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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173243
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】カメラボディ及びレンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20221111BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20221111BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20221111BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20221111BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H04N5/232 939
G03B17/18 Z
G03B17/02
G03B17/14
H04N5/225 000
H04N5/225 200
H04N5/232 030
H04N5/232 290
H04N5/232 410
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141276
(22)【出願日】2022-09-06
(62)【分割の表示】P 2021009653の分割
【原出願日】2009-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】小谷 徳康
(57)【要約】
【課題】鏡筒長を短くして収納可能なレンズ鏡筒を装着して使用する際の操作性を向上させたカメラボディを提供する。
【解決手段】収納状態と撮影状態とを有するレンズ鏡筒101と通信可能なカメラボディ130であって、撮像部201と、表示部202と、レンズ鏡筒101と通信し、収納状態又は撮影状態を示す情報をレンズ鏡筒101から受信する通信部と、電力が供給される第1状態と電力が供給されない第2状態とを切り替える操作部S2と、を備え、操作部S2によって第1状態に切り替えられ且つレンズ鏡筒101から撮影状態を示す情報を受信した場合、撮像部201は被写体像を撮像可能であり、表示部202は被写体像を表示可能であり、操作部S2によって第1状態に切り替えられ且つレンズ鏡筒101から収納状態を示す情報を受信した場合、撮像部201は被写体像を撮像できず、表示部202は収納状態であることを示す表示を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納状態と撮影状態とを有するレンズ鏡筒と通信可能なカメラボディであって、
被写体像を撮像する撮像部と、
前記被写体像を表示する表示部と、
前記レンズ鏡筒と通信し、前記収納状態又は前記撮影状態を示す情報を前記レンズ鏡筒から受信する通信部と、
電源部から電力が供給される第1状態と、前記電源部から電力が供給されない第2状態と、を切り替える操作部と、を備え、
前記操作部によって前記第1状態に切り替えられ且つ前記レンズ鏡筒から前記撮影状態を示す情報を受信した場合、前記撮像部は前記被写体像を撮像可能であり、前記表示部は前記被写体像を表示可能であり、
前記操作部によって前記第1状態に切り替えられ且つ前記レンズ鏡筒から前記収納状態を示す情報を受信した場合、前記撮像部は前記被写体像を撮像できず、前記表示部は前記収納状態であることを示す表示を行うカメラボディ。
【請求項2】
前記表示部は、前記収納状態であることを示す表示を行った後、前記収納状態が維持されている場合は表示を停止する請求項1に記載のカメラボディ。
【請求項3】
前記第1状態であり且つ前記レンズ鏡筒から前記撮影状態を示す情報を受信した場合、光を発光する発光部を備える請求項1又は請求項2に記載のカメラボディ。
【請求項4】
前記発光部は、前記第1状態であり且つ前記レンズ鏡筒から前記収納状態を示す情報を受信した場合、光を発光しない請求項3に記載のカメラボディ。
【請求項5】
前記表示部は、前記第1状態であり且つ前記レンズ鏡筒から前記撮影状態を示す情報を受信した場合、前記収納状態であることを示す表示を行わない請求項1に記載のカメラボディ。
【請求項6】
前記収納状態であることを示す表示は、文字で表示される請求項1から請求項5の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項7】
前記収納状態における前記レンズ鏡筒が有するレンズと前記撮像部との間隔は、前記撮影状態における前記レンズと前記撮像部との間隔より狭い請求項1から請求項6の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項8】
