(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172658
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】分散台帳システム、情報処理端末装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20221110BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20221110BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20221110BHJP
【FI】
G06F21/62 354
G06F21/64
H04N21/258
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078703
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】袴田 千草
(72)【発明者】
【氏名】山上 悠喜
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亜里砂
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164SA54S
5C164SC11P
5C164YA08
5C164YA10
(57)【要約】
【課題】個人の匿名性を確保しながら、コンテンツの視聴データを改ざんされない台帳に登録して管理することのできる分散台帳システム等を提供する。
【解決手段】分散台帳管理システムは、複数の管理ノード装置を備えて分散台帳を管理する。管理ノード装置は、台帳記録部と、台帳参照部とを備える。台帳記録部は、匿名IDと視聴データとを相互に関連付けて前記分散台帳に登録する。台帳参照部は、参照依頼に含まれる検索条件に基づいて前記分散台帳を検索することによって、前記参照視聴データおよび匿名IDを取得し、参照依頼元へ送信する。ただし、管理ノード装置は、分散台帳システムを構成する他の管理ノード装置との間で連携してコンセンサスアルゴリズムを実行することにより、分散台帳の情報を検証しながら前記分散台帳への登録または前記分散台帳の検索を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管理ノード装置を備えて分散台帳を管理する分散台帳システムであって、
前記管理ノード装置は、
外部の登録側情報処理端末装置から受信した、ユーザーに関する識別情報を匿名化して得られた匿名IDと、前記ユーザーに関する動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよび前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含む視聴データと、を相互に関連付けて前記分散台帳に登録する台帳記録部と、
外部の参照側情報処理端末装置から受信した参照依頼に含まれる検索条件に基づいて前記分散台帳を検索することによって、前記参照依頼に対応する前記視聴データおよび前記匿名IDを取得し、取得した前記視聴データおよび前記匿名IDを前記参照側情報処理端末装置に送信する台帳参照部と、
を備え、
前記分散台帳システムを構成する他の管理ノード装置との間で連携してコンセンサスアルゴリズムを実行することにより、前記分散台帳の情報を検証しながら前記分散台帳への登録または前記分散台帳の検索を行う、
分散台帳システム。
【請求項2】
前記分散台帳は、前記コンテンツIDごとのブロックチェーンとして構成されるデータを保持する、
請求項1に記載の分散台帳システム。
【請求項3】
ユーザーによって視聴される動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよび前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含む視聴データを取得するコンテンツ視聴データ取得部と、
前記ユーザーに関する識別情報を匿名化して得られる匿名IDを生成する匿名ID生成部と、
前記視聴データと前記匿名IDとを相互に関連付けて、請求項1に記載の分散台帳システムに登録するデータ登録部と、
を備える情報処理端末装置。
【請求項4】
前記匿名ID生成部は、前記ユーザーに関する識別情報に一方向性関数を適用することによって前記匿名IDを生成する、
請求項3に記載の情報処理端末装置。
【請求項5】
請求項1に記載の分散台帳システムに対して、所定の検索条件を含んだ参照依頼を送信するとともに、前記参照依頼に応じて前記分散台帳システムから送信される視聴データと匿名IDとを受信する情報処理端末装置であって、
前記視聴データは、ユーザーに関する動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよび前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含むものであり、
前記匿名IDは、ユーザーに関する識別情報を匿名化して得られたものである、
情報処理端末装置。
【請求項6】
前記検索条件は、前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを限定する条件である、
請求項5に記載の情報処理端末装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の分散台帳システムにおける前記管理ノード装置、としてコンピューターを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項3から6までのいずれか一項に記載の情報処理端末装置、としてコンピューターを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散台帳システム、情報処理端末装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツ(オンライン動画や放送番組)の視聴に関するデータを、事業者が匿名で収集し、コンテンツの視聴分析やマーケティング施策を実施する取り組みが行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、調査対象者から取得した番組の視聴データをもとに、番組を視聴している対象者の数や割合を適切に把握する(いわゆる視聴率測定の)ための番組分析装置および番組分析方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、協調フィルタリングと呼ばれる手法が開示されている。協調フィルタリングでは、あるユーザーのデータと類似した嗜好をもつ別のユーザーのデータをもとに、コンテンツ推薦を行うことが行われる。
【0005】
一方で、近年では、個人のパーソナルデータに対する帰属意識の高まりを背景に、各個人が主体となってパーソナルデータを管理していくモデルが提唱されている。このモデルでは、従来のようにサービス事業者がそのサービスにおける複数人の利用データを一括管理するのではなく、個人が主体的にそれぞれのパーソナルデータをパーソナルデータストア(PDS:Personal Data Store)等で管理・蓄積し、制御・活用する。非特許文献1や非特許文献2では、パーソナルデータストアについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-092664号公報
【特許文献2】米国特許第6266649号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】データ流通環境整備検討会,AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ 中間とりまとめ(案),https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/data_ryutsuseibi/detakatsuyo_wg_dai9/siryou1.pdf,平成29年(西暦2017年)2月.
