(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170529
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】筋電位測定装置及び筋電位測定用カード
(51)【国際特許分類】
A61B 5/273 20210101AFI20221102BHJP
A61B 5/296 20210101ALI20221102BHJP
【FI】
A61B5/273
A61B5/296
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076722
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼田 悠
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA04
4C127CC01
4C127LL08
4C127LL15
4C127LL19
(57)【要約】
【課題】筋電位の測定感度を十分に向上させること。
【解決手段】筋電位測定装置は、パッドが形成された複数の配線を有する測定用カードと、前記複数の配線のうち一部の配線のパッドにそれぞれ接続される複数の電極と、前記測定用カードと脱着可能に接続され、前記複数の電極の一端が接触する測定対象において発生する電位を測定する処理回路とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドが形成された複数の配線を有する測定用カードと、
前記複数の配線のうち一部の配線のパッドにそれぞれ接続される複数の電極と、
前記測定用カードと脱着可能に接続され、前記複数の電極の一端が接触する測定対象において発生する電位を測定する処理回路と
を有することを特徴とする筋電位測定装置。
【請求項2】
前記測定用カードは、
前記複数の配線を有するカード基板と、
前記カード基板に積層され、前記複数の配線を被覆する絶縁シートと
を有することを特徴とする請求項1記載の筋電位測定装置。
【請求項3】
前記絶縁シートは、
前記パッドに対応する位置に開口が形成される
ことを特徴とする請求項2記載の筋電位測定装置。
【請求項4】
前記電極は、
前記絶縁シートの開口を介して前記パッドに接続される
ことを特徴とする請求項3記載の筋電位測定装置。
【請求項5】
前記絶縁シートに形成される開口のうち、前記一部の配線のパッド以外のパッドに対応する位置の開口を被覆する絶縁フィルム
をさらに有することを特徴とする請求項3記載の筋電位測定装置。
【請求項6】
前記電極は、
前記一部の配線のパッドに塗布された導電性接着剤によって当該パッドに接続される
ことを特徴とする請求項1記載の筋電位測定装置。
【請求項7】
前記複数の配線それぞれと脱着可能に接続する端子を有し、前記測定用カードと前記処理回路とを接続するコネクタ
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の筋電位測定装置。
【請求項8】
パッドが形成された複数の配線を有するカード基板と、
前記カード基板に積層され、前記複数の配線を被覆するとともに、前記パッドに対応する位置に電極を挿入可能な開口が形成される絶縁シートと、
前記開口を被覆し、剥離可能な絶縁フィルムと
を有することを特徴とする筋電位測定用カード。
【請求項9】
前記絶縁シートの開口内において前記パッドに塗布される半硬化状態の導電性接着剤をさらに有し、
前記絶縁フィルムは、
前記導電性接着剤を被覆する
ことを特徴とする請求項8記載の筋電位測定用カード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋電位測定装置及び筋電位測定用カードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばリハビリテーションなどの医療現場では、筋肉の運動に伴って発生する筋電位を測定する装置が使用されることがある。このような装置は、2個又は3個の電極を測定対象の筋肉付近の皮膚に接触させることにより、筋繊維の活動によって発生する活動電位を測定するものである。
【0003】
筋電位測定装置の電極には、装置表面に固定された乾式の電極と、例えばケーブルによって装置に接続された湿式の電極とがある。これらの電極が互いに適切な距離だけ離れて皮膚に接触することにより、感度良く筋電位を測定することができる。
【0004】
乾式の電極を用いる装置としては、例えば人体に装着可能な装着バンドに複数の電極を配置し、測定対象の筋肉付近に装着バンドを装着することによって筋電位を測定するものなどが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-131689号公報
【特許文献2】特開2018-114093号公報
