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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174548
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20221116BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H01L21/78 M
H01L21/78 Y
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080423
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】趙 金艶
(72)【発明者】
【氏名】原田 成規
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA15
5F063CB02
5F063CB07
5F063CB23
5F063CB29
5F063DG16
5F063EE11
5F131AA02
5F131BA52
5F131BA53
5F131CA15
5F131EA05
5F131EA07
5F131EA24
5F131EC33
5F131EC35
5F131EC77
(57)【要約】
【課題】 ダイアタッチ層のはみ出し部が破断した際に、破断した部分がデバイス上に付着することを確実に防止するための新規な技術を提案する。
【解決手段】ウェーハ10の直径よりも大きい直径のダイアタッチ層20を介して該ウェーハ10をシートSに貼着することで、該ウェーハ10の外周に該ダイアタッチ層20のはみ出し部22が形成される貼着ステップと、除去部材33を該はみ出し部22に接触させることで、該はみ出し部22を該シートS上から除去するはみ出し部除去ステップと、を備えたウェーハの加工方法とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの直径よりも大きい直径のダイアタッチ層を介して該ウェーハをシートに貼着することで、該ウェーハの外周に該ダイアタッチ層のはみ出し部が形成される貼着ステップと、
除去部材を該はみ出し部に接触させることで、該はみ出し部を該シート上から除去するはみ出し部除去ステップと、を備えたウェーハの加工方法。
【請求項2】
該除去部材は、基材上に粘着層が積層されたテープにて構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のウェーハの加工方法。
【請求項3】
中央に開口が形成された環状フレームと、
該開口を覆う該除去部材と、
該開口の内側で該ウェーハに対応して該除去部材に形成される保護層と、
を有する除去ユニットを準備する除去ユニット準備ステップを更に備え、
該はみ出し部除去ステップでは、該除去ユニットの該保護層を該ウェーハに対面させつつ、該除去部材の該粘着層を該はみ出し部に接触させることで、該はみ出し部を除去する、ことを特徴とする請求項2に記載のウェーハの加工方法。
【請求項4】
該貼着ステップの前、又は、後において、該ダイアタッチ層を分割するための分割起点を該ウェーハに形成する分割起点形成ステップと、
該分割起点が該ウェーハに形成されるとともに該はみ出し部が該シートから除去された状態で、該シートをエキスパンドして該ダイアタッチ層が積層された複数のチップを形成するエキスパンドステップと、を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のウェーハの加工方法。
【請求項5】
該ウェーハを貼着したシートは、ウェーハ保持用の環状フレームに固定され、
ウェーハ保持用の環状フレームと、該除去ユニットの環状フレームには、それぞれ位置決め部が形成され、
該はみ出し部除去ステップでは、両環状フレームの位置決め部を合わせることで、ウェーハの位置に保護層の位置を一致させる、
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デバイスチップの実装基板への実装にはダイアタッチフィルムが広く利用されており、ウェーハを保持しつつ後に拡張されるテープ上にダイアタッチフィルムによるダイアタッチ層が形成されたツーインワン(2in1)と呼ばれるテープも広く利用されている。
【0003】
そして、テープ上に形成されたダイアタッチ層上にウェーハを貼着する際に生じるウェーハの位置ずれを考慮し、ダイアタッチ層の直径はウェーハの直径よりも大きく形成される。このため、ウェーハがテープに貼着された状態では、ウェーハの外周にダイアタッチ層のはみ出し部が形成される。
【0004】
