(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172555
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221110BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221110BHJP
B23K 26/16 20060101ALI20221110BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20221110BHJP
【FI】
H01L21/78 L
H01L21/78 B
H01L21/304 622R
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
B23K26/16
B23K26/364
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078410
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】大宮 直樹
【テーマコード(参考)】
4E168
5F057
5F063
5F157
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】被加工物等に適切な液体を供給することが可能な加工装置を提供する。
【解決手段】被加工物を加工する加工装置であって、被加工物の処理に用いられる液体を収容するタンクに接続され、液体を送液する供給管と、タンクに付され液体に関する液体情報を含む識別部から、液体情報を読み取る読み取り部と、読み取り部によって読み取られた液体情報に基づいて、タンクに収容されている液体が被加工物の処理に適した液体であるか否かを判定する判定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工装置であって、
該被加工物の処理に用いられる液体を収容するタンクに接続され、該液体を送液する供給管と、
該タンクに付され該液体に関する液体情報を含む識別部から、該液体情報を読み取る読み取り部と、
該読み取り部によって読み取られた該液体情報に基づいて、該タンクに収容されている該液体が該被加工物の処理に適した液体であるか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該液体情報は、該タンクに収容されている該液体の材料を示す材料情報を含み、
該判定部は、該材料情報に基づいて、該タンクに収容されている該液体が該被加工物に供給される所定の保護膜材であるか否かを判定することを特徴とする、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該被加工物にレーザービームを照射するレーザー照射ユニットを更に備えることを特徴とする、請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
該タンクは、該供給管が挿入される挿入口を備え、
該挿入口は、該識別部が付されたシートによって塞がれており、
該供給管は、該シートの該識別部が付された領域を破って該挿入口に挿入されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスチップの製造プロセスでは、格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)によって区画された複数の領域にそれぞれデバイスが形成されたウェーハが用いられる。このウェーハをストリートに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。デバイスチップは、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の様々な電子機器に組み込まれる。
【0003】
ウェーハの分割には、例えば切削装置が用いられる。切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物を切削する環状の切削ブレードが装着される切削ユニットとを備えている。ウェーハをチャックテーブルによって保持し、切削ブレードを回転させてウェーハに切り込ませることにより、ウェーハが切削、分割される。
【0004】
一方、近年では、レーザー加工によってウェーハを分割するプロセスの開発も進められている。ウェーハのレーザー加工には、レーザー加工装置が用いられる。レーザー加工装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物にレーザービームを照射するレーザー照射ユニットとを備えている。
【0005】
例えば、レーザー加工装置によってウェーハにアブレーション加工が施される。具体的には、チャックテーブルによって保持されたウェーハの表面又は内部でレーザービームを集光させつつ、レーザービームをストリートに沿って走査することにより、ウェーハに溝(レーザー加工溝)がストリートに沿って形成される。その後、ウェーハに外力を付与すると、レーザー加工溝が分割起点として機能し、ウェーハがストリートに沿って分割される。
【0006】
上記の切削装置、レーザー加工装置等の加工装置で被加工物を加工する際には、様々な液体が使用される。例えば、レーザー加工装置で被加工物を加工する際には、レーザー加工によって生じる屑(デブリ)が被加工物に付着することを防止するため、予め被加工物に保護膜が形成されることがある。例えば保護膜は、水溶性樹脂を含む溶液(保護膜材)を被加工物に向かって滴下することによって形成される(特許文献1参照)。そして、被加工物のレーザー加工が完了した後、保護膜はデブリとともに除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
加工装置は、被加工物の処理に用いられる液体を収容したタンクが配置されるタンク配置領域と、タンクに接続される供給管とを備えている。そして、被加工物の加工状況に応じて、タンクから供給管を介して被加工物に液体が供給される。例えば、レーザー加工装置のタンク配置領域には、保護膜の形成に用いられる保護膜材を収容したタンクが配置される。そして、タンクから供給された保護膜材が被加工物に塗布されることにより、被加工物に保護膜が形成される。なお、保護膜材の材料は、被加工物の材質や加工条件等に応じて選択される。
【0009】
