(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173075
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】レジスト材料及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20221110BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20221110BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20221110BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20221110BHJP
C08F 220/12 20060101ALI20221110BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221110BHJP
C07D 333/76 20060101ALN20221110BHJP
C07D 333/54 20060101ALN20221110BHJP
C07D 307/00 20060101ALN20221110BHJP
C07D 327/04 20060101ALN20221110BHJP
C07D 321/10 20060101ALN20221110BHJP
【FI】
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/038 601
C09K3/00 K
C08F220/12
G03F7/20 521
C07D333/76
C07D333/54
C07D307/00
C07D327/04
C07D321/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062740
(22)【出願日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2021078970
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197GA01
2H197HA03
2H197JA22
2H225AF15P
2H225AF16P
2H225AF23P
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2H225AF91P
2H225AH14
2H225AH19
2H225AH32
2H225AJ12
2H225AJ13
2H225AJ47
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2H225AM12P
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2H225AM94P
2H225AN11P
2H225AN39P
2H225AN44P
2H225AN57P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC15
4J100AB07Q
4J100AL08P
4J100AL08R
4J100BA03Q
4J100BA15R
4J100BA56R
4J100BB07P
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4J100BC03P
4J100BC09R
4J100BC43P
4J100CA03
4J100CA04
4J100CA05
4J100DA01
4J100DA04
4J100JA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】LWRやCDUが改善されたレジスト材料を提供する。
【解決手段】ベースポリマー、及び下記式(A-1)で表されるスルホニウム塩又は下記式(A-2)で表されるヨードニウム塩を含む酸発生剤を含むレジスト材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースポリマー、及び下記式(A-1)で表されるスルホニウム塩又は下記式(A-2)で表されるヨードニウム塩を含む酸発生剤を含むレジスト材料。
【化1】
(式中、kは、0~2の整数である。pは、1~5の整数である。qは、0~4の整数である。rは1又は2である。sは、0~3の整数である。ただし、1≦r+s≦4である。
円Rは、炭素数6~14の環式ヒドロカルビル基である。
L
1は、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビレン基であり、該飽和ヒドロカルビレン基を構成する-CH
2-の一部が、エーテル結合、エステル結合、アミド結合若しくはカーボネート結合で置換されていてもよい。
L
2は、単結合又は炭素数1~20の2価の連結基であり、該連結基は、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
Rf
1~Rf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、これらのうち少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
R
fは、フッ素原子、炭素数1~10のフッ素化アルキル基、炭素数1~10のフッ素化アルキルオキシ基、炭素数1~10のフッ素化アルキルチオ基、炭素数2~11のフッ素化アルキルカルボニルオキシ基、炭素数1~10のフッ素化アルキルスルホニルオキシ基、炭素数2~11のフッ素化アルキルカルボニルアミノ基又は炭素数1~10のフッ素化アルキルスルホニルアミノ基であり、これらの基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、pが2以上のとき、複数のR
fが結合してこれらが結合する原子と共に環を形成してもよい。
R
1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、塩素原子、臭素原子若しくはアミノ基、若しくは塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはエーテル結合を含んでいてもよい、炭素数1~20のヒドロカルビル基、炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20のヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~20のヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R
1A)(R
1B)、-N(R
1C)-C(=O)-R
1D若しくは-N(R
1C)-C(=O)-O-R
1Dである。R
1A及びR
1Bは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R
1Cは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。R
1Dは、炭素数1~16の脂肪族ヒドロカルビル基又は炭素数6~12のアリール基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。
R
2は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子である。
R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R
3及びR
4が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【請求項2】
円Rが、炭素数6~14のアリール基である請求項1記載のレジスト材料。
【請求項3】
前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものである請求項1又は2記載のレジスト材料。
【化2】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
X
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合若しくはラクトン環を含む炭素数1~12の連結基である。
X
2は、単結合又はエステル結合である。
X
3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。
R
11及びR
12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。
R
13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基又は炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。
R
14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、その-CH
2-の一部が、エーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。
aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。)
【請求項4】
化学増幅ポジ型レジスト材料である請求項3記載のレジスト材料。
【請求項5】
前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものである請求項1又は2記載のレジスト材料。
【請求項6】
化学増幅ネガ型レジスト材料である請求項5記載のレジスト材料。
【請求項7】
前記ベースポリマーが、下記式(f1)~(f3)のいずれかで表される繰り返し単位を含むものである請求項1~6のいずれか1項記載のレジスト材料。
【化3】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
Z
1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z
11-、-C(=O)-O-Z
11-若しくは-C(=O)-NH-Z
11-である。Z
11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
Z
2は、単結合又はエステル結合である。
Z
3は、単結合、-Z
31-C(=O)-O-、-Z
31-O-又は-Z
31-O-C(=O)-である。Z
31は、炭素数1~12のヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヨウ素原子又は臭素原子を含んでいてもよい。
Z
4は、メチレン基、2,2,2-トリフルオロ-1,1-エタンジイル基又はカルボニル基である。
Z
5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-O-Z
51-、-C(=O)-O-Z
51-又は-C(=O)-NH-Z
51-である。Z
51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
R
21~R
28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R
23及びR
