(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170408
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20221102BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20221102BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
H01L21/78 M
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076510
(22)【出願日】2021-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佑奈
(72)【発明者】
【氏名】佃 壮一
(72)【発明者】
【氏名】千嶋 憲治
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F063
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004CA06
4J004CE01
4J004DB02
4J004FA08
4J040JA09
4J040JB09
4J040MA04
4J040MA10
4J040MB05
4J040NA20
4J040PA42
5F063AA18
5F063EE22
5F063EE25
5F063EE28
5F063EE42
5F063EE44
(57)【要約】
【課題】追従性及び耐熱性を有するテープを提供する。
【解決手段】基材層12の片面に粘接着層11を有するテープ10であって、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下であり、かつ、230℃×80秒の加熱後において、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下を保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層の片面に粘接着層を有するテープであって、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下であり、かつ、230℃×80秒の加熱後において、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下を保持する、テープ。
【請求項2】
前記粘接着層が硬化により粘接着力を低下させることができる、請求項1に記載のテープ。
【請求項3】
230℃×80秒の加熱後、又は前記粘接着層の硬化により粘接着力を低下させた後において、ポリベンゾオキサゾール(PBO)に対する粘接着力が0.5N/25mm以下である、請求項1又は2に記載のテープ。
【請求項4】
前記粘接着層の、前記基材層とは反対側の粘接着面に、剥離フィルムを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のテープ。
【請求項5】
半導体チップの保護テープである、請求項1~4のいずれか1項に記載のテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品の製造工程においては、特許文献1~4に記載されているように、加工される半導体を貼り付けるため、粘着剤層を有するテープが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-105292号公報
【特許文献2】特開2010-225753号公報
【特許文献3】特開2010-251722号公報
【特許文献4】国際公開第2017/154619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープに固定される半導体がチップである場合、チップに対してテープの追従性が求められる。また、テープに固定された半導体チップをインターポーザー等の基板に実装する際、リフロー工程においてテープが半田の溶融温度に耐える耐熱性が求められる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、追従性及び耐熱性を有するテープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、基材層の片面に粘接着層を有するテープであって、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下であり、かつ、230℃×80秒の加熱後において、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下を保持する、テープを提供する。
【0007】
前記テープは、前記粘接着層が硬化により粘接着力を低下させることができてもよい。
前記テープは、230℃×80秒の加熱後、又は前記粘接着層の硬化により粘接着力を低下させた後において、ポリベンゾオキサゾール(PBO)に対する粘接着力が0.5N/25mm以下であってもよい。
