(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173925
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】複合配線基板、半導体装置及び複合配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20221115BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20221115BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/36 B
H01L23/12 F
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079986
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三木 翔太
(72)【発明者】
【氏名】川上 こゆき
(72)【発明者】
【氏名】大井 淳
(72)【発明者】
【氏名】村山 啓
(72)【発明者】
【氏名】相澤 光浩
【テーマコード(参考)】
5E316
5E344
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA06
5E316AA12
5E316AA15
5E316CC08
5E316CC32
5E316EE31
5E316HH16
5E316HH33
5E316JJ02
5E316JJ03
5E344AA02
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB06
5E344BB10
5E344CC23
5E344CC24
5E344CD09
5E344CD38
5E344DD04
5E344EE01
5E344EE17
(57)【要約】
【課題】接合材の近傍でのクラックを抑制することができる複合配線基板、半導体装置及び複合配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】複合配線基板は、第1接続端子を備えた第1配線基板と、前記第1接続端子に対向する第2接続端子を備えた第2配線基板と、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接合する接合材と、を有し、平面視で、前記第1接続端子の第1輪郭は前記第2接続端子の第2輪郭の内側にあり、前記接合材は、前記第1接続端子及び前記第2接続端子の両方に接触し、Cu及びSnの金属間化合物からなる第1部分と、平面視で、前記第1輪郭と前記第2輪郭との間の部分を含み、Bi及びSnの合金からなる第2部分と、を有し、前記第2部分は、BiをBiSn合金の共晶組成よりも高濃度で含有し、前記第2部分は、前記第2接続端子から離間している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続端子を備えた第1配線基板と、
前記第1接続端子に対向する第2接続端子を備えた第2配線基板と、
前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接合する接合材と、
を有し、
平面視で、前記第1接続端子の第1輪郭は前記第2接続端子の第2輪郭の内側にあり、
前記接合材は、
前記第1接続端子及び前記第2接続端子の両方に接触し、Cu及びSnの金属間化合物からなる第1部分と、
平面視で、前記第1輪郭と前記第2輪郭との間の部分を含み、Bi及びSnの合金からなる第2部分と、
を有し、
前記第2部分は、BiをBiSn合金の共晶組成よりも高濃度で含有し、
前記第2部分は、前記第2接続端子から離間していることを特徴とする複合配線基板。
【請求項2】
前記第1配線基板はビルドアップ基板であり、
前記第2配線基板はインターポーザであることを特徴とする請求項1に記載の複合配線基板。
【請求項3】
前記第2接続端子の前記第1接続端子に対向する面の全体が、前記第1部分により覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合配線基板。
【請求項4】
前記第2部分におけるBiの割合は、30質量%以上75質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合配線基板。
【請求項5】
前記第1接続端子と前記第2接続端子との間の距離は6μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合配線基板。
【請求項6】
前記第1接続端子と前記第2接続端子との間の距離は3μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の複合配線基板。
【請求項7】
前記接合材の平面視で前記第1輪郭の内側にある部分の体積は、
前記接合材の平面視で前記第1輪郭の外側にある部分の体積の50%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合配線基板。
【請求項8】
前記第2部分は、前記第1接続端子の周囲に環状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複合配線基板。
【請求項9】
前記第2配線基板は、前記第2接続端子の側面を覆う絶縁層を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の複合配線基板。
