(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172515
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ウエーハの処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078315
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA04
5F057CA14
5F057CA31
5F057CA36
5F057DA11
5F057EC15
5F057EC19
(57)【要約】
【課題】真空チャンバーを利用して大気圧によってウエーハの表面に密着させた保護シートが、表面の段差に起因して破断するという問題を解消することができるウエーハの処理方法を提供する。
【解決手段】真空チャンバーにウエーハを収容するウエーハ収容工程と、該ウエーハ収容工程の前又は後にウエーハの表面に保護シートを配設する保護シート配設工程と、該ウエーハ収容工程及び該保護シート配設工程の後、該真空チャンバー内を減圧する減圧工程と、該減圧工程の後、該真空チャンバー内でウエーハの外周余剰領域に保護シートを押圧して圧着する圧着工程と、該圧着工程の後、該真空チャンバー内を大気に開放して保護シートを大気圧によってウエーハの表面に密着させてウエーハを搬出する搬出工程と、を含み、該保護シート配設工程において、凹んだ分割予定ラインに水を充填し、該搬出工程で搬出されるウエーハに配設された保護シートが大気圧によって凹んだ分割予定ラインに埋設されるのを抑制する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを備え、該デバイス領域は複数の凸状のデバイスが凹んだ分割予定ラインによって区画されデバイスと分割予定ラインとに段差がある表面を有するウエーハの処理方法であって、
真空チャンバーにウエーハを収容するウエーハ収容工程と、
該ウエーハ収容工程の前又は後にウエーハの表面に保護シートを配設する保護シート配設工程と、
該ウエーハ収容工程及び該保護シート配設工程の後、該真空チャンバー内を減圧する減圧工程と、
該減圧工程の後、該真空チャンバー内でウエーハの外周余剰領域に保護シートを押圧して圧着する圧着工程と、
該圧着工程の後、該真空チャンバー内を大気に開放して保護シートを大気圧によってウエーハの表面に密着させてウエーハを搬出する搬出工程と、を含み、
該保護シート配設工程において、凹んだ分割予定ラインに水を充填し、該搬出工程で搬出されるウエーハに配設された保護シートが大気圧によって凹んだ分割予定ラインに埋設されるのを抑制するウエーハの処理方法。
【請求項2】
該保護シートは、ウエーハの外周余剰領域に対応した領域に粘着層を備える請求項1に記載のウエーハの処理方法。
【請求項3】
該搬出工程の後、保護シートの上面に柔軟シートを介して平坦化シートを配設する平坦化工程が含まれる請求項1、又は2に記載のウエーハの処理方法。
【請求項4】
該搬出工程の後、保護シート側をチャックテーブルに保持し、ウエーハの裏面を研削して薄化する研削工程が含まれる請求項1から3のいずれかに記載のウエーハの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
IC、LSI、MEMS等のデバイスが分割予定ラインによって区画されたデバイス領域が表面に形成されたウエーハは、裏面が研削されて所定の厚みに薄化された後、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【背景技術】
【0002】
ウエーハを薄化すべく裏面を研削する際、ウエーハの表面がチャックテーブルに保持されてデバイスが傷付かないように、予めウエーハの表面に保護シートが配設される(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、デバイス領域に複数のMEMSが形成されたウエーハにおいては、MEMSが100μm程上方に突出し、隣接するMEMSとの間で凹んだ領域にMEMSの電極パッドと分割予定ラインとが形成されており、MEMS、電極パッド、分割予定ラインの間で形成される段差に起因して大気圧下で保護シートを適切に配設することが困難であることから、真空チャンバー内でウエーハのデバイス領域を囲繞する外周余剰領域に保護シートを圧着し、その後、真空チャンバー内を大気に開放して大気圧によって保護シートをウエーハの表面に密着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したように真空チャンバーを利用して、大気圧によって保護シートをウエーハの表面に密着させる場合、保護シートがウエーハの凹んだ領域に深く入り込み、大気圧によって強い圧力が付与されることから、上記した段差が形成された部分で保護シートが繊維状に破断するという問題がある。