前記通信部を有するマウント部を備える請求項1から請求項7の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項9】
前記通信部を付勢し、導電性を有する付勢部を備える請求項8に記載のカメラボディ。
【請求項10】
前記撮像部及び前記表示部を制御する制御部と、
前記付勢部と前記制御部とを接続するフレキシブル基板と、
を備える請求項9に記載のカメラボディ。
【請求項11】
前記撮像部が出力した画像データに画像処理を施す画像処理部を備える請求項1から請求項10の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項12】
前記レンズ鏡筒が前記撮影状態か前記収納状態かに応じて、前記電源部のオンとオフとが切り替わる請求項1から請求項11の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか1項に記載のカメラボディに対して着脱可能なレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラボディ及びレンズ鏡筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ズーミング操作部材をズーミング動作の範囲外に操作することにより、レンズを光軸方向に沿ってマウント側へ移動させて鏡筒の全長(以下、鏡筒長という)を短くするように構成されたレンズ鏡筒が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-25815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような鏡筒長を短くして収納可能なレンズ鏡筒を装着したカメラにおいては、電源がオンしている使用状態から不使用の状態にするには、レンズ鏡筒の鏡筒長を短くした後、カメラボディの電源をオフすることになるため、操作性が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、収納状態と撮影状態とを有するレンズ鏡筒と通信可能なカメラボディであって、被写体像を撮像する撮像部と、前記被写体像を表示する表示部と、前記レンズ鏡筒と通信し、前記収納状態又は前記撮影状態を示す情報を前記レンズ鏡筒から受信する通信部と、電源部から電力が供給される第1状態と、前記電源部から電力が供給されない第2状態と、を切り替える操作部と、を備え、前記操作部によって前記第1状態に切り替えられ且つ前記レンズ鏡筒から前記撮影状態を示す情報を受信した場合、前記撮像部は前記被写体像を撮像可能であり、前記表示部は前記被写体像を表示可能であり、前記操作部によって前記第1状態に切り替えられ且つ前記レンズ鏡筒から前記収納状態を示す情報を受信した場合、前記撮像部は前記被写体像を撮像できず、前記表示部は前記収納状態であることを示す表示を行うカメラボディに関する。
また、本発明は、上記カメラボディに対して着脱可能なレンズ鏡筒に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、鏡筒長を短くして収納可能なレンズ鏡筒を使用する際の操作性を向上させたカメラボディ及びレンズ鏡筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のカメラシステムを示す概略断面図である。
図2】第1実施形態におけるカメラシステムの構成を示す回路図である。
図3】第1実施形態に示す2つのスイッチの状態とカメラシステムの電源状態との組み合わせを示す説明図である。
図4】第2実施形態におけるカメラシステムの構成を示す回路図である。
図5】第2実施形態において電源部による電力の供給を遮断している状態から電力の供給を開始するまでの電源制御部による処理手順を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態において電源部による電力を供給している状態から電力の供給を遮断するまでの電源制御部による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明に係わるカメラボディ及びレンズ鏡筒をデジタルカメラに適用した場合の実施形態について説明する。なお、図1の説明では、被写体側(図中左側)を前側といい、液晶モニタ202側(図中右側)を後側という。
(第1実施形態)
【0009】
図1は、第1実施形態のカメラシステムを示す概略断面図である。カメラシステム100は、光学系を移動可能に保持するレンズ鏡筒101と、撮像装置としてのカメラ本体130とを備える。カメラシステム100はレンズ交換式のデジタルカメラであり、カメラ本体130に対して、レンズ鏡筒101が着脱自在に装着される。
【0010】
