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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169984
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】計測装置、計測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20221102BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20221102BHJP
   G01R 23/16 20060101ALI20221102BHJP
   G01R 23/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
G01M99/00 A
G01R23/16 B
G01R23/16 D
G01R23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075770
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】石渡 隆行
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】中塩 雄二
【テーマコード(参考)】
2G024
2G029
2G064
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024CA13
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA11
2G029AA02
2G029AB05
2G029AD08
2G029AF02
2G029AG01
2G029AH01
2G064AA01
2G064AA11
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
2G064CC41
2G064CC43
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】波形信号においてナイキスト周波数を超える卓越周波数を計測することが可能である計測装置、計測方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】計測装置は、アナログ信号の帯域を制限するフィルタと、帯域が制限されたアナログ信号に基づく第1デジタル信号とアナログ信号に基づく第2デジタル信号とを、サンプリング周波数に基づいて生成するサンプリング実行部と、第1デジタル信号の周波数分布データと第2デジタル信号の周波数分布データとを、サンプリング周波数に基づくナイキスト周波数以下の帯域について生成する高速フーリエ変換部と、第1デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無と第2デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無との差分又は共通点を周波数ごとに抽出し、ナイキスト周波数を基準として、差分又は共通点に基づいてピーク波形の周波数を折り返す抽出部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたアナログ信号の帯域を制限するフィルタと、
帯域が制限された前記アナログ信号に基づく第1デジタル信号と帯域が制限された又は制限されていない前記アナログ信号に基づく第2デジタル信号とを、サンプリング周波数に基づいて生成するサンプリング実行部と、
前記第1デジタル信号の周波数分布データと前記第2デジタル信号の周波数分布データとを、前記サンプリング周波数に基づくナイキスト周波数以下の帯域について生成する高速フーリエ変換部と、
前記第1デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無と前記第2デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無との差分又は共通点を周波数ごとに抽出し、前記ナイキスト周波数を基準として、前記差分又は前記共通点に基づいてピーク波形の周波数を折り返す抽出部と
を備える計測装置。
【請求項2】
前記サンプリング実行部は、前記ナイキスト周波数以下の帯域となるように帯域が制限された前記アナログ信号に基づく第1デジタル信号と、帯域が制限されていない前記アナログ信号に基づく第2デジタル信号とを生成し、
前記抽出部は、前記第1デジタル信号の周波数分布データとの差分として前記第2デジタル信号の周波数分布データから抽出されたピーク波形の周波数を、前記ナイキスト周波数を基準として折り返す、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記サンプリング実行部は、前記ナイキスト周波数以上の帯域となるように帯域が制限された前記アナログ信号に基づく第1デジタル信号と、帯域が制限されていない前記アナログ信号に基づく第2デジタル信号とを生成し、
