(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171606
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】反応器システムおよび反応器システムを洗浄する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20221104BHJP
H01L 21/205 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
C23C16/44 J
H01L21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022072347
(22)【出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】63/181,700
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アミット・ミシャラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレード・リー・ウィンクラー
(72)【発明者】
【氏名】モアタズ・ベラー・モウサ
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】ポール・マ
(72)【発明者】
【氏名】ヒケム・エムサード
(72)【発明者】
【氏名】イン-シェン・クオ
(72)【発明者】
【氏名】チャド・ランスフォード
(72)【発明者】
【氏名】シュアイディ・ジャン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030DA06
4K030EA06
4K030FA01
4K030FA10
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5F045AA03
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5F045EM05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】反応器システムおよび反応器システムを洗浄する方法を提供する。
【解決手段】プラズマ活性化洗浄種と非プラズマ活性化洗浄種の両方を反応チャンバー102に供給するための、遠隔プラズマユニット116およびバイパスライン119の両方と流体連通する薬品貯蔵アセンブリー117を備える反応システム100。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバーと、
洗浄薬品を収容する少なくとも一つの容器を備える薬品貯蔵アセンブリーと、
前記薬品貯蔵アセンブリーに流体連通する遠隔プラズマユニットと、
前記遠隔プラズマユニットの下流に配置され、および前記遠隔プラズマユニットからプラズマ活性化種を受け取り、さらに前記プラズマ活性化種を前記反応チャンバー内に配置される反応空間内に導入するように構成される、ガス分配アセンブリーと、
前記薬品貯蔵アセンブリーを前記反応チャンバーに流体連通させるバイパスラインであって、前記バイパスラインは、非プラズマ活性化種を前記反応チャンバー内に配置される前記反応空間内に導入するように構成される、バイパスラインと、
前記反応チャンバー内に配置される基材支持アセンブリーと、を備える、反応器システム。
【請求項2】
前記基材支持アセンブリーが、一つまたは複数の発熱体を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記基材支持アセンブリーが、露出したセラミック表面を備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記基材支持アセンブリーが静電チャックを備える、請求項1~3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記バイパスラインが、前記洗浄薬品を収納する前記少なくとも一つの容器を第一の反応チャンバー入口に流体連通させる、請求項1~4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第一の反応チャンバー入口が、前記ガス分配アセンブリーの遠位に配置される、請求項1~5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記薬品貯蔵アセンブリーと流体連通する第二の反応チャンバー入口をさらに備え、前記第二の反応チャンバー入口は、前記ガス分配アセンブリーの下方に配置され、前記ガス分配アセンブリーの表面に向かって不活性ガス流を向けるように構成される、請求項1~6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記薬品貯蔵アセンブリーが第一の洗浄薬品を収容する第一の容器と、第二の洗浄薬品を収容する第二の容器とを備え、前記第一の洗浄薬品は前記第二の洗浄薬品とは異なる、請求項1~7の何れか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第一の容器は前記遠隔プラズマユニットと流体連通し、前記第二の容器は前記バイパスラインに流体連通する、請求項1~8の何れか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記薬品貯蔵アセンブリーが、単一の洗浄薬品を収容する単一の洗浄容器を備え、前記単一の洗浄容器は前記遠隔プラズマユニットおよび前記バイパスラインの両方と流体連通する、請求項1~8の何れか一項に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも一つのチャンバー壁を備える反応チャンバーと、
