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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168720
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/04 20060101AFI20221031BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221031BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20221031BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20221031BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20221031BHJP
【FI】
B24B7/04 A
H01L21/304 622R
H01L21/304 622M
B24B37/12 D
B24B41/06 L
B24B53/017 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074385
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佳一
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB73
3C034CB12
3C034DD10
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA11
3C043BA15
3C043BA16
3C043BA18
3C043CC04
3C043CC11
3C043CC13
3C043DD02
3C043DD03
3C043DD04
3C043DD05
3C043DD06
3C043DD11
3C047AA16
3C047AA34
3C047EE04
3C047EE18
3C158AA04
3C158AA09
3C158AA18
3C158AA19
3C158AB04
3C158CB01
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA26
3C158EB01
3C158EB09
5F057AA02
5F057AA03
5F057BA11
5F057BB03
5F057BB11
5F057CA11
5F057CA25
5F057DA02
5F057DA08
5F057DA11
5F057DA38
5F057EB10
5F057EB27
5F057FA01
5F057FA13
5F057FA28
5F057FA37
5F057FA39
5F057FA46
5F057GB11
(57)【要約】
【課題】被加工物の被研磨面の研磨に起因する研磨パッドの研磨面における段差の形成を抑制して、このような研磨を行った後においても、この被研磨面を平坦化するのに適した研磨パッドの形状を維持することが可能な加工方法を提供する。
【解決手段】研磨面に平行な座標平面に含まれる所定の座標(第1座標)に位置する被研磨面の外周上の点を研磨面に接触させず、かつ、別の座標(第3座標)に位置する被研磨面の外周上の点を研磨面の外周に接触させて被加工物を研磨する。この場合、被加工物の被研磨面の全域を研磨できるとともに研磨パッドの研磨面の外周近傍の領域をそれよりも内側の領域と同程度に摩耗させることができる。これにより、被加工物の被研磨面の研磨に起因する研磨パッドの研磨面における段差の形成を抑制して、このような研磨を行った後においても、この被研磨面を平坦化するのに適した研磨パッドの形状を維持することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円状の研磨面を有する研磨パッドを用いて円状の被研磨面を有する被加工物を研磨する加工方法であって、
中心が凸となる円錐形状の保持面を有するチャックテーブルに該被加工物を保持させる保持ステップと、
該保持面の外周上の点のうち該研磨面に垂直な方向における該研磨面までの距離が最も短くなる点と該保持面の中心とを結ぶ線分が該研磨面と平行になるように、該チャックテーブルの回転軸と該研磨パッドの回転軸とがなす角の角度を調整する調整ステップと、
該研磨面に平行な座標平面において、該線分と重なる該被研磨面の外周上の点が位置する第1座標が該研磨パッドと重ならず、かつ、該被研磨面の中心が位置する第2座標が該研磨パッドと重なるように、該研磨パッドと該チャックテーブルとを水平方向に相対的に移動させて該研磨パッドを該チャックテーブルの上方に位置付ける位置付けステップと、
該研磨パッドと該チャックテーブルとが回転した状態で、該第1座標に位置する該被研磨面の外周上の点を該研磨面に接触させず、かつ、該第1座標と異なる該座標平面上の第3座標に位置する該被研磨面の外周上の点を該研磨面の外周に接触させて該被加工物を研磨する研磨ステップと、
を備えることを特徴とする加工方法。
【請求項2】
該位置付けステップの前に該研磨パッドをドレスするドレスステップを更に備え、
該ドレスステップでは、該研磨面の円状の中央領域に凹部を形成し、