前記抽出部は、前記第2デジタル信号の周波数分布データとの共通点として前記第1デジタル信号の周波数分布データから抽出されたピーク波形の周波数を、前記ナイキスト周波数を基準として折り返す、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記サンプリング実行部は、前記ナイキスト周波数以下の帯域となるように帯域が制限された前記アナログ信号に基づく第1デジタル信号と、前記ナイキスト周波数以上の帯域となるように帯域が制限された前記アナログ信号に基づく第2デジタル信号とを生成し、
前記抽出部は、前記第1デジタル信号の周波数分布データとの差分として前記第2デジタル信号の周波数分布データから抽出されたピーク波形の周波数を、前記ナイキスト周波数を基準として折り返す、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
計測装置が実行する計測方法であって、
入力されたアナログ信号の帯域を制限するフィルタステップと、
帯域が制限された前記アナログ信号に基づく第1デジタル信号と帯域が制限された又は制限されていない前記アナログ信号に基づく第2デジタル信号とを、サンプリング周波数に基づいて生成するサンプリング実行ステップと、
前記第1デジタル信号の周波数分布データと前記第2デジタル信号の周波数分布データとを、前記サンプリング周波数に基づくナイキスト周波数以下の帯域について生成する高速フーリエ変換ステップと、
前記第1デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無と前記第2デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無との差分又は共通点を周波数ごとに抽出し、前記ナイキスト周波数を基準として、前記差分又は前記共通点に基づいてピーク波形の周波数を折り返す抽出ステップと
を含む計測方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の計測装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、計測方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
振動の計測結果に基づいて軸受の異常を診断する装置(振動の計測装置)が、特許文献1に開示されている。図11は、計測装置の構成例を示す図である。図11に例示された計測装置は、計測対象(例えば、軸受)の振動の卓越周波数を計測する。計測装置は、ローパスフィルタと、アナログ・デジタル変換部と、高速フーリエ変換部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-056686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12は、計測処理の例を示す図である。ローパスフィルタには、計測対象の振動の波形信号が入力される。ローパスフィルタは、入力された波形信号において、カットオフ周波数を超える帯域を制限する。このため、カットオフ周波数を超える卓越周波数を計測することはできない。図12では、カットオフ周波数は、所定のナイキスト周波数である。アナログ・デジタル変換部は、入力された波形信号(アナログ信号)に対してサンプリング処理を実行することよって、波形信号(デジタル信号)を生成する。高速フーリエ変換部は、波形信号(デジタル信号)に対して、高速フーリエ変換を実行する。
【0005】
このような計測装置では、計測対象の振動の卓越周波数(損傷周波数)が予め特定されている必要がある。なぜなら、標本化定理により、計測対象の振動の卓越周波数がナイキスト周波数以下となるように、アナログ・デジタル変換部のサンプリング周波数が予め定められる必要があるからである。サンプリング周波数は、ナイキスト周波数の2逓倍である。このため、アナログ・デジタル変換部のサンプリング周波数は損傷周波数に対して十分に高い必要がある。しかしながら、サンプリング周波数が十分に高いアナログ・デジタル変換部のコストは非常に高い。アナログ・デジタル変換部のコストの増加を抑制するためには、波形信号においてナイキスト周波数を超える卓越周波数が計測可能であることが望ましい。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、波形信号においてナイキスト周波数を超える卓越周波数を計測することが可能である計測装置、計測方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、入力されたアナログ信号の帯域を制限するフィルタと、帯域が制限された前記アナログ信号に基づく第1デジタル信号と帯域が制限された又は制限されていない前記アナログ信号に基づく第2デジタル信号とを、サンプリング周波数に基づいて生成するサンプリング実行部と、前記第1デジタル信号の周波数分布データと前記第2デジタル信号の周波数分布データとを、前記サンプリング周波数に基づくナイキスト周波数以下の帯域について生成する高速フーリエ変換部と、前記第1デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無と前記第2デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無との差分又は共通点を周波数ごとに抽出し、前記ナイキスト周波数を基準として、前記差分又は前記共通点に基づいてピーク波形の周波数を折り返す抽出部とを備える計測装置である。