【特許文献3】特開2015-221144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した筋電位測定装置では、測定対象の筋肉の筋電位を十分に感度良く測定することが困難であるという問題がある。具体的には、測定の感度を良好にする電極間距離は、測定対象の筋肉の種類によって異なるとともに、個人差もある。このため、例えば配置が固定されている乾式の電極を用いる筋電位測定装置では、電極間距離が最適に設定されているとは限らず、測定感度の向上には限界がある。また、例えば各電極が独立した湿式の電極を用いる筋電位測定装置では、電極間距離を変化させることが可能であるものの、測定の度に電極間距離を調整する必要が生じ、効率的な筋電位測定が阻害される。
【0007】
さらに、装着バンドに電極が配置される形式の筋電位測定装置では、通常、装着バンドが伸縮可能であるため、適切な電極間距離を保つことが困難であるとともに、測定中にも電極間距離が変動してしまう恐れがある。このように、筋電位測定装置の電極間距離を適切な状態にするのは困難であり、結果として、筋電位の測定感度を十分に向上させることが困難となっている。
【0008】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、筋電位の測定感度を十分に向上させることができる筋電位測定装置及び筋電位測定用カードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願が開示する筋電位測定装置は、1つの態様において、パッドが形成された複数の配線を有する測定用カードと、前記複数の配線のうち一部の配線のパッドにそれぞれ接続される複数の電極と、前記測定用カードと脱着可能に接続され、前記複数の電極の一端が接触する測定対象において発生する電位を測定する処理回路とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本願が開示する筋電位測定装置及び筋電位測定用カードの1つの態様によれば、筋電位の測定感度を十分に向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る筋電位測定装置の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る筋電位測定装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係る筋電位測定装置の構成を示す他の斜視図である。
【
図4】
図4は、カード基板の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、測定用カードの構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、電極の取り付けを説明する図である。
【
図9】
図9は、カード基板の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願が開示する筋電位測定装置及び筋電位測定用カードの一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、一実施の形態に係る筋電位測定装置100の外観を示す図である。
図1に示す筋電位測定装置100は、筐体110、測定用カード120及び電極130を有する。
【0014】
筐体110は、測定用カード120に接続するコネクタ及び処理回路を収容するケース部材である。筐体110の一面には、測定用カード120を挿抜可能な挿入口110aが形成されており、筋電位測定装置100は、挿入口110aに測定用カード120が挿入された状態で筋電位を測定する。
【0015】
測定用カード120は、一端が筐体110の挿入口110aに挿入可能になっており、一端が挿入口110aに挿入されると、他端は筐体110から突出する。そして、筐体110から突出する他端側には、それぞれ電極130を固定可能な複数の固定部が形成されており、適切な電極間距離となるように選択された固定部に電極130が固定されている。電極が固定されない固定部は、絶縁フィルムによって被覆されている。
【0016】
電極130は、測定用カード120の固定部に固定され、測定用カード120から遠い側の端面が例えば円形の平面となった導電性の部材である。この円形の平面は、測定対象の筋肉付近の皮膚に接触する接触面であり、接触面が測定対象の筋肉付近の皮膚に接触すると、筋電位に応じた電流が電極130に流れる。測定用カード120の表面から接触面までの高さは、測定用カード120の表面から筐体110の上面までの高さよりも高く、
図1において、電極130の接触面が最も高い位置にある。
【0017】