まず、レンズ鏡筒101について説明する。図1において、光軸Aの上側半分は、レンズ鏡筒101の鏡筒長を短くして収納した状態(以下、収納状態という)での断面図を示し、下側半分は撮影状態での断面図を示している。図1に示す撮影状態において、後述の前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と後述の撮像部201とは、光軸A方向に第1の間隔を置いて配置された状態となる。また、図1に示す収納状態において、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔は、前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔で配置された状態となる。
【0011】
レンズ鏡筒101は、図1に示すように、マウント筒110、マウント筒110に固定された固定筒106、固定筒106の外周部に配置されたカム環107、レンズ群保持枠105、ズーム操作環108、固定筒106の内周部に配置された前群レンズ室103、及び後群レンズ室104などを備える。なお、図1では、レンズ鏡筒101における絞り機構、AF駆動機構、及びレンズ側CPUなどの図示を省略する。
【0012】
図1において、ズーム操作環108がユーザにより回転操作されると、ズーム操作環108に固定されたズーム連動レバー109が回動するとともに、このズーム連動レバー109に固定されたカム環107が回動する。すなわち、ズーム操作環108に連動してカム環107が回動する。カム環107は、光軸A回りに沿って形成された外周溝107aを備える。また、固定筒106は、爪部106aを備える。カム環107の外周溝107aは、固定筒106の爪部106aと係合する。このため、カム環107は、固定筒106に対して光軸A方向の位置が固定されたまま、光軸A回りに回動可能となる。
【0013】
レンズ群保持枠105は、前群レンズ室103を保持する。また、レンズ群保持枠105は、カムピン105aを備える。固定筒106は、図示しない直進溝を備える、カム環107は、カム溝107bを備える。レンズ群保持枠105のカムピン105aは、固定筒106の前記直進溝及びカム溝107bと係合する。このため、ズーム操作環108が回転操作されると、カム環107が光軸A回りに回動する。カム環107が回動すると、カム溝107bと係合するカムピン105aがカム溝107bに押されながら移動する。カムピン105aは、固定筒106の前記直進溝により光軸A回りへの移動が規制されているため、前記直進溝に沿って光軸A方向に移動する。したがって、ズーム操作環108が回転操作されると、光軸A方向に移動するカムピン105aを備えたレンズ群保持枠105とともに、前群レンズ室103に保持された前群レンズL1が光軸A方向に沿って前側又は後側に移動する。このように、レンズ鏡筒101は、ズーム操作環108を回転操作することにより、焦点距離を変化させるズームレンズとして構成されている。
【0014】
後群レンズ室104は、フォーカス調整用の後群レンズL2を保持する。後群レンズ室104は、図示しないアクチュエータにより光軸A方向の前側又は後側に駆動される。後群レンズ室104は、前群レンズ室103に設けられた図示しないリード溝と係合する。リード溝は、光軸A方向に沿って設けられている。後群レンズ室104が前記アクチュエータにより駆動されると、後群レンズ室104は前記リード溝に沿って移動する。これにより、前群レンズL1に対する後群レンズL2の距離が変化して、後述する撮像部201に結像される被写体像のフォーカスが調整される。
【0015】
なお、上述した前群レンズ室103、後群レンズ室104、レンズ群保持枠105、固定筒106、カム環107、ズーム操作環108、マウント筒110を含む構成は、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔を、前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔に変更する間隔変更手段として機能する。
【0016】
また、固定筒106は、状態検出スイッチS1を備える。状態検出スイッチS1は、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔が、前記第2の間隔となったことを検出する検出手段である。状態検出スイッチS1は、図1の撮影状態(下半分)に示すように、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔が前記第1の間隔に対応する位置にあるときは、第1の状態をとる。すなわち、状態検出スイッチS1は、図1に破線で示すように、スイッチの先端が前側に突出した状態となる。また、状態検出スイッチS1は、図1の上半分に示すように、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔が前記第2の間隔に対応する位置に移動した際には、前記第1の状態とは異なる第2の状態へ変位する。すなわち、状態検出スイッチS1は、図1に実線で示すように、スイッチの先端がレンズ群保持枠105の後端面105bにより後側に押された状態となる。なお、状態検出スイッチS1の第1の状態及び第2の状態については後述する。