【0008】
本発明の一態様は、計測装置が実行する計測方法であって、入力されたアナログ信号の帯域を制限するフィルタステップと、帯域が制限された前記アナログ信号に基づく第1デジタル信号と帯域が制限された又は制限されていない前記アナログ信号に基づく第2デジタル信号とを、サンプリング周波数に基づいて生成するサンプリング実行ステップと、前記第1デジタル信号の周波数分布データと前記第2デジタル信号の周波数分布データとを、前記サンプリング周波数に基づくナイキスト周波数以下の帯域について生成する高速フーリエ変換ステップと、前記第1デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無と前記第2デジタル信号の周波数分布データにおけるピーク波形の有無との差分又は共通点を周波数ごとに抽出し、前記ナイキスト周波数を基準として、前記差分又は前記共通点に基づいてピーク波形の周波数を折り返す抽出ステップとを含む計測方法である。
【0009】
本発明の一態様は、上記の計測装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、波形信号においてナイキスト周波数を超える卓越周波数を計測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における、計測装置の構成例を示す図である。
図2】第1実施形態における、計測処理の例を示す図である。
図3】第1実施形態における、計測装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態における、計測装置の構成例を示す図である。
図5】第2実施形態における、計測処理の例を示す図である。
図6】第2実施形態における、計測装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態における、計測装置の構成例を示す図である。
図8】第3実施形態における、計測処理の例を示す図である。
図9】第3実施形態における、計測装置の動作例を示すフローチャートである。
図10】第4実施形態における、計測装置の構成例を示す図である。
図11】計測装置の構成例を示す図である。
図12】計測処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における、計測装置1aの構成例を示す図である。計測装置1aは、周波数を計測する装置である。計測装置1aは、切替部10と、ローパスフィルタ11と、アナログ・デジタル変換部12と、高速フーリエ変換部13と、計測部14aと、記憶装置15と、出力部16とを備える。なお、ローパスフィルタ11は、バンドパスフィルタでもよい。
【0013】
計測装置1aの各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶部(例えば、記憶装置15)に記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記録媒体である。
【0014】
計測装置1aの各機能部のうちの一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0015】
センサ(不図示)又は測定装置(不図示)は、計測対象の振動(例えば、音)を測定する。計測対象とは、例えばポンプの回転軸の軸受である。センサは、例えば加速度センサである。測定装置は、例えば騒音計である。センサ又は測定装置は、計測された振動の波形信号を生成する。
【0016】
切替部10は、センサ又は測定装置から、計測された振動の波形信号(アナログ信号)を取得する。切替部10は、ローパスフィルタ11及びアナログ・デジタル変換部12に、例えば所定周期で交互に波形信号を出力する。すなわち、切替部10は、波形信号の出力先を、例えば所定周期で交互に切り替える。所定周期は、例えば、計測対象の損傷周波数に基づいて定められる。所定周期は、例えば、測定対象の軸受における回転軸の回転周期に基づいて定められる。
【0017】
ローパスフィルタ11は、入力された波形信号の帯域を制限する機能部である。ローパスフィルタ11は、波形信号が切替部10から入力された場合、カットオフ周波数以下の帯域の波形信号を、アナログ・デジタル変換部12に出力する。以下では、カットオフ周波数は、一例として、ナイキスト周波数に等しい。なお、カットオフ周波数は、計測対象の振動特性に応じて着目された周波数の帯域(例えば、損傷周波数を含む帯域)に合わせて定められてもよい。周波数の帯域が絞られることによって、表示処理及び演算処理を軽量化することが可能である。
【0018】