電極130は、測定用カード120に形成される複数の固定部のうち、電極間距離が適切となる固定部に固定される。すなわち、2個又は3個の電極130は、測定対象の筋肉に応じて電極間距離が最適となるように選択された固定部に固定される。そして、電極130が固定された測定用カード120が筐体110の挿入口110aに挿入されることにより、測定対象の筋肉の筋電位を感度良く測定することができる。また、他の筋肉の筋電位を測定する場合には、挿入口110aに挿入された測定用カード120を他の筋肉に合わせて電極間距離が調整された測定用カード120に挿し替えることにより、他の筋肉の筋電位も容易に測定することができる。
【0018】
図2、3は、筐体110を除く筋電位測定装置の構成を示す斜視図である。
図2は、電極130が固定される面の斜視図であり、
図3は、電極130が固定される面とは反対側の面の斜視図である。
【0019】
図2に示すように、測定用カード120は、カード基板121にレジスト層122が積層されて形成されている。カード基板121には、複数の配線が形成されており、各配線の一端にはコネクタ150と接続するパッドが形成されている。すなわち、コネクタ150の複数の端子150aは、それぞれカード基板121の一端に形成されたパッドに接続される。カード基板121は、一辺が例えば20~70mmの長方形状を有する。
【0020】
レジスト層122は、レジスト材料からなり、カード基板121に積層される絶縁層である。レジスト層122は、端子150aに接続するパッド部分を除く配線を被覆する。レジスト層122の中央には、電極130をカード基板121の配線に接続するための開口が形成されている。すなわち、電極130が固定される複数の固定部において、レジスト層122を貫通する開口が形成されており、この開口からカード基板121に形成された配線の一部が露出する。電極130は、レジスト層122の開口を貫通してカード基板121の配線に接続し、筋電位によって発生する電流が電極130からカード基板121の配線を介してコネクタ150へ流れるようになっている。
【0021】
電極130は、測定用カード120の固定部に固定可能な導電性の部材である。すなわち、電極130は、レジスト層122の開口から露出するカード基板121の配線に、例えば銀ペーストなどの導電性接着剤を用いて接着される。電極130が固定される固定部は、測定対象の筋肉に応じて電極間距離が適切となるように選択された固定部であり、測定用カード120ごとに電極130の配置を変更することが可能である。
【0022】
絶縁フィルム140は、測定用カード120の固定部に貼付された絶縁性の部材である。すなわち、絶縁フィルム140は、測定用カード120の固定部のうち、電極130が固定されない固定部に貼付され、レジスト層122の開口を被覆する。これにより、電極130が固定されない固定部において、レジスト層122の開口からカード基板121の配線の一部が露出することがない。
【0023】
コネクタ150は、筐体110の内部において測定用カード120と脱着可能に接続し、測定用カード120から流れる電流を処理回路まで伝送する。すなわち、コネクタ150には、カード基板121の配線それぞれに対応する端子150aが設けられており、測定用カード120が筐体110の挿入口110aへ挿入されると、各配線のパッドに端子150aが接続して、配線ごとの電流がコネクタ150の裏面に搭載される処理回路160まで流れる。
【0024】
図3に示すように、コネクタ150の裏面には処理回路160が搭載されており、処理回路160は、カード基板121から流れる電流の大きさを測定することにより、筋電位を測定する。処理回路160は、回路基板161とIC(Integrated Circuit)チップ162とを有する。回路基板161は、コネクタ150の裏面に搭載され、各種の部品が実装される基板である。ICチップ162は、回路基板161に実装され、カード基板121から流れる電流の大きさを測定することにより、筋電位を測定する。
【0025】
なお、処理回路160は、ICチップ162の他にも、筋電位の測定値を無線で送信するRF(Radio Frequency)ICや、バッテリなどの電源部を有していても良い。
【0026】
次に、測定用カード120の構成について詳細に説明する。
図4は、測定用カード120が有するカード基板121の構成を示す斜視図である。
【0027】
カード基板121の表面には、複数の配線210が形成されている。各配線210の一端には、コネクタ150の端子150aと接続するパッド210aが形成され、他端には、電極130と接続するパッド210cが形成される。そして、パッド210a及びパッド210cは、線状配線210bによって接続される。配線210は、例えばフォトリソグラフィを用いて銅又は銅合金などの導電体のパターン形成をすることにより形成されても良い。
【0028】
