(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172947
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】撮像ユニットおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20221110BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H04N5/369
H04N5/232 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079311
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有馬 洋文
(72)【発明者】
【氏名】蒔田 竜子
【テーマコード(参考)】
5C024
5C122
【Fターム(参考)】
5C024CY42
5C024CY44
5C024EX22
5C024HX46
5C024HX50
5C122EA12
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA86
5C122HB02
5C122HB06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮像素子が多くの電流量を要する場合に、撮像素子に追加の電流を供給する撮像ユニットおよび撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像ユニット40は、被写体を撮像する撮像素子100が実装された実装基板120と、レギュレータLDO311を含む第1の電源回路部310と、撮像素子が第1の電源回路部から供給される第1の電流量よりも多くの第2の電流量を要する場合に、撮像素子に追加の電流を供給する第2の電源回路部410と、を備える。撮像ユニットは、フレキシブル基板260によって実装基板120に接続され、第2の電源回路部を有する電源基板62を更に備える。。第1の電源回路部は、実装基板に実装されてもよい。撮像ユニットは、撮像素子に印加される電源電圧が変化したことを検知して、第2の電源回路部に信号を送信する検知部190を更に備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子が実装された実装基板と、
レギュレータを含む第1の電源回路部と、
前記撮像素子が前記第1の電源回路部から供給される第1の電流量よりも多くの第2の電流量を要する場合に、前記撮像素子に追加の電流を供給する第2の電源回路部と
を備える、撮像ユニット。
【請求項2】
フレキシブル基板によって前記実装基板に接続され、前記第2の電源回路部を有する電源基板を更に備える、
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記第1の電源回路部は前記実装基板に実装され、
前記撮像素子に印加される電源電圧が変化したことを検知して、前記第2の電源回路部に信号を送信する検知部を更に備える、
請求項1または2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記撮像素子は、前記撮像素子の消費電流量を変化させる場合に前記第2の電源回路部に信号を送信する発信部を含む、
請求項1または2に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記撮像素子の動作を制御するシーケンス回路
を更に備え、
前記シーケンス回路は、前記撮像素子の動作が前記第2の電流量を要する場合に、前記追加の電流を供給するための信号を前記第2の電源回路部に送信する、
請求項1または2に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記第2の電源回路部は前記実装基板に実装され、
フレキシブル基板によって前記実装基板に接続され、前記第1の電源回路部を有する電源基板を更に備える、
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
前記第1の電源回路部は、前記電源基板において前記第1の電源回路部の出力電圧を前記第1の電源回路部にフィードバックするためのフィードバック経路を更に含み、
前記第2の電源回路部は、前記撮像素子に印加する第2の電源電圧を調整するためのレギュレータと、前記実装基板において前記撮像素子に印加される電源電圧をフィードバックするためのフィードバック経路とを有する、
請求項6に記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記第2の電源回路部に対して測定用の抵抗素子が並列接続された測定用ラインと、
前記抵抗素子の電圧降下を測定する電圧測定部と、
前記第2の電源回路部が前記撮像素子に追加の電流を供給しない場合に、前記撮像素子を動作していない状態にして前記電圧測定部に前記電圧降下を測定させ、前記電圧降下の測定結果と前記抵抗素子の抵抗値とに基づいて前記撮像素子からのリーク電流を算出する算出部と
を更に備える
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像ユニット。
【請求項9】
前記算出部は、算出された前記リーク電流の電流値に基づいて、前記撮像素子が良品であるか不良品であるかを判定する、
請求項8に記載の撮像ユニット。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像ユニットを備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像ユニットおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画素が配列された画素アレイを備える固体撮像装置が知られている(例えば、特許文献1)。従来から消費電力の増大が問題となっていた。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2011-176616号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、撮像ユニットを提供する。撮像ユニットは、被写体を撮像する撮像素子が実装された実装基板を備えてもよい。撮像ユニットは、レギュレータを含む第1の電源回路部を備えてもよい。撮像ユニットは、撮像素子が第1の電源回路部から供給される第1の電流量よりも多くの第2の電流量を要する場合に、撮像素子に追加の電流を供給する第2の電源回路部を備えてもよい。
【0004】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】一実施形態による、撮像装置の一例であるカメラ10の模式断面図である。
【
図2】一実施形態による、撮像ユニット40の一部を模式的に示す上面図である。
【
図3】
図2のA-A断面を模式的に示す断面図である。
【
図4】一実施形態による撮像ユニット40における、模式的な回路図である。
【
図5】一実施形態による撮像ユニット41における、模式的な回路図である。
【
図6】一実施形態による撮像ユニット42における、模式的な回路図である。
【
図7】一実施形態による撮像ユニット43における、模式的な回路図である。
【