【非特許文献2】橋田浩一,分散PDSと情報銀行 集めないビッグデータによる生活と産業の全体最適化,情報管理,2017年,vol. 60,no. 4,p. 251-260.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、個人ごとのパーソナルデータをPDSで管理するモデルにおいては、不特定多数のデータを一括して扱うことが困難であるという問題がある。
【0009】
PDS自体は、蓄積しているパーソナルデータの第三者への提供を制御する機能も持つことが想定されている。しかしながら、ロケーションも不明な不特定多数のPDSから、対象とする個人それぞれの許諾をとってパーソナルデータを収集することは困難である。つまり、各個人が主体となってパーソナルデータを管理するようなモデルにおいては、不特定多数のパーソナルデータを収集することが困難であった。したがって、そういった不特定多数のパーソナルデータを必要とするような、コンテンツごとの視聴率計測や協調フィルタリングによるコンテンツの推薦などといったサービスを実施することが、困難になるという問題があった。
【0010】
不特定多数のパーソナルデータを必要とするようなサービスを実現するために、パーソナルデータを従来通りに事業者側で収集することも考えられる。しかしながら、その場合には、データを収集した事業者がそのデータを第三者に開示する際に、事業者の内部での不正によるデータ改ざんを完全に否定することが技術的に困難である。一例としては、事業者が特定のコンテンツの視聴率を恣意的に変えるためにデータを改ざんするといったことが想定される。そのような状況において、事業者側で収集し管理するデータが、客観的な信頼に足るデータであることを第三者に対して証明することは困難であるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記のような事情に鑑みて為されたものであり、個人の匿名性を確保しながら、コンテンツの視聴データを改ざんされ得ない台帳に登録することを可能にし、コンテンツの視聴データを客観的で透明性の高いデータとして利活用できるようにする分散台帳システム、情報処理端末装置、およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による分散台帳システムは、複数の管理ノード装置を備えて分散台帳を管理する分散台帳システムであって、前記管理ノード装置は、外部の登録側情報処理端末装置から受信した、ユーザーに関する識別情報を匿名化して得られた匿名IDと、前記ユーザーに関する動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよび前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含む視聴データと、を相互に関連付けて前記分散台帳に登録する台帳記録部と、外部の参照側情報処理端末装置から受信した参照依頼に含まれる検索条件に基づいて前記分散台帳を検索することによって、前記参照依頼に対応する前記視聴データおよび前記匿名IDを取得し、取得した前記視聴データおよび前記匿名IDを前記参照側情報処理端末装置に送信する台帳参照部と、を備え、前記分散台帳システムを構成する他の管理ノード装置との間で連携してコンセンサスアルゴリズムを実行することにより、前記分散台帳の情報を検証しながら前記分散台帳への登録または前記分散台帳の検索を行う、ものである。
【0013】
[2]また、本発明の一態様は、上記の分散台帳システムにおいて、前記分散台帳は、前記コンテンツIDごとのブロックチェーンとして構成されるデータを保持するものである。
【0014】
[3]また、本発明の一態様による情報処理端末装置は、ユーザーによって視聴される動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよび前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含む視聴データを取得するコンテンツ視聴データ取得部と、前記ユーザーに関する識別情報を匿名化して得られる匿名IDを生成する匿名ID生成部と、 前記視聴データと前記匿名IDとを相互に関連付けて、上記[1]の分散台帳システムに登録するデータ登録部と、を備えるものである。
【0015】
[4]また、本発明の一態様は、上記の情報処理端末装置において、前記匿名ID生成部は、前記ユーザーに関する識別情報に一方向性関数を適用することによって前記匿名IDを生成する、ものである。
【0016】
[5]また、本発明の一態様による情報処理端末装置は、上記[1]に記載の分散台帳システムに対して、所定の検索条件を含んだ参照依頼を送信するとともに、前記参照依頼に応じて前記分散台帳システムから送信される視聴データと匿名IDとを受信する情報処理端末装置であって、前記視聴データは、ユーザーに関する動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよび前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含むものであり、前記匿名IDは、ユーザーに関する識別情報を匿名化して得られたものである、情報処理端末装置である。
【0017】
[6]また、本発明の一態様としては、上記の情報処理端末装置において、前記検索条件は、前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを限定する条件である。
