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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174230
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】発光シート
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/60 20220101AFI20221115BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221115BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221115BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20221115BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H05B45/60
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/06
H05B33/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146135
(22)【出願日】2022-09-14
(62)【分割の表示】P 2019507405の分割
【原出願日】2018-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2017057650
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱口 峻
(72)【発明者】
【氏名】山本 夏樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部電源との接続無しで発光表示を行うことが可能な発光シートを提供する。
【解決手段】基材10と、基材10に設けられているシート電池20と、基材10に設けられており、シート電池20からの電力によって発光する有機EL素子30と、基材10に設けられており、シート電池20と有機EL素子30とを電気的に接続した状態と切断した状態とを切替可能なスイッチ50と、を備え、基材10には、シート電池20を囲むように脆弱部10aが形成されており、基材10は、脆弱部10aにおいて切り取り可能である、発光シート1A。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に設けられているシート電池と、
前記基材に設けられており、前記シート電池からの電力によって発光する有機EL素子と、
前記基材に設けられており、前記シート電池と前記有機EL素子とを電気的に接続した状態と切断した状態とを切替可能なスイッチと、
を備え、
前記基材には、前記シート電池を囲むように脆弱部が形成されており、
前記基材は、前記脆弱部において切り取り可能である発光シート。
【請求項2】
前記有機EL素子を覆うとともに、前記有機EL素子から発光された光を透過可能な光透過部を有する表示シートを備える請求項1に記載の発光シート。
【請求項3】
前記光透過部を透過する光のピーク波長は、前記有機EL素子の発光スペクトルのピーク波長から30nm以内に設定されている請求項2に記載の発光シート。
【請求項4】
前記表示シートと前記基材との間に設けられており、前記有機EL素子から発光された光が通過する開口部を有する遮光シートを備える請求項2又は請求項3に記載の発光シート。
【請求項5】
前記有機EL素子は、紫外線照射によってパターニングされている請求項1に記載の発光シート。
【請求項6】
前記スイッチは、前記基材に対して当該基材の面と交差する方向に相対移動可能なスイッチ側導線を備え、前記スイッチ側導線が前記基材に設けられる基材側導線に接触することによって、前記シート電池と前記有機EL素子とを電気的に接続する請求項1に記載の発光シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子を用いた発光シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広告体等として、EL素子を用いて面発光可能に構成されたものが普及している(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-311865号公報
【特許文献2】国際公開2004/064020号
【特許文献3】特開2012-160397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1~3に記載の発明は、外部電源からの電力供給が必要であるため、使用形態に制限があった。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、外部電源との接続無しで発光表示を行うことが可能な発光シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、以下の構成を備える。