【0017】
マウント筒110は、光軸回りに複数のバヨネット爪110aを備える。また、カメラ本体130は、マウント部(符号省略)の光軸回りに複数のバヨネット爪130aを備える。レンズ鏡筒101側のバヨネット爪110aとカメラ本体130側のバヨネット爪130aとを噛み合わせることによって、カメラ本体130にレンズ鏡筒101を固定(装着)することができる。また、マウント筒110は、複数のレンズ側電気接点120を備える。レンズ側電気接点120は、内部にレンズ接点120aが挿入されている。各レンズ接点120aは、レンズ側FPC(フレキシブルプリント基板)121と接続されている。レンズ側FPC121は、後述するレンズ側CPU111と接続されている。
【0018】
次に、カメラ本体130について説明する。カメラ本体130は、前記マウント部に、複数のカメラ側電気接点131を備える。各カメラ側電気接点131の後端は、導電性を有する付勢バネ132によりレンズ鏡筒101側に付勢されている。付勢バネ132の後端は、カメラ側FPC133の表面に形成された図示しない導通部と接触している。一方、カメラ側FPC133の裏面側は、FPC当て板134により押さえられている。このため、カメラ側電気接点131は、レンズ側電気接点120側に付勢された状態でレンズ側電気接点120と接触する。また、カメラ側FPC133は、カメラ側CPU200と接続されている。これにより、図示しないレンズ側CPUとカメラ側CPU200との間で、各種信号やデータの通信が行われる。なお、図1には示していないが、カメラ本体130からレンズ鏡筒101側への電力の供給も、上記のような電気接点を介して行われる。
【0019】
カメラ本体130は、更に撮像部201、液晶モニタ202、電源状態表示ランプ203、及び電源スイッチS2を備える。撮像部201は、レンズ鏡筒101により結像された被写体像を撮像する図示しない撮像素子を備える。撮像部201で撮像された被写体像は、電気的な画像信号に変換された後、図示しない画像処理部へ出力される。液晶モニタ202は、撮像部201で撮像された被写体像(再生画像、ライブビュー画像など)のほか、撮影条件や操作に関する情報や、設定情報などを表示する表示手段である。電源状態表示ランプ203は、ユーザに対し電源の状態を知らせるためのランプである。電源状態表示ランプ203は、電源がオンしているときに点灯し、電源がオフしているときに消灯する。
【0020】
電源スイッチS2は、カメラ本体130に設けられた後述する電源部205による電力の供給を選択的に切り換えるスライドスイッチである。電源スイッチS2をオン(ON)位置に切り換えると、電源部205から電力が供給される。一方、電源スイッチS2をオフ(OFF)位置に切り換えると、電源部205から電力が供給されなくなる。
【0021】
なお、カメラ本体130の内部には、図示しないミラーユニット、ファインダ光学部、測光部、測距部、シャッタ機構などが配置されている。
【0022】
図2は、カメラシステム100の構成を示す回路図である。図2では、図1と同等部分を同一符号で示している。図2において、レンズ鏡筒101とカメラ本体130との間にある接点A~Dは、図1に示すレンズ側電気接点120とカメラ側電気接点131との接点に相当する。
【0023】
レンズ鏡筒101の状態検出スイッチS1は、レンズ鏡筒101が図1の上半分に示す収納状態では、スイッチ接点が閉じて導通状態(以下、第2の状態という)となり、レンズ鏡筒101が図1の下半分に示す撮影状態ではスイッチ接点が開いて非導通状態(以下、第1の状態という)となるスイッチである。レンズ側CPU111は、図示しない絞り機構、AF駆動機構を制御する回路である。
【0024】
カメラ本体130は、カメラ側CPU200、DC-DCコンバータ204及び電源部205が、電源スイッチS2、抵抗R1、R2及びトランジスタTr1を介して接続されている。
【0025】
カメラ側CPU200は、カメラシステム100全体を統合的に制御する回路であり、DC-DCコンバータ204、及びトランジスタTr1を介して電源部205と接続されている。また、カメラ側CPU200は、撮像部201及び表示制御回路206の動作に必要な信号を供給するとともに、電源部205による電力を供給している。
【0026】
電源部205は、DC-DCコンバータ204を介して、カメラ側CPU200及びレンズ側CPU111に電力を供給する電源装置である。カメラ側CPU200は、電源部205から電力が供給されている間は、撮像部201に撮像制御信号及び電力を供給し、表示制御回路206にランプ点灯信号及び電力を供給する。一方、カメラ側CPU200は、電源部205から電力が供給されなくなると、撮像部201及び表示制御回路206の動作に必要な信号と電力の供給を停止する。すなわち、電源部205は、撮像部201に選択的に電力を供給する電源装置として機能する。
【0027】