ナイキスト周波数は、アナログ・デジタル変換部12が実行するアナログ・デジタル変換処理におけるサンプリング周波数の半分の周波数である。換言すれば、サンプリング周波数は、ナイキスト周波数の2逓倍である。
【0019】
アナログ・デジタル変換部12には、例えば所定周期で、波形信号が切替部10及びローパスフィルタ11から交互に入力される。すなわち、第1期間において、波形信号が、アナログ・デジタル変換部12にローパスフィルタ11から入力される。第1期間とは異なる第2期間において、波形信号が、アナログ・デジタル変換部12に切替部10から入力される。
【0020】
アナログ・デジタル変換部12は、入力された波形信号(アナログ信号)に対して、アナログ・デジタル変換処理を実行する。すなわち、アナログ・デジタル変換部12(サンプリング実行部)は、入力された波形信号に対して、所定のサンプリング周波数でサンプリング処理を実行する。ここで、サンプリング周波数は、一例として100Hzである。したがって、ナイキスト周波数は、一例として50Hz(=100/2Hz)である。アナログ・デジタル変換部12は、生成された波形信号(デジタル信号)を、高速フーリエ変換部13に出力する。
【0021】
アナログ・デジタル変換部12にローパスフィルタ11から波形信号が入力されている場合、高速フーリエ変換部13は、ローパスフィルタ11によって帯域が制限された波形信号に対して、高速フーリエ変換処理を実行する。高速フーリエ変換部13は、フィルタによって帯域が制限された波形信号の周波数分布データ(以下「制限周波数データ」という。)を、計測部14aに出力する。
【0022】
アナログ・デジタル変換部12に切替部10から波形信号が入力されている場合、高速フーリエ変換部13は、ローパスフィルタ11によって帯域が制限されていない波形信号(エイリアシングの影響を含む波形信号)に対して、高速フーリエ変換処理を実行する。高速フーリエ変換部13は、フィルタによって帯域が制限されていない波形信号の周波数分布データ(以下「非制限周波数データ」という。)を、計測部14aに出力する。
【0023】
アナログ・デジタル変換部12にローパスフィルタ11から波形信号が入力されている場合、計測部14aは、制限周波数データを高速フーリエ変換部13から取得する。計測部14aは、制限周波数データを記憶装置15に記録する。
【0024】
アナログ・デジタル変換部12に切替部10から波形信号が入力されている場合、計測部14aは、非制限周波数データを高速フーリエ変換部13から取得する。計測部14aは、非制限周波数データを記憶装置15に記録する。
【0025】
計測部14a(抽出部)は、制限周波数データにおけるピーク波形と非制限周波数データにおけるピーク波形との有無の差分を、周波数ごとに抽出する。計測部14aは、非制限周波数データにおいて差分として抽出されたピーク波形の周波数(卓越周波数)を計測する。計測部14aは、ナイキスト周波数を基準として、差分として抽出されたピーク波形の周波数を折り返す。計測部14aは、制限周波数データと、折り返された周波数のピーク波形のデータとを、出力部16に出力する。
【0026】
記憶装置15は、制限周波数データと非制限周波数データとを記憶する。記憶装置15は、折り返された周波数のピーク波形のデータを記憶してもよい。
【0027】
出力部16は、制限周波数データと、折り返された周波数のピーク波形のデータとを、表示装置等の外部装置(不図示)に出力する。出力部16(表示部)は、制限周波数データに基づく周波数分布(周波数スペクトル)の画像と、折り返された周波数のピーク波形の画像とを、並べて表示してもよい。
【0028】
次に、計測処理について説明する。
図2は、第1実施形態における、計測処理の例を示す図である。計測部14aは、制限周波数データ100におけるピーク波形と非制限周波数データ200におけるピーク波形との有無の差分を、周波数ごとに抽出する。図2では、制限周波数データ100におけるピーク波形は、一例として、ピーク波形101とピーク波形102とである。図2では、非制限周波数データ200におけるピーク波形は、一例として、ピーク波形101とピーク波形102とピーク波形103とである。
【0029】
計測部14aは、非制限周波数データ200において差分として抽出されたピーク波形103の周波数(卓越周波数)を計測する。図2では、ピーク波形103の周波数は、一例として30Hzである。計測部14aは、ナイキスト周波数(50Hz)を基準として、差分として抽出されたピーク波形103の周波数を折り返す。すなわち、計測部14aは、ナイキスト周波数を鏡として、ピーク波形103を反転する。この結果、折り返された周波数は、70Hz(=50+(50-30)Hz)である。計測部14aは、制限周波数データ100と、折り返された周波数(70Hz)のピーク波形104のデータとを、出力部16に出力する。
【0030】
次に、計測装置1aの動作例を説明する。
図3は、第1実施形態における、計測装置1aの動作例を示すフローチャートである。切替部10は、波形信号(アナログ信号)をセンサ等(不図示)から取得する(ステップS101)。計測部14aは、アナログ・デジタル変換部12のサンプリング周波数(例えば、100Hz)に基づいて、ナイキスト周波数を導出する(ステップS102)。
