(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170450
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】医用画像撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A61B6/03 321Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076586
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 崇史
(72)【発明者】
【氏名】福与 誠和
(72)【発明者】
【氏名】清水川 将
(72)【発明者】
【氏名】小林 丈恭
(72)【発明者】
【氏名】堀内 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】西納 直行
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA23
4C093CA37
4C093EC04
4C093EC43
(57)【要約】
【課題】支柱を太くせざるを得ない構成の支柱が二本である場合と比べて外側から被写体を視認しやすい医用画像撮影装置を提供する。
【解決手段】CT装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する放射線検出器と、放射線源および放射線検出器が取り付けられた環状のフレームであって、空洞に被写体がポジショニングされるフレームと、フレームを鉛直方向に昇降可能に保持する三本の支柱とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する放射線源と、
前記放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線源および前記放射線検出器が取り付けられた環状のフレームであって、空洞に被写体がポジショニングされるフレームと、
前記フレームを鉛直方向に昇降可能に保持する三本以上の支柱と、
を備える医用画像撮影装置。
【請求項2】
前記フレームを平面視し、かつ前記三本以上の支柱を頂点とする多角形を想定した場合に、前記多角形内に前記フレームの中心が収まっている請求項1に記載の医用画像撮影装置。
【請求項3】
前記フレームは円環状をしており、
前記支柱は、前記被写体の周りを回転可能に前記フレームを保持する請求項1または請求項2に記載の医用画像撮影装置。
【請求項4】
前記三本以上の支柱は、同一円周上において等間隔に配置されている請求項3に記載の医用画像撮影装置。
【請求項5】
前記フレームを平面視する方向から前記支柱を見た場合に、前記支柱は、前記フレームの形状に倣う円弧状をしている請求項3または請求項4に記載の医用画像撮影装置。
【請求項6】
前記三本以上の支柱のうちの少なくとも一本は、外側から前記被写体を視認するための開口を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医用画像撮影装置。
【請求項7】
前記三本以上の支柱のうちの少なくとも一本には、入力デバイスおよびディスプレイのうちの少なくともいずれか一つが取り付けられている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の医用画像撮影装置。
【請求項8】
前記入力デバイスおよび前記ディスプレイのうちの少なくともいずれか一つが取り付けられた前記支柱は、他の支柱よりも剛性が高い請求項7に記載の医用画像撮影装置。
【請求項9】
前記フレームと第一接続位置で接続され、前記支柱と第二接続位置で接続される接続部材を備え、
前記第一接続位置は前記第二接続位置よりも高い請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の医用画像撮影装置。
【請求項10】
前記放射線源および前記放射線検出器は、両方とも前記フレームの上縁および下縁のいずれか同じ側から突出している請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の医用画像撮影装置。
【請求項11】
搬送用のキャスターを備える請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の医用画像撮影装置。
【請求項12】
前記放射線源は、錐状の前記放射線を照射する請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の医用画像撮影装置。
【請求項13】
前記被写体は、立位姿勢および座位姿勢のうちのいずれかの姿勢で前記空洞にポジショニングされる請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の医用画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、医用画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載の立位姿勢の被写体を撮影するためのコンピュータ断層撮影(CT;Computed Tomography)装置のような医用画像撮影装置が提案されている。特許文献1に記載のCT装置は、撮影部と、撮影部を保持する二本の支柱とを備えている。撮影部は円環状をしており、空洞に立位姿勢の被写体がポジショニングされる。二本の支柱は被写体の前後方向に配置されている。支柱は伸縮することが可能で、これにより撮影部の高さ位置が変更可能である。
【0003】
撮影部は、放射線を照射する放射線源、放射線を検出する放射線検出器、およびフレームを含む。フレームには、放射線源および放射線検出器が取り付けられている。このフレームを回転させつつ、例えば所定角度毎に放射線源から被写体に放射線を照射させ、被写体を透過した放射線を放射線検出器で検出することで、複数枚の投影画像が得られる。そして、複数枚の投影画像を再構成することで、断層画像が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のCT装置においては、撮影部を保持する支柱が二本である。このため、撮影部の設置安定性等を考えると、支柱を太くせざるを得ない。
【0006】
特許文献1に記載のCT装置のような医用画像撮影装置においては、撮影前に被写体をポジショニングする際および撮影中に、診療放射線技師といったオペレータが、医用画像撮影装置の外側から被写体を視認可能であることが好ましい。しかしながら、特許文献1のように支柱を太くせざるを得ない構成であると、装置の外側から被写体を視認しにくい。
【0007】
本開示の技術に係る1つの実施形態は、支柱を太くせざるを得ない構成の支柱が二本である場合と比べて外側から被写体を視認しやすい医用画像撮影装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の医用画像撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する放射線検出器と、放射線源および放射線検出器が取り付けられた環状のフレームであって、空洞に被写体がポジショニングされるフレームと、フレームを鉛直方向に昇降可能に保持する三本以上の支柱と、を備える。
【0009】
フレームを平面視し、かつ三本以上の支柱を頂点とする多角形を想定した場合に、多角形内にフレームの中心が収まっていることが好ましい。
【0010】
フレームは円環状をしており、支柱は、被写体の周りを回転可能にフレームを保持することが好ましい。
【0011】
三本以上の支柱は、同一円周上において等間隔に配置されていることが好ましい。
【0012】
フレームを平面視する方向から支柱を見た場合に、支柱は、フレームの形状に倣う円弧状をしていることが好ましい。
【0013】
三本以上の支柱のうちの少なくとも一本は、外側から被写体を視認するための開口を有することが好ましい。
【0014】
三本以上の支柱のうちの少なくとも一本には、入力デバイスおよびディスプレイのうちの少なくともいずれか一つが取り付けられていることが好ましい。
【0015】
入力デバイスおよびディスプレイのうちの少なくともいずれか一つが取り付けられた支柱は、他の支柱よりも剛性が高いことが好ましい。
【0016】
フレームと第一接続位置で接続され、支柱と第二接続位置で接続される接続部材を備え、第一接続位置は第二接続位置よりも高いことが好ましい。
【0017】
放射線源および放射線検出器は、両方ともフレームの上縁および下縁のいずれか同じ側から突出していることが好ましい。
【0018】
搬送用のキャスターを備えることが好ましい。
【0019】
放射線源は、錐状の放射線を照射することが好ましい。
【0020】