コネクタ150に接続するパッド210aは、カード基板121の一端に並んで形成される。これに対して、電極130に接続するパッド210cは、必ずしも並んで形成されることはなく、例えば隣接する配線210のパッド210cが、パッド210aにより近い位置又はパッド210aからより遠い位置に形成されても良い。すなわち、各配線210の線状配線210bの長さが異なっていても良い。また、各配線210の線状配線210bは、必ずしも直線状でなくても良く、折れ曲がり形状や曲線形状であっても良い。これに伴って、各配線210のパッド210cの配置を柔軟に設定することができ、多様な電極間距離を実現する測定用カード120を形成することができる。
【0029】
図5は、カード基板121にレジスト層122を積層して形成される測定用カード120の構成を示す斜視図である。
【0030】
レジスト層122は、カード基板121のパッド210a部分を除く配線210を被覆する。そして、カード基板121のパッド210c部分には、レジスト層122に開口122aが形成されている。開口122aは、パッド210cに接続する電極130の基端部の断面形状に応じた形状を有しているため、電極130がパッド210cに接続される際に電極130の位置合わせをすることができる。
【0031】
開口122aは、レジスト層122を貫通してカード基板121のパッド210cを露出させるが、パッド210cには、半硬化状態の導電性接着剤220が塗布されている。導電性接着剤220は、例えば金又は銀などの導電性フィラーを含有するエポキシ樹脂をペースト状にしたもので、例えば80~100℃程度の硬化温度で加熱されると硬化する。なお、電極130を測定用カード120に固定する際には、測定用カード120が導電性接着剤220の硬化温度にまで加熱されるため、レジスト層122及び絶縁フィルム140などの材料は、硬化温度に耐え得る耐熱性を有するのが好ましい。
【0032】
各開口122aから露出するパッド210cに、半硬化状態の導電性接着剤220が塗布されることにより、それぞれのパッド210cに容易に電極130を接続することが可能となる。また、内部に導電性接着剤220が塗布される開口122a周辺には、絶縁フィルム140が貼付される。すなわち、各パッド210cに塗布されて開口122a内に充填される導電性接着剤220が絶縁フィルム140によって被覆される。これにより、レジスト層122の表面に導電体が露出することがなく、カード基板121の配線210及び導電性接着剤220を含む導電体を保護することができるとともに、測定用カード120に電極130が固定された場合の短絡を防止することができる。
【0033】
このように構成された測定用カード120が使用されて筋電位が測定される場合には、測定対象の筋肉に適合する適切な電極間距離に対応する一部のパッド210cが選択される。そして、選択された一部のパッド210cの位置における開口122aを被覆する絶縁フィルム140が剥離され、開口122aに電極130の基端部が挿入された状態で加熱されることにより、開口122a内の導電性接着剤220が硬化する。これにより、適切な電極間距離を空けて配置される電極130が測定用カード120に固定される。そして、電極130が固定された測定用カード120がパッド210a側から筐体110へ挿入されることにより、測定用カード120が処理回路160に接続され、電極130を皮膚に接触させて筋電位を測定する筋電位測定装置が得られる。
【0034】
図6は、電極130の形状を示す図である。電極130は、皮膚に接触する接触面を有する大径の平面部130aと、平面部130aよりも小径の基端部130bとを有する。
【0035】
平面部130aは、例えば直径が10mm程度の円形の接触面を有する。これに対して、平面部130aを支持する基端部130bは、例えば底面の直径が5mm程度の円柱形状を有する。電極130は、
図6に示す形状に成形された樹脂の表面に銀/塩化銀処理を施すことにより形成されても良いし、全体が例えばSUS(ステンレス鋼)などの導電体から形成されても良い。
【0036】
このような形状の電極130は、例えば
図7に示すように、基端部130bがレジスト層122の開口122aに挿入され、半硬化状態の導電性接着剤220に接触する。そして、電極130が導電性接着剤220の方向へ加圧された状態で、導電性接着剤220が硬化温度まで加熱されることにより、電極130が測定用カード120に固定される。すなわち、電極130は、カード基板121のパッド210cと電気的に接続される。
【0037】
