(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172453
(43)【公開日】2022-11-16
(54)【発明の名称】研磨パッド、研磨パッドの製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/26 20120101AFI20221109BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221109BHJP
B24B 37/013 20120101ALI20221109BHJP
【FI】
B24B37/26
H01L21/304 622F
B24B37/013
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075508
(22)【出願日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0057725
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケーシー ソルミックス カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC solmics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウンソン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158DA12
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB15
3C158EB17
3C158ED00
3C158ED11
5F057AA24
5F057BA15
5F057BA21
5F057BB16
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA09
5F057EB03
5F057EB07
5F057EB11
5F057EB12
5F057GA12
5F057GB02
5F057GB19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】研磨層およびウィンドウの表面差による研磨性能の低下問題を防止することができる研磨パッドを適用した半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】研磨パッド、研磨パッドの製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法に関し、研磨工程上で研磨パッド内のウィンドウの表面粗さによる透過度の影響を最小化して、研磨パッド内のウィンドウによる終点検出のエラーを防止することができ、研磨パッド内の研磨層およびウィンドウの表面粗さの差が所定の範囲内に維持されて、研磨工程上での研磨スラリーの流動性および担持率が類似水準で実現される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層および終点検出用ウィンドウを含み、
前記研磨層および終点検出用ウィンドウの表面粗さ(Ra)は、下記式1で表される表面粗さの差に対する変化率(SRR)が1.5~2.5である、
研磨パッド:
ここで、
dRa1は、研磨前の研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差であり、
dRa2は、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定された研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差である。
【請求項2】
前記終点検出用ウィンドウは、下記式2で表される表面粗さの差(wSRD)が0.3~1.5である、
請求項1に記載の研磨パッド:
ここで、
Ra
wiは、ウィンドウの研磨前の表面粗さ(Ra)であり、
Ra
wfは、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定されたウィンドウの表面粗さ(Ra)である。
【請求項3】
前記研磨層は、下記式3で表される表面粗さの差(pSRD)値が1~4である、
請求項1に記載の研磨パッド:
ここで、
Ra
piは、研磨層の研磨前の表面粗さ(Ra)であり、
Ra
pfは、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定された研磨層の表面粗さ(Ra)である。
【請求項4】
前記ウィンドウは、ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤を含むウィンドウ組成物を硬化させた硬化物を含む、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記ウレタン系プレポリマーは、未反応NCO%が8~10%である、
請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む研磨組成物を硬化させた硬化物を含む、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
i)ウレタン系プレポリマー組成物を製造するステップと、
ii)前記プレポリマー組成物および硬化剤を含むウィンドウ製造用組成物を製造するステップと、
iii)前記ウィンドウ製造用組成物を硬化してウィンドウを製造するステップと、
iv)研磨層に貫通ホールを形成し、前記貫通ホールにiii)ステップのウィンドウを成形し、挿入および接着するステップとを含み、
前記研磨層および終点検出用ウィンドウの表面粗さ(Ra)は、下記式1で表される表面粗さの差に対する変化率(SRR)が1.5~2.5である、
研磨パッドの製造方法:
ここで、
dRa1は、研磨前の研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差であり、
dRa2は、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定された研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差である。
【請求項8】
前記iv)のウィンドウを成形するステップは、
硬化したウィンドウシートを角部の曲率が0.3~5mmのバイトを用いてウィンドウシートの厚さを1次成形し、エンボス金型で2次成形するものである、
請求項7に記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項9】
前記バイトは、PCDバイトである、
請求項8に記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項10】
1)研磨層および終点検出用ウィンドウを含む研磨パッドを提供するステップと、
2)前記研磨層の研磨面に半導体基板の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記半導体基板を研磨させるステップと、
3)前記研磨パッド内の終点検出用ウィンドウを介して半導体基板の厚さを検知し、研磨工程の終了時点を検出するステップとを含み、
前記研磨層および終点検出用ウィンドウの表面粗さ(Ra)は、下記式1で表される表面粗さの差に対する変化率(SRR)が1.5~2.5である、
半導体素子の製造方法:
ここで、
dRa1は、研磨前の研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差であり、