1.基材と、前記基材に設けられているシート電池と、前記基材に設けられており、前記シート電池からの電力によって発光する有機EL素子と、前記基材に設けられており、前記シート電池と前記有機EL素子とを電気的に接続した状態と切断した状態とを切替可能なスイッチと、を備え、前記基材には、前記シート電池を囲むように脆弱部が形成されており、前記基材は、前記脆弱部において切り取り可能である発光シート。
2.前記有機EL素子を覆うとともに、前記有機EL素子から発光された光を透過可能な光透過部を有する表示シートを備える前記1に記載の発光シート。
3.前記光透過部を透過する光のピーク波長は、前記有機EL素子の発光スペクトルのピーク波長から30nm以内に設定されている前記2に記載の発光シート。
4.前記表示シートと前記基材との間に設けられており、前記有機EL素子から発光された光が通過する開口部を有する遮光シートを備える前記2又は3に記載の発光シート。
5.前記有機EL素子は、紫外線照射によってパターニングされている前記1に記載の発光シート。
6.前記スイッチは、前記基材に対して当該基材の面と交差する方向に相対移動可能なスイッチ側導線を備え、前記スイッチ側導線が前記基材に設けられる基材側導線に接触することによって、前記シート電池と前記有機EL素子とを電気的に接続する請求項1に記載の発光シート。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、外部電源との接続無しで発光表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一の実施形態に係る発光シートを模式的に示す分解斜視図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係るスイッチを模式的に示す分解斜視図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る発光シートを模式的に示す断面図であり、図1のIII-III線断面図である。
図4】本発明の第二の実施形態に係る発光シートを模式的に示す断面図である。
図5】本発明の第三の実施形態に係る発光シートを模式的に示す分解斜視図である。
図6】本発明の第三の実施形態に係る発光シートを模式的に示す断面図であり、図5のVI-VI線断面図である。
図7】本発明の第四の実施形態に係る発光シートを模式的に示す分解斜視図である。
図8】本発明の第四の実施形態に係る発光シートを模式的に示す断面図であり、図7のVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本発明の発光シートは、パンフレット、商品の梱包容器等に適用可能であり、例えば商品を広告するための所望の意匠(文字、数字、図形等)を発光することができる。なお、以下の図面において、断面図は、各シート等の積層状態を模式的に示したものであり、各シート等の膜厚の関係を正確に表したものではない。また、各シート等に関して、正面側(基材10の有機EL素子30が設けられている側、表示シート70側)の面を一面とし、裏面側の面を他面として説明する。また、本発明における「透明性」とは、有機EL素子30によって発光された光(可視光)がユーザによって視認可能な程度に透過することを意味する。
【0010】
<第一の実施形態>
図1及び図3に示すように、本発明の第一の実施形態に係る発光シート1Aは、例えば500μm以下の厚みに形成されていて可撓性を有しており、自身が有する電源からの電力供給(電圧印加)によって正面側に発光するシートである。発光シート1Aは、基材10と、シート電池20と、有機EL(Electro Luminescence)素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)30と、配線40と、スイッチ50と、遮光シート60と、表示シート70と、を備える。
【0011】
<基材>
基材10は、シート電池20、有機EL素子30及び配線40が設けられるシート状の支持体である。基材10は、可撓性及び非導電性(絶縁性)を有する紙、樹脂製のフィルム等によって形成可能である。基材10は、透明性を有してなくてもよい。
【0012】
基材10には、シート電池20を囲むように脆弱部(例えば、ミシン目)10aが形成されている。基材10は、かかる脆弱部10aにおいて切り取り可能である。
【0013】
基材10の他面のスイッチ50に対応する部位には、スイッチ位置通知部10b(図3参照)が形成されている。スイッチ位置通知部10bは、スイッチ50の位置をユーザに知らせるためのものであり、例えば基材10の他面に着色料を塗布すること等によって形成可能である。
【0014】
<シート電池>
シート電池20は、基材10の一面に設けられており、有機EL素子30を発光させるために有機EL素子30に電力を供給する電源である。シート電池20は、図示しない接着剤によって基材10の一面に固定されている。シート電池20は、ポリマー電池等によって形成可能である。
【0015】
<有機EL素子>