該研磨ステップの際に該研磨面と該被研磨面とが接触する界面の境界の一部は、該凹部の外周に沿って円弧状になることを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円状の研磨面を有する研磨パッドを用いて円状の被研磨面を有する被加工物を研磨する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス及び光デバイス等の電子デバイスのチップは、例えば、シリコン(Si)又は炭化ケイ素(SiC)等からなる半導体ウェーハ又はサファイア(酸化アルミニウム(Al))等からなる絶縁体ウェーハ等の被加工物を用いて製造される。このようなチップは、例えば、表面に多数のデバイスが形成された被加工物を薄化した後に、個々のデバイスを含む領域毎に被加工物を分割することで製造される。
【0003】
被加工物を薄化する方法としては、例えば、被加工物の裏面側の研削が挙げられる。ただし、被加工物を研削すると、その裏面(被研削面)に被加工物を構成する材料の結晶構造が乱れた層(破砕層)が形成され、かつ/又は、研削痕が残存するとともに、微細なクラックが形成されることがある。そして、このような被加工物を分割してチップを製造すると、得られるチップの抗折強度が低下するおそれがある。
【0004】
そのため、被加工物の被研削面側に形成された破砕層、研削痕及び/又はクラックを除去するために、研削後に被加工物の被研削面に対して研磨が行われることがある(例えば、特許文献1参照)。この研磨は、例えば、発泡ポリウレタン等の樹脂又はフェルト等の不織布に砥粒が分散された研磨パッドと被加工物との双方を回転させながら、被加工物の裏面(被研磨面)に研磨パッドの研磨面を接触させることによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-243345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
研磨パッドの研磨面は、被加工物の被研磨面を研磨することによって摩耗する。そのため、研磨パッドの研磨面の一部の領域のみを用いて、同じサイズの被研磨面を有する多数の被加工物の研磨が行われると、この研磨パッドの研磨面に段差が形成されることがある。例えば、この研磨面の外周近傍の領域がそれよりも内側の領域よりも下に突出することがある。
【0007】
このような研磨パッドを用いて被加工物の被研磨面を研磨すると、被加工物の被研磨面を平坦化することが困難になるおそれがある。具体的には、研磨パッドは一般的に柔軟であるため、被加工物の被研磨面を研磨する際に、研磨パッドの研磨面が変形することがある。
【0008】
例えば、研磨の際に、研磨パッドの研磨面に形成された段差の存在に起因して被加工物の外周近傍に加わる荷重が大きくなることがある。この状態で上記の多数の被加工物と同じサイズの被研磨面を有する被加工物を研磨すると、その外周近傍の領域が過剰に研磨されて薄くなる(ダレが生じる)おそれがある。
【0009】
以上の点に鑑み、本発明の目的は、被加工物の被研磨面の研磨に起因する研磨パッドの研磨面における段差の形成を抑制して、このような研磨を行った後においても、この被研磨面を平坦化するのに適した研磨パッドの形状を維持することが可能な加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、円状の研磨面を有する研磨パッドを用いて円状の被研磨面を有する被加工物を研磨する加工方法であって、中心が凸となる円錐形状の保持面を有するチャックテーブルに該被加工物を保持させる保持ステップと、該保持面の外周上の点のうち該研磨面に垂直な方向における該研磨面までの距離が最も短くなる点と該保持面の中心とを結ぶ線分が該研磨面と平行になるように、該チャックテーブルの回転軸と該研磨パッドの回転軸とがなす角の角度を調整する調整ステップと、該研磨面に平行な座標平面において、該線分と重なる該被研磨面の外周上の点が位置する第1座標が該研磨パッドと重ならず、かつ、該被研磨面の中心が位置する第2座標が該研磨パッドと重なるように、該研磨パッドと該チャックテーブルとを水平方向に相対的に移動させて該研磨パッドを該チャックテーブルの上方に位置付ける位置付けステップと、該研磨パッドと該チャックテーブルとが回転した状態で、該第1座標に位置する該被研磨面の外周上の点を該研磨面に接触させず、かつ、該第1座標と異なる該座標平面上の第3座標に位置する該被研磨面の外周上の点を該研磨面の外周に接触させて該被加工物を研磨する研磨ステップと、を備える加工方法が提供される。
【0011】
さらに、本発明においては、位置付けステップの前に該研磨パッドをドレスするドレスステップを更に備え、該ドレスステップでは、該研磨面の円状の中央領域に凹部を形成し、該研磨ステップの際に該研磨面と該被研磨面とが接触する界面の境界の一部は、該凹部の外周に沿って円弧状になることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、研磨面に平行な座標平面に含まれる所定の座標(第1座標)に位置する被研磨面の外周上の点を研磨面に接触させず、かつ、別の座標(第3座標)に位置する被研磨面の外周上の点を研磨面の外周に接触させて被加工物を研磨する。この場合、被加工物の被研磨面の全域を研磨できるとともに研磨パッドの研磨面の外周近傍の領域をそれよりも内側の領域と同程度に摩耗させることができる。
【0013】