dRa2は、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定された研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)工程に用いられる研磨パッド、その製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程における化学的機械的平坦化(CMP)工程は、ウエハ(wafer)をヘッドに付着させ、プラテン(platen)上に形成された研磨パッドの表面に接触させた状態で、スラリーを供給してウエハ表面を化学的に反応させながらプラテンとヘッドを相対運動させて、機械的にウエハ表面の凹凸部分を平坦化する工程である。
【0003】
前記化学的機械的平坦化工程は、研磨パッドを用いるもので、半導体製造工程だけでなく、メモリディスク、磁気ディスク、光学レンズや反射ミラーなどの光学材料、ガラス板、金属など、高度の表面平坦性が要求される材料の平坦化加工処理に多様に使用可能である。
【0004】
半導体回路の微細化に伴い、CMP工程の重要性はさらに増している。研磨パッドは、半導体製造工程におけるCMP工程において必須の原副材料の一つであって、CMP性能の実現に重要な役割を担っている。
【0005】
最近は、ウエハの厚さを検知し、これにより、CMP工程の終了時点を検出するための様々な方法が提案された。
【0006】
例えば、ウエハ表面の平坦性をインサイチュ(in-situ)で決定するために、研磨パッドにウィンドウを結合し、前記ウィンドウを介してレーザの干渉計によって発生した反射ビームを通して、ウエハの厚さを測定する方式が提案された。前記インサイチュ方法において、ウィンドウは入射光の強度を一定に維持し、研磨前後の光透過率の偏差が少なくてこそ、終点検出のエラーを最小化することができる。
【0007】
ただし、前記インサイチュ方法上で、終点検出性能のエラーを最小化するためには、研磨パッドのウィンドウが安定的透過度を保有しなければならない。前記透過度を決定する重要な要素の一つであるウィンドウの表面粗さは研磨工程上で変化しうるので、透過度に影響を及ぼす要素に相当する。
【0008】
このような問題を改善して、表面粗さによる透過度に及ぼす影響を最小化できる研磨パッドに対する開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、研磨パッド、研磨パッドの製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、研磨工程上で研磨パッド内のウィンドウの表面粗さによる透過度の影響を最小化して、研磨パッド内のウィンドウによる終点検出のエラーを防止できる研磨パッドおよびその製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、研磨パッド内の研磨層およびウィンドウの表面粗さの差が所定の範囲内に維持されて、研磨工程上での研磨スラリーの流動性および担持率が類似水準で実現され、これにより、前記研磨層およびウィンドウの表面差による研磨性能の低下問題を防止できる研磨パッドおよびその製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、研磨パッドを適用した半導体素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る研磨パッドは、研磨層および終点検出用ウィンドウを含み、前記研磨層および終点検出用ウィンドウの表面粗さ(Ra)は、下記式1で表される表面粗さの差に対する変化率(SRR)が1.5~2.5である:
【0014】
【0015】
ここで、
dRa1は、研磨前の研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差であり、
dRa2は、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定された研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差である。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る半導体素子の製造方法は、1)研磨層および終点検出用ウィンドウを含む研磨パッドを提供するステップと、2)前記研磨層の研磨面に半導体基板の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記半導体基板を研磨させるステップと、3)前記研磨パッド内の終点検出用ウィンドウを介して半導体基板の厚さを検知し、研磨工程の終了時点を検出するステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、研磨工程上で研磨パッド内のウィンドウの表面粗さによる透過度の影響を最小化して、研磨パッド内のウィンドウによる終点検出のエラーを防止することができ、研磨パッド内の研磨層およびウィンドウの表面粗さの差が所定の範囲内に維持されて、研磨工程上での研磨スラリーの流動性および担持率が類似水準で実現され、これにより、前記研磨層およびウィンドウの表面差による研磨性能の低下問題を防止することができる。
【0018】
また、研磨パッドを適用した半導体素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る半導体素子製造工程の概略工程図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る研磨層およびウィンドウの表面粗さの変化に関する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0021】
本発明で使用される成分、分子量のような特性、反応条件などの量を表現する数は、すべてのケースにおいて、用語「約」で修飾されることが理解されなければならない。
【0022】
本発明において他に記述されなければ、すべての百分率、部、比などの重量基準である。
【0023】
本発明において、「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素を追加的に包含できることを意味する。
【0024】
本発明において、「複数の」は、1つを超えることを指し示す。
【0025】
本発明の一実施形態に係る研磨パッドは、研磨層および終点検出用ウィンドウを含み、前記研磨層および終点検出用ウィンドウの表面粗さ(Ra)は、下記式1で表される表面粗さの差に対する変化率(SRR)が1.5~2.5である:
【0026】
【0027】
ここで、
dRa1は、研磨前の研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差であり、
dRa2は、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定された研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差である。
【0028】
一般的に、研磨パッドは、半導体基板を機械的に摩擦させるとともに、研磨スラリーを用いて化学的に半導体ウエハの研磨対象膜を研磨する。前記研磨パッドおよびスラリーの機械的化学的な作用によって研磨される半導体基板の研磨対象膜は、定められた厚さを有するまで研磨が行われなければならない。すなわち、研磨を中断すべき研磨終点を検出しなければならず、このために、光を利用して研磨される研磨対象膜の厚さを検出して、終点を検出する。
【0029】
一般的な化学的機械的研磨装置の研磨終点検出装置は、具体的には、周辺部に貫通孔を具備する円板状のプラテン(Platen)上板と、前記プラテン上板の貫通孔に挿入される光センサ部と、前記プラテン上板の上部に位置して半導体基板の研磨対象膜との研磨面を提供し、前記光センサ部に対応する終点検出用ウィンドウを含む研磨パッドとから構成される。