タンクに貯留された液体が使い果たされると、タンクの交換が行われ、タンク配置領域には液体が充填された新たなタンクが配置される。このとき、作業者が誤って別の液体を収容したタンクをタンク配置領域に配置してしまうと、意図しない液体が被加工物に供給される。これにより、被加工物の加工不良や汚染が発生し、加工品質が低下するおそれがある。
【0010】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、被加工物等に適切な液体を供給することが可能な加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、被加工物を加工する加工装置であって、該被加工物の処理に用いられる液体を収容するタンクに接続され、該液体を送液する供給管と、該タンクに付され該液体に関する液体情報を含む識別部から、該液体情報を読み取る読み取り部と、該読み取り部によって読み取られた該液体情報に基づいて、該タンクに収容されている該液体が該被加工物の処理に適した液体であるか否かを判定する判定部と、を備える加工装置が提供される。
【0012】
なお、好ましくは、該液体情報は、該タンクに収容されている該液体の材料を示す材料情報を含み、該判定部は、該材料情報に基づいて、該タンクに収容されている該液体が該被加工物に供給される所定の保護膜材であるか否かを判定する。また、好ましくは、該加工装置は、該被加工物にレーザービームを照射するレーザー照射ユニットを更に備える。また、好ましくは、該タンクは、該供給管が挿入される挿入口を備え、該挿入口は、該識別部が付されたシートによって塞がれており、該供給管は、該シートの該識別部が付された領域を破って該挿入口に挿入される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係る加工装置は、タンクに付された識別部から液体情報を読み取る読み取り部と、読み取り部によって読み取られた液体情報に基づいてタンクに収容されている液体が被加工物の処理に適した液体であるか否かを判定する判定部とを備える。これにより、タンクに意図した所定の液体が収容されていることが確認され、タンクから被加工物等に適切な液体が供給される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図3(A)は液体供給ユニットを示す斜視図であり、
図3(B)は液体供給ユニットを示す一部断面正面図である。
【
図4】被加工物に保護膜材を供給する液体供給ユニットを示す一部断面正面図である。
【
図5】
図5(A)はタンクを示す斜視図であり、
図5(B)はタンクを示す断面図である。
【
図6】タンク配置領域に配置されたタンクを示す斜視図である。
【
図8】タンクの設置及び加工装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本実施形態を説明する。まず、本実施形態に係る加工装置の構成例について説明する。
図1は、加工装置2を示す斜視図である。加工装置2は、被加工物にレーザー加工を施すレーザー加工装置である。なお、
図1において、X軸方向(加工送り方向、左右方向、第1水平方向)とY軸方向(割り出し送り方向、前後方向、第2水平方向)とは、互いに垂直な方向である。また、Z軸方向(鉛直方向、上下方向、高さ方向)は、X軸方向及びY軸方向と垂直な方向である。
【0016】
加工装置2は、加工装置2を構成する各構成要素を支持及び収容する基台4を備える。基台4の前端側の角部には、開口4aが設けられている。また、開口4aの内側には、昇降機構(不図示)によってZ軸方向に沿って移動(昇降)するカセット支持台6が設けられている。カセット支持台6上には、加工装置2による加工の対象となる複数の被加工物11を収容可能なカセット8が搭載される。なお、
図1ではカセット8の輪郭を二点鎖線で示している。
【0017】
図2は、被加工物11を示す斜視図である。例えば被加工物11は、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハであり、互いに概ね平行な表面11a及び裏面11bを備える。被加工物11は、互いに交差するように格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)13によって、複数の矩形状の領域に区画されている。また、ストリート13によって区画された領域の表面11a側にはそれぞれ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、LED(Light Emitting Diode)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等のデバイス15が形成されている。
【0018】
ただし、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば被加工物11は、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN、SiC等)、サファイア、ガラス(石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等)、樹脂、セラミックス、金属等でなるウェーハ(基板)であってもよい。また、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。
【0019】
加工装置2(
図1参照)によって被加工物11を加工し、被加工物11をストリート13に沿って分割することにより、デバイス15をそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。なお、加工装置2によって被加工物11を加工する際には、被加工物11が環状のフレーム17によって支持される。
【0020】
フレーム17は、例えばSUS(ステンレス鋼)等の金属でなる。フレーム17の中央部には、被加工物11よりも直径が大きい円柱状の開口17aが、フレーム17を厚さ方向に貫通するように設けられている。被加工物11は、開口17aの内側に配置される。
【0021】
被加工物11及びフレーム17には、テープ19が貼付される。テープ19は、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを含む。例えば基材は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなる。また、粘着層は、エポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等でなる。なお、粘着層は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型の樹脂であってもよい。
【0022】