これにより、被加工物の被研磨面の研磨に起因する研磨パッドの研磨面における段差の形成を抑制して、このような研磨を行った後においても、この被研磨面を平坦化するのに適した研磨パッドの形状を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、被加工物の一例を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、チャックテーブルの一例等を模式的に示す一部断面側面図である。
図4図4は、被加工物の加工方法の一例を模式的に示すフローチャートである。
図5図5(A)は、研磨位置に位置付けられたチャックテーブルと位置が調整された研磨パッドとを模式的に示す上面図であり、図5(B)は、図5(A)に示されるA線における断面を模式的に示す断面図である。
図6図6(A)は、研磨パッドによって被加工物を研磨する様子を模式的に示す上面図であり、図6(B)は、図6(A)に示されるA線における断面を模式的に示す断面図である。
図7図7は、被加工物の加工方法の変形例を模式的に示すフローチャートである。
図8図8は、研磨位置に位置付けられたドレスユニットと位置が調整された研磨パッドとを模式的に示す側面図である。
図9図9(A)は、ドレスされた研磨パッドによって被加工物を研磨する様子を模式的に示す上面図であり、図9(B)は、図9(A)に示されるA線における断面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、被加工物の研削及び研磨が可能な加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。なお、図1に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において互いに垂直な方向であり、また、Z軸方向(上下方向)は、X軸方向及びY軸方向に垂直な方向(鉛直方向)である。
【0016】
図1に示される加工装置2は、各構造を支持する基台4を備える。基台4の上面前端側には、開口4aが形成されており、開口4a内には、板状の被加工物を搬送するための搬送機構6が設けられている。図2は、搬送機構6によって搬送される被加工物の一例を模式的に示す斜視図である。
【0017】
図2に示される被加工物11は、例えば、円状の表面11a及び裏面11bを有し、シリコン(Si)等の半導体材料からなるウェーハである。この被加工物11の表面11a側は、互いに交差する複数の分割予定ライン13で複数の領域に区画されており、各領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス15が形成されている。
【0018】
また、被加工物11の表面11aには、被加工物11の径と概ね等しい径を有するフィルム状のテープが貼着されていてもよい。このテープは、例えば、樹脂からなり、被加工物11の裏面11b側を研削する際に表面11a側に加わる衝撃を緩和してデバイス15を保護する。
【0019】
なお、被加工物11の材質、形状、構造及び大きさ等に制限はない。例えば、被加工物11は、他の半導体材料、セラミックス、樹脂又は金属等の材料でなる基板であってもよい。同様に、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ及び配置等にも制限はない。また、被加工物11には、デバイス15が形成されていなくてもよい。
【0020】
開口4aの前方には、カセットテーブル8a、8bが設けられている。カセットテーブル8a、8bには、それぞれ、複数の被加工物11を収容できるカセット10a、10bが載せられる。開口4aの斜め後方には、被加工物11の位置を調整するための位置調整機構12が設けられている。
【0021】
位置調整機構12は、例えば、被加工物11の中央の部分を支持できるように構成されたテーブル12aと、テーブル12aよりも外側の領域でこのテーブル12aに対して接近及び離隔できるように構成された複数のピン12bとを備える。例えば、カセット10aから搬送機構6によって搬出された被加工物11がテーブル12aに載せられると、複数のピン12bによって被加工物11の中心の位置がテーブル12aの中央部に合わせられる。
【0022】
位置調整機構12の近傍には、被加工物11を保持して旋回できる搬入機構14が設けられている。搬入機構14は、被加工物11の上面側を吸着できる吸着パッドを備え、位置調整機構12で位置が調整された被加工物11を後方に搬送する。搬入機構14の後方には、円盤状のターンテーブル16が設けられている。
【0023】
ターンテーブル16は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向に平行な直線を回転軸として回転する。このターンテーブル16の上面には、加工の際に被加工物11を支持するための4個のチャックテーブル18がターンテーブル16の周方向に沿って概ね等間隔に設けられている。なお、ターンテーブル16上に設けられるチャックテーブル18の数等に制限はない。
【0024】
搬入機構14は、被加工物11を吸着パッドで吸着し、搬入機構14の近傍の搬入搬出位置に配置されたチャックテーブル18へと搬入する。ターンテーブル16は、例えば、図1に示される矢印の方向に回転し、各チャックテーブル18を、搬入搬出位置、粗研削位置、仕上げ研削位置、研磨位置の順に移動させる。
【0025】
図3は、チャックテーブル18等を模式的に示す一部断面側面図である。チャックテーブル18は、ステンレス鋼等の金属材料又はセラミックスからなる枠体20を有する。枠体20は、円盤状の底壁と、この底壁の外周部から上方に延在する円環状の側壁とを有する。そして、枠体20においては、底壁及び側壁によって凹部が画定されている。
