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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172932
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】粉末食材及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20221110BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20221110BHJP
【FI】
A23L35/00
A23L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079288
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】514057743
【氏名又は名称】株式会社Mizkan Holdings
(71)【出願人】
【識別番号】317006214
【氏名又は名称】株式会社Mizkan
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 里麻
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 菜衣
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 了奨
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE01
4B035LG01
4B035LG17
4B035LG19
4B035LG32
4B035LK01
4B035LK02
4B035LP01
4B035LP24
4B036LE01
4B036LF16
4B036LH04
4B036LH09
4B036LH10
4B036LH29
4B036LH32
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP09
(57)【要約】
【課題】大きな乾燥具材を含みながら、この乾燥具材を食品に対してより確実に添着させることができる粉末食材及びその使用方法を提供する。
【解決手段】本粉末食材は、食品へ添着される乾燥具材を含んだ粉末食材であって、前記乾燥具材は、最大長さ3mm以上であり、添着成分として、デキストロース当量2~25の澱粉分解物を含むことを特徴とする。本粉末食材の使用方法は、前記粉末食材を、加熱処理した食品に対して添加する添加工程を備えることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品へ添着される乾燥具材を含んだ粉末食材であって、
前記乾燥具材は、最大長さ3mm以上であり、
添着成分として、デキストロース当量2~25の澱粉分解物を含むことを特徴とする粉末食材。
【請求項2】
前記乾燥具材は、かさ比重0.1~0.8g/cmである請求項1に記載の粉末食材。
【請求項3】
前記乾燥具材は、乾燥野菜である請求項1又は2に記載の粉末食材。
【請求項4】
前記乾燥野菜は、タマネギ、ニンニク及びネギからなる群より選ばれる請求項3に記載の粉末食材。
【請求項5】
本粉末食材全体100質量%に対して、前記乾燥具材を5~50質量%含む請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の粉末食材。
【請求項6】
前記乾燥具材全体100質量部に対して、前記添着成分を1.5~13質量部含む請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の粉末食材。
【請求項7】
前記食品は、加熱処理した食品である請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の粉末食材。
【請求項8】
前記加熱処理した食品は、冷凍食品の解凍物である請求項7に記載の粉末食材。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれかに記載の粉末食材を、加熱処理した食品に対して添加する添加工程を備えることを特徴とする粉末食材の使用方法。
【請求項10】
前記加熱処理した食品は、冷凍食品の解凍物である請求項9に記載の粉末食材の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末食材及びその使用方法に関する。更に詳しくは、食品へ添着される大きな乾燥具材を含んだ粉末食材及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品には、食材をそのまま喫食するものもあるが、食味や食感等を変化させる副食材を主食材に伴って喫食する食品も多くある。このような副食材を用いる食品では、上記作用から、これら両方を一括して口へ運べることが望ましく、主食材と副食材との分離を防ぐ技術が必要となる。
例えば、昨今では、揚げたてのフライドポテトを収容した紙袋に、粉末調味料を投入し、紙袋を振ることによって、粉末調味料をフライドポテトへ添着し、フライドポテトのみでは得られない風味を得る喫食方法が利用されている。
また、副食材同士の分離抑制技術として、粒度の異なる乾燥具材と調味粉末との分離を抑制する技術が下記特許文献1~4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-012148号公報
【特許文献2】特開2017-012149号公報
【特許文献3】特開2017-012150号公報
【特許文献4】特開2017-012151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のフライドポテトの喫食方法では、フライドポテトが主食材となり、粉末調味料等を副食材となり、副食材を主食材へ添着させて喫食することとなる。しかしながら、この方法では、副食材は、揚げたてのフライドポテト表面に存在する油分を介して添着することになり、大きな具材等を添着させることは難しい。即ち、副食材として利用できるのは、粉末調味料のような極小さな粒状物等に限られてしまい、トッピングとして食感に影響を与えるような大きな具材を配合できないという課題がある。