ウェーハには、例えば、レーザー加工装置により分割起点となる改質層が形成され、テープを拡張することによって改質層が破断してチップに個片化され、この際にダイアタッチ層を形成しているダイアタッチフィルムもチップと一緒に破断する。
【0005】
ここで、ダイアタッチフィルムが破断する際に、ダイアタッチフィルムのはみ出し部がテープから剥離し、分割されたチップの表面に付着することが懸念される。チップのデバイス表面にダイアタッチフィルムが付着すると、デバイスを損傷したり後の実装工程で実装不良の要因となるため、問題となる。
【0006】
以上の点に鑑み、例えば、特許文献1では、ダイアタッチフィルムのはみ出し部を押止して飛散を防止するエキスパンド装置について提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-272502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の構成では、押止部材に貼着されたダイアタッチフィルムがエキスパンド装置内で浮遊してデバイス上に付着するおそれがある等、完全にダイアタッチフィルムの破片の飛散を防止することは困難であるといえる。
【0009】
また、ダイアタッチフィルムのはみ出し部が破断してエキスパンド装置内に付着すると、後に意図しないタイミングで落下してエキスパンド装置内で浮遊し、デバイスに付着するおそれがあるため、改善が切望されていた。
【0010】
本発明は以上の問題に鑑み、ダイアタッチ層のはみ出し部が破断した際に、破断した部分がデバイス上に付着することを確実に防止するための新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
本発明の一態様によれば、
ウェーハの直径よりも大きい直径のダイアタッチ層を介して該ウェーハをシートに貼着することで、該ウェーハの外周に該ダイアタッチ層のはみ出し部が形成される貼着ステップと、
除去部材を該はみ出し部に接触させることで、該はみ出し部を該シート上から除去するはみ出し部除去ステップと、を備えたウェーハの加工方法とする。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、
該除去部材は、基材上に粘着層が積層されたテープにて構成される、
ウェーハの加工方法とする。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、
中央に開口が形成された環状フレームと、
該開口を覆う該除去部材と、
該開口の内側で該ウェーハに対応して該除去部材に形成される保護層と、
を有する除去ユニットを準備する除去ユニット準備ステップを更に備え、
該はみ出し部除去ステップでは、該除去ユニットの該保護層を該ウェーハに対面させつつ、該除去部材の該粘着層を該はみ出し部に接触させることで、該はみ出し部を除去する、ウェーハの加工方法とする。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、
該貼着ステップの前、又は、後において、該ダイアタッチ層を分割するための分割起点を該ウェーハに形成する分割起点形成ステップと、
該分割起点が該ウェーハに形成されるとともに該はみ出し部が該シートから除去された状態で、該シートをエキスパンドして該ダイアタッチ層が積層された複数のチップを形成するエキスパンドステップと、を備えた、
ウェーハの加工方法とする。
【0016】
また、本発明の一態様によれば、
該ウェーハを貼着したシートは、ウェーハ保持用の環状フレームに固定され、
ウェーハ保持用の環状フレームと、該除去ユニットの環状フレームには、それぞれ位置決め部が形成され、
該はみ出し部除去ステップでは、両環状フレームの位置決め部を合わせることで、ウェーハの位置に保護層の位置を一致させる、
ウェーハの加工方法とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ウェーハのエキスパンドを行う前に、ダイアタッチ層のはみ出し部がシート上から除去されているため、エキスパンドをする際に破断したはみ出し部がシートから剥離し、分割されたチップの表面に付着するといった不具合発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)は、被加工物の一例であるウェーハについて示す図。(B)は、ウェーハユニットについて示す図。
図2】本発明を利用した加工方法のフローチャート。
図3】(A)は、はみ出し部除去ステップについて示す図。(B)は、はみ出し部が除去された状態について示す図。
図4】(A)は、除去ユニットの表面側について示す図。(B)は、除去ユニットの裏面側について示す図。(C)は、ウェーハユニットと除去ユニットを対向させた状態について示す図。(D)は、ウェーハユニットと除去ユニットを重ねた状態について示す図。