ラジカル洗浄種および非ラジカル洗浄種の両方を前記反応チャンバーに供給するように構成されるチャンバー洗浄アセンブリーであって、前記チャンバー洗浄アセンブリーが、
洗浄薬品を収容する少なくとも一つの容器を備える薬品貯蔵アセンブリーと、
前記薬品貯蔵アセンブリー容器を前記反応チャンバーに流体連通させる第一の流体チャネルであって、前記第一の流体チャネルが、前記反応チャンバーの下流に配置されるプラズマ発生装置を備える、第一の流体チャネルと、
前記薬品貯蔵アセンブリーを前記反応チャンバーに流体連通させる第二の流体チャネルと、を備える、チャンバー洗浄アセンブリーと、
前記反応チャンバー内に配置される基材支持アセンブリーと、を備える、反応器システム。
【請求項12】
反応器システムを洗浄する方法であって、
第一の内面および第二の内面を備える反応チャンバーを設けることと、
洗浄薬品を収容する少なくとも一つの容器を備える薬品貯蔵アセンブリーを設けることと、
前記薬品貯蔵アセンブリーに流体連通する遠隔プラズマユニットに前記洗浄薬品を流すことと、
プラズマ活性化洗浄種を発生させることと、
前記第一の内面から第一の速度で望ましくない材料を除去し、前記第二の内面から第二の速度で前記望ましくない材料を除去することであって、前記第一の速度が前記第二の速度よりも高く、前記望ましくない材料を除去することが、
前記プラズマ活性化洗浄種を、前記反応チャンバー内に配置される反応空間内に導入することと、
前記薬品貯蔵アセンブリーを前記反応チャンバーに流体連通させるバイパスラインに前記洗浄薬品を流すことと、
前記反応チャンバー内に配置される前記反応空間内に非プラズマ活性化洗浄種を導入することと、
前記一つまたは複数の内面を、前記プラズマ活性化洗浄種および非プラズマ活性化洗浄種のうちの少なくとも一つと接触させることと、を含む、除去することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記第一の内面が、基材支持アセンブリーを備え、前記第二の内面がチャンバー壁を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記薬品貯蔵アセンブリーが第一の洗浄薬品を収容する第一の容器と、第二の洗浄薬品を収容する第二の容器とを備え、前記第一の洗浄薬品は前記第二の洗浄薬品とは異なる、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の容器は前記遠隔プラズマユニットと流体連通し、前記第二の容器は前記バイパスラインと流体連通する、請求項12~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記薬品貯蔵アセンブリーが、単一の洗浄薬品を収容する単一の洗浄容器を備える、請求項12~15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記単一の洗浄容器が、前記遠隔プラズマユニットおよび前記バイパスラインの両方に流体連通する、請求項12~16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記洗浄薬品が、NF3、BCl3、CCl4、XeF3、F2、NOF、F2、およびNO2Fからなる群から選択される、請求項12~17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記非プラズマ活性化洗浄種は、第一の周波数で前記反応チャンバー内に導入され、前記プラズマ活性化洗浄種は、第二の周波数で前記反応チャンバー内に導入され、前記第二の周波数は前記第一の周波数よりも低い、請求項12~18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記望ましくない材料の前記除去後のプロセスドリフトが+/-5%である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、反応器システム、特にプラズマベースおよび非プラズマベースの両方の反応チャンバー洗浄用に構成されるアセンブリーを備える反応器システムに関する。本開示はまた、概ね、プラズマベースおよび非プラズマベースの両方の洗浄プロセスを利用して反応チャンバーを洗浄するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気相反応器システム、例えば化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、原子層堆積(ALD)等は、基材表面上に材料を堆積させること、および、基材表面上の材料をエッチングすることを含む様々な用途に使用されることができる。例えば、気相反応器を使用して、基材上に層を堆積させ、および/または基材上の層をエッチングして、半導体デバイス、フラットパネルディスプレイデバイス、光起電力デバイス、微小電気機械システム(MEMS)等を形成することができる。
【0003】
典型的な気相反応器システムは、反応チャンバーと、反応チャンバーに流体連結する一つまたは複数の前駆体蒸気源と、反応チャンバーに流体連通する一つまたは複数のキャリア、洗浄および/またはパージガス源と、ガス(例えば、前駆体蒸気、ならびに/またはキャリアガス、洗浄ガス、および/もしくはパージガス)を基材表面に送達するための蒸気分配システムと、反応チャンバーに流体連通する排気源と、を備える。システムはまた、典型的には、処理中に基材を定位置に保持するための、基材支持アセンブリー、例えばサセプターを備える。