【0005】
また、上記特許文献1~4によれば、粒度が異なる複数種類の食材から構成される副食材において、粒度の近いもの同士が凝集して食味や食感が不均一化することを抑制できる。このため、より均一な食味や食感を有する副食材を形成できる。そして、この技術は、副食材を構成する食材として、特に食感に顕著な影響を与え得る大きな具材を利用できるようにした点で優れている。一方で、上記特許文献に例示された主食材は、例えば、特許文献1でサラダ、特許文献2でそうめん、特許文献3で野菜炒め物、特許文献4でお茶漬け、うどん、煮麺、コーンスープ、スープパスタ等であり、いずれも豊富な水分が共存され、副食材同士のまとまりが得られれば、主食材への添着は意図せず得られるものであるといえる。
【0006】
しかしながら、例えば、前述のフライドポテトを主食材として選択し、特許文献1~4の技術によるトッピング材を副食材として選択し、両者を混合した場合は、副食材が主食材に対して添着され難いことが分かってきた。より具体的には、昨今、冷凍食品として販売されるフライドポテトや、茹で枝豆等の茹で野菜があり、これらは電子レンジ加熱により手軽に可食状態が得られるが、食味の変化や、食感に乏しいものとなりがちである。そこで、このような食材を主食材とし、食味や食感等を変化させ得る副食材を配し、主食材に対してうまく添着させることができれば、主食材のみでは得られない新たな食味や食感等を有する食品へと変化させることができ好ましい。しかしながら、特に食感を変化させ得る食材は、大きな具材であることが多く、自らの添着性に乏しい主食材に対して十分な添着を得て、それを維持しながら口まで運び得る状況を形成することが難しいという課題がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、大きな乾燥具材を含みながら、この乾燥具材を食品に対してより確実に添着させることができる粉末食材及びその使用方法を提供することを目的とする。
【0008】
上記特許文献1~4の技術を開示した本発明者らは、上述の通り、食品に対して食味の変化や食感の変化を与える食材の開発に取り組んだが、大きな乾燥具材を食品に添着しようとすると、相反事項を生じ、その実現が容易でないことが分かった。具体的には、添着させる食品(添着用食品)に添着性(べたつき等)を付与することにより、添着される食品(被添着食品)の性状に関わらず添着の確度を向上させることができた。
しかしながら、単純にべたつきを付与すると、乾燥具材を添着した食品を摘まむと、手やピックアップ用具(箸等)にべたつきが移行し、不快感を生じたり、共に喫食される他の食品に風味や食感が移行する場合が認められた。また、べたつきを付与する成分に起因してざらつきのある食感を生んだり、食味変化が埋没することが認められた。一方で、例えば、分子量の小さな成分を利用してべたつき付与を行うと甘味を生じたり、食味変化が単調化されてしまうことが認められた。このように被添着食品への依存を低減しつつ、添着性を向上させようとすると、多くの不具合を生じることが分かり、これらの不具合を抑制しつつ、添着確度を向上させ得る成分を検討した結果、乾燥具材と共に、所定のデキストロース当量(以下、単に「DE値」ともいう。)を有する澱粉分解物を用いることで、不具合を抑制しつつ、添着確度を顕著に向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、以下に示される。
[1]本発明の粉末食材は、食品へ添着される乾燥具材を含んだ粉末食材であって、
前記乾燥具材は、最大長さ3mm以上であり、
添着成分として、デキストロース当量2~25の澱粉分解物を含むことを特徴とする。
[2]本発明の粉末食材では、前記乾燥具材のかさ比重を0.1~0.8g/cmにすることができる。
[3]本発明の粉末食材では、前記乾燥具材を乾燥野菜にすることができる。
[4]本発明の粉末食材では、前記乾燥野菜をタマネギ、ニンニク及びネギからなる群より選ぶことができる。
[5]本発明の粉末食材では、本粉末食材全体100質量%に対して、前記乾燥具材を5~50質量%含むものとすることができる。
[6]本発明の粉末食材では、前記乾燥具材全体100質量部に対して、前記添着成分を1.5~13質量部含むものとすることができる。
[7]本発明の粉末食材では、前記食品を加熱処理した食品とすることができる。
[8]本発明の粉末食材では、前記加熱処理した食品を冷凍食品の解凍物とすることができる。
[9]本発明の粉末食材の使用方法では、粉末食材を、加熱処理した食品に対して添加する添加工程を備えることを特徴とする。
[10]本発明の粉末食材の使用方法では、前記加熱処理した食品を冷凍食品の解凍物とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の粉末食材によれば、食品(被添着食品)に対して大きな乾燥具材をより確実に添着できる。そのため、本粉末食材の利用により、食品(被添着食品)を、それのみでは得られない新たな食味や食感を有する食品(添着後食品)へ変化させることができる。
本発明の粉末食材の使用方法によれば、加熱処理した食品(被添着食品)に対して大きな乾燥具材をより確実に添着できる。そのため、食品(被添着食品)を、それのみでは得られない新たな食味や食感を有する食品(添着後食品)へと変化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について具体的な実施形態に基づき説明する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態はあくまでも説明のために便宜的に示す例示に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらに限定されるものではなく、目的、用途に応じて本発明を種々変更することができる。また、本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