テープ19の中央部が被加工物11の裏面11b側に貼付され、テープ19の外周部がフレーム17に貼付されると、被加工物11がテープ19を介してフレーム17によって支持される。そして、被加工物11はフレーム17によって支持された状態でカセット8(
図1参照)に収容される。
【0023】
図1に示すように、開口4aの後方には、被加工物11を搬送する搬送ユニット(搬送機構)10が設けられている。搬送ユニット10は、Y軸方向に沿って移動可能に構成されており、被加工物11をカセット8から搬出するとともに被加工物11をカセット8へ搬入する。なお、搬送ユニット10の開口4a側(カセット8側)の端部には、フレーム17を把持する把持部10aが設けられている。
【0024】
開口4aと搬送ユニット10との間には、カセット8から搬出された被加工物11、又は、カセット8に搬入される被加工物11が仮置きされる仮置き領域12が設けられている。仮置き領域12には、Y軸方向に沿って互いに概ね平行に配置された一対のガイドレール14が設けられている。一対のガイドレール14は、X軸方向に沿って互いに接近及び離隔するように移動し、フレーム17を挟み込んで被加工物11の位置合わせを行う。
【0025】
仮置き領域12の近傍には、被加工物11を搬送する搬送ユニット(搬送機構)16が設けられている。例えば搬送ユニット16は、フレーム17の上面側を吸引保持する複数の吸引パッドを備える。
【0026】
開口4aの側方には、長手方向がX軸方向に沿うように形成された矩形状の開口4bが設けられている。開口4bの内側には、平板状の移動テーブル18aを備える移動ユニット(移動機構)18が設けられている。例えば移動ユニット18は、X軸方向に沿って配置されたボールねじ(不図示)を備えるボールねじ式の移動機構であり、移動テーブル18aをX軸方向に沿って移動させる。また、移動テーブル18aの両側には、X軸方向に沿って伸縮する蛇腹状の防塵防滴カバー20が移動ユニット18の構成要素を覆うように設けられている。
【0027】
移動テーブル18a上には、被加工物11を保持するチャックテーブル(保持テーブル)22が設けられている。チャックテーブル22の上面は、水平方向(XY平面方向)と概ね平行な平坦面であり、被加工物11を保持する保持面22aを構成している。保持面22aは、チャックテーブル22の内部に設けられた流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル22の周囲には、フレーム17を把持して固定する複数のクランプ24が設けられている。
【0028】
移動ユニット18は、チャックテーブル22を移動テーブル18aとともにX軸方向に沿って移動させる。これによってチャックテーブル22は、被加工物11の搬送が行われる搬送領域Aと被加工物11の加工が行われる加工領域Bとに位置付けられる。また、チャックテーブル22には、チャックテーブル22をZ軸方向と概ね平行な回転軸の周りで回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
【0029】
加工領域Bには、レーザービームを照射するレーザー照射ユニット26が設けられている。レーザー照射ユニット26は、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー等のレーザー発振器(不図示)と、チャックテーブル22の上方に配置されたヘッド28とを含む。ヘッド28には、レーザー発振器から出射したパルス発振のレーザービームを被加工物11へと導く光学系が内蔵されており、光学系はレーザービームを集光させる集光レンズ等の光学素子を含む。レーザー照射ユニット26からレーザービームがチャックテーブル22によって保持された被加工物11に照射されることにより、被加工物11にレーザー加工が施される。
【0030】
レーザー照射ユニット26には、ヘッド28をY軸方向に沿って移動させる移動ユニット(移動機構、不図示)が連結されている。例えば移動ユニットは、Y軸方向に沿って配置されたボールねじを備えるボールねじ式の移動機構である。この移動ユニットによって、ヘッド28のY軸方向における位置が制御され、レーザービームのY軸方向における集光位置が調節される。
【0031】
チャックテーブル22の移動経路(搬送領域Aと加工領域Bとの間)と重なる位置には、チャックテーブル22によって保持された被加工物11等を撮像する撮像ユニット30が設けられている。例えば撮像ユニット30は、可視光を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える可視光カメラや、赤外線を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える赤外線カメラ等を備える。撮像ユニット30によって取得された画像は、被加工物11とレーザー照射ユニット26のヘッド28との位置合わせ等に用いられる。
【0032】
チャックテーブル22の後方には、円形の開口4cが設けられている。また、開口4cの内側には、被加工物11に液体を供給する液体供給ユニット32が設けられている。例えば液体供給ユニット32は、被加工物11に保護膜材(保護膜液)を供給することにより、被加工物11に保護膜を形成する。また、液体供給ユニット32は、被加工物11に洗浄液を供給することにより、被加工物11を洗浄する。なお、液体供給ユニット32の詳細については後述する。
【0033】
液体供給ユニット32の上方には、チャックテーブル22と液体供給ユニット32との間で被加工物11を搬送する搬送ユニット(搬送機構)34が設けられている。例えば搬送ユニット34は、フレーム17の上面側を吸引保持する複数の吸引パッドを備える。
【0034】
加工領域Bの後方には支持台36が設けられており、支持台36上には表示部(表示ユニット、表示装置)38が搭載されている。表示部38は、各種のディスプレイによって構成され、加工装置2に関する各種の情報を表示する。また、基台4の前端部には、加工装置2に各種の情報を入力するための入力部(入力ユニット、入力装置)40が設けられている。入力部40としては、複数の操作キーを備える操作パネル、マウス、キーボード等が用いられる。
【0035】
なお、加工装置2は、ユーザーインターフェースとして機能するタッチパネルを備えていてもよい。この場合には、タッチパネルが表示部38及び入力部40として機能する。そして、オペレーターは、タッチパネルに表示された操作画面を参照しつつタッチパネルのタッチ操作を行うことにより、加工装置2に加工条件等の情報を入力できる。
【0036】
