(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175640
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法及び評価プログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082240
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515130201
【氏名又は名称】株式会社Preferred Networks
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】穐山 大志郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】水内 毅
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】小松 智希
(72)【発明者】
【氏名】中郷 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】大友 雄平
(72)【発明者】
【氏名】劉 鴻志
(57)【要約】
【課題】 形状シミュレータにより予測された予測結果を評価する。
【解決手段】 評価装置であって、処理前の対象物の形状情報を形状シミュレータに入力した場合の出力が、前記処理前の対象物を所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の対象物の形状情報に近づくように算出された、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータと、前記処理前の対象物と同一の形状範囲を示す第1の範囲情報または前記処理後の対象物と同一の形状範囲を示す第2の範囲情報とを対応付けて記憶する記憶部と、処理前の新たな対象物の形状情報と前記シミュレーションパラメータとを前記形状シミュレータに入力することで、処理後の新たな対象物の形状情報を予測する予測部と、前記処理前の新たな対象物の形状情報または前記処理後の新たな対象物の形状情報と、前記第1または第2の範囲情報とを対比した結果を出力する評価部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理前の対象物の形状情報を形状シミュレータに入力した場合の出力が、前記処理前の対象物を所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の対象物の形状情報に近づくように算出された、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータと、前記処理前の対象物と同一の形状とみなされる形状範囲を示す第1の範囲情報または前記処理後の対象物と同一の形状とみなされる形状範囲を示す第2の範囲情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
処理前の新たな対象物の形状情報と前記シミュレーションパラメータとを前記形状シミュレータに入力することで、前記処理前の新たな対象物を前記所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の新たな対象物の形状情報を予測する予測部と、
前記処理前の新たな対象物の形状情報と、前記第1の範囲情報とを対比した結果、または、前記処理後の新たな対象物の形状情報と、前記第2の範囲情報とを対比した結果を出力する評価部と
を有する評価装置。
【請求項2】
前記評価部は、
前記処理前の新たな対象物の形状情報が、前記第1の範囲情報を超えていた場合、または、前記処理後の新たな対象物の形状情報が、前記第2の範囲情報を超えていた場合、前記処理後の新たな対象物の形状情報が、予測精度の低い予測結果であると評価する、請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記評価部は、
前記処理前の新たな対象物の形状情報が、前記第1の範囲情報に含まれる場合、かつ、前記処理後の新たな対象物の形状情報が、前記第2の範囲情報に含まれる場合、前記処理後の新たな対象物の形状情報が、予測精度の高い予測結果であると評価する、請求項1に記載の評価装置。
【請求項4】
前記予測部は、
複数のシミュレーションパラメータを用いて、前記処理後の新たな対象物の形状情報を、前記形状シミュレータに入力する処理を繰り返し、前記形状シミュレータを複数回動作させることで、前記処理前の新たな対象物を複数の処理条件のもとで処理した場合の最終的な処理後の新たな対象物の形状情報を予測する、請求項2または3に記載の評価装置。
【請求項5】
前記評価部は、
前記予測部により予測されたn回目(nは1以上の整数)の前記処理後の新たな対象物の形状情報とn回目のシミュレーションパラメータに対応付けられた前記第2の範囲情報とを対比した結果、及び、前記予測部により予測されたn回目の前記処理後の新たな対象物の形状情報と(n+1)回目のシミュレーションパラメータに対応付けられた前記第1の範囲情報とを対比した結果を出力する、請求項4に記載の評価装置。
【請求項6】
前記評価部は、
各回において、第1及び第2の範囲情報と対比した結果、いずれかの回において、第1の範囲情報により特定される範囲を超えていた場合、または、第2の範囲情報により特定される範囲を超えていた場合、最終的な処理後の新たな対象物の形状情報が、予測精度の低い予測結果であると評価する、請求項5に記載の評価装置。
【請求項7】
前記評価部は、
各回において、第1及び第2の範囲情報と対比した結果、いずれの回においても、第1の範囲情報により特定される範囲に含まれる場合、かつ、第2の範囲情報により特定される範囲に含まれる場合に、最終的な処理後の新たな対象物の形状情報が、予測精度の高い予測結果であると評価する、請求項5に記載の評価装置。