【0031】
第1期間において、ローパスフィルタ11は、入力された波形信号に対して、ローパスフィルタ処理を実行する(ステップS103)。アナログ・デジタル変換部12は、サンプリング周波数に基づいて、帯域が制限された波形信号(アナログ信号)に対して、サンプリング処理を実行する。これによって、アナログ・デジタル変換部12は、帯域が制限された波形信号(アナログ信号)を、帯域が制限された波形信号(デジタル信号)に変換する(ステップS104-1)。高速フーリエ変換部13は、ナイキスト周波数以下の帯域について、帯域が制限された波形信号(デジタル信号)に対して高速フーリエ変換を実行する。これによって、高速フーリエ変換部13は、制限周波数データを生成する(ステップS105-1)。
【0032】
第1期間とは異なる第2期間において、アナログ・デジタル変換部12は、サンプリング周波数に基づいて、帯域が制限されていない波形信号(アナログ信号)に対して、サンプリング処理を実行する。これによって、アナログ・デジタル変換部12は、帯域が制限されていない波形信号(アナログ信号)を、帯域が制限されていない波形信号(デジタル信号)に変換する(ステップS104-2)。高速フーリエ変換部13は、ナイキスト周波数以下の帯域について、帯域が制限されていない波形信号(デジタル信号)に対して高速フーリエ変換を実行する。これによって、高速フーリエ変換部13は、非制限周波数データを生成する(ステップS105-2)。
【0033】
計測部14aは、制限周波数データにおけるピーク波形と非制限周波数データにおけるピーク波形との有無の差分を、周波数ごとに抽出する(ステップS106)。計測部14aは、ナイキスト周波数を基準として、差分のピーク波形の周波数を折り返す(ステップS107)。計測部14aは、サンプリング周波数以下の帯域について、周波数分布を生成する(ステップS108)。出力部16は、サンプリング周波数以下の帯域について、周波数分布を出力する。すなわち、出力部16は、ナイキスト周波数の2逓倍以下の帯域について、周波数分布を出力する(ステップS109)。
【0034】
以上のように、ローパスフィルタ11は、入力されたアナログ信号(波形信号)の帯域を、ナイキスト周波数以下の帯域となるように制限する。アナログ・デジタル変換部12(サンプリング実行部)は、ナイキスト周波数以下の帯域となるように帯域が制限されたアナログ信号に基づく第1デジタル信号を、サンプリング周波数に基づいて生成する。アナログ・デジタル変換部12は、帯域が制限されていないアナログ信号に基づく第2デジタル信号を、サンプリング周波数に基づいて生成する。高速フーリエ変換部13は、第1デジタル信号の周波数分布データ(制限周波数データ100)と、第2デジタル信号の周波数分布データ(非制限周波数データ200)とを、ナイキスト周波数以下の帯域について生成する。
【0035】
計測部14a(抽出部)は、第1デジタル信号の周波数分布データ(制限周波数データ100)におけるピーク波形の有無と、第2デジタル信号の周波数分布データ(非制限周波数データ200)におけるピーク波形の有無との差分を、周波数ごとに抽出する。計測部14aは、ナイキスト周波数を基準として、差分に基づいてピーク波形103の周波数を折り返す。ここで、計測部14aは、制限周波数データ100との差分として非制限周波数データ200から抽出されたピーク波形103の周波数を、ナイキスト周波数を基準として折り返す。
【0036】
これによって、波形信号においてナイキスト周波数を超える卓越周波数を計測することが可能である。すなわち、エイリアシング(折り返し雑音)の現象を利用して、周波数分布をサンプリング周波数まで計測することが可能である。ここで、計測対象(軸受等)の周波数(損傷周波数)が予め特定されている必要がない。すなわち、取り扱われる周波数領域が予め特定されている必要がない。サンプリング周波数を不要に高くする必要がないので、計測装置のコストの増加を抑制することが可能である。サンプリング周波数を不要に高くする必要がないので、計測対象の周波数(損傷周波数)を計測するためのデータ容量の増加を抑制することが可能である。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態では、計測装置がローパスフィルタを備えない点と、計測装置がハイパスフィルタを備える点とが、第1実施形態との差分である。第2実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0038】
図4は、第2実施形態における、計測装置1bの構成例を示す図である。計測装置1bは、周波数を計測する装置である。計測装置1bは、切替部10と、アナログ・デジタル変換部12と、高速フーリエ変換部13と、計測部14bと、記憶装置15と、出力部16と、ハイパスフィルタ17とを備える。なお、ハイパスフィルタ17は、バンドパスフィルタでもよい。
【0039】
ハイパスフィルタ17は、入力された波形信号の帯域を制限する機能部である。ハイパスフィルタ17は、波形信号が切替部10から入力された場合、ナイキスト周波数以上の帯域の波形信号を、アナログ・デジタル変換部12に出力する。ハイパスフィルタ17のカットオフ周波数は、例えば、ナイキスト周波数に等しい周波数である。
