(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170079
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ハロシラン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/12 20060101AFI20221102BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221102BHJP
【FI】
C07F7/12 H
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075964
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】清森 歩
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
【Fターム(参考)】
4H039CA92
4H039CF10
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ12
4H049VR23
4H049VR31
4H049VS12
4H049VT17
4H049VT30
4H049VW01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高価なIr触媒の使用量を減らし、ハロゲノジオルガノシラン化合物を用いたヒドロシリル化反応によって、工業的規模において安価かつ高収率でしかも高選択的にハロシラン化合物を製造可能な方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)と式(3)で示される化合物とをIr触媒存在下でヒドロシリル化反応させる、式(4)の化合物の製造方法において、式(5)と(6)((1)は除く。)の化合物の存在下でヒドロシリル化反応する。
R
1CH=CH
2(1)
HSiR
5
2X(3)
R
1CH
2CH
2SiR
5
2X(4)
YCH
2CH=CH
2(6)
(R
1は1価炭化水素基又はシリル基-SiR
2R
3R
4;R
2~R
4は1価炭化水素基等;R
5は1価炭化水素基;Xはハロゲン原子;R
6、R
7は1価炭化水素基;R
8、R
9は1価炭化水素基等;Yはハロゲン原子。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
R
1CH=CH
2 (1)
[式中、R
1は、酸素原子もしくはケイ素原子を含んでいてもよい置換もしくは非置換の炭素数1~20の1価炭化水素基、または下記一般式(2)
-SiR
2R
3R
4 (2)
(式中、R
2~R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基、または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)で示されるシリル基を表す。]
で示されるビニル化合物と、下記一般式(3)
HSiR
5
2X (3)
(式中、R
5は、それぞれ独立して非置換の炭素数1~20の1価炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表す。)
で示されるハロゲノジオルガノシラン化合物とを、イリジウム触媒存在下でヒドロシリル化反応させる、下記一般式(4)
R
1CH
2CH
2SiR
5
2X (4)
(式中、R
1、R
5およびXは、前記と同じ意味を表す。)
で示されるハロシラン化合物の製造方法において、下記一般式(5)
【化1】
(式中、R
6およびR
7は、それぞれ独立して非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基を表すが、R
6およびR
7は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R
8およびR
9は、それぞれ独立して水素原子または非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基を表す。)
で示される内部オレフィン化合物と、下記一般式(6)
YCH
2CH=CH
2 (6)
(式中、Yは、ハロゲン原子を表す。)
で示されるハロゲン化アリル化合物(但し、一般式(1)で示されるビニル化合物は除く。)の存在下でヒドロシリル化反応するハロシラン化合物の製造方法。
【請求項2】
前記ハロゲン化アリル化合物が、塩化アリルまたは臭化アリルである請求項1記載のハロシラン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記ヒドロシリル化反応の系内に、前記ハロゲン化アリル化合物が、前記ビニル化合物1モルに対して、0.00001~1モル存在する請求項1または2記載のハロシラン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記イリジウム触媒が、下記一般式(7)
[Ir(R)Z]
2 (7)
[式中、Rは、下記一般式(8)
【化2】
(式中、R
10およびR
11は、それぞれ独立して炭素数1~5の2価炭化水素基を表すが、R
10およびR
11は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。)
で示される環状ジエン化合物であり、Zは、ハロゲン原子を表す。]
