(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171459
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ロータリーキルンの閉塞低減方法、熱処理装置
(51)【国際特許分類】
F27B 7/20 20060101AFI20221104BHJP
F27D 25/00 20100101ALI20221104BHJP
C22B 1/02 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F27B7/20
F27D25/00
C22B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078121
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大志
【テーマコード(参考)】
4K001
4K056
4K061
【Fターム(参考)】
4K001AA19
4K001AA30
4K001BA02
4K001CA16
4K001DA05
4K001GA07
4K001HA01
4K001HA11
4K056AA12
4K056AA16
4K056BA06
4K056BB01
4K056CA07
4K056CA08
4K056EA06
4K061AA08
4K061BA01
4K061BA02
4K061BA09
4K061DA01
4K061EA06
4K061GA09
4K061HA07
(57)【要約】
【課題】ロータリーキルンが閉塞することを低減できるロータリーキルンの閉塞低減方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ロータリーキルンの長手方向の両端部間にスクープフィーダを有しており、前記スクープフィーダを介して前記ロータリーキルン内に融着防止剤を投入する融着防止剤添加工程を有するロータリーキルンの閉塞低減方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーキルンの長手方向の両端部間にスクープフィーダを有しており、前記スクープフィーダを介して前記ロータリーキルン内に融着防止剤を投入する融着防止剤添加工程を有するロータリーキルンの閉塞低減方法。
【請求項2】
前記融着防止剤が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムから選択された1種類以上を含む請求項1に記載のロータリーキルンの閉塞低減方法。
【請求項3】
融着防止剤添加工程を行う際に、前記スクープフィーダを介して前記ロータリーキルン内に石炭も投入する請求項1または請求項2に記載のロータリーキルンの閉塞低減方法。
【請求項4】
前記融着防止剤添加工程において、前記ロータリーキルン内に空気も併せて供給する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータリーキルンの閉塞低減方法。
【請求項5】
ロータリーキルンと、
前記ロータリーキルンの長手方向の両端部間に配置されたスクープフィーダと、
前記スクープフィーダに設けられた融着防止剤を供給する融着防止剤供給手段と、を有する熱処理装置。
【請求項6】
前記融着防止剤が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムから選択された1種類以上を含む請求項5に記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記スクープフィーダに設けられた石炭を供給する石炭供給手段を有する請求項5または請求項6に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記スクープフィーダに設けられた空気を供給する空気供給手段を有する請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーキルンの閉塞低減方法、熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱石の乾燥、還元処理や、セメント等の各種セラミックス材料の製造にロータリーキルンが用いられている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータリーキルンは略円筒形状を有しており、通常、一方の端部側から原料である被処理物を投入し、他方の端部側からバーナー等の加熱手段で加熱される。ロータリーキルンは他方の端部側が低くなるように配置され、中心軸を軸として回転することで、投入された被処理物は他方の端部側へと徐々に移動しながら加熱される。そして、他方の端部側に設けられた排出口から、熱処理を終え、得られた生成物が排出されることになる。
