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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173930
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079993
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】種子田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】清水 規良
(72)【発明者】
【氏名】水谷 理絵
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 優哉
(72)【発明者】
【氏名】秋山 尚輝
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB03
5E316BB04
5E316CC04
5E316CC05
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD33
5E316EE09
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH11
5E316HH18
5E316JJ02
5E316JJ14
(57)【要約】
【課題】薄膜コンデンサの破損を抑制可能な配線基板を提供する。
【解決手段】本配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層上に積層された薄膜コンデンサと、前記薄膜コンデンサと電気的に接続された配線層と、前記薄膜コンデンサ上に積層された封止樹脂層と、を有し、前記配線層は、前記薄膜コンデンサから突出するパッドを含み、前記封止樹脂層は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とするモールド樹脂であり、前記封止樹脂層は、前記パッドの上面を露出し、側面の少なくとも一部を被覆する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に積層された薄膜コンデンサと、
前記薄膜コンデンサと電気的に接続された配線層と、
前記薄膜コンデンサ上に積層された封止樹脂層と、を有し、
前記配線層は、前記薄膜コンデンサから突出するパッドを含み、
前記封止樹脂層は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とするモールド樹脂であり、
前記封止樹脂層は、前記パッドの上面を露出し、側面の少なくとも一部を被覆する、配線基板。
【請求項2】
前記配線層は、前記パッドと連続して形成され、前記薄膜コンデンサ及び前記絶縁層を貫通するビア配線を含む、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記薄膜コンデンサは、誘電体と、前記誘電体に設けられた電極と、を有し、
前記ビア配線は、前記誘電体及び前記電極を貫通するビア配線を含む、請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記配線層は、前記薄膜コンデンサから突出する複数のパッドを含み、
前記電極は、前記誘電体の一方の面に設けられた第1電極、及び前記誘電体の一方の面とは反対側の面に設けられた第2電極を含み、
複数の前記パッドのうち少なくとも1つは、前記第1電極を貫通する第1ビア配線を有し、
前記複数のパッドのうち少なくとも1つは、前記第2電極を貫通する第2ビア配線を有する、請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
複数の前記パッドは、高さが均一である、請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
複数の前記パッドは、上面の面積が均一である、請求項4又は5に記載の配線基板。
【請求項7】
複数の前記パッドの上面側は、前記封止樹脂層から突出している、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項8】
複数の前記パッドは、半導体チップと電気的に接続するための外部接続端子である、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項9】
前記絶縁層は、感光性樹脂を主成分とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項10】
絶縁層上に薄膜コンデンサを積層する工程と、
前記薄膜コンデンサと電気的に接続された配線層を形成する工程と、
前記薄膜コンデンサ上に封止樹脂層を積層する工程と、を有し、
前記配線層は、前記薄膜コンデンサから突出するパッドを含み、
前記封止樹脂層は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とするモールド樹脂であり、
前記封止樹脂層を積層する工程では、前記パッドの上面及び側面を被覆するように前記封止樹脂層を形成し、前記封止樹脂層の上面側を研磨して前記パッドの上面を露出する、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップ等の電子部品が搭載される配線基板として、配線パターンを高密度化するため、ビルドアップ工法により複数の配線層及び絶縁層を交互に積層した配線基板が知られている。この種の配線基板として、伝送特性を向上するために内部に薄膜コンデンサを埋め込んだ構造が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-179865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線基板において、伝送特性をさらに向上するためには、半導体チップに近い上面側に薄膜コンデンサを搭載する必要がある。しかしながら、上面側に薄膜コンデンサが搭載された配線基板に半導体チップを実装する際に、実装時の熱応力や圧力により薄膜コンデンサが破損するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、薄膜コンデンサの破損を抑制可能な配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層上に積層された薄膜コンデンサと、前記薄膜コンデンサと電気的に接続された配線層と、前記薄膜コンデンサ上に積層された封止樹脂層と、を有し、前記配線層は、前記薄膜コンデンサから突出するパッドを含み、前記封止樹脂層は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とするモールド樹脂であり、前記封止樹脂層は、前記パッドの上面を露出し、側面の少なくとも一部を被覆する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、薄膜コンデンサの破損を抑制可能な配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
図6】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その5)である。