【0008】
前記テープは、前記粘接着層の、前記基材層とは反対側の粘接着面に、剥離フィルムを有してもよい。
前記テープは、半導体チップの保護テープであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下であり、かつ、230℃×80秒の加熱後において、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下を保持することにより、テープが半導体チップを保持する場合であっても、追従性及び耐熱性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
図1に、実施形態のテープの一例を示す。実施形態のテープ10は、基材層12の片面に粘接着層11を有するテープ10であって、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下である。さらに、テープ10は、230℃×80秒の加熱後においても、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下を保持する。
【0012】
粘接着層11は、所定の粘接着力により半導体ウエハ、半導体チップ等の被着体を固定することができる。被着体は、粘接着層11の粘接着面11aに固定される。本明細書において、粘接着層とは、粘着層、接着層、又は、粘着層及び接着層の両方の性質を兼ね備えたもののいずれかを指す。粘接着層11は、粘接着剤から形成することができる。粘接着剤とは、粘着剤、接着剤、又は、粘着剤及び接着剤の両方の性質を兼ね備えたもののいずれかを指す。粘接着力とは、剥離強度であり、例えば、粘着力又は接着力を指す。粘接着面11aは、粘接着層11が粘接着力を有する面であり、例えば、粘着面又は接着面を指す。粘接着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系接着剤、オレフィン系ヒートシール剤等が挙げられる。粘接着層11は、感圧型接着剤(粘着剤)に限定されず、硬化型接着剤、反応型接着剤、溶剤型接着剤等を用いて形成してもよい。粘接着層11に粘着剤を用いたテープ10は、粘着テープであってもよい。粘接着層11に接着剤を用いたテープ10は、接着テープであってもよい。
【0013】
粘接着層11に被着体が固定されないうちは、粘接着層11の粘接着面11aに、剥離フィルム14を有してもよい。粘接着層11と基材層12との接合力を向上するため、基材層12は、粘接着層11との間にアンカー剤層を有してもよい。テープ10が剥離フィルム14を有する場合、剥離フィルム14は、テープ10を被着体に貼り付ける前に除去される。被着体に対しては、基材層12の片面に粘接着層11を有するテープ本体13が貼合される。
【0014】
基材層12としては、特に限定されないが、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等のポリエステル樹脂;ナイロン等のポリアミド(PA)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、フッ素樹脂等の少なくとも1種の樹脂フィルムが挙げられる。
【0015】
基材層12の光学特性は特に限定されず、透明、半透明、不透明を問わず用いることができる。基材層12が着色又は印刷を有する樹脂フィルムであってもよい。基材層12の厚さは、特に限定されないが、例えば5~500μmが挙げられ、薄型の場合は、15~30μm程度であってもよい。基材層12は、単層でもよく、2層以上の積層体であってもよい。
【0016】
被着体に対する追従性等の観点から、テープ10の破断伸度が100%以上であり、テープ10の弾性率が2GPa以下であることが好ましい。テープ10が剥離フィルム14を有する場合、実施形態の破断伸度及び弾性率として、剥離フィルム14を除いた、基材層12の片面に粘接着層11を有するテープ本体13の破断伸度及び弾性率が測定される。
【0017】
破断伸度は、例えばフィルム等の試料が定速の引張りにより破断した時点の伸びを%で表した値である。具体的には、引張試験前の試料の長さをLoとし、破断時の試料の長さをLとしたとき、破断伸度は(L-Lo)/Lo×100(%)で表される。破断伸度が大きいほど、引張力に対して柔軟なフィルムである。
【0018】
弾性率は、例えばフィルム等の試料が弾性変形する場合における応力と歪みとの間の比例定数である。弾性率としては、引張弾性率、圧縮弾性率、曲げ弾性率、せん断弾性率、ねじり弾性率などが挙げられる。引張方向における弾性率は、ヤング率と呼ばれる。ヤング率の試験に用いる装置及び試料は、破断伸度の試験に用いるものと同様でよい。テープ10の弾性率は、2GPa以下であれば特に限定されないが、0.5GPa以上であってもよく、例えば、1.0GPa程度であってもよい。
【0019】