で示されるイリジウム錯体である請求項1~3のいずれか1項記載のハロシラン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記内部オレフィン化合物が、環状オレフィン化合物である請求項1~4のいずれか1項記載のハロシラン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロシラン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素含有化合物は、シラン化合物、シリコーンゴム、レジン等、多くの製品において、様々な用途に使用されている。中でもシラン化合物は、シランカップリング剤や表面処理剤として利用されており、シラン化合物の効率的な製造方法を確立することは有用である。
【0003】
シラン化合物の製造方法として、白金触媒の他にロジウム触媒やイリジウム触媒等の金属触媒を用いて、不飽和結合を有する化合物に対してヒドロシラン化合物を付加(ヒドロシリル化)させる方法が知られている。ヒドロシリル化反応は、反応の過程で生じる廃棄物が少なく、アトムエコノミーに優れるため、工業的に利用されている。
しかし、ヒドロシリル化反応では、原料の不飽和結合の異性化や、ヒドロシラン化合物の付加する位置によって副生成物が生じ、目的のシラン化合物が単独で得られない場合があるため、副生物の低減が求められている。
【0004】
原料であるヒドロシラン化合物としては、例えばクロロシラン化合物やアルコキシシラン化合物が使用されており、クロロシラン化合物として、トリクロロシラン、メチルジクロロシランを用いた例が多く報告されている。一方で、ジメチルクロロシラン等のジアルキルクロロシランを用いた例は、反応の選択性が低く、副生成物が多いため極端に少なく、白金触媒を用いた例としては特許文献1および2が、ロジウム触媒を用いた例としては特許文献3が、イリジウム触媒を用いた例としては特許文献4および5が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-029584号公報
【特許文献2】特開2000-256372号公報
【特許文献3】特開2010-006727号公報
【特許文献4】特開2001-322993号公報
【特許文献5】特開2003-096086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2のように白金触媒を用いた場合、補触媒を添加しても不飽和結合の異性化や付加異性体の生成等により、目的のシラン化合物の収率が70~80%程度に留まる。
特許文献3のようにロジウム触媒を用いた場合、ジメチルクロロシランに対してビニル化合物を滴下する必要があり、反応系内において、ジメチルクロロシランの不均化による水素の発生や、揮発性の高いジメチルクロロシランの飛散等の虞がある。そのため、工業的な製造においては、ビニル化合物に対してジメチルクロロシランを滴下する方法が望ましい。
【0007】
特許文献4および5のようにイリジウム触媒を用いた場合、白金触媒に比べて付加異性体等の副生成物の生成が抑えられ、目的のシラン化合物を選択的に合成できる。しかし、この方法もハロゲン化アリル化合物(特許文献4)またはカルボン酸アリルエステル(特許文献5)等の反応性が高い基質を用いる必要があることから基質適用範囲に課題があり、また、反応性の低い基質では、高価なイリジウム触媒を多く使用しなければならない等の問題点があるため、工業的規模で製造するには優れた方法とは言えなかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高価なイリジウム触媒の使用量を減らし、ジメチルクロロシラン等のハロゲノジオルガノシラン化合物を用いたヒドロシリル化反応によって、工業的規模において安価かつ高収率で、しかも高選択的にハロシラン化合物を製造可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ビニル化合物と、ハロゲノジオルガノシラン化合物とを、イリジウム触媒存在下でヒドロシリル化反応させるハロシラン化合物の製造方法において、内部オレフィン化合物とハロゲン化アリル化合物を添加することにより、意外にもイリジウム触媒の反応途中での失活を抑えることができ、少量のイリジウム触媒を用いて安価かつ高収率で、しかも高選択的にハロシラン化合物が製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
1. 下記一般式(1)
R
1CH=CH
2 (1)
[式中、R
1は、酸素原子もしくはケイ素原子を含んでいてもよい置換もしくは非置換の炭素数1~20の1価炭化水素基、または下記一般式(2)
-SiR
2R
3R
4 (2)
(式中、R
2~R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基、または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)で示されるシリル基を表す。]
で示されるビニル化合物と、下記一般式(3)
HSiR
5
2X (3)
(式中、R
5は、それぞれ独立して非置換の炭素数1~20の1価炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表す。)
で示されるハロゲノジオルガノシラン化合物とを、イリジウム触媒存在下でヒドロシリル化反応させる、下記一般式(4)
R
1CH
2CH
2SiR
5
2X (4)
(式中、R
1、R
5およびXは、前記と同じ意味を表す。)
で示されるハロシラン化合物の製造方法において、下記一般式(5)
【化1】
(式中、R
6およびR
7は、それぞれ独立して非置換の炭素数1~10の1価炭化水素基を表すが、R
6およびR
7は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R
8およびR
9は、それぞれ独立して水素原子または非置換の炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