また、本明細書では「XX~YY」の記載は「XX以上YY以下」を意味するものとする。
【0012】
[1]粉末食材
本発明の粉末食材は、食品へ添着される乾燥具材を含んだ粉末食材であって、
乾燥具材は、最大長さ3mm以上であり、
添着成分として、デキストロース当量2~25の澱粉分解物を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の粉末食材は、添着対象である食品(被添着食品)を含まず、被添着食品とは別個に保存される食品(添着用食品)である。また、別個に保存されても、適時に本粉末食材を被添着食品に振り掛けて利用できる。即ち、被添着食品側に依存して添着されるのではなく、被添着食品への依存を抑制して高い添着性を得ることができる。そして、本粉末食材の添加により、被添着食品に対して優れた添着状態を形成できる。即ち、本粉末食材に含まれる大きな乾燥具材を、被添着食品に対して十分に添着し、その状態を維持して口まで運ぶことができる。
一方で、粉末食材の添加によってべたつき感は抑制され、摘まんだ際に手やピックアップ用具へべたつき移行を抑制できる。そのため、種々の食品と共に喫食される場合に、風味や食感が他の食品へ移行することを抑制できる。更に、本粉末食材によって付与される食味変化の埋没や、ざらつき感のある食感を抑制できる一方、甘味が強くなることも抑制し、本粉末食材によって付与される食味変化が単調になることを防止できる。また、とりわけ、所定のDEを有する添着成分を用いた場合には、上記効果に加えて、食品が塊状化することを抑制し、粉末食材が添着された食品を食べ易いサイズで適宜ピックアップできる状態を維持できる。即ち、例えば、片手で摘まみ易い状態を維持できるといえる。更に、べたつき感が抑制されることにより、咀嚼時にチューイング感を生じることを抑制できる。
【0014】
(1)乾燥具材
乾燥具材は、乾燥状態にある具材である。乾燥状態にある具材であるため、口内で噛み砕くことによる食感を与えることができ、被添着食品に対して、特に食感において顕著な影響を与えることができる。
乾燥具材を構成する食材は限定されず、どのような食材であってもよく、野菜類、海藻類、キノコ類、畜肉類、魚介類、果実類等が挙げられる。即ち、乾燥野菜類、乾燥海藻類、乾燥キノコ類、乾燥畜肉類、乾燥魚介類、乾燥果実類等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかも野菜類、海藻類及び/又はキノコ類が好ましく、更には、野菜類がより好ましい。
【0015】
上述のうち、野菜類としては、根菜類、葉茎菜類、果菜類等が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。本発明では、これらのなかでも、根菜類及び/又は葉茎菜類を好適に利用できる。
【0016】
根菜類としては、これらに限定されるものではないが、タマネギ、ニンニク、ニンジン、ゴボウ、ショウガ、ラッキョウ、カブ、ダイコン、ハツカダイコン、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤムイモ、ヤマイモなどが例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
葉茎菜類としては、これらに限定されるものではないが、ネギ、ニラ、ミョウガ、アスパラ、ホウレンソウ、コールラビ、キャベツ、ケール、カリフラワー、ブロッコリー、ハクサイ、チンゲンサイ、モロヘイヤ、コマツナ、アブラナ、ミズナ、レタス、などが例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
果菜類としては、これらに限定されるものではないが、トマト、キュウリ、カボチャ、ピーマン、パプリカ、枝豆、インゲンマメ、ソラマメ、エンドウマメ、大豆、黒豆、小豆、グリーンピース、ナツメグ、トウモロコシ等が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0017】
上述のなかでも、香味の強い野菜が好ましく、とりわけ、ヒガンバナ科ネギ属に属する野菜を好適に用いることができる。具体的には、タマネギ、ニンニク、ネギ等が挙げられる。更に具体的な品種は限定されない。例えば、タマネギとしては、黄タマネギ、白タマネギ、新タマネギ、赤タマネギ、葉タマネギ、ペコロス、エシャロット等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、ニンニクとしては、白ニンニク、黒ニンニク、寒地型ニンニク、暖地型ニンニク等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、ネギとしては、白ネギ、青ネギ、九条ネギ、下仁田ネギ、アサツキ、ワケギ、リーキ、赤ネギ、芽ネギ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0018】
更に、上述した野菜類には含まれないが、香味が強い点で共通する植物由来の乾燥具材として、香辛料及び乾燥ハーブが挙げられる。このうち香辛料としては、トウガラシ、サンショウ(葉サンショウ、実サンショウ)、ショウガ、マスタード、シソ、シソの実、タデ、タデの実、フェンネルシード、クミンシード、コリアンダーシード、ディルシード、フェネグリークシード等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、乾燥ハーブとしては、ローズマリー、ローリエ、パセリ、タイム、バジル、コリアンダー、パクチー、タラゴン、フェンネル、ディル、チャイブ、オレガノ、カモミール、ルッコラ、セルバチコ、レモンバーム、レモンバーベナ、レモングラス、マロウ、ラベンダー等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0019】
また、海藻類としては、褐藻類、紅藻類及び緑藻類等が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。具体的には、これらに限定されるものではないが、褐藻類としては、ワカメ、コンブ、モズク、ツルモ、スジメ、カジメ、クロメ、アラメなどが例示され、紅藻系のノリ等が例示され、緑藻系のノリなどが例示される。