これは、MEMSに限定されず、IC、LSI等のデバイスが形成されたウエーハであっても、表面に段差を有するウエーハであれば起こり得る問題である。
【0006】
また、ウエーハの裏面を研削する際には、保護シートの上面に柔軟シートを介して平坦化シートを配設するが、ウエーハの裏面を研削した後、ウエーハの表面から保護シートと共に柔軟シート及び平坦化シートを剥離すると、凹んだ領域に形成された電極パッドが保護シートの破断に起因して変形するという問題も発生する。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、真空チャンバーを利用して大気圧によってウエーハの表面に密着させた保護シートが、表面の段差に起因して破断するという問題を解消すると共に、ウエーハの裏面を研削した後、該保護シートを剥離する際に電極パッドが変形するという問題を解消することができるウエーハの処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、デバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを備え、該デバイス領域は複数の凸状のデバイスが凹んだ分割予定ラインによって区画されデバイスと分割予定ラインとに段差がある表面を有するウエーハの処理方法であって、真空チャンバーにウエーハを収容するウエーハ収容工程と、該ウエーハ収容工程の前又は後にウエーハの表面に保護シートを配設する保護シート配設工程と、該ウエーハ収容工程及び該保護シート配設工程の後、該真空チャンバー内を減圧する減圧工程と、該減圧工程の後、該真空チャンバー内でウエーハの外周余剰領域に保護シートを押圧して圧着する圧着工程と、該圧着工程の後、該真空チャンバー内を大気に開放して保護シートを大気圧によってウエーハの表面に密着させてウエーハを搬出する搬出工程と、を含み、該保護シート配設工程において、凹んだ分割予定ラインに水を充填し、該搬出工程で搬出されるウエーハに配設された保護シートが大気圧によって凹んだ分割予定ラインに埋設されるのを抑制するウエーハの処理方法が提供される。
【0009】
該保護シートは、ウエーハの外周余剰領域に対応した領域に粘着層を備えるようにすることが好ましい。また、該搬出工程の後、保護シートの上面に柔軟シートを介して平坦化シートを配設する平坦化工程が含まれることが好ましい。さらに、該搬出工程の後、保護シート側をチャックテーブルに保持し、ウエーハの裏面を研削して薄化する研削工程が含まれることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のウエーハの処理方法は、デバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを備え、該デバイス領域は複数の凸状のデバイスが凹んだ分割予定ラインによって区画されデバイスと分割予定ラインとに段差がある表面を有するウエーハの処理方法であって、真空チャンバーにウエーハを収容するウエーハ収容工程と、該ウエーハ収容工程の前又は後にウエーハの表面に保護シートを配設する保護シート配設工程と、該ウエーハ収容工程及び該保護シート配設工程の後、該真空チャンバー内を減圧する減圧工程と、該減圧工程の後、該真空チャンバー内でウエーハの外周余剰領域に保護シートを押圧して圧着する圧着工程と、該圧着工程の後、該真空チャンバー内を大気に開放して保護シートを大気圧によってウエーハの表面に密着させてウエーハを搬出する搬出工程と、を含み、該保護シート配設工程において、凹んだ分割予定ラインに水を充填し、該搬出工程で搬出されるウエーハに配設された保護シートが大気圧によって凹んだ分割予定ラインに埋設されるのを抑制するので、保護シートが凹んだ領域に入り込み、大気圧に耐え切れず繊維状に破断するという問題が解消する。また、ウエーハの裏面を研削した後、該保護シートを剥離する際に電極パッドが変形するという問題も解消する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)本実施形態において処理されるウエーハ、(b)(a)に示すウエーハのA-A断面図である。