【0005】
ところで、ロータリーキルンを操業する際、加熱手段によりロータリーキルン内部に形成された高温領域の温度が、被処理物中の物質の融点近傍になると、ロータリーキルンの内壁に被処理物が付着し、リング状の付着物が形成される場合がある。係るリング状の付着物が形成されると、ロータリーキルン内の被処理物が流動しにくくなり、該リング状の付着物が成長し、最終的には閉塞に至り操業ができなくなる場合もあった。
【0006】
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、ロータリーキルンが閉塞することを低減できるロータリーキルンの閉塞低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
ロータリーキルンの長手方向の両端部間にスクープフィーダを有しており、前記スクープフィーダを介して前記ロータリーキルン内に融着防止剤を投入する融着防止剤添加工程を有するロータリーキルンの閉塞低減方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ロータリーキルンが閉塞することを低減できるロータリーキルンの閉塞低減方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る熱処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いながら説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[ロータリーキルンの閉塞低減方法]
リング状の付着物の成長を抑制し、ロータリーキルンの閉塞を防止する方法として、リング状の付着物の形成が認められた段階で融着防止剤を添加する方法が考えられる。
【0011】
融着防止剤を添加する方法として、例えば原料である被処理物と共にロータリーキルンの炉内に原料を投入する投入口から投入する方法や、ロータリーキルンを加熱するバーナーから吹き込む方法が考えられる。
【0012】
しかしながら、リング状の付着物はロータリーキルンの長手方向の途中に形成されるため、投入口や、バーナー側から融着防止剤を投入した場合、該リング状の付着物が形成された部分に融着防止剤が到達するまでに多くの時間を要する。このため、融着防止剤がリング状の付着物が形成されている部分に到達する前にリング状の付着物の成長が十分に進行し、ロータリーキルンの閉塞を低減する効果が十分に得られないという問題がある。
【0013】
そこで、本実施形態のロータリーキルンの閉塞低減方法は、ロータリーキルンの長手方向の両端部間にスクープフィーダを有しており、スクープフィーダを介してロータリーキルン内に融着防止剤を投入する融着防止剤添加工程を有することができる。
【0014】
本実施形態のロータリーキルンの閉塞低減方法によれば、ロータリーキルンの途中に設けたスクープフィーダを介してロータリーキルン内に融着防止剤を投入できる。このため、例えばリング状の付着物の形成が認められた段階で融着防止剤を添加しても、該リング状の付着物が形成されている部分に融着防止剤を短時間で供給できる。その結果、リング状の付着物の成長を抑制し、ロータリーキルンが閉塞することを効果的に抑制できる。
【0015】
本実施形態のロータリーキルンの閉塞低減方法を好適に適用できる熱処理装置の構成を説明した後、本実施形態の融着防止剤添加工程について説明する。
(1)熱処理装置
本実施形態のロータリーキルンの閉塞低減方法を好適に実施できるロータリーキルンを含む熱処理装置の構成例について、
図1、
図2を用いて説明する。
図1は熱処理装置10の斜視図であり、
図2は
図1のA-A´線での断面図である。
(1-1)ロータリーキルンについて
図1に示した熱処理装置10は、ロータリーキルン100を有している。ロータリーキルン100の炉体となる胴体部101は、略円筒形状を有しており、該胴体部101は、中心軸CAを回転軸として回転可能に構成されている。ロータリーキルン100は、長手方向の一方の端部である導入端102から、長手方向の他方の端部である排出端103に向かって下方に傾斜して設けられている。このため、導入端102側から導入した原料である被処理物は、回転する胴体部101の内部を排出端側へと移動する。後述するように、排出端103側にはバーナー104が設けられており、バーナー104で焚かれた化石燃料の燃焼熱が、被処理物の移動方向とは逆に、すなわち排出端103の側から導入端102の側へと移動することで、被処理物を向流加熱する。
