(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172203
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221108BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20221108BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20221108BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20221108BHJP
【FI】
F21S2/00 415
F21V5/04 650
G03B15/02 G
G03B15/02 L
G03B15/02 S
G03B15/05
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133122
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2018214731の分割
【原出願日】2018-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2018043350
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】岡久 強志
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 典正
(57)【要約】 (修正有)
【課題】所望の照射領域に選択的に光を照射できる光源を提供する。
【解決手段】開口部を有する遮光部材と、上面視において開口部に位置し、区分された2つ以上のレンズ部を備えた導光部材と、レンズ部にそれぞれ対応して配置され、独立点灯可能な複数の発光部と、を含み、発光部は、上面に発光面を有し、遮光部材は、上面視において複数の発光部の少なくとも1つの発光部の発光面の一部を覆うように配置され、発光部毎の照射領域は、少なくとも一部が異なる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する遮光部材と、
上面視において前記開口部に位置し、区分された2つ以上のレンズ部を備えた導光部材と、
前記レンズ部にそれぞれ対応して配置され、独立点灯可能な複数の発光部と、
を含み、
前記発光部は、上面に発光面を有し、
前記遮光部材は、上面視において前記複数の発光部の少なくとも1つの発光部の発光面の一部を覆うように配置され、
前記発光部毎の照射領域は、少なくとも一部が異なる光源装置。
【請求項2】
前記レンズ部はそれぞれ、前記導光部材の下面に同心で設けられた複数の環状の凸部からなる第1フレネルレンズ又は同心で設けられた複数の環状の凸部の一部からなる第2フレネルレンズを含む請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記複数の環状の凸部は同心円、同心楕円のいずれかである請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記複数の発光部は、発光面の中心を結ぶ形状が矩形となるように配置されかつ前記発光面の一部が前記開口部の外側の遮光部によって覆われた4つの発光部を含み、前記4つの発光部にそれぞれ対応するレンズ部は、前記複数の環状の凸部の中心を結ぶ形状が矩形となるように配置された4つの第2フレネルレンズの1つを含む請求項2又は3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記発光面の中心を結ぶ矩形は正方形であり、前記複数の環状の凸部の中心を結ぶ矩形は長方形である請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記発光面の中心を結ぶ矩形は長方形であり、前記複数の環状の凸部の中心を結ぶ矩形は正方形である請求項4に記載の光源装置。
【請求項7】
前記発光面の中心を結ぶ矩形は長方形であり、前記複数の環状の凸部の中心を結ぶ矩形は長方形である請求項4に記載の光源装置。
【請求項8】
前記発光面の中心を結ぶ矩形は正方形であり、前記複数の環状の凸部の中心を結ぶ矩形は正方形である請求項4に記載の光源装置。
【請求項9】
前記4つの発光部の発光面の中心間距離が4つの第2フレネルレンズの環状の凸部の中心間距離より短い請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記4つの発光部の発光面の中心間距離が4つの第2フレネルレンズの環状の凸部の中心間距離より長い請求項8に記載の光源装置。
【請求項11】
前記4つの発光部に対応して設けられたレンズ部の形状は略同一である請求項4~10のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項12】
前記4つの発光部の発光面は四角形であり、該発光面において前記四角形の一辺に沿って所定の幅の部分が前記遮光部材により覆われている請求項4~11のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項13】
前記4つの発光部の発光面において、前記四角形の1つの角を挟む二辺に沿って所定の幅の部分が前記遮光部材により覆われている請求項12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記複数の発光部は、前記4つの発光部のうちの対角方向に配置された2つの発光部の間に配置された発光部を含み、該発光部に対応して設けられたレンズ部は第1フレネルレンズを含む請求項4~13のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項15】
前記4つの発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの複数の凸部は円環形状であり、前記4つの発光部のうちの対角方向に配置された2つの発光部の間に配置された発光部に対応して設けられた第1フレネルレンズの複数の凸部は円環形状であり、該第1フレネルレンズの最外周の凸部の曲率半径は、前記4つの発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの最外周の凸部の曲率半径より小さい請求項14に記載の光源装置。
【請求項16】
前記複数の発光部は、前記4つの発光部のうちの前記矩形の一辺の両端部に配置された2つの発光部の間に配置された発光部を含み、該発光部に対応して設けられたレンズ部は第2フレネルレンズを含む請求項4~15のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項17】
前記矩形の一辺の両端部に配置された2つの発光部に挟まれて配置された発光部にそれぞれ対応して設けられたレンズ部は略同一形状である請求項16に記載の光源装置。
【請求項18】
前記矩形の一辺の両端部に配置された2つの発光部の間に配置された発光部の発光面は四角形であり、該発光面において前記四角形の一辺に沿って所定の幅の部分が前記遮光部材により覆われている請求項16又は17に記載の光源装置。
【請求項19】
前記4つの発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの複数の凸部は円環形状であり、前記矩形の一辺の両端部に配置された2つの発光部の間に配置された発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの複数の凸部は円環形状であり、該複数の凸部の最外周の凸部の曲率半径は、前記4つの発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの複数の凸部の最外周の凸部の曲率半径より大きい請求項16~18のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項20】
前記複数の発光部のうちの少なくとも一部の発光部は、該発光部の光軸が前記導光部材の中心側に傾斜している請求項1~19のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項21】
前記発光部は、発光素子と該発光素子の上面を被覆する波長変換部材と、前記発光素子の側面及び前記波長変換部材の側面を被覆する反射部材と、を備える請求項1~20のいずれか1つに記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード等の発光素子を用いた光源が幅広く使用されるようになっていている。例えば、特許文献1には、例えば、携帯電話に搭載されたカメラのような小型カメラのフラッシュ用に用いることができる光源が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、カメラのフラッシュ用に用いる光源には、近年、所望の方向に選択的に光を照射できることが求められるようになってきている。
【0005】
そこで、所望の照射領域に選択的に光を照射できる光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明に係る一実施形態の光源装置は、
開口部を有する遮光部材と、
上面視において前記開口部に位置し、区分された2つ以上のレンズ部を備えた導光部材と、