【0026】
枠体20の底壁には、吸引路(不図示)が形成されている。この吸引路の一端は、凹部の底面に露出しており、吸引路の他端は、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。この凹部には、ポーラス板22が固定されている。このポーラス板22の下面は概ね平坦であり、その上面の中心が凸となる円錐形状になっている。
【0027】
そして、この吸引源を動作させると、ポーラス板22の上面近傍の空間には負圧が生じる。そのため、ポーラス板22の上面は、被加工物11を保持するチャックテーブル18の保持面18aとして機能する。具体的には、ポーラス板22の上面に被加工物11が搬入された状態で吸引源を動作させると、被加工物11がチャックテーブル18に吸引保持される。
【0028】
チャックテーブル18の下部には、円柱状のスピンドル24の上部が連結されている。なお、このチャックテーブル18は、スピンドル24から取り外し可能である。スピンドル24の下部は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されている。そして、この回転駆動源を動作させると、保持面18aの中心を通る回転軸26を中心としてチャックテーブル18が回転する。
【0029】
チャックテーブル18の下方には、チャックテーブル18が回転可能な態様でチャックテーブル18を支持する環状のベアリング28が設けられている。ベアリング28の下方には、環状の支持板30が固定されている。支持板30の下方には、環状のテーブルベース32が設けられている。スピンドル24は、ベアリング28、支持板30及びテーブルベース32のそれぞれの中央に設けられた開口に位置する。
【0030】
テーブルベース32の下面側には、テーブルベース32の周方向に沿って概ね等間隔に3つの支持機構(固定支持機構36a、第1可動支持機構36b及び第2可動支持機構36c)が設けられている。なお、本明細書では、これら3つの支持機構をまとめて、傾き調整ユニット36と称する。
【0031】
テーブルベース32は、固定支持機構36a、第1可動支持機構36b及び第2可動支持機構36cに支持されている。固定支持機構36aは、所定長さの支柱(固定軸)を有する。この支柱の上部は、テーブルベース32の下面に固定された上部支持体に連結され、また、この支柱の下部は、支持ベースに固定されている。
【0032】
第1可動支持機構36b及び第2可動支持機構36cのそれぞれは、先端部に雄ねじが形成された支柱(可動軸)38を有する。支柱38の先端部(上部)は、テーブルベース32の下面に固定された上部支持体40に回転可能な態様で連結されている。具体的には、上部支持体40は、雌ねじを有するロッド等の金属製柱状部材であり、支柱38の雄ねじは、上部支持体40の雌ねじに回転可能な態様で連結されている。
【0033】
第1可動支持機構36b及び第2可動支持機構36cの支柱38の外周には、所定の外径を有する円環状のベアリング42が固定されている。ベアリング42の一部は、階段状の支持板44に支持されている。すなわち、第1可動支持機構36b及び第2可動支持機構36cは、支持板44に支持されている。
【0034】
支柱38の下部には、支柱38を回転させるモータ46が連結されている。モータ46を動作させて支柱38を一方向に回転させると、上部支持体40が上昇する。また、モータ46を動作させて支柱38を他方向に回転させると、上部支持体40が下降する。このように、第1可動支持機構36b及び第2可動支持機構36cの上部支持体40が昇降することで、テーブルベース32(すなわち、チャックテーブル18)の傾きが調整される。
【0035】
再び図1を参照して、加工装置2の残りの構成要素について説明する。ターンテーブル16の周方向に沿って隣接する一対のチャックテーブル18の間には、後述する研磨パッド110のドレスに用いられるドレスユニット48が配置されている。ドレスユニット48は、下端部がターンテーブル16の上面に固定されている円柱状の支持部材50を有する。支持部材50の上端部には、ドレス部52が装着されている。
【0036】
ドレス部52は、例えば、樹脂等のボンド材に砥粒が分散されている構造又は支持部材50の上端部の表面に砥粒が分散されたメッキ層が設けられている構造を有する。この砥粒は、例えば、炭化珪素(SiC)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、ダイヤモンド又は金属酸化物微粒子等の材料からなる。なお、この金属酸化物微粒子としては、シリカ(酸化シリコン)、セリア(酸化セリウム)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)又はアルミナ(酸化アルミニウム)等からなる微粒子が挙げられる。
【0037】
粗研削位置及び仕上げ研削位置の後方(ターンテーブル16の後方)には、それぞれ、柱状の支持構造54が設けられている。支持構造54の前面(ターンテーブル16側の面)には、Z軸移動機構56が設けられている。Z軸移動機構56は、支持構造54の前面に固定され、かつ、Z軸方向に沿って延在する一対のガイドレール58を有する。
【0038】