24又はR
26及びR
27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
M
-は、非求核性対向イオンである。)
【請求項8】
更に、有機溶剤を含む請求項1~7のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項9】
更に、クエンチャーを含む請求項1~8のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項10】
更に、界面活性剤を含む請求項1~9のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項記載のレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
【請求項12】
前記高エネルギー線が、波長193nmのArFエキシマレーザー光又は波長248nmのKrFエキシマレーザー光である請求項11記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記高エネルギー線が、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線である請求項11記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。5Gの高速通信と人工知能(artificial intelligence、AI)の普及が進み、これを処理するための高性能デバイスが必要とされているためである。最先端の微細化技術としては、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)リソグラフィーによる5nmノードのデバイスの量産が行われている。更には、次世代の3nmノード、次次世代の2nmノードデバイスにおいてもEUVリソグラフィーを用いた検討が進められている。
【0003】
EUVレジスト材料においては、高感度化、高解像度化及び低エッジラフネス(LWR)化を同時に達成する必要がある。酸拡散距離を短くするとLWRは小さくなるが、低感度化する。例えば、ポストエクスポージャーベーク(PEB)温度を低くすることによってLWRは小さくなるが、低感度化する。クエンチャーの添加量を増やしてもLWRが小さくなるが、低感度化する。感度とLWRのトレードオフの関係を打ち破ることが必要である。
【0004】
EUVは、ArFエキシマレーザー光に比べて1桁以上短波長であり、エネルギー密度が1桁高い。これによって、EUV露光におけるフォトレジスト層が感光するフォトンの数がArF光に比べて14分の1と非常に少なく、フォトンのバラツキが寸法のバラツキ(LWRや寸法均一性(CDU))に影響を及ぼすと言われている。さらに、フォトンのバラツキによって、ホールパターンが数百万分の一の確率で開口しないといった現象が起こる。フォトンのバラツキを小さくするため、フォトレジスト材料の光の吸収を上げる必要があることが指摘されている。
【0005】
フッ素原子で置換された環を有する酸を発生させる酸発生剤が提案されている(特許文献1、2)。フッ素原子はEUVを吸収する性質があり、これを導入した酸発生剤はEUV露光における酸発生効率が向上する。しかしながら、フッ素原子は酸拡散を制御する機能がないため、酸拡散の増大によって現像後のレジストパターンのLWRやCDUが劣化する。剛直な環構造は酸拡散を制御するが、これだけでは不十分である。
【0006】
フッ素原子で置換された環構造を末端に有し、環構造のリンカーを有するスルホン酸を発生する酸発生剤(特許文献3)、ラクトンリンカーを有するスルホン酸を発生する酸発生剤(特許文献4)、カーボネートリンカーを有するスルホン酸を発生する酸発生剤(特許文献5)が提案されている。これらのリンカー構造の導入によっても酸拡散が短くなるが、更に酸拡散を制御する必要がある。微細化の進行と共に、化学増幅レジスト材料における酸の拡散を極限まで短くすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-121937号公報
【特許文献2】特開2020-015715号公報
【特許文献3】特開2013-053137号公報
【特許文献4】特開2020-063242号公報
【特許文献5】特開2019-053287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
レジスト材料に用いられる酸発生剤として、高感度であり、LWRを低減し、ホールパターンのCDUを向上させることが可能な酸発生剤の開発が望まれている。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、ポジ型であってもネガ型であっても、高感度であり、LWRやCDUが改善されたレジスト材料、及びこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、フッ素原子含有環式基及びニトロ基で置換されたフェニレン基を有するフッ素化スルホン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩を酸発生剤として用いることによって、LWR及びCDUが改善され、コントラストが高く、解像性に優れ、プロセスマージンが広いレジスト材料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、下記レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
1.ベースポリマー、及び下記式(A-1)で表されるスルホニウム塩又は下記式(A-2)で表されるヨードニウム塩を含む酸発生剤を含むレジスト材料。
【化1】
(式中、kは、0~2の整数である。pは、1~5の整数である。qは、0~4の整数である。rは1又は2である。sは、0~3の整数である。ただし、1≦r+s≦4である。
円Rは、炭素数6~14の環式ヒドロカルビル基である。
L
1は、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビレン基であり、該飽和ヒドロカルビレン基を構成する-CH
2-の一部が、エーテル結合、エステル結合、アミド結合若しくはカーボネート結合で置換されていてもよい。
L
2は、単結合又は炭素数1~20の2価の連結基であり、該連結基は、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
Rf
1~Rf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、これらのうち少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
R
fは、フッ素原子、炭素数1~10のフッ素化アルキル基、炭素数1~10のフッ素化アルキルオキシ基、炭素数1~10のフッ素化アルキルチオ基、炭素数2~11のフッ素化アルキルカルボニルオキシ基、炭素数1~10のフッ素化アルキルスルホニルオキシ基、炭素数2~11のフッ素化アルキルカルボニルアミノ基又は炭素数1~10のフッ素化アルキルスルホニルアミノ基であり、これらの基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、pが2以上のとき、複数のR
fが結合してこれらが結合する原子と共に環を形成してもよい。
R
1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、塩素原子、臭素原子若しくはアミノ基、若しくは塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはエーテル結合を含んでいてもよい、炭素数1~20のヒドロカルビル基、炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20のヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~20のヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R
1A)(R
1B)、-N(R
1C)-C(=O)-R
1D若しくは-N(R
1C)-C(=O)-O-R
1Dである。R
1A及びR
1Bは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R
1Cは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。R
1Dは、炭素数1~16の脂肪族ヒドロカルビル基又は炭素数6~12のアリール基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。
R
2は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子である。
R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R
3及びR
4が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
2.円Rが、炭素数6~14のアリール基である1のレジスト材料。
3.前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものである1又は2のレジスト材料。
【化2】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
X
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合若しくはラクトン環を含む炭素数1~12の連結基である。
X
2は、単結合又はエステル結合である。
X
3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。
R
11及びR
12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。
R
13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基又は炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。
R
14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、その-CH
2-の一部が、エーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。
aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。)
4.化学増幅ポジ型レジスト材料である3のレジスト材料。
5.前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものである1又は2のレジスト材料。
6.化学増幅ネガ型レジスト材料である5のレジスト材料。
7.前記ベースポリマーが、下記式(f1)~(f3)のいずれかで表される繰り返し単位を含むものである1~6のいずれかのレジスト材料。
【化3】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
Z