図7】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その6)である。
図8】第1実施形態の応用例1に係る積層型配線基板を例示する断面図である。
図9】第1実施形態の応用例2に係る半導体装置を例示する断面図である。
図10】第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
[配線基板の構造]
まず、第1実施形態に係る配線基板の構造について説明する。図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【0011】
図1を参照すると、第1実施形態に係る配線基板1は、第1配線構造1Lと、第1配線構造1L上に積層された第2配線構造1Hと、第2配線構造1H上に積層された封止樹脂層34とを有する。配線基板1の平面形状は、例えば、正方形状や長方形状とすることができる。ただし、これには限定されず、配線基板1は任意の平面形状とすることができる。
【0012】
第1配線構造1Lは、第2配線構造1Hよりも配線密度の低い配線層が形成された低密度配線層であり、配線層11と、絶縁層12と、配線層13とを有する。これに対して、第2配線構造1Hは、第1配線構造1Lよりも配線密度の高い配線層が形成された高密度配線層であり、配線層14と、絶縁層15と、配線層16と、絶縁層17と、配線層18と、絶縁層19と、薄膜コンデンサ20と、配線層31とを有する。
【0013】
なお、本実施形態では、便宜上、配線基板1の封止樹脂層34側を上側又は一方の側、絶縁層12側を下側又は他方の側とする。又、各部位の封止樹脂層34側の面を一方の面又は上面、絶縁層12側の面を他方の面又は下面とする。ただし、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を封止樹脂層34の上面34aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を封止樹脂層34の上面34aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
配線層11は、絶縁層12の下面側に露出する最下層の配線層であり、上面及び側面が絶縁層12に被覆されている。配線層11の下面は、例えば、絶縁層12の下面12bから配線層13側に窪んだ位置に露出している。ただし、必要に応じて、配線層11の下面は、絶縁層12の下面12bと面一としてもよい。あるいは、配線層11の側面の一部及び下面が、絶縁層12の下面12bから下側に突出してもよい。
【0015】
配線層11は、例えば、平面形状が直径150μm程度の円形のパッドであるが、配線パターンを含んでいてもよい。隣接する配線層11の間隔は、例えば、200μm程度とすることができる。配線層11の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層11の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。なお、配線層11は、他の配線基板と電気的に接続するための外部接続端子(パッド)として使用できる。
【0016】
配線層11の下面に表面処理層110を形成してもよい。表面処理層110の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等が挙げられる。また、配線層11の下面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0017】
絶縁層12は、配線層11の上面及び側面を被覆している。絶縁層12は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とし、補強部材128を有している。絶縁層12は、補強部材128に非感光性の熱硬化性樹脂を含浸させた構成とすることができる。ここで、『非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とし』とは、熱硬化性樹脂以外にフィラー等の他の成分を含有してもよいことを意味する。
【0018】
絶縁層12に用いる非感光性の熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等が挙げられる。補強部材128としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布等が挙げられる。絶縁層12が含有するフィラーとしては、例えば、シリカ(SiO)、カオリン(AlSi(OH))、タルク(MgSi10(OH))、アルミナ(Al)等が挙げられる。又、これらを混在させてもよい。
【0019】
絶縁層12の厚さは、例えば、60~70μm程度とすることができる。絶縁層12の熱膨張係数は、例えば、5ppm/℃以上10ppm/℃以下とすることができる。絶縁層12の熱膨張係数は、例えば、フィラーの含有量や絶縁性樹脂の組成や等により所定値に調整できる。絶縁層12の熱膨張係数は、絶縁層15、17、及び19の各々の熱膨張係数よりも低い。
【0020】
配線層13は、絶縁層12に埋設されたビア配線である。より詳しくは、配線層13は、絶縁層12を貫通し配線層11の上面を露出するビアホール12x内に充填されたビア配線であり、配線層11と電気的に接続されている。ビアホール12xは、絶縁層15側に開口されている開口部の径が配線層11の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール12xの開口部の径は、例えば60~70μm程度とすることができる。
【0021】
ビア配線である配線層13の上面は、絶縁層12の上面12aから露出している。配線層13の上面は、例えば、絶縁層12の上面12aと面一とすることができる。配線層13の上面は、配線層14の下面と直接接合されている。又、配線層13の下面は、絶縁層12内で配線層11と直接接合されている。配線層13の材料は、例えば、配線層11と同様とすることができる。
【0022】
なお、本実施形態では、配線層13は、絶縁層12のビアホール12xに形成されたビア配線のみからなる。言い換えれば、配線層13には、絶縁層12の上面12aに一体的に形成される配線パターンはない。配線層13と配線層14は、電気的には接続されているが、一体的ではない。具体的には、後述する製造方法において、配線層14をセミアディティブ法で形成した場合には、配線層13の上面と配線層14の下面の境界にはシード層が介在する。このような構造とする理由は、後述の配線層14として高密度の配線パターン(例えば、ライン/スペースが3μm/3μm程度)を形成するためである。詳しくは、配線基板1の製造方法の項で説明する。
【0023】
配線層14は、絶縁層12の上面12aに形成されている。配線層14は、絶縁層12の上面12aに直接形成されており、配線層13を介して配線層11と電気的に接続された配線(配線パターンやパッド)を含んでいる。すなわち、配線層14の下面の一部は、配線層13の上面と接しており、両者は電気的に接続されている。配線層14の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層14は、複数の導体層が積層された積層膜であってもよい。
【0024】