【請求項8】
複数のシミュレーションパラメータの組み合わせを生成する生成部を更に有し、
前記予測部が複数のシミュレーションパラメータの組み合わせを用いて、前記形状シミュレータに入力する処理を繰り返すことで、組み合わせを探索する場合において、m組目(mは1以上の整数)の組み合わせの、(n+1)回目のシミュレーションパラメータに対応付けられた前記第1の範囲情報を、n回目の前記処理後の新たな対象物の形状情報が超えていた場合、前記生成部は、(m+1)組目の組み合わせを生成する際、前記(n+1)回目のシミュレーションパラメータを含まれにくくする、請求項5に記載の評価装置。
【請求項9】
前記生成部は、
前記(m+1)組目の組み合わせを、遺伝的アルゴリズムを用いて生成する、請求項8に記載の評価装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記(n+1)回目のシミュレーションパラメータについてペナルティを科することで、前記(m+1)組目の組み合わせを生成する際、前記(n+1)回目のシミュレーションパラメータを含まれにくくする、請求項8に記載の評価装置。
【請求項11】
処理前の対象物の形状情報を形状シミュレータに入力した場合の出力が、前記処理前の対象物を所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の対象物の形状情報に近づくように算出された、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータと、前記処理前の対象物と同一の形状とみなされる形状範囲を示す第1の範囲情報または前記処理後の対象物と同一の形状とみなされる形状範囲を示す第2の範囲情報とを対応付けて記憶する記憶部を有する評価装置における評価方法であって、
処理前の新たな対象物の形状情報と前記シミュレーションパラメータとを前記形状シミュレータに入力することで、前記処理前の新たな対象物を前記所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の新たな対象物の形状情報を予測する予測工程と、
前記処理前の新たな対象物の形状情報と、前記第1の範囲情報とを対比した結果、または、前記処理後の新たな対象物の形状情報と、前記第2の範囲情報とを対比した結果を出力する出力工程と
を有する評価方法。
【請求項12】
処理前の対象物の形状情報を形状シミュレータに入力した場合の出力が、前記処理前の対象物を所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の対象物の形状情報に近づくように算出された、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータと、前記処理前の対象物と同一の形状とみなされる形状範囲を示す第1の範囲情報または前記処理後の対象物と同一の形状とみなされる形状範囲を示す第2の範囲情報とを対応付けて記憶する記憶部を有する評価装置のコンピュータに、
処理前の新たな対象物の形状情報と前記シミュレーションパラメータとを前記形状シミュレータに入力することで、前記処理前の新たな対象物を前記所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の新たな対象物の形状情報を予測する予測工程と、
前記処理前の新たな対象物の形状情報と、前記第1の範囲情報とを対比した結果、または、前記処理後の新たな対象物の形状情報と、前記第2の範囲情報とを対比した結果を出力する出力工程と
を実行させるための評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、評価装置、評価方法及び評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板処理装置の分野では、基板を処理した後の処理後の形状を予測する際に、形状シミュレータが利用される。形状シミュレータとは、所定の処理条件のもとで基板を処理した場合の、処理後の形状を予測する装置である。
【0003】
当該形状シミュレータを利用するにあたり、利用者は、複数の基板の処理前の形状と、該複数の基板を所定の処理条件のもとでそれぞれ処理した場合の処理後の形状との関係から、所定の処理条件に応じたシミュレーションパラメータを予め導出しておく。そして、予め導出した当該シミュレーションパラメータを用いて形状シミュレータを動作させることで、所定の処理条件のもとで新たな基板を処理した場合の処理後の形状を予測した予測結果を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記形状シミュレータの場合、利用者が、新たな基板として、シミュレーションパラメータの導出に用いた基板とは大きく形状の異なる基板を用いた場合には、予測結果の精度が低下することになる。
【0006】
このようなことから、上記形状シミュレータを利用するにあたっては、予測結果を客観的に評価することが求められる。
【0007】
本開示は、形状シミュレータにより予測された予測結果を評価する評価装置、評価方法及び評価プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様による評価装置は、例えば、以下のような構成を有する。即ち、
処理前の対象物の形状情報を形状シミュレータに入力した場合の出力が、前記処理前の対象物を所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の対象物の形状情報に近づくように算出された、前記形状シミュレータのシミュレーションパラメータと、前記処理前の対象物と同一の形状とみなされる形状範囲を示す第1の範囲情報または前記処理後の対象物と同一の形状とみなされる形状範囲を示す第2の範囲情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
