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特開2022-170455鋼材自動識別装置及び鋼材自動識別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170455
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】鋼材自動識別装置及び鋼材自動識別方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/202 20190101AFI20221102BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20221102BHJP
   B24B 41/04 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G01N33/202
B24B49/12
B24B41/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076594
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏
(72)【発明者】
【氏名】岡本 天駆
【テーマコード(参考)】
2G055
3C034
【Fターム(参考)】
2G055AA03
2G055BA01
2G055EA06
2G055FA02
3C034AA07
3C034BB13
3C034BB37
3C034BB93
3C034CA22
3C034CA30
3C034CB20
(57)【要約】
【課題】火花による鋼材の成分識別を自動的に行う鋼材自動識別装置及び鋼材自動識別方法を提供する。
【解決手段】鋼材自動識別装置10では、グラインダ110を支持するグラインダ昇降装置90を二軸調整装置16で鋼材22に対して所定位置に位置決めする。この状態で、グラインダ昇降装置90によってグラインダ110を鋼材22側に下降させ、グラインダ110を鋼材22に摺接させることで発生する火花をハイスピードカメラ134で撮影し、制御部(150)で撮影された火花撮像画像から鋼材成分識別部(220)で鋼材22の成分を識別する。すなわち、従来、人手で行われていた火花による鋼材の成分識別を自動で行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材に対して回転しながら摺接することにより当該鋼材を研削するグラインダと、
前記グラインダを支持し、前記グラインダを前記鋼材に対して昇降させるグラインダ昇降装置と、
前記グラインダ昇降装置を支持し、前記鋼材に対して前記グラインダ昇降装置を所定位置に位置決めする位置調整装置と、
前記グラインダ昇降装置によって前記グラインダを前記鋼材に摺接させることで発生する火花を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置で撮像された前記火花の撮像画像から前記鋼材の成分を識別する鋼材成分識別装置と、
を備える鋼材自動識別装置。
【請求項2】
前記鋼材の上面に対して前記グラインダの砥石の外周面である研削面が正対するように前記グラインダ昇降装置の傾斜角度を調整する角度調整機構を備える請求項1記載の鋼材自動識別装置。
【請求項3】
前記角度調整機構は、前記鋼材の延在方向における異なる位置で前記グラインダ昇降装置の下端にそれぞれ回転自在に設けられた2個のローラと、
前記2個のローラの中点を回転中心として揺動可能に前記グラインダ昇降装置を支持する支持部材と、
前記支持部材を下降させることにより前記グラインダ昇降装置を前記鋼材の上面側に付勢する昇降装置と、
を備える請求項2記載の鋼材自動識別装置。
【請求項4】
前記鋼材の端面に設けられた当該鋼材の個体識別符号を読み取る読取装置を備える請求項1~3のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置。
【請求項5】
前記位置調整装置は、前記読取装置を前記端面に対して所定位置に位置決めする請求項4記載の鋼材自動識別装置。
【請求項6】
前記読取装置は、前記端面に光を照射する光源と、
前記光が照射された前記端面を撮影する読取カメラと、
前記読取カメラで撮影された撮像画像から前記個体識別符号を識別する個体識別部と、
を備える請求項4又は5項記載の鋼材自動識別装置。
【請求項7】
前記光源は、前記端面に対してそれぞれ異なる直角4方向から前記光を照射する4個の光源から構成された請求項6記載の鋼材自動識別装置。
【請求項8】
前記読取装置には反射鏡が設けられており、前記光は前記光源から反射鏡で反射されて前記端面に照射される請求項6又は7記載の鋼材自動識別装置。
【請求項9】
前記位置調整装置は、前記鋼材の延在方向と、前記延在方向に直交する当該鋼材の搬送方向と、に少なくとも前記グラインダ昇降装置を位置決め調整可能である請求項1~8のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置。
【請求項10】
前記位置調整装置は、前記鋼材の延在方向と、前記延在方向に直交する当該鋼材の搬送方向と、前記搬送方向と前記延在方向に直交する上下方向と、に少なくとも前記グラインダ昇降装置を位置決め調整可能である請求項1~8のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置。
【請求項11】
前記位置調整装置は、前記鋼材の搬送方向位置を検出する第1センサと、前記鋼材の端面の延在方向位置を検出する第2センサと、を備える請求項1~10のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置。
【請求項12】
前記位置調整装置は、前記鋼材の上下方向位置を検出する第3センサをさらに備える請求項1~11のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置。
【請求項13】
鋼材に対してグラインダを所定位置に位置決めする工程と、
前記グラインダを前記鋼材に対して接近させ、前記グラインダが前記鋼材に対して回転しながら摺接することにより当該鋼材を研削する工程と、
前記グラインダを前記鋼材に摺接させることで発生する火花を撮影する工程と、
前記火花の撮像画像から前記鋼材の成分を識別する工程と、
を備える鋼材自動識別方法。
【請求項14】
前記鋼材の上面に対して前記グラインダの砥石の外周面である研削面が正対するように前記グラインダの傾斜角度を調整する工程を備える請求項13記載の鋼材自動識別方法。
【請求項15】
前記鋼材の端面に設けられた当該鋼材の個体識別符号を読み取る工程を備える請求項13又は14記載の鋼材自動識別方法。
【請求項16】
前記個体識別符号を読み取る工程は、前記端面に対して光を照射する工程と、
前記光が照射された前記端面を撮影する工程と、
前記端面の撮像画像から前記個体識別符号を検出する工程と、
を含む請求項15記載の鋼材自動識別方法。
【請求項17】
前記光を照射する工程は、前記端面に対してそれぞれ異なる直角4方向から光が照射される工程である請求項16記載の鋼材自動識別方法。
【請求項18】
前記光を照射する光源と前記端面を撮影する読取カメラとを備える読取装置は、前記端面に対して所定位置に位置決めされる請求項16又は17記載の鋼材自動識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材自動識別装置及び鋼材自動識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼材に対して人手によってグラインダを摺接させ、発生する火花を観察することによって、鋼材の成分を識別することが行われている。
【0003】
しかし、熟練した技術者の退職等によってその技量が伝承されにくくなるという不都合や、技術者の技量に依存しているため、個々の技術者の技量によって識別性が異なるという不都合があった。