【0018】
[7]また、本発明の一態様は、上記[1]または[2]の分散台帳システムにおける前記管理ノード装置、としてコンピューターを機能させるためのプログラムである。
【0019】
[8]また、本発明の一態様は、上記[3]から[6]までのいずれか一に記載の情報処理端末装置、としてコンピューターを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、視聴データを匿名状態のユーザーごとに把握可能な形で分散台帳に登録できる。また、分散台帳に登録された視聴データを所定の条件に基づいて検索して参照できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態による情報管理システムの概略機能構成を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態による情報処理端末装置(登録側)の概略機能構成を示すブロック図である。
【
図3】同実施形態による管理ノード装置の概略機能構成を示すブロック図である。
【
図4】同実施形態による分散台帳システムが保持するブロックチェーンのデータの構成例を示す概略図である。
【
図5】同実施形態における、匿名IDと関連付けられる視聴データを分散台帳システムに登録するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】同実施形態における分散台帳システムが管理する匿名視聴データを情報処理端末装置(参照側)から参照するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態における情報処理端末装置(登録側)や情報処理端末装置(参照側)や管理ノード装置といった各装置の内部構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の情報管理システムは、個人の視聴履歴データを匿名で管理するシステムである。この情報管理システムは、後述するように、ブロックチェーンの技術を用いて情報を分散管理する。
【0023】
図1は、本実施形態による情報管理システムの概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、情報管理システム1は、情報処理端末装置2(登録側)と、情報処理端末装置3(参照側)と、分散台帳システム6と、管理ノード装置7と、通信ネットワーク9とを含んで構成される。情報管理システム1を構成する各装置は、例えば、コンピューターとプログラムとで実現することが可能である。また、各装置は、記憶手段を有する。記憶手段は、例えば、プログラム上の変数や、プログラムの実行によりアロケーションされるメモリーである。また、必要に応じて、磁気ハードディスク装置やソリッドステートドライブ(SSD)といった不揮発性の記憶手段を用いるようにしてもよい。また、各装置の少なくとも一部の機能を、プログラムではなく専用の電子回路として実現してもよい。
【0024】
情報管理システム1を構成する情報処理端末装置2や、情報処理端末装置3や、管理ノード装置7の台数は任意である。多数の装置が通信ネットワークを介して相互に通信することで情報管理システム1は機能する。
【0025】
情報処理端末装置2は、コンテンツの視聴に関する視聴データを分散台帳システム6に登録する装置である。情報処理端末装置2は、例えば、PC(パーソナルコンピューター)やスマートフォンやタブレット端末と、その上で稼働するデータ登録プログラムとで実現される。
【0026】
情報処理端末装置3は、分散台帳システム6に登録されている視聴データを参照するための装置である。情報処理端末装置2は、例えば、PCやスマートフォンやタブレット端末と、その上で稼働するデータ参照プログラムとで実現される。
【0027】
情報処理端末装置3は、具体的には、分散台帳システム6に対して、所定の検索条件を含んだ参照依頼を送信する。また、情報処理端末装置3は、上記の参照依頼に応じて分散台帳システム6から送信される視聴データと匿名IDとを受信する。視聴データは、ユーザーに関する動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよび前記動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含むデータである。匿名IDは、ユーザーに関する識別情報を匿名化して得られたものである。
【0028】
なお、情報処理端末装置3が分散台帳システム6に対して参照依頼を送信する際の検索条件は、例えば、動画コンテンツを識別するコンテンツIDを限定する条件であってよい。検索条件は、例えば、1つのコンテンツIDを限定するものであってよい。あるいは、検索条件は、複数のコンテンツIDに限定するものであってよい。また、検索条件は、コンテンツIDに関連付けられる属性(ジャンル、放送事業者あるいは配信事業者、出演者、コンテンツのタイトル、あるいはその他の条件)を限定する条件であってもよい。
【0029】
情報処理端末装置2と情報処理端末装置3とを区別するために、情報処理端末装置2を「登録側」あるいは「登録側情報処理端末装置」と呼び、情報処理端末装置3を「参照側」あるいは「参照側情報処理端末装置」と呼ぶ場合がある。なお、1台の装置が、情報処理端末装置2(登録側)の機能と情報処理端末装置3(参照側)の機能とを兼ね備えるように構成してもよい。