配線層14は、配線層11よりも配線密度が高く(ライン/スペースが狭く)、かつ配線層11よりも薄い。本明細書では、ライン/スペースが8μm/8μm以下の配線層を配線密度が高い配線層とする。配線層14のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm~3μm/3μm程度とすることができる。配線層14の厚さは、例えば、1~3μm程度とすることができる。
【0025】
なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが2μm/2μmと記載されていた場合、配線幅が2μmで隣り合う配線同士の間隔が2μmであることを表す。
【0026】
絶縁層15は、感光性樹脂を主成分とする絶縁層である。『感光性樹脂を主成分とする』とは、感光性樹脂以外にフィラー等の他の成分を含有してもよいことを意味する。例えば、絶縁層15は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0027】
絶縁層15は、絶縁層12の上面12aに、配線層14を被覆するように形成されている。絶縁層15に用いる感光性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂が挙げられる。絶縁層15の厚さは、例えば5μm以上10μm以下とすることができる。絶縁層15の熱膨張係数は、例えば、40ppm/℃以上60ppm/℃以下とすることができる。絶縁層15の熱膨張係数は、例えば、フィラーの含有量や絶縁性樹脂の組成や等により所定値に調整できる。
【0028】
ただし、感光性樹脂を主成分とする絶縁層15では、フィラーの含有量が多くなると露光が不可能となるため、含有可能なフィラーの量には制限(上限)がある。従って、感光性樹脂を主成分とする絶縁層15の熱膨張係数は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層12の熱膨張係数や封止樹脂層34の熱膨張係数よりも大きくなる傾向がある。
【0029】
配線層16は、絶縁層15の一方の側に形成されており、配線層14と電気的に接続されている。配線層16は、絶縁層15を貫通し配線層14の上面を露出するビアホール15x内に充填されたビア配線、及び絶縁層15の上面に形成された配線パターンを含んでいる。ビアホール15xは、絶縁層17側に開口されている開口部の径が配線層14の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール15xの開口部の径は、例えば10~20μm程度とすることができる。配線層16の材料、配線層16を構成する配線パターンの厚さは、例えば、配線層14と同様とすることができる。
【0030】
なお、配線層16のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm~3μm/3μm程度とすることができるが、配線層14よりも更にライン/スペースを狭くすることが可能である。すなわち、絶縁層12の上面12aは研磨された面であり、絶縁層12の下面12bよりも平滑である。しかし、感光性樹脂を主成分とする絶縁層15の上面は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層12の上面12aよりも更に平滑である。そのため、配線層16のライン/スペースは、配線層14のライン/スペースよりも狭くすることができる。例えば、配線層14のライン/スペースを3μm/3μm、配線層16のライン/スペースを1μm/1μmとすることができる。後述の配線層18についても同様である。
【0031】
絶縁層17は、絶縁層15の一方の面に、配線層16を被覆するように形成されている。絶縁層17の材料や厚さや熱膨張係数は、例えば、絶縁層15と同様とすることができる。絶縁層17は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0032】
配線層18は、絶縁層17の一方の側に形成されており、配線層16と電気的に接続されている。配線層18は、絶縁層17を貫通し配線層16の上面を露出するビアホール17x内に充填されたビア配線、及び絶縁層17の上面に形成された配線パターンを含んでいる。ビアホール17xは、絶縁層19側に開口されている開口部の径が配線層16の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール17xの開口部の径は、例えば10~20μm程度とすることができる。配線層18の材料、配線層18を構成する配線パターンの厚さは、例えば、配線層14と同様とすることができる。配線層18を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、配線層16と同様とすることができる。
【0033】
絶縁層19は、絶縁層17の一方の面に、配線層18を被覆するように形成されている。第2配線構造1Hにおいて、絶縁層19は、最上層の絶縁層である。絶縁層19の材料や厚さや熱膨張係数は、例えば、絶縁層15と同様とすることができる。絶縁層19は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0034】
薄膜コンデンサ20は、絶縁層19の一方の面に積層されている。薄膜コンデンサ20は、厚さが50μm程度のシート状のコンデンサであり、例えば、誘電体21と、第1電極22と、第2電極23と、接着層24とを有している。第1電極22は、誘電体21の一方の面に形成されており、例えば、回路のグランドと接続される。第2電極23は、誘電体21の他方の面に形成されており、例えば、回路の電源と接続される。接着層24は、第2電極23を被覆するように誘電体21の他方の面に形成されており絶縁層19と接着される。誘電体21の材料としては、例えば、チタン酸バリウム等を使用できる。第1電極22及び第2電極23の材料としては、例えば、銅等を使用できる。
【0035】
配線層31は、薄膜コンデンサ20の一方の側に形成されており、薄膜コンデンサ20と電気的に接続されている。第2配線構造1Hにおいて、配線層31は、最上層の配線層である。配線層31は、薄膜コンデンサ20を貫通するビアホール20xと絶縁層19を貫通し配線層18の上面を露出するビアホール19x内に充填されたビア配線32、及び薄膜コンデンサ20の上面側から突出する複数のパッド33を含んでいる。
【0036】
ビア配線32は、パッド33と連続して形成されており、配線層18と電気的に接続される。一部のビア配線32は、薄膜コンデンサ20の誘電体21と第1電極22又は第2電極23と接着層24とを貫通する。すなわち、第1電極22と第2電極23は、ビア配線32を介して配線層18と電気的に接続されている。第1電極22を貫通して電気的に接続されるビア配線32と、第2電極23を貫通して電気的に接続されるビア配線32をそれぞれ有することで、全体として大きなコンデンサ構造が形成されるようになっている。
【0037】
ビアホール19xは、薄膜コンデンサ20の接着層24側に開口されている開口部の径が配線層18の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール19xの開口部の径は、例えば10~20μm程度とすることができる。
【0038】