処理前の新たな対象物の形状情報と前記シミュレーションパラメータとを前記形状シミュレータに入力することで、前記処理前の新たな対象物を前記所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後の新たな対象物の形状情報を予測する予測部と、
前記処理前の新たな対象物の形状情報と、前記第1の範囲情報とを対比した結果、または、前記処理後の新たな対象物の形状情報と、前記第2の範囲情報とを対比した結果を出力する評価部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
形状シミュレータにより予測された予測結果を評価する評価装置、評価方法及び評価プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】形状シミュレーションシステムの評価用データ生成フェーズにおけるシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】評価用データ生成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】収集データ格納部に格納される収集データの一例を示す図である。
【
図4】評価用データ生成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】シミュレーションデータ生成部の処理の具体例を示す図である。
【
図6】シミュレーションデータ格納部に格納されるシミュレーションデータの具体例を示す図である。
【
図7】シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例を示す図である。
【
図8】評価用データ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】形状シミュレーションシステムの評価フェーズにおけるシステム構成の一例を示す図である。
【
図10】シミュレータ制御部及び評価部の処理の具体例を示す図である。
【
図11】評価装置による評価処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】形状シミュレーションシステムの探索フェーズにおけるシステム構成の一例を示す図である。
【
図14】評価及び探索処理の具体例を示す図である。
【
図15】評価装置による評価及び探索処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。また、本開示においては、基板処理プロセスを用いて説明を行っているが、これは一例であって、これに限定されるものではない。
【0012】
[第1の実施形態]
はじめに、第1の実施形態に係る評価装置が適用される形状シミュレーションシステムの概要について説明する。形状シミュレーションシステムは、形状シミュレータを有するシステムであり、第1の実施形態においては、評価用データ生成フェーズにおける処理と評価フェーズにおける処理とを実行する。
【0013】
なお、形状シミュレーションシステムが実行する評価用データ生成フェーズにおける処理とは、
・形状シミュレータを動作させる際に用いるシミュレーションパラメータと、
・形状シミュレータにより予測された予測結果を評価する際に用いる、所定の形状範囲を示す範囲情報と、
が対応付けられた評価用データを生成する処理を指す。
【0014】
また、形状シミュレーションシステムの評価フェーズにおける処理とは、
・生成した評価用データに含まれるシミュレーションパラメータを用いて新たな基板について形状シミュレータを動作させ、
・形状シミュレータにより予測された予測結果を、生成した評価用データに含まれる範囲情報を用いて評価する、
処理を指す。
【0015】
以下、形状シミュレーションシステムの詳細を評価用データ生成フェーズと評価フェーズとに分けて説明する。
【0016】
<形状シミュレーションシステムのシステム構成(評価用データ生成フェーズ)>
はじめに、評価用データ生成フェーズにおける形状シミュレーションシステム全体のシステム構成について説明する。
図1は、形状シミュレーションシステムの評価用データ生成フェーズにおけるシステム構成の一例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、評価用データ生成フェーズにおいて、形状シミュレーションシステム100は、基板処理装置110と、測定装置111、112と、評価用データ生成装置120と、形状シミュレータ130とを有する。
【0018】
図1において、基板処理装置110は、複数の処理前基板(対象物)が搬送されることで、各種基板処理プロセス(例えば、ドライエッチング、デポジション)を実行する。
【0019】
なお、複数の処理前基板のうちの一部の処理前基板は、測定装置111に搬送され、様々な位置で断面方向に切断された後、測定装置111により断面形状が測定される。これにより、測定装置111では、処理前基板の断面形状を示す処理前断面画像を生成する。なお、測定装置111には、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等が含まれる。
【0020】
図1の例は、測定装置111が、ファイル名=「断面画像LD001」、「断面画像LD002」、「断面画像LD003」・・・等の処理前断面画像を生成した様子を示している。
【0021】
一方、各種基板処理プロセスが実行されると、基板処理装置110からは、処理後基板が搬出される。このとき、基板処理装置110では、処理条件(各種基板処理プロセスの実行中に取得されたプロセスデータ、各種基板処理プロセスを実行する際に用いられたレシピパラメータ等)が保持される。
【0022】