また、加工装置2には、タンク(容器)44が配置されるタンク配置領域42が設けられている。例えば、基台4の後端部にはタンク44を収容可能な空間が設けられており、この空間がタンク配置領域42に相当する。ただし、タンク44の配置が可能であれば、タンク配置領域42の態様に制限はない。
【0037】
タンク44は、加工装置2で使用される液体を収容しており、加工装置2に接続される。例えばタンク44には、被加工物11への保護膜の形成に用いられる液体(保護膜材)が貯留されている。なお、タンク44の詳細については後述する。
【0038】
加工装置2を構成する各構成要素(カセット支持台6、搬送ユニット10、ガイドレール14、搬送ユニット16、移動ユニット18、チャックテーブル22、クランプ24、レーザー照射ユニット26、撮像ユニット30、液体供給ユニット32、搬送ユニット34、表示部38、入力部40等)はそれぞれ、制御部(制御ユニット、制御装置)46に接続されている。制御部46は、加工装置2の各構成要素の動作を制御する制御信号を生成することにより、加工装置2の稼働を制御する。
【0039】
例えば制御部46は、コンピュータによって構成される。具体的には、制御部46は、加工装置2の稼働に必要な演算を行うCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、加工装置2の稼働に用いられる各種の情報(データ、プログラム等)を記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを含んで構成される。
【0040】
加工装置2で被加工物11を加工する際には、まず、搬送ユニット10がカセット8に向かって移動し、カセット8に収容されているフレーム17の端部を把持部10aで把持する。その後、搬送ユニット10はY軸方向に沿ってカセット8から離れるように移動する。これにより、被加工物11がカセット8から引き出され、一対のガイドレール14上に配置される。そして、一対のガイドレール14は、フレーム17を下側から支持した状態で互いに接近し、フレーム17を挟み込む。これにより、被加工物11の位置合わせが行われる。
【0041】
次に、搬送ユニット16によってフレーム17が吸引保持され、被加工物11が液体供給ユニット32に搬送される。そして、被加工物11の表面11a側(デバイス15側、
図2参照)側を被覆する保護膜が液体供給ユニット32によって形成される。
【0042】
次に、搬送ユニット34によってフレーム17が吸引保持され、被加工物11が液体供給ユニット32から搬送領域Aに位置付けられたチャックテーブル22に搬送される。そして、被加工物11は、チャックテーブル22の保持面22a上にテープ19を介して配置される。また、フレーム17が複数のクランプ24によって固定される。この状態で、保持面22aに吸引源の吸引力(負圧)を作用させると、被加工物11がテープ19を介してチャックテーブル22によって吸引保持される。
【0043】
次に、レーザー照射ユニット26によって被加工物11が加工される。具体的には、被加工物11を保持したチャックテーブル22は、移動ユニット18によって加工領域Bに位置付けられる。そして、レーザー照射ユニット26から被加工物11にレーザービームが照射され、被加工物11にレーザー加工が施される。
【0044】
例えば、レーザー照射ユニット26からレーザービームがストリート13(
図2参照)に沿って被加工物11の表面11a側に照射され、被加工物11にアブレーション加工が施される。これにより、被加工物11の表面11a側に線状の溝(レーザー加工溝)がストリート13に沿って形成される。
【0045】
次に、チャックテーブル22が移動ユニット18によって搬送領域Aに位置付けられる。また、搬送ユニット34によってフレーム17が吸引保持され、加工後の被加工物11がチャックテーブル22から液体供給ユニット32に搬送される。そして、液体供給ユニット32によって被加工物11が洗浄される。洗浄後の被加工物11は、搬送ユニット16によって一対のガイドレール14上に搬送された後、搬送ユニット10の把持部10aに把持されてカセット8に収容される。
【0046】
上記のように、液体供給ユニット32は、被加工物11への保護膜の形成と被加工物11の洗浄とを実施する。すなわち、液体供給ユニット32は、保護膜形成ユニット及び洗浄ユニットとして機能する。
図3(A)は液体供給ユニット32を示す斜視図であり、
図3(B)は液体供給ユニット32を示す一部断面正面図である。なお、
図3(B)では液体供給ユニット32の一部の構成要素の図示を省略している。
【0047】
液体供給ユニット32は、被加工物11を保持して回転するスピンナテーブル50を備える。スピンナテーブル50の上面は、水平方向と概ね平行な平坦面であり、被加工物11を保持する保持面50aを構成している。保持面50aは、スピンナテーブル50の内部に設けられた流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0048】
スピンナテーブル50には、スピンナテーブル50を回転させるモータ等の回転駆動源52が連結されている。回転駆動源52は、鉛直方向に沿って配置された円柱状のスピンドル(出力軸)54を備えており、スピンドル54の上端部はスピンナテーブル50の下面側の中央部に接続されている。スピンドル54を回転させると、スピンナテーブル50が保持面50aと概ね垂直な回転軸の周りを回転する。
【0049】
図3(A)に示すように、回転駆動源52には昇降ユニット(昇降機構)56が連結されている。昇降ユニット56は、回転駆動源52に固定された複数のエアシリンダ58を備える。また、エアシリンダ58の下端側にはそれぞれ、エアシリンダ58を支持する円柱状の支持脚60が装着されている。複数のエアシリンダ58を同時に作動させると、スピンナテーブル50及び回転駆動源52が鉛直方向に沿って昇降する。
【0050】
スピンナテーブル50の周囲には、被加工物11を支持しているフレーム17を把持して固定する複数のクランプ62が設けられている。回転駆動源52によってスピンナテーブル50を回転させると、遠心力によってクランプ62の下部(錘部)がスピンナテーブル50の径方向外側に向かって移動し、クランプ62の上部(把持部)がスピンナテーブル50の径方向内側に向かって移動する。
【0051】
スピンナテーブル50及びクランプ62は、中空の円柱状に形成された液受け部材64に囲まれている。具体的には、液受け部材64は、スピンナテーブル50及びクランプ62を囲む環状の外壁64aと、外壁64aの下端部から液受け部材64の半径方向内側に向かって突出する環状の底面64bと、底面64bの半径方向内側の端部から上方に向かって突出する環状の内壁64cとを備える。内壁64cの内側は、スピンドル54が挿入される挿入口64dに相当する。