被写体は、立位姿勢および座位姿勢のうちのいずれかの姿勢で空洞にポジショニングされることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本開示の技術によれば、支柱を太くせざるを得ない構成の支柱が二本である場合と比べて外側から被写体を視認しやすい医用画像撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図5】車椅子に乗った座位姿勢の被写体がポジショニングされた状態を示すCT装置の装置本体の正面図である。
【
図6】放射線源、放射線検出器、および放射線を示す斜視図である。
【
図9】制御装置のCPUの処理部を示すブロック図である。
【
図11】フレームが退避高さ位置および第一回転位置にある状態において、被写体が装置本体内に誘導される様子を示す図である。
【
図12】第一回転位置にフレームが回転された状態を示す図である。
【
図13】放射線の照射野を確認するための照射野確認指示が入力された場合の処理の概要を示す図である。
【
図14】スカウト撮影を行わせるためのスカウト撮影指示が入力された場合の処理の概要を示す図である。
【
図15】第三回転位置にフレームが回転された状態を示す図である。
【
図16】本撮影を行わせるための本撮影指示が入力された場合の処理の概要を示す図である。
【
図17】第四回転位置から第五回転位置にフレームが回転される様子を示す図である。
【
図18】退避高さ位置および第一回転位置にフレームを戻すための戻し指示が入力された場合の処理の概要を示す図である。
【
図19】第五回転位置から第一回転位置にフレームが戻される様子を示す図である。
【
図20】CT装置による断層画像の撮影手順を示すフローチャートである。
【
図21】CT装置による断層画像の撮影手順を示すフローチャートである。
【
図22】CT装置による断層画像の撮影手順を示すフローチャートである。
【
図24】放射線源および放射線検出器がフレームの上縁から突出した態様を示す図である。
【
図25】
図24で示した態様における退避高さ位置および第一回転位置を示す図である。
【
図30】カウンターウェイトを用いた昇降機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一例として
図1に示すように、CT装置10は、被写体Sの断層画像TI(
図16参照)を得るための装置であり、装置本体11と制御装置12とで構成される。装置本体11は、例えば医療施設の撮影室内に設置される。制御装置12は、例えば撮影室の隣室の制御室内に設置される。制御装置12は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、ノート型のパーソナルコンピュータ、あるいはタブレット端末である。CT装置10は、本開示の技術に係る「医用画像撮影装置」の一例である。
【0024】
一例として
図1~
図4に示すように、装置本体11は、ステージ13と、三本の支柱14A、14B、および14Cと、天板15とを備える。ステージ13は八角形状をした平板である。ステージ13の裏面の四隅には、搬送用のキャスター16が取り付けられている。
【0025】
キャスター16には回転ロック機構(図示省略)が備えられており、装置本体11を設置箇所に設置した後に、回転ロック機構を働かせてキャスター16の回転をロックすることができる。あるいは、キャスター16はステージ13から取り外し可能であり、装置本体11を設置箇所に設置した後にキャスター16を外すことができる。また、フレーム18等を上から平面視し、四個のキャスター16を頂点とする四角形RAC(
図1参照)を想定した場合に、装置本体11の重心CG(
図1参照)は四角形RAC内に収まっている。重心CGは例えばステージ13の中心である。このため、装置本体11を安定して搬送することができる。また、キャスター16を取り外さずに設置する場合は、装置本体11の設置安定性が高まる。
【0026】
支柱14A~14Cは外形が矩形板状をしており、ステージ13の表面の四隅に立設されている。支柱14Aおよび14Cは、装置本体11の正面側の左右(被写体Sの前の左右)に配されている。支柱14Bは、装置本体11の背面側の中心(被写体Sの後ろ)に配されている。天板15は、支柱14A~14Cの上端部に取り付けられている。天板15は、外形がステージ13に倣う八角形状をした平板である。天板15は、中心部が円形にくり抜かれ、かつ支柱14Aおよび14Cの間の装置本体11の正面側の部分が切り欠かれたC字状をしている。なお、以下の説明では、特に区別する必要がない場合、支柱14A~14Cをまとめて支柱14と表記する。
【0027】
支柱14Aには接続部材17Aが接続され、支柱14Bには接続部材17Bが接続され、支柱14Cには接続部材17Cが接続されている。接続部材17A~17Cには、フレーム18が接続されている。つまり、支柱14A~14Cとフレーム18とは、接続部材17A~17Cを介して相互に接続されている。なお、以下の説明では、特に区別する必要がない場合、接続部材17A~17Cをまとめて接続部材17と表記する。
【0028】
フレーム18は円環状をしている。この円環状のフレーム18の空洞19の中心C(
図4参照)の位置に、被写体Sがポジショニングされる。
図1~
図4においては、頭上に両手を上げた立位姿勢の被写体Sがポジショニングされた様子を示している。
【0029】
支柱14には、接続部材17が嵌合するガイドレール(図示省略)が設けられている。接続部材17、ひいてはフレーム18は、ガイドレールに沿って鉛直方向に昇降可能である。すなわち、支柱14は、フレーム18を鉛直方向に昇降可能に保持する。また、フレーム18は、その中心Cを中心軸として、被写体Sの周りを回転可能である。すなわち、支柱14A~14Cは、被写体Sの周りを回転可能にフレーム18を保持する。なお、支柱14が伸縮することで、フレーム18の高さ位置を変更可能としてもよい。
【0030】
フレーム18には、X線、γ線等の放射線R(
図6参照)を照射する放射線源20、および放射線Rを検出する放射線検出器21が取り付けられている。放射線源20および放射線検出器21は、フレーム18の対向する位置(180°隔てた位置)に配されている。放射線源20は箱状をしており、放射線検出器21はパット状をしている。フレーム18等を上から平面視する方向から見た場合に、放射線検出器21は、フレーム18の形状に倣う円弧状をしている。フレーム18は、放射線源20および放射線検出器21の高さ方向の幅(ここでは放射線源20と比べて大きい放射線検出器21の高さ方向の幅)W2よりも小さい幅W1を全周にわたって有する(
図2参照)。また、放射線源20および放射線検出器21は、両方ともフレーム18の下縁から突出している。
【0031】
支柱14Aにはねじ軸22Aが設けられ、支柱14Bにはねじ軸22Bが設けられ、支柱14Cにはねじ軸22Cが設けられている。ねじ軸22A~22Cは、ステージ13から天板15までに達する高さを有する。ねじ軸22A~22Cが回転することにより、接続部材17A~17C、ひいてはフレーム18が鉛直方向に昇降する。なお、以下の説明では、特に区別する必要がない場合、ねじ軸22A~22Cをまとめてねじ軸22と表記する。
【0032】
支柱14Aは開口23Aを有し、支柱14Bは開口23Bを有し、支柱14Cは開口23Cを有する。開口23A~23Cは、支柱14A~14Cの大部分を矩形状にくり抜くことで形成されている。開口23A~23Cを通じて、装置本体11の外側から被写体Sを視認することが可能である。開口23A~23Cがあることで、支柱14A~14Cは部分的には二本のようにみえるが、開口23A~23Cの上下で繋がっているので、本数としては一本である。なお、以下の説明では、特に区別する必要がない場合、開口23A~23Cをまとめて開口23と表記する。
【0033】
支柱14Aには、可動アーム24を介してタッチパネルディスプレイ25が取り付けられている。タッチパネルディスプレイ25は、診療放射線技師といったCT装置10のオペレータにより操作される。また、タッチパネルディスプレイ25は、オペレータに各種情報を表示する。タッチパネルディスプレイ25は、本開示の技術に係る「入力デバイスおよびディスプレイのうちの少なくともいずれか一つ」の一例である。また、支柱14Aは、本開示の技術に係る「入力デバイスおよびディスプレイのうちの少なくともいずれか一つが取り付けられた支柱」の一例である。
【0034】
支柱14Aの可動アーム24の取り付け部26(
図4参照)は他の部分よりも太くなっており、剛性が高められている。取り付け部26は支柱14Aのみに設けられており、支柱14Bおよび14Cには設けられていない。このため、支柱14Aは、支柱14Bおよび14Cよりも剛性が高い。
【0035】
フレーム18等を上から平面視した
