20221031BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H01L21/78 C
B24B27/06 M
B24B49/12
B23Q17/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074026
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】大森 崇史
(72)【発明者】
【氏名】高木 敦史
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C029AA04
3C029AA40
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB93
3C034CA13
3C034CA22
3C034CB01
3C034CB13
3C034CB14
3C034DD10
3C158AA03
3C158AB04
3C158AC02
3C158BA01
3C158BA07
3C158BA09
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB08
3C158BC03
3C158CB03
3C158DA17
5F063AA01
5F063AA28
5F063BA27
5F063DD01
5F063DD25
5F063DE02
5F063DE06
5F063DE33
5F063EE21
5F063FF01
5F063FF42
5F063FF43
5F063FF45
(57)【要約】
【課題】分割予定ラインを検出するための準備を簡単に行うことができる加工装置を提供する。
【解決手段】加工装置の制御手段14は、第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域から第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出してX軸方向との角度を求め第一の分割予定ラインに対応する直線領域をX軸方向に位置づけるX軸方向位置付け部22と、次の第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出し第一の分割予定ラインの間隔を求め仮に設定する第一の分割予定ライン間隔仮設定部24と、第二の分割予定ラインに対応する直線領域を隣接して2本検出して第二の分割予定ラインの間隔を求め仮に設定する第二の分割予定ライン間隔仮設定部26と、一対の第一の分割予定ラインと一対の第二の分割予定ラインとで囲まれた1個分のデバイス領域を撮像手段で撮像してデバイス画像を作成し記憶するデバイス画像作成部28と、デバイス画像からターゲットパターンを抽出して記憶するターゲットパターン抽出部30とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の方向に延びる第一の分割予定ラインと第一の方向と直交する第二の方向に延びる第二の分割予定ラインとによって複数のデバイスが区画され表面に形成されたウエーハにおいて、第一の分割予定ラインを検出するためのターゲットパターンを抽出する加工装置であって、
ウエーハを保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段と、該X軸送り手段と該Y軸送り手段とを操作するための操作手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段と、該撮像手段によって撮像された領域を表示する表示手段と、制御手段とを備え、
該制御手段は、
該チャックテーブルに保持されたウエーハを該撮像手段によって撮像した第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域から第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出してX軸方向との角度を求め該チャックテーブルを回転させて第一の分割予定ラインに対応する直線領域をX軸方向に位置づけるX軸方向位置付け部と、
該Y軸送り手段を作動させて次の第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出し第一の分割予定ラインの間隔を求め仮に設定する第一の分割予定ライン間隔仮設定部と、
該X軸送り手段を作動させて第二の分割予定ラインに対応する直線領域を隣接して2本検出して第二の分割予定ラインの間隔を求め仮に設定する第二の分割予定ライン間隔仮設定部と、
隣接する一対の第一の分割予定ラインと、隣接する一対の第二の分割予定ラインとによって囲まれた1個分のデバイス領域を該撮像手段で撮像してデバイス画像を作成し記憶するデバイス画像作成部と、
該デバイス画像から特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶するターゲットパターン抽出部とを含む加工装置。
【請求項2】
該ターゲットパターン抽出部は、該撮像手段の第一倍率で特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶する第一倍率ターゲットパターン抽出部と、該撮像手段の倍率を該第一倍率よりも高くした第二倍率で特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶する第二倍率ターゲットパターン抽出部とを有する請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