ビアホール20xは、ビアホール19xと連通している。ビアホール20xは、開口部の径が略一定の円柱状であり、ビアホール20xの開口部の径は、ビアホール19xの開口部の径よりも大きい。ビアホール20xの開口部の径は、例えば20~40μm程度とすることができる。
【0039】
配線層31の材料は、例えば、配線層14と同様とすることができる。配線層31の厚さ(ビア配線32の厚さとパッド33の厚さの合計)は、例えば、10μm程度とすることができる。パッド33の平面形状は、例えば、直径が20~30μm程度の円形とすることができる。パッド33のピッチは、例えば、40~50μm程度とすることができる。パッド33の径と、ビアホール20xの開口部の径との大小関係は、任意に決定できる。なお、パッド33の封止樹脂層34から露出する部分は、半導体チップと電気的に接続するための外部接続端子として使用できる。
【0040】
なお、パッド33の上面に、表面処理層110と同様の表面処理層310を形成してもよい。表面処理層310は、パッド33の側面の一部及び上面が封止樹脂層34の上面34aから突出している場合には、パッド33の上面のみ、又は側面の一部及び上面に形成される。
【0041】
封止樹脂層34は、薄膜コンデンサ20上に積層され、各々のパッド33の上面を露出し、各々のパッド33の側面の少なくとも一部を被覆する。封止樹脂層34は、パッド33の上面を露出し、パッド33の側面の全部を被覆してもよい。この場合、パッド33の上面は、例えば、封止樹脂層34の上面34aと面一となる。ただし、パッド33の側面の一部及び上面を封止樹脂層34の上面34aから突出させてもよいし、パッド33の上面を封止樹脂層34の上面34aよりも窪んだ位置に露出させてもよい。なお、パッド33の側面の一部及び上面を封止樹脂層34の上面34aから突出させる場合は、封止樹脂層34と半導体チップとの間隔を確保できるため、封止樹脂層34と半導体チップとの間にアンダーフィル樹脂を充填しやすくなる。
【0042】
封止樹脂層34の材料としては、例えば、モールド樹脂を使用できる。モールド樹脂とは、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法等に使用可能な非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂である。モールド樹脂は、例えば、非感光性で熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂であり、絶縁層12と同様のフィラーを含有してもよいが、ガラス繊維等の補強部材は含有していない。
【0043】
配線基板1の反りを低減する観点から、封止樹脂層34の厚さは、絶縁層12の厚さよりも厚いことが好ましい。絶縁層12の厚さが60μm以上70μm以下であれば、例えば、封止樹脂層34の厚さは、80μm以上150μm以下とすることができる。封止樹脂層34の熱膨張係数は、絶縁層15、17、及び19の各々の熱膨張係数よりも低いことが好ましい。なお、図1では、図面作成の便宜上、封止樹脂層34の厚さを絶縁層12の厚さよりも薄く描いている。
【0044】
また、配線基板1の反りを低減する観点から、封止樹脂層34の熱膨張係数は、絶縁層12の熱膨張係数と略等しいことが好ましい。ここで、略等しいとは、封止樹脂層34の熱膨張係数が絶縁層12の熱膨張係数に対して±20%以下であることを意味する。
【0045】
例えば、絶縁層12の熱膨張係数が5ppm/℃以上10ppm/℃以下であれば、封止樹脂層34の熱膨張係数も5ppm/℃以上10ppm/℃以下であることが好ましい。封止樹脂層34の熱膨張係数は、例えば、フィラーの含有量や絶縁性樹脂の組成や等により所定値に調整できる。
【0046】
[第1実施形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図2図7は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、ここでは、1つの配線基板を作製する工程の例を示すが、配線基板となる複数の部分を作製し、その後個片化して各配線基板とする工程としてもよい。また、ここでは、支持体の一方側のみに層構造を形成する工程の例を示すが、支持体の一方側及び他方側に層構造を形成する工程としてもよい。
【0047】
まず、図2(a)に示す工程では、支持体100を準備し、支持体100上に配線層11及び絶縁層12を形成し、絶縁層12にビアホール12xを形成後、絶縁層12上及びビアホール12x内にシード層131及び電解めっき層132の積層構造を形成する。
【0048】
支持体100は、例えば、コア基板101の一方側にキャリア付き銅箔104を積層した構造である。コア基板101は、例えば、厚さが0.7mm程度の樹脂製の基板であり、ガラス繊維等の補強部材を有してもよい。キャリア付き銅箔104は、例えば銅からなる厚さ10~50μm程度の厚箔(キャリア箔)104b上に、剥離層(図示せず)を介して、例えば銅からなる厚さ1.5~5μm程度の薄箔104aが剥離可能な状態で貼着された構造を有する。厚箔104bは、薄箔104aの取り扱いを容易にするための支持材として設けられている。
【0049】
なお、上記の支持体100の構造は一例であり、これには限定されない。例えば、支持体100において、コア基板101に代えて、複数のプリプレグが積層された積層体を用いてもよい。また、支持体100は、ガラス基板や金属基板等の一方側に、剥離層を介してキャリア付き銅箔104を配置した構造としてもよい。
【0050】
支持体100を準備したら、まず、支持体100の一方側に配線層11を形成する。具体的には、キャリア付き銅箔104の上面(薄箔104aの上面)に、ドライフィルムレジスト等を用いて、配線層11を形成する部分に開口部を有するレジスト層を形成する。そして、キャリア付き銅箔104を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するキャリア付き銅箔104の上面に電解めっき層である配線層11を形成する。配線層11の材料や厚さは、前述の通りである。その後、レジスト層を剥離する。
【0051】
次に、キャリア付き銅箔104の上面に、配線層11を被覆する絶縁層12を形成する。具体的には、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とし、補強部材128を有している半硬化状態のフィルム状の絶縁性樹脂を準備する。そして、キャリア付き銅箔104の上面に、この絶縁性樹脂をラミネートし、加熱及び加圧しながら硬化させて絶縁層12とする。絶縁層12の材料や厚さ、熱膨張係数等は、前述の通りである。
【0052】
次に、絶縁層12に、絶縁層12を貫通し配線層11の上面を露出するビアホール12xを形成する。ビアホール12xは、例えば、COレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール12xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール12xの底部に各々露出する配線層11の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0053】