【0030】
分散台帳システム6は、ブロックチェーンの技術を用いて視聴履歴情報の台帳を分散管理するシステムである。分散台帳システム6は、複数の管理ノード装置7で構成される。つまり、分散台帳システム6は、複数の管理ノード装置を備えて分散台帳を管理する分散台帳システムである。分散台帳システム6においては、履歴や証跡等の管理のためのデータを特定の装置が集中的に持つ構成とはしない。システムの管理情報も、複数の管理ノード装置7に分散して保持させるようにする。つまり、分散台帳システム6は、非集中型データモデルに基づいて構築される。
【0031】
管理ノード装置7は、分散台帳システム6を構成する装置である。複数(任意のノード数)の管理ノード装置7が分散台帳システム6を構成する。複数の管理ノード装置7は、相互にピア・トゥ・ピア(P2P、peer-to-peer)で通信によるやり取りを行うことによって、共通の台帳を管理する。本実施形態において、その台帳は、例えばブロックを鎖状に連結したブロックチェーンとして管理する。複数の管理ノード装置7は、P2Pのやりとりで所定のコンセンサスアルゴリズムを実行することにより、ブロックチェーンとして単一の台帳を維持・更新する。個々の管理ノード装置7は、コンセンサスアルゴリズムを実行することによって、分散台帳システム6における台帳のコピーを自装置内の記憶装置(磁気ディスク装置や半導体メモリ装置等)に保持する。
【0032】
ただし、管理ノード装置7は、ブロックチェーンに限らず、P2Pのやりとりでコンセンサスアルゴリズムを実行することによって改ざん困難性を担保することのできる分散台帳技術を用いることができる。
【0033】
つまり、管理ノード装置7は、分散台帳システム6を構成する他の管理ノード装置7との間で連携してコンセンサスアルゴリズムを実行することにより、分散台帳の情報を検証しながら、分散台帳への登録または分散台帳の検索を行うものである。また、前述の通り、管理ノード装置7は、分散台帳システム6を管理するための情報を、分散して保持する。
【0034】
なお、ブロックチェーンの技術や、コンセンサスアルゴリズムや、コンセンサスアルゴリズムを用いて情報の改ざんを困難にする技術など自体は、既存の技術である。
【0035】
通信ネットワーク9は、情報処理端末装置2と、情報処理端末装置3と、管理ノード装置7とを相互に通信可能にするネットワークである。通信ネットワーク9は、例えば、インターネットであってよい。通信ネットワーク9の詳細な構成の形態は任意である。
【0036】
ここで、本実施形態が利用するブロックチェーンの技術について説明する。ブロックチェーンは、分散型ネットワークを構成する複数の管理ノード装置が、暗号技術を援用しながら、情報を同期して記録・管理する技術である。ブロックチェーンでは、所定単位の情報を「ブロック」として、複数の管理ノード装置が相互に情報の検証を行いながら、検証された正しい記録をチェーンとして(鎖状に)蓄積する。ブロックチェーンでは、管理ノード装置間でのコンセンサスを取ることにより、多数決によって正しいデータが選ばれる。これにより、仮に一部の管理ノード装置がデータを改ざんしようとしても、ネットワーク全体としてはそのような改ざんを防ぐことができる。ブロックチェーンは、特定の管理者(集中的に管理を行う者あるいは装置)がなくてもデータの信頼性を保つことができる、非中央集権型のしくみである。各ブロックは鎖状に連結された一つ前のブロックのハッシュ関数を保持しており、これによってブロックチェーンのつながりをたどることができる。
【0037】
図2は、本実施形態における情報処理端末装置2(登録側)の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、情報処理端末装置2は、コンテンツ視聴手段提供部21と、コンテンツ視聴データ抽出部22と、匿名ID生成部23と、データ登録部24と、通信部25とを含んで構成される。各部の機能は次の通りである。なお、コンテンツ視聴手段提供部21は、情報処理端末装置2の外部に存在する機能であってもよい。
【0038】
コンテンツ視聴手段提供部21は、ユーザーが動画などのコンテンツを視聴するための手段(環境)を提供する。具体的には、コンテンツ視聴手段提供部21は、受信した放送信号を基に映像や音声を抽出して提示するデコーダーや、通信で取得した動画コンテンツを提示するウェブブラウザーや動画再生アプリケーションプログラム等を提供する。コンテンツ視聴手段提供部21が提供する手段を用いて、ユーザーは、動画等のコンテンツを視聴することができる。コンテンツ視聴手段提供部21は、ユーザーが視聴したコンテンツに関するデータ(視聴データと呼ぶ)を、コンテンツ視聴データ抽出部22に渡す。
【0039】
コンテンツ視聴手段提供部21が情報処理端末装置2の外部に存在する場合、コンテンツ視聴手段提供部21は、例えば、テレビ受像機や情報処理端末装置2とは別の端末装置(PCやスマートフォン等)の内部に存在する。
【0040】