1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z
11-、-C(=O)-O-Z
11-若しくは-C(=O)-NH-Z
11-である。Z
11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
Z
2は、単結合又はエステル結合である。
Z
3は、単結合、-Z
31-C(=O)-O-、-Z
31-O-又は-Z
31-O-C(=O)-である。Z
31は、炭素数1~12のヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヨウ素原子又は臭素原子を含んでいてもよい。
Z
4は、メチレン基、2,2,2-トリフルオロ-1,1-エタンジイル基又はカルボニル基である。
Z
5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-O-Z
51-、-C(=O)-O-Z
51-又は-C(=O)-NH-Z
51-である。Z
51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
R
21~R
28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R
23及びR
24又はR
26及びR
27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
M
-は、非求核性対向イオンである。)
8.更に、有機溶剤を含む1~7のいずれかのレジスト材料。
9.更に、クエンチャーを含む1~8のいずれかのレジスト材料。
10.更に、界面活性剤を含む1~9のいずれかのレジスト材料。
11.1~10のいずれかのレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
12.前記高エネルギー線が、波長193nmのArFエキシマレーザー光又は波長248nmのKrFエキシマレーザー光である11のパターン形成方法。
13.前記高エネルギー線が、EB又は波長3~15nmのEUVである11のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0012】
前記フッ素原子含有環式基及びニトロ基で置換されたフェニレン基を有するフッ素化スルホン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩は、ニトロ基が酸拡散を抑えて酸拡散距離が均一化するという特徴を有する。さらに、ニトロ基の分極のため、露光中にニトロ基から二次電子が発生し高感度化される。また、フッ素原子の反発によって凝集することがなく分散性に優れる。これらによって、高感度であり、LWR及びCDUが改善されたレジスト材料を構築することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、ベースポリマー、及び式(A-1)で表されるスルホニウム塩又は式(A-2)で表されるヨードニウム塩を含む酸発生剤を含む。前記スルホニウム塩及びヨードニウム塩は、光照射によって、フッ素原子含有環式基及びニトロ基で置換されたフェニレン基を有するフッ素化スルホン酸(以下、フッ素化スルホン酸FNともいう。)を発生する酸発生剤である。本発明のレジスト材料には、これとは異なるスルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生させる酸発生剤を添加してもよいし、ベースポリマーに結合しているバウンド型の酸発生剤と組み合わせてもよい。
【0014】
式(A-1)で表されるスルホニウム塩と、これよりも弱酸のスルホン酸又はカルボン酸のスルホニウム塩を混合した状態で光照射を行うと、フッ素化スルホン酸FN及びこれよりも弱酸のスルホン酸又はカルボン酸が発生する。酸発生剤は全て分解しているわけではないので、近傍に分解していない酸発生剤が存在している。ここで、フッ素化スルホン酸FNと、これよりも弱酸のスルホン酸及びカルボン酸のスルホニウム塩とが共存すると、フッ素化スルホン酸FNと、弱酸のスルホン酸及びカルボン酸のスルホニウム塩とのイオン交換が起こり、フッ素化スルホン酸FNの塩が生成し、弱酸のスルホン酸やカルボン酸がリリースされる。これは、酸としての強度が高いフッ素化スルホン酸FNの塩の方が安定であるためである。一方、フッ素化スルホン酸FNのスルホニウム塩と、弱酸のスルホン酸やカルボン酸とが存在していてもイオン交換は起こらない。この酸強度の序列によるイオン交換は、スルホニウム塩だけでなく、ヨードニウム塩の場合でも同様に起こる。フッ素化スルホン酸FNのスルホニウム塩又はヨードニウム塩である酸発生剤と組み合わせた場合、弱酸のスルホニウム塩やヨードニウム塩はクエンチャーとして機能する。
【0015】
光学像のコントラストを向上させることによって、レジスト膜の溶解コントラストが向上し、LWRやCDUが改善される。光は波であると同時に粒子でもあるので、レジスト膜に吸収される粒子の数が増えることによってもレジスト膜の溶解コントラストが向上し、CDUやLWRが改善される。
【0016】
ニトロ基はプラスチャージとマイナスチャージに分極しているが、露光中にマイナスチャージ部分から二次電子が発生し、酸発生剤の分解が促進されて高感度化する。特に、近傍に高吸収なフッ素原子が存在している場合にニトロ基からの二次電子の発生量が多くなる。特にフッ素原子の置換数が3以上の場合、この効果が顕著である。
【0017】
フッ素化スルホン酸FNのスルホニウム塩又はヨードニウム塩は、アニオンにフッ素原子及び酸拡散を制御するニトロ基が導入されているため酸拡散が小さく、更にフッ素原子の反発によって凝集することがなく分散性に優れ、これによってもLWRやCDUが向上する。ニトロ基は親水性が高いため、フッ素原子によるアルカリ現像液の溶解性低下を相殺する効果もある。
【0018】
フッ素化スルホン酸FNのスルホニウム塩又はヨードニウム塩によるLWRやCDUの向上効果は、アルカリ水溶液現像によるポジ型パターン形成やネガ型パターン形成においても、有機溶剤現像におけるネガ型パターン形成のどちらにおいても有効である。
【0019】
[フッ素原子含有環式基及びニトロ基で置換されたフェニレン基を有するフッ素化スルホン酸のスルホニウム塩及びヨードニウム塩]
本発明のレジスト材料に含まれるスルホニウム塩及びヨードニウム塩は、それぞれ下記式(A-1)及び(A-2)で表されるものである。
【化4】
【0020】
式(A-1)及び(A-2)中、kは、0~2の整数である。pは、1~5の整数である。qは、0~4の整数である。rは1又は2である。
【0021】
式(A-1)及び(A-2)中、円Rは、炭素数6~14の環式ヒドロカルビル基である。前記炭素数6~14の環式ヒドロカルビル基としては、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数6~14の環式飽和ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~14のアリール基等が挙げられる。これらのうち、円Rとしては、炭素数6~14のアリール基であることが好ましい。
【0022】
式(A-1)及び(A-2)中、L1は、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合炭素数1~6の飽和ヒドロカルビレン基であり、該飽和ヒドロカルビレン基を構成する-CH2-の一部が、エーテル結合、エステル結合、アミド結合若しくはカーボネート結合で置換されていてもよい。なお、前記飽和ヒドロカルビレン基中の-CH2-は、その末端に位置するものであってもよい。
【0023】
L1で表される炭素数1~6の飽和ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等の炭素数1~6のアルカンジイル基;シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の炭素数3~6の環式飽和ヒドロカルビレン基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0024】
式(A-1)及び(A-2)中、L2は、単結合又は炭素数1~20の2価の連結基であり、該連結基は、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
【0025】
前記炭素数1~20の2価の連結基としては、エステル結合、アミド結合、炭素数1~20のヒドロカルビレン基等が挙げられる。前記ヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基等の炭素数1~20のアルカンジイル基;シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の炭素数3~20の環式飽和ヒドロカルビレン基;ビニレン基、プロペン-1,3-ジイル基、2-ブテン-1,4-ジイル基等の炭素数2~20の不飽和脂肪族ヒドロカルビレン基;フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6~20のアリーレン基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。また、前記ヒドロカルビレン基を構成する-CH2-の一部が、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、スルホン酸エステル結合等で置換されていてもよい。なお、前記飽和ヒドロカルビレン基中の-CH2-は、その末端に位置するものであってもよい。
【0026】
式(A-1)及び(A-2)中、Rf1~Rf4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、これらのうち少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。特に、k=0のときは、Rf3及びRf4のうち少なくとも1つがフッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、k=1のときは、Rf1~Rf4のうち少なくとも1つがフッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、k=2のときは、-SO3
-のβ炭素に結合するRf1及びRf2並びにRf3及びRf4のうち少なくとも1つがフッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0027】
式(A-1)及び(A-2)中、Rfは、フッ素原子、炭素数1~10のフッ素化アルキル基、炭素数1~10のフッ素化アルキルオキシ基、炭素数1~10のフッ素化アルキルチオ基、炭素数2~11のフッ素化アルキルカルボニルオキシ基、炭素数1~10のフッ素化アルキルスルホニルオキシ基、炭素数2~11のフッ素化アルキルカルボニルアミノ基又は炭素数1~10のフッ素化アルキルスルホニルアミノ基であり、これらの基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、pが2以上のとき、複数のRfが結合してこれらが結合する原子と共に環を形成してもよい。
【0028】