一対のガイドレール58の前面側には、一対のガイドレール58に沿ってスライド可能な態様で移動プレート60が連結されている。また、一対のガイドレール58の間には、Z軸方向に沿って延在するねじ軸62が配置されている。このねじ軸62の上端部には、ねじ軸62を回転させるためのモータ64が連結されている。
【0039】
そして、ねじ軸62の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸62の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。すなわち、ねじ軸62が回転すると、ボールがナット部内を循環して、ナット部がZ軸方向に沿って移動する。
【0040】
また、このナット部は、移動プレート60の後面(裏面)側に固定されている。そのため、モータ64でねじ軸62を回転させれば、ナット部とともに移動プレート60がZ軸方向に沿って移動する。さらに、移動プレート60の表面(前面)には、固定具66が設けられている。
【0041】
固定具66は、被加工物11を研削するための研削ユニット68を支持する。研削ユニット68は、固定具66に固定されるスピンドルハウジング70を備える。スピンドルハウジング70には、Z軸方向に沿って延在するスピンドル72が回転可能な態様で収容されている。
【0042】
スピンドル72の上端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、スピンドル72は、この回転駆動源の動力によって回転する。また、スピンドル72の下端部は、スピンドルハウジング70の下面から露出し、この下端部には、円盤状のマウント74が固定されている。
【0043】
粗研削位置側の研削ユニット68のマウント74の下面には、粗研削用の研削ホイール76aが装着される。この粗研削用の研削ホイール76aは、マウント74と概ね同径に形成されたホイール基台を備える。そして、このホイール基台は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウム等の金属材料からなる。
【0044】
また、このホイール基台の下面には、粗研削に適した砥粒を含む複数の研削砥石が固定されている。複数の研削砥石のそれぞれの下面(研削面)は、Z軸方向に概ね垂直な面であり、粗研削位置に配置されたチャックテーブル18に吸引保持された被加工物11を粗研削する。
【0045】
同様に、仕上げ研削位置側の研削ユニット68のマウント74の下面には、仕上げ研削用の研削ホイール76bが装着される。この仕上げ研削用の研削ホイール76bは、マウント74と概ね同径に形成されたホイール基台を備える。そして、このホイール基台は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウム等の金属材料からなる。
【0046】
また、このホイール基台の下面には、仕上げ研削に適した砥粒を含む複数の研削砥石が固定されている。複数の研削砥石のそれぞれの下面(研削面)は、Z軸方向に概ね垂直な面であり、仕上げ研削位置に配置されたチャックテーブル18に吸引保持された被加工物11を仕上げ研削する。なお、この仕上げ研削用の研削砥石に含まれる砥粒の粒径は、一般的に、粗研削用の研削砥石に含まれる砥粒の粒径よりも小さい。
【0047】
さらに、研削ホイール76a,76bの近傍には、被加工物11の研削砥石と接触する領域(加工点)に純水等の液体(研削液)を供給するための液体供給ノズル(不図示)が配置されている。あるいは、このノズルに換えて又は加えて、液体を供給するための開口が研削ホイール76a,76bに設けられ、この開口を介して加工点に研削液が供給されてもよい。
【0048】
研磨領域の側方(ターンテーブル16の側方)には、支持構造78が設けられている。支持構造78のターンテーブル16側の側面には、X軸移動機構80が設けられている。X軸移動機構80は、支持構造78のターンテーブル16側の側面に固定され、かつ、X軸方向に沿って延在する一対のガイドレール82を有する。
【0049】
一対のガイドレール82のターンテーブル16側には、一対のガイドレール82に沿ってスライド可能な態様で移動プレート84が連結されている。また、一対のガイドレール82の間には、X軸方向に沿って延在するねじ軸86が配置されている。このねじ軸86の前端部には、ねじ軸86を回転させるためのモータ88が連結されている。
【0050】
そして、ねじ軸86の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸86の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。すなわち、ねじ軸86が回転すると、ボールがナット部内を循環して、ナット部がX軸方向に沿って移動する。
【0051】
また、このナット部は、移動プレート84の支持構造78と対向する面(裏面)側に固定されている。そのため、モータ88でねじ軸86を回転させれば、ナット部とともに移動プレート84がX軸方向に沿って移動する。さらに、移動プレート84のターンテーブル16側の面(表面)には、Z軸移動機構90が設けられている。
【0052】
Z軸移動機構90は、移動プレート84の表面に固定され、かつ、Z軸方向に沿って延在する一対のガイドレール92を有する。一対のガイドレール92のターンテーブル16側には、一対のガイドレール92に沿ってスライド可能な態様で移動プレート94が連結されている。
【0053】