図8】一実施形態による撮像ユニット43における、撮像素子100の消費電流変化と端子電圧変化との関係の一例を示すグラフである。
【
図9】一実施形態による撮像ユニット44における、模式的な回路図である。
【
図10】一実施形態による撮像ユニット45における、模式的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0007】
図1は、一実施形態による、撮像装置の一例であるカメラ10の模式断面図である。カメラ10は、一例として、デジタルコンパクトカメラである。カメラ10は、レンズユニット20およびカメラボディ30を備える。
【0008】
レンズユニット20は、その鏡筒内に光学系を備え、当該光学系により光軸22が規定されている。レンズユニット20は、カメラボディ30に取付けられている。レンズユニット20は、カメラボディ30内に収容されて、使用時に図のように外方へ進出するものであってもよい。
【0009】
レンズユニット20は、入射する被写体光束をカメラボディ30の筐体31内へ導く。なお、
図1に示すレンズユニット20は、単に説明を明確にするために、2枚のレンズと絞りとを含んでいるが、何ら当該構成に限定するものではない。
【0010】
カメラボディ30は、撮像ユニット40と、表示部88とを有する。カメラボディ30は更に、第1フレキシブル基板250および第2フレキシブル基板260を有する。
【0011】
レンズユニット20に入射する被写体光束は、レンズユニット20によって撮像ユニット40に導かれる。撮像ユニット40は、被写体を撮像する撮像素子100と、第1主面111および第2主面112を有する実装基板120と、実装基板120の第2主面112上に実装されるコネクタ180と、第1フレキシブル基板250および第2フレキシブル基板260によって実装基板120に接続される基板62を含む基板ユニット60とを備える。本実施形態における撮像ユニット40は更に、フレーム140と、カバーガラス160とを備える。なお、撮像ユニット40は、コネクタ180、フレーム140およびカバーガラス160を備えなくてもよい。なお、基板62は、電源基板の一例である。以降の説明において、基板62を電源基板と称する場合がある。
【0012】
撮像素子100は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサであり、主たる平面の形状が長方形である。撮像素子100は、実装基板120の第1主面111上に実装される。なお、撮像素子100は撮像素子の一例である。
【0013】
ここで、本実施形態において、光軸22に沿う方向をz軸方向と定める。すなわち、撮像素子100の撮像面へ被写体光束が入射する方向をz軸方向と定める。具体的には、被写体光束が入射する方向をz軸マイナス方向と定め、その反対方向をz軸プラス方向と定める。撮像素子100の長手方向をx軸方向と定める。撮像素子100の短手方向をy軸方向と定める。具体的には、x軸方向及びy軸方向は、
図1に図示した方向に定められる。x軸、y軸、z軸は右手系の直交座標系である。
【0014】
このように規定した場合、本実施形態における実装基板120、基板62および表示部88は、z軸マイナス方向に順に配置されている。なお、説明の都合上、z軸プラス方向を前方、前側等と呼ぶ場合がある。また、z軸マイナス方向を後方、後側、等と呼ぶ場合がある。z軸マイナス方向の側を背面側等と呼ぶ場合がある。
【0015】
基板ユニット60の基板62は、撮像ユニット40のz軸マイナス方向の位置に配置される。基板ユニット60の基板62上には、コネクタ182、コネクタ184、MPU51、ASIC52および電源ユニット53が実装される。なお、基板62上には、追加的に又は代替的に、他の電子回路が実装されてもよい。なお、基板ユニット60は、電源ユニット53等の構成が実装される単一の基板62に代えて、各構成が1つずつ個別に実装される複数の基板を含んでもよく、幾つかの構成がまとめて実装される複数の基板を含んでもよく、これらを組み合わせた複数の基板を含んでもよい。
【0016】
MPU51は、カメラ10の全体の制御を担う。ASIC52は、撮像素子100から出力された画像信号を処理する。本実施形態におけるASIC52は、実装基板120、コネクタ180、第1フレキシブル基板250およびコネクタ184を介して、撮像素子100からの画像信号を受信する。
【0017】
電源ユニット53は、カメラ10に取付けられた電池と、電池に蓄積された電力をカメラ10の各部に供給する電源回路とを含む。本実施形態における電源ユニット53は、コネクタ182、第2フレキシブル基板260、コネクタ180および実装基板120を介して、撮像素子100に電流を供給する。
【0018】
ASIC52は、撮像素子100からの画像信号に基づいて、表示用の画像データを生成する。ASIC52は、撮像素子100の画像信号に対して例えば画像処理や圧縮処理を施すことで表示用の画像データを生成する。
【0019】
ASIC52が生成した表示用の画像データは、表示部88に出力される。当該画像データは、カメラボディ30に装着された記録媒体に記録されてもよい。当該記録媒体は、カメラボディ30に着脱可能に構成されていてもよい。
【0020】
表示部88は、基板ユニット60の基板62のz軸マイナス方向の位置に配置される。表示部88としては、例えば液晶パネル等を適用できる。表示部88の表示面は、カメラボディ30の背面に現れる。表示部88は、ASIC52が生成した表示用の画像データに基づいて画像を表示する。
【0021】
なお、撮像ユニット40は2つ以上のコネクタを備えてもよい。換言すると、実装基板120の第2主面112上には2つ以上のコネクタが実装されてもよい。また、2つ以上のコネクタのそれぞれには、個別のフレキシブル基板が接続されてもよい。それぞれのコネクタ及びフレキシブル基板の組は、特定の用途に特化してもよい。また、複数の当該組の用途が互いに部分的に又は全て共通していてもよい。
【0022】
図2は、一実施形態による、撮像ユニット40の一部を模式的に示す上面図である。
図3は、
図2のA-A断面を模式的に示す断面図である。ただし、
図3においては、実線で示す撮像ユニット40の一部に追加して、ブラケット150、第1フレキシブル基板250および第2フレキシブル基板260を破線で示す。
【0023】
撮像素子100は、撮像領域101と周辺領域102とを含んで構成される。
図2に示す通り、撮像領域101および周辺領域102は共に、平面視において長方形である。
【0024】
撮像領域101は、撮像素子100の中央部分に形成される。撮像領域101には、被写体光を光電変換する複数の光電変換素子が2次元に配置され、これにより、撮像素子100の撮像面が形成されている。各画素は、1つまたは複数の光電変換素子を含んで構成されている。
【0025】
周辺領域102は、撮像領域101の周辺に位置する。周辺領域102は、光電変換素子における光電変換によって得られた画像信号を読み出して信号処理を行う処理回路104を含む。処理回路104は、出力された画像信号をデジタル信号に変換するAD変換回路を含む。また、処理回路104は、画像信号を伝送するための伝送回路105も含む。
【0026】
撮像素子100は、実装基板120にCOB(Chip On Board)実装されている。撮像素子100は、接着部210によって実装基板120に固定される。接着部210は、例えば熱硬化性接着剤である。後述する他の接着部も、例えば熱硬化性接着剤である。