【0016】
ロータリーキルン100は、長手方向の一方の端部である導入端102に、投入口1021を有しており、該投入口1021から胴体部101の内部に被処理物を投入できる。
【0017】
ロータリーキルン100の長手方向の他方の端部である排出端103には、排出口1031である排出用のシュートが設けられており、胴体部101の内部で熱処理を終えた被処理物を排出できるように構成できる。熱処理を終えた被処理物は必要に応じて他の処理を行う電気炉等の装置へと搬送できる。また、排出端103には、バーナー104が設けられており、重油等の化石燃料を燃焼させ、ロータリーキルン100の胴体部101の内部に投入した被処理物等を加熱できる。
(1-2)スクープフィーダについて
熱処理装置10は、ロータリーキルン100の途中、すなわち導入端102と、排出端103との間に、スクープフィーダを有することができる。
図2にスクープフィーダが設けられた位置の断面、すなわちA-A´線での断面図を示す。
【0018】
図2に示すように、ロータリーキルン100は、回転する胴体部101と、胴体部101を覆う外殻部110とを有することができる。なお、外殻部110は、胴体部101の表面全体を覆うように設ける必要は無く、例えば
図1に示すように、スクープフィーダを設ける箇所等、必要な箇所にのみ設けることもできる。
【0019】
胴体部101内には、投入口1021から投入された被処理物21が導入され、胴体部101の回転に伴って排出端103側へと移動できる。
【0020】
胴体部101と外殻部110との間に空間部120が形成されており、外殻部110に設けられた添加剤供給口111を介して、空間部120に融着防止剤を供給できる。添加剤供給口111には、必要に応じて各種添加剤を供給する添加剤供給手段221を接続しておくことができる。
【0021】
添加剤供給手段221は、融着防止剤を供給する融着防止剤供給手段とすることができる。
【0022】
なお、熱処理装置10では、例えば還元処理等を行うこともできる。このため、添加剤供給手段221は、さらに還元剤供給手段を有することもできる。また、添加剤供給手段221は、例えば融着防止剤と、還元剤とを予め混合した添加剤を供給する1つの添加剤供給手段であってもよい。
【0023】
添加剤供給手段221の構成は特に限定されず、添加剤供給口111側に設けられた開口部の開度を添加剤の供給量にあわせて調整可能に構成し、該開口部を介して自由落下する添加剤の供給量を調整できるようにしてもよい。また、例えばスクリューコンベア等の搬送手段を有し、該搬送手段による添加剤の搬送速度を調整可能とし、該搬送速度により添加剤の供給量を調整できるように構成してもよい。
【0024】
スクープフィーダ130は、例えば先端部131と、直線部132との間が屈曲したL字形状の管で形成できる。スクープフィーダ130は、胴体部101と共に、例えば
図2中、矢印で示すように、時計回り(右回り)に回転できる。係る回転の際に、先端部131で空間部120に供給された添加剤22を掬い上げ、掬い上げた添加剤22を直線部132内に通過させて胴体部101内にフィードできる。
【0025】
ロータリーキルン100において、スクープフィーダを設ける箇所は特に限定されず、ロータリーキルン100の胴体部101内部の温度分布等に応じて任意の場所に設けることができる。
【0026】
例えばリング状の付着物が形成されやすい場所、例えば胴体部101内部の温度が、被処理物の融点近傍になる場所に、スクープフィーダを設けることができる。胴体部101が例えば上記温度域となる場所にスクープフィーダを設け、融着防止剤を供給することで、リング状の付着物が形成されやすい領域に特に短時間で融着防止剤を供給できるからである。
【0027】
スクープフィーダを設ける箇所は上述のように特に限定されない。例えば排出端103からスクープフィーダを設けた外殻部110の導入端102側の端部までの距離L110は、ロータリーキルン100の胴体部101長手方向の長さL101の5%以上95%以下が好ましく、10%以上90%以下がより好ましい。
(2)ロータリーキルンの運転条件について
ロータリーキルンの運転条件は特に限定されず、被処理物の種類や実施する処理等に応じて任意に選択できる。
【0028】
既述のように、熱処理装置10は還元処理等を行うこともできる。
【0029】
ロータリーキルン100の回転数、すなわちロータリーキルン100を構成する胴体部101の回転数についても特に限定されないが、例えば0.5rpm以上1.5rpm以下程度であることが好ましい。