【
図2】
図1に示すウエーハの分割予定ラインに水を充填する態様を示す斜視図である。
【
図3】保護シート配設工程の実施態様を示す斜視図である。
【
図4】ウエーハ収容工程の実施態様を示す斜視図である。
【
図5】(a)減圧工程及び圧着工程を実施する真空チャンバーの側面図(一部を断面で示している)、(b)圧着工程を実施した後のウエーハ及び保護シートの斜視図、(c)(b)のB-B断面図である。
【
図7】(a)研削装置のチャックテーブルにウエーハを載置する態様を示す斜視図、(b)研削工程の実施態様を示す斜視図である。
【
図8】ウエーハから保護シート、柔軟シート、平坦化シートを剥離する態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に基づいて構成されるウエーハの処理方法に係る実施形態について添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
本実施形態のウエーハの処理方法を実施するに際し、まず、被加工物として、
図1(a)に示すようなウエーハ10を用意する。ウエーハ10は、複数のデバイス14が分割予定ライン16によって区画された表面10aに形成されたデバイス領域12Aとデバイス領域12Aを囲繞する外周余剰領域12Bとを備えている(デバイス領域12Aと外周余剰領域12Bとを区分する破線L1は説明の都合上付した仮想の線である)。
図1(b)に示す
図1(a)のA-A断面から理解されるように、デバイス領域12Aに形成された複数のデバイス14は、凸状となしており、凹んだ分割予定ライン16によって区画されており、デバイス14と分割予定ライン16との間には段差が形成されている。
【0014】
本実施形態のウエーハの処理方法では、以下に説明する保護シート配設工程を実施するが、この保護シート配設工程では、上記したウエーハ10の表面10a上の凹んだ分割予定ライン16に水を充填する。より具体的には、
図2に示すような水供給手段20を用意し、水供給ノズル22の噴射口22aをウエーハ10の表面10aの中央上に位置付ける。次いで、水供給ノズル22の噴射口22aから霧状の水Wを噴射して、表面10a上に供給する。該水Wの量は、少なくともウエーハ10の表面10aにおいて凹みを形成する分割予定ライン16を満たす量であり、表面張力で表面10a上に保持される程度の量である。
【0015】
上記したように、水Wをウエーハ10の表面10aに供給したならば、
図3に示すように、水Wが保持されたウエーハ10の表面10aに保護シートT1を配設する(保護シート配設工程)。保護シートT1は、例えば一般的な樹脂製のバックグラインドテープを採用することができる。保護シートT1の貼着面(下面)において、ウエーハ10の外周余剰領域12Bに対応する外周領域18(破線L2によって区分される外側の領域)には粘着層が形成され、外周領域18によって囲繞されるデバイス領域12Aに対応する内側領域には、粘着層は形成されない。
【0016】
図3に示すように、水Wが保持されたウエーハ10の表面10aに上記の保護シートT1を配設したならば、該ウエーハ10を
図4に示す真空チャンバー30(一部のみを示している)に搬送して、真空チャンバー30に収容する(ウエーハ収容工程)。真空チャンバー30にウエーハ10を収容する際には、保護シートT1を上方に、ウエーハ10の裏面10b側を下方に向けて、真空チャンバー30の圧着テーブル32上に位置付け、圧着テーブル32の中心とウエーハ10の中心とが一致するように載置する。なお、上記した実施形態では、ウエーハ収容工程を実施する前に保護シート配設工程を実施したが、本発明はこれに限定されず、ウエーハ収容工程を実施した後、真空チャンバー30内において、上記した保護シート配設工程を実施するようにしてもよい。
【0017】