【0004】
そこで、グラインダを鋼材に摺接させたことによって発生する火花を撮影し、その撮影画像に基づいて鋼材の成分を推定する方法等が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-9435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、搬送されてくる鋼材の成分を連続的に識別する装置を考えた場合には、装置の前に位置する識別対象の鋼材の位置が装置に対してばらつくおそれがあり、これらに対処することが必要となる。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、火花による鋼材の成分識別を自動的に行う鋼材自動識別装置及び鋼材自動識別方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の鋼材自動識別装置は、鋼材に対して回転しながら摺接することにより当該鋼材を研削するグラインダと、前記グラインダを支持し、前記グラインダを前記鋼材に対して昇降させるグラインダ昇降装置と、前記グラインダ昇降装置を支持し、前記鋼材に対して前記グラインダ昇降装置を所定位置に位置決めする位置調整装置と、前記グラインダ昇降装置によって前記グラインダを前記鋼材に摺接させることで発生する火花を撮影する撮影装置と、前記撮影装置で撮像された前記火花の撮像画像から前記鋼材の成分を識別する鋼材成分識別装置と、を備える。
【0009】
この鋼材自動識別装置では、グラインダを支持するグラインダ昇降装置を位置調整装置で鋼材に対して所定位置に位置決めする。したがって、装置に対する鋼材の位置にばらつきがあっても、鋼材に対してグラインダ昇降装置(に支持されたグラインダ)を所定位置に位置決めすることができる。
【0010】
この状態で、グラインダ昇降装置によってグラインダを鋼材側に下降させ、グランダを鋼材に摺接させることで発生する火花を撮影装置で撮影し、撮影装置で撮影された火花撮像画像から鋼材成分識別装置で鋼材の成分を識別する。
【0011】
すなわち、従来、人手で行われていた火花による鋼材の成分識別を自動で行うことができる。
【0012】
請求項2記載の鋼材自動識別装置は、請求項1記載の鋼材自動識別装置において、前記鋼材の前記端面側の上面に対して前記グラインダの砥石の外周面である研削面が正対するように前記グラインダ昇降装置の傾斜角度を調整する角度調整機構を備える。
【0013】
この鋼材自動識別装置では、鋼材が延在方向に沿って上下方向に反っていた場合でも、グラインダ昇降装置のグラインダの砥石の外周面である研削面が鋼材の上面に正対するように角度調整機構でグラインダ昇降装置の傾斜角度を調整可能である。すなわち、識別対象の鋼材が延在方向に沿って上下方向に反っているか否かに拘らず、グラインダ昇降装置に支持されたグラインダの砥石の外周面(研削面)が鋼材の上面に正対した状態に常に位置決めされる。したがって、グラインダ昇降装置で下降されたグランダが鋼材の上面に摺接した際に発生する火花形状が一定となり、鋼材成分識別装置で精度良く鋼材の成分が識別される。
【0014】
請求項3記載の鋼材自動識別装置は、請求項2記載の鋼材自動識別装置において、前記角度調整機構は、前記鋼材の延在方向における異なる位置で前記グラインダ昇降装置の下端にそれぞれ回転自在に設けられた2個のローラと、前記2個のローラの中点を回転中心として揺動可能に前記グラインダ昇降装置を支持する支持部材と、前記支持部材を下降させることにより前記グラインダ昇降装置を前記鋼材の上面側に付勢する昇降装置と、を備える。
【0015】
この鋼材自動識別装置は、位置調整装置で鋼材(の上面)に対してグラインダ昇降装置を位置決めする際、昇降装置によって支持部材を下降させることでグラインダ昇降装置が鋼材の上面側に付勢される。これにより、グラインダ昇降装置の下端にある2個のローラが鋼材の上面に当接することでグラインダ昇降装置(グラインダ)の角度調整を行う。
【0016】
例えば、鋼材の延在方向の端部が上下方向に反っていた場合、グラインダ昇降装置の位置決め時に延在方向の異なる位置にそれぞれ設けられたローラの一方のローラが鋼材の上面に当接する。これにより、当接した一方のローラからグラインダ昇降装置に鋼材からの反力が入力され、2個のローラの中点を中心にして支持部材に支持されたグラインダ昇降装置が揺動し、他方のローラが鋼材の上面に当接するまでグラインダ昇降装置が傾斜する。
【0017】
すなわち、反った鋼材の上面に対してグラインダの砥石の外周面である研削面が正対するように、グラインダ昇降装置が傾けられる。
【0018】
この結果、グラインダ昇降装置によってグラインダが鋼材の上面に摺接される際、その摺接具合が一定となり、発生する火花形状が一定となり、鋼材の成分識別精度が向上する。
【0019】
ところで、「鋼材の上面側に付勢する」には、鋼材の上面側に押し付けることだけではなく、鋼材の上面にグラインダ昇降装置を落下させることも含まれる。
【0020】
請求項4記載の鋼材自動識別装置は、請求項1~3のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置において、前記鋼材の端面に設けられた当該鋼材の個体識別符号を読み取る読取装置を備える。
【0021】
この鋼材自動識別装置は、読取装置によって鋼材の端面に設けられた鋼材の個体識別符号を読み取るため、個体識別符号とその成分とを関連づけて記録することが可能となる。
【0022】
請求項5記載の鋼材自動識別装置は、請求項4記載の鋼材自動識別装置において、前記位置調整装置は、前記読取装置を前記鋼材の端面に対して所定位置に位置決めする。
【0023】
この鋼材自動識別装置では、位置調整装置がグラインダを昇降させるグラインダ昇降装置を位置決めするだけでなく、読取装置を個体識別符号が設けられた端面に対して位置決めする。
【0024】
すなわち、位置調整装置で鋼材に対するグラインダの摺接位置を位置決めするだけでなく、鋼材の端面に対する読取装置の位置決めも行う。
【0025】
このように、位置調整装置で鋼材の端面に対して読取装置が所定位置に位置決めされているため、読取装置は鋼材の端面に設けられた個体識別符号を確実に読み取ることができる。
【0026】
請求項6記載の鋼材自動識別装置は、請求項4又は5記載の鋼材自動識別装置において、前記読取装置は、前記端面に光を照射する光源と、前記光が照射された前記端面を撮影する読取カメラと、前記読取カメラで撮影された撮像画像から前記個体識別符号を識別する個体識別部と、を備える。
【0027】
この鋼材自動識別装置は、読取装置において、光源の光で鋼材の端面を照射し、読取カメラで光で照射された鋼材の端面を撮影し、個体識別部で端面の撮像画像データから個体識別符号を検出している。
【0028】
このように、鋼材自動識別装置は、鋼材の個体識別符号を読み出すことにより、個体識別符号と火花から識別した鋼材の成分を関連付けて記録することが可能となる。
【0029】
請求項7記載の鋼材自動識別装置は、請求項6記載の鋼材自動識別装置において、前記光源は、前記端面に対してそれぞれ異なる直角4方向から光を照射する4個の光源から構成されている。
【0030】
この鋼材自動識別装置では、読取装置の光源は、鋼材の端面を異なる直角4方向から照射する4個の光源から構成されている。
【0031】
ここで、「直角4方向」とは、鋼材の端面を鋼材の延在方向から視た場合に、4個の光源から端面に照射する方向が相互に直角をなすように異なる4方向から照射されている場合を意味する。
【0032】
このように、読取装置の4個の光源から鋼材の端面に照射される光の方向が直角4方向にされているため、鋼材の切断加工時等に鋼材の端面に形成された斜め方向の多数の傷の存在にも拘わらず、個体識別符号を検出することが可能となる。
【0033】
請求項8記載の鋼材自動識別装置は、請求項6又は7記載の鋼材自動識別装置において、前記読取装置には反射鏡が設けられており、前記光は前記光源から反射鏡で反射されて前記端面に照射される。