コンテンツ視聴データ抽出部22は、コンテンツ視聴手段提供部21が提供する動画等のコンテンツの視聴環境で視聴された履歴等のデータ(視聴データ)を取得する。視聴データはコンテンツIDを含む。言い換えれば、コンテンツ視聴データ抽出部22は、ユーザーによって視聴される動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよびその動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含む視聴データを取得する。コンテンツ視聴データ抽出部22は、その視聴データを、データ登録部24に渡す。なお、コンテンツ視聴データ抽出部22を、「コンテンツ視聴データ取得部」とも呼ぶ。
【0041】
コンテンツ視聴データ抽出部22が抽出する(取得する)視聴データは、少なくとも、視聴されたコンテンツを特定することのできるコンテンツID(コンテンツ識別情報)を含む。コンテンツIDは、少なくとも、動画コンテンツのタイトルを識別することのできる情報である。また、動画コンテンツがシリーズもの(連続ドラマ等)である場合には、コンテンツIDは、シリーズ内の回等(回、エピソード、シーズン等として言及される場合がある。一例として、所定のタイトルを有するドラマの「第10回」あるいは「シーズン2のエピソード3」など。)をも識別することのできる情報であってよい。放送番組の場合には、コンテンツ識別情報は、例えば、放送サービス(放送チャンネル)を識別する情報(ネットワークID(networkID)とトランスポートストリームID(tsID)とサービスID(serviceID)との組合せ)と、イベントID(eventID)とを組合せた文字列として表現される。通信(インターネット等)で配信される動画コンテンツの場合には、コンテンツIDは、例えば、その動画コンテンツを取得するための所在情報(URL、uniform resource locator)の文字列として表現される。
【0042】
視聴データは、上記のコンテンツIDに加えて、視聴イベントの情報(視聴イベントデータ)を含んでもよい。視聴イベントの情報とは、ユーザーがそのコンテンツに接触した際のさらに詳細な情報である。視聴イベントデータは、動画コンテンツの再生に関して発生したイベントの種類の情報を含む。イベントの種類とは、例えば、動画の視聴開始(再生開始、選局等)、一時停止、再開(一時停止後の再開)、視聴終了等を含む。視聴イベントの情報は、例えば、コンテンツの視聴を開始した日時の情報や、コンテンツの視聴を終了した日時の情報を含んでいてもよい。視聴イベントの情報は、また、そのコンテンツの視聴継続時間の情報を含んでいてもよい。また、視聴データは、複数の視聴イベント(視聴開始、一時停止、再開、視聴終了等)情報をイベントのリストの形式で持つものであってもよい。
【0043】
匿名ID生成部23は、視聴データを分散台帳システム6に登録するための匿名IDを生成する。匿名ID生成部23は、生成した匿名IDをデータ登録部24に渡す。匿名IDは、情報処理端末装置2が持っている識別情報に良好なハッシュ関数を作用させたものであってもよい。つまり、匿名IDは、例えば、情報処理端末装置2が持っている装置固有のIDや、当該装置が持つ電話番号等や、ユーザーを識別するためのユーザーIDや、ユーザーの氏名や、ユーザーのメールアドレスなどといった識別情報や、その他の類似の識別情報や、これらの組合せ(例えば、連結したもの)をハッシュ化したものであってもよい。ただし、ハッシュ関数の一方向性を利用して、匿名ID自体からは、装置固有のIDや、電話番号等や、ユーザーIDや、ユーザーの氏名やメールアドレス等を算出することはできないようにする。適切な生成方法をとることにより、匿名ID生成部23が生成する匿名IDは、特定の情報処理端末装置2や特定のユーザーに対応付けられる、情報管理システム1内においてユニークなIDとなる。
【0044】
つまり、匿名ID生成部23は、ユーザーに関する識別情報(ユーザーID、情報処理端末装置2の識別情報、電話番号、メールアドレス、氏名、あるいはその他のユーザーを識別可能な情報)を匿名化して得られる匿名IDを生成する。匿名ID生成部23は、例えば、上記のユーザーに関する識別情報に一方向性関数を適用することによって匿名IDを生成する。ハッシュ関数は、一方向性関数の典型例である。
【0045】
データ登録部24は、コンテンツ視聴データ抽出部22から渡された視聴データを、匿名ID生成部23が生成した匿名IDとともに、分散台帳システム6に登録する。つまり、データ登録部24は、視聴データと匿名IDとを相互に関連付けて、分散台帳システム6に登録するものである。前述の通り、分散台帳システム6に登録する視聴データは、少なくともコンテンツを特定することのできるコンテンツIDを含むデータである。具体的には、データ登録部24は、通信部25を介した通信を行うことにより、ある管理ノード装置7に対して、視聴データの登録を依頼する。これにより、視聴データは、分散台帳システム6が管理するブロックチェーンに登録される。
【0046】
通信部25は、通信ネットワーク9を介して外部の装置との通信を行う。データ登録部24が分散台帳システム6にデータを登録する際には、通信部25は、通信ネットワーク9を介して、少なくとも1つの管理ノード装置7と通信する。
【0047】
図3は、本実施形態による管理ノード装置7の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、管理ノード装置7は、通信部71と、登録依頼受付部72と、台帳情報生成部73と、台帳記録部74と、台帳記憶部75と、台帳参照部77とを含んで構成される。各部の機能は次の通りである。
【0048】