該制御手段は、ウエーハを該撮像手段で撮像し、X軸方向に離間する任意の二つのデバイスのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出すると共に、検出したパターン同士を結ぶ線をX軸方向に平行になるように位置づけてパターンの適性を確認するか、またはY軸方向に離間する任意の二つのデバイスのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出すると共に、検出したパターン同士を結ぶ線をY軸方向に平行になるように位置づけてパターンの適性を確認する確認部を含む請求項1または2記載の加工装置。
【請求項4】
該制御手段は、ウエーハを該撮像手段で撮像し、Y軸方向において隣接する任意の二つのデバイスのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出し、検出したパターン同士のY軸方向の間隔を算出して第一の分割予定ラインの間隔を設定する第一の分割予定ライン間隔設定部と、ウエーハを該撮像手段で撮像し、X軸方向において隣接する任意の二つのデバイスのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出し、検出したパターン同士のX軸方向の間隔を算出して第二の分割予定ラインの間隔を設定する第二の分割予定ライン間隔設定部とを含む請求項1または2記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハの分割予定ラインを検出するためのターゲットパターンを抽出する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
ダイシング装置は、ウエーハを保持する回転可能なチャックテーブルと、チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを備えた切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段と、X軸送り手段とY軸送り手段とを操作するための操作手段と、チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像し切削すべき領域を検出する撮像手段と、撮像手段によって撮像された領域を表示する表示手段と、制御手段とを備える。
【0004】
ダイシング装置においては、撮像手段によって切削すべき分割予定ラインを検出して、分割予定ラインに切削ブレードを位置づけてウエーハを切断し、高精度にウエーハを個々のデバイスチップに分割することができる(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
また、レーザー加工装置も同様に、撮像手段によってレーザー加工すべき分割予定ラインを検出して、レーザー光線を集光する集光器を分割予定ラインに位置づけてウエーハにレーザー光線を照射し、高精度にウエーハを個々のデバイスチップに分割することができる(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-315444号公報
【特許文献2】特開2004-322168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、撮像手段によって分割予定ラインを検出するための準備として、ウエーハの表面に形成されたデバイスから特徴的なパターンをオペレータが抽出し、抽出した特徴的なパターンをターゲットパターンとして加工装置の制御手段に登録する作業が必要である。また、ターゲットパターンと分割予定ラインとの位置関係や、隣接する分割予定ライン同士の間隔についても、加工装置の制御手段に記憶させなければならない。このような準備は、オペレータが行わなければならず、煩に耐えないという問題がある。
【0008】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、分割予定ラインを検出するための準備を簡単に行うことができる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記課題を解決する以下の加工装置が提供される。すなわち、
第一の方向に延びる第一の分割予定ラインと第一の方向と直交する第二の方向に延びる第二の分割予定ラインとによって複数のデバイスが区画され表面に形成されたウエーハにおいて、第一の分割予定ラインを検出するためのターゲットパターンを抽出する加工装置であって、
ウエーハを保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段と、該X軸送り手段と該Y軸送り手段とを操作するための操作手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段と、該撮像手段によって撮像された領域を表示する表示手段と、制御手段とを備え、
該制御手段は、
該チャックテーブルに保持されたウエーハを該撮像手段によって撮像した第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域から第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出してX軸方向との角度を求め該チャックテーブルを回転させて第一の分割予定ラインに対応する直線領域をX軸方向に位置づけるX軸方向位置付け部と、