【0052】
また、液受け部材64の内側には、内壁64cの上端部を覆う環状のカバー66が設けられている。カバー66は、スピンドル54を囲み、液受け部材64の内壁64cと重なるように配置されている。カバー66によって内壁64cの上部が覆われることにより(
図4参照)、液受け部材64の内部に存在する液体が挿入口64dを介して液受け部材64の外部に流出することを防止できる。
【0053】
図3(A)に示すように、液受け部材64の底面64bには排液口68が設けられており、排液口68には排液路70が接続されている。液受け部材64に貯留された液体は、排液口68及び排液路70を介して液受け部材64の外部に排出される。
【0054】
また、液受け部材64の内側には、被加工物11に保護膜材を供給する保護膜材供給ユニット72と、被加工物11に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット74とが設けられている。保護膜材供給ユニット72と洗浄液供給ユニット74とは、スピンナテーブル50を挟むように配置されている。
【0055】
保護膜材供給ユニット72は、中空の筒状に形成されたアーム72aと、アーム72aの先端部に接続された保護膜材供給ノズル72bとを備える。また、アーム72aには、モータ等の回転駆動源72c(
図3(B)参照)が連結されている。回転駆動源72cによってアーム72aを回転させることにより、保護膜材供給ノズル72bを、スピンナテーブル50に重なる位置(供給位置)と、スピンナテーブル50に重ならない位置(退避位置)とに位置付けることができる。
【0056】
保護膜材供給ユニット72は、チューブ、パイプ等によって構成される流路76を介して、保護膜材を供給する保護膜材供給源78に接続されている。保護膜材供給源78から流路76を介してアーム72aに供給された保護膜材が、保護膜材供給ノズル72bからスピンナテーブル50の保持面50aに向かって滴下される。
【0057】
洗浄液供給ユニット74は、中空の筒状に形成されたアーム74aと、アーム74aの先端部に接続された洗浄液供給ノズル74bとを備える。また、アーム74aには、モータ等の回転駆動源74c(
図3(B)参照)が連結されている。回転駆動源74cによってアーム74aを回転させることにより、洗浄液供給ノズル74bを、スピンナテーブル50に重なる位置(供給位置)と、スピンナテーブル50に重ならない位置(退避位置)とに位置付けることができる。
【0058】
洗浄液供給ユニット74は、チューブ、パイプ等によって構成される流路80を介して、洗浄液を供給する洗浄液供給源82に接続されている。洗浄液供給源82から流路80を介してアーム74aに供給された洗浄液が、洗浄液供給ノズル74bからスピンナテーブル50の保持面50aに向かって滴下される。
【0059】
図4は、被加工物11に保護膜材(保護膜液)84を供給する液体供給ユニット32を示す一部断面正面図である。被加工物11に保護膜を形成する際は、まず、被加工物11をスピンナテーブル50によって保持する。例えば被加工物11は、表面11a側が上方に露出し、裏面11b側が保持面50aに対向するように、スピンナテーブル50上に配置される。この状態で、保持面50aに吸引源の吸引力(負圧)を作用させると、被加工物11がテープ19(
図3(A)参照)を介してスピンナテーブル50によって吸引保持される。
【0060】
その後、昇降ユニット56(
図3(A)参照)によってスピンナテーブル50が下降する。これにより、被加工物11が液受け部材64の内部に位置付けられるとともに、挿入口64dの上部がカバー66によって覆われる。
【0061】
次に、保護膜材供給ノズル72bが保持面50aの直上(供給位置)に位置付けられる。そして、スピンナテーブル50を回転駆動源52によって回転させつつ、保護膜材供給ノズル72bから保護膜材84を滴下する。なお、スピンナテーブル50が回転すると、クランプ62の上部(把持部)がスピンナテーブル50の径方向内側に向かって移動し、フレーム17がクランプ62によって把持される。
【0062】
保護膜材84としては、例えば水溶性の樹脂を含む溶液が用いられる。水溶性の樹脂の例としては、PVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)、PEO(酸化ポリエチレン)、PVP(ポリビニルピロリドン)等が挙げられる。
【0063】
被加工物11の中心部に滴下された保護膜材84は、表面11aを伝って被加工物11の外周縁に到達する。これにより、被加工物11の表面11aの全体に渡って保護膜材84が塗布される。その後、保護膜材84を乾燥させることにより、被加工物11の表面11a側を覆う保護膜が形成される。なお、保護膜材84として水溶性の樹脂を含む溶液が用いられる場合には、被加工物11に水溶性の樹脂でなる保護膜が形成される。
【0064】
保護膜の形成時には、液受け部材64の外壁64aによって保護膜材84の飛散が防止されるとともに、液受け部材64の底部に保護膜として使用されなかった保護膜材84が貯留される。液受け部材64に貯留された保護膜材84は、排液口68及び排液路70を介して液受け部材64の外部に排出される。
【0065】
保護膜が形成された被加工物11は、チャックテーブル22(
図1参照)によって保持され、レーザー照射ユニット26(
図1参照)によって加工される。具体的には、レーザー照射ユニット26から出射したレーザービームが、保護膜を介して被加工物11の表面11a側に照射される。これにより、被加工物11の表面11a側にアブレーション加工等のレーザー加工が施される。
【0066】
なお、被加工物11にレーザービームが照射されると、被加工物11の溶融物(デブリ)が生成されて飛散する。しかしながら、被加工物11の表面11a側に保護膜が形成されているため、被加工物11の表面11aにはデブリが付着しにくい。これにより、被加工物11の汚染が防止される。
【0067】
被加工物11の加工が完了すると、液体供給ユニット32によって被加工物11が洗浄される。被加工物11の洗浄時には、保護膜材供給ノズル72bが退避位置に位置付けられるとともに、洗浄液供給ノズル74bが保持面50aの直上(供給位置)に位置付けられる。そして、洗浄液供給ノズル74bから回転する被加工物11に向かって洗浄液が供給されることにより、被加工物11が洗浄される。洗浄液としては、純水等の液体や、液体(純水等)と気体(エアー等)とが混合された混合流体等が用いられる。
【0068】