【0004】
反応チャンバーの内面は、反応器システムの長期間の運転中に不要な物質で汚染される可能性があり、このような汚染は、例えば、プロセスドリフト、および望ましくない欠陥の増加をもたらす可能性がある。したがって、システムおよび方法は、反応チャンバーを洗浄することが望ましい。
【0005】
このセクションに記載される問題および解決策の考察を含む任意の考察は、本開示の状況を提供する目的のためにのみこの開示に含まれている。こうした考察は、本発明が行われた時点で、または別の方法で先行技術を構成する時点で、情報のいずれかまたはすべてが既知であったことを認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の概要は、選択された概念を単純化した形態で紹介する場合があり、これは以下でさらに詳細に説明される場合がある。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを必ずしも意図していなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0007】
本開示の特定の実施形態では、反応器システムが提供される。反応器システムは、反応チャンバー、洗浄薬品を収容する少なくとも一つの容器を備える薬品貯蔵アセンブリー、および薬品貯蔵アセンブリーに流体連通する遠隔プラズマユニットを備えることができる。反応器システムはまた、遠隔プラズマユニットの下流に配置され、および遠隔プラズマユニットからプラズマ活性化洗浄種を受け取り、さらにプラズマ活性化洗浄種を反応チャンバー内に配置される反応空間に導入するように構成される、ガス分配アセンブリーを備える。反応器システムはまた、薬品貯蔵アセンブリーを反応チャンバーに流体連通するバイパスラインを備えてもよく、バイパスラインは、非プラズマ活性種を反応チャンバー内に配置される反応空間内に導入するように構成される。反応器システムは、反応チャンバー内に配置される基材支持アセンブリーをさらに備えてもよい。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態では、反応器システムを洗浄する方法が提供される。本方法は、一つまたは複数の内面を備える反応チャンバーを提供することと、洗浄薬品を収容する少なくとも一つの容器を備える薬品貯蔵アセンブリーを提供することと、薬品貯蔵アセンブリーに流体連通する遠隔プラズマユニットに洗浄薬品を流すことと、プラズマ活性化洗浄種を発生させることと、プラズマ活性化洗浄種を反応チャンバー内に配置される反応空間に導入することと、薬品貯蔵アセンブリーを反応チャンバーに流体連通させるバイパスラインに洗浄薬品を流すことと、非プラズマ活性化洗浄種を反応チャンバー内に配置される反応空間内に導入することと、一つまたは複数の内面をプラズマ活性化洗浄種および非プラズマ活性化洗浄種のうちの少なくとも一つと接触させることと、一つまたは複数の内面から望ましくない材料を除去することと、を含むことができる。
【0009】
当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のある特定の実施形態の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう。本発明は、開示された任意の特定の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図面に関連して考慮される場合、発明を実施するための形態および特許請求の範囲を参照することによって得られうる。
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の例示的な実施形態による反応器システムである。
【
図2】
図2は、ラジカルエッチングプロセスおよびサーマルエッチングプロセスの両方に対する、基材支持アセンブリーのエッチング速度と温度との関係を示すデータである。
【
図3】
図3は、洗浄プロセスの前後のプロセスドリフトのプロットである。
【
図4】
図4は、典型的な熱洗浄の前後の反応器システムの一部である。
【0012】
当然のことながら、図内の要素は、単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素と相対的に誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に提供されるシステム、方法、構造体、デバイス、および装置の例示的な実施形態の説明は単なる例示であり、例示のみを目的としており、以下の説明は、本開示の範囲も特許請求の範囲も限定することを意図しない。さらに、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態、または記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態を除外することを意図していない。例えば、様々な実施形態が例示的な実施形態として記載されていて、従属する特許請求の範囲に引用されうる。別途記載がない限り、例示的な実施形態またはその構成要素は、組み合わせられる場合があり、または互いに別々に適用されうる。
【0014】