通信部71は、通信ネットワーク9を介して、他の装置との間で通信を行う。通信部71の機能により、管理ノード装置7は、他の装置との間でデータの送受信を行える。具体的には、通信部71は、他の管理ノード装置7や情報処理端末装置2あるいは3と、通信を行う。
【0049】
登録依頼受付部72は、情報処理端末装置2(登録側)から、台帳への登録依頼を受け付ける。具体的には、登録依頼受付部72は、情報処理端末装置2(登録側)から、視聴データの分散台帳システム6への登録の依頼を受け付ける。視聴データは、前述の通り、少なくともコンテンツIDを含むデータである。登録依頼受付部72は、視聴データの台帳への登録を受け付ける際に、匿名IDを併せて受け取る。
【0050】
台帳情報生成部73は、登録依頼受付部72が受け付けたデータを基に、台帳に追加登録するための台帳情報を生成する。本実施形態では一例として、台帳は、コンテンツIDごとのブロックチェーンとして管理されている。この場合には、それぞれのチェーンは、コンテンツIDによって識別される。
【0051】
分散台帳システム6におけるブロックチェーンがコンテンツIDごとに管理される場合には、台帳情報生成部73は、登録依頼受付部72が受け付けたデータを基に、該当するコンテンツIDのブロックチェーンに登録するための台帳情報を生成する。具体的には、台帳情報生成部73は、例えば、情報を登録するブロックチェーンの1つ前のブロックに基づいたハッシュ値と、登録依頼受付部72が受け付けた情報(視聴データ)と、台帳情報生成時のタイムスタンプのデータとを含む台帳情報を生成する。台帳情報生成部73が生成する台帳情報は、さらに、管理ノード装置7のデジタル署名やノンスなどの諸情報を含んでいてよい。
【0052】
台帳情報生成部73は、分散台帳システム6が管理する台帳の使用にしたがった台帳情報を生成する。台帳情報の構成は、用いる分散台帳技術の仕様にしたがって決定されるものである。分散台帳システム6が管理する台帳の信頼性は、利用する分散台帳技術の改ざん困難性によって担保される。
【0053】
台帳記録部74は、台帳情報生成部73が生成した台帳情報(視聴データを含むもの)を、分散台帳に追加記録する。なお、台帳記録部74は、追加しようとする台帳情報に関して、複数の管理ノード装置7との間で合意形成を行う。ここで、台帳記録部74は、合意形成のプロセスのために、例えばPoW(proof of work、プルーフ・オブ・ワーク)などの既存のコンセンサスアルゴリズムを用いる。PoW自体は、既存の技術である。台帳記録部74は、合意形成された台帳情報を、台帳記憶部75に書き込む。
【0054】
つまり、台帳記録部74は、外部の情報処理端末装置2(登録側情報処理端末装置)から受信した匿名IDと視聴データとを相互に関連付けて前記分散台帳に登録する。ここで、匿名IDは、ユーザーに関する識別情報を匿名化して得られた識別情報である。また、視聴データは、ユーザーに関する動画コンテンツの視聴イベントを表す視聴イベントデータおよびその動画コンテンツを識別するコンテンツIDを含むデータである。
【0055】
台帳記憶部75は、台帳記録部74が書き込んだ台帳情報を保持するものである。台帳記憶部75は、例えば磁気ハードディスク装置や半導体メモリー装置などといった情報記憶手段を持つものである。
【0056】
台帳記憶部75は、一例として、コンテンツIDごとに個別のブロックチェーンのデータとして、台帳の情報を保持し、管理する。なお、ブロックチェーンのデータの構成例については、後で
図4を参照しながら説明する。
【0057】
台帳参照部77は、情報処理端末装置3(参照側)からの依頼に基づいて、台帳を参照する。具体的には、台帳参照部77は、コンテンツIDをキーとして当該コンテンツについてのブロックチェーンを参照し、所定の台帳情報を依頼元の情報処理端末装置3に送信する。台帳参照部77は、通信部71を介して、情報処理端末装置3との間でのデータのやりとりを行う。なお、台帳参照部77は、台帳情報を参照する際に、台帳情報の前後関係を参照することによって、台帳の真実性を判定する。つまり、情報処理端末装置3が参照する台帳情報は、真実性が担保された情報である。
【0058】
つまり、台帳参照部77は、外部の情報処理端末装置3(参照側情報処理端末装置)から受信した参照依頼に含まれる検索条件に基づいて分散台帳を検索する。また、台帳参照部77は、その検索の結果として、前記参照依頼に対応する視聴データおよび匿名IDを取得し、取得した視聴データおよび匿名IDを依頼元の情報処理端末装置3に送信するものである。
【0059】
図4は、分散台帳システム6が保持するブロックチェーンの構成例を示す概略図である。同図に示すブロックチェーンは、特定のコンテンツID(番組A)に対応するものである。図示するように、このブロックチェーンは、起源ブロック101→ブロック102→ブロック103→・・・(以下同様)と、鎖状に関連付けられたデータである。各ブロックの内部のデータ構成は、次の通りである。
【0060】
起源ブロック101は、当該ブロックチェーンの起点となるブロックである。起源ブロック101は、コンテンツIDと、タイムスタンプと、ノンス(nonce)とを少なくとも含む。コンテンツIDは、前述した通りの識別情報である。図示する例では、コンテンツIDは、番組Aを表すものである。タイムスタンプは、当該ブロック(起源ブロック101)が生成された日時を表すタイムスタンプ情報である。タイムスタンプは、例えば、管理ノード装置7が持つシステムクロックの値に基づいて設定される。ノンスは、当該ブロック生成時の一度限りの使い捨てのデータとして用いられる値(例えば乱数値または擬似乱数値等)である。