【0020】
更に、キノコ類(食用キノコ類)は、栽培品種が好ましく、これらに限定されるものではないが、シイタケ、エノキタケ、マイタケ、ブナシメジ、ヒラタケ、エリンギ、ナメコ、マッシュルーム、ブラウンマッシュルーム、ポルチーニ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0021】
また、畜肉類としては、これらに限定されるものではないが、牛、豚、馬、山羊及び羊などの獣肉類、鶏、アヒル、七面鳥、ホロホロチョウ、ガチョウ、ダチョウ、ウズラ及びこれらの卵などの鶏肉類、鶏卵類などや、これらの加工品(ベーコン、干肉、加熱ミンチ、燻製物等)が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0022】
更に、魚介類は、魚類、貝類、甲殻類、頭足類を含む。これら魚類、貝類、甲殻類、頭足類は、各々、海水生、淡水生、汽水生のいずれであってもよい。
上記のうち、魚類は限定されず、食用可能な魚が含まれ、例えば、青魚類(アゴ、アジ、イワシ、サンマ、サバ等)、タイ類、サケ類、タラ類、ホッケ類、カツオ類、マグロ類、ハゼ類などや、これらの加工品(干物、加熱ミンチ、燻製物等)が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、貝類としては、これらに限定されるものではないが、アサリ、ハマグリ、シジミ、ホタテ、カキ、アワビ、サザエなどや、これらの加工品(干物、加熱ミンチ、燻製物等)が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
頭足類としては、これらに限定されるものではないが、イカ、タコなどや、これらの加工品(干物、加熱ミンチ、燻製物等)が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
甲殻類としては、これらに限定されるものではないが、エビ、カニ、オキアミなどや、これらの加工品(干物、加熱ミンチ、燻製物等)が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0023】
乾燥具材の乾燥度合が限定されないが、水分率(質量基準)は、例えば、15%以下とされていることが好ましい。水分率が小さいことにより、被添着食品に対して食味だけでなく、食感において顕著な影響を与えることができるとともに、共存される添着成分がべたつきを生じることを抑制できる。この水分率は、更に、12%以下がより好ましく、8%以下が更に好ましい。水分率が小さい程、被添着食品に対して、食感において特に顕著な影響を与えることができる。この水分率の下限は限定されないが、通常、0.1%以上であり、更に1%以上とすることができる。
尚、この水分率(水分含有率)は、常圧乾燥法、減圧乾燥法又は蒸留法により測定される。常圧乾燥法では、強制循環通風式の乾燥器を用いて、対流、伝導、輻射によって加熱を行い、一定温度で一定時間乾燥した際の試料の質量減量分を水分として分析する。
【0024】
乾燥具材の概形は限定されず、例えば、長尺形状、ブロック形状、扁平形状、リング形状等挙げられる。このうち、長尺形状としては、柱形状(直線的な柱形状、歪曲された柱形状等を包含)、板形状(平板的な板形状、歪曲された板形状等を包含)、繊維形状(直線的な繊維形状、歪曲された繊維形状等を包含)、針形状などが挙げられる。即ち、例えば、タマネギ、ニンニク及びネギ等のスライスやミンス等として長尺形状の乾燥具材とすることができる。上述のうちキノコ類は、長尺形状のなかでも、例えば、板形状の乾燥具材とすることができる。
更に、ブロック形状としては、立方体形状(略正確な立方体形状、歪曲された立方体形状等を包含)、直方体形状(略正確な直方体形状、歪曲された直方体形状等を包含)、不定形塊状などが挙げられる。即ち、例えば、キノコ類はブロック状に裁断することで、ブロック形状の乾燥具材とすることができる。
【0025】
また、扁平形状としては、鱗片形状(平板的な鱗片状、歪曲された鱗片状等を包含)などが挙げられる。即ち、例えば、タマネギ、ニンニク及びネギ等の他、キノコ類等も、スライス品は扁平形状の乾燥具材とすることができる。
更に、リング形状としては、円リング形状、歪曲された円リング形状、楕円リング形状、歪曲された楕円リング形状などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。即ち、例えば、ネギ等のスライス品はリング形状の乾燥具材とすることができる。
【0026】
上述のなかでも、長尺形状及び/又はリング形状を用いる場合に本発明の効果をより好適に享受することができる。
そして、前述の通り、被添着食品に対して食味だけでなく、食感において顕著な影響を与えることができるという効果を十分に得るという観点から、乾燥具材の最大長さは3mm以上と大きくされる。この最大長さは、3.5mm以上であってもよく、4.0mm以上であってもよく、4.5mm以上であってもよく、5.0mm以上であってもよく、5.5mm以上であってもよい。この最大長さが大きい程、食感に対して与える影響を大きくできる傾向にある。また、その食感を維持できる時間を長くできる傾向にある。一方で、通常、最大長さ40mm以下の乾燥具材まで十分な添着を得ることができるが、最大長さは30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。乾燥具材は大きくてもかまわないが、大き過ぎると、被添着食品に対する食味や食感の変化が過剰となってしまう場合がある。
【0027】
尚、乾燥具材の最大長さは、本粉末食材から乾燥具材のみを選り分けたなかから、無作為に選択される50個の乾燥具材の最大長さを個々に測定し、得られた測定値の平均値を、乾燥具材の最大長さとする。
【0028】