有機EL素子30は、基材10の一面に設けられており、シート電池20から供給される電力によって面発光する素子である。有機EL素子30は、後記する開口部60a,71aよりも大きい領域で面発光する。有機EL素子30は、図示しない接着剤によって基材10の一面に固定されている。本実施形態において、有機EL素子30は、低コスト化の観点から、有機層として、基材10側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の5層を備える。正孔注入層は、有機EL素子30のアノード極に電気的に接続されており、電子注入層は、有機EL素子30のカソード極に電気的に接続されている。また、有機EL素子30は、前記した有機層及び電極以外にも、ガスバリア層、無機層、ALPET(アルミ箔PET(PolyEthylene Terephthalate resin)複合フィルム)によって形成される封止層等を備える。有機EL素子30は、シート電池20から電力が供給されると、電子注入層及び電子輸送層を介した電子と正孔注入層及び正孔輸送層を介した正孔とが発光層において結合することによって発光する。なお、有機EL素子30の有機層は、前記した5層構造に限定されず、電子阻止層、正孔阻止層等を備える構成であってもよい。
【0016】
<配線>
配線40は、基材10の一面に設けられており、シート電池20と有機EL素子30とをスイッチ50を介して電気的に接続するためのものである。配線40は、導電性インクを基材10の一面に塗布したり、導電性テープを基材10の一面に貼り付けたりすることによって形成可能である。
【0017】
本実施形態において、配線40は、基材側導線として、導線41,42,43を備える。導線41の一端部は、シート電池20の一方の極(例えば、正極)と電気的に接続されており、導線41の他端部は、スイッチ50まで延設されている。導線42の一端部は、シート電池20の他方の極(例えば、負極)と電気的に接続されており、導線42の他端部は、有機EL素子30の一方の電極(例えば、陰極)と電気的に接続されている。導線43の一端部は、有機EL素子30の他方の電極(例えば、陽極)と電気的に接続されており、導線43の他端部は、スイッチ50まで延設されている。
【0018】
シート電池20の各極及び有機EL素子30の各電極は、膜厚方向に導電性を有する接着剤(接着性を有する異方性導電膜)を介して各導線41~43と電気的に接続される。
【0019】
<スイッチ>
スイッチ50は、基材10の一面側(すなわち、基材10と遮光シート60との間)に設けられており、シート電池20からの電力を有機EL素子30へ供給する接続状態と、シート電池20からの有機EL素子30への電力供給を遮断する切断状態と、を切替可能に構成されている。本実施形態において、スイッチ50は、非操作状態(非押圧状態)において切断状態となり、操作状態(押圧状態)において接続状態となる。図2に示すように、スイッチ50は、一対の桁部51,51と、天井部52と、導線53と、を備える。
【0020】
一対の桁部51,51は、基材10の一面において、導線42,43の他端部と交差するように設けられている。一対の桁部51,51は、図示しない接着剤によって基材10の一面に固定されている。一対の桁部51,51は、非導電性(絶縁性)を有する紙、樹脂製のフィルム等によって形成可能である。
【0021】
天井部52は、一対の桁部51,51に架設されている。天井部52は、図示しない接着剤によって一対の桁部51,51に固定されている。天井部52は、非導電性(絶縁性)を有する紙、樹脂製のフィルム等によって形成可能である。
【0022】
導線53は、天井部52の他面(基材10側となる面)に設けられるスイッチ側導電である。導線53は、導電性インクを天井部52の他面に塗布したり、導電性テープを天井部52の他面に貼り付けたりすることによって形成可能である。導線53の厚みは、一対の桁部51,51の厚みよりも小さく設定されている。導線53の一端部は、導線41の他端部と対向するように配置されており、導線53の他端部は、導線43の他端部と対向するように配置されている。また、導線53は、基材10(基材側導線41,43)に対して基材10の面と交差する方向に相対移動可能に構成されている。すなわち、導線53は、通常時は基材側導線41,43から離間しており、ユーザによるスイッチ50操作時に基材側導線41,43と接触する。
【0023】
<遮光シート>
図1及び図3に示すように、遮光シート60は、有機EL素子30によって発光された光のうち、表示に不要な光を遮断するシートである。遮光シート60は、正面視で基材10と同一形状で同じ大きさを呈するシートであり、基材10の一面に重ねて設けられている。遮光シート60の周縁部は、接着剤2によって基材10の周縁部に固定されている。遮光シート60は、可撓性及び非導電性(絶縁性)を有する紙、樹脂製のフィルム等によって形成可能である。遮光シート60は、透明性を有しておらず、有色、特に黒色であることが望ましい。
【0024】
遮光シート60の正面視で有機EL素子30の面発光領域と重なる部位には、開口部60aが形成されている。開口部60aは、当該発光シート1Aが表示すべき意匠(文字、数字、図形等)を模っている。
【0025】
<表示シート70>
表示シート70は、正面視で基材10及び遮光シート60と同一形状で同じ大きさを呈するシートであり、遮光シート60の一面に重ねて設けられている。図3に示すように、表示シート70は、有機EL素子30によって発光された光によって、所望の意匠(文字、数字、図形等)を表示するシートである。表示シート70は、表示シート本体71と、透光シート72と、を備える。