前記フッ素化アルキル基並びにフッ素化アルキルオキシ基、フッ素化アルキルチオ基、フッ素化アルキルカルボニルオキシ基、フッ素化アルキルスルホニルオキシ基、フッ素化アルキルカルボニルアミノ基及びフッ素化アルキルスルホニルアミノ基のフッ素化アルキル部は、炭素数1~10のアルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものであり、その具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル基等が挙げられる。
【0029】
式(A-1)及び(A-2)中、R1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはアミノ基、若しくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはエーテル結合を含んでいてもよい、炭素数1~20のヒドロカルビル基、炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20のヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~20のヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R1A)(R1B)、-N(R1C)-C(=O)-R1D若しくは-N(R1C)-C(=O)-O-R1Dである。R1A及びR1Bは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R1Cは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。R1Dは、炭素数1~16の脂肪族ヒドロカルビル基又は炭素数6~12のアリール基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。
【0030】
R1で表される炭素数1~20のヒドロカルビル基並びに炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20のヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基及び炭素数1~20のヒドロカルビルスルホニルオキシ基のヒドロカルビル部は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の炭素数1~20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の炭素数3~20の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~20のアルケニル基;シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の炭素数2~20の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の炭素数2~20のアルキニル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、n-プロピルナフチル基、イソプロピルナフチル基、n-ブチルナフチル基、イソブチルナフチル基、sec-ブチルナフチル基、tert-ブチルナフチル基等の炭素数6~20のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7~20のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0031】
R1A、R1B及びR1Cで表される炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~6の環式飽和ヒドロカルビル基が挙げられる。また、R1Cに含まれ得る炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基の飽和ヒドロカルビル部としては、前述した飽和ヒドロカルビル基の具体例と同様のものが挙げられ、R1Cに含まれ得る炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基及び炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基の飽和ヒドロカルビル部としては、前述した炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基の具体例のうち炭素数1~5のものが挙げられる。
【0032】
R1Dで表される脂肪族ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等の炭素数1~16のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の炭素数3~16の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~16のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の炭素数2~20のアルキニル基;シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の炭素数3~16の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。R1Dで表される炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R1Dに含まれ得る炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基のヒドロカルビル部としては、R1A、R1B及びR1Cで表される炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられ、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基の飽和ヒドロカルビル部としては、前述した炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基の具体例のうち炭素数1~5のものが挙げられる。
【0033】
式(A-1)及び(A-2)中、R2は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子である。前記アルキル基並びにアルキルオキシ基及びアルキルカルボニルオキシ基のアルキル部としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0034】
式(A-1)及び(A-2)中、R3、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。
【0035】
R3~R7で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0036】
R3~R7で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の炭素数1~20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の炭素数3~20の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~20のアルケニル基;シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の炭素数3~20の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の炭素数2~20のアルキニル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、n-プロピルナフチル基、イソプロピルナフチル基、n-ブチルナフチル基、イソブチルナフチル基、sec-ブチルナフチル基、tert-ブチルナフチル基等の炭素数6~20のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7~20のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0037】
また、R
3及びR
4が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、以下に示す構造のものが好ましい。
【化5】
(式中、破線は、R
5との結合手である。)
【0038】
式(A-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化6】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
式(A-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化30】
【0063】
【0064】
式(A-1)で表されるスルホニウム塩及び式(A-2)で表されるヨードニウム塩のアニオンは、フッ素原子を有する環構造と、これとフルオロスルホン酸部との間のリンカー部分としてニトロ基で置換されたフェニレン基を有しており、フッ素原子によるEUVの吸収とフッ素原子の電気的反発とによって式(A-1)で表されるスルホニウム塩及び式(A-2)で表されるヨードニウム塩の凝集を防いで均一に分散し、反応点が均一化する。さらに、式(A-1)で表されるスルホニウム塩及び式(A-2)で表されるヨードニウム塩のアニオンは、ニトロ基を有するため、酸拡散制御能を有する。
【0065】
式(A-1)で表されるスルホニウム塩及び式(A-2)で表されるヨードニウム塩のアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化32】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
式(A-1)で表されるスルホニウム塩及び式(A-2)で表されるヨードニウム塩の合成方法としては、フッ素化スルホン酸のアンモニウム塩と、フッ素化スルホン酸よりも弱酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩とをイオン交換する方法が挙げられる。フッ素化スルホン酸よりも弱い酸としては、炭酸、ハロゲン、カルボン酸等が挙げられる。また、フッ素化スルホン酸のナトリウム塩やアンモニウム塩と、スルホニウムクロリド又はヨードニウムクロリドとをイオン交換して合成することもできる。
【0102】
本発明のレジスト材料中、式(A-1)で表されるスルホニウム塩又は式(A-2)で表されるヨードニウム塩の含有量は、後述するベースポリマー100質量部に対し、感度と酸拡散抑制効果の点から0.01~1,000質量部が好ましく、0.05~500質量部がより好ましい。
【0103】
[ベースポリマー]
本発明のレジスト材料に含まれるベースポリマーは、ポジ型レジスト材料の場合、酸不安定基を含む繰り返し単位を含む。酸不安定基を含む繰り返し単位としては、下記式(a1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a1ともいう。)又は下記式(a2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a2ともいう。)が好ましい。
【化68】