また、この乾燥具材のかさ比重は限定されないが、例えば、0.8g/cm以下とすることができ、0.75g/cm以下であることが好ましい。かさ比重が小さいことにより、被添着食品に対して食味だけでなく、食感において顕著な影響を与えることができる。このかさ比重は、更に、0.70g/cm以下がより好ましく、0.65g/cm以下が更に好ましく、0.60g/cm以下が特に好ましく、0.55g/cm以下がとりわけ好ましい。かさ比重が小さい程、個々の大きさが大きい乾燥具材であるといえ、被添着食品に対して食味だけでなく、食感において特に顕著な影響を与えることができる。このかさ比重の下限は限定されないが、通常、0.1g/cm以上であり、更に0.15g/cm以上とすることができ、更に0.18g/cm以上とすることができる。
尚、このかさ比重の測定は、後述する実施例において示す測定方法により測定される値であるものとする。
【0029】
また、本粉末食材全体100質量%に対して含まれる乾燥具材の量は限定されないが、例えば、50質量%以下とすることができる。この量は、更に47質量%以下とすることができ、更に43質量%以下とすることができ、更に40質量%以下とすることができる。一方で、この量の下限は限定されないものの、5質量%以上とすることができ、10質量%以上であり、更には15質量%以上とすることができ、20質量%以上とすることができる。
【0030】
(2)添着成分
添着成分は、乾燥具材(添着用食品)を食品(被添着食品)へ添着させるための成分であり、デキストロース当量2~25の澱粉分解物を含む。
【0031】
この添着成分は、被添着食品との接触以前においては、添着能(例えば、べたつき)を有さないことが好ましい。被添着食品との接触以前に乾燥具材同士が塊状に固まることを抑制できるからである。従って、被添着食品との接触時に添着能を発揮できる特性を有することが好ましい。このような観点から、本発明では、添着成分として澱粉分解物を用いる。即ち、澱粉分解物であることによって、被添着食品との接触以前には添着能を発揮させず、被添着食品との接触時に水分等が介することで添着能を発揮させることができる。
【0032】
添着成分の性状は限定されないが、粉状(粉末状、顆粒状等)であることが好ましい。即ち、添着成分は粉状の澱粉分解物であることが好ましい。粉状であることにより、本粉末食材内における分散性を向上させることができるとともに、その表面積を増大させることができる。これにより、必要となった際の場合の添着性能を高めることができる。添着成分が粉状である場合、一次粉末(単粒子粉末)でもよく、二次粉末(顆粒粉末、凝集粒子粉末等)でもよい。二次粉末である場合、自然な凝集による二次粉末でもよく、造粒等の各種操作によって形成された二次粉末であってもよい。更に、本粉末食材が、添着成分以外に、他の粉末成分を含有する場合は、上記二次粉末は、添着成分と他の粉末成分との両方を含んだ二次粉末であってもよい。更には、二次粉末には、風味付け・味付け等が施されていてもよい。
【0033】
更に、添着成分が、デキストロース当量が2~25の澱粉分解物であることにより、被添着食品に対して適時に本粉末食材を振り掛けることで添着性能を発揮させることができる。この作用は、通常、被添着食品に含まれる少ない水分で発現される。即ち、食品(被添着食品)は僅かであっても水分を含むものであり、電子レンジ加熱(レンジアップ)等により、その水分を表出させることができる。つまり、水が食品内から食品外へ蒸散している状態を形成できる。このような状態の形成により、蒸散水が澱粉分解物に作用してべたつきを生じさせ、このべたつきが添着性能を発揮することとなる。しかも、所定のDE値を有する澱粉分解物であることにより、大きな乾燥具材を被添着食品に対して十分に添着できる性能を発揮させることができる。即ち、被添着食品側に依存して添着されるのではなく、被添着食品への依存を抑制して高い添着性を得、被添着食品に対して大きな乾燥具材を添着した状態を維持させて、食品を口まで運ぶことができるようにすることが可能となる。
【0034】
この澱粉分解物は、どのような澱粉に由来してもよく、その原料澱粉の種類及び分子量等は限定されない。原料澱粉としては、馬鈴薯、甘藷、とうもろこし、小麦、米、サゴ、タピオカ、キャッサバ等が挙げられる。また、これらの原料澱粉は、ワキシー種であってもよく、非ワキシー種であってもよく、加工澱粉(膨化処理、糊化処理(α化処理)、加熱処理、焙焼処理、漂白処理、化学処理等)であってもよく、非加工澱粉であってもよい。これらの原料澱粉は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0035】
また、添着成分としてDE値が5を超える澱粉分解物を用いることにより、本粉末食材の添加によって被添着食品同士が塊状化することを抑制できる。このため、粉末食材が添着された食品(被添着食品と本粉末食材とが混合された食品)を食べ易いサイズで適宜ピックアップできる状態を得ることができ、例えば、片手で摘まみ易い状態を得ることができる。更に、DE値が5を超えるの澱粉分解物を用いることにより、過度なべたつき感の発生を抑制し、咀嚼時のチューイング感を抑制できる。また、食品(被添着食品と本粉末食材とが混合された食品)を摘まんだ際に手やピックアップ用具へべたつきが移行することを抑制できる。そのため、種々の食品と共に喫食される場合に、風味や食感が他の食品へ移行することを抑制できる。更に、ざらつき感のある食感を抑制しつつ、乾燥具材として香味が強い野菜を利用する場合、その香味を十分に引き出すことができる。即ち、香味の発揮を阻害しないものとすることができる。
【0036】
添着成分を構成する澱粉分解物のDE値は、上述の作用から25以下であればよく、このような澱粉分解物としては、例えば、粉あめ、マルトデキストリン、デキストリン等と称されるものが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、乾燥具材同士の添着や、被添着食品同士の添着、更には、食品の塊状化をより顕著に抑制するという観点や、食品を摘まんだ際に手やピックアップ用具へべたつきが移行するのをより顕著に抑制するという観点からは、上述のDE値は、6以上とすることができ、更に8以上とすることができ、更に10以上とすることができ、更に11以上とすることができる。