で示される内部オレフィン化合物と、下記一般式(6)
YCH
2CH=CH
2 (6)
(式中、Yは、ハロゲン原子を表す。)
で示されるハロゲン化アリル化合物(但し、一般式(1)で示されるビニル化合物は除く。)の存在下でヒドロシリル化反応するハロシラン化合物の製造方法、
2. 前記ハロゲン化アリル化合物が、塩化アリルまたは臭化アリルである1のハロシラン化合物の製造方法、
3. 前記ヒドロシリル化反応の系内に、前記ハロゲン化アリル化合物が、前記ビニル化合物1モルに対して、0.00001~1モル存在する1または2のハロシラン化合物の製造方法、
4. 前記イリジウム触媒が、下記一般式(7)
[Ir(R)Z]
2 (7)
[式中、Rは、下記一般式(8)
【化2】
(式中、R
10およびR
11は、それぞれ独立して炭素数1~5の2価炭化水素基を表すが、R
10およびR
11は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。)
で示される環状ジエン化合物であり、Zは、ハロゲン原子を表す。]
で示されるイリジウム錯体である1~3のいずれかのハロシラン化合物の製造方法、
5. 前記内部オレフィン化合物が、環状オレフィン化合物である1~4のいずれかのハロシラン化合物の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少量のイリジウム触媒を用いて安価かつ高収率で、しかも高選択的にハロシラン化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いる原料のビニル化合物は、下記一般式(1)で示される。
R1CH=CH2 (1)
【0013】
上記一般式(1)において、R1は、酸素原子もしくはケイ素原子を含んでいてもよい置換もしくは非置換の炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10の1価炭化水素基、または下記一般式(2)で示されるシリル基を表す。
-SiR2R3R4 (2)
【0014】
上記一般式(2)において、R2~R4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、非置換の炭素数1~10、好ましくは炭素数1~5の1価炭化水素基、または非置換の炭素数1~10、好ましくは炭素数1~5、より好ましくは炭素数1~3のアルコキシ基を表す。
【0015】
R1の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;2-プロペニル(アリル)、2-ブテニル、3-ブテニル基等のアルケニル基;フェニル、トリル、ナフチル基等のアリール基;フェニルメチル、2-フェニルエチル、4-メトキシフェニルメチル、ナフチルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中でも、副生成物が少なく高選択的に目的のハロシラン化合物を製造できることから、直鎖状アルキル基、アラルキル基が好ましい。
また、酸素原子、ケイ素原子を含む1価炭化水素基としては、2-オキサプロピル、2-シラプロピル、2-オキサブチル、2-シラブチル、3-オキサブチル、3-シラブチル基等が挙げられる。
【0016】
なお、上記各炭化水素基の水素原子の一部または全部は、その他の置換基で置換されていてもよく、この置換基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、(イソ)プロポキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;アシル基、エステル結合を有するカルボニル基等が挙げられる。
【0017】
R2~R4の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。
その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)基等のアルケニル基;フェニル、トリル、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
【0018】
R2~R4のアルコキシ基としては、その中のアルキル基が直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ基等の直鎖状アルコキシ基;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ基等の分岐鎖状アルコキシ基;シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ基等の環状アルコキシ基等が挙げられる。
R2~R4のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(2)で表されるシリル基の具体例としては、トリクロロシリル、メチルジクロロシリル、ジメチルクロロシリル、トリブロモシリル、メチルジブロモシリル、ジメチルブロモシリル、トリヨードシリル、メチルジヨードシ、ジメチルヨードシリル、トリフルオロシリル、メチルジフルオロシリル、ジメチルフルオロシリル、エチルジクロロシリル、ジエチルクロロシリル、プロピルジクロロシリル、ジプロピルクロロシリル基等のハロシリル基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリイソプロピルシリル基等のアルキルシリル基;トリメトキシシリル、メチルジメトキシシリル、ジメチルメトキシシリル、トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、ジメチルエトキシシリル基等のアルコキシシリル基等が挙げられる。
【0020】