電源部205とDC-DCコンバータ204との間は、トランジスタTr1により接続されている。トランジスタTr1は、PNP型のトランジスタであり、ベース(B)にベース電流が流れると、エミッタ(E)からコレクタ(C)へ電流が流れる。すなわち、電源部205からの電流がDC-DCコンバータ204へ供給される。また、ベース(B)にベース電流が流れなくなると、エミッタ(E)からコレクタ(C)へ電流が流れなくなる。すなわち、電源部205からDC-DCコンバータ204への電流の供給が遮断される。トランジスタTr1のエミッタ(E)からコレクタ(C)への電流の流れは、ベース(B)の電位により制御される。すなわち、ベース(B)の電位が低ければ、ベース(B)にベース電流が流れるので、エミッタ(E)からコレクタ(C)へ電流が流れる。また、ベース(B)の電位が高ければ、ベース(B)にベース電流が流れないので、エミッタ(E)からコレクタ(C)への電流も流れなくなる。ベース(B)の電位は、後述するように、状態検出スイッチS1の状態により制御される。
【0028】
状態検出スイッチS1は、上述したように、レンズ鏡筒101が収納状態ではスイッチ接点が閉じて導通状態(第2の状態)となり、レンズ鏡筒101が撮影状態ではスイッチ接点が開いて非導通状態(第1の状態)となるスイッチである。すなわち、状態検出スイッチS1は、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔が、第1の間隔よりも狭い第2の間隔に対応する場合は第2の状態となり、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔が、第1の間隔に対応する場合は第1の状態となる。
【0029】
状態検出スイッチS1が第2の状態になると、トランジスタTr1のベース(B)にベース電流が流れなくなるため、エミッタ(E)からコレクタ(C)への電流も流れなくなる。このため、電源部205からDC-DCコンバータ204への電流の供給が遮断される。一方、状態検出スイッチS1が第1の状態になると、トランジスタTr1のベース(B)にベース電流が流れるため、エミッタ(E)からコレクタ(C)へ電流が流れる。このため、電源部205からDC-DCコンバータ204へ電流が供給される。
【0030】
図2において、トランジスタTr1を中心として結線された回路は、本実施形態における遮断手段を構成する。この遮断手段は、電源部205が撮像部201に電力を供給している状態で、状態検出スイッチS1により、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔が第2の間隔となったことが検出された場合、すなわち、状態検出スイッチS1が第2の状態となった場合に、電源部205による電力の供給を遮断する。また、遮断手段は、電源部205が電力を供給している状態で、状態検出スイッチS1によって電力の供給を遮断した場合は、状態検出スイッチS1が第2の状態から第1の状態へ変位することによって、電力の供給を再開する。
【0031】
カメラ本体130の電源スイッチS2は、トランジスタTr1のベース(B)と電源部205との間を導通又は非導通とするスイッチである。電源スイッチS2は、図1に示すオン位置に切り換えると、スイッチ接点が開いて非導通状態となり、図1に示すオフ位置に切り換えると、スイッチ接点が閉じて導通状態となる。
【0032】
また、カメラ側CPU200は、表示制御回路206と接続されている。表示制御回路206は、電源状態表示ランプ203の点灯/消灯、及び液晶モニタ202の画面表示を制御する回路である。カメラ側CPU200は、DC-DCコンバータ204から電力が供給されることでオン状態となる。カメラ側CPU200は、DC-DCコンバータ204から電力が供給されている間は、表示制御回路206にランプ点灯信号及び電力を供給して、電源状態表示ランプ203を点灯させる。また、カメラ側CPU200は、表示制御回路206に液晶モニタ202の表示に必要なクロック信号やデータ信号などを供給するとともに、液晶駆動用の電力を供給して、液晶モニタ202の表示を行わせる。
一方、カメラ側CPU200は、DC-DCコンバータ204から電力が供給されなくなるとオフ状態となる。このとき、カメラ側CPU200から表示制御回路206へのランプ点灯信号及び電力の供給が停止するので、電源状態表示ランプ203が消灯する。同時に、カメラ側CPU200から表示制御回路206への液晶モニタ202の表示に必要な信号や電力の供給も停止するので、液晶モニタ202の表示が停止する。
【0033】
次に、図2に示す回路の動作について説明する。図2において、状態検出スイッチS1及び電源スイッチS2がともに開いている場合、すなわち、レンズ鏡筒101が撮影位置にあり、電源スイッチS2がオン位置にある場合は、抵抗R1の電圧V1がLowレベルとなり、トランジスタTr1のベース(B)にベース電流が流れるため、エミッタ(E)からコレクタ(C)に向けて、電源部205からの電流が流れる。この電流は、DC-DCコンバータ204で増幅され、カメラ側CPU200に電力として供給される。また、DC-DCコンバータ204で増幅された電流は、接点Cを介してレンズ側CPU111に電力として供給される。