【0037】
また、DE値が25以下の澱粉分解物を用いることにより、本粉末食材によって付与される食味変化の埋没を抑制し、甘味が強くなることを抑制し、本粉末食材によって付与される食味変化が単調になることを抑制できる。
このように、食味への影響を抑制しつつ、食味変化が単調化することを抑制する観点から、DE値は25以下であればよいが、更に22以下とすることができ、更に20以下とすることができ、更に18以下とすることができ、更に17以下とすることができ、更に16以下とすることができ、更に15以下とすることができる。
【0038】
上述のDE値の上限値と下限値とは、各々単独に、適宜、組み合わせた範囲とすることができるが、本粉末食材では、例えば、6~25とすることができ、6~22が好ましく、8~20がより好ましく、8~18が更に好ましく、10~16が特に好ましく、10~15がとりわけ好ましい。これらの好ましい範囲では、上述した作用を各々より顕著に得ることができる。
【0039】
即ち、例えば、品名「サンデック#30」(DE値=3.5)、品名「サンデック#2」(DE値=11)、品名「サンデック#150」(DE値=16.5)等の三和澱粉工業社製の澱粉分解物;品名「パインデックス#2」(DE値=10~12)、品名「グリスターP」(DE値=15)、品名「パインデックス#4」(DE値=18~20)、品名「パインデックス#100」(DE値=2~5)等の松谷化学工業社製の澱粉分解物;品名「VIANDEX-BH」(DE値=7~11)等の昭和産業社製の澱粉分解物;品名「クラスターデキストリン」(DE値<5)等の江崎グリコ社製の澱粉分解物;品名「FZ-100」(DE値=4)等のJ-オイルミルズ社製の澱粉分解物などを挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0040】
尚、DE値は、澱粉の分解程度を示す指標であり、澱粉分解物に生成された還元糖の割合を表している。即ち、澱粉分解物を構成する全ての還元糖をぶどう糖の量として換算し、その割合を澱粉分解物全体の乾燥固形分に対する質量%で表わした値である。DE値は、値が大きい程、澱粉分解物を構成する還元糖の割合が多いことを意味し、分解度が高いことを表す。一方で、DE値は、値が小さい程、澱粉分解物を構成する還元糖の割合が少ないことを意味し、分解度が低いことを表す。
【0041】
本粉末食材に含まれる添着成分のDE値は、例えば、下記の方法により測定することができる。即ち、添着成分2.5gを水溶させて200mLの添着成分の水溶液とする。この水溶液を10mL秤取り、0.04mol/Lのヨウ素溶液10mLと、0.04mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液15mLと、を加えた水溶液を形成し、これを20分間暗所に放置する。次いで、放置後の水溶液に、2mol/Lの塩酸5mLを加えて混和した後、0.04mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定を行う。滴定の終点近くで液が微黄色になった際にデンプン指示薬2滴加えて滴定を継続し、液の色が消失した時点を滴定の終点とする。一方、別途、空試験を行う。そして、下記式により算出されるDEをデキストロース当量とする。
DE=(b-a)×f×3.602/(1/1000)/(200/10)/{A×(100-B)/100}×100
但し、上記式内における「a」は滴定値(mL)、「b」はブランク値(mL)「f」はチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター値、「A」は試料の秤取量(g)、「B」は試料の水分値(%)である。
【0042】
本粉末食材において、添着成分の含有量は限定されないが、乾燥具材全体100質量部とした場合に、1.5質量部以上であることが好ましい。この含有量が1.5質量部以上であることにより、大きな乾燥具材を特に確実に食品に添着させることができる。この含有量は、更に2質量部以上であることが好ましく、更に3質量部以上が好ましく、更に4質量部以上が好ましく、更に8質量部以上が好ましい。これらの好ましい範囲では、各種相反事項をバランスよく抑制しながら高い添着性能を得ることができる。
【0043】
一方、添着成分の含有量の上限は限定されないが、通常、30質量部以下である。25質量部を超えて含有されてもよいが、22質量部以下の範囲で本発明の目的は達することができる。この含有量は、更に18質量部以下であることが好ましい。これらの好ましい範囲では、各種相反事項をバランスよく抑制しながら高い添着性能を得ることができる。
【0044】
(3)その他の成分
本粉末食材は、乾燥具材及び添着成分以外の他の成分を含有することができる。他の成分としては、調味成分、着香成分、食品添加物(添着成分を除く)等が例示される。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0045】
調味成分としては、香辛料(コショウ、ワサビ等)、旨味調味料(グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ナトリウム等)、調味料(みそ、醤油、ソース、食酢など)、香味油、酸味料、塩類(食塩、岩塩、にがり等)、糖類(グルコース、砂糖、果糖など)などが例示される。尚、これらの調味成分は、添着成分とは別個に含有されてもよいし、添着成分と共に一体に造粒等されてもよい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
着香成分としては、柑橘類(ゆず、すだち、かぼす、だいだい等)、茶類(抹茶、緑茶、紅茶等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0046】