前記レンズ部にそれぞれ対応して配置され、独立点灯可能な複数の発光部と、
を含み、
前記発光部は、上面に発光面を有し、
前記遮光部材は、上面視において前記複数の発光部の少なくとも1つの発光部の発光面の一部を覆うように配置され、
前記発光部毎の照射領域は、少なくとも一部が異なる。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成された本発明に係る一実施形態の光源装置によれば、少なくとも一部が異なる所望の照射領域に選択的に光を照射できる光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】実施形態に係る光源装置の一例を示す概略上面図である。
【
図1F】実施形態に係る光源装置の発光部の構成の一例を示す断面図である。
【
図1G】実施形態に係る光源装置の複数の発光部を一体で構成した場合の例を示す断面図である。
【
図1H】実施形態に係る光源装置の発光部の構成の他の例を示す断面図である。
【
図1I】実施形態に係る光源装置の遮光部材とその開口部に設けられた導光部材とを下面側から見た斜視図である。
【
図2】実施形態に係る光源装置の第1フレネルレンズと第2フレネルレンズの構成を説明するための模式図である。
【
図3】変形例1に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図4】変形例1に係る光源装置の変形例の模式的平面図である。
【
図5】変形例2に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図6】変形例3に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図7】変形例4に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図8】変形例5に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図9】変形例6に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図10】変形例7に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図11】変形例8に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図12】変形例9に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図13】変形例10に係る光源装置の模式的平面図である。
【
図14】実施例の光源装置において、9個全ての発光部1,1a~1hを点灯させたときの照射面における照度分布を示す図である。
【
図15】実施例の光源装置において、9個の発光部1,1a~1hのうち、5個の発光部1c,1e,1h,1g,1fを点灯させたときの照射面における照度分布を示す図である。
【
図16】実施例の光源装置において、9個の発光部1,1a~1hのうち、中央部に配置した1個の発光部1を点灯させたときの照射面における照度分布を示す。
【
図17】実施例の光源装置において、9個の発光部1,1a~1hのうち、1個の発光部1bを点灯させたときの照射面における照度分布を示す。
【
図18】実施例の光源装置において、9個の発光部1,1a~1hのうち、1個の発光部1hを点灯させたときの照射面における照度分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態の光源装置について図面を参照しながら説明する。
実施形態の光源装置は、
図1A~
図1Cに示すように、(a)独立して点灯可能な複数の発光部1,1a~1hと、(b)開口部10aを有する遮光部材10と、(c)遮光部材10の開口部10aに設けられた導光部材23と、を含む。導光部材23は、照射領域にそれぞれ対応しかつ発光部1,1a~1hにそれぞれ対応するように区分された複数のレンズ部20,20a~20hを含み、各レンズ部20,20a~20hは、それぞれ対応して設けられた発光部1,1a~1hから出射される光を各レンズ部に対応する照射領域に向けて出射させる。
ここで、照射領域とはある方向を中心としてその周りの広がりをもった領域である。本実施形態の発光装置では、方向が異なる複数の照射領域に対応するように複数の発光部が設けられている。これにより、複数の発光部のうちの1又は2以上の発光部を選択して点灯させることにより、所望の照射領域又は照射範囲に光を照射することができる。尚、本明細書において、照射領域とは1つの発光部を点灯させたときに光が照射される領域をいい、照射範囲とは2以上の発光部を点灯させたときにその2以上の発光部が光を照射する範囲をいう。また、本実施形態の発光装置において、各発光部に対応する照射領域は少なくとも一部が異なっている。
以上のように構成された実施形態の光源装置は、所望の照射領域又は照射範囲に選択的に光を照射することができる。また、実施形態の光源装置ではさらに、遮光部材10が、上面視において複数の発光部の一部の発光部の発光面の一部を覆うように設けられており、これにより、所望の照射領域に光を照射したときにその所望の照射領域内における照度と照射領域外における照度との照度差を大きくすることが可能になる。
【0010】
以下、実施形態の光源装置の各構成について詳細に説明する。
尚、実施形態の光源装置の説明は、9個の発光部1,1a~1h、9個のレンズ部20,20a~20hを備えた光源装置について説明するが、本発明は、発光部等の数は、所望の数に区分された照射領域に対応して設定されるものであり、9個に限定されるものではなく、少なくとも2以上の複数であればよい。
【0011】
1.発光部
(1)発光部の配置
実施形態の光源装置において、発光部1,1a~1hは、上面に発光面を含み、例えば、
図1B,1C等に示すように基板30の上に、例えば、3行3列のマトリクス状に設けられる。ここで、本明細書において、マトリクス状とは、発光部1,1a~1hの発光面の中心が厳密に正方格子又は長方格子の格子点に一致するように設けられていることを意味するものではなく、発光部1,1a~1hの発光面の中心を正方格子又は長方格子の格子点から内側又は外側にずらして配置されている場合も含む。例えば、実施形態の光源装置では、
図1Aに示すように、中心部に配置した発光部1及び対角隅部に配置した発光部1a、1c、1f、1hを正方格子の格子点に一致するように配置しているのに対して、それぞれ対角隅部に配置された発光部の間に位置する、発光部1b、発光部1d、発光部1e及び発光部1eは、発光面の中心が正方格子の格子点より内側に位置するように配置されている。この発光部1,1a~1hの配置は、各レンズ部の特性を考慮して、遮光部材10の開口部10aの形状及び大きさに基づき、一部の発光部(
図1Aに示す光源装置では中央部に配置された発光部1を除く発光部1a~1h)の発光面の所定の領域が遮光部材10によって覆われるように適宜設定する。
【0012】
基板30は、正負の配線が設けられており、例えば、各発光部1,1a~1hに対応する配線ごとに入出力端子を設ける等により、発光部1,1a~1hごとに独立して点灯制御できるようにする。
【0013】
(2)各発光部の構成
発光部1,1a~1hは、例えば、
図1Fに示すように、発光素子2と、発光素子2の発光面上に設けられた波長変換部材5と、波長変換部材5の発光面を除いて発光素子2の側面と波長変換部材5の側面とを覆う反射部材6とを含む。発光面と反対側の発光素子2の下面には正負一対の電極が設けられ、正負一対の電極が反射部材6から露出されて、露出された正負一対の電極には外部接続電極(発光部を外部に接続するための電極)が設けられる。波長変換部材5は、例えば、発光素子2が発光する光によって励起されて発光素子2が発光する光とは異なる波長の光を発光する蛍光体を含み、これにより発光部の発光色を白色等の所望の発光色にできる。実施形態の光源装置100では、以上のように構成された発光部1,1a~1hがそれぞれ上述した基板30の配線に接続される。
【0014】
以上の
図1Fに示した発光部は、発光部1,1a~1hごとに分離されているが、本実施形態の光源装置では、
図1Gに示すように、1つの反射部材6によって一体化された発光部1,1a~1h(発光部集合体)を用いてもよい。発光部集合体を用いる場合には、基板30を用いることなく光源を構成することも可能になる。
【0015】
また、実施形態の光源では、
図1Fに示した個々の発光部1,1a~1hに代えて、発光部1,1a~1hとして
図1Hに示すパッケージタイプの発光部を用いてもよい。パッケージタイプの発光部は、例えば、正のリードフレーム7e1と負のリードフレーム7e2とが樹脂部によって一体化されてなるパッケージ7と、パッケージ7の凹部に設けられた発光素子2と、パッケージ7の凹部において発光素子2を封止する封止樹脂8とを含む。封止樹脂8に発光素子2が発光する光によって励起されて発光素子2が発光する光とは異なる波長光を発光する蛍光体を含有させることができ、これにより発光部の発光色を白色等の所望の発光色にできる。また、パッケージタイプの発光部を用いる場合、封止樹脂8に蛍光体を含有させることに代えて、パッケージ7の凹部内に、赤色の光を発光する赤色発光素子、緑色の光を発光する緑色発光素子、青色の光を発光する青色発光素子の3つの発光素子を設けて白色の光を発光するようにしてもよい。パッケージ7の凹部内に、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子の3つの発光素子を設けて白色の光を発光するようにした場合であっても、さらに封止樹脂8に蛍光体を含有させる等により発光部の色味を調整することも可能である。