【請求項10】
前記第2部分の融点は、240℃以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の複合配線基板。
【請求項11】
前記接合材の平面視で前記第1輪郭の内側にある部分では、Biの割合が5質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の複合配線基板。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の複合配線基板と、
前記第2配線基板の上に実装された半導体チップと、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
Cuを含有する第1接続端子を備えた第1配線基板を準備する工程と、
Cuを含有する第2接続端子を備えた第2配線基板を準備する工程と、
前記第2接続端子の上に、Bi及びSnを含有する第1接合材を設ける工程と、
前記第2接続端子を前記第1接続端子に対向させ、前記第1接合材が前記第1接続端子に接触するように、前記第1配線基板及び前記第2配線基板を配置する工程と、
加熱により、前記第1接合材と前記第1接続端子及び前記第2接続端子とを反応させ、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接合する接合材を形成する工程と、
を有し、
平面視で、前記第1接続端子の第1輪郭は前記第2接続端子の第2輪郭の内側にあり、
前記接合材は、
前記第1接続端子及び前記第2接続端子の両方に接触し、Cu及びSnの金属間化合物からなる第1部分と、
平面視で、前記第1輪郭と前記第2輪郭との間の部分を含み、Bi及びSnの合金からなる第2部分と、
を有し、
前記第2部分は、BiをBiSn合金の共晶組成よりも高濃度で含有し、
前記第2部分は、前記第2接続端子から離間していることを特徴とする複合配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合配線基板、半導体装置及び複合配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルドアップ基板の上にインターポーザを搭載した複合配線基板が開示されている(特許文献1)。また、はんだの一種として、錫ビスマス(SnBi)合金が知られている(特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-205331号公報
【特許文献2】特開2010-3878号公報
【特許文献3】特開2011-96900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の複合配線基板によれば、所期の目的は達成されるものの、ビルドアップ基板とインターポーザとの間の接合材の近傍にクラックが生じるおそれがある。
【0005】
本開示は、接合材の近傍でのクラックを抑制することができる複合配線基板、半導体装置及び複合配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、第1接続端子を備えた第1配線基板と、前記第1接続端子に対向する第2接続端子を備えた第2配線基板と、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接合する接合材と、を有し、平面視で、前記第1接続端子の第1輪郭は前記第2接続端子の第2輪郭の内側にあり、前記接合材は、前記第1接続端子及び前記第2接続端子の両方に接触し、Cu及びSnの金属間化合物からなる第1部分と、平面視で、前記第1輪郭と前記第2輪郭との間の部分を含み、Bi及びSnの合金からなる第2部分と、を有し、前記第2部分は、BiをBiSn合金の共晶組成よりも高濃度で含有し、前記第2部分は、前記第2接続端子から離間している複合配線基板が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、接合材の近傍でのクラックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る複合配線基板を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態における電極パッド、接合材及び電極パッドの位置関係を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る複合配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図4】第1実施形態に係る複合配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図5】第1実施形態に係る複合配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図6】第1実施形態に係る複合配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図7】第1実施形態に係る複合配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図8】第1実施形態の変形例における電極パッド、接合材及び電極パッドの位置関係を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態は、複合配線基板及びその製造方法に関する。