食品添加物としては、酸化防止剤、保存料及び着色剤等が挙げられる。これらの原料澱粉は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、酸化防止剤としては、ビタミンC、ビタミンE、トコフェノール、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、香辛料抽出物、カフェ酸、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテート、ルチン、ケルセチン、ヤマモモ抽出物、ゴマ抽出物等が挙げられる。また、保存料としては、ε-ポリリジン、ピロ亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。更に、着色料としては、カラメル、クチナシ、ターメリック、パプリカ、アントシアニン色素、紅花色素、紅麹色素、ウコン色素、カロチン色素等が挙げられる。
【0047】
(4)粉末食材の製法
本粉末食材は、どのように製造してもよいが、乾燥具材と、添着成分と、を混合する工程を備えた方法により製造することができる。この工程では、例えば、容器回転型混合機(例えば、ドラム型混合機、スクリュー型混合機など)、容器固定型混合機(例えば、リボン型混合機、ドラム型混合機、スクリュー型混合機など)等の乾燥粉粒体混合用機械を利用できる。また、混合に際しては、1段階で混合を行ってもよいし、多段階で混合を行ってもよい。
【0048】
(5)粉末食材の使用
本粉末食材は、どのような食品に対して使用してもよいが、加熱処理した食品に対して好適に用いることができる。加熱処理としては、食品自体が有する水分を、食品の表面に表出させることができる加熱、及び/又は、食品の表面に水分を付与することができる加熱等が好ましい。即ち、適度な水分を有する食品を形成することができればよい。より具体的には、電子レンジ加熱、過熱蒸気加熱、蒸し加熱、茹で加熱(煮沸加熱、過剰な湯中で加熱したのち湯分除去など)、高温庫加熱(オーブン加熱など)、油中加熱(フライヤー加熱、揚げ加熱など)、熱風加熱、等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0049】
このような加熱処理を施す食品は限定されず、野菜類、魚介類、肉類、粉もの類、更には、これらのうちの1種又は2種以上の混合物等が挙げられる。より具体的には、野菜類としては、ポテト(フライドポテト、ジャガイモ裁断物等)、豆類(枝豆、グリーンピース等)、ゆで野菜、ブロッコリー、ホウレンソウ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、魚介類としては、白身魚フライ、ホタテ(ホタテ貝柱等)、シーフードミックス(エビ、イカ、タコ、貝等のうちの2種以上の混合物)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、肉類としては、ソーセージ、煮卵、フライドチキン、ナゲット、から揚げ、肉団子、焼き豚等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、粉もの類としては、パスタ、マカロニ、等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上述した各食品は、例えば、冷凍食品、非冷凍食品として使用できる。上述のうち、冷凍食品としては、冷凍フライドポテト、冷凍茹で野菜(冷凍枝豆、冷凍ブロッコリー、冷凍ジャガイモ、冷凍ホウレンソウなど)、冷凍パスタ、冷凍マカロニ、冷凍ソーセージ、冷凍フライドチキン、冷凍ナゲット、冷凍から揚げ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0050】
上述のうちでも、本粉末食材は、冷凍食品を被添着食品として利用することに特に適する。更には、摘まんで喫食される冷凍食品に更に適する。このような冷凍食品は、含有される水分が電子レンジ加熱により表面から多く蒸散されるようにすることができ、このような状態で、本粉末食材を作用されることで、より好適な添着状態を形成することができる。冷凍食品を被添着食品として利用する場合、その使用方法は限定されないが、本粉末食材を、電子レンジ加熱した冷凍食品に対して添加する添加工程を備える粉末食材の使用方法として利用することができる。即ち、本粉末食材をレンジアップした冷凍食品に対するトッピング剤として利用できる。
【0051】
また、本粉末食材は、どのように被添着食品へ添加してもよいが、振り掛けたり、振り掛けたうえで、更に混ぜ込んだりして用いることができる。本粉末食材を適用するうえで、被添着食品の水分率は限定されないが、過度に多いものでないことが好ましい。具体的には、被添着食品の水分率(質量基準)は50%以下であることが好ましい。この水分率は50%超であってもよいが、50%以下であることにより、添着成分が過剰な水分によって流動することを抑制して、好適な添着状態を形成し易い。この水分率は、更に、45%以下とすることができ、40%以下とすることができる。尚、被添着食品の水分率の下限値は限定されないが、通常、10%以上であり、例えば、15%以上とすることができる。
【0052】
本粉末食材は、具体的には、トッピング、ふりかけ、混ぜご飯の素、おにぎりの素、シーズニングパウダーなどとすることを例示できる。これらの中でも、本粉末食品は、トッピングであることが好ましい。
【実施例0053】
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
[1]粉末食材の調製
下記に示す各成分を表1に示す割合で混合して、実施例1~3及び比較例1~2の粉末食材を得た。
【0055】
(1)乾燥具材
乾燥具材:オニオンスライス、最大長さ25mm(16メッシュオン)、かさ比重0.23g/cm、水分率7%以下。
【0056】
尚、上記乾燥具材のかさ比重は、以下の要領にて測定した。即ち、漏斗と収容カップ(開口直径50mm、高さ53mmの円錐形状、体積104cmとして換算)と、を漏斗の下端と収容カップの上端とが5cm離間されるようセットした。その後、漏斗を通して測定試料を収容カップへ過剰に収容した後、収容カップの上端開口部で1回のすり切り操作を行った。そして、収容カップに収容された測定試料の質量を測定し、上述のカップの容積で除した値を算出した。同様の操作を3回繰り返し、その算出値の平均値をかさ比重とした。