【0030】
ロータリーキルン100の回転数を0.5rpm以上とすることで、ロータリーキルン100内の撹拌力を十分に高め、途中で投入した添加剤等を露出させながら反応を十分に進行させることができるとともに、高温となるキルン本体が軟化した場合の自重変形を小さくすることができる。
【0031】
また、ロータリーキルンの回転数を1.5rpm以下とすることで、ロータリーキルン100内に導入された被処理物等がロータリーキルン100内に十分な時間留まることができ、所望の熱処置時間を確保できる。
(3)融着防止剤添加工程
融着防止剤添加工程では、既述のスクープフィーダを介してロータリーキルン内、具体的には被処理物の熱処理を行っている胴体部内に融着防止剤を投入できる。
【0032】
融着防止剤添加工程は、任意のタイミングで実施でき、例えばロータリーキルン100の胴体部101にリング状の付着物が形成されていることが検知された場合、投入した原料鉱石等の組成や炉の外壁温度等の情報によりリング状の付着物の形成が予想または予測できた場合に実施できる。
【0033】
リング状の付着物が形成されていることを検知する方法は特に限定されないが、例えばロータリーキルン100から排出される被処理物の量の変化や、胴体部101内部を直接モニターした画像、炉の外側の温度情報等により検知できる。
(3-1)融着防止剤について
融着防止剤は、リング状の付着物の成長を抑制できる材料であればよく、例えば高融点のセラミックス材料を好適に用いることができる。高融点のセラミックス材料を融着防止剤として用いることで、例えば溶融状態の被処理物をコートし、被処理物が炉の内壁に付着し、リング状の付着物が成長することを抑制できる。
【0034】
融着防止剤は、被処理物の成分に悪影響を与えないように、被処理物に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムから選択された1種類以上を含むことが好ましい。
(3-2)その他の添加剤について
既述のように熱処理装置10は、例えば還元処理等を行うこともできる。具体的には例えばスクープフィーダから還元剤を添加し、ロータリーキルン内で被処理物と、還元剤とを混合しながら加熱できる。この際、被処理物の還元や、場合によっては乾燥を実施できる。還元剤としては、例えば石炭を好適に用いることができる。このため、融着防止剤添加工程を行う際に、スクープフィーダを介してロータリーキルン内、具体的には胴体部内に融着防止剤に加えてさらに石炭を投入してもよい。
【0035】
なお、被処理物の還元処理を行う場合、還元処理を行っている間、継続的に還元剤を添加する必要があるために、融着防止剤添加工程とは別に還元剤添加工程を実施できる。そして、リング状の付着物が形成されていることを検知した場合に、還元剤添加工程と、融着防止剤添加工程とを同時に実施することになる。
【0036】
石炭灰は融着防止剤としても機能できることから、石炭を添加する際、石炭灰を含有する石炭を好ましく用いることができ、特に石炭灰の含有量が高い石炭をより好ましく用いることができる。
【0037】
また、融着防止剤添加工程を行う際に、ロータリーキルン100の胴体部101内の温度を調整するために、ロータリーキルン、具体的には胴体部内に例えば空気等の気体も併せて供給することもできる。
【0038】
通常、還元処理を行う場合には、ロータリーキルン100の胴体部101内の雰囲気を還元雰囲気に保つため、空気を供給することは行われていない。しかし、還元処理を行っている場合でも、融着防止剤を適切な温度領域に供給することを目的として、上述のように空気も併せて供給することもできる。なお、上述のようにロータリーキルンで被処理物の還元処理を行い、かつ空気を供給する場合、融着防止剤添加工程を行う際に、スクープフィーダを介してロータリーキルン内、具体的には胴体部内に融着防止剤と、石炭と、空気とを供給することになる。
(4)被処理物について
本実施形態のロータリーキルンの閉塞低減方法に供する被処理物は特に限定されず、例えば各種金属成分を含む鉱石や、セラミックス原料を挙げることができる。
【0039】
特に、被処理物としては、各種鉱石を挙げることができる。特に、精錬を行うことが求められる金属の鉱石は一般的に水分を多く含み、酸化されている。そして、本実施形態のロータリーキルンの閉塞低減方法によれば、ロータリーキルンの閉塞を低減しつつ、乾燥と還元とを効率的に行うことができるため、被処理物としては、金属の鉱石を含むことが好ましい。なお、被還元物は金属の鉱石から構成されてもよい。