図5(a)を参照しながら、真空チャンバー30についてより具体的に説明する。真空チャンバー30は、上記した圧着テーブル32が配設されたチャンバーケース31(説明の都合上、断面図で示されている)を備えており、チャンバーケース31の上部には、吸引口33と、開放口34と、押圧手段35とが配設されている。吸引口33は、真空ポンプPに接続されており、開放口34は、開閉バルブVを介して大気に開放されている。真空チャンバー30内の空気を減圧して真空チャンバー30内を真空状態とする際には、開閉バルブVを閉じると共に真空ポンプPを作動させる。真空チャンバー30内の真空状態を解除する場合は、開閉バルブVを徐々に開放して大気を導入する。押圧手段35は、真空チャンバー30の上部中央に配設されており、チャンバーケース31を貫通し上下方向に延びる駆動軸35aと、駆動軸35aの下端部に配設され下方に向けて開放された環状の開口縁部35cを備えた押圧部35bとを備えている。駆動軸35aの上部には、該押圧部35bを上下方向に昇降させる図示を省略する昇降手段が配設されている。駆動軸35aは、チャンバーケース31に配設された軸受36によって支持されている。軸受36は、チャンバーケース31の内部と外部との間をシールしつつ、駆動軸35aの上下方向の移動を許容する軸受である。
【0018】
押圧手段35は、押圧部35bを構成する環状の該開口縁部35cの中心と圧着テーブル32の中心とが平面視で見て一致するように配設されており、該開口縁部35cは、上記したウエーハ10の外周余剰領域12Bに対応する形状及び寸法で形成されている。
【0019】
上記したように、保護シート配設工程、ウエーハ収容工程を実施したならば、開閉バルブVを閉じた状態で、上記の真空ポンプPを作動して、真空チャンバー30内を減圧する(減圧工程)。
【0020】
次いで、上記した昇降手段を作動して、真空チャンバー30内の圧着テーブル32に載置されたウエーハ10に対して、押圧部35bを矢印R1で示す方向に下降させて、押圧部35bの開口縁部35cをウエーハ10に配設された保護シートT1の外周領域18に当てて押圧する。上記したように、押圧部35bの開口縁部35cは、ウエーハ10の外周余剰領域12Bに対応した形状及び寸法で形成されており、
図5(b)に示すように、保護シートT1の外周領域18は、ウエーハ10の外周余剰領域12Bに圧着される(圧着工程)。保護シートT1の外周領域18の下面側には、粘着層が形成されており、ウエーハ10の外周余剰領域12Bと、保護シートT1の外周領域18とは強固に貼着される。この結果、
図5(c)に示すように、ウエーハ10の表面10aに形成された隣接するデバイス14の間にある分割予定ライン16に充填された水Wは、保護シートT1によって閉じ込められる。なお、上記した実施形態では、保護シートT1の外周領域18の下面に形成した粘着層を上方から押圧して保護シートT1をウエーハ10の表面10aに圧着したが、本発明はこれに限定されない。例えば、加熱することにより粘着力を発揮する熱圧着シートによって保護シートT1を構成し、押圧手段35の押圧部35bに加熱手段を配設して、保護シートT1の外周領域18を上方から熱圧着することで上記の圧着工程を実施するようにしてもよい。
【0021】
上記した圧着工程の後、真空ポンプPの作動を停止して、
図5(a)に示す開放口34に接続された開閉バルブVを徐々に開放し、上記した昇降手段を作動して押圧部35bを上昇させる。これにより、真空チャンバー30内に大気が導入され、保護シートT1は、大気圧によってウエーハ10の表面10aに密着して、真空チャンバー30からウエーハ10を搬出する(搬出工程)。
【0022】
本実施形態においては、上記のように真空チャンバー30から搬出したウエーハ10を、
図6に示すような、適宜の作業テーブル40に載置して、ウエーハ10に密着させた保護シートT1上に、ウエーハ10の表面10aの凹凸を吸収する柔軟シートT2と、該柔軟シートT2を介して平坦化シートT3を配設する。柔軟シートT2と平坦化シートT3を保護シートT1上に配設する場合、柔軟シートT2としては、例えば流動性及び粘着性を有する部材を採用し、平坦化シートT3としては、例えば硬質の樹脂シートを採用することができる。柔軟シートT2としては、最初からシート状であることに限定されず、液状の樹脂を保護シートT1上に塗布することでシート状に形成されるものであってもよい。
【0023】
本実施形態においては、さらに、上記の平坦化工程を実施した後、ウエーハ10の裏面10bを研削して薄化する研削工程を実施する。より具体的には、保護シートT1、柔軟シートT2、及び平坦化シートT3を貼着したウエーハ10を、