以下により詳細に記載されるように、本開示の様々な実施形態は、反応チャンバー、ならびに前記反応チャンバーを洗浄するためのアセンブリーおよび構成要素を備える反応器システムを提供する。例示的な反応システムを使用して、例えば、プラズマ活性化洗浄種(例えば、ラジカルベースの洗浄プロセス)および非プラズマ活性化洗浄種(例えば、熱ベースの洗浄プロセス)の両方を使用する反応チャンバーを洗浄することができる。
【0015】
反応器システムのプロセスモジュールの高いプロセス稼働率を維持するために、反応チャンバーの洗浄は、内部反応チャンバー表面上の不要な物質の蓄積を除去するために必要となる可能性がある。不要な材料の除去は、少なくとも温度駆動されるエッチングプロセスの選択性を備えるエッチングプロセスを使用して実行されることができる。例えば、反応チャンバー内に配置される基材の静電チャッキングを維持するために、静電チャックの表面の定期的な優先エッチングが通常の動作期間中に必要とされる可能性があり、反応チャンバーの内壁を定期的に洗浄するためにさらなるエッチングプロセスが必要とされる可能性がある。本開示の実施形態は、より攻撃的でないプロセスによって反応チャンバーを洗浄するためのシステムおよび方法を含み、それにより、反応チャンバー内に配置されるアセンブリーおよび構成要素への損傷を防ぎ、反応チャンバーを通常の動作状態へ復帰させるための洗浄後の期間をより短くすることを可能にする。実施形態は、反応チャンバー内の内面の温度に従って優先的なエッチングを可能にするシステムおよび方法を含む。
【0016】
本開示において、「ガス」は、常温常圧(NTP)の気体である材料、気化した固体および/または気化した液体を含むことができ、状況に応じて単一の気体または気体の混合物で構成されることができる。プロセスガス以外のガス、すなわち、ガス分配アセンブリー、他のガス分配装置等を通過することなく導入されるガスは、例えば反応空間を密封するために使用可能で、シールガス、例えば希ガスを含むことができる。場合によっては、用語「前駆体」は、別の化合物を生成する化学反応に参加する化合物、および具体的には膜のマトリックスまたは膜の主骨格を構成する化合物を指すことができる。用語「反応物」は、用語前駆体と互換的に使用されることができる。用語「不活性ガス」は、化学反応に関与しない、および/または相当な程度まで膜マトリクスの一部にならないガスを指し得る。例示的な不活性ガスは、ヘリウム、アルゴンおよびそれらの任意の組み合わせを含む。一部の例では、不活性ガスは窒素および/または水素を含み得る。
【0017】
本明細書で使用される、用語「基材」は、デバイス、回路、もしくは膜を形成するのに使用され得る任意の下地材料または材料、またはデバイス、回路、もしくは膜が上に形成され得る任意の下地材料または材料を指し得る。基材は、シリコン(例えば、単結晶シリコン)などのバルク材料、ゲルマニウムなどの他のIV族材料、またはII-VI族、もしくはIII-V族半導体材料などの他の半導体材料を含むことができる、かつバルク材料の上に重なる、または下にある一つまたは複数の層を含むことができる。さらに、基材は、基材の層の少なくとも一部分の中またはその上に形成される様々な特徴(陥凹部、突出部およびこれに類するものなど)を含むことができる。例として、基材は、バルク半導体材料と、バルク半導体材料の少なくとも一部分の上にある絶縁または誘電材料層とを含むことができる。
【0018】
「周期的堆積プロセス(cyclic deposition process)」または「周期的堆積プロセス(cyclical deposition process)」という用語は、前駆体(および/または反応物質)を反応チャンバー内へ連続的に導入して基材上に層を堆積させることを指すことができ、かつ、ALD成分と周期的CVD成分とを含む、原子層堆積(ALD)、周期的化学蒸着(周期的CVD)、およびハイブリッド周期的堆積プロセスなどの処理技術を含む。
【0019】
用語、「原子層堆積」は、堆積サイクル、典型的には複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバー内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。本明細書で使用される原子層堆積という用語は、関連する用語、例えば、前駆体/反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合、化学蒸着原子層堆積、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス供給源MBE、または有機金属MBE、ならびに化学ビームエピタキシー、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0020】
一般的に、ALDプロセスでは、各堆積サイクル中に、前駆体が反応チャンバーに導入され、堆積表面(例えば、以前のALDサイクルから以前に堆積した材料または他の材料を含みうる、基材表面)に化学吸着され、別の前駆体と容易に反応しない材料の単分子層またはサブ単分子層を形成する(すなわち、自己制御反応)。その後、一部の場合において、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料へと変換するのに使用するために、反応物質(例えば別の前駆体または反応ガス)はその後、プロセスチャンバーの中に導入されてもよい。反応物質は、前駆体とのさらなる反応の能力を有することができる。あらゆる過剰な前駆体をプロセスチャンバーから除去するために、ならびに/またはあらゆる過剰な反応物質および/もしくは反応副生成物を反応チャンバーから除去するために、一つまたは複数の堆積サイクル中に、例えば各サイクルの各工程中に、パージする工程を利用することができる。