【0040】
金属の鉱石が含む金属は特に限定されないが、例えば非鉄金属を含む金属であることが好ましく、ニッケル、亜鉛等から選択された1種類以上の金属を含む鉱石であることがより好ましい。
【0041】
なお、被処理物は事前に予備乾燥を行い、一部の付着水分を低減、除去しておくこともできる。
[熱処理装置]
本実施形態の熱処理装置は、ロータリーキルンと、ロータリーキルンの長手方向の両端部間に配置されたスクープフィーダと、スクープフィーダに設けられた融着防止剤を供給する融着防止剤供給手段と、を有することができる。
【0042】
本実施形態の熱処理装置によれば、既述のロータリーキルンの閉塞低減方法を実施できる。このため、既に説明した事項については説明を省略する。
【0043】
本実施形態の熱処理装置は、
図1、
図2を用いて説明したように、ロータリーキルンと、スクープフィーダと、添加剤供給手段とを有することができる。
【0044】
ロータリーキルン、スクープフィーダについては既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0045】
添加剤供給手段221は、例えば融着防止剤を供給する融着防止剤供給手段とすることもできる。なお、融着防止剤は、リング状の付着物の成長を抑制できる材料であればよく、例えば高融点のセラミックス材料を好適に用いることができる。高融点のセラミックス材料を融着防止剤として用いることで、例えば溶融状態の被処理物をコートし、被処理物が炉の内壁に付着し、リング状の付着物が成長することを抑制できる。
【0046】
融着防止剤は、被処理物の成分に悪影響を与えないように、被処理物により選択でき、特に限定されないが、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムから選択された1種類以上を含むことが好ましい。
【0047】
また、既述のように、本実施形態の熱処理装置では、必要に応じて被処理物の還元処理を行うこともでき、この場合、スクープフィーダから還元剤である石炭を供給できる。このため、添加剤供給手段221は、上記融着防止剤供給手段に加えて、還元剤である石炭を供給する石炭供給手段(還元剤供給手段)を有することもできる。すなわち、本実施形態の熱処理装置は、スクープフィーダに設けられた石炭を供給する石炭供給手段を有することもできる。なお、石炭と融着防止剤とは予め混合した混合物の状態で供給することもでき、この場合、融着防止剤供給手段と、石炭供給手段とは別の装置とはせず、1つの装置により構成することもできる。
【0048】
添加剤供給手段221は、上述のように融着防止剤や、必要に応じて還元剤である石炭を供給できるように構成されていればよく、その詳細は特に限定されない。
【0049】
添加剤供給手段221の構成は特に限定されず、例えば貯蔵容器と、供給量調整手段とを有することができる。
【0050】
供給量調整手段は、例えば貯蔵容器の、添加剤供給口111側に設けられた開口部の開度を添加剤の供給量にあわせて調整可能に構成し、該開口部を介して自由落下する添加剤の供給量を調整できるようにしてもよい。また、供給量調整手段は、例えばスクリューコンベア等の搬送手段を有し、該搬送手段による添加剤の搬送速度を調整可能とし、該搬送速度により添加剤の供給量を調整できるように構成してもよい。
【0051】
なお、
図1では、添加剤供給口111に添加剤供給手段221を設けた例を示しているが、係る形態に限定されず、例えば添加剤供給手段221と、添加剤供給口111の間は配管で接続し、両部材が離れていてもよい。
【0052】
また、既述のように、融着防止剤を供給する際に、ロータリーキルン100の胴体部101内の温度を調整するために、例えば空気等の気体も併せて供給することもできる。このため、本実施形態の熱処理装置10は、スクープフィーダに設けられた空気を供給する空気供給手段を有することもできる。
【0053】
空気供給手段の構成は特に限定されないが、例えばブロワーや、空気ボンベ等を有することができ、必要に応じて流量や、空気の供給を制御できるようにレギュレターや、バルブを有することができる。
【0054】
以上に説明した本実施形態の熱処理装置によれば、ロータリーキルンの長手方向の両端部間に配置されたスクープフィーダに融着防止剤供給手段を設け、融着防止剤を供給できるように構成されている。このため、適切なタイミングで融着防止剤を供給することができ、リング状の付着物が成長することを抑制し、ロータリーキルンが閉塞することを低減できる。
【符号の説明】
【0055】
10 熱処理装置
100 ロータリーキルン
130 スクープフィーダ