【0034】
これにより、レンズ側CPU111とカメラ側CPU200とが起動し、これらCPUの間において、接点Bを介して通信が行われる。ここでは、AFやAEなどを行うためのデータ信号、クロック信号、及び制御信号などが送受信される。このように、レンズ鏡筒101が撮影状態にあり、且つ電源スイッチS2がオン位置にある場合は、カメラシステム100による撮影が可能となる。
【0035】
また、図2において、状態検出スイッチS1が閉じて、電源スイッチS2が開いている場合、すなわち、レンズ鏡筒101が収納状態にあり、電源スイッチS2がオン位置にある場合は、抵抗R2に電流が流れるだけなので、抵抗R1の電圧V1がHighレベルとなる。このため、トランジスタTr1のベース(B)にベース電流が流れなくなり、エミッタ(E)からコレクタ(C)に向けて、電源部205からの電流も流れなくなる。この場合、DC-DCコンバータ204がオフ状態となるため、カメラ側CPU200もオフ状態となる。カメラ側CPU200がオフ状態になると、表示制御回路206へのランプ点灯信号及び電力の供給が停止するので、電源状態表示ランプ203は消灯する。同時に、液晶モニタ202の表示も停止する。このように、レンズ鏡筒101が収納状態にある場合は、電源スイッチS2がオン位置にあっても、カメラシステム100による撮影は不能となる。
【0036】
また、図2において、状態検出スイッチS1が開いて、電源スイッチS2が閉じている場合、すなわち、レンズ鏡筒101が撮影状態にあり、電源スイッチS2がオフ位置にある場合は、抵抗R2に電流が流れるだけなので、抵抗R1の電圧V1がHighレベルとなる。このため、トランジスタTr1のベース(B)にベース電流が流れなくなり、エミッタ(E)からコレクタ(C)に向けて、電源部205からの電流も流れなくなる。この場合、上述したように、DC-DCコンバータ204及びカメラ側CPU200がオフ状態となり、表示制御回路206へのランプ点灯信号及び電力の供給も停止するので、電源状態表示ランプ203は消灯する。同時に、液晶モニタ202の表示も停止する。このように、レンズ鏡筒101が撮影状態にあっても、電源スイッチS2がオフ位置にある場合は、カメラシステム100による撮影は不能となる。
【0037】
また、図2において、状態検出スイッチS1が閉じて、電源スイッチS2も閉じている場合、すなわち、レンズ鏡筒101が収納状態にあり、電源スイッチS2が閉じている場合も、抵抗R2に電流が流れるだけなので、抵抗R1の電圧V1がHighレベルとなる。このため、トランジスタTr1のベース(B)にベース電流が流れなくなり、エミッタ(E)からコレクタ(C)に向けて、電源部205からの電流も流れなくなる。この場合、上述したように、DC-DCコンバータ204及びカメラ側CPU200がオフ状態となり、表示制御回路206へのランプ点灯信号及び電力の供給も停止するので、電源状態表示ランプ203は消灯する。同時に、液晶モニタ202の表示も停止する。このように、レンズ鏡筒101が収納状態にあり、且つ電源スイッチS2もオフ位置にある場合も、カメラシステム100による撮影は不能となる。
【0038】
図3は、上述した2つのスイッチの状態とカメラシステム100の電源状態との組み合わせを示す説明図である。図3に示すように、第1実施形態のカメラシステム100では、レンズ鏡筒101が撮影状態(状態検出スイッチS1がオフ位置)にあり、且つ電源スイッチS2がオン位置にある場合にのみ、撮影が可能となる。また、撮影が可能なときは、電源状態表示ランプ203が点灯し、撮影が不能なときは、電源状態表示ランプ203が消灯する。
【0039】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)電源部205が撮像部201に電力を供給している状態で、状態検出スイッチS1によりレンズ鏡筒101が収納状態となったことが検出されたときは、電源部205による電力の供給を遮断するようにしたので、ユーザはレンズ鏡筒101を収納状態とするだけでカメラシステム100の電源をオフ状態とすることができる。したがって、鏡筒長を短くして収納可能なレンズ鏡筒を装着したときの操作性を向上することができる。また、上記のような条件で電源をオフ状態とすることにより、レンズ鏡筒101を収納状態とした後に電源をオフし忘れて、バッテリーが無駄に消費するのを防止することができる。
(2)状態検出スイッチS1は、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔に応じて第1/第2の状態に変位するスイッチであるため、レンズ鏡筒101が収納状態か撮影状態かを簡単な構成で検出することができる。また、スイッチとしての構成が簡単であるため、長期間に亘って安定的に動作させることができる。