上記一般式(1)のビニル化合物の具体例としては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-オクタデセン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン等の直鎖状、分岐鎖状または環状不飽和炭化水素化合物;スチレン、3-フェニル-1-プロペン、4-フェニル-1-ブテン、4-アリルアニソールまたはビニルナフタレン等の芳香環を有する不飽和化合物;塩化アリル、臭化アリル、3-クロロ-1-ブテン、3-ブロモ-1-ブテン、4-クロロ-1-ブテン、4-ブロモ-1-ブテン、5-クロロ-1-ペンテン、6-クロロ-1-ヘキセン、7-クロロ-1-ヘプテンまたは8-クロロ-1-オクテン等のハロゲン化合物;酢酸アリル、酢酸1-ブテニル、プロピオン酸アリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、安息香酸アリル、アクリル酸メチル、3-ブテン酸メチル、4-ペンテン酸メチル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルアリルケトンまたはエチルアリルケトン等のカルボニル化合物;アリルメチルエーテル、3-ブテニルメチルエーテル、メチル-4-ペンテニルエーテル、アリルエチルエーテル、3-ブテニルエチルエーテルまたはエチル4-ペンテニルエーテル等のエーテル化合物;トリメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、クロロジエチルビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン等のビニルシラン化合物;トリメチルアリルシラン、クロロジメチルアリルシラン、クロロジエチルアリルシラン、ジクロロメチルアリルシラン、トリクロロアリルシラン等のシラン化合物が挙げられる。
【0021】
本発明で用いるハロゲノジオルガノシランは、下記一般式(3)で示される。
HSiR5
2X (3)
【0022】
上記一般式(3)において、R5は、それぞれ独立して非置換の炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~5の1価炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表す。
R5の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基が挙げられ、その具体例としては、R1の1価炭化水素基と同様の置換基が挙げられる。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられるが、塩素原子が好ましい。
【0023】
一般式(3)のハロゲノジオルガノシランの具体例としては、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、ジプロピルクロロシラン、ジイソプロピルクロロシラン、ジメチルブロモシラン、ジエチルブロモシラン、ジプロピルブロモシラン、ジイソプロピルブロモシラン、ジメチルヨードシラン、ジエチルヨードシラン、ジプロピルヨードシラン、ジイソプロピルヨードシラン、ジメチルフルオロシラン、ジエチルフルオロシラン、ジプロピルフルオロシランまたはジイソプロピルフルオロシラン等が例示される。特にジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、ジプロピルクロロシランまたはジイソプロピルクロロシラン等のジアルキルクロロシラン化合物が好ましく、より好ましくはジメチルクロロシランである。
【0024】
本発明において、ハロゲノジオルガノシランの使用量は特に限定されないが、ビニル化合物1モルに対して、好ましくは0.5~2.0モル、より好ましくは0.9~1.2モル、より一層好ましくは0.98~1.02モルである。
【0025】
本発明で用いるイリジウム触媒としては、イリジウム塩またはイリジウム錯体等が挙げられる。
イリジウム塩の具体例としては、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、塩化イリジウム酸、塩化イリジウム酸ナトリウム、塩化イリジウム酸カリウム等が挙げられる。
イリジウム錯体としては、下記一般式(7)で示されるイリジウム錯体が好ましい。
[Ir(R)Z]2 (7)
【0026】
上記一般式(7)において、Rは、下記一般式(8)で示される環状ジエン化合物であり、Zは、ハロゲン原子を表す。
【0027】
【0028】
式(8)において、R10およびR11は、それぞれ独立して炭素数1~5、好ましくは炭素数1~3の2価炭化水素基を表すが、R10およびR11は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
R10およびR11の2価炭化水素基の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン基等が挙げられる。
【0029】
Zのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、これらの中でもイリジウム触媒の安定性の観点から、塩素原子が好ましい。
【0030】
上記一般式(8)で示される環状ジエン化合物の具体例としては、1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、2,5-ノルボルナジエン等が挙げられる。
【0031】