【0040】
アナログ・デジタル変換部12には、例えば所定周期で、波形信号が切替部10及びハイパスフィルタ17から交互に入力される。すなわち、第1期間において、波形信号が、アナログ・デジタル変換部12にハイパスフィルタ17から入力される。第1期間とは異なる第2期間において、波形信号が、アナログ・デジタル変換部12に切替部10から入力される。
【0041】
アナログ・デジタル変換部12にハイパスフィルタ17から波形信号が入力されている場合、高速フーリエ変換部13は、ハイパスフィルタ17によって帯域が制限された波形信号に対して、高速フーリエ変換処理を実行する。高速フーリエ変換部13は、制限周波数データを計測部14bに出力する。
【0042】
アナログ・デジタル変換部12に切替部10から波形信号が入力されている場合、高速フーリエ変換部13は、ハイパスフィルタ17によって帯域が制限されていない波形信号に対して、高速フーリエ変換処理を実行する。高速フーリエ変換部13は、非制限周波数データを計測部14bに出力する。
【0043】
次に、計測処理について説明する。
図5は、第2実施形態における、計測処理の例を示す図である。計測部14bは、制限周波数データ400におけるピーク波形と非制限周波数データ200におけるピーク波形との有無の差分を、周波数ごとに抽出する。図5では、制限周波数データ400におけるピーク波形は、一例として、ピーク波形103である。図5では、非制限周波数データ200におけるピーク波形は、一例として、ピーク波形101とピーク波形102とピーク波形103とである。
【0044】
計測部14bは、非制限周波数データ200において差分(相違点)として抽出されないピーク波形103の周波数(卓越周波数)を計測する。図5では、ピーク波形103の周波数は、一例として30Hzである。計測部14bは、ナイキスト周波数(50Hz)を基準として、差分として抽出されないピーク波形103(共通点として抽出されたピーク波形103)の周波数を折り返す。すなわち、計測部14aは、ナイキスト周波数を鏡として、ピーク波形103を反転する。この結果、折り返された周波数は、70Hz(=50+(50-30)Hz)である。計測部14bは、非制限周波数データ200と、折り返された周波数(70Hz)のピーク波形104のデータとを、出力部16に出力する。
【0045】
次に、計測装置1bの動作例を説明する。
図6は、第2実施形態における、計測装置1bの動作例を示すフローチャートである。ステップS201からステップS202までの各動作は、図3に示されたステップS101からステップS102までの各動作と同様である。
【0046】
第1期間において、ハイパスフィルタ17は、入力された波形信号に対して、ハイパスフィルタ処理を実行する(ステップS203)。ステップS204-1からステップS205-1までの各動作は、図3に示されたステップS104-1からステップS105-1までの各動作と同様である。また、ステップS204-2からステップS205-2までの各動作は、図3に示されたステップS104-2からステップS105-2までの各動作と同様である。
【0047】
ステップS206の動作は、図3に示されたステップS106の動作と同様である。計測部14bは、ナイキスト周波数を基準として、差分として抽出されないピーク波形103の周波数を折り返す(ステップS207)。ステップS208からステップS209までの各動作は、図3に示されたステップS108からステップS109までの各動作と同様である。
【0048】
以上のように、ハイパスフィルタ17は、入力されたアナログ信号(波形信号)の帯域を、ナイキスト周波数以上の帯域となるように制限する。アナログ・デジタル変換部12(サンプリング実行部)は、ナイキスト周波数以上の帯域となるように帯域が制限されたアナログ信号に基づく第1デジタル信号を生成する。アナログ・デジタル変換部12は、帯域が制限されていないアナログ信号に基づく第2デジタル信号を生成する。計測部14b(抽出部)は、第2デジタル信号の周波数分布データ(非制限周波数データ200)との共通点として第1デジタル信号の周波数分布データ(制限周波数データ400)から抽出されたピーク波形103の周波数を、ナイキスト周波数を基準として折り返す。
【0049】
これによって、波形信号においてナイキスト周波数を超える卓越周波数を計測することが可能である。計測対象(軸受等)の周波数(損傷周波数)が予め特定されている必要がない。すなわち、取り扱われる周波数領域が予め特定されている必要がない。サンプリング周波数を不要に高くする必要がないので、計測装置のコストの増加を抑制することが可能である。サンプリング周波数を不要に高くする必要がないので、計測対象の周波数(損傷周波数)を計測するためのデータ容量の増加を抑制することが可能である。
【0050】
(第3実施形態)
第3実施形態では、ローパスフィルタとハイパスフィルタとを計測装置が並列に備える点が、第1実施形態との差分である。第3実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0051】