【0030】
前記光センサ部は、上板とは別の位置に設けられた発光部の光を発散し、半導体基板の研磨対象膜で反射する光を、別の位置に設けられた受光部に伝達する役割を果たすように構成することができる。
【0031】
研磨パッドに含まれる終点検出用ウィンドウは、一般的に安定的透過度を示さなければならず、前記ウィンドウの透過度は、組成、表面粗さ、厚さなどの様々な要素に影響される。
【0032】
特に、粗さの場合、研磨工程上で変化しうるもので、研磨工程に適用される研磨パッド内のウィンドウの表面粗さは、透過度に直接的な影響を及ぼす。
【0033】
これは、研磨工程上で一定の研磨性能を発揮するためのコンディショニングによるもので、コンディショニングによって研磨パッドの研磨層が切削され、この時、ウィンドウの表面粗さも変化が現れる。
【0034】
具体的には、
図2のように、研磨工程前の研磨面に対する表面粗さ210およびウィンドウの表面粗さ310は、研磨工程前と比較して、研磨工程の進行後に、研磨面に対する表面粗さ220およびウィンドウの表面粗さ320の変化が現れるが、これは、研磨工程上で半導体基板との直接的な接触によって変化したりもし、コンディショニングによっても変化が現れるようになる。
【0035】
そこで、研磨工程時、半導体基板の研磨対象膜が特定の厚さに研磨されるか否かについて確認が必要であり、これは、研磨パッド内のウィンドウを介して伝達される光によって検知される。
【0036】
前記ウィンドウの表面粗さが変化すれば、ウィンドウを通過する光の吸収程度が変化し、このような変化によって終点検出性能に変化が現れる問題が発生しうる。
【0037】
それだけでなく、研磨層とウィンドウは、互いに組成、摩耗速度、物性などが異なるが、研磨層の表面粗さは、半導体基板の研磨対象膜との研磨性能と直接的な関連性があり、研磨層およびウィンドウの相互間の表面粗さが所定の範囲で差を示す場合、研磨スラリーの流動性または担持率が類似水準で実現されて、表面の差による研磨性能に及ぼす影響が少なくなる。
【0038】
また、研磨工程の進行後、研磨層とウィンドウの表面粗さの偏差値が所定範囲を満足する場合、研磨工程上での研磨スラリーの流動および担持性能の変化が適正水準に変化して、一定の研磨性能の発揮が可能といえる。
【0039】
上記の特徴によって、本発明の研磨パッドは、前記式1のように研磨前の研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さ値に対する差;および研磨工程を進行させた後、研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差に対する最適な範囲を導出した。
【0040】
具体的には、前記研磨層および終点検出用ウィンドウの表面粗さ(Ra)は、下記式1で表される表面粗さの差に対する変化率(SRR)が1.5~2.5であり、好ましくは1.9~2.2である:
【0041】
【0042】
ここで、
dRa1は、研磨前の研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差であり、
dRa2は、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定された研磨層の表面粗さおよびウィンドウの表面粗さに対する差である。
【0043】
前記研磨層およびウィンドウは、研磨前の表面粗さ(dRa1)の差が6~7であり、好ましくは6.5~6.9であり、より好ましくは6.7~6.9である。
【0044】
前記研磨層およびウィンドウは、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨工程を進行させた後、研磨層およびウィンドウに対する表面粗さを測定し、前記測定された表面粗さ(dRa2)の差が3~4であり、好ましくは3.1~3.7であり、より好ましくは3.2~3.6である。
【0045】
前記終点検出用ウィンドウは、下記式2で表される表面粗さの差(wSRD)が0.3~1.5であり、好ましくは0.3~1.4である:
【0046】
【0047】
ここで、
Rawiは、ウィンドウの研磨前の表面粗さ(Ra)であり、
Rawfは、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定されたウィンドウの表面粗さ(Ra)である。
【0048】
前記本発明の研磨パッドに含まれるウィンドウは、研磨工程前および研磨工程後の表面粗さの差が絶対値として0.3~1.5で、研磨工程による表面粗さの変化が大きくなくて、透過率に影響を及ぼさない。従来、研磨パッド内に含まれる終点検出用ウィンドウは、研磨工程に適用される前に透過率を評価して、終点検出に対する性能を確認した。先に説明したように、研磨工程によってウィンドウの表面粗さに影響が現れると、光透過率に変化が現れるようになり、これは、終点検出に対する性能低下の問題が発生しうる。
【0049】
本発明のウィンドウは、研磨工程の進行前および進行後の表面粗さの変化程度が大きくなくて、終点検出に対する性能に影響を及ぼさないことを特徴とする。
【0050】
また、研磨層の表面粗さは、下記式3で表される表面粗さの差(pSRD)値が1~4であり、好ましくは1.5~3.5である:
【0051】
【0052】
ここで、
Rapiは、研磨層の研磨前の表面粗さ(Ra)であり、
Rapfは、研磨層にか焼セリアスラリーを200mL/分で供給し、ウエハの荷重が6.0psiであり、150rpmの速度で60秒間酸化膜(Oxide)を研磨し、前記条件下でウエハ100枚を研磨した後に測定された研磨層の表面粗さ(Ra)である。
【0053】
先に説明したように、終点検出用ウィンドウだけでなく、本発明の研磨パッド内の研磨層も、研磨工程による表面粗さの変化程度が大きくないことを特徴とする。
【0054】
すなわち、先に説明したように、研磨層およびウィンドウの研磨工程前および研磨工程後の表面粗さの変化が一定範囲内に含まれると、研磨性能に影響を及ぼさず、ウィンドウの表面粗さも、研磨工程前および研磨工程後の変化程度がわずかで光の透過度に差が現れず、終点検出性能に影響がわずかであるといえる。
【0055】
一実施形態において、終点検出用ウィンドウは、ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤を含むウィンドウ組成物を硬化させた硬化物を含むことができる。
【0056】
また、一実施形態において、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物から形成された硬化物を含む研磨層を含むことができる。
【0057】
前記終点検出用ウィンドウは、研磨層の製造時に含まれる発泡剤を除き、研磨層組成物と同一の組成で構成されるという点で、以下、ウィンドウおよび研磨層の各成分について説明しようとする。
【0058】
「プレポリマー(prepolymer)」とは、硬化物の製造において、成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子を意味する。プレポリマーは、それ自体で、または他の重合性化合物と反応させた後、最終硬化物に成形される。
【0059】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて製造される。
【0060】
前記ウレタン系プレポリマーの製造に使用されるイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを使用することができる。
【0061】