【0016】
2.遮光部材
(1)遮光部材10の構成
遮光部材10は、一部の発光部から出射される光の配光方向を制限することができるように、例えば、フィラーを含有させて光を反射させるようにした反射性樹脂、光を吸収する光吸収樹脂等により構成することができる。また、遮光部材10は、発光部1,1a~1hからの光を、導光部材23(レンズ部20,20a~20h)を介して出射させるために導光部材23が設けられる開口部10aを有している。また、遮光部材10は、
図1B及び
図1Cに示すように、発光部1,1a~1hの発光面に対向する面の外周に凸部が環状に設けられており、遮光部材10を発光部1,1a~1hの発光面に対向するように基板30上に載置したときに、導光部材23(レンズ部20,20a~20h)と発光部1,1a~1hの発光面の間に空間が形成されるようになっている。
【0017】
(2)遮光部材10の配置
実施形態の光源装置では、上述のように構成された遮光部材10が、上面視したときに、中央部に配置された発光部1を除く発光部1a~1hの発光面の一部が、開口部10aの外側の遮光部材10によって覆われるように配置される。具体的には、遮光部材10において、開口部10aは、例えば、上面視したときに、4つの第1~第4の角部を有する正方形に形成され、その4つの第1~第4の角部が、上面視したときに、4つの対角隅部に配置された発光部1a、1c、1f、1hの発光面の上に位置するように遮光部材10は配置される。尚、
図1Iに示すように、第1~第4の角部は面取りされたR面又はC面であってもよい。このようにして、
図1A等に示す実施形態の光源装置では、発光部1a、1c、1f、1hの発光面において、それぞれ最も外側に位置する角(かど)を挟む外周の2辺に沿って所定の幅の部分が遮光部材10によって覆われる。また、発光部1aと発光部1cの間に位置する発光部1b、発光部1aと発光部1fの間に位置する発光部1d、発光部1cと発光部1hの間に位置する発光部1e、発光部1fと発光部1hの間に位置する発光部1hの発光面において、最も外側に位置する外周の一辺に沿って所定の幅の部分が遮光部材10によって覆われる。
【0018】
3.導光部材
実施形態の光源装置において、導光部材23は、ポリカーボネイト、アクリル、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等からなり、発光部1,1a~1hにそれぞれ対応するように区分された複数のレンズ部20,20a~20hを含む。言い換えれば、導光部材23は、複数のレンズ部20,20a~20hが一体化されてなるレンズの集合体である。導光部材23は、遮光部材10の開口部10aに、例えば、遮光部材10の開口部の周りの上面と導光部材23の発光面である上面が同一平面上に位置するように設けられる。
【0019】
4.レンズ部
レンズ部20,20a~20hは、発光部1,1a~1hにそれぞれ対応するように区分された導光部材23の1つにより構成される。
図1B及び
図1Cにおいて、区分された導光部材の1つを、単位導光部材23pと示している。レンズ部20,20a~20hは、単位導光部材23pに対応する発光部1,1a~1hから入射される光を所定の方向に出射するレンズ機能が付与されて構成される。レンズ部20,20a~20hは、例えば、単位導光部材23pの下面に、同心で複数の環状の凸部または複数の環状の凸部の一部を設けることにより、レンズ機能が付与される。本明細書において、複数の環状の凸部はフレネルレンズを構成するものであり、該複数の凸部を環状で含むものを第1フレネルレンズといい、複数の環状の凸部の一部を含むものを第2フレネルレンズという。尚、本明細書において、第1フレネルレンズにおける複数の環状の凸部の中心を第1フレネルレンズの中心と呼ぶことがあり、第2フレネルレンズにおける複数の環状の凸部の中心を第2フレネルレンズの中心と呼ぶことがある。
【0020】
より具体的には、第1フレネルレンズは、例えば、
図2に示す複数の環状の凸部を含むフレネルレンズを、
図2において210の符号を付して示す範囲で分割して、環状全体が含まれる凸部を含むものをいう。また、第2フレネルレンズは、例えば、
図2に示す複数の環状の凸部を含むフレネルレンズを、
図2において221の符号を付して示す範囲で分割したもの、
図2において222の符号を付して示す範囲で分割したものの両方を含む。尚、
図2では、分割する範囲221は、その1つの角が環状の凸部の中心に一致するように描かれているが、分割する範囲221はその1つの角が環状の凸部の中心に一致するものに限定されるものではない。すなわち、分割する範囲221は、その範囲内に環状の凸部の中心を含んでいても良いし、その範囲外に環状の凸部の中心があっても良い。この分割する範囲221により分割された第2フレネルレンズは、フレネルレンズの一部を扇型に分割したものであり、例えば、マトリクス状に配置された対角隅部に配置されるレンズ部20a,20c,20f,20hに主として用いられ、その対角隅部に配置されたレンズ部20a,20c,20f,20hに対応して設けられた発光部20a,20c,20f,20hからの光を所望の照射範囲に照射できるように、適宜範囲221が設定される。
【0021】
また、
図2において分割範囲222は、フレネルレンズの中心を挟んで平行な2つの直線と、該2つの直線にそれぞれ直行しかつ2つの直線間にフレネルレンズの中心を含まないように引いた2つの直線により囲まれた範囲により規定される。この分割範囲222により分割される第2フレネルレンズは、対角隅部に配置されたレンズ部20a,20c,20f,20hに挟まれた、レンズ部20b,20d,20e,20hに主として用いられ、そのレンズ部20b,20d,20e,20hに対応して設けられた発光部20b,20d,20e,20hからの光を所望の照射範囲に照射できるように、適宜範囲222が設定される。
【0022】
尚、以上の例では、同一のフレネルレンズを、分割範囲210,221,222により分割する例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、対応する凸部間、例えば、最も内側に設けられる環状凸部の半径が異なる環状の凸部により構成した一方のフレネルレンズの一部により第1フレネルレンズを分割し、他方のフレネルレンズの一部により第2フレネルレンズを分割して同一光源装置のレンズ部を構成してもよい。また、隣接する凸部間の間隔が異なる環状の凸部により構成した一方のフレネルレンズの一部により第1フレネルレンズを分割し、他方のフレネルレンズの一部により第2フレネルレンズを分割して同一光源装置のレンズ部を構成してもよい。さらには、分割するベースとなる異なるフレネルレンズの一方のフレネルレンズから分割範囲221により第2フレネルレンズを分割し、他方のフレネルレンズから分割範囲222により第2フレネルレンズを分割して、1つの光源装置のレンズ部として用いてもよい。
【0023】
以上のように構成された実施形態の光源装置は、発光部にそれぞれ対応して配置されたレンズ部に形成された第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの配光特性を、対応する発光部との位置関係に基づき適宜設定することにより、所望の照射領域に選択的に光を照射することができる。以下、その点について具体例を用いて説明する。
以下に説明する具体例は、中央部に配置された発光部1からの光がレンズ部20を介して上方の照射領域に出射する場合と、発光部1に隣接して配置された発光部1dからの光がレンズ部20dを介して斜め方向の照射領域に出射する場合の例について説明する。
【0024】
5.中央部に配置された発光部1からの光の配光
図1Eは、中央部に配置された発光部1からの光が、レンズ部20を介して出射される様子を示している。
まず、レンズ部20は、単位導光部材23pにおいて下面(発光部1の発光面に対向する面)側に、以下のように構成された第1フレネルレンズ21が形成されている。
【0025】
(1)第1フレネルレンズ21
図1Eは、
図1Iのレンズ部20の断面図である。
図1I及び
図1Eに示すように、第1フレネルレンズ21は、円環状の複数の凸部を含む。具体的には、第1フレネルレンズ21は、フレネルレンズの中心から順に、第1凸部211と、第2凸部212と、第3凸部213と、第4凸部214とを含み、第2凸部212、第3凸部213及び第4凸部214が円環状の凸部である。また、中心部に位置する第1凸部211は、発光部側に中央部が下方に膨らんだ凸レンズ曲面により構成され、該凸レンズ曲面が入射面となる。第2凸部212、第3凸部213及び第4凸部214はそれぞれ円環状の凸部であり、
図1Eに示すように、第2凸部212は入射面212aと反射面212bとを有し、第3凸部213は入射面213aと反射面213bとを有し、第4凸部214は入射面214aと反射面214bとを有する。尚、第1凸部211の外周、第2凸部212、第3凸部213及び第4凸部214は同心である。尚、レンズ部20の出射面は、単位導光部材23pの上面である。
【0026】