【0061】
ブロック102は、鎖状のデータにおいて上記の起源ブロック101に後続するブロックである。ブロック102は、前ブロックのハッシュ値と、匿名IDと、視聴イベントと、タイムスタンプと、ノンスとを含む。ブロック102にとっての「前ブロック」とは、起源ブロック101である。つまり、前ブロックのハッシュ値は、起源ブロック101のデータにハッシュ関数を作用させた値である。匿名IDは、視聴データの登録時に情報処理端末装置2(登録側)が生成したIDである。前述の通り、匿名IDは、情報処理端末装置2あるいはそのユーザーを識別することのできるデータ(ただし、視聴ユーザーの氏名や電話番号やアドレスなどといった直接の個人情報は特定されない)である。視聴イベントは、当該匿名ID(のユーザーあるいは装置)における、単数または複数の視聴イベントを表すデータである。個々の視聴イベントは、前述の通り、動画コンテンツの視聴開始や視聴終了などといったイベント種別とその日時の情報とを含む情報である。タイムスタンプは、当該ブロック(ブロック102自身)が生成された日時を表すタイムスタンプ情報である。ノンスは、起源ブロック101において説明した通りのデータである。
【0062】
ブロック103は、鎖状のデータにおいて上記のブロック102に後続するブロックである。ブロック103のデータの構成(形式)自体は、ブロック102について説明したものと同様である。
【0063】
ブロック103より後についても、任意の数のブロックが鎖状につながることができる。いずれのブロックも、前のブロックのハッシュ値を含むものである。つまり、ブロックチェーンの前後関係が検証可能となっている。
【0064】
図4においては、例として特定のコンテンツID(番組AのコンテンツID)についてのブロックチェーンを説明した。分散台帳システム6は、他のコンテンツIDについても、同様の構造のデータとして、視聴データの台帳を保持し、管理する。
【0065】
次に、情報管理システム1における処理の手順について説明する。
【0066】
図5は、匿名IDと関連付けられる視聴データを分散台帳システムに登録するための処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0067】
ステップS11において、情報処理端末装置2(登録側)のコンテンツ視聴データ抽出部22は、視聴データを抽出する。この視聴データは、コンテンツ視聴手段提供部21が提供する環境を用いてユーザーが視聴した動画コンテンツ等についてのイベントの情報を持つデータである。この視聴データはコンテンツIDを含む。このコンテンツIDは、視聴データが対象としているコンテンツを一意に特定することのできる情報である。コンテンツ視聴データ抽出部22は、具体的には、テレビ受像機等によって受信される放送番組を特定する情報や、インターネット配信の動画コンテンツを特定する情報(URL等)を抽出する。
【0068】
ステップS12において、情報処理端末装置2(登録側)の匿名ID生成部23は、匿名IDを生成する。この匿名IDは、ユーザーに関するID等と関連付くものである。つまり、匿名IDは、例えば所定期間に渡って一貫して、視聴データに対応するユーザー等をユニークに識別することのできる情報である。ただし、匿名ID生成時の計算の一方向性により、匿名ID自体からはユーザーの氏名やアドレス等を特定することが不可能(または著しく困難)である。
【0069】
ステップS13において、情報処理端末装置2(登録側)のデータ登録部24は、ステップS11で抽出された視聴データと、ステップS12で生成された匿名IDとを、分散台帳システム6に登録するように、1つの管理ノード装置7に依頼する。このとき、情報処理端末装置2(登録側)の通信部25と、管理ノード装置7の通信部71とが、互いにデータをやり取りする。
【0070】
ステップS14において、分散台帳システム6を構成する管理ノード装置7は、ステップS13における依頼を受けて、視聴データおよび匿名IDを台帳に追加登録する。このとき、台帳は、コンテンツIDごとのブロックチェーンによって情報を保持・管理している。管理ノード装置7は、依頼された視聴データに含まれるコンテンツIDを参照して、当該コンテンツIDによって特定されるブロックチェーンに、視聴データおよび匿名IDを追加登録する。なお、この台帳情報(視聴データおよび匿名ID)のブロックを追加登録するにあたって、管理ノード装置7は、他の管理ノード装置7と相互に通信することによってコンセンサスを得てから、上記の台帳情報のブロックチェーンへの追加を行う。
【0071】
以上説明した手順によって、情報処理端末装置2(登録側)において発生した視聴データが、分散台帳システム6に追加登録される。
【0072】
図6は、分散台帳システムが管理する匿名視聴データを情報処理端末装置(参照側)から参照するための処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理手順においては、情報処理端末装置(参照側)は、コンテンツIDを指定して分散台帳システムを検索し、当該コンテンツIDについて分散台帳システムが保持する台帳情報を取得する。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0073】