【0034】
この鋼材自動識別装置では、読取装置の4個の光源から照射された光は反射鏡で反射されて鋼材の端面に照射される。したがって、4個の光源をコンパクトに配置することができ、読取装置を小型化することができる。
【0035】
請求項9記載の鋼材自動識別装置は、請求項1~8のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置において、前記位置調整装置は、前記鋼材の延在方向と、前記延在方向に直交する当該鋼材の搬送方向と、に少なくとも前記グラインダ昇降装置を位置決め調整可能である。
【0036】
この鋼材自動識別装置では、位置調整装置において、グラインダを昇降させるグラインダ昇降装置を鋼材の搬送方向及び鋼材の延在方向に移動させて鋼材に対して所定位置に位置決めすることができる。また、位置調整装置は、グラインダ昇降装置と共に読取装置を鋼材の搬送方向及び延在方向に移動させることで、読取装置を鋼材の端面に対して所定位置に位置決めすることができる。
【0037】
請求項10記載の鋼材自動識別装置は、請求項1~8のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置において、前記位置調整装置は、前記鋼材の延在方向と、前記延在方向に直交する当該鋼材の搬送方向と、前記搬送方向と前記延在方向に直交する上下方向と、に少なくとも前記グラインダ昇降装置を位置決め調整可能である。
【0038】
この鋼材自動識別装置では、位置調整装置において、グラインダを昇降させるグラインダ昇降装置を鋼材の搬送方向、鋼材の延在方向及び上下方向に移動させて鋼材に対して所定位置に位置決めすることができる。また、位置決め装置は、グラインダ昇降装置と共に読取装置を鋼材の搬送方向、延在方向及び上下方向に移動させることで、読取装置を鋼材の端面に対して所定位置に位置決めすることができる。
【0039】
請求項11記載の鋼材自動識別装置は、請求項1~10のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置において、前記位置調整装置は、前記鋼材の搬送方向位置を検出する第1センサと、前記鋼材の端面の延在方向位置を検出する第2センサと、を備える。
【0040】
この鋼材自動識別装置では、位置調整装置は、第1センサによって鋼材の搬送方向位置を検出し、この検出に基づいて搬送方向において鋼材に対してグラインダ昇降装置(及び読取装置)を所定位置に位置決めする。また、位置調整装置は、第2センサによって鋼材(の端面)の延在方向位置を検出し、この検出に基づいて延在方向において鋼材に対してグラインダ昇降装置(及び読取装置)を所定位置に位置決めする。
【0041】
請求項12記載の鋼材自動識別装置は、請求項1~11のいずれか1項記載の鋼材自動識別装置において、前記位置調整装置は、前記鋼材の上下方向位置を検出する第3センサをさらに備える。
【0042】
この鋼材自動識別装置では、位置調整装置は、第3センサによって鋼材の上下方向位置を検出し、この検出に基づいて上下方向において鋼材に対してグラインダ昇降装置(及び読取装置)を所定位置に位置決めする。
【0043】
請求項13記載の鋼材自動識別方法は、鋼材に対してグラインダを所定位置に位置決めする工程と、前記グラインダを前記鋼材に対して接近させ、前記グラインダが前記鋼材に対して回転しながら摺接することにより当該鋼材を研削する工程と、前記グラインダを前記鋼材に摺接させることで発生する火花を撮影する工程と、前記火花の撮像画像から前記鋼材の成分を識別する工程と、を備える。
【0044】
この鋼材自動識別方法は、鋼材に対してグラインダを位置決めした後、回転しているグラインダを鋼材に摺接させることによって生ずる火花を撮影する。この火花の撮像画像から鋼材の成分を識別する。
【0045】
すなわち、この鋼材自動識別方法では、鋼材の成分を自動的に識別することができる。
【0046】
請求項14記載の鋼材自動識別方法では、請求項13記載の鋼材自動識別方法において、前記鋼材の上面に対して前記グラインダの砥石の外周面である研削面が正対するように調整する工程を備える。
【0047】
この鋼材自動識別方法では、鋼材が延在方向に沿って上下方向に反っていた場合でも、グラインダの砥石の外周面である研削面が鋼材の上面に正対するように調整可能である。すなわち、識別対象である鋼材が延在方向に沿って上下方向に反っているか否かに拘らず、常にグラインダの砥石の外周面(研削面)が鋼材の上面に正対した状態に位置決めされている。したがって、グランダが鋼材の上面に摺接した際に発生する火花形状が一定となり、鋼材成分識別装置で精度良く鋼材の成分が識別される。
【0048】
請求項15記載の鋼材自動識別方法では、請求項13又は14記載の鋼材自動識別方法において、前記鋼材の端面に設けられた当該鋼材の個体識別符号を読み取る工程を備える。
【0049】
この鋼材自動識別方法では、鋼材の端面に設けられた鋼材の個体識別符号を読み取るため、個体識別符号と鋼材の組成を関連づけて記憶することで、個々の鋼材とその成分との組み合わせを確実に識別することができる。
【0050】
請求項16記載の鋼材自動識別方法は、請求項15記載の鋼材自動識別方法において、前記個体識別符号を読み取る工程は、前記端面に対して光を照射する工程と、前記光が照射された前記端面を撮影する工程と、前記端面の撮像画像から前記個体識別符号を検出する工程と、を含む。
【0051】
この鋼材自動識別方法では、鋼材の端面を光で照射し、照射された鋼材の端面を撮影し、撮影された端面の撮像画像データから個体識別部で個体識別符号を検出している。
【0052】
このように、鋼材自動識別方法では、鋼材の個体識別符号を検出することにより、個体識別符号と火花から識別した鋼材の成分を関連付けて記録することが可能となる。
【0053】
請求項17記載の鋼材自動識別方法は、請求項16記載の鋼材自動識別方法において、前記光を照射する工程は、前記端面に対して直角4方向から光が照射される工程である。
【0054】
この鋼材自動識別方法では、鋼材の端面を異なる直角4方向から光で照射する。
【0055】
ここで、「直角4方向」とは、鋼材の端面を鋼材の延在方向から視た場合に、端面に照射する方向が相互に直角をなすように異なる4方向から照射されている場合を意味する。
【0056】
このように、直角4方向から鋼材の端面に光が照射されているため、鋼材の端面に鋼材の切断加工時等に形成された斜め方向の多数の傷の存在にも拘わらず、個体識別符号を検出することが可能となる。
【0057】
請求項18記載の鋼材自動識別方法は、請求項16又は17記載の鋼材自動識別方法において、前記光を照射する光源と前記端面を撮影する読取カメラとを備える読取装置は、前記鋼材の前記端面に対して所定位置に位置決めされる。
【0058】
この鋼材自動識別方法は、グラインダを鋼材に対して所定位置に位置決めするだけでなく、個体識別符号が設けられた端面に対して読取装置を所定位置に位置決めする。
【0059】
このように、鋼材の端面に対して光源と読取カメラを有する読取装置が所定位置に位置決めされるため、光源からの光が照射された端面を読取カメラで撮影することで、読取装置は鋼材の端面に設けられた個体識別符号を確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0060】
以上説明したように、本発明に係る鋼材自動識別装置及び鋼材自動識別方法によれば、鋼材の成分を自動的に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】第1実施形態に係る鋼材自動識別装置の使用状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る鋼材自動識別装置の二軸調整装置を説明する平面図である。
図3】第1実施形態に係る火花試験装置を模式的に示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る端面読取装置を模式的に示す斜視図である。