前記イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylenediisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethanediisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0062】
「ポリオール」とは、分子あたり、ヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2以上含む化合物を意味する。前記ポリオールは、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0063】
前記ポリオールは、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール,ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0064】
前記ポリオールは、約100g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。前記ポリオールは、例えば、約100g/mol~約3,000g/mol、例えば、約100g/mol~約2,000g/mol、例えば、約100g/mol~約1,800g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0065】
一実施形態において、前記ポリオールは、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオールと、重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールとを含むことができる。
【0066】
前記ウレタン系プレポリマーは、約500g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。前記ウレタン系プレポリマーは、例えば、約600g/mol~約2,000g/mol、例えば、約800g/mol~約1,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0067】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含むことができ、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0068】
他の実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物および脂環族ジイソシアネート化合物を含むことができ、例えば、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含み、前記脂環族ジイソシアネート化合物は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含むことができる。前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0069】
前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート末端基の含有量(NCO%)が約5重量%~約11重量%、例えば、約5重量%~約10重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約8重量%~約10重量%であってもよい。前記範囲でNCO%を有する場合、適切な研磨パッド内の研磨層の物性を示して、研磨速度、研磨プロファイルのような研磨工程に要求される研磨性能を維持し、研磨工程上でウエハに発生しうる欠陥を最小化することができる。
【0070】
酸化膜(Oxide)および窒化膜(Nitride)の研磨選択比(Ox RR/Nt RR)を調節して、ディッシング(dishing)、リセス(recess)、およびエロージョン(erosion)現象を防止し、ウエハ内の表面平坦化を達成することができる。
【0071】
また、終点検出用ウィンドウに適用時、研磨工程上で表面粗さの変化程度が小さくて、終点検出のための性能への影響がわずかである。
【0072】
前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基の含有量(NCO%)は、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物およびポリオール化合物の種類および含有量、前記ウレタン系プレポリマーを製造する工程の温度、圧力、時間などの工程条件、および前記ウレタン系プレポリマーの製造に用いられる添加剤の種類および含有量などを総合的に調節して設計可能である。
【0073】
前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して前記研磨層内の最終硬化構造を形成するための化合物であって、例えば、アミン化合物またはアルコール化合物を含むことができる。具体的には、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0074】
例えば、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、Methylene bis-methylanthranilate、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0075】
前記硬化剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約18重量部~約27重量部、例えば、約19重量部~約26重量部、例えば、約20重量部~約26重量部であってもよい。前記硬化剤の含有量が前記範囲を満足する場合、目的とする研磨パッドの性能を実現するのにさらに有利であり得る。
【0076】
前記発泡剤は、前記研磨層内の気孔構造を形成するための成分であって、固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0077】
先に説明したように、終点検出用ウィンドウの製造時には、研磨層の製造とは異なり、気孔構造を形成しないため、別の発泡剤を含まない。
【0078】
一実施形態において、前記発泡剤は、固相発泡剤、気相発泡剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0079】
前記固相発泡剤の平均粒径は、約5μm~約200μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約21μm~約50μm、例えば、約25μm~約45μmであってもよい。前記固相発泡剤の平均粒径は、前記固相発泡剤が後述による熱膨張(expanded)粒子の場合、熱膨張粒子自体の平均粒径を意味し、前記固相発泡剤が後述による未膨張(unexpanded)粒子の場合、熱または圧力によって膨張した後の粒子の平均粒径を意味することができる。
【0080】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含むことができる。前記膨張性粒子は、熱または圧力などによって膨張可能な特性を有する粒子であって、前記研磨層を製造する過程で加えられる熱または圧力などによって最終研磨層内での大きさが決定可能である。前記膨張性粒子は、熱膨張(expanded)粒子、未膨張(unexpanded)粒子、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記熱膨張粒子は、熱によって事前膨張した粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力による大きさの変化が小さいかほぼない粒子を意味する。前記未膨張粒子は、事前膨張しない粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によって膨張して最終的な大きさが決定される粒子を意味する。