基板処理装置110から搬出された複数の処理後基板のうちの一部の処理後基板は、測定装置112に搬送され、様々な位置で断面方向に切断された後、測定装置112により断面形状が測定される。これにより、測定装置112では、処理後基板の断面形状を示す処理後断面画像を生成する。なお、測定装置111と同様に、測定装置112には、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等が含まれる。
【0023】
図1の例は、測定装置112が、ファイル名=「断面画像LD001'」、「断面画像LD002'」、「断面画像LD003'」、・・・等の処理後断面画像を生成した様子を示している。
【0024】
測定装置111により生成された処理前断面画像、基板処理装置110により保持されたプロセスデータ、レシピパラメータ等、測定装置112により生成された処理後断面画像は、収集データとして、評価用データ生成装置120に送信される。これにより、評価用データ生成装置120の収集データ格納部122には、収集データが格納される。
【0025】
評価用データ生成装置120には、評価用データ生成プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、評価用データ生成装置120は、評価用データ生成部121として機能する。
【0026】
評価用データ生成部121は、収集データ格納部122に格納された収集データを読み出し、形状シミュレータ130を動作させる際に用いるシミュレーションデータを生成する。また、評価用データ生成部121は、生成したシミュレーションデータをシミュレーションデータ格納部123に格納する。
【0027】
シミュレーションデータは、収集データに含まれる処理前断面画像と処理後断面画像とのペアを複数有し、処理前後の断面形状の変化において、同じ効果が得られる処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)のグループごとに分類して管理される。
【0028】
なお、本実施形態では、処理前後の断面形状の変化において、同じ効果が得られる処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)のグループを、基板処理プロセスでの微細加工における最小のデータ単位を表す概念として、"Proxel"と称す。ただし、ここでいう"同じ効果"とは、断面形状の変化が完全に同じである必要はなく、断面形状の変化が同程度のもの(所定の範囲内のもの)を指すものとする。
【0029】
評価用データ生成部121では、Proxelごとに分類されたシミュレーションデータのうち、特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる、処理前断面画像と処理後断面画像の複数のペアを読み出す。
【0030】
また、評価用データ生成部121は、読み出した複数のペアに含まれる各処理前断面画像を形状シミュレータ130に入力することで、形状シミュレータ130より各処理後予測断面画像を取得する。
【0031】
ここで、評価用データ生成部121では、形状シミュレータ130を動作させる際、シミュレーションパラメータの値を変更しながら、各処理前断面画像を繰り返し形状シミュレータ130に入力する。
【0032】
そして、評価用データ生成部121では、形状シミュレータ130から繰り返し出力される各処理後予測断面画像が、対応する各処理後断面画像に近づくように、シミュレーションパラメータの値を変更する。
【0033】
これにより、評価用データ生成部121では、各処理後予測断面画像と、対応する各処理後断面画像との各差分値の総和を最小にする、最適なシミュレーションパラメータの値を導出することができる。
【0034】
更に、評価用データ生成部121は、評価用データを生成し、記憶部の一例である評価用データ格納部124に格納する。具体的には、評価用データ生成部121は、
・導出した最適なシミュレーションパラメータの値からなるシミュレーションパラメータセット、
・最適なシミュレーションパラメータの値を導出するのに用いたシミュレーションデータに対応付けられた上記特定のProxel、
・上記特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる処理前断面画像の形状データの範囲を示す第1の範囲情報(同一の形状とみなされる形状範囲を示す情報)、
・上記特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる処理後断面画像の形状データの範囲を示す第2の範囲情報(同一の形状とみなされる形状範囲を示す情報)、
とを対応付けることで評価用データを生成し、評価用データ格納部124に格納する。ここで、範囲情報は、1つ又は複数の形状データを用いて設定されるものであってもよい。例えば、範囲情報は、1つ又は複数の形状データを基準とする所定範囲として表現されるものであってもよい。
【0035】
形状シミュレータ130は、評価用データ生成部121よって、処理前断面画像とシミュレーションパラメータの値とが入力されることで動作し、処理後予測断面画像を出力する。
【0036】
<評価用データ生成装置のハードウェア構成>
次に、評価用データ生成装置120のハードウェア構成について説明する。
図2は、評価用データ生成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0037】
図2に示すように、評価用データ生成装置120は、プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、I/F(Interface)装置204、通信装置205、ドライブ装置206を有する。なお、評価用データ生成装置120の各ハードウェアは、バス207を介して相互に接続されている。
【0038】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ201は、各種プログラム(例えば、評価用データ生成プログラム等)をメモリ202上に読み出して実行する。