図4において、装置本体11の正面に放射線源20がある位置を0°の位置とした場合に、支柱14Aは、フレーム18の中心Cを中心とする円CC上における60°の位置に配置され、支柱14Bは円CC上における180°の位置に配置され、支柱14Cは円CC上における300°の位置に配置されている。つまり、支柱14A~14Cは、円CC上において120°間隔(同一円周上において等間隔)に配置されている。また、支柱14A~14Cを頂点とする三角形TA(円CCに内接する正三角形)を想定した場合に、フレーム18の中心Cは三角形TA内に収まっている。なお、「0°」、「60°」等の角度は、完全な「0°」、「60°」等の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの「0°」、「60°」等を指す。また、「等間隔」とは、完全な等間隔の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの等間隔を指す。
【0036】
図1~
図4においては、頭上に両手を上げた立位姿勢の被写体Sが空洞19にポジショニングされた例を示したが、これに限らない。一例として
図5に示すように、CT装置10は、車椅子30に乗った座位姿勢の被写体Sを空洞19にポジショニングして撮影することも可能である。なお、立位姿勢の被写体S、および車椅子30に乗った座位姿勢の被写体Sのいずれとも、0°の位置に正面が向くようにポジショニングされる。
【0037】
一例として
図6に示すように、放射線源20は放射線管35および照射野ランプ36を内蔵している。放射線管35は放射線Rを発する。照射野ランプ36は、放射線Rの照射野を示す例えば橙色の可視光を発する。
【0038】
また、放射線源20は照射野限定器37を有する。照射野限定器37はコリメータとも呼ばれ、放射線検出器21への放射線Rの照射野を規定する。照射野限定器37には、放射線管35からの放射線Rが入射する入射開口と、放射線Rが出射する出射開口とが形成されている。出射開口の近傍には、例えば四枚の遮蔽板が設けられている。遮蔽板は、放射線Rを遮蔽する材料、例えば鉛等で形成されている。遮蔽板は、四角形の各辺上に配置、換言すれば井桁状(checkered pattern)に組まれており、放射線Rを透過させる四角形の照射開口を形成する。照射野限定器37は、各遮蔽板の位置を変更することで照射開口の大きさを変化させ、これにより放射線検出器21への放射線Rの照射野を変更する。この照射野限定器37の働きによって、四角錐状の放射線Rが放射線源20から照射される。放射線Rの放射角度θは、例えば45°である。
【0039】
放射線検出器21は、例えば、放射線Rを可視光に変換するシンチレータ、放射線Rから変換された可視光に応じた電荷を蓄積する画素が二次元状に配列されたTFT(Thin Film Transistor)基板、電荷に応じた電圧信号を投影画像として出力する信号処理回路等を有する。なお、放射線検出器21は、放射線Rから変換された可視光ではなく、放射線Rを直接検出するタイプであってもよい。
【0040】
一例として
図7に示すように、接続部材17、ひいてはフレーム18を鉛直方向に昇降させる昇降機構40は、前述のねじ軸22、ねじ軸22に螺合するボール入りのナット41、およびねじ軸22を回転させる昇降用モータ42等で構成されるボールねじ機構である。昇降用モータ42は、ステージ13の裏面に取り付けられている。フレーム18の高さ位置は、昇降用モータ42の回転向きおよび回転数から割り出される。
【0041】
接続部材17は、フレーム18に接続する第一接続部43と、支柱14に接続する第二接続部44とを有する。第一接続部43はフレーム18側に、第二接続部44は支柱14側にそれぞれ突出しており、接続部材17は全体としてZ字状をしている。第一接続部43にはベアリング45が内蔵されている。ベアリング45は、フレーム18の全周にわたって形成されたガイド溝46(
図1等も参照)に嵌め込まれている。ベアリング45は、フレーム18の回転に伴って転動する。第二接続部44にはナット41が内蔵されている。
【0042】
第一接続部43のフレーム18との第一接続位置CP1は、第二接続部44の支柱14との第二接続位置CP2よりも高さHだけ高い。ここでは、ベアリング45の中心がフレーム18のガイド溝46と接する点を、第一接続位置CP1としている。また、ナット41の中心がねじ軸22と接する点を、第二接続位置CP2としている。
【0043】
一例として
図8に示すように、フレーム18を被写体S周りに回転させる回転機構50は、フレーム18の全周に掛け回された回転ベルト51、回転用モータ52、およびポテンショメータ53等で構成される。回転用モータ52は接続部材17Cに内蔵されており、フレーム18から引き出された回転ベルト51の一部にプーリ54を介して接続されている。この回転用モータ52の駆動により、フレーム18は時計回り(右回り)方向CWおよび反時計回り(左回り)方向CCWに回転する。ポテンショメータ53は接続部材17Bに内蔵されており、フレーム18から引き出された回転ベルと51の一部にプーリ55を介して接続されている。ポテンショメータ53は、フレーム18の回転位置によって抵抗値が変化する可変抵抗を有し、フレーム18の回転位置に応じた電圧信号を出力する。このポテンショメータ53からの電圧信号により、フレーム18の回転位置が割り出される。
【0044】
一例として
図9に示すように、制御装置12を構成するコンピュータは、ストレージ60、メモリ61、CPU(Central Processing Unit)62、ディスプレイ63、および入力デバイス64等を備えている。
【0045】
ストレージ60は、制御装置12を構成するコンピュータに内蔵、またはケーブル、ネットワークを通じて接続されたハードディスクドライブである。もしくはストレージ60は、ハードディスクドライブを複数台連装したディスクアレイである。ストレージ60には、オペレーティングシステム等の制御プログラム、各種アプリケーションプログラム、およびこれらのプログラムに付随する各種データ等が記憶されている。なお、ハードディスクドライブに代えてソリッドステートドライブを用いてもよい。
【0046】
メモリ61は、CPU62が処理を実行するためのワークメモリである。CPU62は、ストレージ60に記憶されたプログラムをメモリ61へロードして、プログラムにしたがった処理を実行する。これにより、CPU62はコンピュータの各部を統括的に制御する。なお、メモリ61はCPU62に内蔵されていてもよい。
【0047】
ディスプレイ63は各種画面を表示する。各種画面にはGUI(Graphical User Interface)による操作機能が備えられる。制御装置12を構成するコンピュータは、各種画面を通じて、入力デバイス64からの操作指示の入力を受け付ける。入力デバイス64は、キーボード、マウス、タッチパネル、音声入力用のマイク等である。
【0048】
ストレージ60には作動プログラム70が記憶されている。作動プログラム70は、コンピュータを制御装置12として機能させるためのアプリケーションプログラムである。ストレージ60には、作動プログラム70の他に、照射条件テーブル71およびオーダー別照射条件情報72等が記憶されている。
【0049】
作動プログラム70が起動されると、制御装置12のCPU62は、メモリ61等と協働して、受付部75、リードライト(以下、RW(Read Write)と略す)制御部76、撮影制御部77、画像処理部78、および表示制御部79として機能する。
【0050】
受付部75は、装置本体11のタッチパネルディスプレイ25、および入力デバイス64を介してオペレータにより入力される様々な操作指示を受け付ける。例えば受付部75は撮影メニュー85を受け付ける。受付部75は、撮影メニュー85をRW制御部76に出力する。
【0051】
RW制御部76は、受付部75から撮影メニュー85を受け取る。RW制御部76は、受け取った撮影メニュー85に対応する放射線Rの照射条件86を、照射条件テーブル71から読み出す。RW制御部76は、照射条件テーブル71から読み出した照射条件86を、オーダー別照射条件情報72に書き込む。
【0052】
撮影制御部77は、放射線源20(放射線管35、照射野ランプ36、および照射野限定器37)、昇降機構40(昇降用モータ42)、回転機構50(回転用モータ52およびポテンショメータ53)、並びに放射線検出器21の動作を制御する。撮影制御部77は、オーダー別照射条件情報72から照射条件86を読み出す。撮影制御部77は、照射条件86にしたがって照射野限定器37を駆動させ、照射野を調整する。また、撮影制御部77は、照射条件86にしたがって放射線管35を駆動させ、放射線管35から放射線Rを発させる。撮影制御部77は、放射線Rの照射により放射線検出器21で検出された投影画像を、放射線検出器21から画像処理部78に出力させる。
【0053】
画像処理部78は、放射線検出器21から投影画像を受け取る。画像処理部78は、投影画像に対して各種画像処理を施す。また、画像処理部78は、複数枚の画像処理後の投影画像に対して再構成処理を施し、断層画像TIを生成する。画像処理部78は、画像処理後の投影画像または断層画像TIを表示制御部79に出力する。