【0104】
式(a1)及び(a2)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。X1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合若しくはラクトン環を含む炭素数1~12の連結基である。X2は、単結合又はエステル結合である。X3は、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。R11及びR12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。R13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基又は炭素数2~7の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。R14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、その-CH2-の一部が、エーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。aは、1又は2である。bは、0~4の整数である。
【0105】
繰り返し単位a1を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びR
11は、前記と同じである。
【化69】
【0106】
繰り返し単位a2を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びR
12は、前記と同じである。
【化70】
【0107】
式(a1)及び(a2)中、R11及びR12で表される酸不安定基としては、例えば、特開2013-80033号公報や特開2013-83821号公報に記載のものが挙げられる。
【0108】
典型的には、前記酸不安定基としては、下記式(AL-1)~(AL-3)で表されるものが挙げられる。
【化71】
(式中、破線は、結合手である。)
【0109】
式(AL-1)及び(AL-2)中、RL1及びRL2は、それぞれ独立に、炭素数1~40のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~40の飽和ヒドロカルビル基が好ましく、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基がより好ましい。
【0110】
式(AL-1)中、cは、0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。
【0111】
式(AL-2)中、RL3及びRL4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基が好ましい。また、RL2、RL3及びRL4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0112】
式(AL-3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基が好ましい。また、RL5、RL6及びRL7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0113】
前記ベースポリマーは、密着性基としてフェノール性ヒドロキシ基を含む繰り返し単位bを含んでもよい。繰り返し単位bを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化72】
【0114】
前記ベースポリマーは、他の密着性基として、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、スルトン環、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、シアノ基又はカルボキシ基を含む繰り返し単位cを含んでもよい。繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化73】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
前記ベースポリマーは、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン又はこれらの誘導体に由来する繰り返し単位dを含んでもよい。繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化81】
【0123】
前記ベースポリマーは、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダン、ビニルピリジン又はビニルカルバゾールに由来する繰り返し単位eを含んでもよい。
【0124】
前記ベースポリマーは、重合性不飽和結合を含むオニウム塩に由来する繰り返し単位fを含んでもよい。好ましい繰り返し単位fとしては、下記式(f1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f1ともいう。)、下記式(f2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f2ともいう。)及び下記式(f3)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f3ともいう。)が挙げられる。なお、繰り返し単位f1~f3は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【化82】
【0125】
式(f1)~(f3)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-若しくは-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z2は、単結合又はエステル結合である。Z3は、単結合、-Z31-C(=O)-O-、-Z31-O-又は-Z31-O-C(=O)-である。Z31は、炭素数1~12のヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヨウ素原子又は臭素原子を含んでいてもよい。Z4は、メチレン基、2,2,2-トリフルオロ-1,1-エタンジイル基又はカルボニル基である。Z5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-O-Z51-、-C(=O)-O-Z51-又は-C(=O)-NH-Z51-である。Z51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
【0126】
式(f1)~(f3)中、R21~R28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(A-1)及び(A-2)中のR3~R7の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。また、R23及びR24又はR26及びR27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(A-1)の説明において、R3及びR4が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0127】
式(f1)中、M-は、非求核性対向イオンである。前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルキルスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルキルスルホネートイオン;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドイオン等のイミドイオン;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチドイオンが挙げられる。
【0128】
前記非求核性対向イオンの他の例として、下記式(f1-1)で表されるα位がフッ素原子で置換されたスルホン酸イオン、下記式(f1-2)で表されるα位がフッ素原子で置換され、β位がトリフルオロメチル基で置換されたスルホン酸イオン等が挙げられる。
【化83】
【0129】
式(f1-1)中、R31は、水素原子又は炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、ラクトン環又はフッ素原子を含んでいてもよい。
【0130】
式(f1-2)中、R32は、水素原子、炭素数1~30のヒドロカルビル基又は炭素数2~30のヒドロカルビルカルボニル基であり、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基又はラクトン環を含んでいてもよい。
【0131】
R31又はR32で表されるヒドロカルビル基及びヒドロカルビルカルボニル基のヒドロカルビル部は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、イコサニル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基等の環式飽和ヒドロカルビル基;アリル基等のアルケニル基;3-シクロヘキセニル基等の環式不飽和ヒドロカルビル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、ジフェニルメチル基等のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0132】
また、前記ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルカルボニル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルカルボニル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2-メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2-カルボキシ-1-シクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、4-オキソ-1-アダマンチル基、3-オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0133】
繰り返し単位f1を与えるモノマーのカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化84】
【0134】
繰り返し単位f2又f3を与えるモノマーのカチオンの具体例としては、式(A-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0135】
繰り返し単位f2を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化85】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
繰り返し単位f3を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化97】
【0148】
ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってLWR及びCDUが改善される。
【0149】
ポジ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基を含む繰り返し単位a1又はa2を必須とする。この場合、繰り返し単位a1、a2、b、c、d、e及びfの含有比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8及び0≦f≦0.5が好ましく、0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0.1≦a1+a2≦0.9、0≦b≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7及び0≦f≦0.4がより好ましく、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、0≦b≦0.75、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1~f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、a1+a2+b+c+d+e+f=1.0である。
【0150】
一方、ネガ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基は必ずしも必要ではない。このようなベースポリマーとしては、繰り返し単位bを含み、必要に応じて更に繰り返し単位c、d、e及び/又はfを含むものが挙げられる。これらの繰り返し単位の含有比率は、0<b≦1.0、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8及び0≦f≦0.5が好ましく、0.2≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7及び0≦f≦0.4がより好ましく、0.3≦b≦1.0、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1~f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、b+c+d+e+f=1.0である。
【0151】
前記ベースポリマーを合成するには、例えば、前述した繰り返し単位を与えるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱し、重合を行えばよい。
【0152】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。重合時の温度は、好ましくは50~80℃である。反応時間は、好ましくは2~100時間、より好ましくは5~20時間である。
【0153】
ヒドロキシ基を含むモノマーを共重合する場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0154】
ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンのかわりにアセトキシスチレンやアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後前記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンにしてもよい。
【0155】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度は、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~60℃である。反応時間は、好ましくは0.2~100時間、より好ましくは0.5~20時間である。
【0156】
前記ベースポリマーは、溶剤としてTHFを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~30,000である。Mwが前記範囲であれば、レジスト膜の耐熱性やアルカリ現像液への溶解性が良好である。
【0157】
また、前記ベースポリマーにおいて分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在するため、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。パターンルールが微細化するに従って、MwやMw/Mnの影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、前記ベースポリマーのMw/Mnは、1.0~2.0、特に1.0~1.5と狭分散であることが好ましい。
【0158】
前記ベースポリマーは、組成比率、Mw、Mw/Mnが異なる2つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0159】
[有機溶剤]
本発明のレジスト材料は、有機溶剤を含んでもよい。前記有機溶剤は、前述した各成分及び後述する各成分が溶解可能なものであれば、特に限定されない。前記有機溶剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0144]~[0145]に記載の、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類;γ-ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。
【0160】
本発明のレジスト材料中、前記有機溶剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、100~10,000質量部が好ましく、200~8,000質量部がより好ましい。前記有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0161】
[クエンチャー]
本発明のレジスト材料は、クエンチャーを含んでもよい。なお、クエンチャーとは、レジスト材料中の酸発生剤より発生した酸をトラップすることで未露光部への拡散を防ぐことができる化合物を意味する。
【0162】
前記クエンチャーとしては、従来型の塩基性化合物が挙げられる。従来型の塩基性化合物としては、第1級、第2級、第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。特に、特開2008-111103号公報の段落[0146]~[0164]に記載の第1級、第2級、第3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル結合を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカーバメート基を有する化合物等が好ましい。このような塩基性化合物を添加することによって、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度を更に抑制したり、形状を補正したりすることができる。
【0163】
また、前記クエンチャーとして、特開2008-158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸の、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸は、カルボン酸エステルの酸不安定基を脱保護させるために必要であるが、α位がフッ素化されていないオニウム塩との塩交換によってα位がフッ素化されていないスルホン酸又はカルボン酸が放出される。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸は脱保護反応を起こさないため、クエンチャーとして機能する。
【0164】
このようなクエンチャーとしては、例えば、下記式(B)で表される化合物(α位がフッ素化されていないスルホン酸のオニウム塩)及び下記式(C)で表される化合物(カルボン酸のオニウム塩)が挙げられる。
【化98】
【0165】
式(B)中、R101は、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基であるが、スルホ基のα位の炭素原子に結合する水素原子が、フッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたものを除く。
【0166】
前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等の炭素数1~40のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基等の炭素数3~40の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~40のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の炭素数3~40の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基、アルキルフェニル基(2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基等)、ジアルキルフェニル基(2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基等)、アルキルナフチル基(メチルナフチル基、エチルナフチル基等)、ジアルキルナフチル基(ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等)等の炭素数6~40のアリール基;チエニル基等のヘテロアリール基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等の炭素数7~40のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0167】
また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、4-ヒドロキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-tert-ブトキシフェニル基、3-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、n-プロポキシナフチル基、n-ブトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基;ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基;2-フェニル-2-オキソエチル基、2-(1-ナフチル)-2-オキソエチル基、2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル基等の2-アリール-2-オキソエチル基等のアリールオキソアルキル基等が挙げられる。
【0168】