【0081】
前記膨張性粒子は、樹脂材質の外皮;および前記外皮に封入された内部に存在する膨張誘発成分を含むことができる。
【0082】
例えば、前記外皮は、熱可塑性樹脂を含むことができ、前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0083】
前記膨張誘発成分は、炭化水素化合物、クロロフルオロ化合物、テトラアルキルシラン化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0084】
具体的には、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutane)、n-ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0085】
前記クロロフルオロ化合物は、トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CCl3F)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl2F2)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF3)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF2-CClF2)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0086】
前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0087】
前記固相発泡剤は、選択的に無機成分処理粒子を含むことができる。例えば、前記固相発泡剤は、無機成分処理された膨張性粒子を含むことができる。一実施形態において、前記固相発泡剤は、シリカ(SiO2)粒子処理された膨張性粒子を含むことができる。前記固相発泡剤の無機成分処理は、複数の粒子間凝集を防止することができる。前記無機成分処理された固相発泡剤は、無機成分処理されない固相発泡剤と発泡剤表面の化学的、電気的および/または物理的特性が異なる。
【0088】
前記固相発泡剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.5重量部~約10重量部、例えば、約1重量部~約3重量部、例えば、約1.3重量部~約2.7重量部、例えば、約1.3重量部~約2.6重量部であってもよい。
【0089】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性によって前記固相発泡剤の種類および含有量を設計することができる。
【0090】
前記気相発泡剤は、不活性ガスを含むことができる。前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とが反応する過程で投入されて気孔形成要素として使用できる。
【0091】
前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤との間の反応に参加しないガスであれば、種類が特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。具体的には、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)またはアルゴンガス(Ar)を含むことができる。
【0092】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性によって前記気相発泡剤の種類および含有量を設計することができる。
【0093】
一実施形態において、前記発泡剤は、固相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤のみからなってもよい。
【0094】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含み、前記膨張性粒子は、熱膨張粒子を含むことができる。例えば、前記固相発泡剤は、熱膨張粒子のみからなってもよい。前記未膨張粒子を含まずに熱膨張粒子のみからなる場合、気孔構造の可変性は低下するが、事前予測可能性が高くなり、前記研磨層の全領域にわたって均質な気孔特性を実現するのに有利であり得る。
【0095】
一実施形態において、前記熱膨張粒子は、約5μm~約200μmの平均粒径を有する粒子であってもよい。前記熱膨張粒子の平均粒径は、約5μm~約100μm、例えば、約10μm~約80μm、例えば、約20μm~約70μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約30μm~約70μm、例えば、約25μm~45μm、例えば、約40μm~約70μm、例えば、約40μm~約60μmであってもよい。前記平均粒径は、前記熱膨張粒子のD50で定義される。
【0096】
一実施形態において、前記熱膨張粒子の密度は、約30kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約75kg/m3、例えば、約38kg/m3~約72kg/m3、例えば、約40kg/m3~約75kg/m3、例えば、約40kg/m3~約72kg/m3であってもよい。
【0097】
一実施形態において、前記発泡剤は、気相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤および気相発泡剤を含むことができる。前記固相発泡剤に関する事項は前述した通りである。
【0098】
前記気相発泡剤は、窒素ガスを含むことができる。
【0099】
前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤、および前記硬化剤が混合される過程中に所定の注入ラインを通して注入できる。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであってもよい。
【0100】
前記研磨層およびウィンドウを製造するための組成物は、界面活性剤、反応速度調節剤などのその他の添加剤をさらに含むことができる。前記「界面活性剤」、「反応速度調節剤」などの名称は、当該物質の主な役割を基準として任意に称する名称であり、それぞれの当該物質が必ずしも当該名称の役割に限られた機能だけを行うわけではない。
【0101】
前記界面活性剤は、気孔の凝集または重畳などの現象を防止する役割を果たす物質であれば特に限定されない。例えば、前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤を含むことができる。
【0102】
前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.2重量部~約2重量部の含有量で使用できる。具体的には、前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.2重量部~約1.9重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~1.5重量部の含有量で含まれる。前記範囲内の含有量で界面活性剤を含む場合、気相発泡剤由来の気孔がモールド内で安定して形成および維持できる。
【0103】