【0026】
≪表示シート本体≫
表示シート本体71は、遮光シート60の一面に重ねて設けられている。表示シート本体71の周縁部は、遮光シート69の周縁部に接着剤によって固定されている。表示シート本体71は、可撓性及び非導電性(絶縁性)を有する紙、樹脂製のフィルム、布等によって形成可能である。表示シート本体71は、透明性を有していない。
【0027】
表示シート本体71の正面視で有機EL素子30の面発光領域と重なる部位には、開口部71aが形成されている。開口部71aは、当該発光シート1Aが表示すべき意匠(文字、数字、図形等)を模っており、前記した開口部60aと同様の形状を呈する。
【0028】
≪透光シート≫
透光シート72は、有機EL素子30から発光された光を透過可能な光透過部の一例であって、開口部71aを塞ぐように、表示シート本体71の他面に重ねて設けられている。透光シート72の周縁部は、図示しない接着剤によって表示シート本体71の他面に固定されている。透光シート72は、可撓性及び非導電性(絶縁性)を有する樹脂製のフィルム等によって形成可能である。透光シート72は、透明性を有している。
【0029】
かかる透光シート72は、無色透明であってもよく、有色透明であってもよい。有色透明である場合には、透光シート72が透過する光のピーク波長は、有機EL素子30の発光スペクトルのピーク波長から30nm以内に設定されていることが望ましい。例えば、透光シート72として赤色透明のフィルムが採用される場合には、有機EL素子30として、赤色にピーク波長を有する赤色光を発光するものが好適に用いられる。
【0030】
<動作例>
続いて、本発明の第一の実施形態に係る発光シート1Aの動作例について、発光動作、シート電池交換の順に説明する。
【0031】
≪発光動作≫
ユーザがスイッチ位置通知部10bを他面側から押圧すると(図3の矢印X1)、スイッチ50側の導線53と基材10側の導線41,43とが電気的に接続される。これにより、シート電池20からの電力が有機EL素子30へ供給され、有機EL素子30が発光する。有機EL素子30によって発光された光が表示シート70の透光シート72を透過することによって、発光シート1Aは、所望の意匠(文字、数字、図形等)を発光表示する(図3の矢印X2)。
【0032】
≪シート電池交換≫
発光シート1Aの長期使用等によってシート電池20を交換する必要が生じた場合には、ユーザは、基材10の一部(シート電池20が設けられる部位)を脆弱部10aにおいて切り取ることによってシート電池20を交換する。例えば、元のシート電池20(及び導線41,42の一部)は、基材10の一部とともに切り離される。続いて、ユーザは、新たなシート電池20及び導線41,42の一部(例えば、導電性テープ製)を用意し、導線41,42の一部を既存の導線41,42にそれぞれ電気的に接続するとともに、新たなシート電池20及び導線41,42の一部を別の基材で覆う。別の基材には、シート電池20、導線41,42、遮光シート60の露出した周縁部、及び、元の基材10の切り取りによって形成された切り欠き部の縁部が接着剤によって貼り付けられる。
【0033】
本発明の第一の実施形態に係る発光シート1Aは、シート電池20からの電力によって有機EL素子30を発光させることができるので、外部電源との接続を不要とすることができる。
また、発光シート1Aは、スイッチ50を備えるので、発光表示のON/OFFを好適に切り替えることができる。
また、発光シート1Aは、基材10、遮光シート60及び表示シート70が紙、フィルム等によって形成されているので、薄型化、軽量化及び可撓性を好適に実現することができる。また、発光シート1Aは、安価で容易に製造可能である。
【0034】
また、発光シート1Aは、表示シート70が光透過部(開口部71a及び透光シート72)を有しているので、簡易な構成で所望の意匠(文字、数字、図形等)を好適に発光表示することができる。
【0035】
また、発光シート1Aは、透光シート72を透過する光のピーク波長が有機EL素子30の発光スペクトルのピーク波長から30nm以内に設定されているので、有機EL素子30によって発光された光をロスすることなく好適な発光表示を行うことができる。
【0036】
また、発光シート1Aは、基材10と表示シート70との間に遮光シート60が設けられているので、有機EL素子30によって発光された光が表示シート70のうち光透過部以外の部位を明るくすることを防止し、好適な発光表示を行うことができる。
【0037】
また、発光シート1Aは、簡易な構造でスイッチ50を構成するとともに、ユーザがスイッチ50を押圧するだけで好適な発光表示を行うことができる。
【0038】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る発光シートについて、第一の実施形態に係る発光シート1Aとの相違点を中心に説明する。図4に示すように、本発明の第二の実施形態に係る発光シート1Bにおいて、シート電池20は、基材10の他面に設けられている。また、導線41,42は、シート電池20と電気的に接続されるように、基材12の一面から他面にわたって設けられている。導線41,42は、導電性テープを基材10の一面から他面にわたって貼り付けることによって形成可能である。また、基材10には、脆弱部10aは形成されていない。