該Y軸送り手段を作動させて次の第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出し第一の分割予定ラインの間隔を求め仮に設定する第一の分割予定ライン間隔仮設定部と、
該X軸送り手段を作動させて第二の分割予定ラインに対応する直線領域を隣接して2本検出して第二の分割予定ラインの間隔を求め仮に設定する第二の分割予定ライン間隔仮設定部と、
隣接する一対の第一の分割予定ラインと、隣接する一対の第二の分割予定ラインとによって囲まれた1個分のデバイス領域を該撮像手段で撮像してデバイス画像を作成し記憶するデバイス画像作成部と、
該デバイス画像から特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶するターゲットパターン抽出部とを含む加工装置が提供される。
【0010】
好ましくは、該ターゲットパターン抽出部は、該撮像手段の第一倍率で特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶する第一倍率ターゲットパターン抽出部と、該撮像手段の倍率を該第一倍率よりも高くした第二倍率で特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶する第二倍率ターゲットパターン抽出部とを有する。
【0011】
該制御手段は、ウエーハを該撮像手段で撮像し、X軸方向に離間する任意の二つのデバイスのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出すると共に、検出したパターン同士を結ぶ線をX軸方向に平行になるように位置づけてパターンの適性を確認するか、またはY軸方向に離間する任意の二つのデバイスのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出すると共に、検出したパターン同士を結ぶ線をY軸方向に平行になるように位置づけてパターンの適性を確認する確認部を含むのが好適である。
【0012】
該制御手段は、ウエーハを該撮像手段で撮像し、Y軸方向において隣接する任意の二つのデバイスのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出し、検出したパターン同士のY軸方向の間隔を算出して第一の分割予定ラインの間隔を設定する第一の分割予定ライン間隔設定部と、ウエーハを該撮像手段で撮像し、X軸方向において隣接する任意の二つのデバイスのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出し、検出したパターン同士のX軸方向の間隔を算出して第二の分割予定ラインの間隔を設定する第二の分割予定ライン間隔設定部とを含むのが好都合である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加工装置は、チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像手段によって撮像した第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域から第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出してX軸方向との角度を求めチャックテーブルを回転させて第一の分割予定ラインに対応する直線領域をX軸方向に位置づけるところから、デバイス画像から特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶するところまで実行するので、オペレータは操作手段を操作することによって、チャックテーブルに保持されたウエーハの第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域を撮像手段によって撮像することにより、分割予定ラインを検出するための準備を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に従って構成された加工装置の斜視図。
【
図2】
図1に示す撮像手段によってウエーハを撮像している状態を示す斜視図。
【
図3】
図1に示す制御手段の構成を表すブロック図。
【
図4】(a)ウエーハの第一の分割予定ラインとX軸方向とのなす角度がθである状態において、第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域を撮像した画像を示す模式図、(b)(a)に示す状態からチャックテーブルを角度θ回転させた状態を示す画像の模式図。
【
図5】第一の分割予定ラインの間隔を仮に設定している状態を示す模式図。
【
図6】第二の分割予定ラインの間隔を仮に設定している状態を示す模式図。
【
図8】(a)第一倍率ターゲットパターン抽出部が抽出しターゲットパターンを含む画像の模式図、(b)第二倍率ターゲットパターン抽出部が抽出しターゲットパターンを含む画像の模式図。
【
図9】(a)検出したパターン同士を結ぶ線をX軸方向に平行になるように位置づけてパターンの適性を確認している状態を示す模式図、(b)検出したパターン同士を結ぶ線をY軸方向に平行になるように位置づけてパターンの適性を確認している状態を示す模式図。
【