【0057】
(2)添着成分
・添着成分1:DE値2~5のデキストリン
・添着成分2:DE値13のデキストリン、
・添着成分3:DE値25のデキストリン、
・添着成分4:DE値99のぶどう糖
・添着成分5:でん粉
【0058】
(3)配合及びその他の成分
塩類、香辛料、調味料及び糖類の各々を下記配合で混合した。
粉末食材全体100質量%に対して、
乾燥具材(オニオンスライス):30質量%
添着成分:4質量%
塩類(食塩):10質量%
香辛料(トウガラシ):26質量%
調味料(グルタミン酸ソーダ、オニオンエキスパウダー):20質量%
糖類(砂糖):10質量%
【0059】
[2]粉末食材の評価
(1)試験用食品の調製
上記[1]で得た実施例1~3及び比較例1~2の粉末食材の各18gを、(1)電子レンジ加熱した冷凍フライドポテト100gと、(2)電子レンジ加熱した冷凍枝豆120gと、に各々振り掛けた後、1秒間に2~4回の速さで同様に混合して、表1及び表2に示す、実施例1の粉末食材を用いた試験用食品1-1~1-3、実施例2の粉末食材を用いた試験用食品2-1~2-3、実施例3の粉末食材を用いた試験用食品3-1~3-3、比較例1の粉末食材を用いた試験用食品4-1~4-3、比較例2の粉末食材を用いた試験用食品5-1~5-3を得た。
【0060】
(2)試験用食品の評価1
上記(1)で得た各試験用食品を、下記の項目について評価し、その結果を表1の各評価欄に示した。尚、評価は、試験前に、検査員全員で標準サンプル評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、5名によって客観性のある検査を行った。評価は下記に示す(2-1)~(2-2)の各3段階の基準に従った。また、評価は3段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか1つ選択する方式で行った。評価結果の集計は、5名のスコアの算術平均値として算出(小数点以下第2位を四捨五入)し、この素点の結果を表2に示した。更に、得られた素点を下記基準に従って、「◎」、「〇」、「△」、「×」に変換して表1に示した。
◎:4.0点以上
〇:3.0点以上
△:2.0点以上
×:1.0点以上
【0061】
(2-1)添着状況の評価
5点:ポテト/枝豆に乾燥具材が満遍なく添着されている
3点:ポテト/枝豆に乾燥具材がやや偏って添着されている
1点:ポテト/枝豆に乾燥具材がとても偏って添着されている又は添着されていない
【0062】
(2-2)被添着食品同士の添着の評価(塊状化の評価)
5点:ポテト/枝豆同士が添着されていない
3点:ポテト/枝豆同士がやや添着されているが、塊になっていない
1点:ポテト/枝豆同士が添着されて、塊になっている
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
(3)試験用食品の評価2
上記(1)で得た各試験用食品を、下記の項目について評価し、その結果を表3の各評価欄に示した。尚、この評価は、試験前に、官能検査員全員で標準サンプル評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、5名によって客観性のある官能検査を行った。評価は下記に示す(3-1)~(3-5)の各5段階の基準に従った。また、評価は5段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか1つ選択する方式で行った。評価結果の集計は、5名のスコアの算術平均値として算出(小数点以下第2位を四捨五入)し、この素点の結果を表4に示した。更に、得られた素点を下記基準に従って、「◎」、「〇」、「△」、「×」に変換して表3に示した。
食味に関する評価
◎:4.0点以上
〇:3.0点より上
△:2.0点以下
×:1.0点以上
触感及び食感に関する評価
◎:4.0点以上
〇:3.0点以上
△:2.0点以上
×:1.0点以上
【0066】
(3-1)食味:スパイス風味の強さ
5点:強い
4点:やや強い
3点:やや弱い
2点:弱い
1点:とても弱い
【0067】
(3-2)食味:甘味の強さ
5点:甘くない
4点:やや甘くない
3点:やや甘い
2点:甘い
1点:とても甘い
【0068】
(3-3)食味:甘味の好ましさ
5点:好ましい
4点:やや好ましい
3点:やや好ましくない
2点:好ましくない
1点:とても好ましくない
【0069】
(3-4)触感:触った際のべたつき
5点:べたつきはなく、触った指同士もつかない
4点:べたつきは少なく、触った指同士もつかない
3点:べたつきはするが不快に感じない程度である
2点:やや指同士がつくほどべたつきが強く、不快に感じる
1点:指同士がつくほどべたつきが強く、不快に感じる
【0070】
(3-5)食感:食べた際の口の中でのざらつき
5点:ざらつかない
4点:ざらつきは少なく、不快に感じない
3点:ざらつくが不快に感じない程度である
2点:ざらつき不快に感じる
1点:とてもざらつき不快に感じる
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
(4)実施例の効果
実施例2、3においては、被添着食品に対して優れた添着状態を形成でき、粉末食材に含まれる大きな乾燥具材を、被添着食品に対して十分に添着し、その状態を維持して口まで運ぶことができるといえる。
また、実施例2においては、粉末食材の添加によって食品が塊状化することは抑制でき、粉末食材が添着された食品を食べ易いサイズで適宜ピックアップできる状態を維持できるといえる。
更に、実施例1~3においては、粉末食材によって付与される食味変化の埋没や、ざらつき感のある食感を抑制できる一方、甘味が強くなることも抑制し、本粉末食材によって付与される食味変化が単調になることを防止できるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の粉末食材は、食品分野において広く利用される。具体的には、トッピング、ふりかけ、混ぜご飯の素、おにぎりの素、シーズニングパウダーなどとして好適に利用される。