前記反応速度調節剤は、反応促進または反応遅延の役割を果たすものでって、目的によって、反応促進剤、反応遅延剤、またはこれらすべてを使用することができる。前記反応速度調節剤は、反応促進剤を含むことができる。例えば、前記反応促進剤は、3級アミン系化合物および有機金属系化合物からなる群より選択された1種以上の反応促進剤であってもよい。
【0104】
具体的には、前記反応速度調節剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジオクチルチンジアセテート、ジブチルチンマレエート、ジブチルチンジ-2-エチルヘキサノエート、およびジブチルチンジメルカプチドからなる群より選択された1種以上を含むことができる。具体的には、前記反応速度調節剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0105】
前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.05重量部~約2重量部の量で使用できる。具体的には、前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.05重量部~約1.8重量部、例えば、約0.05重量部~約1.7重量部、例えば、約0.05重量部~約1.6重量部、例えば、約0.1重量部~約1.5重量部、例えば、約0.1重量部~約0.3重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~約1重量部の量で使用できる。前記反応速度調節剤が前述した含有量範囲で使用される場合、プレポリマー組成物の硬化反応速度を適切に調節して、所望する大きさの気孔および硬度を有する研磨層を形成することができる。
【0106】
前記研磨パッドがクッション層を含む場合、前記クッション層は、前記研磨層を支持しながら前記研磨層に加えられる外部衝撃を吸収し分散させる役割を果たすことにより、前記研磨パッドを適用した研磨工程中の研磨対象に対する損傷および欠陥の発生を最小化させることができる。
【0107】
前記クッション層は、不織布またはスエードを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0108】
一実施形態において、前記クッション層は、樹脂含浸不織布であってもよい。前記不織布は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含む繊維不織布であってもよい。
【0109】
前記不織布に含浸された樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0110】
以下、前記研磨パッドを製造する方法を詳しく説明する。
【0111】
本発明に係る他の実施形態において、ウレタン系プレポリマー組成物を製造するステップと、前記プレポリマー組成物および硬化剤を含むウィンドウ製造用組成物を製造するステップと、前記ウィンドウ製造用組成物を硬化して終点検出用ウィンドウを製造するステップと、プレポリマー組成物を製造するステップと、前記プレポリマー組成物、発泡剤、および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップと、前記研磨層に貫通ホールを形成し、前記貫通ホールに成形されたウィンドウを挿入および接着するステップとを含む研磨パッドの製造方法を提供することができる。
【0112】
前記プレポリマー組成物を製造するステップは、ジイソシアネート化合物およびポリオール化合物を反応させてウレタン系プレポリマーを製造する工程であってもよい。前記ジイソシアネート化合物および前記ポリオール化合物に関する事項は、前記研磨パッドに関して前述した通りである。
【0113】
前記プレポリマー組成物のイソシアネート基(NCO基)の含有量は、約5重量%~約15重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約5重量%~約7重量%、例えば、約8重量%~約15重量%、例えば、約8重量%~約14重量%、例えば、約8重量%~約12重量%、例えば、8重量%~約10重量%であってもよい。
【0114】
前記プレポリマー組成物のイソシアネート基の含有量は、前記ウレタン系プレポリマーの末端イソシアネート基、前記ジイソシアネート化合物中の反応しない未反応イソシアネート基などに由来できる。
【0115】
前記プレポリマー組成物の粘度は、約80℃で約100cps~約1,000cpsであってもよく、例えば、約200cps~約800cpsであってもよく、例えば、約200cps~約600cpsであってもよく、例えば、約200cps~約550cpsであってもよく、例えば、約300cps~約500cpsであってもよい。
【0116】
前記発泡剤が固相発泡剤または気相発泡剤を含むことができる。
【0117】
前記発泡剤が固相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を製造するステップは、前記プレポリマー組成物および前記固相発泡剤を混合して第1予備組成物を製造するステップと、前記第1予備組成物と硬化剤とを混合して第2予備組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0118】
前記第1予備組成物の粘度は、約80℃で約1,000cps~約2,000cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,800cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,600cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,500cpsであってもよい。
【0119】
前記発泡剤が気相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を製造するステップは、前記プレポリマー組成物および前記硬化剤を含む第3予備組成物を製造するステップと、前記第3予備組成物に前記気相発泡剤を注入して第4予備組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0120】
一実施形態において、前記第3予備組成物は、固相発泡剤をさらに含むことができる。
【0121】
一実施形態において、前記ウィンドウを製造する工程は、第1温度に予熱されたモールドを用意するステップと、前記予熱されたモールドに前記ウィンドウ製造用組成物を注入して硬化させるステップと、硬化した前記ウィンドウ製造用組成物を前記予熱温度より高い第2温度条件下で後硬化するステップとを含むことができる。
【0122】
一実施形態において、前記研磨層を製造する工程は、第1温度に予熱されたモールドを用意するステップと、前記予熱されたモールドに前記研磨層製造用組成物を注入して硬化させるステップと、硬化した前記研磨層製造用組成物を前記予熱温度より高い第2温度条件下で後硬化するステップとを含むことができる。
【0123】
一実施形態において、前記第1温度は、約60℃~約100℃、例えば、約65℃~約95℃、例えば、約70℃~約90℃であってもよい。
【0124】
一実施形態において、前記第2温度は、約100℃~約130℃であってもよく、例えば、約100℃~125℃であってもよく、例えば、約100℃~約120℃であってもよい。
【0125】
前記ウィンドウ製造用組成物および研磨層製造用組成物を前記第1温度下で硬化させるステップは、約5分~約60分、例えば、約5分~約40分、例えば、約5分~約30分、例えば、約5分~約25分間行われる。
【0126】