(3)上記(1)において、状態検出スイッチS1により電源部205による電力の供給を遮断した場合は、状態検出スイッチS1が第2の状態から第1の状態へ変位することによって電力の供給を再開するようにしたので、ユーザはレンズ鏡筒101を収納状態から撮影状態まで繰出すことにより、電源スイッチS2を操作することなしに、カメラシステム100の電源をオン状態とすることができる。
(4)トランジスタTr1を含む回路により、レンズ鏡筒101が収納状態か撮影状態かに応じて、電源部205による電力の供給を遮断/再開するようにしたので、レンズ鏡筒101が収納状態か撮影状態かに応じた電源のオン/オフを簡単な構成で実現することができる。
(5)電源スイッチS2がオン位置で且つレンズ鏡筒101が繰り出しているときは、電源状態表示ランプ203が点灯し、電源スイッチS2がオフ位置或いはレンズ鏡筒101が収納状態であれば、電源状態表示ランプ203が消灯するため、ユーザは撮影可能であるか不能であるかを、電源状態表示ランプ203の点灯/消灯により容易に識別することができる。
(第2実施形態)
【0040】
図4は、第2実施形態におけるカメラシステム100Aの構成を示す回路図である。図4では。図2と同等部分を同一符号で示している。
【0041】
本実施形態のカメラ本体130Aは、DC-DCコンバータ204と電源部205との間に、電源制御部207が接続されている。電源制御部207は、状態検出スイッチS1、電源スイッチS2、及び表示制御回路206と接続されている。電源制御部207は、状態検出スイッチS1の状態と、電源スイッチS2の状態とに応じて、電源部205による電力の供給を選択的に制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。電源制御部207は、後述するように、電源スイッチS2がオン位置に切り換えられた際に、状態検出スイッチS1が第2の状態であるときは、表示制御回路206にメッセージ表示信号及び電力を供給する。なお、電源スイッチS2がオン位置にあり、且つ状態検出スイッチS1が第1の状態であるときは、電源制御部207からDC-DCコンバータ204を経てカメラ側CPU200に電力が供給される。
【0042】
電源制御部207は、電源部205から撮像部201に電力を供給している状態で、状態検出スイッチS1により、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔が第2の間隔となったことが検出された場合、すなわち、状態検出スイッチS1が第2の状態となった場合は、電源部205による電力の供給を遮断する遮断手段として機能する。また、電源制御部207は、上記遮断手段としての機能において、電源部205が電力を供給している状態で、状態検出スイッチS1によって電力の供給を遮断した場合は、状態検出スイッチS1が第2の状態から第1の状態へ変位することよって、電力の供給を再開する。
【0043】
また、電源制御部207は、電源スイッチS2がオン位置に切り換えられた際に、状態検出スイッチS1が第2の状態であるとき、すなわちレンズ鏡筒101が収納状態にあるときは、表示制御回路206に制御信号となるメッセージ表示信号及び電力を供給して、液晶モニタ202に、「レンズが収納されています」などのメッセージを表示させる。このメッセージは、電源スイッチS2がオン位置に切り換えられていても、レンズ鏡筒101が収納状態であるために電源がオフ状態となっていることをユーザに知らせるためのものである。このメッセージが表示されている間は、電源スイッチS2がオン位置に切り換えられていても、カメラシステム100の電源はオフ状態のままとなる。
【0044】
すなわち、電源制御部207(及び液晶モニタ202)は、電源スイッチS2がオン位置に切り換えられた際に、前群レンズL1及び後群レンズL2からなる光学系と撮像部201との間隔が第2の間隔となったことが検出された場合に、ユーザにレンズ鏡筒101が収納状態であることを報知する報知手段として機能する。
【0045】
また、電源制御部207は、電源スイッチS2がオン位置に切り換えられた際に、状態検出スイッチS1が第1の状態であるとき、すなわちレンズ鏡筒101が撮影位置にあるときは、電源部205からの電力をDC-DCコンバータ204へ供給する。この場合、カメラシステム100の電源はオン状態となる。また同時に、電源制御部207は、表示制御回路206へのメッセージ表示信号及び電力の供給を停止する。
【0046】
次に、電源制御部207の動作について説明する。図5は、電源部205による電力の供給を遮断している状態から電力の供給を開始するまでの電源制御部207による処理手順を示すフローチャートである。
【0047】