【0039】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ201とメモリ202とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ201が、メモリ202上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0040】
補助記憶装置203は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ201によって実行される際に用いられる各種データを格納する。上述した収集データ格納部122、シミュレーションデータ格納部123、評価用データ格納部124は、補助記憶装置203において実現される。
【0041】
I/F装置204は、外部装置の一例である形状シミュレータ130と、評価用データ生成装置120とを接続する接続デバイスである。
【0042】
通信装置205は、ネットワークを介して基板処理装置110、測定装置111、112等と通信するための通信デバイスである。
【0043】
ドライブ装置206は記録媒体210をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体210には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体210には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0044】
なお、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体210がドライブ装置206にセットされ、該記録媒体210に記録された各種プログラムがドライブ装置206により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、通信装置205を介してネットワークからダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0045】
<収集データの具体例>
次に、収集データ格納部122に格納される収集データの具体例について説明する。
図3は、収集データ格納部に格納される収集データの一例を示す図である。
【0046】
図3に示すように、収集データ300には、情報の項目として"工程"、"ジョブID"、"処理前断面画像"、"プロセスデータ、レシピパラメータ等"、"Proxel"、"処理後断面画像"が含まれる。
【0047】
"工程"には、基板処理プロセスを示す名称が格納される。
図3の例は、"工程"として、「ドライエッチング」が格納された様子を示している。
【0048】
"ジョブID"には、基板処理装置110により実行されるジョブを識別するための識別子が格納される。
【0049】
図3の例は、ドライエッチングの"ジョブID"として、「PJ001」、「PJ002」、「PJ003」が格納された様子を示している。
【0050】
"処理前断面画像"には、測定装置111により生成された処理前断面画像のファイル名が格納される。
図3の例は、ジョブID=「PJ001」の場合、当該ジョブのロット(基板群)のうちの1つの処理前基板について、測定装置111により、ファイル名=「断面画像LD001」の処理前断面画像が生成されたことを示している。
【0051】
また、
図3の例は、ジョブID=「PJ002」の場合、当該ジョブのロット(基板群)のうちの1つの処理前基板について、測定装置111により、ファイル名=「断面画像LD002」の処理前断面画像が生成されたことを示している。更に、
図3の例は、ジョブID=「PJ003」の場合、当該ジョブのロット(基板群)のうちの1つの処理前基板について、測定装置111により、ファイル名=「断面画像LD003」の処理前断面画像が生成されたことを示している。
【0052】
"プロセスデータ、レシピパラメータ等"には、基板処理装置110において保持された処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)が格納される。
図3の例において、「プロセスデータセット001_1」等には、例えば、
・Vpp(電位差)、Vdc(直流自己バイアス電圧)、OES(発光分光分析による発光強度)、Reflect(反射波電力)、Top DCS current(ドップラ流速計の検出値)等のように、処理中に基板処理装置110から出力されるデータ、
・Plasma density(プラズマ密度)、Ion energy(イオンエネルギ)、Ion flux(イオン流量)等のように、処理中に測定されるデータ、
等のプロセスデータが含まれる。
【0053】
また、
図3の例において、「レシピパラメータセット001_1」等には、例えば、
・Pressure(チャンバ内の圧力)、Power(高周波電源の電力)、Gas(ガス流量)、Temperature(チャンバ内の温度または基板の表面の温度)等のように、基板処理装置110に設定値として設定されるデータ、
等のレシピパラメータが含まれる。また、「レシピパラメータセット001_1」等には、レシピパラメータ以外のパラメータとして、
・CD(限界寸法)、Depth(深さ)、Taper(テーパ角)、Tilting(チルト角)、Bowing(ボーイング)等のように、基板処理装置110に目標値として設定されるデータ、
等の目標値パラメータが含まれていてもよい。
【0054】
"Proxel"には、"プロセスデータ、レシピパラメータ等"に格納された(プロセスデータセットに含まれる)プロセスデータ、(レシピパラメータセットに含まれる)レシピパラメータ等が分類されるグループを示すProxel名が格納される。
図3の例は、ジョブID=「PJ001」~「PJ003」にそれぞれ対応するプロセスデータ、レシピパラメータ等は、「Proxel_A」、「Proxel_B」、「Proxel_C」に分類されることを示している。
【0055】