図5】第1実施形態に係る端面読取装置を模式的に示す平断面図である。
図6】鋼材の端面に刻印された個体識別符号を示す正面図である。
図7】第1実施形態に係る鋼材自動識別装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】第1実施形態に係る制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図9】第1実施形態に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
図10】第1実施形態に係る鋼材自動識別装置における角度調整時の動作説明図である。
図11】第1実施形態に係る鋼材自動識別装置における角度調整時の動作説明図である。
図12】第1実施形態に係る鋼材自動識別装置における火花撮影時を模式的に説明する図である。
図13】第2実施形態に係る鋼材自動識別装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る鋼材自動識別装置について、図1図12を参照して説明する。なお、各図において、鋼材の搬送方向を矢印X方向(以下、「X方向」という場合がある)、鋼材搬送方向に直交する鋼材の延在方向を矢印Y方向(以下、「Y方向」という場合がある)、X方向及びY方向に直交する上下方向を矢印Z方向(以下、「Z方向」という場合がある)とする。
【0063】
鋼材自動識別装置10は、図1に示すように、火花試験装置12と、端面読取装置14と、火花試験装置12と端面読取装置14とを後述する鋼材22に対して位置決めする二軸調整装置16と、フレーム体18と、を有する。
【0064】
なお、端面読取装置14が「読取装置」に相当する。また、二軸調整装置16が「位置調整装置」に相当する。
【0065】
鋼材自動識別装置10は、図1に示すように、コンベア20上に搬送されてくる鋼材22に対向して配置されている。
【0066】
(フレーム体)
フレーム体18は、基台30と、基台30の上部に配設される第1フレーム体32と、火花試験装置12と端面読取装置14を支持する第2フレーム体34と、を有する。
【0067】
第1フレーム体32は、図1に示すように、基台30の上部に配設される略矩形状のフレーム体である。第1フレーム体32の上端には、第1フレーム体32に対して第2フレーム体34をX方向及びY方向に変位自在に支持する二軸調整装置16が設けられている。
【0068】
[二軸調整装置]
二軸調整装置16は、図2に示すように、第2フレーム体34をY方向に変位させるY方向変位機構56と、X方向に変位させるX方向変位機構58と、を有する。
【0069】
Y方向変位機構56は、ステッピングモータ42と、駆動プーリ38Aと、従動プーリ38Bと、タイミングベルト40と、プレート39A、39Bと、ガイドフレーム36A、36Bと、を有する。
【0070】
ガイドフレーム36A、36Bは、図1に示すように、第1フレーム体32の上端でそれぞれY方向に延在するY方向フレーム32A、32Bの上部に配設され、Y方向に延在している。
【0071】
一対のガイドフレーム36A、36Bは、図2に示すように、プレート39A、39Bがそれぞれ嵌合されている。すなわち、プレート39A、39Bは、ガイドフレーム36A、36Bに沿ってX方向に変位可能とされている。
【0072】
また、プレート39A、39B同士は、後述するガイドシャフト44A、44Bで連結されており、一体的に変位可能とされている。
【0073】
一方、第1フレーム体32の上端に設けられたY方向フレーム32A、32Bの端部同士をX方向に連結するX方向フレーム32C、32Dの上部には、回転自在に軸支された駆動プーリ38A、従動プーリ38Bがそれぞれ配設されている。駆動プーリ38Aと従動プーリ38Bの間には、タイミングベルト40が巻き掛けられている。なお、X方向フレーム32Cの上部に設けられたステッピングモータ42の駆動によって駆動プーリ38Aが回転駆動され、タイミングベルト40が回転する構成である。
【0074】
また、プレート39Aは、タイミングベルト40と連結されており、タイミングベルト40の回転変位により、プレート39Aと、プレート39Aとガイドシャフト44A、44Bを介して連結されているプレート39Bが一体的にY方向に変位可能に構成されている。
【0075】
なお、後述するように、ガイドシャフト44A、44Bが第2フレーム体34を支持している構成であるため、ステッピングモータ42の駆動によりプレート39A、39BがY方向に変位すると、第2フレーム体34がY方向に変位される構成である。
【0076】
一方、X方向変位機構58は、ステッピングモータ54と、駆動プーリ50Bと、従動プーリ50Aと、タイミングベルト52と、ガイド部材48A、48Bと、ガイドシャフト44A、44Bと、を有する。
【0077】
X方向に延在する一対のガイドシャフト44A、44Bは、一対のプレート39A、39B間に配設されている。
【0078】
一対のガイド部材48A、48Bは、第2フレーム体34の上端に取り付けられた取付プレート46に取り付けられており、一対のガイドシャフト44A、44Bが挿通されている。すなわち、第2フレーム体34は、ガイドシャフト44A、44Bに案内されてX方向に変位自在とされている。
【0079】
また、駆動プーリ50Bと、従動プーリ50Aがそれぞれプレート39A、39Bに回転自在に軸支されている。駆動プーリ50B、従動プーリ50A間には、タイミングベルト52が巻き掛けられている。なお、プレート39Bに取り付けられたステッピングモータ54の駆動によって駆動プーリ50Bが回転駆動され、タイミングベルト52が回転変位する構成である。
【0080】
さらに、取付プレート46は、タイミングベルト40と連結されており、タイミングベルト40の回転変位により、取付プレート46、すなわち第2フレーム体34がX方向に変位可能に構成されている。
【0081】
第2フレーム体34も、略矩形体形状に形成されており、上下方向に延在する4本のZ方向フレーム34A~34Dのうち、鋼材22の搬送方向下流側に位置するZ方向フレーム34A、34Bに火花試験装置12が取り付けられている。
【0082】
また、第2フレーム体34の下端に設けられ、鋼材22側のX方向フレーム34Eに端面読取装置14が支持されている。
【0083】
したがって、二軸調整装置16のステッピングモータ54、42を駆動することにより、第2フレーム体34、すなわち火花試験装置12と端面読取装置14をX方向及びY方向に変位可能とされている。
【0084】
(火花試験装置)
火花試験装置12は、図1に示すように、第2フレーム体34のZ方向フレーム34A、34Bに取付ボード60が取り付けられることによって、支持されている。
【0085】
火花試験装置12は、図3に示すように、角度調整機構70と、グラインダ昇降装置90と、グラインダ110とを有する。
【0086】
角度調整機構70は、揺動機構71と、揺動機構昇降装置250とを有する。なお、揺動機構昇降装置250が「昇降装置」に相当する。
【0087】
先ず、揺動機構昇降装置250について説明する。
【0088】
揺動機構昇降装置250は、取付ボード60上に設けられている。
【0089】
取付ボード60には、Z方向に延在する一対のリニアガイドレール62A、62Bが設けられており、揺動機構71(後述する支持プレート72)をZ方向に案内する構成である。
【0090】
また、揺動機構昇降装置250は、支持プレート72を昇降させるための昇降モータ252と、ウォームギア254と、プーリ256、258、260、262(以下、「プーリ256~262」という場合がある)と、カウンタウェイト264と、これらを接続するワイヤ266、268と、を有する。
【0091】
取付ボード60に配設された昇降モータ252は、その駆動軸270がウォームギア254と噛合されており、昇降モータ252の駆動によりウォームギア254が回転される構成である。
【0092】