【0027】
撮像素子100は、ボンディングワイヤ110を介して実装基板120と電気的に接続される。撮像素子100のAD変換回路でデジタル信号に変換された画像信号は、ボンディングワイヤ110を介して実装基板120に出力される。なお、撮像素子100は、実装基板120にフリップチップ実装されてもよい。
【0028】
実装基板120は、第1層121と、芯層207と、第2層122とを含む。第1層121は、ソルダレジスト層201と、配線層202と、絶縁層203と、配線層204と、絶縁層205とを含む。第2層122は、絶縁層215と、配線層214と、絶縁層213と、配線層212と、ソルダレジスト層211とを含む。実装基板120は、芯層207をコア層として有する多層コア基板である。
【0029】
実装基板120において、z軸マイナス方向に、ソルダレジスト層201、配線層202、絶縁層203、配線層204、絶縁層205、芯層207、絶縁層215、配線層214、絶縁層213、配線層212、ソルダレジスト層211の順で配されている。
【0030】
絶縁層203、絶縁層205、絶縁層215及び絶縁層213は、例えば樹脂層である。絶縁層203等のそれぞれのz軸方向の厚みは、例えば20μm~50μmである。
【0031】
配線層202、配線層204、配線層214及び配線層212は、配線パターンを含む。配線層202等の材料として、ニッケルと鉄の合金(例えば42alloy、56alloy)、銅、アルミニウム等を用いることができる。配線層202等が有する配線パターンそれぞれの厚みは、例えば10μm~50μmである。
【0032】
芯層207は、金属で形成される。芯層207を金属で形成する場合、芯層207の材料として例えばニッケルと鉄の合金(例えば42alloy、56alloy)、銅、アルミニウム等を用いてよい。芯層207の厚みは、配線層202等のいずれの厚みよりも厚い。芯層207の厚みは、絶縁層203等のいずれの厚みよりも厚い。具体的には、芯層207の厚みは、例えば0.1mm~0.8mmである。
【0033】
芯層207の剛性は、配線層202等のいずれの剛性よりも高い。芯層207の剛性は、第1層121の剛性より高くてもよい。芯層207の剛性は、第2層122の剛性より高くてもよい。
【0034】
なお、芯層207は樹脂で形成されていてもよい。芯層207を樹脂で形成する場合、芯層207は、例えばFR4、FR4より弾性率の高い材料を用いて形成されてよい。芯層207を樹脂で形成する場合、z軸方向において芯層207は配線層に挟まれる。例えば、芯層207を樹脂で形成する場合、z軸マイナス方向に、ソルダレジスト層201、配線層202、絶縁層203、配線層204、芯層207、配線層214、絶縁層213、配線層212、ソルダレジスト層211の順で配されてよい。2層の配線層を追加で配する場合は、配線層204と芯層207との間に、配線層204に接触する追加の絶縁層と芯層207に接触する追加の配線層とがz軸マイナス方向に順に配され、芯層207と配線層214との間に、芯層207に接触する追加の配線層と、配線層214に接触する追加の絶縁層とをz軸マイナス方向に順に配される。
【0035】
このように、実装基板120は、金属コアまたは樹脂コアを有する多層コア基板である。実装基板120の厚みは、例えば0.3mm~1.5mmであってよい。
【0036】
配線層202の少なくとも一部は、撮像素子100からボンディングワイヤ110を介して出力された画像信号を受け取る配線パターンに使用される。配線層202は、ボンディングワイヤ110が接続されるボンディングパッド240を含む。
【0037】
配線層204に含まれる配線パターン及び配線層214に含まれる配線パターンは、例えば、グランドライン、電源ライン等に使用できる。
【0038】
撮像素子100は、ソルダレジスト層201上に配置され、ボンディングワイヤ110によってボンディングパッド240に電気的に接続される。ボンディングパッド240と配線層212とは、第1層121及び芯層207を貫通するビア131によって電気的に接続されている。ビア131は、絶縁体132により覆われている。撮像素子100から出力された画像信号は、配線層202及びビア131を介して、配線層212に伝送される。
【0039】
ソルダレジスト層211上には、コネクタ180、バイパスコンデンサ群185、および、回路群187などの電子部品が実装される。換言すると、これらの電子部品は、実装基板120において撮像素子100が実装された第1主面111とは反対側の第2主面112上に実装される。ソルダレジスト層211上には、他の電子部品として、例えば抵抗、レギュレータ、トランジスタ等を含んでもよい。
【0040】
これらの電子部品は、リード部材によって配線層212に電気的に接続される。当該リード部材は、配線層212にはんだ等で固定されている。配線層212の一部は、ソルダレジスト層211に形成された開口から外部に露出して、ランド等の電極を提供する。
【0041】
フレーム140は、樹脂によって形成されている。フレーム140は、実装基板120のソルダレジスト層201に接着部220で接着される。すなわち、実装基板120は、フレーム140に固定される。
【0042】
なお、フレーム140は、樹脂に金属体がインサートされて構成されてもよい。当該金属体の材料としては、ニッケルと鉄の合金(例えば42alloy、56alloy)、銅、アルミニウムを用いることができる。アルミニウムなどの軽量な材料を金属体の材料として用いれば、フレーム140を軽量化することができる。銅などの熱伝導率が比較的に高い材料を金属体の材料として用いれば、フレーム140からの放熱特性を高めることができる。
【0043】
フレーム140は、第1面141と、第2面142と、第3面143と、第4面144と、第5面145と、第6面146とを有する。第6面146は、開口部138を形成する。第6面146は、フレーム140の内壁面を形成する。開口部138は、例えばxy面内の中央部分に形成される。開口部138内には、実装基板120の第1主面111上に実装されている撮像素子100が位置する。
【0044】
第1面141は、カバーガラス160と接着部230により接着される面である。第1面141は、第6面146の端部に接する面である。第1面141は、第6面146の外縁に沿って形成される。第1面141は、xy平面と略平行な面である。
【0045】
第2面142は、第1面141の端部に接する面である。第2面142は、第1面141の外縁に沿って形成される面である。第2面142は、yz平面に略平行な面と、xz平面に略平行な面とを有する。
【0046】
第3面143は、第2面142の端部に接する面である。第3面143は、xy平面と略平行な面であり、第1面141と略平行な面である。
【0047】
第4面144は、第3面143の端部に接する面である。第4面144は、第3面143の外縁に沿って形成される面である。第4面144は、yz平面に略平行な面と、xz平面に略平行な面とを有する。
【0048】
第5面145は、第4面144の端部に接する面である。第5面145は、第4面144の外縁に沿って形成される面である。第5面145は、xy平面と略平行な面である。第5面145は、第1面141及び第3面143と略平行な面である。第5面145は、実装基板120のソルダレジスト層201と接着部220により接着される面である。第5面145は、接着部220に面する。第5面145は、第6面146の端部に接する面である。第5面145は、第6面146の外縁に沿って形成される。