【0054】
表示制御部79は、タッチパネルディスプレイ25およびディスプレイ63への各種情報の表示を制御する。表示制御部79は、画像処理部78から投影画像または断層画像TIを受け取る。表示制御部79は、投影画像または断層画像TIをタッチパネルディスプレイ25およびディスプレイ63に表示する。
【0055】
撮影メニュー85は、例えば、撮影オーダーID(Identification Data)および撮影手技(
図10参照)を含む。撮影オーダーIDは、断層画像を用いて診察を行う医師が発行した撮影オーダーの識別情報である。撮影手技は、立位または座位の被写体Sの姿勢と、頭部、頸部、脊椎等の撮影部位と、成人男性、成人女性等の被写体Sの属性とで構成される。
【0056】
撮影オーダーは、図示省略した放射線情報システム(RIS;Radiology Information System)から制御装置12に送信される。制御装置12は、表示制御部79の制御の下、撮影オーダーのリストをディスプレイ63に表示する。オペレータは、撮影オーダーのリストを閲覧して内容を確認する。続いて制御装置12は、撮影オーダーに対応する撮影メニューを設定可能な形態でディスプレイ63に表示する。オペレータは、入力デバイス64を操作することで、撮影オーダーに応じた撮影メニューを選択して入力する。
【0057】
一例として
図10に示すように、照射条件テーブル71には、撮影手技毎に照射条件86が登録されている。照射条件86には、放射線管35に印加する管電圧および管電流と、放射線Rの照射時間とが含まれる。また、図示は省略したが、照射条件86には、照射野のサイズも含まれる。照射条件86は、オペレータの手で微調整することが可能である。なお、管電流と照射時間の代わりに、管電流照射時間積、いわゆるmAs値を照射条件86としてもよい。
【0058】
照射条件テーブル71には、スカウト撮影位置および第四回転位置も撮影手技毎に登録されている。スカウト撮影位置は、スカウト撮影におけるフレーム18の基準高さ位置および第二、第三回転位置の組である。基準高さ位置は、ステージ13の表面を0cmとした場合のフレーム18の高さを示す。第二回転位置は、放射線源20が被写体Sと正対する位置、すなわち0°の位置である。第三回転位置は、放射線源20が被写体Sの右側面と対面する位置、すなわち90°の位置である。なお、放射線源20が被写体Sの左側面と対面する270°の位置を、第三回転位置としてもよい。
【0059】
ここで、スカウト撮影とは、所定角度毎の複数枚の投影画像を撮影して断層画像TIを生成する本撮影に先立って、被写体Sのポジショニングを確認するために行う下準備的な放射線撮影である。スカウト撮影においては、フレーム18を基準高さ位置、および第二回転位置または第三回転位置としたうえで、本撮影よりも低い線量の放射線Rを照射して一枚の投影画像を得る。以下、スカウト撮影により得られた投影画像を、スカウト画像SI(
図14参照)と表記する。
【0060】
撮影手技には、第二回転位置のみが登録されたものと、第二回転位置および第三回転位置の両方が登録されたものとがある。例えば「立位 頭部 成人男性」の撮影手技には、第二回転位置のみが登録されている。一方、例えば「座位 脊椎 成人男性」の撮影手技には、第二回転位置および第三回転位置の両方が登録されている。
【0061】
第四回転位置は、本撮影におけるフレーム18の回転開始位置である。例えば「立位 頭部 成人男性」の撮影手技には、第四回転位置として0°の位置が登録されている。また、例えば「座位 脊椎 成人男性」の撮影手技には、第四回転位置として90°の位置が登録されている。
【0062】
図示は省略するが、オーダー別照射条件情報72には、撮影オーダーID毎に、照射条件86、スカウト撮影位置、および第四回転位置が登録されている。撮影制御部77は、次の撮影の撮影オーダーIDに対応する照射条件86、スカウト撮影位置、および第四回転位置をオーダー別照射条件情報72から読み出し、読み出した照射条件86、スカウト撮影位置、および第四回転位置にしたがって各部の動作を制御する。
【0063】
一例として
図11に示すように、装置本体11内に被写体Sを誘導する際には、フレーム18は、撮影制御部77の制御の下、昇降機構40により退避高さ位置に移動され、かつ、回転機構50により第一回転位置に回転されている。退避高さ位置は、支柱14の上端側に設定されている。より詳しくは、退避高さ位置は、フレーム18の昇降範囲の最高点の位置である。本例においては、フレーム18の昇降範囲の最高点の位置は、支柱14の略上端の位置であって、接続部材17の第二接続部44が天板15の裏面に当接する位置である。因みに、フレーム18の昇降範囲の最下点の位置は、支柱14の略下端の位置であって、第二接続部44がステージ13の表面に当接する位置である。第一回転位置は、一例として
図11の状態を上から見た
図12にも示すように、放射線源20の全体が支柱14Aと重なる60°の位置である。オペレータは、こうした状態の装置本体11内に、支柱14Aおよび14Cの間を入口として被写体Sを誘導し、被写体Sをポジショニングする。なお、
図11および
図12に示す矢印は、装置本体11内に被写体Sが誘導される方向を示す。
【0064】
一例として
図13に示すように、オペレータは、装置本体11内への被写体Sのポジショニング後、装置本体11の設置箇所に留まり、タッチパネルディスプレイ25を操作して、放射線Rの照射野を確認するための照射野確認指示90を入力する。受付部75は照射野確認指示90を受け付けて、その旨を撮影制御部77に出力する。撮影制御部77は、照射野確認指示90に応じた照射野確認指令91を、放射線源20、昇降機構40、および回転機構50に出力する。
【0065】
照射野確認指令91は、基準高さ位置にフレーム18を移動させ、かつ0°の位置にフレーム18を回転させる、という内容である。また、照射野確認指令91は、基準高さ位置、および0°の位置にて照射野ランプ36を点灯させる、という内容である。昇降機構40は、昇降用モータ42を駆動してねじ軸22を回転させることで、基準高さ位置にフレーム18を移動させる。回転機構50は、回転用モータ52を駆動して回転ベルト51を回転させることで、0°の位置にフレーム18を回転させる。また、放射線源20は、照射野限定器37を駆動させて照射条件86に応じた照射野に調整した後、照射野ランプ36を点灯させて照射野に可視光を照射する。
【0066】
オペレータは、照射野ランプ36からの可視光を視認して、フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切か否かを判断する。フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切でないと判断した場合、オペレータは、タッチパネルディスプレイ25を操作してフレーム18の高さ位置を調整したり、被写体Sのポジショニングをし直したりする。フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切であると判断した場合、オペレータは、タッチパネルディスプレイ25を操作して照射野ランプ36の消灯指示を入力する。受付部75は、消灯指示を受け付けて、その旨を撮影制御部77に出力する。撮影制御部77は、消灯指示に応じて照射野ランプ36を消灯する。
【0067】
一例として
図14に示すように、オペレータは、放射線Rの照射野の確認後、制御装置12の設置箇所に移動し、入力デバイス64を操作して、スカウト撮影を行わせるためのスカウト撮影指示95を入力する。受付部75はスカウト撮影指示95を受け付けて、その旨を撮影制御部77に出力する。撮影制御部77は、スカウト撮影指示95に応じたスカウト撮影指令96を、放射線源20、放射線検出器21、および回転機構50に出力する。
【0068】
スカウト撮影指令96は、高さ位置は放射線Rの照射野の確認時のままで、第二回転位置および/または第三回転位置にフレーム18を回転させる、という内容である。また、スカウト撮影指令96は、第二回転位置および/または第三回転位置にてスカウト撮影を行う、という内容である。回転機構50は、回転用モータ52を駆動して回転ベルト51を回転させることで、第二回転位置および/または第三回転位置にフレーム18を回転させる。
図15は、第三回転位置である90°の位置にフレーム18が回転された状態を示している。
【0069】
放射線源20は、放射線管35を駆動させてスカウト撮影用の放射線Rを被写体Sに照射させる。放射線検出器21は、被写体Sを透過した放射線Rを検出して投影画像を得る。放射線検出器21は、投影画像を画像処理部78に出力する。
【0070】
画像処理部78は、放射線検出器21からの投影画像に各種画像処理を施してスカウト画像SIとする。画像処理部78は、スカウト画像SIを表示制御部79に出力する。表示制御部79は、スカウト画像SIをタッチパネルディスプレイ25およびディスプレイ63に表示する。
【0071】