(2)発光部1の配置
発光部1は、その発光面の光軸が第1フレネルレンズ21の光軸に一致するように配置される。この配置により、発光部1から出射される光は実質的に全て第1フレネルレンズ21に入射させるので、発光部1の発光面は遮光部材10によって覆われていない。
【0027】
(3)発光部1から出射される光の配光
以上のような構成により、例えば、発光部1の発光面から光軸方向に出射された光は、
図1Eに示すように、第1凸部211の入射面(凸レンズ曲面)から入射されて光軸方向に直進する。また、発光部1の発光面から光軸に対して比較的小さな角度で出射されて第1凸部211の入射面から入射される光は、該入射面で光軸との角度が小さくなる方向に屈折されて単位導光部材23pに入射され、出射面から出射される。
また、例えば、発光部1の発光面から光軸に対して比較的大きな角度で出射される光は、光軸に対する角度に応じて、第2~第4凸部212~214の入射面212a~214aから入射されて、第2~第4凸部212~214の反射面212b~214bで光軸との角度が小さくなる方向に反射されて出射面から出射される。
このようにして、発光部1から出射される光は、光源装置100の前方に位置し、光軸を中心とする範囲の照射領域に照射される。
【0028】
6.中央部を囲む発光部1a~1hからの光の配光
図1Dには、発光部1dからの光が、レンズ部20dを介して出射される様子を示している。
まず、レンズ部20dは、単位導光部材23pにおいて下面(発光部1dの発光面に対向する面)側に、以下のように構成された第2フレネルレンズ22dが形成されている。
【0029】
(1)第2フレネルレンズ22d
第2フレネルレンズ22dは、
図1Iに示すように、円環状の複数の凸部のそれぞれの一部を含む。具体的には、この第2フレネルレンズ22dは、フレネルレンズの中心から順に、第1凸部22d1と、第2凸部22d2と、第3凸部22d3と、第4凸部22d4とを含み、第1凸部22d1、第2凸部22d2、第3凸部22d3及び第4凸部22d4がそれぞれ円環状の凸部の一部からなる。第1凸部22d1は入射面22d1aと反射面22d1bとを有し、第2凸部22d2は入射面22d2aと反射面22d2bとを有し、第3凸部22d3は入射面22d3aと反射面22d3bとを有し、第4凸部22d4は入射面22d4aと反射面22d4bとを有する。
【0030】
(2)発光部1dの配置
発光部1dは、その発光面の一部が上面視で遮光部材10によって覆われるように配置される。言い換えれば、遮光部材10によって覆われた一部の発光面は、第2フレネルレンズ22dには対向していない。
【0031】
(3)発光部1dから出射される光の配光
以上のような構成により、発光部1dから出射される光は、第2フレネルレンズ22dの第1凸部22d1の入射面22d1a、第2凸部22d2の入射面22d2a、第3凸部22d3の入射面22d3a及び第4凸部22d4の入射面22d4aから単位導光部材23pに入射される。
入射面22d1a、入射面22d2a、入射面22d3a及び入射面22d4aから入射された光はそれぞれ、第1凸部22d1の反射面22d1b、第2凸部22d2の反射面22d2b、第3凸部22d3の反射面22d3bによって、上面視において光源装置の外側に向かって反射される。
また、レンズ部20dでは、第1~第4凸部22d1~22d4を環状にしていることから、発光部1dが出射する光の横方向への拡がり、すなわち、発光部1a及び発光部1fが配置されている方向の光の拡がりを抑制できる。
【0032】
以上、中央部に配置された発光部1からの光がレンズ部20を介して上方の照射領域に出射される場合と、発光部1dからの光がレンズ部20dを介して斜め方向の照射領域に出射する場合の例について説明した。発光部1b,1h,1eからの光がそれぞれ対応して設けられたレンズ部20b,20h,20eを介して斜め方向の照射領域に出射される様子は、発光部1dからの光がレンズ部20dを介して斜め方向の照射領域に出射される場合と同様である。
【0033】
(4)発光部1a,1c,1f,1hから出射される光の配光
発光部1a,1c,1f,1hからの光がそれぞれ対応して設けられたレンズ部20a,20c,20f,20hを介して出射される場合については、図示はしていないが、以下のように説明できる。
【0034】
まず、対角隅に設けられた発光部1a,1c,1f,1hにそれぞれ対応して設けられたレンズ部20a,20c,20f,20hに形成される第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hは、ベースとなる環状のフレネルレンズを扇形の領域で分割されることにより構成されている。そして、その扇形の第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hの中心線C22がそれぞれ、発光部配置の対角線に略一致するようにレンズ部20a,20c,20f,20hが設けられる。扇形の第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hの中心線C22とは、
図1Iに示すように、扇形の第2フレネルレンズを線対称の2つの領域に2分割する線のことである。また、発光部1a,1c,1f,1hは、例えば、各発光面の中心がそれぞれ扇形の第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hの中心線C22上または中心線C22の延長線上に位置するように配置される。
【0035】
レンズ部20a,20c,20f,20hの第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hはそれぞれ、それぞれ入射面と反射面を有する複数の凸部を有し、発光部1a,1c,1f,1hから出射される光はそれぞれ、第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hを構成する複数の凸部の入射面から入射されて反射面で対角方向を中心として所定の角度の範囲に反射される。レンズ部20a,20c,20f,20hでは、第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hをそれぞれ、フレネルレンズを扇形の領域で分割して複数の凸部をそれぞれ弧状にしているので、複数の凸部の反射面で反射される発光部からの光の方向を、発光装置の対角方向を中心とした所定の角度の範囲に制限することができ、発光部1a,1c,1f,1hが出射する光の隣接する発光部が配置されている方向への広がりを抑制できる。
また、発光部1a,1c,1f,1hはそれぞれ、発光面の一部が遮光部材により覆われているので、発光面において遮光部材によって覆う位置及び範囲を適宜調整することによりにより対応するレンズ部に応じた配光特性にできる。
【0036】
7.第1フレネルレンズ及び第2フレネルレンズについて
上述したように、実施形態の光源装置において、複数の発光部は4隅に配置された発光部1a,1c,1f,1hと、その4つの発光部のうちの対角方向に配置された2つの発光部発光部1a,1hの間(2つの発光部1c,1fの間)に配置された発光部1を含む。そして、発光部1に対応して設けられたレンズ部20は第1フレネルレンズを含み、他の発光部に対応して設けられたレンズ部20は第2フレネルレンズを含む。ここで、フレネルレンズのレンズ特性は、複数の凸部の径と各凸部の断面形状により決定される。
第1及び第2のフレネルレンズの、複数の凸部の径と各凸部の断面形状は、所望の照射領域に発光部からの光を照射するために適宜設定される。その際、第1フレネルレンズの複数の凸部の最外周の凸部の径と第2フレネルレンズの複数の凸部の最外周の凸部の径は同一に設定してもよいし、異なっていてもよい。すなわち、光源装置に対して、どの範囲、具体的には、光源からどのよう程度離れた位置にある照射領域に対して効果的に光を照射するようにするかは、光源装置が使用される環境に応じて異なり、複数の凸部の最外周の凸部の径は、目標とする照射領域の位置又は範囲に基づき適宜設定される。
実施形態の光源装置では、例えば、4つ隅部に配置した発光部1a,1c,1f,1hに対応して設けられた第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hの複数の凸部は円環形状とし、中央部に配置した発光部1に対応して設けられた第1フレネルレンズ21の複数の凸部はいずれも円環形状にしたときに、該第1フレネルレンズ21の最外周の凸部の曲率半径は、第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hの最外周の凸部の曲率半径より小さくなるように設定している。このようにすると、発光部1a,1c,1f,1hからの光がそれぞれレンズ部20a,20c,20f,20hを介して出射される際の平面方向(導光部材の上面と平行な面内方向)の拡がりを、発光部1からの光がレンズ部20を介して出射される際の平面方向の拡がりに比較して抑えることができる。
【0037】