なお、電極130は、必ずしも導電性接着剤220によってパッド210cに固定されなくても良い。すなわち、電極130は、例えばボタンやクリップ等の機械的手段によってパッド210cに固定されても良い。具体的には、例えば電極130の基端部130bの底面とパッド210cとにそれぞれ凸ボタン及び凹ボタンを形成し、凸ボタンが凹ボタンに嵌合することによって電極130がパッド210cに固定されても良い。また、例えば電極130の基端部130bを突起を挟持可能なクリップ状に形成するとともに、パッド210cに突起を形成し、電極130の基端部130bがパッド210cの突起を挟持することによって電極130がパッド210cに固定されても良い。
【0038】
1つの測定用カード120には、2個又は3個の電極130が固定される。このとき、カード基板121に形成される複数のパッド210cのうち、電極間距離が適切となるパッド210cに電極130が接続される。本実施の形態に係るカード基板121には、4つの配線210が形成され、パッド210cも4つ形成されているため、このうちの2つ又は3つのパッド210cに電極130が接続される。
【0039】
具体的には、例えば短い2つの配線210のパッド210cが測定対象の筋肉に応じた適切な電極間距離に対応する位置にある場合には、
図8(a)に示すように、これらのパッド210cに電極130が接続される。また、例えば両端の配線210のパッド210cが測定対象の筋肉に応じた適切な電極間距離に対応する位置にある場合には、
図8(b)に示すように、これらのパッド210cに電極130が接続される。さらに、1個の接地電極を含む3個の電極130を使用する場合には、例えば
図8(c)に示すように、3つのパッド210cに電極130が接続される。
【0040】
このように、測定用カード120にそれぞれ電極130を接続可能な複数の配線210が形成され、各配線210のパッド210cに導電性接着剤220によって電極130を接続することが可能となっている。このため、測定対象の筋肉に応じた適切な電極間距離を実現する配線210のパッド210cに容易に電極130を固定し、筋電位の測定感度を十分に向上させることができる。また、初回測定時に測定用カード120に電極130が固定されれば、同じ筋肉の2回目以降の測定時には電極130の位置を調整する必要がなく、効率的に筋電位を測定することができる。
【0041】
以上のように、本実施の形態によれば、カード基板にそれぞれ電極を接続可能な複数の配線が形成され、各配線の一端に電極接続用のパッドが形成され、パッドに半硬化状態の導電性接着剤が塗布された状態の測定用カードが提供される。このため、測定対象の筋肉に応じた最適な電極間距離となるように複数の電極を測定用カードのパッドに接続し、この測定用カードをコネクタを介して処理回路に接続することで、筋電位を測定することができる。このとき、測定対象の筋肉に応じた電極間距離となるように電極が配置されているため、筋電位の測定感度を十分に向上させることができる。
【0042】
なお、測定用カード120は、例えばSDメモリカードなどの規格に従ったサイズを有していても良い。この場合、例えば
図9に示すように、カード基板121上の規格に従った位置にコネクタ接続用のパッド210aが形成され、それぞれのパッド210aに線状配線210bを介して電極接続用のパッド210cが形成される。ここでは、カード基板121に9の配線210が形成されている。
【0043】
電極130は、例えば
図10に示すように、測定用カード120の配線210が形成される面とは反対側の面に固定されるようにしても良い。すなわち、カード基板121のパッド210cの裏面にも電極接続用のパッドが形成され、両面のパッドがビアによって接続されることにより、パッド210a及び線状配線210bが形成される面の裏面に電極130を固定することができる。そして、電極130が固定された測定用カード120が、規格に従った形状のコネクタに接続されることにより、上記一実施の形態と同様に、筋電位の測定感度を向上させる筋電位測定装置を形成することができる。
【0044】
なお、上記一実施の形態においては、筐体110に1枚の測定用カード120が挿入されるものとしたが、筐体110に複数の挿入口110aを形成し、複数の測定用カード120が同時に挿入されるようにすることも可能である。こうすることにより、複数の部位の筋肉の筋電位を同時に測定することが可能となる。
【0045】
また、上記一実施の形態においては、パッド210cに半硬化状態の導電性接着剤220が塗布されるものとしたが、導電性接着剤220は、電極130の基端部130bの底面に塗布されても良い。こうすることにより、電極130が接続されないパッド210cに導電性接着剤220が付着することがなく、不要な導電性接着剤220の使用を回避することができる。
【符号の説明】
【0046】
110 筐体
110a 挿入口
120 測定用カード
121 カード基板
122 レジスト層
122a 開口
130 電極
130a 平面部
130b 基端部
140 絶縁フィルム
150 コネクタ
150a 端子
160 処理回路
210a、210c パッド
210b 線状配線
220 導電性接着剤