一方、取付ボード60には、Z方向に延在するリニアガイドレール272が設けられており、リニアガイドレール272によってカウンタウェイト264がZ方向に案内される構成である。
【0093】
ウォームギア254とカウンタウェイト264は、取付ボード60の下端に設けられたプーリ256、258に巻き掛けられたワイヤ266で連結されている。
【0094】
また、カウンタウェイト264と支持プレート72は、取付ボード60の上端に設けられた一対のプーリ260、262に巻き掛けられたワイヤ268で連結されている。
【0095】
したがって、昇降モータ252を駆動することにより、ウォームギア254が回転してワイヤ266が巻き取られ、又は引き出され、カウンタウェイト264がリニアガイドレール272に案内されてZ方向に下降又は上昇すると共に、揺動機構71(支持プレート72)がリニアガイドレール62A、62Bに案内されてZ方向に上昇又は下降(引き落とされる)構成である。
【0096】
揺動機構71は、支持プレート72と、湾曲ガイドレール74と、揺動プレート76と、揺動プレート76の下端に設けられた一対のローラ78と、を有する。
【0097】
なお、支持プレート72が「支持部材」に相当する。
【0098】
支持プレート72は、リニアガイドレール62A、62Bに変位自在に支持されており、取付ボード60上をZ方向に変位自在とされている。また、上記のように揺動機構昇降装置250のワイヤ268の一端が背面側で係止されており、昇降モータ252の駆動でZ方向に上昇、又は下降(引き落とされる)構成である。
【0099】
また、支持プレート72のリニアガイドレール62A、62B側と反対側の面には、後述する一対のローラ78A、78B(の回転軸)の中点を中心とした円弧形状とされた湾曲ガイドレール74が設けられている。
【0100】
さらに、湾曲ガイドレール74には、揺動プレート76が図示しない一対のローラを介して揺動自在に支持されている。
【0101】
揺動プレート76は、背面(支持プレート72)側に設けられた図示しない一対のコイルスプリングによって水平状態(図3の状態)に復帰するように構成されている。
【0102】
また、揺動プレート76の下端から下方に延在する一対の脚部80A、80Bの下端には、それぞれ回転自在なローラ78A、78Bが設けられている。
【0103】
次に、グラインダ昇降装置90について説明する。
【0104】
グラインダ昇降装置90は、揺動プレート76上に設けられている。
【0105】
具体的には、揺動プレート76上に、Z方向に延在する一対のリニアガイドレール92A、92Bが配設されている。リニアガイドレール92Aには、グラインダ110を保持する保持部材94が取り付けられており、Z方向に変位自在とされている。一方、リニアガイドレール92Bには、カウンタウェイト96が取り付けられており、Z方向に変位自在とされている。
【0106】
カウンタウェイト96は、グラインダ110及び保持部材94の質量を相殺できる質量とされている。
【0107】
また、保持部材94とカウンタウェイト96は、一対のガイドプーリ98A、98Bに巻き掛けられたワイヤ100で連結されている。
【0108】
さらに、保持部材94は、上端側から下方に定荷重バネ102で下方に引っ張られている。
【0109】
また、揺動プレート76の略中央には、Z方向に延在するリニアガイドレール104が配設されている。リニアガイドレール104には、ストッパ106が取り付けられており、ストッパ106がZ方向に変位自在とされている。ストッパ106の下部にはウェイト107が取り付けられている。ストッパ106は、カウンタウェイト96の上面に当接されている。
【0110】
したがって、カウンタウェイト96が定荷重バネ102の張力により上方に移動する、すなわちグラインダ110が下方に移動することがストッパ106及びウェイト107で阻止されている構成である。
【0111】
なお、ストッパ106は、ソレノイド108のロッド109の下端に取り付けられており、ソレノイド108が通電されることによりロッド109が収縮されてストッパ106が上方に移動することにより、ストッパ106に係止されたカウンタウェイト96が上方に移動、すなわちグラインダ110が下方に移動される構成である。
【0112】
なお、ソレノイド108は、後述する制御部150からの制御信号によって通電される構成である。
【0113】
グラインダ110は、グラインダモータ112と、円板状である砥石114とを有する。グラインダ昇降装置90によって回転している砥石114の外周面である研削面が鋼材22の上面22Bに摺接することによって、火花を発生させる構成である。
【0114】
(端面読取装置)
端面読取装置14は、図4及び図5に示すように、一方(鋼材22側)が開口された矩形体の箱体120であり、鋼材側と反対側のY方向端面120Aに鋼材22の端面22Aに刻印された個体識別符号(以下、「個体ID」という)140(図6参照)を撮影する撮影カメラ122と、端面22AまでのY方向距離を計測する超音波距離センサ124が設けられている。
【0115】
なお、撮影カメラ122が「読取カメラ」に相当する。また、超音波距離センサ124が「第2センサ」に相当する。
【0116】
撮影カメラ122は、後述する制御部150から制御信号によって端面22Aを撮影し、その撮像画像データを制御部150に送信する構成である。
【0117】
また、超音波距離センサ124は、鋼材22の端面22Aに向かって超音波Uを発信し、その反射波が受信するまでの時間から鋼材22の端面22AまでのY方向距離を検出し、その検出結果を制御部150に送信する構成である。
【0118】
一方、図5に示すように、箱体120の一対のX方向端面120B、120Cの内側にはそれぞれ鏡126B、126Cが取り付けられている。
【0119】
なお、鏡126B、126Cが「反射鏡」に相当する。
【0120】
さらに、図4及び図5に示すように、箱体120の開口部近傍には、四個のLED128A~128Dが配設されている。LED128A~128Dからの照射光Lは、それぞれ鏡126B又は鏡126Cで反射されて端面22Aに直角4方向から入射されるように構成されている。
【0121】
ここで、「直角4方向から照射」とは、鋼材の延在方向(Y方向)から視て端面22Aに対して異なる4方向から光が照射されると共に、隣接する光の照射方向が90度なすことである。
【0122】
なお、LED128A~128Dが「光源」に相当する。
【0123】
LED128A~128Bは、後述する制御部150からの制御信号により点灯され、鋼材22の端面22Aを直角4方向から照射する構成(図4図5 破線L参照)である。
【0124】
さらに、箱体120のX方向端面120Cの外側には、図5に示すように、電光センサ130が配設されており、照射した光の反射光の受光度合いの変化から鋼材22の角(X方向端面)のX方向位置を検出する構成となっている。
【0125】
なお、電光センサ130が「第1センサ」に相当する。
【0126】
電光センサ130も、後述する制御部150に検出結果を送信する構成である。
【0127】
なお、鋼材22の端面22Aに形成される個体ID140は、図6に示すように、アルファベッドで二段に記載されている。
【0128】
図1に示すように、第2フレーム体34の上部からX方向に延在する支持バー132の先端には、下方を向けたハイスピードカメラ134が配置されている。このハイスピードカメラ134のY方向位置は、グラインダ110のY方向位置と同一とされている。すなわち、後述するようにグラインダ110が鋼材22の上面22Bに摺接することにより発生する火花を撮影可能な位置に配置されている。
【0129】
なお、ハイスピードカメラ134も後述する制御部150から制御信号に基づいて火花を撮影すると共に、火花の撮像画像データを制御部150に送信する構成である。
【0130】
また、ハイスピードカメラ134が「撮影装置」に相当する。
【0131】
(制御部)