なお、被加工物11に形成されている保護膜が水溶性の樹脂でなる場合、洗浄液の供給によって保護膜が容易に除去される。これにより、保護膜を除去する工程が簡略化される。また、保護膜に付着した異物(デブリ等)が、保護膜とともに除去される。
【0069】
ここで、本実施形態においては、保護膜材供給源78としてタンク44(
図1参照)が用いられる。具体的には、保護膜材84を収容したタンク44がタンク配置領域42(
図1参照)に配置され、流路76に接続される。そして、タンク44から流路76を介して保護膜材供給ユニット72に保護膜材84が供給される。
【0070】
図5(A)はタンク44を示す斜視図であり、
図5(B)はタンク44を示す断面図である。タンク44は、中空の直方体状に形成され、内部に液体90を収容する。例えばタンク44は、液体90として保護膜の形成に用いられる保護膜材84(
図4参照)を収容する。なお、タンク44の形状、大きさ、材質に制限はない。
【0071】
図5(B)に示すように、タンク44には、タンク44の外部と内部とを連通させる挿入口44aが設けられている。例えば挿入口44aは、タンク44の上壁を貫通するように形成される。そして、タンク44の挿入口44aには、タンク44に収容された液体90を送液する供給管92が挿入される。
【0072】
供給管92は、加工装置2(
図1参照)に内蔵されたチューブ、パイプ等の配管であり、液体供給ユニット32に接続される流路76(
図3(B)参照)の一部に相当する。例えば供給管92は、タンク配置領域42(
図1参照)に設けられており、その先端部がタンク44の挿入口44aに挿入される。これにより、加工装置2とタンク44とが接続される。
【0073】
また、
図5(A)に示すように、タンク44には、タンク44に収容された液体90に関する情報(液体情報)を含む識別部94が付されている。例えば識別部94は、液体情報に対応するパターンを有する1次元コード(バーコード)又は2次元コードである。識別部94が2次元コードである場合、2次元コードはマトリクス型であってもスタック型であってもよい。
【0074】
液体情報には、液体90の材料(種類)を示す情報(材料情報)が含まれる。例えば、液体90の材料の名称、液体90の材料に対応する符号(文字列)、液体90の製品番号等が、材料情報として用いられる。また、液体情報には、液体90の使用期限を示す情報(期限情報)、液体90の製造者を示す情報(製造者情報)等が含まれていてもよい。
【0075】
なお、識別部94をタンク44に付す方法に制限はない。例えば、識別部94として1次元コード又は2次元コードが付されたシート(テープ)96が、タンク44に貼付される。この場合、シート96は、シート96によって挿入口44aが塞がれ、識別部94が挿入口44aと重なるように貼付されることが好ましい。また、識別部94はタンク44に直接プリントされてもよい。
【0076】
識別部94が付されたタンク44は、タンク配置領域42に配置される。
図6は、タンク配置領域42に配置されたタンク44を示す斜視図である。例えば、基台4の角部には、基台4の側面から内側に向かって形成された直方体状の開口4dが設けられている。なお、開口4dの形状及び大きさは、開口4dにタンク44を配置可能となるように設定される。
【0077】
基台4は、開口4dの内側で露出する互いに垂直な側壁4e,4fと、水平方向に沿って形成され側壁4e,4fに接続された上壁4gとを含む。側壁4e,4f及び上壁4gによって囲まれた空間が、タンク配置領域42に相当する。そして、タンク44は、上壁4gと重なるようにタンク配置領域42に収容される。なお、
図6では図示を省略しているが、タンク配置領域42には供給管92(
図5(A)及び
図5(B)参照)が設けられている。
【0078】
また、タンク配置領域42には、識別部94から液体情報を読み取る読み取り部(読み取りユニット)98が設けられている。読み取り部98の種類は、識別部94の構成に応じて選択される。例えば、識別部94が1次元コードである場合には、読み取り部98としてバーコードリーダーが用いられる。また、識別部94が2次元コードである場合には、読み取り部98として2次元コードリーダーが用いられる。
【0079】
識別部94がタンク44の上面側に付されている場合、読み取り部98は基台4の上壁4gに設けられる。そして、タンク44がタンク配置領域42に正しく設置されると、識別部94が読み取り部98の直下に位置付けられ、識別部94に含まれる情報(液体情報)が読み取り部98によって読み取られる。ただし、読み取り部98の位置は、識別部94の位置に応じて適宜変更できる。例えば、識別部94がタンク44の側面に付されている場合には、読み取り部98を基台4の側壁4e,4fに配置してもよい。
【0080】
識別部94に含まれる液体情報が読み取り部98によって読み取られると、液体情報が制御部46に入力される。そして、制御部46は液体情報に基づいて、タンク配置領域42に配置されているタンク44が適切なタンクか否かを判定する。
【0081】
図7は、制御部46を示すブロック図である。
図7には、制御部46の機能的な構成を示すブロックに加えて、タンク44の一部及び読み取り部98を図示している。
【0082】
制御部46は、処理部100及び記憶部110を含む。処理部100は、外部から入力された情報(信号、データ等)を処理するとともに、各種の情報(信号、データ等)を生成して外部に出力する。記憶部110は、処理部100における処理に用いられる情報(データ、プログラム等)を記憶する。
【0083】
処理部100は、液体情報が入力される入力部102を含む。タンク44に付された識別部94が読み取り部98によって読み取られると、識別部94に含まれる液体情報が入力部102に入力される。なお、入力部102に入力された液体情報は、識別部94が読み取られた時刻とともに記憶部110に記憶されてもよい。これにより、液体情報のログが記憶部110に蓄積される。
【0084】
また、処理部100は、読み取り部98によって読み取られた液体情報に基づいて、タンク配置領域42に配置されたタンク44に収容されている液体90(
図5(B)参照)が被加工物11の処理に適した液体であるか否かを判定する判定部104を含む。さらに、記憶部110は、液体情報の判定に用いられる参照情報が記憶される参照情報記憶部112を含む。そして、判定部104は、入力部102から入力された液体情報と、予め参照情報記憶部112に記憶された参照情報とを比較することにより、タンク44に収容されている液体90が被加工物11の処理に適した液体であるか否かを判定する。
【0085】