【0039】
<動作例/シート電池交換>
発光シート1Bの長期使用等によってシート電池20を交換する必要が生じた場合には、ユーザは、発光シート1Bの裏面側に露出するシート電池20を交換する。すなわち、ユーザは、シート電池20を基材10から取り外し、新たなシート電池20を導線41,42に電気的に接続して元のシート電池20の位置に接着剤を用いて貼り付ける。
【0040】
本発明の第二の実施形態に係る発光シート1Bは、シート電池20の交換性を向上することができる。
【0041】
<第三の実施形態>
続いて、本発明の第三の実施形態に係る発光シートについて、第一の実施形態に係る発光シート1Aとの相違点を中心に説明する。図5及び図6に示すように、本発明の第三の実施形態に係る発光シート1Cにおいて、基材10は、遮光シート60及び表示シート70よりも大きく形成されており、折り代部10cを有している。シート電池20及び導線41,42の一部は、基材10の一面であって折り代部10cの一面に形成されている。折り代部10cは、基材10の他面側に折り畳まれており、基材10の本体部の他面と折り代部10cの他面とが接着剤4によって固定されている。また、基材10には、脆弱部10aは形成されていない。
【0042】
<動作例/シート電池交換>
発光シート1Cの長期使用等によってシート電池20を交換する必要が生じた場合には、ユーザは、発光シート1Cの裏面側に露出するシート電池20を交換する。すなわち、ユーザは、シート電池20を基材10から取り外し、新たなシート電池20を導線41,42に電気的に接続して元のシート電池20の位置に接着剤を用いて貼り付ける。
【0043】
本発明の第三の実施形態に係る発光シート1Cは、配線40の製造性を低下させることなく、シート電池20の交換性を向上することができる。
【0044】
<第四の実施形態>
続いて、本発明の第四の実施形態に係る発光シートについて、第一の実施形態に係る発光シート1Aとの相違点を中心に説明する。図7に示すように、本発明の第四の実施形態に係る発光シート1Dは、遮光シート60及び表示シート70に替えて、透光シート80を備える。
【0045】
透光シート80は、正面視で基材10と同一形状で同じ大きさを呈するシートであり、基材10の一面に重ねて設けられている。透光シート80の周縁部は、接着剤2によって基材10の周縁部に固定されている。かかる透光シート80としては、前記した透光シート72と同様のフィルムが好適に用いられる。
【0046】
また、有機EL素子30は、UV照射によってパターニングされている。すなわち、有機EL素子のうち、紫外線が照射されていない部位は発光領域31となり、紫外線が照射された部位は非発光領域32となっている。発光領域31は、前記した開口部60a,71aと同様に、表示すべき意匠(文字、数字、図形等)を模っている。
【0047】
<動作例/発光動作>
ユーザがスイッチ位置通知部10bを他面側から押圧すると(図8の矢印X1)、スイッチ50側の導線53と基材10側の導線41,43とが電気的に接続される。これにより、シート電池20からの電力が有機EL素子30へ供給され、有機EL素子30の発光領域31が発光する。有機EL素子30の発光領域31によって発光された光が透光シート80透過することによって、発光シート1Dは、所望の意匠(文字、数字、図形等)を発光表示する。
【0048】
本発明の第四の実施形態に係る発光シート1Dは、遮光シート60及び表示シート70が不要であるため、薄型化、軽量化及び可撓性をより好適に実現することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第四の実施形態に係る発光シート1Dにおいて、有機EL素子30がUV照射によってパターニングされていない構成であってもよい。この場合には、第一の実施形態の遮光シート60及び表示シート70に対応する部材が、発光シート1Dが取り付けられる対象物(パンフレット、梱包容器等)に設けられていることによって、所望の意匠を発光表示することが可能となる。
【0050】
また、発光シート1A~1Dは、発光色が異なる複数の有機EL素子30を備える構成であってもよい。この場合には、有機EL素子30の発光スペクトルのピーク波長から30nm以内に透過光のピーク波長が設定された光透過部が、各有機EL素子30に対応して設けられることが望ましい。かかる構成は、複数の光透過部が例えば4mm以上離れている場合に適用可能である。
【0051】
また、接着剤2,3は、基材10、各シート60,70間の全体にわたって設けられてもよい。また、スイッチ位置通知部は、表示シート70の一面に形成されていてもよい。また、スイッチ位置通知部は、基材10及び/又は表示シート70にエンボス加工によって形成された凹凸部等であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1A,1B,1C,1D 発光シート
10 基材
20 シート電池
30 有機EL素子
50 スイッチ
60 遮光シート
70 表示シート
71a 開口部(光透過部)
72 透光シート(光透過部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8