また、実施形態の光源装置では、例えば、4つ隅部に配置した発光部1a,1c,1f,1hに対応して設けられた第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hの複数の凸部は円環形状とし、2つの第2フレネルレンズ22a,22fの間に配置された第2フレネルレンズ22d、2つの第2フレネルレンズ22a,22cの間に配置された第2フレネルレンズ22b、2つの第2フレネルレンズ22f,22hの間に配置された第2フレネルレンズ22g、2つの第2フレネルレンズ22c,22hの間に配置された第2フレネルレンズ22eの複数の凸部は円環形状としたときに、該複数の凸部の最外周の凸部の曲率半径は、第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hの複数の凸部の最外周の凸部の曲率半径より大きくなるように設定している。このようにすると、発光部1b,1d,1e,1gからの光がそれぞれレンズ部20b,20d,20e,20gを介して出射される際の平面方向の拡がりを、発光部1a,1c,1f,1hからの光がそれぞれレンズ部20a,20c,20f,20hを介して出射される際の平面方向の拡がりより抑えることができる。
以上のように、第1フレネルレンズ21の最外周の凸部の曲率半径を、第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hの最外周の凸部の曲率半径より小さくなるように設定して発光部1a,1c,1f,1hからの光がそれぞれレンズ部20a,20c,20f,20hを介して出射される際の平面方向の拡がりを抑え、その拡がりよりさらに発光部1b,1d,1e,1gからの光がそれぞれレンズ部20b,20d,20e,20gを介して出射される際の平面方向の拡がりを抑えることにより、例えば、携帯電話のカメラのフラッシュ用光源に使用された際に求められる照射領域の範囲に効果的に光を照射することができる光源装置を提供することができる。
【0038】
以下、第1フレネルレンズ及び第2フレネルレンズのレンズ特性について
図1D及び
図1Eに示す断面図を参照しながら説明する。
上述したように、実施形態の光源装置では、レンズ部に形成した第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの反射面による反射を利用して、対応する発光部から出射される光を所定の照射領域に照射するようにしている。
したがって、対応する発光部から出射される光を第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの反射面によって所定の方向に反射させることが重要であり、言い換えれば、第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの縦断面における反射面の形状及び面方向の設定が重要である。また、第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの反射面によって反射される光は、第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの入射面を介して入射されるものであり、その入射面から入射される光は入射面で屈折されて入射される。したがって、その入射面の形状及び面方向の設定が重要である。尚、入射面における光の屈折した入射及び反射面における光の反射は、導光部材の屈折率と導光部材と接する媒体の屈折率との差によって得られるものであり、凸部の入射面及び反射面の形状及び面方向を設定する際には、導光部材の屈折率と導光部材と接する媒体の屈折率との屈折率差も考慮すべきパラメータである。実施形態の光源装置では、導光部材と接する媒体は空間であり、導光部材の屈折率と導光部材と接する媒体の屈折率との屈折率差は、導光部材と空間との間の屈折率差である。
【0039】
第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの反射面の形状及び面方向は、発光部とレンズ部の位置関係、対応する照射領域の方向及び範囲に基づいて設定されるが、実施形態の光源装置では、対応する発光面が遮光部材によって覆われる位置及び範囲をさらに考慮して設定される。
具体的には、実施形態の光源装置において、発光部1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1hから出射される光は、外側に向かう光が制限されて中心(発光部1の方向)に向かう所定の範囲に多くの光が出射されるように配光される。したがって、中心に向かう方向に配光された光を効率よく所望の照射領域に出射させるように複数の凸部の形状、すなわち複数の凸部の入射面及び反射面の形状及び面方向が設定される。
【0040】
以上のように、対応する発光部から出射される光をレンズ部により所望の照射領域に向けて出射させるためには、種々のパラメータを考慮して第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの複数の凸部の入射面及び反射面の形状及び面方向を設定する必要があるが、それらは、例えば、以下のようにしてシミュレーションを行うことにより容易に設定することができる。
【0041】
まず、発光部と遮光部材との位置関係に基づいて、発光部の発光面からどのような配光特性で光が出射されるか、シミュレーションまたは発光強度を測定することにより求める(第1ステップ)。発光部と遮光部材との位置関係には、発光部の発光面において、上面視でどの位置のどの範囲が遮光部材によって覆われているかを含む。
次に求めた配光特性に基づいて、第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの複数の凸部の平面形状及び凸部の入射面及び反射面の形状及び面方向を種々変化させて所望の照射領域に光が所望の強度で出射させるか否かシミュレーションまたは照度分布を測定することにより評価する(第2ステップ)。照度分布を測定は、例えば、所定の距離に配置され、複数に区分された照射領域を含む照射面に発光部からの光を照射させて照度分布を測定すればよい。また、シミュレーションにより照度分布を求める場合には、所定の距離に配置されたと仮定した照射面における区分された照射領域ごとの照度分布を求めればよい。
【0042】
以上説明した第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの複数の凸部の入射面及び反射面の形状及び面方向の設定方法としては、第2ステップの評価の後で、さらに発光部と遮光部材との位置関係を変化させて第1ステップと第2ステップを繰り返すことにより、より最適な発光部と遮光部材との位置関係、第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズの複数の凸部の平面形状及び凸部の入射面及び反射面の形状及び面方向を求めるようにしてもよい。
【0043】
以上のように構成された実施形態の光源装置は、照射領域にそれぞれ対応するように設けられ、独立して点灯可能な複数の発光部1,1a~1hと、該発光部1,1a~1hにそれぞれ対応して設けられたレンズ部20,20a~20hを備えているので、発光部1,1a~1hから出射される光をそれぞれ各レンズ部20,20a~20hに対応する照射領域に向けて出射させることができる。
さらに、以上のように構成された実施形態の光源装置は、遮光部材10が、上面視において複数の発光部の一部の発光部の発光面の一部を覆うように設けられている。これにより、発光面の一部を覆って設けた発光部からの光の配光特性を、所望の照射領域に効果的に照射されるように制限でき、所望の照射領域に光を照射したときにその所望の照射領域内における照度と照射領域外における照度との照度差を大きくすることが可能になる。例えば、
図1A等に示す9個の発光部1,1a~1hを備えて光源装置について言えば、照射される照射領域をみれば、どの発光部が点灯されているかわかるようにできる。
【0044】
また、実施形態の光源装置では、一部の発光部の発光面の一部を遮光部材によって覆っているので、発光面の一部を覆って設けた発光部からの光の配光特性を、発光面において遮光部材によって覆う位置及び範囲によりレンズ部に応じた特性にでき、所望の照射領域に光を照射できる一方該照射領域外への光の照射を抑えることができる。これにより、所望の照射領域とそれに隣接する照射領域の境界の内側と外側とで照度差を大きくできる。
【0045】
以上の実施形態の光源装置について、
図1A等に示すマトリクス状に配置された9個の発光部1,1a~1hを備えた例を用いて説明した。
しかしながら、本実施形態の光源装置は、発光部の数は9個に限定されるものではなく、少なくとも発光部を2以上備えていればよい。
【0046】
また、実施形態の光源装置を図示した第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズは、円環状の複数の凸部を備えたフレネルレンズをベースに構成した例により示した。
しかしながら、本実施形態の光源装置では、第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズは、例えば、略矩形又は略多角形の環状の複数の凸部を備えたフレネルレンズをベースに構成してもよい。
【0047】
また、実施形態の光源装置の説明では、レンズ部に形成された第1フレネルレンズ又は第2フレネルレンズと、該レンズ部にそれぞれ対応して設けられた発光部の発光面の中心との位置関係については言及していないが、該位置関係を変更することにより、該位置関係に対応させて異なる照射特性を実現できる。
【0048】
以下、実施形態の光源装置の変形例について説明する。
【0049】
変形例1.