図5】(A)は、エキスパンドステップについて説明する図。(B)は、チップに分割された状態について示す図。
図6】(A)は、先にはみ出し部除去ステップを行う例について説明する図。(B)は、はみ出し部の除去について説明する図。(C)は、エキスパンドによりチップに分割することについて説明する図。
図7】(A)は、環状フレームの貼着について説明する図。(B)は、カッター装置によりシートの外周部分を取り除くことについて説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1(A)は、被加工物の一例であるウェーハ10について示すものである。ウェーハ10の表面10aには、複数のデバイス11が間隔を開けて形成され、各デバイス11の間に格子状に分割予定ライン13,13が設定される。
【0020】
以下、図2に示すフローチャートに従い、本発明を利用した加工方法について説明する。
【0021】
<貼着ステップ>
図1(B)に示すように、ウェーハ10の直径よりも大きい直径のダイアタッチ層20を介してウェーハ10の裏面10bをシートSに貼着することで、ウェーハ10の外周にダイアタッチ層20のはみ出し部22が形成されるステップである。
【0022】
より具体的には、図1(B)に示すように、シートSの表面には、ダイアタッチ層20が形成されており、ダイアタッチ層20の表面にウェーハ10の裏面10bが貼着される。シートSの表面には、ウェーハ10を取り囲むように環状フレームFが貼着され、ウェーハ10と環状フレームFが一体となったウェーハユニットUが構成される。
【0023】
ダイアタッチ層20は、ウェーハ10を確実に内側に収めるように、ウェーハ10よりも大径に形成され、ウェーハ10の外周にはみ出すはみ出し部22は、ウェーハ10の外周を取り囲むように円環状に構成される。
【0024】
なお、シートSが所謂2in1テープとして構成される場合には、ダイアタッチ層20はシートSの表層に一体的に積層される。このほか、別体のダイアタッチフィルムをシートSに貼着してダイアタッチ層を形成することや、液状のダイアタッチ剤をシートSに塗布してダイアタッチ層を形成することとしてもよい。
【0025】
<分割起点形成ステップ>
貼着ステップの前、又は、後において、ダイアタッチ層20を分割するための分割起点をウェーハに形成するステップである。この分割起点は分割予定ライン13(図1(A))に沿って形成されるものである。
【0026】
例えば、レーザー加工によりウェーハ10の内部に分割予定ライン13に沿った改質層を形成する場合には、この改質層がウェーハ10の分割起点となる。そして、このウェーハ10の分割起点においてウェーハ10がチップに分割され、このチップへの分割の際にダイアタッチ層20も同時に破断する。このため、ウェーハ10の分割起点は、ダイアタッチ層20の分割起点ともなる。
【0027】
また、DBG加工(Dicing Before Grinding)や、SDBG加工(Stealth Dicing Before Grinding)により、既にチップに分割がされたウェーハを、シートS上のダイアタッチ層20に転写することで、図1(B)と同様の状態としてもよい。この場合、チップ同士の間の間隙(溝)が、ダイアタッチ層20の分割起点となる。
【0028】
<はみ出し部除去ステップ>
図3(A)(B)に示すように、除去部材30にはみ出し部22を接触させることで、はみ出し部22をシートS上から除去するステップである。
【0029】
図3(A)(B)は、はみ出し部除去ステップの第一の実施例について説明する図である。
除去部材30は、アーム32の先端に回転可能に支持される筒状の部材にて構成され、その表面は、ダイアタッチ層20(はみ出し部22)に対しタック性(粘着性)を有する素材にて構成される。
【0030】
そして、除去部材30をはみ出し部22に押し当てるようにして接着させるとともに、ウェーハユニットUを除去部材30に対して相対的に回転させることで、ダイアタッチ層20のはみ出し部22の箇所が除去部材30側に移り、図3(B)に示すように、はみ出し部22がシートSから除去される。
【0031】
図4(A)~図4(D)は、はみ出し部除去ステップの第二の実施例について説明する図である。
この第二の実施例では、中央に開口が形成された環状フレーム35と、開口を覆う除去部材33と、開口の内側でウェーハ10に対応して除去部材33に形成される保護層37と、を有する除去ユニット34を準備し、はみ出し部除去ステップを実施する。
【0032】