上記一般式(7)で示されるイリジウム錯体の具体例としては、ジ-μ-クロロビス(μ-1,4-シクロヘキサジエン)二イリジウム、ジ-μ-クロロビス(μ-1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム、ジ-μ-クロロビス(μ-2,5-ノルボルナジエン)二イリジウム等の塩素原子含有イリジウム錯体;ジ-μ-ブロモビス(μ-1,4-シクロヘキサジエン)二イリジウム、ジ-μ-ブロモビス(μ-1,5-シクロオクタジエン)二イリジウムまたはジ-μ-ブロモビス(μ-2,5-ノルボルナジエン)二イリジウム等の臭素原子含有イリジウム錯体;ジ-μ-ヨードビス(μ-1,4-シクロヘキサジエン)二イリジウム、ジ-μ-ヨードビス(μ-1,5-シクロオクタジエン)二イリジウムまたはジ-μ-ヨードビス(μ-2,5-ノルボルナジエン)二イリジウム等のヨウ素原子含有イリジウム錯体等が挙げられる。これらの中でも、イリジウム触媒の安定性の観点から、塩素原子含有イリジウム錯体が好ましい。
【0032】
イリジウム触媒の配合比は特に限定されないが、反応促進効果の観点から、ビニル化合物1モルに対して、イリジウム触媒をイリジウム原子として、好ましくは0.000001~0.01モル、より好ましくは0.00001~0.001モルである。
【0033】
本発明のハロシラン化合物の製造方法では、下記一般式(5)で示される内部オレフィン化合物と、下記一般式(6)で示されるハロゲン化アリル化合物の存在下で、ヒドロシリル化反応を行うことに特徴がある。
ハロゲン化アリル化合物は、イリジウム触媒を用いたヒドロシリル化反応において、反応性が高い化合物であるにも関わらず、添加量が少量であっても、反応終盤まで反応系内に存在し、触媒の活性を保ち、反応の停止および副生成物の生成を防ぐ効果がある。
【0034】
【0035】
YCH2CH=CH2 (6)
【0036】
上記一般式(5)において、R6およびR7は、それぞれ独立して非置換の、炭素数1~10、好ましくは炭素数1~5、より好ましくは炭素数1~3の1価炭化水素基を表すが、R6およびR7は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
R8およびR9は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10、好ましくは炭素数1~5、より好ましくは炭素数1~3の非置換の1価炭化水素基を表す。
R6~R9の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアルケニル基が挙げられ、その具体例としては、R2~R4の1価炭化水素基と同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(6)において、Yは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはフッ素原子等のハロゲン原子を表し、これらの中でもイリジウム触媒の安定化効果の観点から、塩素原子または臭素原子が好ましい。
【0037】
一般式(5)で示される内部オレフィン化合物の具体例としては、2-ヘキセン、3-ヘキセン、2-ヘプテン、2-オクテン、4-オクテン、2-デセン、5-デセン等の直鎖状の内部オレフィン化合物;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、2-ノルボルネン等の環状の内部オレフィン化合物;1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、4-ビニル-1-シクロヘキセン、1,5-シクロオクタジエン、2,5-ノルボルナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、リモネン等の環状のジエン化合物が挙げられ、これらの中でも、反応性、触媒の安定化の点から、1,5-シクロオクタジエンが最も好ましい。
【0038】
一般式(6)で表されるハロゲン化アリル化合物の具体例としては、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、フッ化アリルが挙げられ、これらの中でも、塩化アリル、臭化アリルが好ましい。なお、本発明において、一般式(6)で表されるハロゲン化アリル化合物には、原料として用いられる一般式(1)で表されるビニル化合物とは異なるものを用いる。
【0039】
一般式(5)で示される内部オレフィン化合物の配合比は特に限定されないが、副生物の生成、収率および純度の観点から、イリジウム触媒のイリジウム原子1モルに対して、好ましくは0.5~10000モル、より好ましくは1モル~1000モルである。
一般式(6)のハロゲン化アリル化合物の反応系内における存在量は特に限定されず、ハロゲン化アリル化合物として添加する場合に限らず、系内で発生した場合も含めて、副生物の生成、収率および純度の観点から、その存在量は、一般式(1)のビニル化合物1モルに対して、好ましくは0.00001~1モル、より好ましくは0.001~0.1モルである。
【0040】
なお、ヒドロシリル化反応は無溶媒で進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用して、2種以上を混合して使用してもよい。
ヒドロシリル化の反応温度は特に限定されないが、常圧または加圧下で、好ましくは0~200℃、より好ましくは10~100℃である。
【0041】
本発明によれば、ビニル化合物の異性化等の副反応がほとんど進行せず、使用するビニル化合物の大部分がハロゲノジオルガノシランと反応するため、ハロゲノジオルガノシランの使用量が1モルに近いほど、残存するビニル化合物およびハロゲノジオルガノシランが少なくなり、精製時のコストが低減し、製造効率が向上する。
【0042】