また、一対のガイドレール92の間には、Z軸方向に沿って延在するねじ軸96が配置されている。このねじ軸96の上端部には、ねじ軸96を回転させるためのモータ98が連結されている。そして、ねじ軸96の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸96の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。
【0054】
すなわち、ねじ軸96が回転すると、ボールがナット部内を循環して、ナット部がZ軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、移動プレート94の移動プレート84と対向する面(裏面)側に固定されている。そのため、モータ98でねじ軸96を回転させれば、ナット部とともに移動プレート94がZ軸方向に沿って移動する。
【0055】
移動プレート94のターンテーブル16側の面(表面)には、固定具100が設けられている。固定具100は、被加工物11を研磨するための研磨ユニット102を支持する。研磨ユニット102は、固定具100に固定されるスピンドルハウジング104を備える。
【0056】
スピンドルハウジング104には、Z軸方向に沿って延在するスピンドル106が回転可能な態様で収容されている。スピンドル106の上端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、スピンドル106は、この回転駆動源の動力によって回転する。
【0057】
スピンドル106の下端部は、スピンドルハウジング104の下面から露出し、この下端部には、円盤状のマウント108が固定されている。このマウント108の下面には、円盤状の研磨パッド110が装着されている。この研磨パッド110は、チャックテーブル18に吸引保持される被加工物11よりも長い径を有し、例えば、内部に砥粒が分散された固定砥粒研磨パッドである。
【0058】
また、研磨パッド110の円状の下面(研磨面)は、Z軸方向に概ね垂直な面であり、研磨位置に配置されたチャックテーブル18に吸引保持された被加工物11を乾式で研磨する。この研磨パッド110は、例えば、ポリエステル製の不織布に平均粒径が20μm以下の砥粒が分散されたウレタン溶液を含侵させた後、乾燥させることで製造される。
【0059】
研磨パッド110の内部に分散される砥粒は、炭化珪素、cBN、ダイヤモンド又は金属酸化物微粒子等の材料からなる。なお、この金属酸化物微粒子としては、シリカ、セリア、ジルコニア又はアルミナ等からなる微粒子が挙げられる。また、この研磨パッド110は、柔軟であり、被加工物11を研磨する際に加わる荷重に応じて僅かに撓む。
【0060】
搬入機構14の側方には、研磨ユニット102によって研磨された後の被加工物11を保持して旋回できる搬出機構112が設けられている。搬出機構112の前方、かつ、開口4aの後方側には、搬出機構112によって搬出された被加工物11を洗浄できるように構成された洗浄機構114が配置されている。洗浄機構114で洗浄された被加工物11は、搬送機構6で搬送され、例えば、カセット10bに収容される。
【0061】
図4は、加工装置2における被加工物11の加工方法の一例を模式的に示すフローチャートである。この方法においては、まず、チャックテーブル18に被加工物11を保持させる(保持ステップ:S1)。具体的には、位置調整機構12によって所定の位置に配置された被加工物11を搬入機構14が搬出して搬入搬出位置に配置されたチャックテーブル18に搬入した後、チャックテーブル18が被加工物11を吸引保持する。
【0062】
次いで、このチャックテーブル18の傾きを調整する(傾き調整ステップ:S2)。具体的には、チャックテーブル18の保持面18aの外周上の点のうち最も高くなる点と保持面18aの中心とを結ぶ線分がZ軸方向と垂直になるように、傾き調整ユニット36がチャックテーブル18の傾きを調整する。すなわち、この線分が、粗研削用の研削砥石の下面(研削面)、仕上げ研削用の研削砥石の下面(研削面)及び研磨パッド110の下面(研磨面)と平行になるように、傾き調整ユニット36がチャックテーブル18の傾きを調整する。
【0063】
次いで、このチャックテーブル18を粗研削位置に位置付ける(第1位置付けステップ:S3)。具体的には、平面視において、粗研削用の研削ホイール76aの研削砥石を回転させた時の軌跡と、上記の線分の一端及び他端とが重なるように、図1に示される矢印の方向に沿ってターンテーブル16を回転させる。
【0064】
次いで、被加工物11を粗研削する(粗研削ステップ:S4)。具体的には、チャックテーブル18と粗研削用の研削ホイール76aとを回転させながら、研削砥石の下面(研削面)を被加工物11の上面(例えば、裏面11b)に接触させるように研削ホイール76aを下降させる。なお、被加工物11の研削砥石と接触する領域(加工点)には、液体供給ノズル等を介して研削液が供給される。
【0065】
次いで、このチャックテーブル18を仕上げ研削位置に位置付ける(第2位置付けステップ:S5)。具体的には、平面視において、仕上げ研削用の研削ホイール76bの研削砥石を回転させた時の軌跡と、上記の線分の一端及び他端とが重なるように、図1に示される矢印の方向に沿ってターンテーブル16を回転させる。
【0066】