【0049】
フレーム140は、第1面141と第2面142と第3面143とにより形成された段部を有する。フレーム140は、取付部として取付穴148を有する。フレーム140は、例えば3つの取付穴148を有する。3つの取付穴148はいずれも第3面143から第5面145までを貫通する穴である。3つの取付穴148はいずれも、撮像ユニット40をカメラボディ30の筐体31等の他の構造体に取付けるために利用される。
【0050】
フレーム140は、3つの取付穴148を介して、ビス149で例えばビス止めされることで、ブラケット150に固定される。ブラケット150は、例えばビス止めされることでカメラボディ30の筐体31に固定される。よって、撮像ユニット40は、カメラボディ30の筐体31に固定される。
【0051】
取付穴148を用いてフレーム140とブラケット150とを例えば金属のビス149でビス止めした場合、撮像素子100が動作している場合に生じた熱を、ビス149を介して筐体31の方へ熱を逃がすための伝熱経路を形成することができる。
【0052】
フレーム140は、位置決め穴147を有する。フレーム140は、例えば2つの位置決め穴147を有する。2つの位置決め穴147はいずれも第3面143から第5面145までを貫通する穴である。2つの位置決め穴147のうち、一方の位置決め穴は嵌合穴で形成され、他方の位置決め穴147は長穴で形成されている。
【0053】
フレーム140は、2つの位置決め穴147を用いてブラケット150に対して位置決めされる。例えばブラケット150に設けられた2つの位置決めピンが2つの位置決め穴147に挿入されることで、フレーム140とブラケット150とが位置決めされる。フレーム140は、ブラケット150に対して位置決めされた状態で固定される。よって、撮像ユニット40は、筐体31に位置決めされた状態で固定される。なお、フレーム140及びブラケット150は、筐体31以外の他の構造体に対して固定されてよい。
【0054】
なお、撮像ユニット40は、ブラケット150を介さずに筐体31に固定されてもよい。撮像ユニット40は、3つの取付穴148を介して例えばビス止めされることで、筐体31に固定されてよい。
【0055】
カバーガラス160は、例えばホウケイ酸ガラス、石英ガラス、無アルカリガラス、耐熱ガラス、水晶などによって形成されている。カバーガラス160は、透光性を有している。カバーガラス160の厚みは、例えば0.5mm~0.8mmである。
【0056】
カバーガラス160は、フレーム140の開口部138内に収容された撮像素子100を封止するために用いられる。より具体的には、カバーガラス160は、フレーム140の開口部138を覆うようにフレーム140に固定される。カバーガラス160は、撮像素子100、ボンディングワイヤ110及びフレーム140が実装基板120に実装された後に、フレーム140に固定される。カバーガラス160は、接着部230によりフレーム140と接着される。カバーガラス160は透光性を有するので、当該接着部230は光硬化型接着剤であってもよい。
【0057】
カバーガラス160は、フレーム140及び実装基板120と共に、開口部138内の空間を密封する。従って、開口部138内に位置する撮像素子100は、実装基板120とフレーム140とカバーガラス160とによって密封された空間に配置される。これにより、撮像素子100は、外部環境の影響を受け難い。例えば、撮像素子100は、当該空間の外に存在する水分の影響を受け難い。これにより、撮像素子100の劣化を抑止することができる。
【0058】
図4は、一実施形態による撮像ユニット40における、模式的な回路図である。撮像ユニット40は、第1の電源回路部310と、第2の電源回路部410と、検知部190とを備える。本実施形態の撮像ユニット40では、第1の電源回路部310および検知部190は実装基板120に実装されており、第2の電源回路部410は基板62に実装されている。
【0059】
第1の電源回路部310は、コンデンサ312と、レギュレータの一例であるLDO311とを含む。図中に記号Cで示すコンデンサ312は、一端が実装基板120のグランドGcobに接続され、他端が撮像素子100に電気的に接続され、撮像素子100側の電流変化を平滑化する。
【0060】
LDO311の一端は、コネクタ180、第2フレキシブル基板260の電源線262およびコネクタ182を介して電源ユニット53の正電源に電気的に接続され、正電源から正電圧Vccを入力される。LDO311の他端は、撮像素子100の入力端子に電気的に接続されている。LDO311は、正電源から入力される正電圧Vccを、例えば撮像素子100の入力端子近傍の電圧V2に電圧降下させて出力する。V2は、撮像素子100へ流れ込む消費電流の変化によって変化する。なお、以降の説明において、撮像素子100で規定されている端子電圧の正常な電圧範囲をVsenと表記している。
【0061】
LDO311は、LDO311の出力電圧V2′が正常な電圧範囲Vsen内にある状態を維持するように、フィードバックがかかる。そのため、LDO311は、V2が多少増減しようとしても、V2=Vsenとなるように自ら調整する。例えば、LDO311は、LDO311を流れる電流量が少し増えて端子電圧V2が低下してきた場合に、V2′を昇圧して端子電圧V2を引き上げる。この昇圧動作は、LDO311のドライブ能力内であれば可能となる。
【0062】
なお、図中に示すように、第2フレキシブル基板260の電源線262は抵抗値r2を有し、電源線262に接続されるコネクタ180、182のピンは抵抗値r1を有する。また、第2フレキシブル基板260の信号線261は抵抗値r2′′を有し、信号線261に接続されるコネクタ180、182のピンは抵抗値r1′′を有する。また、第2フレキシブル基板260のグランド線263は抵抗値r2′を有し、グランド線263に接続されるコネクタ180、182のピンは抵抗値r1′を有する。
【0063】
実装基板120上に実装される第1の電源回路部310は、DCDCのような電流量の増加に比例して増大する傾向があるスイッチング動作を伴うスイッチングレギュレータと比較して、スイッチングノイズが撮像素子100内部のシーケンス動作と共振することを防止できるという観点で、LDO311のようなリニアレギュレータを含むことが好ましい。
【0064】
近年、撮像素子の高画素化、高速読み出しに伴い、撮像素子の消費電力または消費電流が増大化する傾向にある。更に、メモリなどの大規模回路を搭載した積層型の撮像素子も登場し、撮像素子の消費電力の増大化に拍車をかけている。また一方で、撮像素子が駆動している期間には、画素に電荷を蓄積する期間、各画素の電荷に見合ったデジタル値にコード化、すなわちA/D変換している期間、輝度データを撮像素子から出力している期間、デジタルデータを撮像素子内のメモリに蓄積する期間など、多種多様な処理を行う期間が含まれ、これらの期間は互いに重複している場合がある。そのため、撮像素子においては、ある期間の消費電流量が通常量であっても、次の期間では、消費電流量が通常量を大きく超過する過大量へと急激に増加したり、また次の期間では、消費電流量が通常量に戻ったりするなど、消費電流量が急激に変化する場合がある。
【0065】