基材層12は、耐熱性の高い樹脂として、例えば加熱温度200℃~260℃での加熱処理に対する耐熱性を有することが好ましい。耐熱性樹脂の具体例としては、例えば、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、フッ素樹脂等の少なくとも1種が挙げられる。
【0020】
テープ10が加熱処理を行う用途に供される場合、上述の破断伸度及び弾性率は、加熱処理を経た後にも保持されることが好ましい。例えば、テープ10が、230℃×80秒の加熱後においても、破断伸度100%以上、弾性率2GPa以下を保持することが好ましい。
【0021】
基材層12の少なくとも一方において、耐熱性と柔軟性を兼ね備える樹脂として、例えば炭素数が3個以上の脂肪族ユニットを、芳香族ユニット間に有する、高延伸性のポリイミド樹脂を用いることが好ましい。さらに脂肪族ユニットは、炭素数が1~10程度のアルキレン基を有するポリアルキレンオキシ基を含むことが好ましい。ポリイミド樹脂層を形成するための材料として、溶剤可溶型のポリイミドワニスを用いてもよい。ポリイミド樹脂は、分子中にイミド基を有する共重合体であればよく、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂等であってもよい。
【0022】
粘接着層11は、必要に応じて、半導体ウエハ、半導体チップ等の被着体を容易に取り外すことができるように、被着体に対する粘接着力を低下させることができることが好ましい。例えば粘接着層11に光硬化性樹脂や光重合開始剤等の感光性材料を添加することにより、粘接着層11が紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けたときに硬化して、粘接着力を低下させることができる。この場合、基材層は、粘接着層11を硬化させるためのエネルギー線を透過させることが好ましい。例えば、基材層12の透過率が365nm、405nm又はこれらの間の波長において15%以上であることが好ましい。
【0023】
剥離フィルム14としては、テープ10の未使用時には粘接着層11を被覆して粘接着層11を保護し、被着体を固定する前に剥離除去できるフィルムであれば特に限定されない。剥離フィルム14は、例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等からなる剥離剤層を表面に有する樹脂フィルムであってもよく、あるいは表面に剥離剤層を有しない樹脂フィルムであってもよい。剥離フィルム14は、耐熱性、高延伸性、エネルギー線の透過性等が優れている必要はないが、粘接着層11の目視検査を容易にするため、透明性を有してもよい。
【0024】
テープ10の製造方法は特に限定されないが、基材層12上に粘接着層11を形成することにより、テープ10を製造してもよい。剥離フィルム14上に粘接着層11を形成した後、基材層12と複合させることにより、テープ10を製造してもよい。剥離フィルム14上に、粘接着層11及び基材層12を、塗布等により順に形成することにより、テープ10を製造してもよい。
【0025】
テープ10をロール状に巻回する場合には、テープ本体13及び剥離フィルム14を有する積層体をロール状にしてもよい。また、剥離フィルム14を省略して、テープ本体13の粘接着層11が、基材層12と重なり合うように巻回してもよい。剥離フィルム14を省略する場合は、基材層12が剥離フィルム14の機能を兼ねてもよく、基材層12の背面12aに剥離剤層を設けてもよい。
【0026】
テープ10を用いた半導体部品の製造方法としては、特に限定されないが、テープ10を半導体ウエハに貼り付けてもよく、テープ10を半導体チップに貼り付けてもよい。半導体ウエハの加工時にテープ10を用いる場合は、テープ10の粘接着層11に半導体ウエハを固定する固定工程、テープ10を貼り付けた半導体ウエハを切断して粘接着層11上に半導体チップを得るダイシング工程、テープ10から半導体チップを剥離するピックアップ工程を有する製造方法が挙げられる。半導体チップの保護にテープ10を用いる場合は、半導体ウエハを切断して得られた半導体チップをテープ10の粘接着層11に固定し、テープ10上で半導体チップの加工等を行ってもよい。
【0027】
半導体部品の製造に関する各工程は、主体や場所等が固定工程とは異なる状況で実施されてもよい。粘接着層11から被着体を取り外すときは、粘接着層11にエネルギー線を照射して、粘接着層11の粘接着力を低下させてもよい。半導体チップを粘接着層11上に固定したままの状態で、半導体チップをインターポーザー、リードフレーム等の他の部品と半田付けするリフロー工程を実施してもよい。テープ10がリフロー工程に適用される場合には、テープ10がリフロー工程に耐える耐熱性を有することが好ましい。リフローに用いる半田は、特に限定されないが、例えば、板状、ペースト状、クリーム状等でもよい。リフロー前の半導体チップをインターポーザー等に対して仮固定するためにテープ10を用いてもよい。テープ10を半導体チップ等に密着させるため、周囲を真空で吸引してもよい。
【0028】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0029】