次に、例えば、セミアディティブ法を用いて、絶縁層12の上面12a及びビアホール12x内にシード層131及び電解めっき層132の積層構造を形成する。具体的には、まず、絶縁層12の上面12a、ビアホール12xの内壁面、及びビアホール12x内に露出する配線層11の上面に、無電解めっき法やスパッタ法によりシード層131を形成する。シード層131としては、例えば、厚さ100~350nm程度の銅層を用いることができる。又、シード層131として、厚さ20~50nm程度のチタン層と厚さ100~300nm程度の銅層をこの順番で積層した積層膜を用いてもよい。シード層131の下層にチタン層を形成することにより、絶縁層12と配線層13との密着性及を向上できる。チタンに代えて、窒化チタン等を用いても構わない。なお、チタンや窒化チタンは、銅よりも耐腐食性の高い金属である。そして、シード層131を給電層とする電解めっき法により、シード層131上に電解めっき層132(例えば、銅層)を形成する。
【0054】
次に、図2(b)に示す工程では、図2(a)に示すシード層131及び電解めっき層132の積層構造の上面側を研磨して絶縁層12の上面12aを露出させ、ビアホール12x内に充填されたビア配線である配線層13を形成する。配線層13の研磨には、例えば、CMP法(chemical mechanical polishing法)等を用いることができる。配線層13の上面は、例えば、絶縁層12の上面12aと面一とすることができる。
【0055】
配線層13を研磨する際、絶縁層12の上面12aの一部を同時に研磨して除去してもよい。配線層13と共に絶縁層12の上面12aを研磨し、絶縁層12の上面12aの一部を除去することにより、絶縁層12の上面12aの粗度を研磨前より小さくできる。つまり、絶縁層12の上面12aの平滑度を向上できる。絶縁層12の上面12aの粗度はCMP法を実行する前(研磨前)は、例えば、Ra300~400nm程度であり、CMP法を実行することによりRa15~40nm程度とすることができる。このように、絶縁層12の上面12aの粗度を低減して平滑度を向上することにより、後工程において、微細配線(配線密度が高い配線層)の形成が可能となる。なお、絶縁層12の下面12bの粗度は、例えば、Ra180~280nm程度である。
【0056】
次に、図2(c)に示す工程では、配線層13の上面及び絶縁層12の上面12aに所定パターンの配線層14を形成する。配線層14は、配線層13と同様に、例えば、セミアディティブ法を用いて形成できる。具体的には、まず、配線層13の上面及び絶縁層12の上面12aを連続的に被覆するように、無電解めっき法やスパッタ法によりシード層を形成する。なお、シード層の形成に無電解めっき法を用いてもよいが、スパッタ法を用いる方が薄い膜を形成できるので、配線層の高密度化に対してはスパッタ法を用いる方が有利である。
【0057】
そして、シード層の上面の全体に感光性のレジスト層を形成し、レジスト層を露光及び現像し、配線層14を形成する部分を露出する開口部を形成する。そして、シード層を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するシード層の上面に電解めっき層を形成する。そして、レジスト層を剥離した後、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された配線層14が形成される。配線層14の材料や厚さ、ライン/スペース等は、前述の通りである。なお、配線層14は、シード層上に電解めっき層が積層された構造となるが、図2(c)等において、シード層と電解めっき層との区別は省略されている(他の配線層についても同様に省略する場合がある)。
【0058】
次に、図3(a)に示す工程では、配線層14を被覆するように、絶縁層12の上面12aに液状又はペースト状の感光性樹脂を塗布後、硬化しない程度の温度で加熱して半硬化状態の絶縁層15を形成する。絶縁層15の材料や厚さは、前述の通りである。次に、例えば、フォトリソグラフィ法によりビアホール15xを形成後、絶縁層15を硬化温度以上に加熱して硬化させる。感光性樹脂を主成分とする絶縁層15の上面は、絶縁層12の上面12aよりも更に平滑となる。絶縁層15の上面の粗度は、例えば、Ra2~6nm程度とすることができる。
【0059】
次に、図3(b)に示す工程では、図2(c)及び図3(a)と同様の工程を繰り返して配線層16、絶縁層17、配線層18、及び絶縁層19を形成し、その後、絶縁層19を貫通し配線層18の上面を露出するビアホール19x内を形成する。なお、以降の図4図6に示す工程ついては、図3(b)のA部を拡大した図を参照しながら説明する。
【0060】
次に、図4(a)に示す工程では、薄膜コンデンサ20を準備し、薄膜コンデンサ20にレーザ加工法等により複数のビアホール20xを形成する。複数のビアホール20xは、第1電極22を開口するビアホール及び第2電極23を開口するビアホールを少なくとも含む。各ビアホール20xの径は、同一でなくてもよい。
【0061】
次に、図4(b)に示す工程では、接着層24側を絶縁層19側に向けて、薄膜コンデンサ20を絶縁層19上に配置する。この際、ビアホール19xとビアホール20xとは連通する。そして、加熱等により接着層24を硬化させて、薄膜コンデンサ20を絶縁層19上に固定する。
【0062】
次に、図4(c)から図5(c)に示す工程では、例えば、セミアディティブ法を用いて、配線層31を形成する。まず、図4(c)に示すように、誘電体21の上面、第1電極22の上面及び側面、ビアホール19x及び20xの内壁面、並びにビアホール19x内に露出する配線層18の上面に、無電解めっき法やスパッタ法によりシード層311を形成する。シード層311としては、例えば、厚さ100~350nm程度の銅層を用いることができる。
【0063】
次に、図5(a)に示す工程では、シード層311上に感光性のレジスト層500を形成し、レジスト層500を露光及び現像し、配線層31を形成する部分を露出する開口部500xを形成する。レジスト層500は、例えば、ドライフィルムレジストをシード層311上にラミネートすることで形成できる。
【0064】
次に、図5(b)に示す工程では、シード層311を給電層とする電解めっき法により、開口部500x内に露出するシード層311上に電解めっき層312(例えば、銅層)を形成する。そして、図5(c)に示す工程では、レジスト層500を剥離した後、電解めっき層312をマスクにして、電解めっき層312に覆われていない部分のシード層311をエッチングにより除去する。これにより、図5(b)に示すシード層311及び電解めっき層312から構成され、ビアホール19x及び20x内を充填するビア配線32、及び薄膜コンデンサ20の上面側から突出するパッド33を含む配線層31が形成される。
【0065】
次に、図6(a)に示す工程では、薄膜コンデンサ20上に、配線層31のパッド33の上面及び側面を被覆するように封止樹脂層34を形成する。封止樹脂層34は、例えば、モールド樹脂を用いたモールド成形法により形成できる。例えば、図5(c)に示す構造体を金型内に収容し、その金型内に圧力(例えば、5~10MPa)を印加して流動化したモールド樹脂を導入する。その後、モールド樹脂を180℃程度の温度で加熱して硬化させることにより、封止樹脂層34を形成する。そして、所要の封止処理を終了後、封止樹脂層34で覆われた構造体を上記金型から取り出す。モールド成形法としては、例えば、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法等を使用できる。