図7は、第3実施形態における、計測装置1cの構成例を示す図である。計測装置1cは、周波数を計測する装置である。計測装置1cは、切替部10と、ローパスフィルタ11と、アナログ・デジタル変換部12と、高速フーリエ変換部13と、計測部14aと、記憶装置15と、出力部16と、ハイパスフィルタ17とを備える。なお、ローパスフィルタ11とハイパスフィルタ17とのうちの少なくとも一方は、バンドパスフィルタでもよい。
【0052】
切替部10は、センサ又は測定装置から、波形信号(アナログ信号)を取得する。切替部10は、ローパスフィルタ11及びハイパスフィルタ17に、例えば所定周期で交互に波形信号を出力する。すなわち、切替部10は、波形信号の出力先を、例えば所定周期で交互に切り替える。
【0053】
ローパスフィルタ11は、波形信号が切替部10から入力された場合、ナイキスト周波数以下の帯域の波形信号を、アナログ・デジタル変換部12に出力する。ハイパスフィルタ17は、波形信号が切替部10から入力された場合、ナイキスト周波数以上の帯域の波形信号を、アナログ・デジタル変換部12に出力する。
【0054】
アナログ・デジタル変換部12には、例えば所定周期で、波形信号がローパスフィルタ11及びハイパスフィルタ17から交互に入力される。すなわち、第1期間において、波形信号が、アナログ・デジタル変換部12にローパスフィルタ11から入力される。第1期間とは異なる第2期間において、波形信号が、アナログ・デジタル変換部12にハイパスフィルタ17から入力される。
【0055】
アナログ・デジタル変換部12にローパスフィルタ11から波形信号が入力されている場合、高速フーリエ変換部13は、ローパスフィルタ11によって帯域が制限された波形信号に対して、高速フーリエ変換処理を実行する。高速フーリエ変換部13は、第1の制限周波数データを計測部14cに出力する。
【0056】
アナログ・デジタル変換部12にハイパスフィルタ17から波形信号が入力されている場合、高速フーリエ変換部13は、ハイパスフィルタ17によって帯域が制限された波形信号に対して、高速フーリエ変換処理を実行する。高速フーリエ変換部13は、第2の制限周波数データを計測部14cに出力する。
【0057】
計測部14cは、アナログ・デジタル変換部12にローパスフィルタ11から波形信号が入力されている場合、第1の制限周波数データを高速フーリエ変換部13から取得する。計測部14cは、第1の制限周波数データを記憶装置15に記録する。計測部14cは、アナログ・デジタル変換部12にハイパスフィルタ17から波形信号が入力されている場合、第2の制限周波数データを高速フーリエ変換部13から取得する。計測部14cは、第2の制限周波数データを記憶装置15に記録する。
【0058】
計測部14cは、第1の制限周波数データにおけるピーク波形と第2の制限周波数データにおけるピーク波形との有無の差分を、周波数ごとに抽出する。計測部14cは、第2の制限周波数データにおいて差分として抽出されたピーク波形の周波数(卓越周波数)を計測する。計測部14cは、ナイキスト周波数を基準として、差分として抽出されたピーク波形の周波数を折り返す。計測部14cは、制限周波数データと、折り返された周波数のピーク波形のデータとを、出力部16に出力する。
【0059】
次に、計測処理について説明する。
図8は、第3実施形態における、計測処理の例を示す図である。計測部14cは、制限周波数データ100におけるピーク波形と制限周波数データ400におけるピーク波形との有無の差分を、周波数ごとに抽出する。図8では、制限周波数データ100におけるピーク波形は、一例として、ピーク波形101とピーク波形102とである。図8では、制限周波数データ400におけるピーク波形は、一例として、ピーク波形103である。
【0060】
計測部14cは、制限周波数データ400において差分として抽出されたピーク波形103の周波数(卓越周波数)を計測する。図8では、ピーク波形103の周波数は、一例として30Hzである。計測部14cは、ナイキスト周波数(50Hz)を基準として、差分として抽出されたピーク波形103の周波数を折り返す。すなわち、計測部14cは、ナイキスト周波数を鏡として、ピーク波形103を反転する。この結果、折り返された周波数は、70Hz(=50+(50-30)Hz)である。計測部14cは、制限周波数データ100と、折り返された周波数(70Hz)のピーク波形104のデータとを、出力部16に出力する。
【0061】
次に、計測装置1cの動作例を説明する。
図9は、第3実施形態における、計測装置1cの動作例を示すフローチャートである。第1期間において、ステップS301からステップS305-1までの各動作は、図3に示されたステップS101からステップS105-1までの各動作と同様である。第2期間において、ステップS303-2からステップS305-2までの各動作は、図6に示されたステップS203からステップS205-1までの各動作と同様である。
【0062】