図4(A)は、除去部材33の外周縁を環状フレーム35の裏面側に貼着して除去部材33と環状フレーム35を一体化させた除去ユニット34の表面の構成について示すものである。除去部材33は、基材上に粘着層が積層されたテープにて構成され、その表面33a側は粘着層のない面で構成される。
【0033】
図4(B)は、除去ユニット34の裏面の構成について示すものであり、除去部材33の裏面33bには粘着層33nが形成される。また、除去部材33において、ウェーハ10と対向させる箇所には、粘着性を有しない保護層37が形成される。保護層37は、ウェーハ10のデバイス形成領域に除去部材33の粘着層33nが付着することを防止するためのものである。保護層37は、例えば、粘着性を有しないフィルムを除去部材33の裏面33bに貼着することで構成することができる。
【0034】
図4(B)に示すように、除去部材33の裏面33bにおいて、保護層37と間隔を開けて、保護層37を取り囲むように、環状保護層38が形成されてもよい。環状保護層38は、ウェーハユニットUの環状フレームF(図4(C))に除去部材33の粘着層33nが付着することを防止するためのものである。環状保護層38は、例えば、粘着性を有しない環状のフィルムを除去部材33の裏面33bに貼着することで構成することができる。
【0035】
図4(B)に示すように、保護層37と環状保護層38の間の環状領域において、除去部材33の粘着層33nが露出する。そして、図4(C)に示すように、ウェーハユニットUと除去ユニット34を対向させ、図4(D)に示すように、両者を張り合わせた状態とする。この際、ウェーハ10が保護層37に覆われるとともに、はみ出し部22が粘着層33nに覆われる。
【0036】
そして、図4(D)に示すように、除去部材33の表面33a側からはみ出し部22に対応する位置にローラー39を押し当てることで、ダイアタッチ層20のはみ出し部22が除去部材33の裏面33b(粘着層33n)に接着され、シートSから除去される。
【0037】
以上のようにして、はみ出し部除去ステップでは、予め除去ユニット34を準備し、除去ユニット34の保護層37をウェーハ10に対面させつつ、除去部材33の粘着層33nをはみ出し部22に接触させることで、はみ出し部22を除去する。
【0038】
なお、ウェーハ10に対向する保護層37の直径は、ウェーハ10の直径と同一とするほか、または、ウェーハ10のデバイス形成領域よりも大きくウェーハ10の直径よりも小さい、こととすることができる。これにより、除去部材33の裏面33bにおいて、ウェーハ10のデバイス形成領域(デバイスが形成される領域)に対応する領域が保護層37によってマスキングされ、除去部材33の粘着層33nが接着し、デバイスが損傷するなどの不具合を防止できる。
【0039】
また、図4(C)に示すように、ウェーハユニットUと除去ユニット34を対向させた際に、ウェーハ10の位置に保護層37を確実に一致させるために、以下とすることができる。
【0040】
即ち、図4(C)(D)に示すように、ウェーハ10を貼着したシートSは、ウェーハ保持用の環状フレームFに固定され、ウェーハ保持用の環状フレームFと、除去ユニット34の環状フレーム35には、それぞれ位置決め部Fa,35aが形成され、はみ出し部除去ステップでは、両環状フレームF,35の位置決め部Fa,35aを合わせることで、ウェーハ10の位置に保護層37の位置を一致させることとする。
【0041】
これにより、ウェーハ10と保護層37の位置が一致することで、除去部材33の粘着層33nがウェーハ10に付着してしまうことを確実に防止できる。なお、位置決め部Fa,35aは、例えば、環状フレームF,35の外周部に形成される切り欠き部にて構成することができる。また、環状フレームF,35は、同一形状のものを使用する他、互いに違う形状のものであってもよく、特に限定されるものではない。
【0042】
<エキスパンドステップ>
分割起点がウェーハに形成されるとともにはみ出し部がシートから除去された状態で、シートをエキスパンドしてダイアタッチ層が積層された複数のチップを形成するステップである。
【0043】
このエキスパンドステップは、例えば、図5(A)(B)に示すエキスパンド装置80にて実施することができる。エキスパンド装置80は、ウェーハユニットUの環状フレームFを保持するフレーム保持手段81と、フレーム保持手段81に保持された環状フレームFに装着されたシートSを拡張(エキスパンド)するテープ拡張手段となる駆動手段84を具備している。
【0044】
フレーム保持手段81は、フレーム保持部材81aと、フレーム保持部材81aの外周に配設される複数のクランプ機構81bと、を有する。フレーム保持部材81aの上面は環状フレームFを載置する載置面81cを形成する。載置面81c上に載置された環状フレームFは、クランプ機構81bによってフレーム保持部材81aに固定される。フレーム保持手段81は、駆動手段84によって上下方向に進退可能に支持される