【0066】
次に、図6(b)に示す工程では、図6(a)に示す封止樹脂層34の上面側を研磨してパッド33の少なくとも上面を露出する。封止樹脂層34の研磨には、例えば、CMP法等を用いることができる。パッド33の上面は、例えば、封止樹脂層34の上面34aと面一とすることができる。ただし、封止樹脂層34の研磨量の調整等により、パッド33の側面の一部及び上面を封止樹脂層34の上面34aから突出させてもよいし、パッド33の上面を封止樹脂層34の上面34aよりも窪んだ位置に露出させてもよい。
【0067】
次に、図7(a)に示す工程では、ダイシングブレード等を用いて、図6(b)に部分的に示した構造体の全体における外周部を切断する。次に、図7(b)に示す工程では、図7(a)に示す支持体100を除去し、必要に応じ、パッド33の上面に表面処理層310を形成し、かつ配線層11の下面に表面処理層110を形成する。支持体100を除去するには、まず、コア基板101及び厚箔104bを薄箔104aから機械的に剥離する。そして、薄箔104aを、例えば、塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液や過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去する。このとき、配線層11が銅であれば、配線層11の下面側もエッチングされ、配線層11の下面は、絶縁層12の下面12bから配線層13側に窪む。表面処理層110及び310としては、例えば、無電解めっき法により、前述の金属層や金属層の積層体を形成してもよいし、OSP処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0068】
このように、配線基板1では、パッド33の直下に薄膜コンデンサ20が配置されている。パッド33は、半導体チップと電気的に接続するための外部接続端子として使用されるため、配線基板1の上に半導体チップを実装した場合、薄膜コンデンサ20は、半導体チップに近い位置に配置されることになる。これにより、薄膜コンデンサ20の等価直列インダクタンスを低減できるため、半導体チップの高周波(例えば、100MHz以上)での動作が可能となる。
【0069】
また、配線基板1では、薄膜コンデンサ20上に、パッド33の上面を露出し、パッド33の側面の少なくとも一部を被覆する封止樹脂層34が積層されている。配線基板1の上に半導体チップを実装する際には、パッド33と半導体チップの電極パッドとの間をはんだで接続する。仮に、薄膜コンデンサが配線基板の表面に露出しているとすれば、半導体チップ実装時に生じる熱応力や圧力により薄膜コンデンサが割れるおそれが有る。しかしながら、配線基板1では、薄膜コンデンサ20上に積層されている封止樹脂層34により、薄膜コンデンサ20が半導体チップ実装時に生じる熱応力や圧力の影響を受け難い構造であるため、薄膜コンデンサの破損を抑制できる。
【0070】
また、配線基板1では、封止樹脂層34の上面側を研磨してパッド33の上面を露出するため、複数のパッド33の上面の高さが均一になる。ここで、高さが均一とは、最も高いパッドが最も低いパッドの+10μm以下の高さである場合を指す。また、封止樹脂層34から露出する複数のパッド33は、上面の面積が均一であり研磨された平滑な平面でもあるため、半導体チップ実装時に、はんだの濡れ広がりが一定となり、半導体チップの実装信頼性を向上できる。ここで、面積が均一とは、最も大面積のパッドの上面が最も小面積のパッドの上面の+20%以下の面積である場合を指す。
【0071】
なお、従来の配線基板ではパッドをCMPで研磨しないため、パッドに高さばらつきが生じる。また、従来の配線基板では、パッドの側面全体が露出しているため、パッドの高さの低い部分では、はんだが側面にまで濡れ広がって、上面上のはんだ量が不足する等の問題があった。配線基板1では、このような問題が解消されている。
【0072】
また、配線基板1では、感光性樹脂を主成分とする絶縁層15、17、及び19を含む第2配線構造1Hを挟んで、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層12を含む第1配線構造1Lと、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする封止樹脂層34とを配置している。そして、絶縁層12の熱膨張係数及び封止樹脂層34の熱膨張係数は、絶縁層15、17、及び19の各々の熱膨張係数よりも低い。この構造により、配線基板1の厚さ方向における熱膨張係数の不均衡が改善されるため、配線基板1の反りを低減できる。
【0073】
また、配線基板1の反りが低減することで、配線基板1の封止樹脂層34側に半導体チップを実装したり、配線基板1を他の配線基板上に実装したりすることが容易となる。
【0074】
なお、図7(a)で切断する前の状態を出荷形態としてもよい。すなわち、支持体100付きの配線基板1を出荷形態としてもよい。
【0075】
〈第1実施形態の応用例1〉
第1実施形態の応用例1は、第1実施形態に係る配線基板を他の配線基板上に実装した積層型配線基板の例を示す。なお、第1実施形態の応用例1において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0076】
図8は、第1実施形態の応用例1に係る積層型配線基板を例示する断面図である。図8を参照すると、積層型配線基板3は、配線基板2上に配線基板1が実装された多層配線基板である。
【0077】
配線基板2は、コア層50の両面に配線層及び絶縁層が積層された多層配線基板であり、例えば、周知のビルドアップ工法により作製できる。配線基板2の有する各配線層は、配線基板1の配線層14、16、18、31に比べて配線密度が低い(ライン/スペースが広い)。配線基板2の有する各配線層のライン/スペースは、例えば、20μm/20μm程度とすることができる。
【0078】
配線基板2において、コア層50の一方の面には、配線層52と、絶縁層53と、配線層54と、絶縁層55と、配線層56と、ソルダーレジスト層57と、配線層58とが順次積層されている。又、コア層50の他方の面には、配線層62と、絶縁層63と、配線層64と、絶縁層65と、配線層66と、ソルダーレジスト層67とが順次積層されている。
【0079】
コア層50としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層50として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層50の厚さは、例えば、60~400μm程度とすることができる。コア層50には、コア層50を厚さ方向に貫通する貫通孔50xが設けられている。貫通孔50xの平面形状は例えば円形である。
【0080】
配線層52は、コア層50の一方の面に形成されている。又、配線層62は、コア層50の他方の面に形成されている。配線層52と配線層62とは、貫通孔50x内に形成された貫通配線51により電気的に接続されている。配線層52及び62は、各々所定の平面形状にパターニングされている。配線層52及び62、並びに貫通配線51の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層52及び62の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。なお、配線層52と配線層62と貫通配線51とは一体に形成されたものであってもよい。