式(C)中、R102は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。R102で表されるヒドロカルビル基としては、R101で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、その他の具体例として、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-メチル-1-ヒドロキシエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)-1-ヒドロキシエチル基等の含フッ素アルキル基;ペンタフルオロフェニル基や4-トリフルオロメチルフェニル基等の含フッ素アリール基等も挙げられる。
【0169】
式(B)及び(C)中、Mq+は、オニウムカチオンである。前記オニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はアンモニウムカチオンが好ましく、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンがより好ましい。スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンとしては、それぞれ式(A-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとして例示したものと同様のもの及び式(A-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0170】
クエンチャーとして、下記式(D)で表されるヨウ素化ベンゼン環含有カルボン酸のスルホニウム塩も好適に使用できる。
【化99】
【0171】
式(D)中、R201は、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、若しくは水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~4の飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R201A)(R201B)、-N(R201C)-C(=O)-R201D若しくは-N(R201C)-C(=O)-O-R201Dである。R201A及びR201Bは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R201Cは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R201Dは、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基又は炭素数2~8の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基である。前記飽和ヒドロカルビル基、飽和ヒドロカルビルオキシ基、飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基及び飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。y及び/又はzが2以上のとき、各R201は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0172】
式(D)中、xは、1~5の整数である。yは、0~3の整数である。zは、1~3の整数である。L11は、単結合又は炭素数1~20の(z+1)価の連結基であり、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、スルトン環、ラクタム環、カーボネート結合、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0173】
式(D)中、R202、R203及びR204は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(A-1)及び(A-2)中のR3~R7で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、スルトン環、スルホ基又はスルホニウム塩含有基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、アミド結合、カーボネート結合又はスルホン酸エステル結合で置換されていてもよい。また、R202とR203とが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(A-1)の説明において、R3及びR4が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0174】
式(D)で表される化合物の具体例としては、特開2017-219836号公報に記載されたものが挙げられる。
【0175】
前記クエンチャーとしては、更に、特開2008-239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーが挙げられる。これは、コート後のレジスト膜表面に配向することによってレジストパターンの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0176】
本発明のレジスト材料が前記クエンチャーを含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。
【0177】
[その他の成分]
本発明のレジスト材料は、前述した成分に加えて、式(A-1)で表されるスルホニウム塩又は式(A-2)で表されるヨードニウム塩以外の酸発生剤(以下、その他の酸発生剤という。)、界面活性剤、溶解阻止剤、架橋剤、撥水性向上剤、アセチレンアルコール類等を含んでもよい。
【0178】
前記その他の酸発生剤としては、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)が挙げられる。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わないが、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生する酸発生剤が好ましい。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、オキシム-O-スルホネート型酸発生剤等がある。酸発生剤の具体例としては、特開2008-111103号公報の段落[0122]~[0142]、特開2018-5224号公報、特開2018-25789号公報に記載されている。本発明のレジスト材料がその他の酸発生剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~200質量部が好ましく、0.1~100質量部が好ましい。前記その他の酸発生剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0179】
前記界面活性剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0165]~[0166]に記載されたものが挙げられる。界面活性剤を添加することによって、レジスト材料の塗布性を一層向上させ、あるいは制御することができる。本発明のレジスト材料が前記界面活性剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.0001~10質量部が好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0180】
本発明のレジスト材料がポジ型である場合は、溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。前記溶解阻止剤としては、分子量が好ましくは100~1,000、より好ましくは150~800で、かつ分子内にフェノール性ヒドロキシ基を2つ以上含む化合物の該フェノール性ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として0~100モル%の割合で置換した化合物、又は分子内にカルボキシ基を含む化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として平均50~100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、トリスフェノール、フェノールフタレイン、クレゾールノボラック、ナフタレンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、コール酸のヒドロキシ基、カルボキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した化合物等が挙げられ、例えば、特開2008-122932号公報の段落[0155]~[0178]に記載されている。
【0181】
本発明のレジスト材料がポジ型であって前記溶解阻止剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~50質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましい。前記溶解阻止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0182】
一方、本発明のレジスト材料がネガ型である場合は、架橋剤を添加することによって、露光部の溶解速度を低下させることによりネガ型パターンを得ることができる。前記架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換された、エポキシ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルオキシ基等の二重結合を含む化合物等が挙げられる。これらは、添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0183】
前記エポキシ化合物としては、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0184】
前記メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0185】
グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0186】
グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
【0187】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0188】
アジド化合物としては、1,1'-ビフェニル-4,4'-ビスアジド、4,4'-メチリデンビスアジド、4,4'-オキシビスアジド等が挙げられる。
【0189】
アルケニルオキシ基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0190】
本発明のレジスト材料がネガ型であって前記架橋剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。前記架橋剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0191】