また、撮像素子の端子電圧V2には、撮像素子が動作可能な電圧範囲Vsenが定められており、端子電圧V2が当該電圧範囲Vsen外になるとエラーとして検出し、エラーが繰り返されると、撮像素子の動作が不安定になって正常な画像取得ができなくなったり、撮像素子の動作が停止したりする場合がある。上述のように、撮像素子の消費電流量が急激に変化した場合、端子電圧V2は、消費電流量の変化に追従するように変化して、実装基板上のレギュレータのドライブ能力を上回り、当該電圧範囲Vsen外となる可能性が高まる。例えば、撮像素子の消費電流量が急激に増加すると、撮像素子の端子電圧V2が追従して急激に低下し、実装基板上のレギュレータのドライブ能力を上回って当該範囲の規定電圧下限を下回り、V2=Vsenとなるように自ら調整する事ができなくなってしまう。ドライブ能力ぎりぎりの場合は過渡的に規定電圧下限を下回る可能性が高まる。また例えば、撮像素子の増大した消費電流量が急激に低下すると、撮像素子の端子電圧V2が追従して急激に上昇し、実装基板上のレギュレータのドライブ能力を上回って当該範囲の規定電圧上限を過渡的に上回る、すなわちオーバーシュートする可能性が高まる。
【0066】
そこで、撮像ユニット40によれば、第1の電源回路部310とは異なる第2の電源回路部410が、撮像素子100が第1の電源回路部310から供給される第1の電流量(I2)よりも多くの第2の電流量を要する場合に、撮像素子100に追加の電流(I1)を供給する。
【0067】
本実施形態による撮像ユニット40によれば、更に、検知部190が、撮像素子100に印加される電源電圧が変化したことを検知して、第2の電源回路部410に信号を送信する。換言すると、検知部190は、撮像素子100が第1の電源回路部310から供給される第1の電流量(I2)よりも多くの第2の電流量(I2+I1)を要することを検知したことに応じて、第2の電源回路部410にEna信号を送信する。
【0068】
本実施形態による第2の電源回路部410は、電源ユニット53の正電源と撮像素子100との間の経路上で順に直列接続される、抵抗素子411と、スイッチ素子412とを含む。抵抗素子411は、例えばパワー抵抗器であり、抵抗値Rpwを有する。スイッチ素子412は、外部から入力される信号に応じてON/OFF切替可能であり、第2の電源回路部410を経由する上記の経路を短絡させたり切断させたりする。スイッチ素子412は、大電流を流すことができる半導体素子、例えばパワーMOSFET、バイポーラトランジスタ、IGBT等であってもよく、リレーであってもよい。
【0069】
また、本実施形態において、検知部190の一端は、撮像素子100の端子電圧V2の変化を検知すべく、撮像素子100の入力端子に電気的に接続されている。また、検知部190の一端は、コネクタ180、第2フレキシブル基板260の信号線261およびコネクタ182を介して、第2の電源回路部410のスイッチ素子412にEna信号を出力可能に接続されている。検知部190は、撮像素子100の端子電圧V2の電圧低下(電圧ドロップ、ΔVdrop)を検知すると、電流補足を要求するEna信号をスイッチ素子412に送信し、スイッチ素子412をONに切替え、スイッチ素子412を通る上記の経路を短絡させる。また、検知部190は、撮像素子100の端子電圧V2の電圧低下を検知しなくなると、Ena信号を切替えてスイッチ素子412に送信し、スイッチ素子412をOFFに切替え、スイッチ素子412を通る上記の経路を切断させる。
【0070】
撮像ユニット40は、撮像素子100の消費電流が過大となって第1の電源回路部310のLDO311のドライブ能力を上回り、撮像素子100の端子電圧V2が低下しようとすることに応じて、第2の電源回路部410から撮像素子100に追加の電流I1を供給する。すなわち、第2の電源回路部410は、第1の電源回路部310のLDO311のドライブ能力を補足する。これにより、撮像ユニット40は、撮像素子100の端子電圧V2が急激に低下することを抑止する。
【0071】
撮像ユニット40はまた、撮像素子100の過大な消費電流が減少して撮像素子100の端子電圧Vsenが上昇しようとすることに応じて、第2の電源回路部410から撮像素子100へ追加の電流I1を供給することを止める。すなわち、撮像ユニット40は、第1の電源回路部310のLDO311のドライブ能力だけで電圧V2を規定電圧範囲内に保持させる。これにより、撮像ユニット40は、撮像素子100の端子電圧V2が急激に上昇することを抑止する。
【0072】
以上の通り、撮像ユニット40は、撮像素子100が通常通りの電流量(I2)を要する場合には第1の電源回路部310のLDO311を介して撮像素子100に電流を供給し、これによって撮像素子100の端子電圧V2を安定化させる。すなわち、撮像ユニット40は、実装基板120のグランド電位Gcob基準で規定電圧範囲の正常な端子電圧V2を確保できる。
【0073】
また、撮像ユニット40は、撮像素子100が通常(I2)よりも多い過大電流量(I2+I1)を要する場合には、第1の電源回路部310のLDO311を介して撮像素子100に供給する電流量(I2)を殆ど変化させることなく、すなわちLDO311の負担電流を増やすことなく、第2の電源回路部410を介して撮像素子100に補足電流(I1)を供給する。これによって、撮像ユニット40は、第1の電源回路部310のLDO311は負担電流を通常電流(I2)のままに保つことができる。すなわち、撮像ユニット40は、撮像素子100の端子電圧V2を規定するLDO311のグランド電位(Gcob)基準の出力電位を通常電圧(Vsen)のまま保つことができ、換言すると、撮像素子100の端子電圧V2を継続的にVsen規格内で安定化させることができる。
【0074】
また、撮像ユニット40は、撮像素子100が過大電流量(I2+I1)を消費する必要が無くなり通常通りの電流量(I2)を要する場合には、上記の補足電流(I1)を止め、第1の電源回路部310のLDO311を介して撮像素子100に電流(I2)を供給し、これによって撮像素子100の端子電圧V2を継続的にVsen規格内で安定化させる。
【0075】
以上の実施形態によれば、撮像ユニット40は、撮像素子100が実装された実装基板120と、レギュレータを含む第1の電源回路部310と、第2の電源回路部410とを備える。第2の電源回路部410は、撮像素子100が第1の電源回路部310から供給される第1の電流量よりも多くの第2の電流量を要する場合に、撮像素子100に追加の電流を供給する。
【0076】
このような構成を備える撮像ユニット40によれば、撮像素子100の消費電流量が急激に変化する場合にも、撮像素子100の端子電圧V2を、撮像素子100が動作可能な電圧範囲内Vsenに保つことができる(上述した、過渡的に発生するアンダーシュートと、過渡的に規定電圧下限を下回ることとを防止できる)。すなわち、撮像ユニット40は、撮像素子100の規定電圧を遵守できるため、安定した撮像素子100の動作を確保できる。
【0077】
また、本実施形態の撮像ユニット40は、撮像素子100に印加される電源電圧V2が変化したことを検知して、第2の電源回路部410に信号を送信する検知部190を更に備える。検知部190を備える撮像ユニット40によれば、撮像素子100が第1の電源回路部310から供給される第1の電流量よりも多くの第2の電流量を要することを検知したことに応じて、第2の電源回路部410に信号を送信し、撮像素子100に追加の電流を供給させることができる。なお、本実施形態に係る撮像ユニット40は、撮像素子100の端子電圧の電圧ドロップを検知し、実装基板120以外の他の基板62に構築している電流補足手段(第2の電源回路部410)へフィードバックする構成を備える、とも言える。