オペレータは、ディスプレイ63にてスカウト画像SIを閲覧し、いま一度、フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切か否かを判断する。スカウト画像SIによりフレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切でないと判断した場合、オペレータは、装置本体11の設置箇所に立ち戻り、再度照射野ランプ36を点灯させて、フレーム18の高さ位置を調整したり、被写体Sのポジショニングをし直したりする。
【0072】
一例として
図16に示すように、スカウト画像SIによりフレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切であると判断した場合、オペレータは、入力デバイス64を操作して、本撮影を行わせるための本撮影指示100を入力する。受付部75は本撮影指示100を受け付けて、その旨を撮影制御部77に出力する。撮影制御部77は、本撮影指示100に応じた本撮影指令101を、放射線源20、放射線検出器21、および回転機構50に出力する。
【0073】
本撮影指令101は、高さ位置はスカウト撮影終了時のままで、第四回転位置にフレーム18を回転させた後、予め設定された第一設定回転速度で反時計回り方向CCWに第五回転位置までフレーム18を回転させる、という内容である。また、本撮影指令101は、第四回転位置から第五回転位置にフレーム18が回転される間に本撮影を行う、という内容である。回転機構50は、回転用モータ52を駆動して回転ベルト51を回転させることで、まずは第四回転位置にフレーム18を回転させる。その後、回転機構50は、第一設定回転速度で反時計回り方向CCWに第五回転位置までフレーム18を回転させる。第五回転位置は、本例においては第四回転位置から反時計回り方向CCWに225°回転した位置である。
【0074】
図17は、第四回転位置が0°の位置であった場合を例示している。この場合、第五回転位置は、0°の位置から反時計回り方向CCWに225°回転した135°の位置である。なお、図示は省略するが、第四回転位置が90°であった場合の第五回転位置は225°の位置であり、第四回転位置が180°であった場合の第五回転位置は315°の位置である。
【0075】
放射線源20は、所定角度毎に放射線管35を駆動させて、照射条件86にしたがった本撮影用の放射線Rを所定角度毎に被写体Sに照射させる。放射線検出器21は、被写体Sを透過した放射線Rを所定角度毎に検出して複数枚の投影画像を得る。放射線検出器21は、複数枚の投影画像を順次画像処理部78に出力する。
【0076】
画像処理部78は、放射線検出器21からの複数枚の投影画像に再構成処理を施して断層画像TIとする。画像処理部78は、断層画像TIを表示制御部79に出力する。表示制御部79は、断層画像TIをタッチパネルディスプレイ25およびディスプレイ63に表示する。
【0077】
オペレータは、ディスプレイ63にて断層画像TIを閲覧し、断層画像TIの再撮影が必要か否かを判断する。断層画像TIの再撮影が必要と判断した場合、オペレータは、入力デバイス64を操作して本撮影指示100を再入力する。
【0078】
一例として
図18に示すように、断層画像TIの再撮影が不要と判断した場合、オペレータは、入力デバイス64を操作して、退避高さ位置および第一回転位置にフレーム18を戻すための戻し指示105を入力する。受付部75は戻し指示105を受け付けて、その旨を撮影制御部77に出力する。撮影制御部77は、戻し指示105に応じた戻し指令106を、昇降機構40および回転機構50に出力する。
【0079】
戻し指令106は、退避高さ位置にフレーム18を戻し、かつ、第五回転位置から第一回転位置に、第一設定回転速度の倍速の第二設定回転速度で時計回り方向CWにフレーム18を戻す、という内容である。昇降機構40は、昇降用モータ42を駆動してねじ軸22を回転させることで、退避高さ位置にフレーム18を戻させる。回転機構50は、回転用モータ52を駆動して回転ベルト51を回転させることで、第五回転位置から、第二設定回転速度で時計回り方向CWに第一回転位置までフレーム18を戻させる。
【0080】
図19は、第五回転位置が135°の位置であった場合を例示している。この場合、回転機構50は、第五回転位置である135°の位置から、第二設定回転速度で時計回り方向CWに、第一回転位置である60°の位置までフレーム18を戻させる。退避高さ位置にフレーム18が戻され、かつ第一回転位置にフレーム18が戻された後、オペレータは被写体Sを装置本体11内から退避させる。
【0081】
次に、上記構成による作用について、一例として
図20~
図22に示すフローチャートを参照して説明する。作動プログラム70が起動されると、制御装置12のCPU62は、
図9で示したように、受付部75、RW制御部76、撮影制御部77、画像処理部78、および表示制御部79として機能される。
【0082】
まず、
図11および
図12で示したように、退避高さ位置にフレーム18が移動され、かつ第一回転位置にフレーム18が回転された状態において、オペレータにより装置本体11内に被写体Sが誘導される(ステップST100)。そして、オペレータにより被写体Sがポジショニングされる(ステップST110)。
【0083】
図13で示したように、被写体Sのポジショニング後、タッチパネルディスプレイ25を介して、オペレータにより照射野確認指示90が入力される。照射野確認指示90は受付部75で受け付けられる(ステップST120でYES)。これにより撮影制御部77から放射線源20等に照射野確認指令91が出力される(ステップST130)。
【0084】
照射野確認指令91により、昇降機構40が動作されて基準高さ位置にフレーム18が移動される。また、回転機構50が動作されて0°の位置にフレーム18が回転される(ステップST140)。さらに、照射野限定器37が駆動されて照射条件86に応じた照射野に調整された後、照射野ランプ36が点灯され、照射野に可視光が照射される(ステップST150)。
【0085】
照射野ランプ36からの可視光を参考に、オペレータによってフレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切か否かが判断される。フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切でなかった場合は、オペレータによってフレーム18の高さ位置が調整されたり、被写体Sのポジショニングがし直されたりする。フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切であった場合、タッチパネルディスプレイ25を介してオペレータにより照射野ランプ36の消灯指示が入力される。消灯指示は受付部75で受け付けられる(ステップST160でYES)。そして、撮影制御部77によって照射野ランプ36が消灯される(ステップST170)。
【0086】
図14で示したように、放射線Rの照射野の確認後、入力デバイス64を介してオペレータによりスカウト撮影指示95が入力される。スカウト撮影指示95は受付部75で受け付けられる(ステップST180でYES)。これにより撮影制御部77から放射線源20等にスカウト撮影指令96が出力される(ステップST190)。
【0087】
図15で示したように、スカウト撮影指令96により、回転機構50が動作されて、第二回転位置および/または第三回転位置にフレーム18が回転される(ステップST200)。さらに、放射線管35から被写体Sにスカウト撮影用の放射線Rが照射され、被写体Sを透過した放射線Rが放射線検出器21にて検出されて投影画像が得られる(ステップST210)。
【0088】
放射線検出器21で得られた投影画像は、画像処理部78で各種画像処理が施されてスカウト画像SIとされる。スカウト画像SIは、表示制御部79の制御の下、タッチパネルディスプレイ25およびディスプレイ63に表示される(ステップST220)。
【0089】
スカウト画像SIを参考に、オペレータによっていま一度フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切か否かが判断される。フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切でなかった場合は、オペレータによって再度照射野ランプ36が点灯され、フレーム18の高さ位置が調整されたり、被写体Sのポジショニングがし直されたりする。
【0090】
フレーム18の高さ位置および被写体Sのポジショニングが撮影に適切であった場合、
図16で示したように、入力デバイス64を介してオペレータにより本撮影指示100が入力される。本撮影指示100は受付部75で受け付けられる(ステップST230でYES)。これにより撮影制御部77から放射線源20等に本撮影指令101が出力される(ステップST240)。
【0091】