【0021】
さらに、本開示では、変数の任意の二つの数はその変数の実行可能な範囲を構成することができ、そして示された任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。さらに、示された変数の任意の値は(それらが「約」で示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、等価物を含み、平均値、中央値、代表値、または大多数等を指してもよい。さらに、本開示において、「含む」「によって構成される」、および「有する」という用語は、一部の実施形態において、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的に成る」、または「から成る」を別々に指す。本開示において、任意の定義された意味は、一部の実施形態において、通常および慣習的な意味を必ずしも除外するものではない。
【0022】
本明細書では、用語「上に(on)」または「上に(over)」は、相対的位置関係を説明するために使用されることができることが理解されるであろう。別の要素、膜もしくは層は言及した層上に直接存在してもよく、または別の層(中間層)もしくは要素はその間に介在されてもよく、または層が言及した層上に配置されてもよいが言及した層の表面上を完全には覆わない。したがって、用語「直接」が個別に使用されていない限り、用語「上に(on)」または「上に(over)」は相対的概念であると解釈されるであろう。これと同様に、用語「下に(under)」、「下に(underlying)」、または「下方に(below)」は、相対的概念であると解釈されるであろう。
【0023】
本開示の実施形態は、ガス分配アセンブリー(例えば、シャワーヘッドタイプのアセンブリー)と、ガス分配アセンブリーを迂回するバイパスラインの両方を介して、洗浄剤(例えば、エッチング剤)を反応チャンバー内に送達することを可能にするアセンブリー、構成要素、および方法を含むことができる。さらに、ガスカーテンは、ガス分配アセンブリーに近接する不活性ガス流を介して形成され、ガス分配アセンブリーの露出面上に保護ガスカーテンを設けることができる。
【0024】
本開示の実施形態は、非常に熱活性化される(すなわち、低温での低いまたはゼロのエッチング速度および高温での高いエッチング速度)洗浄剤(例えば、エッチング剤)を提供するためのアセンブリー、構成要素、および方法を含むことができる。このような非常に熱活性化されるエッチング剤は、低温の表面と比較して、高温の表面から不要な材料を優先的に除去し、それによって反応チャンバー内の選択された表面への不要な損傷を防ぐことができる。さらに、熱活性化洗浄剤を利用して、少なくとも部分的に、基材支持体の表面上の不要な膜または材料を迅速に除去することができる。場合によっては、基材支持体は静電チャックを備えることができ、このような場合、熱活性化された洗浄剤が静電チャックのチャッキング能力を回復させる場合がある。
【0025】
様々な実施形態では、熱活性化された洗浄剤は、様々な金属、例えば、モリブデン、タングステン、バナジウム、銅、ルテニウム等を、基材支持体および/または反応チャンバー内の他の表面からエッチングするまたは場合によっては除去することができる。追加的に、または代替的に、熱活性化された洗浄剤は、様々な窒化物、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化タングステン(WN)等を、基材支持体および/または反応チャンバー内の他の表面からエッチングするまたは場合によっては除去することができる。
【0026】
本開示の実施形態はまた、プラズマ発生装置からラジカル洗浄種を形成するためにプラズマ活性化されることができるエッチング剤を提供するためのアセンブリー、構成要素、および方法を含むことができる。
【0027】
本開示の実施形態はまた、特定の内面(例えば、基材支持アセンブリーの露出面)から優先的に望ましくない堆積物を洗浄するために頻繁に使用される熱洗浄プロセス(例えば、サーマルエッチングプロセス)、および反応チャンバーの内面全体を洗浄するためにまれにしか使用されないプラズマ洗浄プロセス(例えば、ラジカルベースの洗浄プロセス)を使用するための、アセンブリー、構成要素、および方法を含むことができる。優先的な熱洗浄プロセスとラジカルベースの洗浄プロセスの両方の組み合わせは、反応器システムの稼働率の増加、例えば、保守サイクル間の動作時間(「稼働時間」)の増加をもたらす可能性がある。
【0028】
図1は、本開示の例示的な実施形態による反応器システム100を例示する。
図1に図示した反応器システム100は、簡略化された概略図であり、したがって、本開示の例示的な反応器システム100は、別の構成要素およびアセンブリー(図示せず)、例えば、バルブ、流れ制御器、圧力制御器、ヒーター、ガスチャネル、およびガス源等を備えることができる。反応器システム100は、反応チャンバー102を備える。反応チャンバー内に配置されるのは、反応空間104および基材支持アセンブリー114である。反応チャンバー102は、一つまたは複数の内面を備えてもよく、このような表面は、望ましくない材料またはフィルムで部分的または完全にコーティングされてもよい。例えば、望ましくない材料(材料堆積物400(