計測部14cは、第1の制限周波数データにおけるピーク波形と第2の制限周波数データにおけるピーク波形との有無の差分を、周波数ごとに抽出する(ステップS306)。計測部14cは、ナイキスト周波数を基準として、第2の制限周波数データにおける差分のピーク波形の周波数を折り返す(ステップS307)。ステップS308からステップS309までの各動作は、図3に示されたステップS308からステップS309までの各動作と同様である。
【0063】
以上のように、ローパスフィルタ11は、入力されたアナログ信号(波形信号)の帯域を、ナイキスト周波数以下の帯域となるように制限する。ハイパスフィルタ17は、入力されたアナログ信号(波形信号)の帯域を、ナイキスト周波数以上の帯域となるように制限する。アナログ・デジタル変換部12(サンプリング実行部)は、ナイキスト周波数以下の帯域となるように帯域が制限されたアナログ信号に基づく第1デジタル信号を生成する。アナログ・デジタル変換部12は、ナイキスト周波数以上の帯域となるように帯域が制限されたアナログ信号に基づく第2デジタル信号を生成する。計測部14c(抽出部)は、第1デジタル信号の周波数分布データ(制限周波数データ100)との差分として第2デジタル信号の周波数分布データ(制限周波数データ400)から抽出されたピーク波形103の周波数を、ナイキスト周波数を基準として折り返す。
【0064】
第3実施形態ではフィルタの数が多いので、騒音の周波数が広帯域に分布する環境でも、波形信号においてナイキスト周波数を超える卓越周波数を計測することが可能である。
【0065】
(第4実施形態)
第4実施形態では、ローパスフィルタの系統とハイパスフィルタの系統との両方に波形信号が並列に分配される点が、第3実施形態との差分である。第4実施形態では、第3実施形態との差分を中心に説明する。
【0066】
図10は、第4実施形態における、計測装置1dの構成例を示す図である。計測装置1dは、周波数を計測する装置である。計測装置1dは、ローパスフィルタ11と、アナログ・デジタル変換部12-1と、アナログ・デジタル変換部12-2と、高速フーリエ変換部13-1と、高速フーリエ変換部13-2と、計測部14aと、記憶装置15と、出力部16と、ハイパスフィルタ17と、分配部18とを備える。なお、ローパスフィルタ11とハイパスフィルタ17とのうちの少なくとも一方は、バンドパスフィルタでもよい。
【0067】
分配部18は、入力された波形信号を、ローパスフィルタ11の系統とハイパスフィルタ17の系統との両方に(並列に)分配する。ローパスフィルタ11は、ナイキスト周波数以下の帯域の波形信号を、アナログ・デジタル変換部12-1に出力する。アナログ・デジタル変換部12-1には、波形信号がローパスフィルタ11から入力される。高速フーリエ変換部13-1は、ローパスフィルタ11によって帯域が制限された波形信号に対して、高速フーリエ変換処理を実行する。高速フーリエ変換部13-1は、制限周波数データ100を計測部14dに出力する。
【0068】
ハイパスフィルタ17は、ナイキスト周波数以上の帯域の波形信号を、アナログ・デジタル変換部12-2に出力する。アナログ・デジタル変換部12-2には、波形信号がハイパスフィルタ17から入力される。高速フーリエ変換部13-2は、ハイパスフィルタ17によって帯域が制限された波形信号に対して、高速フーリエ変換処理を実行する。高速フーリエ変換部13は、制限周波数データ400を計測部14dに出力する。
【0069】
計測部14dは、制限周波数データ100におけるピーク波形と制限周波数データ400におけるピーク波形との有無の差分を、周波数ごとに抽出する。計測部14dは、制限周波数データ400において差分として抽出されたピーク波形103の周波数(卓越周波数)を計測する。計測部14dは、ナイキスト周波数を基準として、差分として抽出されたピーク波形103の周波数を折り返す。計測部14dは、制限周波数データ100と、折り返された周波数のピーク波形103のデータとを、出力部16に出力する。
【0070】
以上のように、分配部18は、入力された波形信号を、ローパスフィルタ11の系統とハイパスフィルタ17の系統との両方に(並列に)分配する。これによって、波形信号の入力系統が切り替えられる必要がないので、短時間で変動する波形信号(定常的でない波形信号)においてナイキスト周波数を超える卓越周波数を計測することが可能である。
【0071】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0072】
例えば、計測装置は、卓越周波数に基づいて計測対象の異常を診断してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1a,1b,1c,1d…計測装置、10…切替部、11…ローパスフィルタ、12…アナログ・デジタル変換部、13…高速フーリエ変換部、14a,14b,14c,14d…計測部、15…記憶装置、16…出力部、17…ハイパスフィルタ、18…分配部、100…制限周波数データ、101…ピーク波形、102…ピーク波形、103…ピーク波形、104…ピーク波形、200…非制限周波数データ、300…計測周波数データ、400…制限周波数データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12