次いで、被加工物11を仕上げ研削する(仕上げ研削ステップ:S6)。具体的には、チャックテーブル18と仕上げ研削用の研削ホイール76bとを回転させながら、研削砥石の下面を被加工物11の上面(例えば、裏面11b)に接触させるように研削ホイール76bを下降させる。なお、被加工物11の研削砥石と接触する領域(加工点)には、液体供給ノズル等を介して研削液が供給される。
【0067】
次いで、このチャックテーブル18を研磨位置に位置付け、かつ、研磨パッド110の位置を調整する(第3位置付けステップ:S7)。図5(A)は、研磨位置に位置付けられたチャックテーブル18と、位置が調整された研磨パッド110とを模式的に示す上面図であり、図5(B)は、図5(A)に示されるA線における断面を模式的に示す断面図である。
【0068】
また、図5(A)は、研磨パッド110の研磨面に平行な座標平面、すなわち、X軸方向及びY軸方向に平行な座標平面(XY座標平面)を示していると表現することもできる。この第3位置付けステップ(S7)においては、線分L(上記の線分に対応)と重なる被加工物11の上面(例えば、裏面11b)(被研磨面)の外周上の点P1を第1座標(X1,Y1)に位置付け、また、被加工物11の被研磨面の中心P2を第2座標(X2,Y2)に位置付ける。
【0069】
なお、この第1座標(X1,Y1)は、研磨パッド110の外周の僅かに外側に位置し、研磨パッド110と重ならない点である。また、この第2座標(X2,Y2)は、研磨パッド110と重なる点である。すなわち、第3位置付けステップ(S7)においては、被加工物11の点P1を含むごく一部の領域を除いた大半の領域が研磨パッド110と重なるように、図1に示される矢印の方向に沿ってターンテーブル16を回転させ、かつ、X軸方向に沿う研磨ユニット102の位置を調整する。
【0070】
次いで、被加工物11を研磨する(研磨ステップ:S8)。図6(A)は、研磨パッド110によって被加工物11を研磨する様子を模式的に示す上面図であり、図6(B)は、図6(A)に示されるA線における断面を模式的に示す断面図である。また、図6(A)は、XY座標平面を示していると表現することもできる。
【0071】
この研磨ステップ(S8)においては、回転軸26を中心としてチャックテーブル18を回転させ、かつ、回転軸116を中心として研磨パッド110を回転させながら、研磨パッド110の下面(研磨面)を被加工物11の被研磨面に接触させるように研磨パッド110を下降させる。この時、被加工物11を研磨する際に加わる荷重に応じて研磨パッド110が僅かに撓む。
【0072】
換言すると、被加工物11の一部は、研磨パッド110に食い込む(図6(B)参照)。そのため、被加工物11のZ軸方向において最も上に位置する領域(図5(A)に示される線分Lと重なる領域)のみならず、この領域よりも僅かに下に位置する領域(研磨域)R1も研磨パッド110に接触する。
【0073】
そして、この研磨域R1には、第1座標(X1,Y1)に位置する点P1は含まれないが、第1座標と異なるXY座標平面上の第3座標(X3a,Y3a),(X3b,Y3b)に位置する被加工物11の被研磨面の外周上の点P3a,P3bが含まれる。
【0074】
なお、この研磨域R1は、第3位置付けステップ(S7)において調整されたチャックテーブル18と研磨パッド110との相対的な位置等に依存して変化する。そのため、第3位置付けステップ(S7)においては、この研磨域R1に点P1が含まれず、かつ、点P3a,P3bが含まれるように、チャックテーブル18と研磨パッド110との相対的な位置を調整する。
【0075】
図4に示される方法においては、XY座標平面に含まれる第1座標(X1,Y1)に位置する被加工物11の被研磨面の外周上の点を研磨パッド110の研磨面に接触させず、かつ、第3座標(X3a,Y3a),(X3b,Y3b)に位置する被研磨面の外周上の点を研磨面の外周に接触させて被加工物11を研磨する。この場合、被加工物11の被研磨面の全域を研磨できるとともに研磨パッド110の研磨面の外周近傍の領域をそれよりも内側の領域と同程度に摩耗させることができる。
【0076】
これにより、被加工物11の被研磨面の研磨に起因する研磨パッド110の研磨面における段差の形成を抑制して、このような研磨を行った後においても、この被研磨面を平坦化するのに適した研磨パッド110の形状を維持することができる。
【0077】
さらに、この方法においては、被加工物11の被研磨面を研磨する際に、研磨パッド110の研磨面の中央付近の一部(未使用領域)R2(図6(A)参照)が被加工物11の被研磨面に接触しないことがある。そして、この場合には、被加工物11の被研磨面の研磨によって、この未使用領域R2がそれよりも外側の領域よりも下方に突出する(段差が形成される)おそれがある。
【0078】
このように未使用領域R2が突出した研磨パッド110を用いて被加工物11の被研磨面を研磨すると、被加工物11の被研磨面を平坦化することが困難になるおそれがある。具体的には、この場合には、被加工物11の被研磨面と同心円状の環状の凹みが、この被研磨面に形成されるおそれがある。
【0079】
そのため、本発明においては、第3位置付けステップ(S7)の前に、この未使用領域R2を含む円状の領域(中央領域)に凹部を形成することが好ましい。図7は、このような加工方法の一例を模式的に示すフローチャートである。この方法においては、まず、保持ステップ(S1)及び傾き調整ステップ(S2)を行う。
【0080】