上記反応により得られる一般式(4)で示されるハロシラン化合物の具体例としては、ブチルジメチルクロロシラン、ブチルジエチルクロロシラン、ブチルジプロピルクロロシラン、ブチルジイソプロピルクロロシラン、ブチルジメチルブロモシラン、ブチルジエチルブロモシラン、ブチルジプロピルブロモシラン、ブチルジイソプロピルブロモシラン、ブチルジメチルヨードシラン、ブチルジエチルヨードシラン、ブチルジプロピルヨードシラン、ブチルジイソプロピルヨードシラン、ブチルジメチルフルオロシラン、ブチルジエチルフルオロシラン、ブチルジプロピルフルオロシラン、ブチルジイソプロピルフルオロシラン、ヘキシルジメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、デシルジメチルクロロシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、3-メチルブチルジメチルクロロシラン、3,3-ジメチルブチルジメチルクロロシラン、2-シクロペンチルエチルジメチルクロロシラン、2-シクロヘキシルエチルジメチルクロロシラン、2-フェニルエチルジメチルクロロシラン、3-フェニルプロピルジメチルクロロシラン、4-フェニルブチルジメチルクロロシラン、3-(4-メトキシフェニル)プロピルジメチルクロロシラン、2-ナフチルエチルジメチルクロロシラン、3-クロロプロピルジメチルクロロシラン、3-ブロモプロピルジメチルクロロシラン、3-クロロブチルジメチルクロロシラン、3-ブロモブチルジメチルクロロシラン、4-クロロブチルジメチルクロロシラン、4-ブロモブチルジメチルクロロシラン、3-アセトキシプロピルジメチルクロロシラン、4-アセトキシブチルジメチルクロロシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3-オキソブチルジメチルクロロシラン、3-オキソペンチルジメチルクロロシラン、4-オキソペンチルジメチルクロロシラン、4-オキサペンチルジメチルクロロシラン、4-オキサヘキシルジメチルクロロシラン、5-オキサヘキシルジメチルクロロシラン、2-(トリメチルシリル)エチルジメチルクロロシラン、2-(トリエチルシリル)エチルジメチルクロロシラン、2-(クロロジメチルシリル)エチルジメチルクロロシラン、1,2-ビス(ジメチルクロロシリル)エタン、2-(トリクロロシリル)エチルジメチルクロロシラン、3-(トリメチルシリル)プロピルジメチルクロロシラン、3-(トリエチルシリル)プロピルジメチルクロロシラン、3-(クロロジメチルシリル)プロピルジメチルクロロシラン、1,3-ビス(ジメチルクロロシリル)プロパン、3-(トリクロロシリル)プロピルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
【実施例0043】
以下、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0044】
[実施例1]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、4-アリルアニソール22.2g(0.15mol)、ジ-μ-クロロビス(μ-1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム0.0013g(イリジウム金属として0.00000375mol)、1,5-シクロオクタジエン0.081g(0.00075mol)および塩化アリル0.11g(0.0015mol)を仕込み、内温を50~60℃に温調しながら、ジメチルクロロシラン14.2g(0.15mol)を1時間かけて滴下した。ジメチルクロロシランの滴下中、2回に分けてジ-μ-クロロビス(μ-1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム0.0039gと1,5-シクロオクタジエン0.24gを追加した。滴下終了後、そのままの温度で0.5時間熟成を行い、反応を終了した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、反応率は94.1%であった。4-アリルアニソールの異性体は5.0%生成していた。
【0045】
[比較例1]
塩化アリルを加えなかった以外は、実施例1と同様にして反応を行った。所定量の50%を滴下したあたりから発熱がみられなくなり、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、最終的な反応率は49.2%と低いものであった。また、4-アリルアニソールの異性化体は19.1%生成していた。
【0046】
[比較例2]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、4-アリルアニソール44.5g(0.3mol)、白金1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体の3質量%トルエン溶液0.098g(白金金属として0.000015mol)を仕込み、内温を50~60℃に温調しながら、ジメチルクロロシラン28.4g(0.3mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で0.5時間熟成を行い、反応を終了した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、反応率は88.0%であった。4-アリルアニソールの異性化体は12.0%生成していた。
【0047】
[実施例2]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、4-フェニル-1-ブテン19.8g(0.15mol)、ジ-μ-クロロビス(μ-1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム0.010g(イリジウム金属として0.000030mol)、1,5-シクロオクタジエン0.65g(0.0060mol)および塩化アリル0.11g(0.0015mol)を仕込み、内温を50~60℃に温調しながら、ジメチルクロロシラン14.2g(0.15mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で0.5時間熟成を行い、反応を終了した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、反応率は91.0%であった。4-フェニル-1-ブテンの異性化体は3.0%生成していた。