【0045】
環状のフレーム保持部材81aの内側には、拡張ドラム83が配設される。この拡張ドラム83は、環状フレームFの内径より小さく該環状フレームFに装着されたシートSに貼着されるウェーハ10の外径より大きい内径および外径を有している。
【0046】
フレーム保持部材81aを上下方向に進退させる駆動手段84は、複数のエアシリンダにて構成され、そのピストンロッド85がフレーム保持部材81aの下面に連結される。
【0047】
駆動手段84は、フレーム保持部材81aを載置面81cが拡張ドラム83の上端と略同一高さとなる基準位置(図5(A))と、拡張ドラム83の上端より所定量下方の拡張位置(図5(B))の間を上下方向に移動させるように構成される。
【0048】
以上の構成において、図5(A)に示すように、冷却雰囲気としてダイアタッチ層20が冷却される状況とし、クランプ機構81bにて環状フレームFを挟持した状態で、駆動手段84を駆動してフレーム保持部材81aを下降させると、図5(B)に示すように、シートSが拡張ドラム83に下側から保持されつつ拡張する。
【0049】
シートSが拡張すると、シートSに貼着されたウェーハ10に半径方向に広がる外力が作用し、この外力によって改質層を起点として、ウェーハ10がチップCに分割される。このチップCの分割に伴って、各チップCと一体となっているダイアタッチ層20の部分が破断して、チップCとともに分割される。
【0050】
以上のエキスパンドステップにおいては、ウェーハ10のエキスパンドを行う前に、ダイアタッチ層20のはみ出し部22(図1(B)、図3(B))がシートS上から除去されているため、エキスパンドをする際に破断したはみ出し部22がシートSから剥離し、分割されたチップCの表面に付着するといった不具合発生を防止できる。
【0051】
以上の説明では、図3(A)(B)に示すようにウェーハユニットUを形成した後にはみ出し部除去ステップを実施し、その後にエキスパンドステップを実施することとしたが、先にはみ出し部除去ステップとエキスパンドステップをした後に、ウェーハユニットUが形成されることとしてもよい。
【0052】
具体的には、まず図6(A)に示すように、ウェーハ10の直径よりも大きい直径のダイアタッチ層120を介してウェーハ10の裏面10bをシート1Sに貼着する。次いで、図6(B)に示すように、除去部材130にはみ出し部122を接触させることで、はみ出し部122をシート1S上から除去する。この際、シート1Sの端の部分は、クランプ51,51により保持される。
【0053】
次いで、図6(C)に示すように、クランプ51,51を移動させシート1Sを拡張させることで、ウェーハ10とともにダイアタッチ層120が破断して、チップC,Cに分割される。この際、ダイアタッチ層120は、冷却雰囲気において冷却される。
【0054】
また、チップCが分割される際には、事前にはみ出し部122がシート1S上から除去されているため、エキスパンドをする際に破断したはみ出し部122がシート1Sから剥離し、分割されたチップCの表面に付着するといった不具合発生を防止できる。
【0055】
次いで、図7(A)に示すように、保持テーブル54にてシート1Sを介してウェーハ10を吸引保持するとともに、シート1Sの表面にウェーハ10を取り囲むように環状フレームFを貼着する。この際、環状フレームFの下側からローラー56によってシート1Sを押し当てることにより、環状フレームFがシート1Sに対し強固に接着される。また、この際、環状フレームFは、押さえ装置58によって上側から押さえられる。
【0056】
次いで、図7(B)に示すように、環状フレームFの位置において、シート1Sの下側からカッター装置60を押し付けて回転させることで、シート1Sの外周部分を取り除くことで、図7(C)に示すように、ウェーハユニットUが形成される。
【0057】
このように形成されたウェーハユニットUにおいては、各チップC,Cの間に間隙が形成された状態となる。また、各チップC,Cの裏面にはダイアタッチ層が形成されている。
【符号の説明】
【0058】
10 ウェーハ
10a 表面
10b 裏面
11 デバイス
13 分割予定ライン
20 ダイアタッチ層
22 はみ出し部
30 除去部材
32 アーム
33 除去部材
33a 表面
33b 裏面
33n 粘着層
34 除去ユニット
35 環状フレーム
37 保護層
38 環状保護層
39 ローラー
C チップ
F 環状フレーム
1S シート
U ウェーハユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7