例えば、判定部104に入力された液体情報は、タンク44に収容されている液体90の材料を示す情報(材料情報)を含む。また、参照情報記憶部112に記憶された参照情報は、被加工物11に供給されるべき保護膜材84(
図4参照)の材料を示す情報(参照材料情報)を含む。そして、判定部104は、材料情報に基づいてタンク44に収容されている液体90が被加工物11に供給される所定の保護膜材84であるか否かを判定する。
【0086】
具体的には、判定部104は、入力部102から入力された材料情報と参照情報記憶部112から入力された参照材料情報とが一致するか否かを判定する。そして、材料情報と参照材料情報とが一致する場合には、タンク44に意図した所定の保護膜材84が収容されていると判定される。一方、材料情報と参照材料情報とが一致しない場合には、タンク44に意図した所定の保護膜材84が収容されていないと判定される。
【0087】
ただし、タンク44に収容されている液体90が被加工物11の処理に適している液体であるか否かを判定する方法は、上記に限定されない。例えば、液体情報に液体90の期限情報が含まれる場合、タンク44に収容されている液体90の使用期限が過ぎているか否かが判定されてもよい。
【0088】
具体的には、液体90の期限情報(期限日)が入力部102から判定部104に入力されるとともに、参照情報記憶部112に記憶されている当日の日付(タンク44の設置日)が判定部104に入力される。そして、判定部104は、液体90の期限日とタンク44の設置日とを比較して、液体90の使用期限が過ぎているか否かを判定する。
【0089】
また、液体情報に液体90の製造者情報が含まれる場合、タンク44に収容されている液体90の製造者が所定の製造者である否かが判定してもよい。この場合には、液体90の製造者情報(製造者コード)が入力部102から判定部104に入力されるとともに、参照情報記憶部112に記憶されている参照製造者コード(所定の製造者を示すコード)が判定部104に入力される。そして、判定部104は、液体90の製造者コードと参照製造者コードとが一致するか否かを判定する。
【0090】
また、処理部100は、加工装置2の各構成要素の動作を制御する駆動部106を含む。判定部104による判定の結果は駆動部106に入力される。そして、駆動部106は、判定部104による判定の結果に基づいて、加工装置2の各構成要素に出力される制御信号を生成する。
【0091】
なお、タンク44に収容されている液体90が被加工物11の処理に適している液体ではないと判定された場合には、駆動部106は加工装置2における液体90の使用を禁止してもよい。例えば、タンク44に所定の保護膜材84(
図4参照)が収容されていないと判定されると、駆動部106は液体供給ユニット32に制御信号を出力し、適切なタンク44がタンク配置領域42に設置されるまで液体供給ユニット32の動作を停止させる。これにより、意図しない液体90が被加工物11に供給されることを防止できる。
【0092】
また、駆動部106は、表示部38(
図1参照)に制御信号を出力することにより、表示部38に判定の結果を表示させる。例えば表示部38には、タンク44に収容されている液体90が被加工物11の処理に適している液体(保護膜材等)であるか否かを示すメッセージが表示される。このとき表示部38には、タンク44に収容されている液体90の材料の名称、使用期限、製造者名等が同時に表示されてもよい。
【0093】
さらに、駆動部106は、タンク44に収容されている液体90が被加工物11の処理に適している液体でないと判定された場合、加工装置2の構成要素に警告(エラー)を発信させてもよい。例えば駆動部106は、表示部38に警告メッセージを表示させる。また、加工装置2にスピーカーが搭載されている場合には、駆動部106はスピーカーに警告を報知する音(警告音)やメッセージ(警告メッセージ)を発信させてもよい。
【0094】
次に、加工装置2の動作方法の具体例について説明する。
図8は、タンク44の設置及び加工装置2の動作の手順を示すフローチャートである。以下では、主に
図7及び
図8を参照しつつ、タンク44に収容された液体90が予め選定された所定の保護膜材であるか否かが判定される例について説明する。
【0095】
まず、タンク44に付された識別部94から液体情報を読み取る(読み取りステップ)。具体的には、タンク44がタンク配置領域42(
図1及び
図6参照)に配置される(ステップS1)。そして、タンク44に付された識別部94に含まれる液体情報が、読み取り部98によって読み取られる(ステップS2)。なお、液体情報には、タンク44に収容されている液体90の材料を示す情報(材料情報)が含まれている。そして、読み取り部98によって読み取られた液体情報が、読み取り部98から制御部46に出力される。
【0096】
次に、読み取り部98によって読み取られた液体情報に基づいて、タンク44に収容されている液体90が被加工物11の処理に適した液体であるか否かを判定する(判定ステップ)。具体的には、判定部104は、入力部102から入力された材料情報と参照情報記憶部112から入力された参照材料情報とが一致するか否かを判定する。これにより、タンク44内の液体90が予め選定された所定の保護膜材であるか否かが判定される(ステップS3)。
【0097】
タンク44内の液体90が所定の保護膜材であると判定された場合は(ステップS3でYES)、液体90を用いて被加工物11に保護膜を形成する(保護膜形成ステップ)。具体的には、まず、加工装置2による保護膜の形成が許可される(ステップS4)。これにより、液体供給ユニット32が稼働状態となる。
【0098】
また、タンク44に供給管92が挿入される(ステップS5)。具体的には、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、供給管92が供給管92の挿入口44aに挿入される。これにより、加工装置2とタンク44とが接続される。
【0099】
なお、タンク44には識別部94が付されたシート96が貼付されている。例えばシート96は、シート96によって挿入口44aが塞がれ、識別部94が挿入口44aと重なるように貼付される。この場合には、供給管92を挿入口44aに挿入する際、シート96の識別部94が付された領域が供給管92の先端部によって破られる。これにより、識別部94が破壊され、タンク44の開封後における識別部94の流用が防止される。
【0100】
また、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、供給管92の先端面は供給管92の幅方向(径方向)に対して傾斜していることが好ましい。これにより、供給管92の先端部に鋭角が形成され、シート96を破りやすくなる。