制御部150は、図7に示すように、超音波距離センサ124や電光センサ130から検出信号を受信すると共に、これの検出信号に基づいてステッピングモータ42、54を駆動制御して火花試験装置12及び端面読取装置14を鋼材22に対して所定位置に位置決めするものである。また、制御部150は、昇降モータ252を駆動制御することにより揺動機構71を昇降させる(グラインダ昇降装置90の角度調整を行う)と共に、ソレノイド108に駆動信号を出力することでグラインダ110を昇降させるものである。
【0132】
さらに、制御部150は、ハイスピードカメラ134の撮像画像データを取り込むことにより、火花の撮像画像データを取得し、この火花撮像画像データ基づいて鋼材22の成分を判定するものである。また、制御部150は、LED128A~128Dから照射された鋼材22の端面22Aの画像データを撮影カメラ122から取得することにより、端面22Aに刻印された個体ID140を検出するものである。
【0133】
制御部150は、図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)150A、ROM(Read only Memory)150B、RAM(Random Access Memory)150C、ストレージ150D、入出力I/F150Eを含んで構成されている。CPU150A、ROM150B、RAM150C、ストレージ150D及び入出力I/F150Eは、バス150Fを介して相互に通信可能に接続されている。
【0134】
CPU150Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU150Aは、ROM150Bからプログラムを読み出し、RAM150Cを作業領域としてプログラムを実行する。本実施形態では、ROM150Bに実行プログラムが記憶されている。
【0135】
ROM150Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。RAM150Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0136】
ストレージ150Dには、火花形状(例えば、破裂形状)と鋼材の成分(例えば、炭素含有量)との関係を記録したテーブル等が格納されている。
【0137】
入出力I/F150Eは、制御部150がステッピングモータ42、52、昇降モータ252、ソレノイド108、グラインダモータ112、超音波距離センサ124、電光センサ130、ハイスピードカメラ134、撮影カメラ122等と入出力するためのインタ-フェイスである。
【0138】
図9は、制御部150の機能構成の例を示すブロック図である。制御部150は、X方向距離調整部160と、Y方向距離調整部170と、端面画像取得部180と、個体ID検出部190と、角度調整部200と、火花撮影部210と、鋼材成分識別部220と、記憶部230と、を有する。各機能構成は、CPU150AがROM150Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0139】
なお、個体ID検出部190が「個体識別部」に相当する。また、鋼材成分識別部220が「鋼材成分識別装置」に相当する。
【0140】
X方向距離調整部160は、電光センサ130からの検出信号により鋼材22の端面22Aの角(X方向側端部)が検出されるまでステッピングモータ54に駆動信号を出力して、第2フレーム体34をX方向の所定位置に移動調整するものである。
【0141】
Y方向距離調整部170は、超音波距離センサ124からの検出信号により鋼材22の端面22Aとの距離を検出し、端面22Aまでの距離が所定距離になるまでステッピングモータ42に駆動信号を出力して、第2フレーム体34を鋼材22(の端面22A)に対してY方向の所定位置に移動調整するものである。
【0142】
端面画像取得部180は、鋼材22の端面22Aに対して所定位置に位置決めされた第2フレーム体34(に支持された端面読取装置14)で、LED128A~128Dが点灯制御されると共に、この光で照射された鋼材22の端面22Aを撮影カメラ122で撮影した端面画像データを読む込む構成である。
【0143】
個体ID検出部190は、端面画像データから端面22Aに刻印された個体ID140を検出する構成である。
【0144】
角度調整部200は、鋼材22の端面22Aに対して所定位置に位置決めされた第2フレーム体34に支持された火花試験装置12の昇降モータ252に駆動信号を出力し、揺動機構71(グラインダ昇降装置90)を下降させる。これにより、ローラ78A、78Bを鋼材22の上面22Bに当接させることで、グラインダ昇降装置90に保持されたグラインダ110を上面22Bに正対させる構成である。
【0145】
火花撮影部210は、グラインダ昇降装置90(グラインダ110)が鋼材22の上面22Bに対して正対するように角度調整された後、ソレノイド108に駆動信号を出力すると共にグラインダモータ112に駆動信号を出力することで、回転するグラインダ110を下降させ、鋼材22の上面22Bにグラインダ110を摺接させることで火花を発生させる。この火花をハイスピードカメラ134で撮影し、その火花撮像画像データを制御部150に出力させる構成である。
【0146】
鋼材成分識別部220は、火花撮像画像データから鋼材の成分を識別する構成である。例えば、ストレージ150Dに格納されたテーブルに基づき、火花の破裂形状等から鋼材の炭素含有量を識別するものである。
【0147】
記憶部230は、このようにして検出された鋼材22の個体ID140と識別された鋼材の成分を関連づけてストレージ150Dに記憶させる構成である。
【0148】
(作用)
このように構成された鋼材自動識別装置10の作用について説明する。
【0149】
鋼材自動識別装置10では、コンベア20によって搬送されている鋼材22が鋼材自動識別装置10の正面で停止される。
【0150】
ここで、油圧シリンダ24が一定量ストロークすることで、鋼材22の端面22A側が所定(一定)の高さに位置決めされる。
【0151】
この状態で、制御部150のCPU150Aは、Y方向距離調整部170で、超音波距離センサ124の出力信号に基づいて端面22AとのY方向距離を確認し、端面22Aとの距離が所定距離となるようにステッピングモータ42に駆動信号を出力する。ステッピングモータ42の駆動によりタイミングベルト40が回転され第2フレーム体34が変位されることにより、第2フレーム体34(火花試験装置12及び端面読取装置14)が鋼材22の端面22Aに対して所定のY方向距離の位置に位置決めされる。
【0152】
次に、制御部150のCPU150Aは、X方向距離調整部160で、ステッピングモータ54に駆動信号を出力する。ステッピングモータ54の駆動によりタイミングベルト52が回転され、第2フレーム体34(端面読取装置14)がX方向に移動される。これにより、端面読取装置14(箱体120)の側面に取り付けられた電光センサ130からの検出信号に基づいて鋼材22の搬送方向上流側端部が検出されたタイミングで、ステッピングモータ54に駆動停止信号が出力され、第2フレーム体34の変位が停止される。この結果、鋼材22の端面22Aに対して第2フレーム体34が所定のX方向距離の位置に位置決めされる。すなわち、端面22Aの正面に端面読取装置14が位置することになる。また、鋼材22の上面22B上に火花試験装置12が位置することになる。
【0153】
続いて、制御部150のCPU150Aは、端面画像取得部180で、LED128A~128Dに点灯信号を出力する。これにより、図4に示すように、LED128A~128Dから照射された光は、鏡126B又は鏡126Cで反射され、端面22Aに対して直角4方向から照射される。
【0154】
また、本実施形態では、Y方向から視てLED128A~128Dから端面22Aに照射される光Lは、図6に示すように、それぞれ水平方向から45度ずつずれた直角4方向から照射されている。なお、図6では、照射方向を理解し易くするために端面22Aの外側に光Lの照射方向を矢印で記載している。
【0155】
