(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170591
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】電界強度測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 29/08 20060101AFI20221102BHJP
G01R 29/10 20060101ALI20221102BHJP
H01Q 1/28 20060101ALI20221102BHJP
H01Q 3/04 20060101ALI20221102BHJP
H01Q 19/24 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G01R29/08 B
G01R29/10 A
H01Q1/28
H01Q3/04
H01Q19/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076835
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(71)【出願人】
【識別番号】502003390
【氏名又は名称】株式会社ウイル
(71)【出願人】
【識別番号】505035954
【氏名又は名称】古河C&B株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信之
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 一仁
(72)【発明者】
【氏名】川井 陽史
(72)【発明者】
【氏名】平田 真一
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 嘉徳
(72)【発明者】
【氏名】山本 繁
(72)【発明者】
【氏名】糸原 洋行
(72)【発明者】
【氏名】江頭 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】武藤 正晴
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J020AA01
5J020AA02
5J020BD04
5J020DA03
5J021AA01
5J021AA02
5J021AB02
5J021BA07
5J021DA04
5J021HA05
5J046AB07
5J046KA00
5J046KA05
(57)【要約】
【課題】三次元的な電界強度分布を得ることができるとともに受信部の指向性への影響を低減することができる電界強度測定装置を提供する。
【解決手段】電界強度測定装置1は、飛行体2と、飛行体2に搭載される測定ユニット3と、を備えたものであって、測定ユニット3は、電波を受信可能な受信部としての地デジ受信アンテナ31と、地デジ受信アンテナ31の受信情報に基づいて電界強度を測定する測定部本体としてのスペアナ32と、自己位置情報を取得する位置取得部としてのGPS装置321と、を有し、地デジ受信アンテナ31は、帯状の第1給電素子311と、帯状の第2給電素子312と、帯状の無給電素子313と、を有し、第1給電素子311と第2給電素子312と無給電素子313とは、この順番で互いに間隔を開けつつ平行に並べられ、長手方向において、第1給電素子311が第2給電素子312よりも寸法が大きく、第2給電素子312が無給電素子313よりも寸法が大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体と、該飛行体に搭載される測定ユニットと、を備えた電界強度測定装置であって、
前記測定ユニットは、電波を受信可能な受信部と、該受信部の受信情報に基づいて電界強度を測定する測定部本体と、自己位置情報を取得する位置取得部と、を有し、
前記受信部は、帯状の第1給電素子と、帯状の第2給電素子と、帯状の無給電素子と、を有し、
前記第1給電素子と前記第2給電素子と前記無給電素子とは、この順番で互いに間隔を開けつつ平行に並べられ、長手方向において、前記第1給電素子が前記第2給電素子よりも寸法が大きく、前記第2給電素子が前記無給電素子よりも寸法が大きいことを特徴とする電界強度測定装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記第1給電素子と前記第2給電素子と前記無給電素子とが並ぶ方向に沿った回転軸を中心に少なくとも90°回転可能なように、前記飛行体に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電界強度測定装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記第1給電素子と前記第2給電素子と前記無給電素子とが配置される保持板部を有し、
前記保持板部には、貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電界強度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界強度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、放送送信用等のアンテナは、出荷時に特性が測定されるものの、実際に設置された際に特性が変化する可能性があった。そこで、電測車に電界強度測定器を搭載して走行させることにより、アンテナの電界強度分布を測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された方法では、電測車にGPS受信機を搭載しておき、測定した電界強度のデータと位置データとを関連付けるデータ処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、地上における電界強度の分布を得ることはできても、三次元的な電界強度の分布を得ることはできなかった。