図10】(a)検出したパターン同士のX軸方向の間隔を算出して第二の分割予定ラインの間隔を設定している状態を示す模式図、(b)検出したパターン同士のY軸方向の間隔を算出して第一の分割予定ラインの間隔を設定している状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に従って構成された加工装置の好適実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1において全体を符号2で示す加工装置は、ウエーハWを保持する回転可能なチャックテーブル4と、チャックテーブル4に保持されたウエーハWに加工を施す加工手段6と、チャックテーブル4と加工手段6とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段(図示していない。)と、チャックテーブル4と加工手段6とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段(図示していない。)と、X軸送り手段とY軸送り手段とを操作するための操作手段8と、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段10と、撮像手段10によって撮像された領域を表示する表示手段12と、加工装置2の作動を制御する制御手段14とを備える。
【0017】
X軸方向は
図1に矢印Xで示す方向であり、Y軸方向は
図1に矢印Yで示す方向であってX軸方向に直交する方向である。X軸方向およびY軸方向が規定するXY平面は実質上水平である。
【0018】
加工装置2によって加工が施されるウエーハWは、円板状であり、シリコン等の適宜の半導体材料から形成され得る。
図2に示すとおり、ウエーハWは、ダイシングテープTを介して環状フレームFに支持されている。すなわち、ウエーハWの裏面WbがダイシングテープTに貼り付けられており、ダイシングテープTの周縁が環状フレームFに固定されている。
【0019】
ウエーハWの表面Waには、直線領域である分割予定ラインが複数設けられており、複数の分割予定ラインは全体として格子状に組み合わされている。格子状の分割予定ラインは、第一の方向に延びる複数の第一の分割予定ラインL1と、第一の方向と直交する第二の方向に延びる第二の分割予定ラインL2とを含む。そして、第一・第二の分割予定ラインL1、L2によってウエーハWの表面Waが複数の矩形領域に区画され、複数の矩形領域のそれぞれにはIC、LSI等のデバイスDが形成されている。
【0020】
図1に示すとおり、チャックテーブル4の上端部分には、吸引手段(図示していない。)に接続された多孔質の円形状吸着チャック16が配置されている。チャックテーブル4は、吸引手段で吸着チャック16に吸引力を生成し、上面に載せられたウエーハWを吸引保持する。また、チャックテーブル4の周縁には、環状フレームFを固定するための複数のクランプ18が周方向に間隔をおいて配置されている。このようなチャックテーブル4は、上記X軸送り手段によってX軸方向に加工送りされると共に、上下方向を軸心としてチャックテーブル用モータ(図示していない。)によって回転されるようになっている。
【0021】
図示の実施形態の加工装置2は、本発明の加工装置の一例としてのダイシング装置であり、加工手段6は、ウエーハWに対して切削加工を施す切削手段として構成されている。加工手段(切削手段)6は、チャックテーブル4に吸引保持されたウエーハWを切削する環状の切削ブレード20を含む。切削ブレード20は、X軸方向に沿って配置され、Y軸方向を軸心として回転可能に構成されている。
【0022】
X軸送り手段は、チャックテーブル4に連結されX軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する。X軸送り手段においては、ボールねじによりモータの回転運動を直線運動に変換してチャックテーブル4に伝達し、加工手段6に対してチャックテーブル4をX軸方向に加工送りする。
【0023】
Y軸送り手段は、加工手段6に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを含む。そして、Y軸送り手段は、ボールねじによりモータの回転運動を直線運動に変換して加工手段6に伝達し、チャックテーブル4に対して加工手段6をY軸方向に割り出し送りするようになっている。
【0024】
操作手段8は、X・Y軸送り手段等の作動条件を入力するためのキーボードや、タッチパネル等の入力機器を有する。操作手段8から入力された作動条件は制御手段14に送られ、X・Y軸送り手段等の作動が制御手段14により制御される。
【0025】
撮像手段10は、チャックテーブル4の軌道の上方に配置されている。また、撮像手段10は、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像する際の倍率を変更できるようになっている。
【0026】
表示手段12には、撮像手段10によって撮像された画像に加え、
図4に示すとおり、X軸方向を示すX軸ラインLxと、Y軸方向を示すY軸ラインLyとが表示されるようになっている。X軸ラインLxは、表示手段12の縦方向中央において横方向に沿って表示され、Y軸ラインLyは、表示手段12の横方向中央において縦方向に沿って表示される。
【0027】
コンピュータから構成される制御手段14は、図示していないが、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)とを備える。
【0028】
図3に示すとおり、制御手段14は、X軸方向位置付け部22と、第一の分割予定ライン間隔仮設定部24と、第二の分割予定ライン間隔仮設定部26と、デバイス画像作成部28と、ターゲットパターン抽出部30とを少なくとも含む。図示の実施形態の制御手段14は、さらに、確認部32と、第一の分割予定ライン間隔設定部34と、第二の分割予定ライン間隔設定部36とを有している。