【0078】
また、本実施形態の撮像ユニット40では、第1の電源回路部310が実装基板120に実装されているため、第1の電源回路部310のレギュレータは、実装基板120のグランド電位Gcobを基準にして撮像素子100近傍の端子電圧V2を安定して一定に保つことができる。
【0079】
また、撮像素子の入力端子電圧を所定電圧内で安定化させるよう動作するレギュレータが実装基板上に実装されている場合、レギュレータを流れる電流量が増大すると、レギュレータのスイッチングノイズや熱ノイズが増加して、撮像素子の撮像性能が劣化する場合がある。しかしながら、本実施形態の撮像ユニット40によれば、第2の電源回路部410は基板62に実装されており、更に、撮像素子100が通常よりも多い電流量を要する場合には、第1の電源回路部310のレギュレータを介して撮像素子100に供給する電流量を殆ど変化させることなく、第2の電源回路部410を介して撮像素子100に補足電流を供給する。これにより、撮像ユニット40は、撮像素子100が通常よりも多い電流量を要する場合に第1の電源回路部310のレギュレータのスイッチングノイズや熱ノイズが増加するのを抑止することができ、よって、撮像素子100の撮像性能が劣化することを抑止することができる。
【0080】
なお、一例として、スイッチングノイズは上述のようにスイッチングレギュレータによって引き起こされ、熱ノイズは、LDOのようなリニアレギュレータによって引き起こされる。熱ノイズは、リニアレギュレータで生じた熱が実装基板を介して撮像素子に伝導することで生じる撮像性能の劣化であり、例えば、温度上限リミットをオーバーしやすくなるためにカメラの連続撮影可能な枚数を少なくさせたり、カメラの露光可能な時間を短くしたり、撮像画像の一部をホワイトノイズで白浮きさせたりすることである。
【0081】
図5は、一実施形態による撮像ユニット41における、模式的な回路図である。本実施形態において、
図1から4を用いて説明した実施形態と同じ構成には同じ又は対応する参照番号を付し、重複する説明を省略する。以降の実施形態の説明においても同様とする。
【0082】
本実施形態では、
図1から4を用いて説明した実施形態と異なる点として、撮像ユニット41の実装基板120は撮像ユニット40の検知部190と対応する構成を有さない。これに代えて、撮像ユニット41の撮像素子100は、撮像素子100の消費電流量を変化させる場合に第2の電源回路部420に信号を送信する発信部107を含む。換言すると、発信部107を含む撮像素子100は、かかる場合に、第2の電源回路部420にEna信号を直接送信する。
【0083】
他の異なる点として、撮像ユニット41における電源ユニット53の第2の電源回路部420は、撮像ユニット40における電源ユニット53の第2の電源回路部410の抵抗素子411およびスイッチ素子412を有さない。これに代えて、第2の電源回路部420は、電源ユニット53の正電源と撮像素子100との間の経路上で直列接続されるLDO421を含む。LDO421は、撮像素子100の発信部107から入力されるEna信号に応じてON/OFF切替可能であり、第2の電源回路部420を経由する上記の経路を短絡させたり切断させたりする。
【0084】
より具体的には、撮像ユニット41における撮像素子100の発信部107は、コネクタ180、第2フレキシブル基板260の信号線261およびコネクタ182を介して、第2の電源回路部420のLDO421にEna信号を出力可能に接続されている。発信部107は、撮像素子100の消費電流量を、撮像素子100が第1の電源回路部310から供給される第1の電流量(I2)よりも多くの第2の電流量(I2+I1)に変化させる場合に、電流補足を要求するEna信号を第2の電源回路部420のLDO421に送信し、LDO421をONに切替え、LDO421を通る上記の経路を短絡させる。また、発信部107は、撮像素子100の消費電流量を第2の電流量(I2+I1)から第1の電流量(I2)に変化させる場合に、Ena信号を切替えてLDO421に送信し、LDO421をOFFに切替え、LDO421を通る上記の経路を切断させる。
【0085】
撮像素子100の電源回路は、各機能ごとにその種類が分けられているので、通常消費される電流値と、動作する回路が多い場合に消費される大電流値は、それぞれ既知の場合が多い。撮像ユニット41は、撮像素子100内の各動作期間で大電流が流れる期間に撮像素子100からEna信号を出力する。これにより、撮像ユニット41は、撮像ユニット41全体のフィードバック時間を短縮でき、応答性を改善できる。
【0086】
以上の実施形態による撮像ユニット41も、
図1から4を用いて説明した実施形態と同様の効果を有する。なお、本実施形態に係る撮像ユニット41は、撮像素子100から出力された電流増減信号を、実装基板120以外の他の基板62に構築している電流補足手段(第2の電源回路部420)へフィードバックする構成を備える、とも言える。
【0087】
図6は、一実施形態による撮像ユニット42における、模式的な回路図である。本実施形態では、
図1から4を用いて説明した実施形態と異なる点として、撮像ユニット42における電源ユニット53の第2の電源回路部430は、撮像ユニット40における電源ユニット53の第2の電源回路部410の抵抗素子411およびスイッチ素子412を有さない。これに代えて、第2の電源回路部430は、電源ユニット53の正電源と撮像素子100との間の経路上で直列接続されるLDO431を含む。また、撮像ユニット42の電源ユニット53は、撮像素子100の動作を制御するシーケンス回路54を更に備える。
【0088】
LDO431は、外部から入力される信号に応じてON/OFF切替可能であり、第2の電源回路部430を経由する上記の経路を短絡させたり切断させたりする。シーケンス回路54は、撮像素子100にシーケンス信号Seqを出力する。シーケンス回路54は更に、撮像素子100の動作が第2の電流量(I2+I1)を要する場合に、追加の電流(I1)を供給するための(Ena)信号を第2の電源回路部430のLDO431に送信する。
【0089】
より具体的には、シーケンス回路54は、コネクタ182、第2フレキシブル基板260の信号線261およびコネクタ180を介して、撮像素子100にシーケンス信号Seqを出力可能に接続されている。シーケンス回路54は、撮像素子100の消費電流量を、撮像素子100が第1の電源回路部310から供給される第1の電流量(I2)よりも多くの第2の電流量(I2+I1)に変化させる場合に、電流補足を要求するEna信号を第2の電源回路部430のLDO431に送信し、LDO431をONに切替え、LDO431を通る上記の経路を短絡させる。また、シーケンス回路54は、撮像素子100の消費電流量を第2の電流量(I2+I1)から第1の電流量(I2)に変化させる場合に、Ena信号を切替えてLDO431に送信し、LDO431をOFFに切替え、LDO431を通る上記の経路を切断させる。
【0090】