前記第1温度下で硬化した組成物を前記第2温度下で後硬化するステップは、約5時間~約30時間、例えば、約5時間~約25時間、例えば、約10時間~約30時間、例えば、約10時間~約25時間、例えば、約12時間~約24時間、例えば、約15時間~約24時間行われる。
【0127】
前記硬化した組成物は、シート状に製造され、シート状のウィンドウは、打ち抜かれた研磨層に挿入および接着されるために成形工程を進行させる。
【0128】
前記ウィンドウを成形するステップは、硬化したウィンドウシートを角部の曲率が0.3~5mmのバイトを用いてウィンドウシートの厚さを1次成形し、エンボス金型で2次成形するものである。
【0129】
前記ウィンドウシートの厚さを成形するステップは、より具体的には、角部の曲率が0.3~5mm、または好ましくは角部の曲率が0.5~3mmのバイトを用い、より好ましくは角部の曲率が0.5~3mmの工業用PCD(Polycrystalline Diamond)バイトを用いる。
【0130】
PCDバイトは、マイクロサイズの人工ダイヤモンドを超高圧および高温に焼結して作った工具である。通常、ボディは超硬を用い、端部分または刃部分にのみPCDを付着させる。前記PCDバイトは、非鉄金属用作業に適した耐摩耗性を有していて、銅、マグネシウム、アルミニウム、強化プラスチック、セラミックスなどの難削材の加工に用いられる。
【0131】
本発明では、ウィンドウの厚さを成形するために、硬化したウィンドウシートの上面および下面をPCDバイトを用いて1次成形し、1次成形時、PCDバイトを用いて成形することにより、均一な表面粗さを有するように製造可能といえる。
【0132】
これに対し、前記のようなPCDバイトを用いず、一般の刃で製作されたバイトを用いる場合には、PCDバイトとは異なり、均一な表面粗さを有するように厚さ成形が不可能である。すなわち、ウィンドウシートを1次成形すれば、研磨面と接する一面に対して成形工程が進行するが、一般の刃を用いて上面および下面を成形時、精密な成形が不可能で、粗い表面で製造される。
【0133】
前記硬化したウィンドウシートは、先に説明したように、PCDバイトを用いて1次成形した後、エンボス金型でカッティングする2次成形を進行させて、終点検出用ウィンドウに製造する。
【0134】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の少なくとも一面を加工するステップを含むことができる。前記加工ステップは、グルーブ(groove)を形成するものであってもよい。
【0135】
他の実施形態として、前記研磨層の少なくとも一面を加工するステップは、(1)前記研磨層の少なくとも一面上にグルーブ(groove)を形成するステップ;(2)前記研磨層の少なくとも一面を旋削(line turning)するステップ;および(3)前記研磨層の少なくとも一面を粗面化するステップ(3)、の少なくとも1つのステップを含むことができる。
【0136】
前記ステップ(1)において、前記グルーブ(groove)は、前記研磨層の中心から所定の間隔で離隔形成される同心円状グルーブ;および前記研磨層の中心から前記研磨層のエッジ(edge)まで連続連結される放射状グルーブ、の少なくとも1つを含むことができる。
【0137】
前記ステップ(2)において、前記旋削(line turning)は、切削工具を用いて前記研磨層を所定の厚さだけ削り出す方法で行われる。
【0138】
前記ステップ(3)において、前記粗面化は、前記研磨層の表面をサンディングローラ(Sanding roller)で加工する方法で行われる。
【0139】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の研磨面の裏面上にクッション層を積層するステップをさらに含むことができる。
【0140】
前記研磨層と前記クッション層は、熱融着接着剤を介在して積層できる。
【0141】
前記研磨層の研磨面の裏面上に前記熱融着接着剤を塗布し、前記クッション層の前記研磨層と当接する表面上に前記熱融着接着剤を塗布し、それぞれの熱融着接着剤が塗布された面が当接するように前記研磨層と前記クッション層とを積層した後、加圧ローラを用いて両層を融着させることができる。
【0142】
さらに他の実施形態において、研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記研磨対象を研磨させるステップと、前記研磨パッド内の終点検出用ウィンドウを介して半導体基板の厚さを検知し、研磨工程の終了時点を検出するステップとを含む。
【0143】
図1は、一実施形態に係る半導体素子製造工程の概略工程図を示すものである。
図1を参照する時、前記一実施形態に係る研磨パッド110を定盤120上に装着した後、研磨対象である半導体基板130を前記研磨パッド110上に配置する。この時、前記半導体基板130の被研磨面は、前記研磨パッド110の研磨面に直接接触する。研磨のために、前記研磨パッド上にノズル140を介して研磨スラリー150が噴射される。前記ノズル140を介して供給される研磨スラリー150の流量は、約10cm
3/分~約1,000cm
3/分の範囲内で目的によって選択可能であり、例えば、約50cm
3/分~約500cm
3/分であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0144】
以後、前記半導体基板130と前記研磨パッド110とは互いに相対回転して、前記半導体基板130の表面が研磨される。この時、前記半導体基板130の回転方向および前記研磨パッド110の回転方向は、同一の方向であってもよく、反対方向であってもよい。前記半導体基板130と前記研磨パッド110の回転速度は、それぞれ約10rpm~約500rpmの範囲で目的によって選択可能であり、例えば、約30rpm~約200rpmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0145】
前記半導体基板130は、研磨ヘッド160に装着された状態で、前記研磨パッド110の研磨面に所定の荷重で加圧されて当接させた後、その表面が研磨される。前記研磨ヘッド160によって前記半導体基板130の表面に前記研磨パッド110の研磨面に加えられる荷重は、約1gf/cm2~約1,000gf/cm2の範囲で目的によって選択可能であり、例えば、約10gf/cm2~約800gf/cm2であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0146】
前記半導体基板130の研磨対象膜が定められた厚さに研磨されるかは、研磨装置内の光センサ部(図示せず)の光が研磨パッド内のウィンドウ(図示せず)を介して発光して研磨程度を確認し、研磨終了時点を決定する。
【0147】
一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド110の研磨面を研磨に適した状態に維持させるために、前記半導体基板130の研磨と同時に、コンディショナ170を介して前記研磨パッド110の研磨面を加工するステップをさらに含むことができる。
【0148】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載の実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0149】
実施例1
研磨パッドの製造
1-1.研磨層の製造
ウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤の混合物注入ラインが備えられたキャスティング装置において、プレポリマータンクに未反応NCOを9重量%で有するウレタン系プレポリマーを充填し、硬化剤タンクにビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane、Ishihara社製品)を充填した。また、前記ウレタン系プレポリマー100重量部に対して、3重量部の固相発泡剤を予め混合した後、プレポリマータンクに注入した。