【0048】
[比較例3]
塩化アリルを加えなかった以外は、実施例2と同様にして反応を行った。所定量の75%を滴下したあたりから発熱がみられなくなり、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、最終的な反応率は71.4%と低いものであった。4-フェニル-1-ブテンの異性化体は9.9%生成していた。
【0049】
[比較例4]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、4-フェニル-1-ブテン19.8g(0.15mol)、白金1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体の3質量%トルエン溶液0.049g(白金金属として0.0000075mol)を仕込み、内温を50~60℃に温調しながら、ジメチルクロロシラン12.8g(0.15mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で0.5時間熟成を行い、反応を終了した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、反応率は90.6%であった。4-フェニル-1-ブテンの異性化体は9.3%生成していた。
【0050】
[実施例3]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、1-オクタデセン37.9g(0.15mol)、ジ-μ-クロロビス(μ-1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム0.010g(イリジウム金属として0.000030mol)、1,5-シクロオクタジエン0.65g(0.0060mol)および塩化アリル0.11g(0.0015mol)を仕込み、内温を50~60℃に温調しながら、ジメチルクロロシラン14.2g(0.15mol)を1時間かけて滴下した。100%滴下途中で発熱は見られなくなり、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、最終的な反応率は73.4%であった。
【0051】
[比較例5]
塩化アリルを加えなかった以外は、実施例3と同様にして反応を行った。所定量の50%を滴下したあたりから発熱がみられなくなり、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、最終的な反応率は44.4%と実施例3と比較して低収率であった。
【0052】
[実施例4]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、クロロジメチルビニルシラン120.7g(1.0mol)、ジ-μ-クロロビス(μ-1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム0.067g(イリジウム金属として0.00020mol)、1,5-シクロオクタジエン4.3g(0.040mol)、塩化アリル0.77g(0.010mol)およびテトラリン200mlを仕込み、内温を50~60℃に温調しながら、ジメチルクロロシラン95.6g(1.0mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で0.5時間熟成を行い、反応を終了した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、反応率は99.2%であった。ジメチルビニルクロロシランの異性体および付加異性体は検出されなかった。
【0053】
[実施例5]
塩化アリルを臭化アリル1.2g(0.010mol)に変更した以外は、実施例4と同様にして反応を行った。得られた反応液をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、反応率は99.5%であった。クロロジメチルビニルシランの異性体および付加異性体は検出されなかった。
【0054】
[比較例6]
塩化アリルを加えなかった以外は、実施例4と同様にして反応を行った。所定量の75%を滴下したあたりから発熱がみられなくなり、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、最終的な反応率は68.3%と実施例4と比較して低収率であった。
【0055】
[比較例7]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、クロロジメチルビニルシラン30.2g(0.25mol)、白金1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体の3質量%トルエン溶液0.033g(白金金属として0.000005mol)を仕込み、内温を50~60℃に温調しながら、ジメチルクロロシラン23.7g(0.25mol)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で0.5時間熟成を行い、反応を終了した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、反応率は95.6%であった。クロロジメチルビニルシランの異性化体は検出されないものの、付加異性体が3.1%生成していた。