【0029】
X軸方向位置付け部22は、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像手段10によって撮像した第一の分割予定ラインL1と第二の分割予定ラインL2との交差領域から、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域を検出し、検出した直線領域とX軸方向との角度を求めると共に、求めた角度の分だけチャックテーブル4を回転させる。このようにして、X軸方向位置付け部22は、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域をX軸方向に位置づける。なお、X軸方向位置付け部22は、ハフ変換等の公知の技術によって直線領域を検出するようになっている。
【0030】
第一の分割予定ライン間隔仮設定部24は、撮像手段10によってウエーハWを撮像しながらY軸送り手段を作動させて、次の第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域を検出し、第一の分割予定ラインL1の間隔を求め仮に設定するようになっている。
【0031】
第二の分割予定ライン間隔仮設定部26は、撮像手段10によってウエーハWを撮像しながらX軸送り手段を作動させて、第二の分割予定ラインL2に対応する直線領域を隣接して2本検出して、第二の分割予定ラインL2の間隔を求め仮に設定する。なお、第一・第二の分割予定ライン間隔仮設定部24、26においても、X軸方向位置付け部22と同様に、ハフ変換等によって直線領域を検出する。
【0032】
デバイス画像作成部28は、隣接する一対の第一の分割予定ラインL1と、隣接する一対の第二の分割予定ラインL2とによって囲まれた1個分のデバイスDの領域を撮像手段10で撮像してデバイス画像(
図7参照)を作成し記憶する。
【0033】
ターゲットパターン抽出部30は、デバイス画像から特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶する。
図3に示すように、図示の実施形態のターゲットパターン抽出部30は、撮像手段10の第一倍率で特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶する第一倍率ターゲットパターン抽出部30aと、撮像手段10の倍率を第一倍率よりも高くした第二倍率で特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶する第二倍率ターゲットパターン抽出部30bとを有する。
【0034】
確認部32は、ウエーハWを撮像手段10で撮像し、X軸方向に離間する任意の二つのデバイスDのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出すると共に、検出したパターン同士を結ぶ線をX軸方向に平行になるように位置づけてパターンの適性を確認する。
【0035】
または、確認部32は、Y軸方向に離間する任意の二つのデバイスDのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出すると共に、検出したパターン同士を結ぶ線をY軸方向に平行になるように位置づけてパターンの適性を確認するようになっていてもよい。
【0036】
第一の分割予定ライン間隔設定部34は、ウエーハWを撮像手段10で撮像し、Y軸方向において隣接する任意の二つのデバイスDのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出し、検出したパターン同士のY軸方向の間隔を算出して第一の分割予定ラインL1の間隔を設定する。
【0037】
第二の分割予定ライン間隔設定部36は、ウエーハWを撮像手段10で撮像し、X軸方向において隣接する任意の二つのデバイスDのそれぞれの領域においてターゲットパターンと同じパターンを検出し、検出したパターン同士のX軸方向の間隔を算出して第二の分割予定ラインL2の間隔を設定する。
【0038】
図1に示すとおり、加工装置2は、さらに、複数のウエーハWを収容したカセット38が置かれる昇降自在なカセット台40と、カセット38から加工前のウエーハWを引き出し仮置きテーブル42まで搬出すると共に、仮置きテーブル42に位置づけられた加工済みのウエーハWをカセット38に搬入する搬出入手段44と、カセット38から仮置きテーブル42に搬出された加工前のウエーハWをチャックテーブル4に搬送する第一の搬送手段46と、加工済みのウエーハWを洗浄する洗浄手段48と、加工済みのウエーハWをチャックテーブル4から洗浄手段48に搬送する第二の搬送手段50とを備える。
【0039】
次に、上述したとおりの加工装置2において、分割予定ラインを検出するためのターゲットパターンを抽出する作業(切削加工時に分割予定ラインを検出するための準備)について説明する。
【0040】
オペレータは、まず、第一・第二の分割予定ラインL1、L2が形成された表面Waを上に向けて、チャックテーブル4によってウエーハWを吸引保持させると共に、複数のクランプ18によって環状フレームFを固定する。次いで、オペレータは、操作手段8を操作してX軸送り手段を作動させ、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像手段10の下方に移動させる。そして、オペレータは、操作手段8を操作して、第一の分割予定ラインL1と第二の分割予定ラインL2との交差領域を撮像手段10によって撮像する。