一例として、シーケンス回路54は、ユーザによってカメラ10の連続撮影モードが選択された場合に、これから撮像素子100で大電流が必要とされると判断して、撮像素子100に連続撮影モードのシーケンス信号Seqを送信すると同時に、LDO431にもEna信号を送信し、LDO431をONに切替えてもよい。なお、シーケンス信号Seqは、シリアル3線信号や、I2Cバスなどであってもよい。
【0091】
以上の実施形態による撮像ユニット42も、
図1から4を用いて説明した実施形態と同様の効果を有する。なお、本実施形態に係る撮像ユニット42は、撮像素子100の動作を制御するシーケンス回路54から出力する電流増減信号を使用する構成を備える、とも言える。なお、本実施形態による撮像ユニット42は、
図5に示した撮像ユニット41における撮像素子100の発信部107を更に備えてもよく、シーケンス回路54および発信部107の両方から出力されるEna信号を兼用してもよい。
【0092】
図7は、一実施形態による撮像ユニット43における、模式的な回路図である。本実施形態では、
図1から4を用いて説明した実施形態と異なる点として、撮像ユニット43における基板62の電源ユニット53は、第2の電源回路部410を有さず、これに代えて第1の電源回路部320を有する。一方で、撮像ユニット43における実装基板120は、第1の電源回路部310を有さず、これに代えて第2の電源回路部440を有する。
【0093】
他の異なる点として、撮像ユニット43の実装基板120は撮像ユニット40の検知部190と対応する構成を有さない。撮像ユニット43は、
図1から4を用いて説明した実施形態と異なり、撮像素子100の端子電圧V2の電圧ドロップΔVdropを検知して第2の電源回路部410にフィードバックする必要が無い。
【0094】
電源基板である基板62に実装された第1の電源回路部320は、レギュレータの一例であるDCDC321と、フィードバック経路と、コンデンサ325とを含む。図中に記号Cで示すコンデンサ325は、一端が基板62のグランドGndに接続され、他端が第1の電源回路部320の出力側に位置するコネクタ182に電気的に接続され、第1の電源回路部320の出力側の電流変化を平滑化する。
【0095】
第1の電源回路部320の出力電圧を一定に保つフィードバック経路は、基板62において第1の電源回路部320の出力電圧Vdcdcを第1の電源回路部320にフィードバックする経路となる。より具体的には、フィードバック経路は、電源ユニット53の正電源と撮像素子100との間でDCDC321と共に順に直列接続されたコイル322と、コイル322の出力側とDCDC321との間で順に直列接続された抵抗素子323および抵抗素子324とを含む。なお、コイル322はインダクタンスLを有し、抵抗素子323および抵抗素子324はそれぞれ抵抗値Rfb1およびRfb2を有する。
【0096】
また、実装基板120に実装された第2の電源回路部440は、撮像素子100に印加する第2の電源電圧を調整するためのレギュレータとして、LDO441を有する。第2の電源回路部440は更に、実装基板120において撮像素子100に印加される電源電圧をフィードバックするためのフィードバック経路を有する。
【0097】
第2の電源回路部440におけるLDO441およびフィードバック経路の機能は、
図4に示した撮像ユニット40における第1の電源回路部310のLDO311の機能と同様である。すなわち、第2の電源回路部440におけるLDO441およびフィードバック経路によれば、LDO441の出力電圧V2′が端子電圧V2(=Vsen)と同じである状態を維持するように、フィードバックがかかる。そのため、LDO441は、V2が多少増減しようとしても、V2′=V2(=Vsen)となるように自ら調整する。例えば、LDO441は、LDO441を流れる電流量が少し増えて端子電圧V2が低下してきた場合に、V2′を昇圧して端子電圧V2を引き上げる。なお、第2の電源回路部440は、
図4に示した撮像ユニット40における第1の電源回路部310と同様に、コンデンサ442を有してもよい。
【0098】
本実施形態による撮像ユニット43によれば、基板62に実装された第1の電源回路部320から撮像素子100に常時電流I1を供給するだけでなく、実装基板120に実装された第2の電源回路部440からも撮像素子100に常時電流I2を供給する。
【0099】
また、撮像素子100に電流が流れていない状態において、基板62の第1の電源回路部320の出力電圧V1と、実装基板120の第2の電源回路部440の出力電圧V2は、撮像素子100規定内の端子電圧Vsenと同じ値に設定する。
【0100】
図8は、一実施形態による撮像ユニット43における、撮像素子100の消費電流変化と端子電圧変化との関係の一例を示すグラフである。グラフの横軸は時間[s]を指し、縦軸は撮像素子100の端子電圧V2[V]および消費電流[A]を指す。また、グラフ中、上述した規定電圧上限および規定電圧下限をそれぞれ破線の直線で示す。
【0101】
撮像素子100に通常時の電流α=I2+I1[A]が流れ込む場合、端子電圧V2は、第1の電源回路部320の出力電圧V1がコネクタ180、182の接触抵抗r1および第2フレキシブル基板260の伝送抵抗r2で電圧降下した分、すなわちI1(2r1+r2)[V]だけ電圧ドロップする(ドロップ後の電圧はV1α=V1-I1(2r1+r2))。しかしながら、第2の電源回路部440のLDO441が、ドロップする分、すなわちI1(2r1+r2)を補うべく、差分電圧I1(2r1+r2)[V]を発生させる(V2α昇圧する)。つまり、第2の電源回路部440のLDO441の出力電圧V2′は、{V1-I1(2r1+r2)}+I1(2r1+r2)=V2=Vsenとなるよう維持する。
【0102】
撮像素子100に大電流β=I2+I1[A]が流れ込む場合も、第2の電源回路部440のLDO441は、差分電圧I1(2r1+r2)を発生させる(この場合の第1の電源回路部320の出力電圧V1がドロップした後の実装基板120での電圧はV1β=V1-I1(2r1+r2))。このように、第1の電源回路部320のDCDC321は、基板62における小さいフィードバックループにより、電流量I1の変動に対して、第1の電源回路部320の出力電圧V1を一定に維持しようとする。その一方で、第2の電源回路部440のLDO441も、内部のフィードバック回路によってLDO441の出力電圧V2′=V2=Vsenとなるよう維持する。すなわち、第2の電源回路部440のLDO441が常に、差分電圧I1(2r1+r2)を補うように出力電圧を調整し(V2β昇圧する)、これによって端子電圧V2(=Vsen)を安定化させる。
【0103】
以上の実施形態による撮像ユニット43も、
図1から4を用いて説明した実施形態と同様の効果を有する。なお、第2の電源回路部440も、他の実施形態における第2の電源回路部410等と同様に、撮像素子100が第1の電源回路部320から供給される第1の電流量(I1)よりも多くの第2の電流量(I1+I2)を要する場合に、撮像素子100に追加の電流(I2)を供給する、と解釈できる。なお、本実施形態に係る撮像ユニット43は、例えば撮像ユニット40の検知部190が端子電圧Vsenの電圧ドロップを検知して出力する信号などのフィードバック情報を使用する事無く、基板62および実装基板120のそれぞれの電源回路部によって撮像素子100の端子電圧V2を安定化させる構成を備える、とも言える。
【0104】