続いて、直角4方向から光で照射された端面22Aが撮影カメラ122で撮影され、端面撮像画像データが撮影カメラ122から制御部150に出力される。
【0156】
なお、鋼材22(の端面22A)に対してX方向、Y方向に位置調整されているため、端面22Aの正面に端面読取装置14が配置されると共に、端面22Aに刻印された個体ID140を確実に撮影することができる。
【0157】
次に、制御部150のCPU150Aは、個体ID検出部190で、端面撮像データに基づいて個体ID140を検出する。端面22Aには、図6に示すように、斜め方向に形成された多数の切削痕142が形成されているが、Y方向から視て直角4方向から端面22AをLED128A~128Dからの照射光Lを照射しているため、撮影カメラ122の端面撮像画像から切削痕142による影響(影)が低減されて、個体ID140の符号認識性が向上し、個体ID140を精度良く検出することができる。
【0158】
続いて、制御部150のCPU150Aは、角度調整部200で、昇降モータ252に駆動信号を出力する。これにより、昇降モータ252の駆動軸270に噛合されたウォームギア254が回転し、ワイヤ266を巻き取る。これにより、ワイヤ266で連結されたカウンタウェイト264がリニアガイドレール272に案内されて下降すると共に、カウンタウェイト264とワイヤ268を介して連結された支持プレート72(揺動機構71)がリニアガイドレール62A、62Bに案内されて上昇する。
【0159】
ここで、制御部150のCPU150Aは、角度調整部200で昇降モータ252に逆回転駆動信号を出力する。これにより、昇降モータ252の駆動軸270に噛合されたウォームギア254が逆回転し、ワイヤ266を送り出す(弛ませる)。これにより、揺動機構71とカウンタウェイト264との質量差に基づいて、カウンタウェイト264がリニアガイドレール272に案内されて上昇すると共に、支持プレート72(揺動機構71)がリニアガイドレール62A、62Bに案内されて鋼材22の上面22B側に下降(落下)する。
【0160】
ここで、鋼材22の端部(端面22A側)が上方に撓んでいた場合、支持プレート72に支持されたグラインダ昇降装置90の下端に設けられた一対ローラ78A、78Bのうち、端面22A側に位置するローラ78Aが鋼材22の上面22Bに当接する(図10参照)。
【0161】
さらに、支持プレート72が下降(落下)することにより、ローラ78Aからの反力がグラインダ昇降装置90に入力される。この結果、湾曲ガイドレール74に沿ってローラ78A、78Bの中点を中心として揺動可能に支持されたグラインダ昇降装置90は、湾曲ガイドレール74に沿って他方のローラ78Bが鋼材22の上面22Bに当接するまで揺動され、端面22Aと反対側に傾斜される(図11参照)。この結果、鋼材22の上面22Bが端面22A側で上方に撓んでいても、撓んだ上面22Bとグラインダ110の砥石114の研削面が正対するようにグラインダ昇降装置90が傾斜させられる。
【0162】
次に、制御部150のCPU150Aは、火花撮影部210で、グラインダ昇降装置90のソレノイド108に駆動信号が出力される。これにより、ソレノイド108に通電され、ロッド109が収縮することにより、ロッド109の先端に取りけられたストッパ106がリニアガイドレール104に案内されて上昇する。
【0163】
この結果、図12に示すように、ストッパ106に係止されていたカウンタウェイト96が定荷重バネ102の張力によりリニアガイドレール92Bに沿って上昇する。すなわち、カウンタウェイト96とワイヤ100を介して連結された保持部材94及びグラインダ110が下降され、グラインダ110の砥石114が鋼材22の上面22Bに摺接される。
【0164】
これにより、発生した火花Sを、グラインダ110の砥石114が鋼材22の上面22Bと摺接する位置とY方向位置が同一でX方向下流側に位置するハイスピードカメラ134で撮影し(撮影範囲A)、その火花撮像画像データを制御部150に出力する。
【0165】
続いて、制御部150のCPU150Aは、鋼材成分識別部220で、火花撮像画像に基づいて鋼材22の成分を識別する。具体的には、ストレージ150Dに格納された火花形状と鋼材成分との関係が記録されたテーブルを参照して鋼材22の成分を識別する。例えば、鋼材22が炭素鋼であれば、炭素含有量が識別され、鋼材の種類が識別される。
【0166】
この火花撮像画像から鋼材成分を識別する方法は、特に限定するものではなく、自動的に識別できる公知の方法であれば、種類は問わない。
【0167】
最後に、制御部150のCPU150Aは、記憶部230で、検出された鋼材22の個体ID140と、識別された鋼材の成分(又は鋼材の種類)を関連づけてストレージ150Dに記憶していく。
【0168】
なお、一つの鋼材22についての一連の処理が終了すると、制御部150のCPU150Aは、ソレノイド108に駆動信号を出力してロッド109を伸長させることにより、ストッパ106が定荷重バネ102の張力に抗してカウンタウェイト96を押し下げる。
【0169】
これにより、グラインダ昇降装置90の保持部材94及びグラインダ110が上昇し、グラインダ110が鋼材22の上面22Bから離間する。
【0170】
さらに、制御部150のCPU150Aは、昇降モータ252に駆動信号を出力することによって揺動機構71(グラインダ昇降装置90)を上昇させる。この結果、一対のローラ78A、78Bが鋼材22の上面22Bから離間する。この際、グラインダ昇降装置90は図示しないコイルスプリング等によって元位置復帰が可能な構成とされており、一対のローラ78A、78Bが水平となるようにグラインダ昇降装置90が初期姿勢に復帰する。
【0171】
[効果]
このように本実施形態に係る鋼材自動識別装置10は、鋼材22の端面22Aの位置が鋼材毎にX方向やY方向でずれていても、超音波距離センサ124や電光センサ130の出力信号に基づいてステッピングモータ42、54を駆動制御することで、鋼材22に対して第2フレーム体34(火花試験装置12と端面読取装置14)をX方向及びY方向で正確に位置決め可能である。
【0172】
したがって、鋼材22に対してグラインダ昇降装置90を正確に位置決めして、グラインダ昇降装置90に保持されたグラインダ110を鋼材22の上面に摺接することができ、火花を発生させることができる。
【0173】
特に、鋼材22が端面22A側に向かって上下方向に撓んでいる場合、鋼材22の上面22Bがグラインダ110の砥石114に対して正対しなくなるが、角度調整機構70を設けているため、一対のローラ78A、78Bを上面22Bに当接させるだけで、グラインダ昇降装置90が揺動(傾斜)してグラインダ110の砥石114(の外周面(研削面))を上面22Bに正対させることができる。
【0174】
したがって、グラインダ昇降装置90によってグラインダ110を鋼材22の上面22Bに向かって下降させ、摺接させた場合に発生する火花形状が一定となり、鋼材22の成分識別の精度が向上する。
【0175】
なお、鋼材22のZ方向の位置決めは、油圧シリンダ24が鋼材22の端面22A側を一定の高さに上昇させることで、第2フレーム体34の位置合わせを不要としている。
【0176】
また、鋼材自動識別装置10では、端面読取装置14を鋼材22の端面22Aに対して正確に位置決めしているため、端面読取装置14に設けられた撮影カメラ122で端面22Aに刻印された個体ID140を確実に撮影可能とされている。
【0177】
特に、端面読取装置14の位置調整を火花試験装置12と第2フレーム体34として一体的に行っているため、それぞれの位置調整を個別に行う場合と比較して構成が簡略化されている。
【0178】
さらに、端面22Aに刻印された個体ID140に対してLED128A~128Dから直角4方向の照射光を照射しているため、端面22Aに形成された切削痕142等の影響を抑制して端面撮像画像から精度良く個体ID140を検出可能となる。
【0179】