次いで、ドレスユニット48を研磨位置に位置付け、かつ、研磨パッド110の位置を調整する(第4位置付けステップ:S9)。図8は、研磨位置に位置付けられたドレスユニット48と、位置が調整された研磨パッド110とを模式的に示す側面図である。
【0081】
具体的には、平面視において、研磨パッド110の研磨面の中央領域(図6(A)に示される未使用領域R2を含む領域)にドレスユニット48が重なるように、図1に示される矢印の方向に沿ってターンテーブル16を回転させ、かつ、X軸方向に沿う研磨ユニット102の位置を調整する。
【0082】
次いで、研磨パッド110をドレスする(ドレスステップ:S10)。具体的には、研磨パッド110を回転させながら、研磨パッド110の下面(研磨面)をドレスユニット48のドレス部52の上面に接触させるように研磨パッド110を下降させる。これにより、研磨パッド110の研磨面に凹部が形成される。さらに、研磨パッド110の研磨面の中央領域に凹部を形成するために必要であれば、研磨パッド110を回転させたまま、X軸方向に沿って研磨ユニット102を移動させてもよい。
【0083】
次いで、第3位置付けステップ(S7)及び研磨ステップ(S8)を行う。図9(A)は、ドレスされた研磨パッド110によって被加工物11を研磨する様子を模式的に示す上面図であり、図9(B)は、図9(A)に示されるA線における断面を模式的に示す断面図である。また、図9(A)は、XY座標平面を示していると表現することもできる。
【0084】
図9(A)及び図9(B)に示される研磨パッド110の研磨面には、この研磨面と被加工物11の被研磨面とが接触する界面(端的には、研磨域R1)の境界の一部を画定するように凹部118が形成されている。換言すると、この界面の境界の一部は、凹部118の外周に沿って円弧状になっている。
【0085】
このような凹部118が研磨パッド110の研磨面に形成されている場合には、研磨ステップ(S8)後に研磨パッド110の中央領域がそれよりも外側の領域よりも下方に突出する(段差が形成される)ことがない。そのため、この場合には、被加工物11の被研磨面と同心円状の環状の凹みを被加工物11に形成することなく、被加工物11の被研磨面の全域を研磨できる。
【0086】
なお、上述した方法は本発明の一態様であって、本発明は上述した方法に限定されない。例えば、本発明は、図4に示される加工方法から、被加工物11の粗研削及び/又は仕上げ研削を行うためのステップ(第1位置付けステップ(S3)~仕上げ研削ステップ(S6))を割愛した加工方法であってもよい。
【0087】
また、本発明においては、チャックテーブル18及び研磨ユニット102の移動方向は限定されない。例えば、チャックテーブル18がZ軸方向に沿って移動可能であってもよく、また、研磨ユニット102がY軸方向に沿って移動可能であってもよい。また、チャックテーブル18は、ターンテーブル16の上面に設けられることなく、ボールねじ等によって構成されるX軸移動機構及び/又はY軸移動機構に連結されていてもよい。
【0088】
また、本発明においては、研磨ユニット102の傾きを調整する傾き調整ユニットが設けられていてもよい。そして、本発明の傾き調整ステップ(S2)において、チャックテーブル18の傾きを調整することなく、研磨ユニット102の傾きを調整してもよい。
【0089】
すなわち、本発明においては、チャックテーブル18の保持面18aの外周上の点のうち研磨パッド110の研磨面に垂直な方向における研磨面までの距離が最も短くなる点と保持面18aの中心とを結ぶ線分が研磨面と平行になるように、チャックテーブル18の回転軸26と研磨パッド110の回転軸116とがなす角の角度を調整可能であればよい。
【0090】
その他、上述した実施形態にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0091】
11 :被加工物(11a:表面、11b:裏面)
13 :分割予定ライン
15 :デバイス
2 :加工装置
4 :基台(4a:開口)
6 :搬送機構
8a,8b:カセットテーブル
10a,10b:カセット
12 :位置調整機構(12a:テーブル、12b:ピン)
14 :搬入機構
16 :ターンテーブル
18 :チャックテーブル(18a:保持面)
20 :枠体
22 :ポーラス板
24 :スピンドル
26 :回転軸
28 :ベアリング
30 :支持板
32 :テーブルベース
36 :傾き調整ユニット(36a:固定支持機構、36b,36c:可動支持機構)
38 :支柱
40 :上部支持体
42 :ベアリング
44 :支持板
46 :モータ
48 :ドレスユニット
50 :支持部材
52 :ドレス部
54 :支持構造
56 :Z軸移動機構
58 :ガイドレール
60 :移動プレート
62 :ねじ軸
64 :モータ
66 :固定具
68 :研削ユニット
70 :スピンドルハウジング
72 :スピンドル
74 :マウント
76a,76b:研削ホイール
78 :支持構造
80 :X軸移動機構
82 :ガイドレール
84 :移動プレート
86 :ねじ軸
88 :モータ
90 :Z軸移動機構
92 :ガイドレール
94 :移動プレート
96 :ねじ軸
98 :モータ
100:固定具
102:研磨ユニット
104:スピンドルハウジング
106:スピンドル
108:マウント
110:研磨パッド
112:搬出機構
114:洗浄機構
116:回転軸
118:凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9