図3は、変形例1の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。尚、
図3においては、遮光部材を省略して図示しているが、レンズ部の外側において発光部の発光面は遮光部材によって覆われている。以下の
図4~
図12についても同様である。
変形例1の光源装置は、実施形態の光源装置と比較して4つの発光部と各発光部にそれぞれ対応して設けられた4つのレンズ部によって構成されており、4つに区分された照射領域に選択的に光を照射することが可能な光源装置である。
【0050】
具体的には、変形例1の光源装置は、実施形態の光源装置の4隅に設けられた4つの発光部1a,1c,1f,1hと、各発光部に対応して設けられた4つのレンズ部20a,20c,20f,20hを含むように構成されており、レンズ部20a,20c,20f,20hがそれぞれ第2フレネルレンズ22a,22c,22f,22hを備えている。変形例1の光源装置において、第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22hは、中心52を結んだ形状が正方形になるように配置されており、発光部1a、1c、1f、1hについても、発光面の中心51を結んだ形状も正方形になるように配置されている。
図3に示す、変形例1の光源装置では、発光部1a、1c、1f、1hとレンズ部20a,20c,20f,20hとは、発光部1a、1c、1f、1hの発光面の中心51と第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22hの中心52とが一致するように配置されている。しかしながら、変形例1の光源装置では、
図4に示すように、発光部1a、1c、1f、1hの発光面の中心51と第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22hの中心52とをずらして、発光部1a、1c、1f、1hとレンズ部20a,20c,20f,20hとを配置してもよい。このように、発光部1a、1c、1f、1hとレンズ部20a,20c,20f,20hとの配置を変更することにより、発光部1a、1c、1f、1hにそれぞれ対応する照射領域の範囲及び各照射領域における照度分布を調整、変更することができる。
【0051】
変形例2.
図5は、変形例2の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。
変形例2の光源装置は、第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22iの形状と、発光部1a、1c、1f、1iとレンズ部20a,20c,20f,20hの位置関係が、
図3に示す変形例1の光源装置とは異なっている点を除いて変形例1の光源装置と同様に構成される。
【0052】
具体的には、変形例1の光源装置においては、レンズ部20a、20c、20f、20hに設けられた第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22hとして、ベースとなるフレネルレンズを
図2に示す分割する範囲221の中心がベースとなるフレネルレンズの中心と一致するように設定された正方形の分割範囲221で分割したものを用いた。
これに対して、変形例2の光源装置において、レンズ部20a、20c、20f、20hに設けられた第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22hとして、ベースとなるフレネルレンズを
図2に示す分割する範囲221の中心がベースとなるフレネルレンズの中心より外側に位置するように設定された長方形の分割範囲221で分割したものを用いている。このように、第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22hを構成するための、ベースとなるフレネルレンズを分割する範囲221を変更することにより、発光部1a、1c、1f、1hにそれぞれ対応する照射領域の範囲及び各照射領域における照度分布を調整、変更することができる。
【0053】
また、変形例2の光源装置では、
図5に示すように、発光部1a、1c、1f、1hの発光面の中心51と第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22hの中心52とをずらして、発光部1a、1c、1f、1hとレンズ部20a,20c,20f,20hとを配置している。このように、発光部1a、1c、1f、1hとレンズ部20a,20c,20f,20hとの配置を変更することにより、発光部1a、1c、1f、1hにそれぞれ対応する照射領域の範囲及び各照射領域における照度分布を調整、変更することができる。
【0054】
以上のように構成された変形例2の光源装置は、第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22hとして、ベースとなるフレネルレンズを
図2に示す分割する範囲221の中心がベースとなるフレネルレンズの中心と一致するように設定された正方形の分割範囲221で分割された基本とする第2フレネルレンズから分割範囲を変更し、第2フレネルレンズ22a、22c、22f、22iの中心と発光部1a、1c、1f、1hの発光面の中心とを一致させた基本的な配置から変更して発光部1a、1c、1f、1hとレンズ部20a,20c,20f,20hの位置関係を設定することにより、所望の照射領域により適切に光を照射することが可能になる。
【0055】
変形例3.
図6は、変形例3の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。
変形例3の光源装置は、実施形態の光源装置のレンズ部20b,20gと同様に構成された4つのレンズ部を用いて構成され、4つに区分された照射領域に照射することができる光源装置である。
すなわち、変形例3の光源装置において、レンズ部はそれぞれ
図2に示す分割範囲222で分割された4つの第2フレネルレンズ22jを含む。そしてその4つの第2フレネルレンズ22jは、フレネルレンズの中心を結ぶ形状が長方形(以下、第1長方形という。)になるように配置されている。また、変形例3の光源装置において、発光部1jは、その発光面の中心を結ぶ形状が長方形(以下、第2長方形という。)になるように配置されている。この第2長方形の2つの長辺はそれぞれ第1長方形の長辺と同一直線上に位置し、第2長方形の中心は第1長方形と中心と一致し、かつ第2長方形の長辺は第1長方形の長辺より長くなっている。以上のように構成された変形例3の光源装置において、発光部1jの発光面の中心は、それぞれ対応して設けられた第2フレネルレンズ22jの中心より外側に位置する。尚、発光部1jの発光面の中心とそれぞれ対応して設けられた第2フレネルレンズ22jの中心の間の距離は、第2長方形の長辺の長さと第1長方形の長辺の長さの半分である。
【0056】
以上のように構成された変形例3の光源装置により各発光部1jに対応して照射される照射領域は、第1長方形及び第2長方形の長辺方向の長さを第1長方形及び第2長方形の短辺方向の長さより長くできる。
【0057】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置において、第1及び第2フレネルレンズのベースとなるフレネルレンズの複数の凸部は、同心円、同心楕円、同心矩形を含む種々の環状のものを用いることができる。
【0058】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、複数の発光部が、発光面の中心を結ぶ形状が矩形となるように配置されかつ発光面の一部が開口部の外側の遮光部材によって覆われた4つの発光部を含み、該4つの発光部にそれぞれ対応するレンズ部として、複数の環状の凸部の中心を結ぶ形状が矩形となるように配置された4つの第2フレネルレンズを含む。
【0059】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、発光部の発光面の中心を結ぶ形状が正方形であり、複数の環状の凸部の中心を結ぶ形状が長方形である。
【0060】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、発光部の発光面の中心を結ぶ形状が長方形であり、複数の環状の凸部の中心を結ぶ形状が正方形である。
【0061】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、発光部の発光面の中心を結ぶ形状が長方形であり、複数の環状の凸部の中心を結ぶ形状が長方形である。
【0062】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、発光部の発光面の中心を結ぶ形状が正方形であり、複数の環状の凸部の中心を結ぶ形状が正方形である。
【0063】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、4隅にある4つの発光部の発光面の中心間距離がそれぞれ該4つの発光部に対応して設けられた4つの第2フレネルレンズの環状の凸部の中心間距離より短い。
【0064】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、4隅にある4つの発光部の発光面の中心間距離がそれぞれ該4つの発光部に対応して設けられた4つの第2フレネルレンズの環状の凸部の中心間距離より長い。
【0065】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、4隅にある4つの発光部に対応して設けられた4つのレンズ部の形状は略同一である。
【0066】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、4隅にある4つの発光部の発光面は四角形であり、該四角形の発光面の一辺に沿って所定の幅の部分が遮光部材により覆われている。
【0067】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、4隅にある4つの発光部の発光面は四角形であり、四角形の発光面において1つの角を挟む二辺に沿って所定の幅の部分が遮光部材により覆われている。
【0068】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、4隅に配置された4つの発光部とその4つの発光部のうちの対角方向に配置された2つの発光部の間に配置された発光部を含み、該発光部に対応して設けられたレンズ部は第1フレネルレンズを含む。
【0069】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、4隅に配置された4つの発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの複数の凸部は円環形状であり、該4つの発光部のうちの対角方向に配置された2つの発光部の間に配置された発光部に対応して設けられた第1フレネルレンズの複数の凸部は円環形状であり、該第1フレネルレンズの最外周の凸部の曲率半径は、4つの発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの最外周の凸部の曲率半径より小さい。
【0070】
以上の実施形態及び変形例1~3の光源装置において説明したように、ある形態の光源装置は、発光面の中心を結ぶ形状が矩形となるように配置された4つの発光部とその4つの発光部のうちの前記矩形の一辺の両端部に配置された2つの発光部の間に配置された発光部とを含み、該発光部に対応して設けられたレンズ部は第2フレネルレンズを含む。
また、上記形態の光源装置において、前記矩形の一辺の両端部に配置された2つの発光部に挟まれて配置された発光部にそれぞれ対応して設けられたレンズ部は略同一形状であってもよい。
さらに、上記形態の光源装置において、前記矩形の一辺の両端部に配置された2つの発光部の間に配置された発光部の発光面は四角形であり、該発光面において四角形の一辺に沿って所定の幅の部分が遮光部材により覆われていてもよい。
またさらに、上記形態の光源装置において、発光面の中心を結ぶ形状が矩形となるように配置された4つの発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの複数の凸部は円環形状であり、前記矩形の一辺の両端部に配置された2つの発光部の間に配置された発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの複数の凸部は円環形状であり、該複数の凸部の最外周の凸部の曲率半径は、発光面の中心を結ぶ形状が矩形となるように配置された4つの発光部に対応して設けられた第2フレネルレンズの複数の凸部の最外周の凸部の曲率半径より大きくすることができる。
【0071】
以下、さらに異なる変形例について説明する。
【0072】
変形例4.