被着体としては、シリコン(Si)等の半導体ウエハ及び半導体チップに限定されず、ガラス基板、金属基板、樹脂基板、これらの1種以上を含む積層体、電子機器等が挙げられる。これらの被着体においても、上述の半導体部品の製造方法と同様にして、テープを貼り付けた被着体の加工、処理等を実施する工程を行った後、テープ10から被着体を剥離する工程を行うことができる。テープの用途は、特に限定されないが、保護テープ、カバーテープ、ダイシングテープ、ダイボンディングテープ、マスキングテープ、研磨テープ、封止テープ、搬送テープ、絶縁テープ、工程テープ等が挙げられる。
【実施例0030】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0031】
(実施例1~2のテープの作製)
耐熱性を有する微粘着の粘着剤を用いて厚さ20μmの粘接着層を形成し、三井化学株式会社製の溶剤可溶型ポリイミドワニス(商品名MP17A)を用いて基材層を形成することにより、実施例1~2のテープを作製した。実施例1のテープでは、基材層の厚さを12.5μmとした。実施例2のテープでは、基材層の厚さを25μmとした。
【0032】
(比較例1のテープの作製)
実施例1~2と同じ材料を用いて厚さ20μmの粘接着層を形成し、倉敷紡績株式会社製のポリエーテルエーテルケトンフィルム(商品名EXPEEK(登録商標)、厚さ25μm)を用いて基材層を形成することにより、比較例1のテープを作製した。
【0033】
(比較例2のテープの作製)
実施例1~2と同じ材料を用いて厚さ20μmの粘接着層を形成し、東レ・デュポン株式会社のポリイミドフィルム(商品名カプトン(登録商標)50H、厚さ12.5μm)を用いて基材層を形成することにより、比較例2のテープを作製した。
【0034】
(追従性の評価)
500~600μmの間隔で、50~60μmの高さのチップが置かれたインターポーザー上にテープを真空テープマウンターにて貼合した。テープは、インターポーザー上に配置された複数のチップの周囲を被覆するように、インターポーザーの表面及び各チップの外周面に貼合される。各チップに追従するようにテープが変形した場合を(〇)、各チップに追従するようにテープが変形しなかった場合を(×)と評価した。
【0035】
(引張特性の評価)
引張特性として、ヤング率、破断強度、破断伸度の3種類を測定した。測定装置には、株式会社島津製作所製のAGS-X 500Nを使用した。試料のサイズは、幅15mm×長さ120mmとした。環境温度を室温(23℃)とし、試料の長さ方向の両端を10mm掴み、引張速度50mm/minで、繰り返し3回測定し、平均値を採用した。
ヤング率(GPa)は、チャートの初期傾きから求めた。
破断強度は、試料が破断した時の強度(MPa)を測定した。
破断伸度は、試験前の試料の長さをLo、破断時の試料の長さをLとして、試料が破断した時の引張伸び(%)を、100×(L-Lo)/Loとして算出した。
【0036】
(耐熱性)
耐熱性は、上記の引張特性と同じ形式の試料をオーブンに入れて、230℃×80秒の加熱を経た後の試料について、引張特性として、ヤング率、破断強度、破断伸度の3種類を測定した。
【0037】
(粘接着力)
粘接着力は、株式会社島津製作所製のEZ Graphを使用し、試料のサイズを幅25mm×長さ100mmとし、温度23℃(室温)、被着体はPBO処理シリコンウェハ、貼合方法は2kgローラー使用、貼合領域は幅25mm×長さ90mm、引張速度300mm/min、剥離角度180°とする条件で、繰り返し3回測定し、平均値を採用した。粘接着力として、「初期粘接着力」及び「加熱後粘接着力」の2種類を測定した。「初期粘接着力」は、加熱前に測定した粘接着力である。「加熱後粘接着力」は、230℃×80秒の加熱後に測定した粘接着力である。被着体のPBO処理シリコンウェハは、表面にPBO膜を有するシリコンウェハであり、この被着体を用いることにより、PBOに対する粘接着力が測定される。
【0038】
評価結果を表1に示す。
【0039】
【0040】
実施例1~2のテープは、リフロー工程に耐え得る耐熱性と、チップに対する追従性、粘接着力を兼ね備えていた。テープの破断伸度が高く、弾性率が低いことにより、半導体チップ等の回路部品を配置した基板等のように、被着面に凹凸を有する被着体に対しても、凹凸の周囲を含めた被着面に対して優れた追従性を実現できることが分かった。
比較例1~2のテープは、破断伸度は100%未満で、弾性率は2GPaを超えており、チップに対する追従性に劣っていた。比較例1~2のテープも、加熱前の引張特性と、230℃×80秒の加熱後の引張特性とに大差がない点では、耐熱性を有している。テープに耐熱性があるにもかかわらず、チップに対する追従性が劣っていたのは、破断伸度が低く、また、弾性率(ヤング率)が高いことで、テープの変形性が低いためと考えられる。
230℃×80秒の加熱後、又は前記粘接着層の硬化により粘接着力を低下させた後において、ポリベンゾオキサゾール(PBO)に対する粘接着力が0.5N/25mm以下である、請求項1又は2に記載のテープ。