まず、電源制御部207は、電源スイッチS2がオン位置に切り換えられたかどうかを判定する(S101)。ここでNoであれば、ステップS101の判定に戻り、Yesであれば、状態検出スイッチS1が第2の状態かどうか、すなわちレンズ鏡筒101が収納状態か判定する(S102)。ここでNoであれば、電源制御部207は、DC-DCコンバータ204に、電源部205による電力を供給する(S103)。これにより、カメラ側CPU200及びレンズ側CPU111に電力が供給され、両CPUの間で各種信号やデータの通信が行われる。また、カメラ側CPU200から表示制御回路206にランプ点灯信号及び電力が供給されることにより、電源状態表示ランプ203が点灯する。一方、ステップS102の判定でYesであれば、表示制御回路206にメッセージ表示信号及び電力を供給して、液晶モニタ202に、レンズ鏡筒101が収納状態であるために電源がオフ状態であることを知らせるメッセージを表示させる(S104)。このときは、表示制御回路206に電力が供給されるが、表示制御回路206により、電源状態表示ランプ203は消灯する。この後、電源制御部207は、後述する図6に示すフローチャートの処理へ移行する。
【0048】
図6は、電源部205からの電力を供給している状態から電力の供給を遮断するまでの電源制御部207による処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
まず、電源制御部207は、電源スイッチS2がオフ位置に切り換えられたかどうかを判定する(S201)。ここでNoであれば、電源制御部207は、状態検出スイッチS1が第2の状態かどうかを判定する(S202)。ここで、Noであれば、ステップS201の判定に戻る。一方、ステップS202の判定でYesであれば、電源制御部207は、DC-DCコンバータ204への電源部205による電力の供給を遮断する(S203)。この場合、電源スイッチS2はオン位置であっても、電源状態表示ランプ203は消灯し、また液晶モニタ202の表示も停止する。また、ステップS201の判定でYesの場合も、ステップS203へ進み、上記のように電源部205による電力の供給を遮断する。この後、電源制御部207は、上述した図5に示すフローチャートの処理へ移行する。
【0050】
上述した第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(3)、(5)と同等の効果を奏する。さらに、第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(6)電源制御部207により、状態検出スイッチS1の状態と、電源スイッチS2の状態とに応じて、電源部205による電力の供給を選択的に制御するようにしたので、レンズ鏡筒101が収納状態か撮影状態かに応じた電源のオン/オフを簡単なプログラムにより実現することができる。
(7)電源スイッチS2がオン位置に切り換えられた際に、状態検出スイッチS1が第2の状態(オン位置)であるときは、液晶モニタ202に「レンズが収納されています」などのメッセージを表示させるようにしたので、ユーザは電源スイッチS2をオン位置に切り換えたにもかかわらず、電源がオン状態とならない原因を容易に理解することができる。
(変形形態)
【0051】
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)状態検出スイッチS1は、レンズ鏡筒101が収納状態にあることを検出することができ、且つ光学性能に影響を与えない場所であれば、図示の位置に限らず、どのような場所に配置されていてもよい。また、状態検出スイッチS1をセンサで構成してもよい。
(2)第2実施形態のように、状態検出スイッチS1の状態と、電源スイッチS2の状態とに応じて、電源部205による電力の供給を選択的に制御する電源制御と、電源スイッチS2の状態のみで電源のオン/オフを制御する通常の電源制御とを、ユーザの選択に応じて切り換え可能な構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、本発明をレンズ交換式のデジタルカメラに適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、レンズ一体式のカメラやビデオカメラなどにも適用することができる。
【0052】
また、上記実施形態及び変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。さらに、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0053】
100,100A:カメラシステム、101:レンズ鏡筒、111:レンズ側CPU、130,130A:カメラ本体、200:カメラ側CPU、201:撮像部、202:液晶モニタ、203:電源状態表示ランプ、204:DC-DCコンバータ、205:電源部、206:表示制御回路、207:電源制御部、Tr1:トランジスタ、S1:状態検出スイッチ、S2:電源スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6