図7は、変形例4の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。
変形例4の光源装置は、ベースとなるフレネルレンズを、三角形の分割範囲で分割した第2フレネルレンズ22kをそれぞれ含むレンズ部を備えている。
【0073】
具体的には、変形例4の光源装置における第2フレネルレンズ22kは、ベースとなるフレネルレンズを、該フレネルレンズの中心を頂点とする2等辺三角形の分割範囲で分割することにより構成され、その底辺が接するように配置されている。そして、変形例4の光源装置において、発光部1kは、発光面の中心が対応する第2フレネルレンズ22kの中心に一致するように配置されている。
【0074】
以上のように構成された変形例4の光源装置は、前記2等辺三角形の底辺の両側にある照射領域に対して選択的に照射することができる。
【0075】
変形例5.
図8は、変形例5の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。
変形例5の光源装置は、ベースとなるフレネルレンズを、
図2に示す分割範囲222で分割した第2フレネルレンズ22lをそれぞれ含むレンズ部を備えている。
【0076】
具体的には、変形例5の光源装置における第2フレネルレンズ22lを規定する分割範囲222は、長辺が短辺の約2倍である長方形であり、第2フレネルレンズ22lの中心は、該長方形の長辺の中心点近傍の長方形の外側に位置する。また、変形例5の光源装置において、第2フレネルレンズ22lは、第2フレネルレンズ22lの中心が近接する長辺と反対側の長辺が接するように配置されている。
【0077】
以上のように構成された変形例5の光源装置は、第2フレネルレンズ22lの境界の両側にある照射領域に対して選択的に照射することができる。
【0078】
変形例6.
図9は、変形例6の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。
変形例6の光源装置は、ベースとなるフレネルレンズを、2つのレンズ部が、
図2に示す分割範囲222で分割した第2フレネルレンズを備えている点で、変形例5の光源装置と同様であるが、変形例6の光源装置においてレンズ部がそれぞれ含む第2フレネルレンズ22mは、ベースとなるフレネルレンズが複数の楕円の凸部を含んで構成されている点が変形例5の光源装置とは異なっている。
【0079】
以上のように構成された変形例6の光源装置によっても、第2フレネルレンズ22mの境界の両側にある照射領域に対して選択的に照射することができる。
【0080】
変形例7.
図10は、変形例7の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。
変形例7の光源装置は、ベースとなるフレネルレンズを、2つのレンズ部が、
図2に示す分割範囲222で分割した第2フレネルレンズを備えている点で、変形例5及び6の光源装置と同様であるが、変形例7の光源装置においてはレンズ部がそれぞれ含む第2フレネルレンズ22nは、ベースとなるフレネルレンズが複数の略矩形の凸部を含んで構成されている点が変形例5及び6の光源装置とは異なっている。
【0081】
以上のように構成された変形例6の光源装置によっても、第2フレネルレンズ22nの境界の両側にある照射領域に対して選択的に照射することができる。
【0082】
以上のように構成された変形例5~7に示したように、第2フレネルレンズを構成する際のベースとなるフレネルレンズの複数の凸部の形状が、円環状、楕円環状又は略矩形の環状のいずれであっても、第2フレネルレンズ22l,22m,22nの境界の両側にある照射領域に対して選択的に照射することができる。
その上で、第2フレネルレンズを構成する際のベースとなるフレネルレンズの複数の凸部の形状を、円環状、楕円環状又は略矩形とすることにより、光を照射する照射領域の範囲、当該範囲における照度分布を変更することができ、複数の凸部の形状に応じた照射領域範囲、当該範囲内における照度分布を実現できる。
【0083】
変形例8.
図11は、変形例8の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。
変形例8の光源装置は、実施形態及び変形例1~7の光源装置とは、
(1)遮光部材の開口部が、円形である点、
(2)4つのレンズ部を備え、その4つのレンズ部が円形の開口部に設けられた導光部材が4つに分割された扇形の領域に第1フレネルレンズを形成することにより構成されている点、
(3)4つのレンズ部にそれぞれ対応して設けられた4つの発光部1oが、発光面の中心が扇形の領域の中心線上でかつレンズ部の外側に位置するように設けられている点、
で異なっている。
【0084】
まず、変形例8の光源装置において、各レンズ部における第1フレネルレンズは、複数の環状の凸部を含むフレネルレンズを、そのフレネルレンズの中心を含む扇形の範囲で、少なくとも1つの環状全体の凸部が含まれるように分割して構成する。尚、
図11では、ベースとなるフレネルレンズの中心が、分割する扇形の中心線上に位置するようにフレネルレンズを分割する例により示しているが、フレネルレンズの中心を分割する扇形の中心線からずらして分割するようにしてもよい。
【0085】
以上のように構成された変形例8の光源装置によっても、第1フレネルレンズ22oにそれぞれ対応する照射領域に対して選択的に照射することができる。
また、変形例8の光源装置では、ベースとなるフレネルレンズの中心を、分割する扇形のどの位置にするかによって、照射領域範囲、及び当該範囲内における照度分布を変更することができ、ベースとなるフレネルレンズの中心を、分割する扇形の内部で適宜変更することにより、照射領域範囲、及び当該範囲内における照度分布を調整することが可能になる。
【0086】
変形例9.
図12は、変形例9の光源装置の構成を模式的に示す平面図である。
変形例9の光源装置は、実施形態及び変形例1~7の光源装置とは、
(1)遮光部材の開口部が、円形である点、
(2)2つのレンズ部を備え、その2つのレンズ部が円形の開口部に設けられた導光部材が2つに分割された半円形の領域に第1フレネルレンズを形成することにより構成されている点、
(3)2つのレンズ部にそれぞれ対応して設けられた2つの発光部1pが、発光面の中心が半円を線対称の2つの領域に2分割する中心線上でかつレンズ部の外側に位置するように設けられている点、
で異なっている。
【0087】
具体的には、変形例9の光源装置において、各レンズ部における第1フレネルレンズは、複数の環状の凸部を含むフレネルレンズを、そのフレネルレンズの中心を含む半円形の範囲で、少なくとも1つの環状全体の凸部が含まれるように分割して構成する。尚、
図12では、ベースとなるフレネルレンズの中心が、半円を線対称の2つの領域に2分割する中心線上に位置するようにフレネルレンズを分割する例により示しているが、フレネルレンズの中心を半円の中心線からずらして分割するようにしてもよい。
【0088】
以上のように構成された変形例9の光源装置によっても、第1フレネルレンズ22pにそれぞれ対応する照射領域に対して選択的に照射することができる。
また、変形例9の光源装置では、ベースとなるフレネルレンズの中心を、分割する半円のどの位置にするかによって、照射領域範囲、及び当該範囲内における照度分布を変更することができ、ベースとなるフレネルレンズの中心を、分割する半円の内部で適宜変更することにより、照射領域範囲、及び当該範囲内における照度分布を調整することが可能になる。
【0089】
変形例10.