図7(a)に示す研削装置50(一部のみ示している)に搬送する。研削装置50には、保持面52を備えるチャックテーブル51が配設されている。チャックテーブル51は、図示を省略する回転駆動手段を備えている。チャックテーブル51の保持面52は、通気性を有する部材によって形成され、図示を省略する吸引手段が接続されており、該吸引手段を作動することにより保持面52上に負圧が生成される。研削装置50に搬送されたウエーハ10は、図に示すように反転されて、平坦化シートT3側を下方に、ウエーハ10の裏面10b側を上方に向けて、チャックテーブル51に載置され吸引保持される。
【0024】
研削装置50には、
図7(b)に示すように、研削手段53が配設されている。研削手段53は、図示を省略する回転駆動機構により回転させられる回転スピンドル54と、回転スピンドル54の下端に装着されたホイールマウント55と、ホイールマウント55の下面に取り付けられる研削ホイール56とを備え、研削ホイール56の下面には複数の研削砥石57が環状に配設されている。
【0025】
ウエーハ10をチャックテーブ51上に吸引保持したならば、研削手段53の回転スピンドル54を
図7(b)において矢印R2で示す方向に、例えば6000rpmで回転させると共に、チャックテーブル51を矢印R3で示す方向に、例えば300rpmで回転させる。そして、図示しない研削水供給手段により、研削水をウエーハ10の裏面10b上に供給しつつ、研削砥石57をウエーハ10の裏面10bに接触させ、研削ホイール56を、例えば1.0μm/秒の速度で、矢印R4で示す方向(下方)に向けて研削送りする。この際、図示しない接触式の測定ゲージによりウエーハ10の研削量を測定しながら研削を進めることができる。ウエーハ10の裏面10bを所定量研削してウエーハ10を薄化して所定の厚さとしたならば、研削手段53を停止し、洗浄、乾燥等を経て研削工程が完了する。
【0026】
上記した研削工程が完了したならば、
図8に示すように、ウエーハ10の裏面10b側を下方に向けて、ウエーハ10を収容可能な開口Faを有する環状のフレームFの該開口Faに位置付けて、粘着テープT4に貼着し、該粘着テープT4を介してフレームFに保持させる。その後、ウエーハ10の表面10aから保護シートT1、柔軟シートT2、平坦化シートT3を剥離して表面10aを露出させる。表面10aを露出させたならば、表面10aに充填された水Wを適宜除去して、フレームFに保持されたウエーハ10をダイシング装置、又はレーザー加工装置に搬送して、個々のデバイスチップに分割する分割工程を実施する。
【0027】
上記した実施形態によれば、保護シートT1をウエーハ10の表面10aに配設する保護シート配設工程を実施する際に、隣接するデバイス14の間に形成された凹んだ分割予定ライン16に水Wが充填される。そして、その上に保護シートT1が配設され、保護シートT1を大気圧によってウエーハ10の表面10aに密着させていることから、保護シートT1が大気圧によって凹んだ分割予定ラインに埋設されることが抑制され、保護シートT1が凹んだ領域に入り込み大気圧に耐えきれずに、繊維状に破断するという問題が解決する。
【0028】
また、上記した実施形態では、保護シートT1をウエーハ10の表面10aに配設し、その上面に柔軟シートT2を介して平坦化シートT3を配設する平坦化工程を実施していることから、ウエーハ10の表面10aの凹凸が柔軟シートT2によって吸収され表面10a側が平坦に支持されて、ウエーハ10の裏面10bを均一に研削することができると共に、上記したように保護シートT1が繊維状に破断することがないことから、分割予定ライン16に電極パッドが存在していたとしても、ウエーハ10の表面10aから保護シートT1を剥離する際に、上記の電極パッドが変形するという問題が解消する。
【符号の説明】
【0029】
10:ウエーハ
10a:表面
10b:裏面
12A:デバイス領域
12B:外周余剰領域
14:デバイス
16:分割予定ライン
18:外周領域
20:水供給手段
22:水供給ノズル
22a:噴射口
30:真空チャンバー
31:チャンバーケース
32:圧着テーブル
33:吸引口
34:開放口
35:押圧手段
35a:駆動軸
35b:押圧部
35c:開口縁部
36:軸受
50:研削装置
51:チャックテーブル
52:保持面
53:研削手段
54:回転スピンドル
55:ホイールマウント
56:研削ホイール
57:研削砥石
T1:保護シート
T2:柔軟シート
T3:平坦化シート
T4:粘着テープ
F:フレーム
P:真空ポンプ
W:水