そこで、ドローン等の飛行体に電界強度測定器を搭載する方法が考えられるものの、電界強度測定器のアンテナ(受信部)の指向性に対し、飛行のためのプロペラ部等が影響を与えてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、三次元的な電界強度分布を得ることができるとともに受信部の指向性への影響を低減することができる電界強度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電界強度測定装置は、飛行体と、該飛行体に搭載される測定ユニットと、を備えた電界強度測定装置であって、前記測定ユニットは、電波を受信可能な受信部と、該受信部の受信情報に基づいて電界強度を測定する測定部本体と、自己位置情報を取得する位置取得部と、を有し、前記受信部は、帯状の第1給電素子と、帯状の第2給電素子と、帯状の無給電素子と、を有し、前記第1給電素子と前記第2給電素子と前記無給電素子とは、この順番で互いに間隔を開けつつ平行に並べられ、長手方向において、前記第1給電素子が前記第2給電素子よりも寸法が大きく、前記第2給電素子が前記無給電素子よりも寸法が大きいことを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る電界強度測定装置では、前記受信部は、前記第1給電素子と前記第2給電素子と前記無給電素子とが並ぶ方向に沿った回転軸を中心に少なくとも90°回転可能なように、前記飛行体に取り付けられている。
【0008】
本発明の一態様に係る電界強度測定装置では、前記受信部は、前記第1給電素子と前記第2給電素子と前記無給電素子とが配置される保持板部を有し、前記保持板部には、貫通孔が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電界強度測定装置によれば、三次元的な電界強度分布を得ることができるとともに受信部の指向性への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置のブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置の受信部の斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置においてプロペラ部が回転していない状態の受信部の側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置においてプロペラ部が回転している状態の受信部の側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置においてプロペラ部が回転していない状態の受信部の平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置においてプロペラ部が回転している状態の受信部の平面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置において垂直偏波に対応した状態における受信部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置1のブロック図であり、
図2は、電界強度測定装置1の受信部としての地デジ受信アンテナ31の斜視図であり、
図3は、電界強度測定装置1においてプロペラ部が回転していない状態の地デジ受信アンテナ31の側面図であり、
図4は、電界強度測定装置1においてプロペラ部が回転している状態の地デジ受信アンテナ31の側面図であり、
図5は、電界強度測定装置1においてプロペラ部が回転していない状態の地デジ受信アンテナ31の平面図であり、
図6は、電界強度測定装置1においてプロペラ部が回転している状態の地デジ受信アンテナ31の平面図であり、
図7は、電界強度測定装置1において垂直偏波に対応した状態における地デジ受信アンテナ31の側面図である。
【0013】
図1,2に示すように、本発明の実施の形態に係る電界強度測定装置1は、飛行体2と、飛行体2に搭載される測定ユニット3と、を備えたものであって、測定ユニット3は、電波を受信可能な受信部としての地デジ受信アンテナ31と、地デジ受信アンテナ31の受信情報に基づいて電界強度を測定する測定部本体としてのスペアナ32と、自己位置情報を取得する位置取得部としてのGPS装置321と、を有し、地デジ受信アンテナ31は、帯状の第1給電素子311と、帯状の第2給電素子312と、帯状の無給電素子313と、を有し、第1給電素子311と第2給電素子312と無給電素子313とは、この順番で互いに間隔を開けつつ平行に並べられ、長手方向において、第1給電素子311が第2給電素子312よりも寸法が大きく、第2給電素子312が無給電素子313よりも寸法が大きい。以下、電界強度測定装置1について具体的に説明する。
【0014】
電界強度測定装置1は、例えば地上波デジタル放送の送信所や中継局等に設置された放送用送信アンテナの指向性パターンを測定するためのものである。尚、以下では、電界強度測定装置1の測定結果が記憶部としてのSDカード322に記憶されるものとするが、例えば測定結果を外部装置に対して無線通信により送信してもよい。また、電界強度測定装置1によって外部に出力される情報は、処理前の測定結果であってもよいし、所定の処理が施された情報(例えば電界強度マップ)であってもよい。
【0015】
飛行体2は、例えばドローンであって、ドローン本体21と、ドローン本体に搭載されたカメラ22と、を有し、無人遠隔操縦が可能となっている。ドローン本体21は、複数のプロペラ部を有し、各々のプロペラ部の回転数を独立に制御することにより、飛行体2の姿勢や移動速度等を調節することができるようになっている。複数のプロペラ部は、互いに略平行な回転軸を有しており、これらの回転軸が鉛直方向に略一致した状態を、飛行体2の通常姿勢と呼ぶ。以下では、飛行体2における回転軸の方向(上下方向)をZ方向とし、Z方向に直交する平面における一方向をX方向とし、Z方向及びX方向の両方に直交する方向をY方向とする。即ち、X方向、Y方向及びZ方向は、飛行体2を基準として決まるものであり、鉛直方向や水平面とは関係なく決まるものである。
【0016】
測定ユニット3は、電波を受信可能な受信部としての地デジ受信アンテナ31と、地デジ受信アンテナの受信情報に基づいて電界強度を測定する測定部本体としてのスペアナ(電測機)32と、を有する。スペアナ32には、自己位置情報を取得する位置取得部としてのGPS装置321と、着脱可能な記憶部としてのSDカード322と、が設けられている。
【0017】