前記撥水性向上剤は、レジスト膜表面の撥水性を向上させるものであり、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。前記撥水性向上剤としては、フッ化アルキル基を含むポリマー、特定構造の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を含むポリマー等が好ましく、特開2007-297590号公報、特開2008-111103号公報等に例示されているものがより好ましい。前記撥水性向上剤は、アルカリ現像液や有機溶剤現像液に溶解する必要がある。前述した特定の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を含む繰り返し単位を含むポリマーは、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。本発明のレジスト材料が前記撥水性向上剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。前記撥水性向上剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0192】
前記アセチレンアルコール類としては、特開2008-122932号公報の段落[0179]~[0182]に記載されたものが挙げられる。本発明のレジスト材料がアセチレンアルコール類を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましい。前記アセチレンアルコール類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0193】
[パターン形成方法]
本発明のレジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、公知のリソグラフィー技術を適用することができる。例えば、パターン形成方法としては、前述したレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含む方法が挙げられる。
【0194】
まず、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi2、SiO2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.01~2μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で、好ましくは60~150℃、10秒~30分間、より好ましくは80~120℃、30秒~20分間プリベークし、レジスト膜を形成する。
【0195】
次いで、高エネルギー線を用いて、前記レジスト膜を露光する。前記高エネルギー線としては、紫外線、遠紫外線、EB、波長3~15nmのEUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等が挙げられる。前記高エネルギー線として紫外線、遠紫外線、EUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等を用いる場合は、直接又は目的のパターンを形成するためのマスクを用いて、露光量が好ましくは1~200mJ/cm2程度、より好ましくは10~100mJ/cm2程度となるように照射する。高エネルギー線としてEBを用いる場合は、露光量が好ましくは0.1~1,000μC/cm2程度、より好ましくは0.5~200μC/cm2程度で直接又は目的のパターンを形成するためのマスクを用いて描画する。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも、波長365nmのi線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、EB、EUV、X線、軟X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに好適であり、特にEB又はEUVによる微細パターニングに好適である。
【0196】
露光後、ホットプレート上又はオーブン中で、好ましくは50~150℃、10秒~30分間、より好ましくは60~120℃、30秒~20分間PEBを行ってもよい。
【0197】
露光後又はPEB後、0.1~10質量%、好ましくは2~5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒~3分間、好ましくは5秒~2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により露光したレジスト膜を現像することで、目的のパターンが形成される。ポジ型レジスト材料の場合は、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。ネガ型レジスト材料の場合はポジ型レジスト材料の場合とは逆であり、光を照射した部分は現像液に不溶化し、露光されなかった部分は溶解する。
【0198】
酸不安定基を含むベースポリマーを含むポジ型レジスト材料を用いて、有機溶剤現像によってネガ型パターンを得ることもできる。このときに用いる現像液としては、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3-フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2-フェニルエチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0199】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3~10のアルコール、炭素数8~12のエーテル化合物、炭素数6~12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0200】
具体的に、炭素数3~10のアルコールとしては、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、tert-ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール等が挙げられる。
【0201】
炭素数8~12のエーテル化合物としては、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ-sec-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-sec-ペンチルエーテル、ジ-tert-ペンチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0202】
炭素数6~12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6~12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6~12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。
【0203】
芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。
【0204】
リンスを行うことによってレジストパターンの倒れや欠陥の発生を低減させることができる。また、リンスは必ずしも必須ではなく、リンスを行わないことによって溶剤の使用量を削減することができる。
【0205】
現像後のホールパターンやトレンチパターンを、サーマルフロー、RELACS技術又はDSA技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト膜からの酸触媒の拡散によってレジスト膜の表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~170℃であり、ベーク時間は、好ましくは10~300秒であり、余分なシュリンク剤を除去し、ホールパターンを縮小させる。
【実施例0206】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
【0207】
レジスト材料に用いたスルホニウム塩又はヨードニウム塩の酸発生剤PAG-1~PAG-22の構造を以下に示す。PAG-1~PAG-22は、それぞれ下記アニオンを与えるフッ素化スルホン酸のアンモニウム塩と、下記カチオンを与えるスルホニウムクロリド又はヨードニウムクロリドとのイオン交換によって合成した。
【化100】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
[合成例]ベースポリマー(ポリマーP-1~P-4)の合成
各モノマーを組み合わせて、溶剤であるTHF中で共重合反応を行い、反応溶液をメタノール入れ、析出した固体をヘキサンで洗浄した後、単離し、乾燥して、以下に示す組成のベースポリマー(ポリマーP-1~P-4)を得た。得られたベースポリマーの組成は
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPC(溶剤:THF、標準:ポリスチレン)により確認した。
【化106】
【0214】
[実施例1~25、比較例1~3]レジスト材料の調製及びその評価
(1)レジスト材料の調製
界面活性剤としてオムノバ社製Polyfox PF-636を100ppm溶解させた溶剤に、表1に示す組成で各成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料を調製した。
【0215】
表1中、各成分は、以下のとおりである。
・有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
EL(D体、乳酸エチル)
DAA(ジアセトンアルコール)
【0216】
・比較酸発生剤:cPAG-1、cPAG-2
【化107】
【0217】
【0218】
(2)EUVリソグラフィー評価
表1に示す各レジスト材料を、信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を膜厚20nmで形成したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークして膜厚50nmのレジスト膜を作製した。ASML社製EUVスキャナーNXE3400(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ40nm、+20%バイアスのホールパターンのマスク)を用いて前記レジスト膜を露光し、ホットプレート上で表1記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行って、実施例1~24、比較例1及び2では寸法20nmのホールパターンを、実施例25及び比較例3では寸法20nmのドットパターンを得た。
(株)日立ハイテク製測長SEM(CG6300)を用いて、ホール又はドットが20nmで形成されるときの露光量を測定してこれを感度とし、ホール又はドット50個の寸法を測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を寸法バラツキ(CDU)とした。結果を表1に併記する。
【0219】
【0220】
表1に示した結果より、式(A-1)で表されるスルホニウム塩又は式(A-2)で表されるヨードニウム塩を酸発生剤として含む本発明のレジスト材料は、高感度であり、CDUが良好であることがわかった。