【0150】
それぞれの投入ラインを通してウレタン系プレポリマーおよびMOCAをミキシングヘッドに一定の速度で投入しながら撹拌した。この時、ウレタン系プレポリマーのNCO基のモル当量と硬化剤の反応性基のモル当量を1:1に合わせて、合計投入量を10kg/分の速度に維持した。
【0151】
撹拌された原料は120℃に予熱された金型に注入し、1枚の多孔性ポリウレタンシートに製造した。以後、製造された多孔性ポリウレタンシートの表面を研削機を用いて研削し、チップを用いてグルーブ(groove)する過程を経て、平均厚さ2mm、平均直径76.2cmの大きさに製造した。
【0152】
1-2.ウィンドウの製造
ウレタン系プレポリマーとして未反応NCOの含有量が8.5重量%のPUGL-500D(SKC社製品)を用い、原料混合時、不活性ガスを注入せず、注入された原料は後モールド(横1,000mm、縦1,000mm、高さ50mm)に注入したことを除けば、実施例1-1と同様の方法でウィンドウを製造した。前記シート状のウィンドウを、上面と下面の厚さを合わせるために、切削面が平らな形状に角部が曲率0.5mmを有する工業用PCDダイヤモンドで製作されたバイトを用いて、2.0mmの厚さに成形した後、横20mm、縦60mmサイズの冷間金型用鋼SKD11で製作されたエンボス金型でカッティングした。
【0153】
1-3.支持層
1.1Tの厚さの不織布タイプの支持層(製造会社:PTS、製品名:ND-5400H)を用いた。
【0154】
1-4.研磨パッドの製造
前記実施例1-1の研磨層を横20mmおよび縦60mmに打ち抜いて第1貫通ホールを形成し、前記実施例1-3の支持層を横16mmおよび縦56mmに打ち抜いて第2貫通ホールを形成した。以後、前記支持層と研磨層をホットメルトフィルム(製造会社:SKC、製品名:TF-00)を用いて120℃で熱融着し、前記支持層の他面に両面接着剤(製造会社:3M、製品名:442JS)を接着し、第2貫通ホールだけ両面接着剤を切削して除去した。以後、第2貫通ホールだけ前記両面接着剤を切削して除去し、前記第1貫通ホールに実施例1-2のウィンドウを挿入し、前記両面接着剤に接着して研磨パッドを製造した。
【0155】
実施例2
前記実施例1の1-1、1-3および1-4は同様に製造し、ウィンドウブロックの製造において次のように実施した。ウレタン系プレポリマーとして未反応NCOの含有量が8.5重量%のPUGL-500D(SKC社製品)を用い、原料混合時、不活性ガスを注入せず、注入された原料は後モールド(横1,000mm、縦1,000mm、高さ50mm)に注入したことを除けば、実施例1-1と同様の方法でウィンドウを製造した。前記シート状のウィンドウを、上面と下面の厚さを合わせるために、切削面が平らな形状に角部が曲率3mmを有する工業用PCDダイヤモンドで製作されたバイトを用いて、2.0mmの厚さに成形した後、横20mm、縦60mmサイズの一般の鉄板で製作されたエンボス金型の刃が木型平板体に付着した金型を用いてカッティングした。
【0156】
比較例1
前記実施例1の1-1、1-3および1-4は同様に製造し、ウィンドウブロックの製造において次のように実施した。ウレタン系プレポリマーとして未反応NCOの含有量が8.5重量%のPUGL-500D(SKC社製品)を用い、原料混合時、不活性ガスを注入せず、注入された原料は後モールド(横1,000mm、縦1,000mm、高さ50mm)に注入したことを除けば、実施例1-1と同様の方法でウィンドウを製造した。前記シート状のウィンドウを、上面と下面の厚さを合わせるために、切削面が平らな形状に角部が曲率3mmを有する一般の刃で製作されたバイトを用いて、2.0mmの厚さに成形した後、横20mm、縦60mmサイズの一般の鉄板で製作されたエンボス金型の刃が木型平板体に付着した金型を用いてカッティングした。
【0157】
実験例1
表面粗さの測定
直径300mmのシリコンウエハに酸化ケイ素を化学気相蒸着(CVD)工程によって蒸着した。CMP装置に実施例および比較例の研磨パッドを付着させ、シリコンウエハの酸化層が研磨パッドの研磨面を向くように設けた。研磨パッド上にか焼セリアスラリーを200mL/分の速度で供給しながら、6.0psiの荷重および150rpmの速度で6000秒間ダミーウエハを研磨した。この時、In-situでコンディショナCI45(SAESOL社)を用い、6lbの荷重でコンディショニングをしながら進行させた。
【0158】
研磨およびコンディショニング条件
か焼セリアスラリーの組成:か焼セリア(0.5)wt%およびDI water(99.4)wt%、ポリアクリレート系添加剤(0.1wt%)
か焼セリア:150nm(スキャタリング方式測定)
コンディショナスペック:CI-45(SAESOLダイヤモンド)
【0159】
定盤の自転速度、コンディショナの自転速度、コンディショナの歳差運動速度および条件は下記表1の通りである。
【0160】
研磨工程後、実施例および比較例に対して、研磨層およびウィンドウに対する表面粗さを測定した。表面粗さの測定はContuorGT(Bruker社)を用いて3D測定した。
【0161】
Ra
wiは、ウィンドウの研磨前の表面粗さ(Ra)であり、
Ra
wfは、ウィンドウの研磨後の表面粗さ(Ra)であり、
Ra
piは、研磨層の研磨前の表面粗さ(Ra)であり、
Ra
pfは、研磨層の研磨後の表面粗さ(Ra)であり、
dRa1は、研磨層およびウィンドウの研磨前の表面粗さの差であり、
dRa2は、研磨層およびウィンドウの研磨後の表面粗さの差である。
【0162】
前記表1によれば、本発明の実施例の研磨パッドは、ウィンドウおよび研磨層に対する表面粗さ測定の結果上、研磨工程前および後の差が大きく現れないことを確認した。
【0163】
これに対し、比較例の場合、ウィンドウは、研磨前の表面粗さが相対的に大きい値を示し、これにより、研磨前および研磨後の表面粗さの差が大きく現れることを確認した。したがって、研磨パッド内の研磨層とも比較して、研磨工程前および後による、表面粗さの差による変化率(SRR)が本発明の範囲内に含まれないことを確認した。
【0164】
実験例2
終点検出性能評価
CMP装置に実施例および比較例の研磨パッドを付着させ、シリコンウエハのOxide層が研磨パッドの研磨面を向けるように設けた。研磨パッド上にか焼セリアスラリーを200mL/分の速度で供給しながら、6.0psiの荷重および150rpmの速度でOxide膜を研磨してウエハを研磨した。この時、In-situでコンディショナCI45(SAESOL)を用い、6lbの荷重でコンディショニングをしながら進行させた。実施例および比較例の研磨パッドに対して終点検出が可能か否かを確認した。
【0165】
前記実験の結果、本発明の実施例および比較例の研磨パッドを用いて研磨工程を進行させた結果、研磨装置内において実施例1は研磨パッドのウィンドウを介して終点検出が可能で、研磨工程の完了が正常に作動したが、実施例2および比較例の場合、エラーが発生して研磨工程の進行が不可能であった。
【0166】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0167】
110:研磨パッド
120:定盤
130:半導体基板
140:ノズル
150:研磨スラリー
160:研磨ヘッド
170:コンディショナ
200:研磨層
210:研磨前の研磨面に対する表面粗さ
220:研磨工程後の研磨面に対する表面粗さ
300:ウィンドウ
310:研磨前のウィンドウ表面に対する表面粗さ
320:研磨工程後のウィンドウ表面に対する表面粗さ