【0101】
その後、タンク44に収容された液体90(保護膜材)を用いて被加工物11に保護膜が形成される(ステップS6、
図4参照)。そして、保護膜が形成された被加工物11がチャックテーブル22(
図1参照)に搬送され、レーザー照射ユニット26(
図1参照)によって加工される。
【0102】
一方、タンク44内の液体90が所定の保護膜材ではないと判定された場合は(ステップS3でNO)、加工装置2による保護膜の形成が禁止される(ステップS7)。これにより、液体供給ユニット32が停止状態となり、液体供給ユニット32によって被加工物11に保護膜を形成することができなくなる。
【0103】
また、加工装置2は警告を発信する(警告ステップ、ステップS8)。具体的には、表示部38(
図1参照)に警告メッセージが表示されるとともに、スピーカー(不図示)から警告音又は警告メッセージが発信される。これにより、タンク配置領域42に不適切なタンク44が配置されている旨がオペレーターに報知され、作業者は適切なタンク44をタンク配置領域42に配置する(ステップS1)。
【0104】
上記の加工装置2の動作方法は、制御部46によって加工装置2の各構成要素の動作を制御することによって実現される。具体的には、制御部46の記憶部110には、加工装置2に読み取りステップ、判定ステップ、保護膜形成ステップ、警告ステップ等を実行させるためのプログラムが記憶されている。そして、制御部46は記憶部110からプログラムを読み出して実行し、加工装置2の各構成要素に制御信号を出力する。これにより、液体情報の読み取り、液体90の判定、保護膜の形成、警告の発信等が、加工装置2によって自動で実施される。
【0105】
以上の通り、本実施形態に係る加工装置2は、タンク44に付された識別部94から液体情報を読み取る読み取り部98と、読み取り部98によって読み取られた液体情報に基づいてタンク44に収容されている液体90が被加工物11の処理に適した液体であるか否かを判定する制御部46(判定部104)とを備える。これにより、タンク44に意図した所定の液体が収容されていることが確認され、タンク44から被加工物11等に適切な液体が供給される。
【0106】
なお、上記実施形態においては、1次元コード又は2次元コードによって構成される識別部94(
図5(A)~
図7参照)から液体情報が読み取られる例について説明したが、液体情報の読み取りの態様に制限はない。例えば、RFID(Radio Frequency Identification)を利用して液体情報の読み取りを行ってもよい。
【0107】
具体的には、タンク44には識別部94としてRF(Radio Frequency)タグを付すこともできる。RFタグは、IC及びメモリを含む制御回路と、情報の送受信に用いられるアンテナとを備える。そして、RFタグのメモリには、材料情報、期限情報、製造者情報等を含む液体情報が記憶される。また、読み取り部98(
図6及び
図7参照)として、RFIDリーダーが用いられる。RFタグに記憶された液体情報がRFIDリーダーによって読み取られ、制御部46に出力される。
【0108】
また、上記実施形態においては、タンク44に収容された液体90が保護膜材である場合について説明した。ただし、タンク44に収容される液体90は、加工装置2(
図1参照)において被加工物11の処理に用いられる液体であれば制限はない。例えばタンク44には、加工装置2において使用される薬液や洗浄液が収容されていてもよい。
【0109】
さらに、上記実施形態では、加工装置2がレーザー照射ユニット26を備えるレーザー加工装置である例について説明したが、加工装置2の種類に制限はない。例えば加工装置2は、被加工物11を切削する切削ユニットを備える切削装置、被加工物11を研削する研削ユニットを備える研削装置、被加工物11を研磨する研磨ユニットを備える研磨装置等であってもよい。
【0110】
切削装置の切削ユニットはスピンドルを備えており、スピンドルの先端部には環状の切削ブレードが装着される。切削ブレードを回転させながら被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11が切削される。また、研削装置の研削ユニットはスピンドルを備えており、スピンドルの先端部には研削砥石を含む環状の研削ホイールが装着される。研削ホイールを回転させながら研削砥石を被加工物11に接触させることにより、被加工物11が研削される。また、研磨装置の研磨ユニットはスピンドルを備えており、スピンドルの先端部には円盤状の研磨パッドが装着される。研磨パッドを回転させながら被加工物11に接触させることにより、被加工物11が研磨される。
【0111】
その他、本実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更できる。
【符号の説明】
【0112】
11 被加工物
11a 表面
11b 裏面
13 ストリート(分割予定ライン)
15 デバイス
17 フレーム
17a 開口
19 テープ
2 加工装置
4 基台
4a,4b,4c,4d 開口
4e,4f 側壁
4g 上壁
6 カセット支持台
8 カセット
10 搬送ユニット(搬送機構)
10a 把持部
12 仮置き領域
14 ガイドレール
16 搬送ユニット(搬送機構)
18 移動ユニット(移動機構)
18a 移動テーブル
20 防塵防滴カバー
22 チャックテーブル(保持テーブル)
22a 保持面
24 クランプ
26 レーザー照射ユニット
28 ヘッド
30 撮像ユニット
32 液体供給ユニット
34 搬送ユニット(搬送機構)
36 支持台
38 表示部(表示ユニット、表示装置)
40 入力部(入力ユニット、入力装置)
42 タンク配置領域
44 タンク(容器)
44a 挿入口
46 制御部(制御ユニット、制御装置)
50 スピンナテーブル
50a 保持面
52 回転駆動源
54 スピンドル(出力軸)
56 昇降ユニット(昇降機構)
58 エアシリンダ
60 支持脚
62 クランプ
64 液受け部材
64a 外壁
64b 底面
64c 内壁
64d 挿入口
66 カバー
68 排液口
70 排液路
72 保護膜材供給ユニット
72a アーム
72b 保護膜材供給ノズル
72c 回転駆動源
74 洗浄液供給ユニット
74a アーム
74b 洗浄液供給ノズル
74c 回転駆動源
76 流路
78 保護膜材供給源
80 流路
82 洗浄液供給源
84 保護膜材(保護膜液)
90 液体
92 供給管
94 識別部
96 シート(テープ)
98 読み取り部(読み取りユニット)
100 処理部
102 入力部
104 判定部
106 駆動部
110 記憶部
112 参照情報記憶部