地デジ受信アンテナ31は、
図2に示すように、2つのアンテナ部31A,31Bを有し、アンテナ部31A,31Bはそれぞれ、帯状の第1給電素子311と、帯状の第2給電素子312と、帯状の無給電素子313と、これらの素子311~313が配置される保持板部314と、第1給電素子311と第2給電素子312とを接続する接続線315と、を有する。地デジ受信アンテナ31は、飛行体2に対し、X方向に沿った回転軸を中心に90°回転可能に取り付けられている。尚、地デジ受信アンテナ31は、90°以上回転可能であってもよい。以下では、水平偏波に対応した状態と、垂直偏波に対応した状態と、を区別して説明する。
【0018】
図2には、水平偏波に対応した状態を示す。保持板部314は、平板状に形成されるとともにXY平面に沿うように設けられ、これに配置される帯状の素子311~313もXY平面に沿ったものとなる。また、素子311~313の長手方向はY方向に一致する。第1給電素子311と第2給電素子312と無給電素子313とは、この順番で互いに間隔を開けつつ平行に並べられている。即ち、第1給電素子311と第2給電素子312と無給電素子313とは、X方向を並び方向としている。飛行体2が通常姿勢となった際、素子311~313の並び方向は、水平面内の一方向となる。第1給電素子311のY方向寸法が第2給電素子312のY方向寸法よりも大きく、第2給電素子312のY方向寸法が無給電素子313のY方向寸法よりも大きくなっている。
【0019】
2つのアンテナ部31A,31Bの保持板部314同士は、Z方向に間隔を開けつつ平行に配置されており、これらの間に適宜に柱部材等が設けられていてもよい。保持板部314のうち素子311~313が設けられない非配置領域には、複数の貫通孔314Aが形成されている。尚、
図2以外においては貫通孔314Aの図示を省略している。貫通孔は1つのみであってもよいし、その数は限定されない。また、貫通孔の形状は、円形であってもよいし、多角形状等の他の形状であってもよい。
【0020】
図2に示すような状態から地デジ受信アンテナ31を90°回転させると、垂直偏波に対応した状態になる。即ち、素子311~313及び保持板部314がZX平面に沿った状態となる(
図7参照)。
【0021】
以上のような電界強度測定装置1は、飛行体2によって移動しつつ測定ユニット3によって測定を行うことで、測定位置を変化させつつ電界強度を測定することができるようになっている。このとき、GPS装置321によって得られた自己位置情報(三次元情報)と、スペアナ32によって得られた測定情報と、が関連付けられてSDカード322に記憶される。尚、飛行体2の飛行経路は適宜に設定されればよく、例えば飛行体2を同一の高さで旋回させつつ測定してもよいし、飛行体2を鉛直方向にのみ移動させて測定してもよいし、これらの動作を組み合わせてもよい。
【0022】
上記のように飛行体2を飛行させつつ電界強度を測定する場合における地デジ受信アンテナ31の指向性について
図3~7を参照して説明する。
図3,5には、飛行体2のプロペラ部が回転せず飛行していない状態を示し、
図4,6には、プロペラ部が回転し飛行している状態を示す。また、
図3,4はY方向から見た様子を示し、
図5,6はZ方向から見た様子を示す。
図3,4において、アンテナ部31Aよりも上側にプロペラ部が位置し、
図5,6において、地デジ受信アンテナ31を左右から挟むような位置にプロペラ部が位置する。いずれも、地デジ受信アンテナ31は水平偏波に対応した配置となっている。
【0023】
素子311~313が上記のような配置及び寸法の関係を有していることから、地デジ受信アンテナ31の指向性が集中し、プロペラ部が回転することで指向性が若干変化するものの、並び方向であるX方向への指向性を維持しやすくなっている。
【0024】
図7に、地デジ受信アンテナ31を垂直偏波に対応した配置とし、プロペラ部が回転していない場合のアンテナの指向性を示す。この場合も同様に、プロペラ部が回転しても、地デジ受信アンテナ31の指向性が変化しにくくなっている。
【0025】
以上のような本発明の実施形態に係る電界強度測定装置1によれば、第1給電素子311と第2給電素子312と無給電素子313とが、この順番で互いに間隔を開けつつ対向するように並べられ、この並び方向(X方向)と直交する方向において、第1給電素子311が第2給電素子312よりも寸法が大きく、第2給電素子312が無給電素子313よりも寸法が大きいことで、三次元的な電界強度分布を得ることができるとともに受信部としての地デジ受信アンテナ31の指向性への影響を低減することができる。
【0026】
また、地デジ受信アンテナ31が飛行体2に対してX方向を回転軸方向として少なくとも90°回転可能に取り付けられていることで、水平偏波及び垂直偏波の両方に対応することができる。
【0027】
また、保持板部314の被保持領域に貫通孔314Aが形成されていることで、地デジ受信アンテナ31を軽量化し、空力特性を向上させることができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施形態に係る電界強度測定装置に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0029】
例えば、前記実施形態では、地デジ受信アンテナ31が飛行体2に対してX方向を回転軸方向として少なくとも90°回転可能に取り付けられているものとしたが地デジ受信アンテナは飛行体に対して回転不能であってもよい。即ち、水平偏波又は垂直偏波のいずれか一方のみに対応した電界強度測定装置としてもよいし、飛行体の姿勢を調節することで水平偏波と垂直偏波との両方に対応するようにしてもよい。
【0030】
また、前記実施形態では、保持板部314の被保持領域に貫通孔314Aが形成されているものとしたが、貫通孔の有無は、例えば保持板部の材質や強度等によって適宜に選択されればよい。また、給電素子及び無給電素子を保持するための構成は、保持板部を用いたものに限定されない。
【符号の説明】
【0031】
1…電界強度測定装置、2…飛行体、3…測定ユニット、31…地デジ受信アンテナ(受信部)、311…第1給電素子、312…第2給電素子、313…無給電素子、314…保持板部、314A…貫通孔、32…スペアナ(測定部本体)、321…GPS装置(位置取得部)