図4))は、基材支持アセンブリー114の縁部に沿って蓄積する可能性がある。反応チャンバー102内の一つまたは複数の内面は、チャンバー壁の露出面および基材支持アセンブリー114の露出面を備えることができる。基材支持アセンブリー114は、基材支持アセンブリーを基材支持アセンブリーの露出面の優先的な洗浄が可能な温度に加熱するように構成される一つまたは複数のヒーター134を備えることができる。基材支持アセンブリー114は、セラミック表面を備える露出面を備えることができる。代替的にまたは追加的に、基材支持アセンブリー114は、金属材料からなってもよい。本開示のいくつかの実施形態では、基材支持アセンブリー114は、静電チャックを備えることができる。
【0029】
反応器システム100は、薬品貯蔵アセンブリー117を備える。薬品貯蔵アセンブリー117は、洗浄薬品、前駆体、キャリアガス、および/またはパージガスを収容する一つまたは複数の容器を備えることができる。化学物質貯蔵アセンブリー117は、洗浄薬品を収容する少なくとも一つの容器を備えることができる。いくつかの実施形態では、薬品貯蔵アセンブリー117は、第一の洗浄薬品を収容する第一の容器118(および関連する流量制御器128)を備えることができる。いくつかの実施形態では、薬品貯蔵アセンブリー117は、第二の洗浄薬品を収容する第二の容器120(および関連する流量制御器130)をさらに備えることができる。薬品貯蔵アセンブリー117は、別の洗浄薬品を収容する別の容器を備えてもよい。薬品貯蔵アセンブリー117は、NF3、BCl3、CCl4、XeF3、F2、NOF、F2、およびNO2Fからなる群から選択される一つまたは複数の洗浄薬品を貯蔵および供給するように構成される容器を備えてもよい。
【0030】
反応器システム100は、例えば、プラズマ発生装置、例えば、遠隔プラズマユニット116を備えることができる。遠隔プラズマユニット116は、薬品貯蔵アセンブリー117に流体連通することができる。いくつかの実施形態では、遠隔プラズマユニットは、薬品貯蔵アセンブリー117の下流および反応チャンバー102の上流に配置されることができる。
【0031】
反応器システム100は、第一の反応チャンバー入口121を介して薬品貯蔵アセンブリー117を反応チャンバー102に流体連通するバイパスライン119を備えることができる。バイパスライン119は、非プラズマ活性化洗浄種を、反応チャンバー102内に配置される反応空間104に導入するように構成されることができる。例えば、非プラズマ活性化洗浄種は、より低温でのまたは低温での内部反応チャンバー表面と比較して、高温で反応チャンバー内の表面を優先的にエッチングするために利用される非常に熱活性化される洗浄剤を含む場合がある。
【0032】
いくつかの実施形態では、薬品貯蔵アセンブリー117は、遠隔プラズマユニット116およびバイパスライン119の両方に流体連通する、単一の洗浄薬品を収容する単一の洗浄容器を備えてもよい。いくつかの実施形態では、薬品貯蔵アセンブリー117は、第一の洗浄薬品を収容する第一の容器118と、第二の洗浄薬品を収容する第二の容器120とを備えてもよく、第一の洗浄薬品は、第二の洗浄薬品とは異なる。いくつかの実施形態では、第一の容器は遠隔プラズマユニット116に流体連通することができ、第二の容器はバイパスライン119に流体連通することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、バイパスライン119は、洗浄薬品を収容する容器を第一の反応チャンバー入口121に流体連通させる。例えば、第一の反応チャンバー入口121は、ガス分配アセンブリー106より遠位に配置されてもよい。
【0034】
反応器システム100はまた、ガス分配装置108、ガス膨張領域110、およびシャワーヘッドプレート112を備える、ガス分配アセンブリー106を備える。ガス分配アセンブリー106は、遠隔プラズマユニット116に結合し、遠隔プラズマユニット116から活性化種を受け取り、ガス膨張領域110内に活性化種を分配し、活性種をシャワーヘッドプレート112を介して反応チャンバー内に配置される反応空間に供給する。ガス分配アセンブリー106、ガス膨張領域110、およびシャワーヘッドプレート112を使用して、活性化種を所望の方法で分配して、例えば、所望の量、流量、または活性化種の流束を反応チャンバーの内面に供給することができる。
【0035】
遠隔プラズマユニット116は、薬品貯蔵アセンブリー117から提供される一つまたは複数の容器(118、および120)から活性化種(例えば、ラジカル)を発生させる。次に、発生したラジカルは、ガス分配アセンブリー106を通って反応チャンバー104に入り、次いで、反応チャンバー102に流入する。遠隔プラズマ源には、様々なRF周波数、例えば、100kHz、400kHz、2MHz、13.56MHz、60MHz、160MHzおよび/もしくは2.45GHzマイクロ波源で駆動される、トロイダル型のICPおよび/もしくはCCP源、またはコイル式ICP源が含まれることができる。
【0036】
反応器システム100はまた、ガスチャネル123を介して薬品貯蔵アセンブリー117に流体連通する第二の反応チャンバー入口125を備えることができる。第二の反応チャンバー入口125は、ガス分配アセンブリー106の下に配置されてもよく、不活性ガス流をガス分配アセンブリー106の表面に向けるように構成されてもよい。例えば、薬品貯蔵アセンブリーは、第三の容器122(および関連する流れ制御弁132)を備えることができ、第三の容器122は不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)を収容する。不活性ガスは、第二の反応チャンバー入口125に供給され、ガス分配アセンブリー106の下面に向かって、特にシャワーヘッドプレート112の下面に向かって、反応チャンバー102内に向けられることができる。不活性ガス流は、シャワーヘッドプレートの下面全体に保護ガスのカーテンを設けることができる。例えば、保護ガスカーテンは、基材支持アセンブリー126の露出した表面の優先的な熱エッチングを実行する場合に使用されてもよい。