【0011】
[複合配線基板の構造]
まず、第1実施形態に係る複合配線基板の構造について説明する。
図1は、第1実施形態に係る複合配線基板を示す断面図である。
【0012】
第1実施形態に係る複合配線基板1は、ビルドアップ基板100と、インターポーザ200と、接合材300とを有する。本開示においては、便宜上、ビルドアップ基板100からみてインターポーザ200が位置する方向を上方とし、その反対方向を下方とする。また、平面視とは、ビルドアップ基板100の上面に垂直な方向から対象物を見ることをいう。但し、複合配線基板は天地逆の状態で用いることができ、また、任意の姿勢で用いることができる。
【0013】
ビルドアップ基板100は、例えば、コア層110と、コア層110の上面に設けられたビルドアップ層120と、コア層110の下面に設けられたビルドアップ層130とを有する。ビルドアップ基板100は第1配線基板の一例である。
【0014】
コア層110は、貫通孔111xが形成された絶縁性の基材111と、貫通孔111xの内壁面に形成された貫通導電ビア112と、貫通導電ビア112の内側に充填された充填材113とを有する。
【0015】
ビルドアップ層120は、絶縁層121と、配線層122と、ソルダレジスト層123とを有する。配線層122は、絶縁層121の最上面に電極パッド124を含む。配線層122の材料は、例えば銅等の導電体である。電極パッド124は、ビルドアップ基板100がインターポーザ200に接合される際の接続端子として用いられる。電極パッド124は第1接続端子の一例である。
【0016】
ビルドアップ層130は、絶縁層131と、配線層132と、ソルダレジスト層133とを有する。配線層132は、絶縁層131の最下面に電極パッド134を含む。配線層132の材料は、例えば銅等の導電体である。電極パッド134は、ビルドアップ基板100がマザーボード等の外部部品に接合される際の接続端子として用いられる。
【0017】
電極パッド124と電極パッド134とが、配線層122、貫通導電ビア112及び配線層132を介して電気的に接続されている。ビルドアップ層120に含まれる絶縁層121及び配線層122の数、ビルドアップ層130に含まれる絶縁層131及び配線層132の数は特に限定されない。
【0018】
インターポーザ200は、例えば、第1配線構造体210と、第1配線構造体210の上面に設けられた第2配線構造体220とを有する。インターポーザ200は第2配線基板の一例である。
【0019】
第1配線構造体210は、電極パッド211と、絶縁層212と、導電ビア213とを有する。
【0020】
電極パッド211は絶縁層212に埋め込まれている。絶縁層212の下面と、電極パッド211の下面とが面一になっている。電極パッド211の側面は絶縁層212により覆われている。絶縁層212に、絶縁層212の上面から電極パッド211の上面に到達するビアホール212xが形成されている。導電ビア213はビアホール212x内に設けられている。導電ビア213は電極パッド211に接触する。絶縁層212の上面と、導電ビア213の上面とが面一になっている。電極パッド211及び導電ビア213の材料は、例えば銅等の導電体である。電極パッド211は、インターポーザ200がビルドアップ基板100に接合される際の接続端子として用いられる。電極パッド211は第2接続端子の一例である。
【0021】
第2配線構造体220は、絶縁層221と、配線層222とを有する。配線層222の一部は導電ビア213に接触している。配線層222は、絶縁層221の最上面に電極パッド224を含む。絶縁層221の材料は、例えば有機樹脂である。配線層222の材料は、例えば銅等の導電体である。電極パッド224は、半導体チップが実装される際の接続端子として用いられる。第2配線構造体220に含まれる絶縁層221及び配線層222の数は特に限定されない。
【0022】
接合材300は、ビルドアップ基板100の電極パッド124と、インターポーザ200の電極パッド211とを接合する。ここで、接合材300の構成について詳細に説明する。
図2は、電極パッド124、接合材300及び電極パッド211の位置関係を示す図である。
図2(a)は、電極パッド124、接合材300及び電極パッド211を下方からみた図であり、
図2(b)は、電極パッド124、接合材300及び電極パッド211を示す断面図である。
図2(b)は、
図1中の領域Rの拡大図に相当する。
【0023】
例えば、電極パッド124は、直径が90μmの円形状の平面形状を有し、電極パッド211は、直径が150μmの円形状の平面形状を有する。平面視で、電極パッド211の中心と電極パッド124の中心とが略一致している。従って、平面視で、電極パッド124の輪郭124Aが電極パッド211の輪郭211Aの内側にある。輪郭124Aは第1輪郭の一例であり、輪郭211Aは第2輪郭の一例である。
【0024】
接合材300は、Cu及びSnの金属間化合物からなる第1部分310と、Bi及びSnの合金からなる第2部分320とを有する。
【0025】
第1部分310は、ビルドアップ基板100の電極パッド124と、インターポーザ200の電極パッド211の両方に接触する。第1部分310は、例えば、Cu3Sn層311と、Cu6Sn5層312と、Cu3Sn層313とを有する。Cu3Sn層311は電極パッド124の表面を覆い、Cu3Sn層313は電極パッド211の表面を覆う。Cu6Sn5層312はCu3Sn層311とCu3Sn層313との間にある。Cu6Sn5層312はCu3Sn層313のビルドアップ基板100側の面(下面)を覆うように形成されている。Cu6Sn5層312はビルドアップ層120に接触してもよい。Cu6Sn5層312中に、Biの微粒子314が分散していてもよい。