【0081】
絶縁層53は、コア層50の一方の面に配線層52を覆うように形成されている。絶縁層53の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする非感光性で熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層53の厚さは、例えば30~40μm程度とすることができる。絶縁層53は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有することができる。
【0082】
配線層54は、絶縁層53の一方の側に形成されている。配線層54は、絶縁層53を貫通し配線層52の上面を露出するビアホール53x内に充填されたビア配線、及び絶縁層53の上面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層54を構成する配線パターンは、ビア配線を介して、配線層52と電気的に接続されている。ビアホール53xは、絶縁層55側に開口されている開口部の径が配線層52の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。配線層54の材料や配線パターンの厚さは、例えば、配線層52と同様とすることができる。
【0083】
絶縁層55は、絶縁層53の上面に配線層54を覆うように形成されている。絶縁層55の材料や厚さは、例えば、絶縁層53と同様とすることができる。絶縁層55は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有することができる。
【0084】
配線層56は、絶縁層55の一方の側に形成されている。配線層56は、絶縁層55を貫通し配線層54の上面を露出するビアホール55x内に充填されたビア配線、及び絶縁層55の上面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層56を構成する配線パターンは、ビア配線を介して、配線層54と電気的に接続されている。ビアホール55xは、ソルダーレジスト層57側に開口されている開口部の径が配線層54の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。配線層56の材料や配線パターンの厚さは、例えば、配線層52と同様とすることができる。
【0085】
ソルダーレジスト層57は、絶縁層55の上面に、配線層56を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層57は、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の感光性樹脂等から形成することができる。ソルダーレジスト層57の厚さは、例えば15~35μm程度とすることができる。
【0086】
配線層58は、ソルダーレジスト層57の一方の側に形成されている。配線層58は、ソルダーレジスト層57を貫通し配線層56の上面を露出するビアホール57x内に充填されたビア配線、及びソルダーレジスト層57の上面に形成されたパッドを含んでいる。配線層58を構成するパッドは、ビア配線を介して、配線層56と電気的に接続されている。ビアホール57xは、配線基板1側に開口されている開口部の径が配線層56の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。配線層58の材料や配線パターンの厚さは、例えば、配線層52と同様とすることができる。配線層58を構成するパッドの平面形状は、例えば、円形とすることができる。必要に応じ、配線層58を構成するパッドの表面(上面のみ、又は、上面及び側面)に前述の表面処理層を形成してもよい。
【0087】
絶縁層63は、コア層50の他方の面に配線層62を覆うように形成されている。絶縁層63の材料や厚さは、例えば、絶縁層53と同様とすることができる。絶縁層63は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有することができる。
【0088】
配線層64は、絶縁層63の他方の側に形成されている。配線層64は、絶縁層63を貫通し配線層62の下面を露出するビアホール63x内に充填されたビア配線、及び絶縁層63の下面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層64を構成する配線パターンは、ビア配線を介して、配線層62と電気的に接続されている。ビアホール63xは、絶縁層65側に開口されている開口部の径が配線層62の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層64の材料や厚さは、例えば、配線層52と同様とすることができる。
【0089】
絶縁層65は、絶縁層63の下面に配線層64を覆うように形成されている。絶縁層65の材料や厚さは、例えば、絶縁層53と同様とすることができる。絶縁層65は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有することができる。
【0090】
配線層66は、絶縁層65の他方の側に形成されている。配線層66は、絶縁層65を貫通し配線層64の下面を露出するビアホール65x内に充填されたビア配線、及び絶縁層65の下面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層66を構成する配線パターンは、ビア配線を介して、配線層64と電気的に接続されている。ビアホール65xは、ソルダーレジスト層67側に開口されている開口部の径が配線層64の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層66の材料や厚さは、例えば、配線層52と同様とすることができる。
【0091】
ソルダーレジスト層67は、絶縁層65の下面に、配線層66を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層67の材料や厚さは、例えば、ソルダーレジスト層57と同様とすることができる。ソルダーレジスト層67は、開口部67xを有し、開口部67x内には配線層66の下面の一部が露出している。開口部67xの平面形状は、例えば、円形とすることができる。開口部67x内に露出する配線層66は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するためのパッドとして用いることができる。必要に応じ、開口部67x内に露出する配線層66下面に前述の表面処理層を形成してもよい。
【0092】
配線基板1は、配線基板2上に実装されている。具体的には、配線基板1の表面処理層110と、配線基板2の外部接続端子である配線層58とが、溶融後硬化したはんだ層41により接合されている。そして、配線基板1の下面(絶縁層12の下面)と配線基板2の上面(ソルダーレジスト層57の上面)との間には、アンダーフィル樹脂42が充填されると共に、配線基板1の側面の一部を被覆し、配線基板1と配線基板2とを接着している。