図17で示したように、本撮影指令101により、回転機構50が動作されて、まず第四回転位置にフレーム18が回転される(ステップST250)。その後、第一設定回転速度で反時計回り方向CCWに第五回転位置までフレーム18が回転される。その間に、所定角度毎に放射線管35から被写体Sに本撮影用の放射線Rが照射され、その都度被写体Sを透過した放射線Rが放射線検出器21にて検出されて複数枚の投影画像が得られる(ステップST260)。
【0092】
放射線検出器21で得られた複数枚の投影画像は、画像処理部78で再構成処理が施されて断層画像TIとされる。断層画像TIは、表示制御部79の制御の下、タッチパネルディスプレイ25およびディスプレイ63に表示される(ステップST270)。
【0093】
オペレータによって断層画像TIの再撮影が必要か否かが判断される。オペレータによって断層画像TIの再撮影が必要と判断された場合(ステップST280でYES)、入力デバイス64を介してオペレータにより本撮影指示100が再入力され、ステップST240の処理に戻る。
【0094】
オペレータによって断層画像TIの再撮影が不要と判断された場合(ステップST280でNO)、
図18で示したように、入力デバイス64を介してオペレータにより戻し指示105が入力される。戻し指示105は受付部75で受け付けられる(ステップST290でYES)。これにより撮影制御部77から昇降機構40等に戻し指令106が出力される(ステップST300)。
【0095】
戻し指令106により、昇降機構40が動作されて退避高さ位置にフレーム18が戻される。また、
図19で示したように、回転機構50が動作されて、第五回転位置から、第一設定回転速度の倍速の第二設定回転速度で時計回り方向CWに第一回転位置までフレーム18が戻される(ステップST310)。退避高さ位置にフレーム18が戻され、かつ第一回転位置にフレーム18が戻された後、オペレータによって被写体Sが装置本体11内から退避させられる(ステップST320)。これら一連のステップST100~ステップST320は、次の撮影オーダーがある場合(ステップST330でYES)は繰り返し行われる。
【0096】
以上説明したように、CT装置10は、放射線Rを照射する放射線源20と、放射線Rを検出する放射線検出器21と、放射線源20および放射線検出器21が取り付けられた環状のフレーム18であって、空洞19に被写体Sがポジショニングされるフレーム18と、フレーム18を鉛直方向に昇降可能に保持する三本の支柱14A~14Cとを備える。このため、支柱が二本である場合と比べて一本一本の支柱14を細くすることができる。したがって、支柱を太くせざるを得ない構成の支柱が二本である場合と比べて外側から被写体Sを視認しやすいCT装置10を提供することができる。オペレータは、被写体Sのポジショニングを容易に行うことができ、撮影中の被写体Sの安全確認も容易に行うことができる。また、支柱が二本である場合と比べて、装置本体11の床占有面積を小さくすることができる。
【0097】
図4で示したように、フレーム18を平面視し、かつ三本の支柱14A~14Cを頂点とする三角形TAを想定した場合に、三角形TA内にフレーム18の中心Cが収まっている。
【0098】
逆に三角形TA内にフレーム18の中心Cが収まっていない場合とは、例えば支柱14Aおよび14Cが中心Cよりも背面側に配置され、中心Cよりも正面側に支柱が一本も配置されていない、いわゆる片持ちの場合である。こうした片持ちの場合は重量バランスが大きく崩れるため、フレーム18の設置安定性が低下する。そこで本実施形態では、三本の支柱14A~14Cを頂点とする三角形TA内にフレーム18の中心Cが収まるよう、三本の支柱14A~14Cを配置している。このためフレーム18の設置安定性の低下を抑えることができる。
【0099】
フレーム18は円環状をしており、支柱14A~14Cは、被写体Sの周りを回転可能にフレーム18を保持する。支柱が二本である場合と比べて、三本の支柱14A~14Cで回転するフレーム18を保持することで、外側から被写体Sを視認しやすくしつつ、フレーム18の回転安定性を維持することが可能となる。
【0100】
また、上記の片持ちの場合は、フレーム18の回転安定性も低下する。そして、このフレーム18の回転安定性の低下に伴って、本撮影の各角度における放射線源20および放射線検出器21の位置関係も不安定化する。これにより各角度で得られた投影画像にブレが生じ、結果として断層画像TIの画質が劣化する。しかし、本実施形態では、前述のように、三本の支柱14A~14Cを頂点とする三角形TA内にフレーム18の中心Cが収まるよう、三本の支柱14A~14Cを配置しているので、フレーム18の回転安定性が低下して断層画像TIの画質が劣化する懸念を払うことができる。
【0101】
図4で示したように、三本の支柱14A~14Cは、同一円周上において等間隔に配置されている。フレーム18の重量が最もバランスよく三本の支柱14A~14Cに掛かるため、フレーム18の設置安定性をさらに高めることができる。
【0102】
図1等で示したように、支柱14は、外側から被写体Sを視認するための開口23を有する。このため、外側から被写体Sをさらに視認しやすいCT装置10を提供することができる。
【0103】
なお、三本の支柱14A~14Cの全てが開口23A~23Cを有する例を挙げたが、これに限らない。三本の支柱14A~14Cのうち、例えば制御装置12の設置箇所の側に配置された一本の支柱14のみが開口23を有していてもよい。また、開口は、例示の支柱14の長手方向に延びる矩形状の開口23に限らない。円形状の複数の開口、あるいは網目状の開口でもよい。
【0104】
図1等で示したように、支柱14Aには、可動アーム24を介してタッチパネルディスプレイ25が取り付けられている。このため、装置本体11の設置箇所にて、オペレータが照射野確認指示90といった各種指示を入力したり、場合によってはスカウト画像SIおよび断層画像TIを閲覧したりすることができ、CT装置10の使い勝手をよくすることができる。
【0105】
なお、入力デバイスおよびディスプレイを複合したタッチパネルディスプレイ25に限らず、入力デバイスおよびディスプレイのうちの少なくともいずれか一つが支柱14に取り付けられていればよい。また、入力デバイスおよびディスプレイのうちの少なくともいずれか一つが取り付けられる支柱14は二本以上でもよい。
【0106】
図4で示したように、支柱14Aは、可動アーム24の取り付け部26が設けられていることによって、支柱14Bおよび14Cよりも剛性が高い。このため、タッチパネルディスプレイ25の重量によって支柱14Aが変形することを防止することができ、タッチパネルディスプレイ25を安定して保持することができる。なお、支柱14Aを、支柱14Bおよび14Cよりも剛性が高い材料で形成してもよい。
【0107】
図7で示したように、CT装置10は、フレーム18と第一接続位置CP1で接続され、支柱14と第二接続位置CP2で接続される接続部材17を備える。そして、第一接続位置CP1は第二接続位置CP2よりも高い。このため、常に第二接続位置CP2よりも高い第一接続位置CP1にて撮影を行うことができる。
【0108】
また、フレーム18の昇降範囲の最高点の位置を、第一接続位置CP1と第二接続位置CP2との差である高さHの分だけ、第一接続位置CP1よりも高くすることができる。結果として支柱14の高さを抑えることができる。具体的には、フレーム18の昇降範囲の最高点の位置が200cmで、高さHが30cmであった場合、支柱14の高さを170cm程度とすることができる。こうすれば、撮影室の出入口等の高さ制限をクリアすることができ、キャスター16による各室間の移動を支障なく行うことができる。なお、キャスター16により装置本体11を移動させる際には、フレーム18は昇降範囲の最高点の位置から下降される。
【0109】
図1等で示したように、放射線源20および放射線検出器21は、両方ともフレーム18の下縁から突出している。このため、例えば座位姿勢の被写体Sの腰部といった比較的低い撮影部位を、フレーム18を大きく下降させることなく撮影することができる。
【0110】
装置本体11は、搬送用のキャスター16を備える。このため、装置本体11は自由に移動することができる。装置本体11の設置箇所は撮影室内に留まらず、病室内等に持ち込んで設置することも可能である。
【0111】
図6で示したように、放射線源20は、四角錐状の放射線Rを照射する。このため、放射線源から扇状の放射線Rを高さ方向に走査して、これを画素が一次元に配置された放射線検出器で検出する場合と比べて、撮影を短時間で終えることができる。なお、四角錐状に代えて、円錐状の放射線Rを照射してもよい。
【0112】
図1および
図5で示したように、被写体Sは、立位姿勢および座位姿勢のうちのいずれかの姿勢で空洞19にポジショニングされる。このため、重力が掛かった自然な状態の肺等の軟組織を観察したい、あるいは重力が掛かって負荷が加えられた状態の股関節等の関節を観察したい、という医師の要望に応えることができる。