【0026】
第2部分320は、平面視で、電極パッド124の輪郭124Aと電極パッド211の輪郭211Aとの間の部分を含む。第2部分320は、電極パッド124の周囲に環状に形成されている。第2部分320と電極パッド124との間に第1部分310がある。第2部分320は、BiをBiSn合金の共晶組成よりも高濃度で含有する。例えば、第2部分320におけるBiの割合は、30質量%以上85質量%以下であり、好ましくは40質量%以上75質量%以下である。例えば、第2部分320の融点は、インターポーザ200の上に半導体チップが実装される際の第2部分320の温度よりも低い。第2部分320の融点は、好ましくは240℃以下であり、より好ましくは230℃以下であり、更に好ましくは220℃以下である。第2部分320が不可避的に不純物を含有していてもよい。第2部分320は、Cu6Sn5層312に接触する。第2部分320と電極パッド211との間に第1部分310が介在しており、第2部分320は、直接的には電極パッド211に接触しない。また、第2部分320と電極パッド124との間にも第1部分310が介在しており、第2部分320は、直接的には電極パッド124に接触しない。
【0027】
ビルドアップ基板100とインターポーザ200との間には、ビルドアップ基板100とインターポーザ200とを互いに接着する接着層400が設けられている。接着層400は、例えばエポキシを主剤とする。接着層400はインターポーザ200の側面の一部を覆っていてもよい。
【0028】
第1実施形態に係る複合配線基板1では、接合材300が、Cu及びSnの金属間化合物からなる第1部分310を含む。このため、第1部分310は優れた剛性を有する。また、第1部分310に含まれるCu3Sn層311及びCu3Sn層313の融点は676℃であり、第1部分310に含まれるCu6Sn5層312の融点は435℃である。インターポーザ200の上に半導体チップが実装されるが、実装の際の接合材300の温度は250℃程度とされ、第1部分310の融点よりも100℃以上低い。このため、実装の際に第1部分310は熱的に安定している。つまり、実装の際の加熱によっても接合材300は高い剛性を安定して維持できる。
【0029】
更に、接合材300は、Bi及びSnの合金からなり、BiをBiSn合金の共晶組成よりも高濃度で含有する第2部分320を含む。このため、第2部分320は優れた靭性を有する。また、第2部分320は、電極パッド124の輪郭124Aと電極パッド211の輪郭211Aとの間の部分を含む。上記のように、半導体チップの実装の際の接合材300の温度が250℃程度とされると、第2部分320は、溶融したり軟化したりする。このため、実装の際に接合材300に応力が作用したときには、第2部分320が優先的に弾性変形し、第1部分310への応力集中が緩和される。
【0030】
従って、第1実施形態によれば、接合材300の近傍でのクラックを抑制することができる。
【0031】
また、半導体チップの実装の際には、ビルドアップ基板100とインターポーザ200との間に、厚さ方向に垂直な方向(面内方向)で比較的大きな熱変形量の相違が生じるが、この相違に付随する熱応力も第2部分320によって緩和することができる。
【0032】
更に、Bi及びSnの合金からなる第2部分320は電極パッド211から離間しており、電極パッド211に接触しておらず、電極パッド211の近傍には、熱的に安定なCu及びSnの金属間化合物からなる第1部分310が形成されている。このため、電極パッド211は半導体チップの実装時に熱の影響を大きく受けるが、接合材300は優れた熱的安定性を維持することができる。
【0033】
なお、電極パッド124と電極パッド211との間の距離は、好ましくは6μm以下である。この距離が6μm超であると、第1部分310を電極パッド124又は電極パッド211のいずれかに接触させにくくなるおそれがあるためである。また、この距離はより好ましくは3μm以下である。この距離が3μm以下であると、接合材300の平面視で電極パッド124の輪郭124Aの内側にある部分のほぼ全体を第1部分310で構成することができ、特に優れた熱的安定性を得ることができる。例えば、接合材300の平面視で電極パッド124の輪郭124Aの内側にある部分では、好ましくはBiの割合は5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
【0034】
また、接合材300の平面視で電極パッド124の輪郭124Aの内側にある部分の体積は、好ましくは接合材300の平面視で電極パッド124の輪郭124Aの外側にある部分の体積の50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、更に好ましくは30%以下である。
【0035】
[複合配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る複合配線基板1の製造方法について説明する。
図3~
図7は、第1実施形態に係る複合配線基板1の製造方法を示す断面図である。
【0036】
まず、