【0093】
配線基板2の上面(ソルダーレジスト層57の上面)の外周部には、スティフナ―70が固着されている。スティフナ―70は、例えば平面形状が枠状であり、積層型配線基板3全体の強度を補強すると共に、積層型配線基板3をマザーボード等に実装する際に生じる反りを低減するために設けられている。スティフナ―70の材料としては、例えば、SUS304(CrとNiを主成分とするステンレス鋼:0.08C-18Cr-8Ni)等を用いことができる。スティフナ―70の材料として、銅や銅合金等の金属板や、ガラスエポキシ基板等の樹脂板を用いてもよい。スティフナ―70は、必要に応じて設けることができる。
【0094】
このように、配線密度の低い配線層を有する配線基板2上に配線密度の高い配線層を有する配線基板1を実装することで、半導体チップを搭載可能な積層型配線基板3を容易に作製することができる。
【0095】
又、配線基板1は反りが小さいため、配線基板1の各々の配線層11とそれに対向する配線基板2の配線層58との距離のばらつきが少ない。そのため、配線層11と配線層58の、はんだ層41を介しての接続信頼性を向上できる。
【0096】
〈第1実施形態の応用例2〉
第1実施形態の応用例2は、第1実施形態の応用例1に係る積層型配線基板に半導体チップを搭載した半導体装置の例を示す。なお、第1実施形態の応用例2において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0097】
図9は、第1実施形態の応用例2に係る半導体装置を例示する断面図である。図9を参照すると、半導体装置5は、図8に示す積層型配線基板3と、半導体チップ80と、バンプ90と、アンダーフィル樹脂95とを有する。積層型配線基板3には、複数の半導体チップ80がフリップチップ実装されている。
【0098】
半導体チップ80は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板81に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板81の回路形成面には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極パッド82が形成されている。
【0099】
半導体チップ80の電極パッド82は、バンプ90を介して、積層型配線基板3の表面処理層310と電気的に接続されている。アンダーフィル樹脂95は、半導体チップ80の回路形成面と配線基板1の上面との間に充填され、半導体チップ80の側面を被覆している。バンプ90は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えば、SnBiはんだ等を用いることができる。
【0100】
各々の半導体チップ80は、同一の大きさであっても異なる大きさであってもよい。又、各々の半導体チップ80は、同一の機能であっても異なる機能であってもよい。半導体チップ80の機能の一例としては、メモリ(DRAM等)やロジック(CPU等)が挙げられる。又、積層型配線基板3には1つ又は2つの半導体チップ80が実装されてもよいし、4つ以上の半導体チップ80が実装されてもよい。
【0101】
このように、第1実施形態の応用例1に係る積層型配線基板3に半導体チップ80を搭載することにより、半導体装置5を実現できる。半導体チップ80は、配線密度の高い配線層を有する配線基板1に実装されるため、半導体チップ80同士を配線密度が高い配線パターンにより容易に信号接続することが可能となる。また、半導体装置5を構成する配線基板1では、半導体チップ80に近いパッド33の直下に薄膜コンデンサ20が配置されているため、薄膜コンデンサ20の等価直列インダクタンスを低減でき、半導体チップ80の高周波での動作が可能となる。
【0102】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1は、配線基板2に薄膜コンデンサを搭載する例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0103】
図10は、第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。図10に示す配線基板6は、図8に示す配線基板2において、ソルダーレジスト層57を絶縁層57Aに置換し、絶縁層57A上に配線層58の代わりに、薄膜コンデンサ20と配線層31と封止樹脂層34を設けたものである。絶縁層57Aは、絶縁層53等と同様に、非感光性で熱硬化性の絶縁性樹脂から形成されている。配線層31は、ビアホール20x、及びビアホール20xと連通するビアホール57x内のビア配線32を介して配線層56と電気的に接続されている。なお、絶縁層57Aにビアホール57xを形成する際には、例えば、レーザ加工法を使用できる。
【0104】
このように、薄膜コンデンサ20は、配線基板1のように感光性の絶縁性樹脂の上に設けてもよいし、配線基板6のように非感光性で熱硬化性の絶縁性樹脂の上に設けてもよい。配線基板6では、封止樹脂層34上に半導体チップを実装可能である。
【0105】
配線基板6では、配線基板1と同様に、パッド33の直下に薄膜コンデンサ20が配置されている。パッド33は、半導体チップと電気的に接続するための外部接続端子として使用されるため、配線基板6の上に半導体チップを実装した場合、薄膜コンデンサ20は、半導体チップに近い位置に配置されることになる。これにより、薄膜コンデンサ20の等価直列インダクタンスを低減できるため、半導体チップの高周波での動作が可能となる。
【0106】
また、配線基板6では、配線基板1と同様に、薄膜コンデンサ20上に積層されている封止樹脂層34により、薄膜コンデンサ20が半導体チップ実装時に生じる熱応力や圧力の影響を受け難い構造であるため、薄膜コンデンサの破損を抑制できる。また、配線基板6では、配線基板1と同様に、半導体チップ実装時に、はんだの濡れ広がりが一定となり、半導体チップの実装信頼性を向上できる。
【0107】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 配線基板
1H 第2配線構造
1L 第1配線構造
11、13、14、16、18、31 配線層
12、15、17、19 絶縁層
12a、34a 上面
12b 下面
12x、15x、17x、19x ビアホール
20 薄膜コンデンサ
21 誘電体
22 第1電極
23 第2電極
24 接着層
32 ビア配線
33 パッド
34 封止樹脂層
41 はんだ層
42 アンダーフィル樹脂
50 コア層
50x 貫通孔
51 貫通配線
52、54、56、58、62、64、66 配線層
53、55、57A、63、65 絶縁層
53x、55x、57x、63x、65x ビアホール
57、67 ソルダーレジスト層
57y、67x 開口部
59 パッド
80 半導体チップ
81 半導体基板
82 電極パッド
90 バンプ
95 アンダーフィル樹脂
100 支持体
101 コア基板
104 キャリア付き銅箔
104a 薄箔
104b 厚箔
110、310 表面処理層
128 補強部材
131、311 シード層
132、312 電解めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10