【0037】
反応器システム100はまた、本明細書に記載の様々な機能および/または工程を実行するように構成されることができるコントローラー124を備える。コントローラー124は、様々な機能を実行するために一つまたは複数のマイクロプロセッサー、メモリー素子、および/またはスイッチング素子を備えることができる。コントローラー124は単一のユニットとして図示されているが、別の方法として複数のデバイスを備えることができる。例として、コントローラー124を使用して、ガス流(例えば、流量を監視すること、およびバルブ128、130、132を制御することにより)、モーターを制御することができ、ならびに/またはヒーター、例えばヒーター134等のうちの一つまたは複数を制御することができる。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態では、反応器システム100は、周期的堆積プロセス、例えば、原子層堆積または周期的化学気相堆積を実行するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、反応器システム100は、反応チャンバー102内に配置される基材支持アセンブリー上に配置される基材の表面上に、膜の原子層堆積を実行するように構成されることができる。非限定的な例として、反応器システム100は、膜、例えば、金属、金属窒化物、または金属炭化物を基材の表面上に堆積させるように構成されてもよい。堆積させた膜は、電子デバイス、例えば、ロジックデバイス(例えば、CMOSデバイス)、および/またはメモリーデバイス(例えば、NANDデバイス)の構造に利用されることができる。
【0039】
本開示は、反応チャンバーを洗浄するための方法をさらに含む。例えば、洗浄方法は、一つまたは複数の内面を備える反応チャンバーを提供することと、洗浄薬品を収容する少なくとも一つの容器を備える薬品貯蔵アセンブリーを提供することと、薬品貯蔵アセンブリーに流体連通する遠隔プラズマユニットに洗浄薬品を流すことと、プラズマ活性化洗浄種を発生させることと、プラズマ活性化洗浄種を反応チャンバー内に配置される反応空間内に導入することと、薬品貯蔵アセンブリーを反応チャンバーに流体連通するバイパスラインに洗浄薬品を流すことと、非プラズマ活性化洗浄種を反応チャンバー内に配置される反応空間に導入することと、一つまたは複数の内面をプラズマ活性化洗浄種および非プラズマ活性化洗浄種のうちの少なくとも一つと接触させることと、一つまたは複数の内面から望ましくない材料を除去することと、を含むことができる。
【0040】
洗浄方法のいくつかの実施形態では、反応チャンバー内の一つまたは複数の内面は、少なくとも一つのチャンバー壁および基材支持アセンブリーを備えてもよい。チャンバー壁は第一の温度であってもよく、基材支持アセンブリーは第二の温度であってもよく、第二の温度は第一の温度よりも高い。チャンバー壁は、約100℃~200℃、または120℃~180℃、または140℃~170℃の温度とすることができる。基材支持アセンブリー、特に基材支持アセンブリーの露出面は、約400℃~700℃の温度とすることができる。
【0041】
本開示の洗浄方法は、第一の洗浄薬品を収容する第一の容器と、第二の洗浄薬品を収容する第二の容器とを備える薬品貯蔵アセンブリーを備えてもよく、第一の洗浄薬品は、第二の洗浄薬品とは異なる。例えば、第一の容器は遠隔プラズマユニットに流体連通することができ、第二の容器はバイパスラインに流体連通することができる。いくつかの実施形態では、薬品貯蔵アセンブリーは、遠隔プラズマユニットおよびバイパスラインの両方と流体連通することができる、単一の洗浄薬品を収容する単一の洗浄容器を備える。いくつかの実施形態では、洗浄薬品は、洗浄薬品、例えば、NF3、BCl3、CCl4、XeF3、F2、NOF、F2、およびNO2Fを含有するハロゲン化物を含むことができる。いくつかの実施形態では、プラズマ活性化洗浄種は、第一の期間に反応チャンバー内に導入されることができ、非プラズマ活性化洗浄種は、第二の期間に反応チャンバー内に導入されることができ、第一の期間および第二の期間は同時ではなく、すなわち、プラズマ活性化洗浄種と非プラズマ活性化洗浄種は、同時には反応チャンバー内に導入されない。別の実施形態では、プラズマ活性化洗浄種および非プラズマ活性化洗浄種は、同時に、すなわち、同じ期間に、または少なくとも重複する期間に、反応チャンバー内に導入されることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、非プラズマ活性化洗浄種は、第一の周波数で反応チャンバー内に導入されることができ、プラズマ活性化洗浄種は、第二の周波数で反応チャンバー内に導入されることができ、第二の周波数は第一の周波数よりも低い。
【0043】