【0113】
CT装置10は、放射線Rを発する放射線源20と、放射線Rを検出する放射線検出器21と、空洞19にポジショニングされた被写体Sの周りを回転する円環状のフレーム18と、フレーム18を回転可能かつ鉛直方向に昇降可能に保持する複数本の支柱14と、フレーム18を昇降させる昇降機構40およびフレーム18を回転させる回転機構50とを備える。フレーム18には、放射線源20と放射線検出器21とが対向する位置に取り付けられている。
図2で示したように、フレーム18は、放射線源20および放射線検出器21の高さ方向の幅W2よりも小さい幅W1を全周にわたって有する。
図18で示したように、撮影制御部77は、オペレータからの戻し指示105に応じて昇降機構40を動作させて、支柱14の上端側であるフレーム18の昇降範囲の最高点の位置に設定された退避高さ位置にフレーム18を移動させる制御を行う。また、撮影制御部77は、オペレータからの戻し指示105に応じて回転機構50を動作させて、放射線源20が支柱14Aと重なる第一回転位置である60°の位置にフレーム18を回転させる制御を行う。
【0114】
放射線源20が支柱14Aと重なる第一回転位置にフレーム18が回転されるため、
図11で示したように、支柱14Aおよび14Cの間から被写体Sが装置本体11内にアプローチする際に、放射線源20は邪魔にならない。このため、放射線源20が被写体Sの頭上を超える位置まで、フレーム18を上昇させる必要がない。したがって、従来技術のように、フレーム18を被写体Sの頭上に退避させるための比較的大きな退避スペースを装置本体11の上部に確保する必要がない。つまり、従来よりも装置本体11を高さ方向にコンパクトにすることができる。
【0115】
図14で示したように、撮影制御部77は、オペレータからのスカウト撮影指示95に応じて、回転機構50を動作させて、本撮影に先立つスカウト撮影を行うためのスカウト撮影位置にフレーム18を移動させる制御を行う。スカウト撮影位置は、放射線源20が被写体Sと正対する第二回転位置、および放射線源20が被写体Sの側面と対面する第三回転位置のうちの少なくともいずれか一つである。このため、オペレータの手をさほど煩わすことなく、スカウト撮影を簡単に行うことができる。
【0116】
図16および
図17で示したように、撮影制御部77は、回転機構50を動作させて、第四回転位置にフレーム18を回転させた後、第五回転位置までフレーム18を回転させながら、放射線源20および放射線検出器21に本撮影を行わせる。このため、オペレータの手をさほど煩わすことなく、本撮影を簡単に行うことができる。
【0117】
図18および
図19で示したように、撮影制御部77は、本撮影後、回転機構50を動作させて、第五回転位置から第一回転位置にフレーム18を戻す。このため、オペレータの手をさほど煩わすことなく、第一回転位置にフレーム18を簡単に戻すことができる。
【0118】
また、撮影制御部77は、第五回転位置から第一回転位置にフレーム18を戻す際、第五回転位置から第四回転位置に向かう方向(本例においては時計回り方向CW)にフレーム18を回転させる。第五回転位置から第四回転位置に向かう方向は、本撮影におけるフレーム18の回転方向(本例においては反時計回り方向CCW)とは逆である。このため、放射線源20および放射線検出器21は、本撮影にて被写体Sにぶつかることなく移動した軌跡を辿ることになる。したがって、被写体Sがじっとしていれば、放射線源20および放射線検出器21が被写体Sにぶつかるおそれがなく、被写体Sの安全を確保することができる。
【0119】
また、撮影制御部77は、第五回転位置から第一回転位置にフレーム18を戻す際、第四回転位置から第五回転位置への第一設定回転速度よりも速い第二設定回転速度、具体的には倍速でフレーム18を回転させる。このため、第五回転位置から第一回転位置にフレーム18を戻す作業を短時間で済ませることができ、装置本体11内で待機している被写体Sのストレスを軽減することができる。
【0120】
支柱は例示のストレートな形状に限らない。一例として
図23に示す支柱110のように、フレーム18を平面視する方向から見た場合に、フレーム18の形状に倣う円弧状をしていてもよい。こうした形状によれば、支柱110の強度をさらに高めることができる。
【0121】
また、放射線源20および放射線検出器21が、両方ともフレーム18の下縁から突出した態様を例示したが、これに限らない。一例として
図24に示すように、放射線源20および放射線検出器21が、両方ともフレーム18の上縁から突出した態様でもよい。こうすれば、例えば立位姿勢の被写体Sの頭部といった比較的高い撮影部位を、フレーム18を大きく上昇させることなく撮影することができる。
【0122】
図24で示した態様においては、退避高さ位置を一例として
図25に示す位置とする。
図25において、退避高さ位置は、支柱14の下端側に設定されている。より詳しくは、退避高さ位置は、フレーム18の昇降範囲の最下点の位置である。フレーム18の昇降範囲の最下点の位置は、前述のように、支柱14の略下端の位置であって、第一接続部43がステージ13の表面に当接する位置である。接続部材17は、放射線源20および放射線検出器21が、両方ともフレーム18の下縁から突出した態様とは逆に、第一接続部43が下、第二接続部44が上となっている。この場合、被写体Sは、フレーム18を跨いで装置本体11内にアプローチする。なお、
図25に示す矢印は、
図11で示した矢印と同様に、装置本体11内に被写体Sが誘導される方向を示す。
【0123】
前述のように、フレーム18の高さ方向の幅W1は、放射線源20および放射線検出器21の高さ方向の幅W2よりも小さい。このため、放射線源20および放射線検出器21程度の幅がある撮影部を被写体に跨がせることになる従来技術と比べて、被写体Sへの負担が軽い。したがって、従来よりも装置本体11内に被写体Sをアプローチさせやすい。
【0124】
第一回転位置として、放射線源20が支柱14Aと重なる60°の位置を例示したが、これに限らない。放射線源20が支柱14Cと重なる300°の位置を第一回転位置としてもよい。また、放射線源20が支柱14Bと重なる180°の位置を第一回転位置とし、支柱14Bおよび14Cの間から装置本体11内に被写体Sをアプローチさせるようにしてもよい。
【0125】
第一回転位置において支柱14と重ならせるのは、放射線源20に限らない。第一回転位置において放射線検出器21を支柱14と重ならせてもよい。また、支柱14と重ならせるのは、放射線源20または放射線検出器21の全部に限らず、放射線源20の少なくとも一部、および放射線検出器21の少なくとも一部のうちの少なくともいずれか一つでよい。例えば
図26に示すように、放射線検出器21の右端部が支柱14Cと重なる90°の位置を、第一回転位置としてもよい。なお、
図26に示す矢印は、
図12で示した矢印と同様に、装置本体11内に被写体Sが誘導される方向を示す。
【0126】
支柱の本数は三本に限らない。一例として
図27に示すように、45°、135°、225°、および315°の位置に、四本の支柱115A、115B、115C、および115Dを配置してもよい。この場合も、フレーム18の中心Cは、四本の支柱115A~115Dを頂点とする四角形RA内に収まっている。支柱115Aは接続部材116Aを介してフレーム18と接続し、支柱115Bは接続部材116Bを介してフレーム18と接続している。また、支柱115Cは接続部材116Cを介してフレーム18と接続し、支柱115Dは接続部材116Dを介してフレーム18と接続している。この場合、例えば、放射線源20が支柱115Aと重なる45°の位置を第一回転位置に設定し、支柱115Aおよび115Dの間から装置本体11内に被写体Sをアプローチさせる。
【0127】
また、一例として
図28に示すように、支柱14Aの後方の90°の位置、および支柱14Cの後方の270°の位置に、補強用の支柱120Aおよび120Bを配置してもよい。この場合も、フレーム18の中心Cは、五本の支柱14A~14C、120A、および120Bを頂点とする五角形PA内に収まっている。支柱120Aは接続部材121Aを介してフレーム18と接続し、支柱120Bは接続部材121Bを介してフレーム18と接続している。この場合、例えば、放射線源20が支柱120Aと重なり、放射線検出器21の右端部が支柱14Cと重なり、さらに放射線検出器21の中央部が支柱120Bと重なる90°の位置を第一回転位置に設定し、支柱14Aおよび14Cの間から装置本体11内に被写体Sをアプローチさせる。
【0128】
さらに、一例として