図3(a)に示すように、インターポーザ200の電極パッド211の下面にSnBiはんだ材350を設ける。例えば、SnBiはんだ材350の高さは15μm~20μm程度とする。SnBiはんだ材350の材料としては、SnBi合金の共晶組成よりもBiを少なく含むSnBi合金を用いることが好ましい。例えば、SnBiはんだ材350におけるBiの割合は30質量%~58質量%であり、好ましくは30質量%~45質量%である。SnBiはんだ材350の融点は、例えば140℃程度である。SnBiはんだ材350は第1接合材の一例である。
【0037】
次いで、
図3(b)に示すように、インターポーザ200の下面に、SnBiはんだ材350を被覆する接着剤410を形成する。接着剤410としては、例えばエポキシを主剤とするNCF(non-conductive film)を用いることができる。
【0038】
また、
図4に示すように、別途、ビルドアップ基板100を準備する。
【0039】
そして、
図5に示すように、電極パッド211を電極パッド124に対向させながら、接着剤410が形成されたインターポーザ200をビルドアップ基板100の上に載置する。このとき、SnBiはんだ材350の温度は融点よりも低くする。例えば、SnBiはんだ材350の温度は60℃~80℃程度とする。また、ビルドアップ基板100とインターポーザ200の間に0.1MPa未満の荷重を印加することで、インターポーザ200をビルドアップ基板100に仮固定する。荷重の印加時間は、例えば2秒間程度とする。
【0040】
次いで、
図6に示すように、インターポーザ200をビルドアップ基板100に仮圧着する。具体的には、ビルドアップ基板100とインターポーザ200の間に10MPa~20MPa程度の荷重を印加することで、SnBiはんだ材350を圧縮変形させる。このとき、SnBiはんだ材350が軟化して変形しやすくなるように、SnBiはんだ材350の温度は融点未満で比較的高温とする。例えば、SnBiはんだ材350の温度は100℃~120℃程度とする。例えば、仮圧着後の電極パッド124と電極パッド211との間の距離は、好ましくは6μm以下とし、より好ましくは3μm以下とする。SnBiはんだ材350の圧縮変形によってビルドアップ基板100とインターポーザ200との間の距離が小さくなり、平面視で接着剤410がインターポーザ200の外側にはみ出す。はみ出した接着剤410、表面張力によりインターポーザ200の側面を這い上がり、インターポーザ200の側面の一部を覆う。荷重の印加時間は、例えば60秒間程度とする。
【0041】
その後、
図7に示すように、インターポーザ200をビルドアップ基板100に本圧着する。具体的には、ビルドアップ基板100とインターポーザ200の間に0.2MPa~0.6MPa程度の荷重を印加しながら、SnBiはんだ材350の温度を融点よりも高くする。例えば、SnBiはんだ材350の温度は180℃程度とする。この結果、SnBiはんだ材350が溶融する。そして、SnBiはんだ材350に含まれるSnと、電極パッド124及び電極パッド211に含まれるCuとが反応して、Cu
3Sn層311、Cu
6Sn
5層312及びCu
3Sn層313を含む第1310が電極パッド124及び電極パッド211の近傍に形成される。また、Cu
3Sn層311、Cu
6Sn
5層312及びCu
3Sn層313の形成に伴って、SnBiはんだ材350よりもBiの割合が高まった第2部分320が電極パッド124及び電極パッド211から離れて形成される。更に、本圧着の際に接着剤410も加熱され、接着剤410が硬化する。荷重の印加時間は、例えば180秒間程度とする。
【0042】
その後、荷重の印加及び加熱を停止する。この結果、第1部分310及び第2部分320が凝固し、接合材300が形成される。
【0043】
このようにして、第1実施形態に係る複合配線基板1を製造することができる。
【0044】
なお、
図8に示すように、第1部分310の電極パッド124と第2部分320との間の部分が、第1部分310の電極パッド211と第2部分320との間の部分より極端に薄くなっていてもよい。例えば、電極パッド124の表面に、Niめっき処理を含む表面処理が施されている場合、第1部分310の電極パッド124と第2部分320との間の部分が薄くなりやすい。
図8は、第1実施形態の変形例における電極パッド124、接合材300及び電極パッド211の位置関係を示す断面図である。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、半導体装置に関する。
図9は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0046】
第2実施形態に係る半導体装置2では、第1実施形態に係る複合配線基板1のインターポーザ200の上に半導体チップ20が実装されている。すなわち、半導体チップ20に設けられた接続端子(図示せず)が、はんだ等の接合材(図示せず)を介して電極パッド224に接続されている。半導体チップ20は、例えば250℃の温度でのリフローを経て実装されている。実装の際に、半導体チップ20が複合配線基板1に向けて加圧されてもよい。
【0047】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 複合配線基板
2 半導体装置
20 半導体チップ
100 ビルドアップ基板
124 電極パッド
124A 輪郭
200 インターポーザ
211 電極パッド
211A 輪郭
300 接合材
310 第1部分
311、313 Cu3Sn層
312 Cu6Sn5層
314 微粒子
320 第2部分