ステップS21において、情報処理端末装置3(参照側)は、視聴データの参照の対象とするコンテンツIDを検索キーとして指定し、分散台帳システム6を構成する管理ノード装置7に、台帳の参照を依頼する。管理ノード装置7の台帳参照部77は、この参照の依頼を受け付ける。なお、情報処理端末装置3(参照側)と管理ノード装置7との間の通信は、管理ノード装置7の通信部71を介して行われる。
【0074】
ステップS22において、台帳参照部77は、ステップS21での依頼において指定されたコンテンツIDについて、台帳を参照する。具体的には、台帳参照部77は、当該コンテンツIDのブロックチェーンのデータを、起源ブロック(
図4を参照)から順にたどる。台帳参照部77は、当該コンテンツIDに属するすべてのブロックのデータを抽出する。即ち、台帳参照部77は、当該コンテンツIDに関して登録されている、匿名IDと視聴イベントとの対応関係を表すデータ(視聴データ)のそれぞれを取得する。台帳参照部77は、取得した視聴データを、依頼元の情報処理端末装置3(参照側)に送信する。
【0075】
なお、台帳参照部77は、上記の視聴データの取得を行う際に、当該コンテンツIDについてのブロックチェーンの、隣接するブロック間の関係(前後関係におけるハッシュ値等)を検証する。これにより、台帳参照部77は、信頼のおける視聴データを取得して、情報処理端末装置3(参照側)に渡すことができる。
【0076】
以上説明した手順によって、所定の検索条件によって、分散台帳に登録されている視聴データを参照することができる。
【0077】
図7は、上記実施形態における情報処理端末装置2や情報処理端末装置3や管理ノード装置7といった各装置の内部構成の例を示すブロック図である。これらの装置の各々は、コンピューターを用いて実現され得る。図示するように、そのコンピューターは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピューター自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピューター内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。
【0078】
上述した実施形態における、情報処理端末装置2や情報処理端末装置3や管理ノード装置7といった各装置の少なくとも一部の機能をコンピューターで実現することができる。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。つまり、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、非一過性の(non-transitory)コンピューター読み取り可能な記録媒体であってよい。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0079】
以上、複数の実施形態を説明したが、本発明はさらに次のような変形例でも実施することが可能である。
【0080】
上記実施形態では、分散台帳は、コンテンツIDごとのブロックチェーンとして情報を保持していた。分散台帳の形態は、これに限定されない。例えば、分散台帳は、他の単位で(例えば匿名IDごと)のブロックチェーンとして情報(視聴データ)を保持するようにしてもよい。
【0081】
上記実施形態では、分散台帳は、コンテンツIDを限定するような検索条件によって台帳の情報を検索できるようにしていた。検索条件は、このような条件には限定されない。例えば、分散台帳が、他の条件(例えば、匿名IDを限定するような検索条件)によって台帳の情報を検索できるようにしてもよい。この場合には、情報処理端末装置(参照側)は、適宜、分散台帳が受け入れ可能な検索条件を含む参照依頼を分散台帳管理システムに対して送信できる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態およびその変形例によれば、不特定多数のユーザーに関する視聴データを、匿名IDに関連付ける形で、分散台帳で管理することが可能となる。これにより、コンテンツの視聴に関する客観的データを、特定の事業者だけではなく、すべての事業者らが共通に参照できるようになる。つまり、本実施形態によれば、透明性の高い視聴データを、事業者横断で利用できるようになる。これにより、事業者横断で検証可能な客観的なデータとして、例えばある特定のコンテンツの視聴率のデータなどを利用できるようになる。
【0083】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、例えば、コンテンツ提供事業(放送あるいはインターネット配信等)に関連する情報の管理のために利用することができる。但し、本発明の利用範囲はここに例示したものには限られない。
【符号の説明】
【0085】
1 情報管理システム
2 情報処理端末装置(登録側情報処理端末装置)
3 情報処理端末装置(参照側情報処理端末装置)
6 分散台帳システム
7 管理ノード装置
9 通信ネットワーク
21 コンテンツ視聴手段提供部
22 コンテンツ視聴データ抽出部(コンテンツ視聴データ取得部)
23 匿名ID生成部
24 データ登録部
25 通信部
71 通信部
72 登録依頼受付部
73 台帳情報生成部
74 台帳記録部
75 台帳記憶部
77 台帳参照部
901 中央処理装置
902 RAM
903 入出力ポート
904,905 入出力デバイス
906 バス