図13は、変形例10の光源装置の構成を模式的に示す断面図である。
変形例10の光源装置は、実施形態の光源装置において、発光部1,1a~1hを覆うレンズ機能を持たせた透光性部材を設けた点以外は、実施形態の光源装置と同様に構成される。
すなわち、実施形態の光源装置は、遮光部材10によって一部の発光部の発光面の一部を覆うことによって、所望の照射領域に光を照射したときにその所望の照射領域内における照度と照射領域外における照度との照度差を大きくしている。
しかしながら、遮光部材10によって一部の発光部の発光面の一部を覆うことによって一部の発光部からの光が遮光部材によって吸収又は反射されて有効に利用できない場合がある。
そこで、変形例10の光源装置では、発光部1,1a~1hを覆う透光性部材を設け、その透光性部材に、発光部1,1a~1hにそれぞれ対応して設けられたレンズ部20,20a~20hに向けて発光部1,1a~1hから出射される光を集光するレンズ機能を持たせている。
【0090】
変形例10の光源装置において、発光部1の発光面から出射される光の光軸とレンズ部20の光軸とは略一致するように発光部1とレンズ部20とは配置され、発光部1の発光面から出射される光の配光特性は光軸に対してほぼ対称である。したがって、発光部1を覆う透光性部材(第1凸レンズ)9は、発光部1から出射される光がレンズ部20の外側に拡がらないように集光するように形状が設定される。
また、発光部1d,1eを覆う透光性部材(第2凸レンズ)9d,9eは、発光部1d,1eから出射される光の多くがレンズ部20d,20eの方向に向けて出射されるように形状が設定される。尚、図示はしていないが、その他の発光部を覆う透光性部材も、各発光部から出射される光の多くが対応するレンズ部の方向に向けて出射されるように形状が設定される。言い換えると、変形例10の光源装置では、複数の発光部のうちの少なくとも一部の発光部(例えば、中央部の発光部1を除く発光部)は、発光部の光軸が導光部材の中心側に傾斜している。
【0091】
以上のように構成された変形例10の光源装置は、実施形態の光源装置と同様の作用効果を有する上さらに、実施形態の光源装置に比較して、各照射領域の照度を高くできる。
以上の変形例10の光源装置は、発光部1を覆う透光性部材(第1凸レンズ)9と発光部1以外の発光部を覆う透光性部材(第2凸レンズ)を用いることにより、発光部1以外の発光部の光軸が導光部材の中心側に傾斜するようにして、各照射領域の照度を高くするように構成した。
発光部1以外の発光部を覆う透光性部材(第2凸レンズ)に代えて、発光部1以外の発光部を光軸が導光部材の中心側に傾斜するように発光部自体を傾けて配置して、各発光部から出射される光の多くが対応するレンズ部の方向に向けて出射されるようにしてもよい。
以上のようにしても、変形例10の光源装置の作用効果と同様の作用効果が得られる。
発光部1以外の発光部を遮光部材の開口部の内側に傾けて配置する場合には、発光部1を覆う透光性部材(第1凸レンズ)を設けるようにしてもよいし、設けなくてもよい。
【実施例0092】
以下、実施例について説明する。
実施例の光源装置は、
図1A~
図1Cに示す実施形態の光源装置に基づき、シミュレーションにより、発光部1,1a~1hからの光がレンズ部20,20a~20hを介してどのように照射されるか求めた。発光部1,1a~1hとしては、
図1Fに示す発光部を用いたと仮定した。尚、発光部1,1a~1hの発光面は一辺が0.8mmの正方形であるとした。
【0093】
また、発光部1,1a~1hは、発光面の中心が発光部1の発光面の中心を原点として、以下の座標に一致するように配置した。尚、以下の座標は、ミリ(mm)である。
発光部1の発光面の中心:原点(0,0)
発光部1aの発光面の中心:(-1.7,1.7)
発光部1bの発光面の中心:(0,1.6)
発光部1cの発光面の中心:(1.7,1.7)
発光部1dの発光面の中心:(-1.6,0)
発光部1eの発光面の中心:(1.6,0)
発光部1fの発光面の中心:(-1.7,-1.7)
発光部1gの発光面の中心:(0,-1.6)
発光部1hの発光面の中心:(1.7,1.7)
【0094】
遮光部材10としては、3.4mmの正方形の開口部が形成された反射率が75%の部材により構成したとし、開口部の中心が、中央部に設けた発光部1の発光面の中心軸上に位置するものとした。
以上の配置により、発光部1a,1c,1f,1hの発光面は、最も外側に位置する角を挟む2辺に沿って0.4mmの幅の部分が遮光部材によって覆われ、発光部1b,1d,1e,1gの発光面は、最も外側に位置する辺に沿って0.3mmの幅の部分が遮光部材によって覆われることになる。
【0095】
実施例の光源装置において、導光部材23は、440nmにおける屈折率が1.59、540nmにおける屈折率が1.57、640nmにおける屈折率が1.56の材料を用い、外形が遮光部材の開口部と同じ大きさになるように形成したと仮定し、さらにレンズ部20,20a~20hは以下のように形成したものとした。
まず、導光部材の下面をレンズ部20,20a~20hに対応させて区分し、レンズ部20a,20c,20f,20hを構成する4隅の区域には、最もフレネルレンズの中心に凸部の半径が0.74mm、最も中心から離れた凸部の半径が1.16mmで、その間に半径を順次変化させた4つの凸部が設けられた第2フレネルレンズを、レンズ部20b,20d,20e,20gを構成する区域には、最もフレネルレンズの中心に近い凸部の半径が0.57mm、最も中心から離れた凸部の半径が1.36mmで、その間に半径を順次変化させた4つの凸部が設けられた第2フレネルレンズを、レンズ部20を構成する中央部に位置する区域には、中心に半径が0.15mmの平面形状が円形の凸部が設けられ、中心から最も離れた位置に半径が0.84mmの円環状の凸部が設けられ、その間に半径を順次変化させた4つの凸部が設けられた第1フレネルレンズをそれぞれ形成したと仮定した。
【0096】
以上のような条件の下で、全部又は一部の発光部を点灯させ、光源から30cmの距離に配置した照射面における照度分布をシミュレーションにより求めた。
【0097】
図14は、9個全ての発光部1,1a~1hを点灯させたときの照射面における照度分布を示す。
図15は、9個全ての発光部1,1a~1hのうち、5個の発光部1c,1e,1h,1g,1fを点灯させたときの照射面における照度分布を示す。
図16は、9個全ての発光部1,1a~1hのうち、中央部に配置した1個の発光部1を点灯させたときの照射面における照度分布を示す。
図17は、9個全ての発光部1,1a~1hのうち、1個の発光部1bを点灯させたときの照射面における照度分布を示す。
図18は、9個全ての発光部1,1a~1hのうち、1個の発光部1hを点灯させたときの照射面における照度分布を示す。
尚、
図14~
図18では、レンズ部20,20a~20hにより発光部1,1a~1hの点灯状況を示し(a)、(b)に、照射面における照度分布を示している。
【0098】
図14~
図18に示すように、実施形態の光源装置により、所望の1又は複数の照射領域に選択的に光を照射でき、所望の照射範囲(所望の1又は複数の照射領域)に光を照射したときにその所望の照射範囲内における照度と照射範囲外における照度との照度差を大きくできることが確認された。
【0099】
本発明の発光装置は、所望の照射範囲に光を照射できるので、照明、カメラのフラッシュ、車載のヘッドライト等に好適に利用できる。但し、本発明の発光装置はこれら用途に限定されるものではない。