【0041】
そうすると、撮像手段10によって撮像された画像が撮像手段10から制御手段14に送られる。次いで、制御手段14のX軸方向位置付け部22が、撮像手段10から送られた画像において、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域を検出する。また、X軸方向位置付け部22は、検出した第一の分割予定ラインL1とX軸方向との角度θ(
図4(a)参照)を求める。そして、求めた角度θが0°でない場合、X軸方向位置付け部22は、チャックテーブル4を角度θ回転させて、
図4(b)に示すとおり、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域をX軸方向に位置づける。
【0042】
第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域がX軸方向に位置づけられると、制御手段14の第一の分割予定ライン間隔仮設定部24による制御が実行される。
【0043】
具体的には、第一の分割予定ライン間隔仮設定部24は、Y軸送り手段および撮像手段10を作動させ、チャックテーブル4に保持されたウエーハWをY軸方向に動かしながら撮像する。これによって、第一の分割予定ライン間隔仮設定部24は、
図5に示すとおり、X軸方向位置付け部22が先に検出した第一の分割予定ラインL1に隣接する次の第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域を検出する。
【0044】
図5では、X軸方向位置付け部22が先に検出した第一の分割予定ラインL1は、表示手段12の表示領域から外れているため、二点鎖線(想像線)で示されている。一方、第一の分割予定ライン間隔仮設定部24が次に検出した第一の分割予定ラインL1は、表示手段12の表示領域内にあるため、実線で示されている。
【0045】
次いで、第一の分割予定ライン間隔仮設定部24は、先に検出した第一の分割予定ラインL1と、次に検出した第一の分割予定ラインL1とから、第一の分割予定ラインL1の間隔(たとえば5mm)を求め、求めた間隔を第一の分割予定ラインL1の間隔として仮に設定する。
【0046】
第一の分割予定ラインL1の間隔が仮に設定されると、第二の分割予定ライン間隔仮設定部26による制御が実行される。第二の分割予定ライン間隔仮設定部26は、X軸送り手段および撮像手段10を作動させ、ウエーハWをX軸方向に動かしながら撮像する。そして、
図6に示すとおり、第二の分割予定ライン間隔仮設定部26は、第二の分割予定ラインL2に対応する直線領域を隣接して2本検出すると共に、第二の分割予定ラインL2の間隔(たとえば5mm)を求め、求めた間隔を第二の分割予定ラインL2の間隔として仮に設定する。
【0047】
第二の分割予定ラインL2の間隔が仮に設定された後、デバイス画像作成部28による制御が行われる。デバイス画像作成部28は、X・Y軸送り手段と共に撮像手段10を作動させて、ウエーハWと撮像手段10との位置関係を調整し、隣接する一対の第一の分割予定ラインL1と、隣接する一対の第二の分割予定ラインL2とによって囲まれた1個分のデバイスDを含む領域を撮像手段10によって撮像する(
図7参照)。そして、撮像手段10が撮像した画像に基づき、デバイス画像作成部28は、デバイスDの画像(デバイス画像)を作成し記憶する。
【0048】
デバイス画像が作成されると、ターゲットパターン抽出部30が、デバイス画像から特徴的なターゲットパターンを抽出して記憶する。すなわち、
図7において破線で囲まれた領域を1画素ずつ移動させながら、デバイス画像全域において、
図7において破線で囲まれた領域サイズの画像を取得し、取得した全ての画像を比較して、相互の類似度が一番低い画像をターゲットパターンとして記憶する。図示の実施形態では、第一倍率ターゲットパターン抽出部30aが、撮像手段10の第一倍率(低倍率)で、デバイス画像から特徴的な第一のターゲットパターンP1を抽出して記憶する。第一のターゲットパターンP1は、たとえば
図7および
図8(a)に示すような、デバイスDにおける複数のパターンを含むものでよい。
【0049】
また、第二倍率ターゲットパターン抽出部30bが、撮像手段10の倍率を第一倍率よりも高くした第二倍率(高倍率)で、デバイス画像から特徴的な第二のターゲットパターンP2を抽出して記憶する。第二のターゲットパターンP2は、
図7および
図8(b)に示すように、デバイスD上の単一のパターンから構成され得るものでもよい。
【0050】
このようにして図示の実施形態に加工装置2はターゲットパターンを抽出するので、オペレータは、操作手段8を操作して、第一の分割予定ラインL1と第二の分割予定ラインL2との交差領域を撮像手段10によって撮像することにより、切削加工時に分割予定ラインを検出するための準備を簡単に行うことができる。
【0051】
図示の実施形態の加工装置2においては、上記のとおり、X軸方向位置付け部22によって第一の分割予定ラインL1を検出してX軸方向に位置づけることができるものの、X軸方向位置付け部22による調整だけでは、第一の分割予定ラインL1とX軸方向との間に微小なズレが残ってしまう場合がある。そこで、ターゲットパターンを用いてウエーハWの位置合わせをすることにより、精密に第一の分割予定ラインL1をX軸方向に整合させることができる。
【0052】