また、本実施形態による撮像ユニット43によれば、第1の電源回路部320におけるDCDC321の出力電圧Vdcdcの電圧フィードバックを基板62で行うので、実装基板120を跨いで電圧フィードバックを行う場合に比べてフィードバックループ系を小さくすることができ、DCDC321を外乱に強くすることができ、DCDC321自体を安定させることができる。
【0105】
図9は、一実施形態による撮像ユニット44における、模式的な回路図である。本実施形態の撮像ユニット44は、
図7および8を用いて説明した撮像ユニット43と同様の構成を備える。撮像ユニット44は、撮像ユニット43と異なり、第1の電源回路部320に代えて、抵抗値Rの抵抗素子331を含む第1の電源回路部330を備える。
【0106】
撮像ユニット44では、第1の電源回路部330の抵抗素子331で、概ね電流を調整して、電流Im=(Vin-Vout)/Rを撮像素子100に供給する。Vinは、電源ユニット53の正電源電圧である。撮像素子100の消費電流量をIsとする。
【0107】
撮像ユニット44では更に、撮像素子100の消費電流量が増大し、基板62上の第1の電源回路部330から撮像素子100に供給される電流量が不足する場合に、実装基板120上の第2の電源回路部450のLDOが不足電流量I=Is-Imだけを補うことで、撮像素子100の端子電圧V2を一定に制御する。このように、実装基板120上の第2の電源回路部450のLDOは、通常時は基板62上の第1の電源回路部330から電流供給を受けるため、当該LDO自体は僅かな電流を供給することで端子電圧V2を安定化させる。一方、基板62上の第1の電源回路部330から撮像素子100に供給される電流量が不足する場合には、当該LDOは、当該電流供給を受けつつ上記の不足電流量だけを補う。よって、本実施形態の撮像ユニット44によれば、当該LDOが当該電流供給を受けない場合に比べて、当該LDOでの熱の発生を大幅に抑える事ができ、ひいては熱ノイズが撮像素子100の撮像性能を劣化させることを抑止できる。
【0108】
図10は、一実施形態による撮像ユニット45における、模式的な回路図である。本実施形態では、
図1から4を用いて説明した実施形態と異なる点として、撮像ユニット45における電源ユニット53が、追加的に、第2の電源回路部460に対して測定用の抵抗素子55が並列接続された測定用ラインと、測定用の抵抗素子55の電圧降下を測定する電圧測定部56とを有する。電源ユニット53は更に、撮像素子100からのリーク電流を算出する算出部57を有する。なお、第2の電源回路部460の構成は、
図4に示す第2の電源回路部410と同様であり、抵抗素子461とスイッチ素子462を有する。
【0109】
算出部57は、第2の電源回路部460が撮像素子100に追加の電流を供給しない場合に、すなわちスイッチ素子462がOFFの場合に、撮像素子100が動作していない状態にして、電圧測定部56に、測定用の抵抗素子55の電圧降下を測定する。算出部57は、当該電圧降下の測定結果と、抵抗素子55の抵抗値とに基づいて、撮像素子100からのリーク電流を算出する。
【0110】
算出部57は更に、算出されたリーク電流の電流値に基づいて、撮像素子100が良品であるか不良品であるかを判定してもよい。例えば、算出部57は、算出したリーク電流の電流値が、予め定められた値より大きい場合に撮像素子100を不良品と判定し、当該値以下である場合に撮像素子100を良品と判定してもよい。
【0111】
以上の実施形態による撮像ユニット45も、
図1から4を用いて説明した実施形態と同様の効果を有する。
【0112】
以上の複数の実施形態において、第1の電源回路部および第2の電源回路部は、両方とも実装基板上に実装されていてもよく、両方とも電源基板上に実装されていてもよく、一方が実装基板に実装されて他方が電源基板に実装されてもよい。
【0113】
撮像ユニットには、多種多様な電源回路が10個程度載せられている場合があり、その中には、実装基板に載せるべき電源回路、例えばアナログ系の電源回路が存在する。例えば、撮像素子の画素回路を駆動するための電力を供給する画素電源は、電源のふらつきに起因するノイズが画素系に与える信号に影響することを抑止するために、撮像素子を実装する基板に載せることが好ましい。
【0114】
そこで、複数の実施形態に係る撮像ユニットでは、電源回路の種類に応じて、実装基板および電源基板における第1の電源回路部および第2の電源回路部の配置を異ならせてもよい。例えば、ノイズに弱い電源回路ならば、LDOなどのレギュレータを実装基板上に配置してノイズの混入を少なくしてもよい。例えば、デジタル系の電源回路ならば、ノイズが影響しても比較的余裕度があるので、DCDCなどのレギュレータを電源基板上に配置してもよい。なお、撮像ユニットの実装基板に第1の電源回路部および第2の電源回路部の両方が実装される場合、電源基板は、撮像ユニットに含まれない、独立した構成要素と考えてもよい。
【0115】
以上の複数の実施形態において、レンズユニット及びカメラボディを含むカメラを、撮像装置の一例として取り上げて説明した。しかし、撮像装置は、レンズユニットを含まなくてよい。例えば、カメラボディは撮像装置の一例である。また、撮像装置とは、一眼レフレックスカメラ等のレンズ交換式の撮像装置の他に、レンズ非交換式の撮像装置を含む概念である。
【0116】
なお、ASICや電源ユニットなどを含めて撮像ユニットと呼ぶ場合もある。また、追加的に又は代替的に、第1フレキシブル基板や第2フレキシブル基板などを含めて撮像ユニットと呼ぶ場合もある。
【0117】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0118】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0119】
10 カメラ、20 レンズユニット、22 光軸、30 カメラボディ、31 筐体、40、41、42、43、44、45 撮像ユニット、100 撮像素子、101 撮像領域、102 周辺領域、104 処理回路、105 伝送回路、107 発信部、110 ボンディングワイヤ、120 実装基板、111 第1主面、112 第2主面、121 第1層、122 第2層、131 ビア、132 絶縁体、138 開口部、180、182、184 コネクタ、185 バイパスコンデンサ群、187 回路群、190 検知部、201、211 ソルダレジスト層、202、204、212、214 配線層、203、205、213、215 絶縁層、207 芯層、210、220、230 接着部、240 ボンディングパッド、140 フレーム、141 第1面、142 第2面、143 第3面、144 第4面、145 第5面、146 第6面、147 位置決め穴、148 取付穴、149 ビス、150 ブラケット、160 カバーガラス、250 第1フレキシブル基板、260 第2フレキシブル基板、261 信号線、262 電源線、263 グランド線、60 基板ユニット、62 基板、51 MPU、52 ASIC、53 電源ユニット、54 シーケンス回路、55 抵抗素子、56 電圧測定部、57 算出部、88 表示部、310、320、330 第1の電源回路部、311 LDO、312、325 コンデンサ、321 DCDC、322 コイル、323、324、331 抵抗素子、410、420、430、440、450、460 第2の電源回路部、411、461 抵抗素子、412、462 スイッチ素子、421、431、441 LDO、442 コンデンサ