いくつかの実施形態では、非プラズマ活性化洗浄種は、基材支持アセンブリーの表面温度を300℃を超える、500℃を超える、もしくは700℃を超える、または50℃~750℃の温度に維持しながら、反応チャンバー内に導入されることができる。さらに、非プラズマ活性化洗浄種の導入中に基材支持アセンブリーの温度を維持するだけでなく、反応チャンバーの他の内部湿潤表面(例えば、チャンバー壁)の温度は、300℃未満、もしくは250℃未満、もしくは200℃未満、もしくは150℃未満、もしくは100℃未満、または300℃~100℃の間の温度に維持されることができる。いくつかの実施形態では、基材支持アセンブリー(例えば、静電チャックの表面温度)と、反応チャンバーの他の湿潤された内面との間の温度差は、100℃を超える、もしくは200℃を超える、もしくは300℃を超える、もしくは400℃を超える、もしくは500℃を超える、または600℃を超えてもよい。例えば、基材支持アセンブリーの表面温度と反応チャンバーの他の湿潤された内面との間の温度デルタを利用して、基材支持アセンブリーの表面から不要な物質の厚い蓄積を迅速に除去することができ、それにより、洗浄後に基材支持アセンブリーを動作状態へ迅速に回復させる、例えば、静電チャックを備える基材支持アセンブリーのチャッキング能力を回復させることができる。
【0044】
さらに、非プラズマ活性化洗浄種を反応チャンバーに導入する間、不活性ガスパージカーテンはシャワーヘッドプレート112の下面に近接して、または接触して導入され、それによってシャワーヘッドプレート112に保護不活性ガス流を提供することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、非プラズマ活性化洗浄種は、反応チャンバーのチャンバー壁に露出される望ましくない膜または材料よりも、基材支持アセンブリーの露出面から望ましくない膜または材料を優先的に除去(すなわち、エッチング)することができる。換言すると、洗浄プロセスは、反応チャンバーの一つまたは複数のチャンバー壁上に配置される望ましくない膜よりも速い速度で、基材支持アセンブリーの露出面から望ましくない膜を除去することができる。
【0046】
例えば、
図2は、プラズマによって発生された活性化洗浄種と熱活性化洗浄種の両方を使用した、基材支持アセンブリーの温度、すなわちサセプター温度に対するエッチング速度を示すデータを例示している。
図2のデータは、特定のサセプター温度について、ラジカル洗浄法と熱洗浄法との間に明確なエッチング選択性(エッチング速度の違い)があることを明確に示している。
【0047】
さらに、
図4を参照すると、本技術の実施形態は、他の構成要素よりも高速でいくつかの構成要素から材料堆積物をエッチングすることができる。特に、熱洗浄の時点でより高い温度(例えば、300℃を超える)を有する構成要素は、より低い温度(例えば、200℃)を有する構成要素よりも高いエッチング速度を示す。例えば、熱洗浄の前に、材料堆積物400は、基材支持アセンブリー114上のエッジ上で観察されることができるが、シャワーヘッドプレート112上では、最小限の堆積物しか観察されない可能性がある。熱洗浄プロセスは、基材支持アセンブリー114から40A/秒を超える速度で材料堆積物を除去することができるが、熱洗浄プロセスは、シャワーヘッドプレート112から材料堆積物を除去しない。
【0048】
様々な実施形態では、および
図3を参照すると、洗浄工程(例えば、ラジカル洗浄および/または熱洗浄)の後、反応チャンバーは、後続のコンディショニングを必要としない場合がある。従来的のシステムでは、新しいウェーハを新しい堆積プロセスのためにチャンバー内に搬送する前に、チャンバーコンディショニングが必要とされる場合がある。従来の洗浄の後、およびコンディショニングの前に、最大150%~200%のプロセスドリフトが通常観察される。プロセスドリフトは、通常の処理状態へ反応チャンバーを復帰させるのにマイナスの影響を与える。このプロセスドリフトは、堆積プロセスを「ダミーウェーハ」(コンディショニングとも呼ばれる)上で実行することによって補正されることができるが、この追加工程(すなわち、ダミーウェーハの搬送および追加の堆積の実行)は、システムの稼働時間を減少させる。
【0049】
本技術の実施形態によれば、洗浄後のプロセスドリフトは最小(すなわち、+/-5%)であり、したがって、ダミーウェーハによるコンディショニングは必要ではなく、これはシステムの稼働時間を増加させる。具体的には、チャンバーを使用してMoNとモリブデンを堆積させる場合、MoN膜の抵抗率(Rs)ドリフト(つまり、プロセスドリフト)を測定できる。
【0050】
従来の洗浄では、MoN堆積の最初の数枚のウェーハは、洗浄薬品、例えばフッ素の影響により、異常に高い電気抵抗率を示す。しかし、本技術の実施形態によれば、洗浄プロセス後のMoN膜の抵抗率ドリフトは最小限(つまり、+/-5%)であり、したがって、チャンバーを通常の処理状態に戻すためにダミーウェーハ上で堆積プロセスを実行することを含むチャンバーコンディショニングは必要ではない。本技術の実施形態によれば、洗浄プロセスが完了した後、新しいdpの前に、フッ素スカベンジャーをチャンバーに導入して、チャンバーの通常の動作条件への回復を高めることができる。
【0051】
上述の本開示の例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその法的等価物によって定義される、本発明の実施形態の単なる実施例であるため、本発明の範囲を限定しない。任意の均等物の実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、記載の要素の代替的な有用な組み合わせなど、本明細書に示されかつ記載されたものに加えて、本開示の様々な修正は、記載内容から当業者には明らかになる場合がある。こうした修正および実施形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【外国語明細書】