図29に示すように、60°の位置に一対の支柱125Aおよび125B、180°の位置に一対の支柱125Cおよび125D、300°の位置に一対の支柱125Eおよび125Fを配置してもよい。この場合も、フレーム18の中心Cは、六本の支柱125A~125Fを頂点とする六角形HA内に収まっている。支柱125Aおよび125Bは支柱14Aの略半分のサイズを有し、支柱125Cおよび125Dは支柱14Bの略半分のサイズを有し、支柱125Eおよび125Fは支柱14Cの略半分のサイズを有する。支柱125Aおよび125Bは接続部材126Aを介してフレーム18と接続し、支柱125Cおよび125Dは接続部材126Bを介してフレーム18と接続し、支柱125Eおよび125Fは接続部材126Cを介してフレーム18と接続している。この場合、例えば、放射線源20が支柱125Aおよび125Bと重なる60°の位置を第一回転位置に設定し、支柱125Aおよび125Fの間から装置本体11内に被写体Sをアプローチさせる。これら
図28および
図29の例からも分かるように、支柱の配置は等間隔でなくてもよい。
【0129】
フレーム18の昇降機構は、例示のボールねじ機構に限らない。一例として
図30に示す昇降機構130を採用してもよい。
図30において、昇降機構130は、カウンターウェイト131、ワイヤ132、およびプーリ133で構成される。カウンターウェイト131は、放射線源20および放射線検出器21が取り付けられたフレーム18と釣り合いをとるために必要な重量を有する。カウンターウェイト131にはワイヤ132の一端が取り付けられている。ワイヤ132は天板15を挿通されて、天板15の表面に設けられたプーリ133に掛け回されている。ワイヤ132は再び天板15を挿通されて、その他端がフレーム18に取り付けられている。フレーム18は、オペレータの手動による昇降操作に応じて昇降する。
【0130】
このように、カウンターウェイト131を用いた昇降機構130を用いれば、オペレータが自らの手の感覚を頼りにフレーム18の位置を設定することができる。なお、ボールねじ機構の昇降機構40と、カウンターウェイト131を用いた昇降機構130とを両方装置本体11に搭載させ、昇降機構40と昇降機構130とをクラッチ等で切り替え可能に構成してもよい。
【0131】
回転用モータ52をステッピングモータとして、回転用モータ52に与えるパルス数によってフレーム18の回転位置を割り出してもよい。また、フレーム18は円環に限らず、多角環でもよい。
【0132】
医用画像撮影装置としてCT装置10を例示したが、これに限らない。角度を変えて投影画像を一枚ずつ撮影する単純放射線撮影装置であってもよい。また、放射線源20および放射線検出器21が二組取り付けられたフレームを有し、被写体Sの正面および側面から同時に放射線Rを照射して二枚の投影画像を得、被写体Sの股関節と脊椎の解剖学的形状、および脊椎と下肢の接続具合を調査する放射線撮影装置であってもよい。
【0133】
制御装置12を構成するコンピュータのハードウェア構成は種々の変形が可能である。例えば、制御装置12を、処理能力および信頼性の向上を目的として、ハードウェアとして分離された複数台のコンピュータで構成することも可能である。例えば、受付部75およびRW制御部76の機能と、撮影制御部77、画像処理部78、および表示制御部79の機能とを、二台のコンピュータに分散して担わせる。この場合は二台のコンピュータで制御装置12を構成する。
【0134】
このように、制御装置12のコンピュータのハードウェア構成は、処理能力、安全性、信頼性等の要求される性能に応じて適宜変更することができる。さらに、ハードウェアに限らず、作動プログラム70といったアプリケーションプログラムについても、安全性および信頼性の確保を目的として、二重化したり、あるいは、複数のストレージに分散して格納することももちろん可能である。
【0135】
上記実施形態において、例えば、受付部75、RW制御部76、撮影制御部77、画像処理部78、および表示制御部79といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、ソフトウェア(作動プログラム70)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU62に加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、および/またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0136】
一つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの一つで構成されてもよいし、同種または異種の二つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、および/または、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を一つのプロセッサで構成してもよい。
【0137】
複数の処理部を一つのプロセッサで構成する例としては、第一に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、一つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで一つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第二に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を一つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの一つ以上を用いて構成される。
【0138】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0139】
本開示の技術は、上述の種々の実施形態および/または種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0140】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0141】
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「Aおよび/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、AおよびBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「および/または」で結び付けて表現する場合も、「Aおよび/またはB」と同様の考え方が適用される。
【0142】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0143】
10 CT装置
11 装置本体
12 制御装置
13 ステージ
14、14A~14C、110、115A~115D、120A、120B、125A~125F 支柱
15 天板
16 キャスター
17、17A~17C、116A~116D、121A、121B、126A~126C 接続部材
18 フレーム
19 空洞
20 放射線源
21 放射線検出器
22、22A~22C ねじ軸
23、23A~23C 開口
24 可動アーム
25 タッチパネルディスプレイ
26 取り付け部
30 車椅子
35 放射線管
36 照射野ランプ
37 照射野限定器
40、130 昇降機構
41 ナット
42 昇降用モータ
43 第一接続部
44 第二接続部
45 ベアリング
46 ガイド溝
50 回転機構
51 回転ベルト
52 回転用モータ
53 ポテンショメータ
54、55、133 プーリ
60 ストレージ
61 メモリ
62 CPU
63 ディスプレイ
64 入力デバイス
70 作動プログラム
71 照射条件テーブル
72 オーダー別照射条件情報
75 受付部
76 リードライト制御部(RW制御部)
77 撮影制御部
78 画像処理部
79 表示制御部
85 撮影メニュー
86 照射条件
90 照射野確認指示
91 照射野確認指令
95 スカウト撮影指示
96 スカウト撮影指令
100 本撮影指示
101 本撮影指令
105 戻し指示
106 戻し指令
131 カウンターウェイト
132 ワイヤ
C フレームの中心
CC フレームの中心を中心とし、支柱に沿う円
CCW 反時計回り方向
CG 装置本体の重心
CP1 第一接続位置
CP2 第二接続位置
CW 時計回り方向
HA 支柱を頂点とする六角形
PA 支柱を頂点とする五角形
R 放射線
RA 支柱を頂点とする四角形
RAC キャスターを頂点とする四角形
S 被写体
SI スカウト画像
ST100、ST110、ST120、ST130、ST140、ST150、ST160,ST170、ST180、ST190、ST200、ST210、ST220、ST230、ST240、ST250、ST260、ST270、ST280、ST290、ST300、ST310、ST320、ST330 ステップ
TA 支柱を頂点とする三角形
TI 断層画像
W1 フレームの高さ方向の幅
W2 放射線源および放射線検出器の高さ方向の幅
θ 放射線の放射角度