ターゲットパターンを用いてウエーハWの位置合わせをする際は、まず、低倍率の第一のターゲットパターンP1をパターンマッチングで抽出してウエーハWの位置合わせを粗く実施した後、高倍率の第二のターゲットパターンP2をパターンマッチングで抽出してウエーハWの位置合わせを精密に実施することにより、精度の高い位置合わせを短時間で行うことができる。
【0053】
上述のとおりにして、第一・第二のターゲットパターンP1、P2を抽出したら、抽出したパターンの適正を確認部32によって確認するのが好ましい。具体的には、撮像手段10によって撮像したウエーハWの画像から、X軸方向に離間する任意の二つのデバイスDのそれぞれの領域において、ターゲットパターン(
図9に示す例では第二のターゲットパターンP2)と同じパターンをパターンマッチングによって確認部32が検出する。この場合における二つのデバイスDの領域は、隣り合う二つの領域でもあってもよいが、精度を高めるために出来るだけ離れた二つの領域であるのが好ましい。なお、
図9においては、表示手段12に表示されている画像が破断線によって破断されており、第二のターゲットパターンP2同士が互いに接近した状態で示されている。
【0054】
そして、確認部32は、
図9(a)に示すとおり、抽出した第二のターゲットパターンP2同士を結ぶ線LpxをX軸方向(X軸ラインLx)に平行になるように位置づけた際に、第一の分割予定ラインL1がX軸方向と平行になっていれば、抽出した第二のターゲットパターンP2が適正であると判断する。
【0055】
あるいは、確認部32は、撮像手段10によって撮像した
ウエーハWの画像から、Y軸方向に離間する任意の二つのデバイスDのそれぞれの領域において、第二のターゲットパターンP2と同じパターンをパターンマッチングによって検出してもよい。この場合に、確認部32は、
図9(b)に示すとおり、検出した第二のターゲットパターンP2同士を結ぶ線LpyをY軸方向(Y軸ラインLy)に平行になるように位置づけた際に、第二の分割予定ラインL2がY軸方向と平行になっていれば、抽出した第二のターゲットパターンP2が適正であると判断する。
【0056】
このように図示の実施形態の加工装置2では、抽出したターゲットパターンの適性を確認できるので、適性のないパターンを誤って抽出するのを防止することができる。
【0057】
なお、確認部32は、第一のターゲットパターンP1についても上記同様の手順で、パターンの適性を確認することができる。
【0058】
さらに、加工装置2においては、第一・第二のターゲットパターンP1、P2を抽出した後、第一・第二の分割予定ライン間隔設定部34、36による制御を実行するようになっているのが望ましい。
【0059】
詳述すると、第一の分割予定ライン間隔設定部34は、撮像手段10によって撮像したウエーハWの画像から、Y軸方向において隣接する任意の二つのデバイスDのそれぞれの領域において、第二のターゲットパターンP2と同じパターンを検出する。次いで、第一の分割予定ライン間隔設定部34は、
図10(a)に示すとおり、検出したパターン同士のY軸方向の間隔(たとえば5.11mm)を算出すると共に、算出した間隔を第一の分割予定ラインL1の間隔として設定する。
【0060】
また、第二の分割予定ライン間隔設定部36は、撮像手段10によって撮像したウエーハWの画像から、X軸方向において隣接する任意の二つのデバイスDのそれぞれの領域において、第二のターゲットパターンP2と同じパターンを検出する。そして、第二の分割予定ライン間隔設定部36は、
図10(b)に示すとおり、検出したパターン同士のX軸方向の間隔(たとえば5.15mm)を算出し、第二の分割予定ラインL2の間隔として設定する。なお、第一・第二の分割予定ライン間隔設定部34、36は、第一のターゲットパターンP1を用いて、第一・第二の分割予定ラインL1、L2の間隔を求めてもよい。
【0061】
以上のとおりであり、加工装置2においては、第一の分割予定ラインL1と第二の分割予定ラインL2との交差領域の画像に基づいて、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域をX軸方向に位置づけるところから、少なくともターゲットパターンを抽出するところまで実行するので、オペレータは、操作手段8を操作することによって、チャックテーブル4に保持されたウエーハWの第一の分割予定ラインL1と第二の分割予定ラインL2との交差領域を撮像手段10によって撮像することにより、分割予定ラインを検出するための準備を簡単に行うことができる。
【0062】
なお、図示の実施形態では、ウエーハWに切削加工を施すダイシング装置として加工装置2が構成されている例を説明したが、本発明の加工装置は、分割予定ラインを検出するためのターゲットパターンを抽出するものであればよく、たとえば、ウエーハWにレーザー加工を施すレーザー加工装置としても構成され得る。
【符号の説明】
【0063】
2:加工装置
4:チャックテーブル
6:加工手段
8:操作手段
10:撮像手段
12:表示手段
14:制御手段
22:X軸方向位置付け部
24:第一の分割予定ライン間隔仮設定部
26:第二の分割予定ライン間隔仮設定部
28:デバイス画像作成部
30:ターゲットパターン抽出部
30a:第一倍率ターゲットパターン抽出部
30b:第二倍率ターゲットパターン抽出部
32:確認部
34:第一の分割予定ライン間隔設定部
36:第二の分割予定ライン間隔設定部
W:ウエーハ
L1:第一の分割予定ライン
L2:第二の分割予定ライン
D:デバイス
P1:第一のターゲットパターン
P2:第二のターゲットパターン