特に、端面読取装置14は、略矩形状のX方向端面120B、120Cの内側に鏡126B、126Cを設け、LED128A~128Dからの各照射光が鏡126B、126Cで反射されて端面22Aに入射される構成としたため、端面読取装置14をコンパクトに形成することができる。
【0180】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る鋼材自動識別装置10Aでは、火花試験装置と読取装置が三軸調整される構成である。なお、第1実施形態に係る鋼材自動識別装置10と同様の構成要素には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。また、図13では、火花試験装置12は、取付ボードのみを図示し、その他を省略している。
【0181】
鋼材自動識別装置10Aは、図13に示すように、三軸調整装置352が設けられているものである。
【0182】
鋼材自動識別装置10Aは、第1フレーム体300と、第2フレーム体302と、第3フレーム体304と、を有する。
【0183】
第3フレーム体304が火花試験装置12と端面読取装置14を支持しているものであり、この第3フレーム体304を三軸調整装置352、すなわち、X方向変位機構58、Y方向変位機構56、Z方向変位機構354で三軸調整するものである。
【0184】
先ず、Z方向変位機構354について説明する。
【0185】
Z方向変位機構354は、第1フレーム体300に設けられている。第1フレーム体300は、矩形状の底部310から上方に延在する2対の縦棒312A、312B、314A、314Bを有する。一対の縦棒312A、312Bと一対の縦棒314A、314Bの上端間には、上板316が配設されている。
【0186】
上板316のX方向端部と底部310のX方向端部間には、Z方向に延在する一対のガイドシャフト318A、318B、320A、320Bがそれぞれ配設されている。
【0187】
ガイドシャフト318A、318Bは、第2フレーム体302の係合部322Aに挿通されている。同様に、ガイドシャフト320A、320Bは、第2フレーム体302の係合部322Bに挿通されている。すなわち、ガイドシャフト318A、318B、320A、320Bは、係合部322A、322B、すなわち第2フレーム体302をZ方向に案内する構成である。
【0188】
また、ガイドシャフト318A、318B間及びガイドシャフト320A、320Bには、それぞれZ方向に延在するボールネジ軸324A、324Bが配設されており、それぞれ係合部322A、322Bに螺合されている。
【0189】
また、ボールネジ軸324A、324Bの上端は、上板316上にX方向に延在するシャフト326のX方向両端部にそれぞれ設けられた傘歯車328A、328Bを介して噛合されている。
【0190】
上板316上には、ステッピングモータ330が設けられており、ステッピングモータ330の駆動軸がシャフト326に設けられたウォームギア332と噛合されている。
【0191】
すなわち、ステッピングモータ330の駆動によってシャフト326を介してボールネジ軸324A、324Bが回転し、係合部322A、322B、すなわち第2フレーム体302がZ方向に変位する構成である。
【0192】
第2フレーム体302には、第1実施形態と略同様のX方向変位機構58、Y方向変位機構56が設けられている。
【0193】
先ず、X方向変位機構58から説明する。
【0194】
矩形体形状の第2フレーム体302のY方向両端部には、X方向に延在する一対のガイドシャフト44A1、44A2と、ガイドシャフト44B1、44B2が配設されており、係合部材340A、340Bがそれぞれ挿通されている。係合部材340A、340Bは、Y方向に延在するガイドシャフト356A、356Bで連結されている。
【0195】
また、第2フレーム体302の鋼材22側のY方向端部には、ステッピングモータ54とタイミングベルト52等からなる変位機構が設けられており、タイミングベルト52に係合部材340Bが固定されているため、ステッピングモータ54の駆動により係合部材340A、340BがX方向に変位する構成である。
【0196】
次に、Y方向変位機構56について説明する。
【0197】
係合部材340A、340B間を連結するガイドシャフト356A、356Bは、第3フレーム体304が挿通されている。また、係合部材340A、340B間には、ステッピングモータ42とタイミングベルト40が配設されており、タイミングベルト40に第3フレーム体304が固定されているため、ステッピングモータ42の駆動により第3フレーム体304がY方向に変位する構成である。
【0198】
なお、第3フレーム体304には、鋼材自動識別装置10と同様に火花試験装置12と端面読取装置14が取り付けられている。
【0199】
さらに、第3フレーム体304には、鋼材22の上面22BとのZ方向距離を検出する超音波距離センサ350が配設されている。
【0200】
なお、超音波距離センサ350が「第3センサ」に相当する。
【0201】
したがって、制御部150は、端面読取装置14に設けられた超音波距離センサ124と電光センサ130の検出信号に基づいてステッピングモータ42及びステッピングモータ54を駆動することによって第3フレーム体304をY方向及びX方向に調整すると共に、超音波距離センサ350の検出信号に基づいてステッピングモータ330を駆動して第3フレーム体304をZ方向に変位させる(調整する)ことができる。
【0202】
鋼材自動識別装置10Aは、第1実施形態の鋼材自動識別装置10と同様の作用効果を奏すると共に、次のような作用効果がある。
【0203】
すなわち、鋼材自動識別装置10Aに対する鋼材22(の端面22A)のX方向、Y方向の位置ずれのみならず、鋼材22のZ方向の位置ずれに対しても火花試験装置12(グラインダ110)と、端面読取装置14を精度良く位置決めすることができる。
【0204】
また、鋼材22の搬送装置側に油圧シリンダ24を不要とすることができる。
【0205】
(その他)
本実施形態の鋼材自動識別装置10において、火花試験装置12と端面読取装置14をX方向、Y方向に変位させる構成は一例であり、両者を両方向に変位可能であればその構成は問わない。
【0206】
同様に、鋼材自動識別装置10Aにおいて、火花試験装置12と端面読取装置14をX方向、Y方向、Z方向に変位させる構成は一例であり、両者を3方向に変位可能であればその構成は問わない。
【0207】
また、制御部150において、端面撮像画像データから端面22Aに刻印された個体ID140を読み取る方法は一例であり、他の公知の方法を用いても良い。
【0208】
さらに、制御部150において、火花撮像画像データから鋼材22の成分を識別する方法も公知の方法であれば特に限定するものではない。
【0209】
さらに、角度調整機構70においてグラインダ昇降装置90(グラインダ)を揺動(傾斜)させる構成も、鋼材22の上面22Bの反り具合に応じてグラインダ昇降装置90(グラインダ)を揺動(傾斜)させる構成であれば、本実施形態に限定されるものではない。
【0210】
以上、実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0211】
10、10A 鋼材自動識別装置
14 端面読取装置(読取装置)
16 2軸調整装置(位置調整装置)
22 鋼材
22A 端面
22B 上面
70 角度調整機構
72 支持プレート(支持部材)
78A、78B ローラ
90 グラインダ昇降装置
110 グラインダ
122 撮影カメラ(読取カメラ)
124 超音波距離センサ(第2センサ)
126B、126C 鏡(反射鏡)
128A~128D LED(光源)
130 電光センサ(第1センサ)
134 ハイスピードカメラ(撮影装置)
140 個体識別符号
190 個体ID検出部(個体識別部)
220 鋼材成分識別部(鋼材成分識別装置)
250 揺動機構昇降装置(昇降装置)
350 超音波距離センサ(第3センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13