"処理後断面画像"には、測定装置112により生成された処理後断面画像のファイル名が格納される。
図3の例は、ジョブID=「PJ001」の場合、当該ジョブのロット(基板群)のうちの1つの処理後基板について、測定装置112により、ファイル名=「断面画像LD001'」の処理後断面画像が生成されたことを示している。
【0056】
また、
図3の例は、ジョブID=「PJ002」の場合、当該ジョブのロット(基板群)のうちの1つの処理後基板について、測定装置112により、ファイル名=「断面画像LD002'」の処理後断面画像が生成されたことを示している。更に、
図3の例は、ジョブID=「PJ003」の場合、当該ジョブのロット(基板群)のうちの1つの処理後基板について、測定装置111により、ファイル名=「断面画像LD003'」の処理後断面画像が生成されたことを示している。
【0057】
<評価用データ生成装置の機能構成>
次に、評価用データ生成装置120の機能構成の詳細について説明する。
図4は、評価用データ生成装置の機能構成の一例を示す図である。
図4に示すように、評価用データ生成装置120の評価用データ生成部121は、
・シミュレーションデータ生成部410、
・取得部420、
・シミュレーションパラメータ算出部430、
を有する。
【0058】
シミュレーションデータ生成部410は、収集データ格納部122に格納された収集データを読み出し、シミュレーションデータを生成した後、生成したシミュレーションデータをシミュレーションデータ格納部123に格納する。シミュレーションデータ生成部410では、同じProxelごとにシミュレーションデータを生成する。
【0059】
取得部420は、シミュレーションデータ格納部123より、特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる、処理前断面画像と処理後断面画像の複数のペアのうち、複数の処理前断面画像を読み出す。
【0060】
また、取得部420は、読み出した複数の処理前断面画像を形状シミュレータ130に入力することで、形状シミュレータ130を動作させる。
【0061】
シミュレーションパラメータ算出部430は、形状シミュレータ130に入力するシミュレーションパラメータの値を算出する。シミュレーションパラメータ算出部430では、まず、デフォルトのシミュレーションパラメータの値を形状シミュレータ130に入力する。
【0062】
続いて、シミュレーションパラメータ算出部430では、取得部420が複数の処理前断面画像を入力することで形状シミュレータ130より出力される複数の処理後予測画像を取得する。また、シミュレーションパラメータ算出部430では、対応する複数の処理後断面画像を読み出し、取得した複数の処理後予測断面画像との間で各差分値を算出し、算出した各差分値の総和が最小となるように、シミュレーションパラメータの値を変更する。更に、シミュレーションパラメータ算出部430は、変更後のシミュレーションパラメータの値を形状シミュレータ130に入力する。
【0063】
なお、シミュレーションパラメータ算出部430では、各差分値の総和が最小となるまで、これらの処理を繰り返すことで、形状シミュレータ130を複数回動作させる。
【0064】
また、シミュレーションパラメータ算出部430は、各差分値の総和が最小となった際のシミュレーションパラメータの値からなるシミュレーションパラメータセットを、最適なシミュレーションパラメータセットとして、評価用データ格納部124に格納する。
【0065】
また、シミュレーションパラメータ算出部430は、最適なシミュレーションパラメータセットを導出するのに用いたシミュレーションデータに対応付けられたProxelを、シミュレーションデータ格納部123より読み出す。また、シミュレーションパラメータ算出部430は、読み出したProxelを、最適なシミュレーションパラメータセットと対応付けて評価用データ格納部124に格納する。
【0066】
また、シミュレーションパラメータ算出部430は、最適なシミュレーションパラメータセットを導出するのに用いたシミュレーションデータに含まれる複数の処理前断面画像の各形状データを算出する。そして、シミュレーションパラメータ算出部430は、各形状データの範囲を示す第1の範囲情報を、最適なシミュレーションパラメータセットと対応付けて評価用データ格納部124に格納する。
【0067】
更に、シミュレーションパラメータ算出部430は、最適なシミュレーションパラメータセットを導出するのに用いたシミュレーションデータに含まれる複数の処理後断面画像の各形状データを算出する。そして、シミュレーションパラメータ算出部430は、各形状データの範囲を示す第2の範囲情報を、最適なシミュレーションパラメータセットと対応付けて評価用データ格納部124に格納する。
【0068】
<評価用データ生成部の各部の処理の具体例>
次に、評価用データ生成部121の各部(ここでは、シミュレーションデータ生成部410、シミュレーションパラメータ算出部430)の処理の具体例について説明する。
【0069】
(1)シミュレーションデータ生成部の処理の具体例
はじめに、シミュレーションデータ生成部410の処理の具体例について説明する。
図5は、シミュレーションデータ生成部の処理の具体例を示す図である。
【0070】
図5に示すように、シミュレーションデータ生成部410は、収集データ格納部122より収集データ300を読み出し、同じProxelごとに分類することでシミュレーションデータを生成する。
【0071】
図5の例は、シミュレーションデータ生成部410が、収集データ300に基づいて、
・シミュレーションデータ510(データ名=「シミュレーションデータA」)、
・シミュレーションデータ520(データ名=「シミュレーションデータB」)、
・シミュレーションデータ530(データ名=「シミュレーションデータC」)、
を生成した様子を示している。
【0072】
図5の例において、シミュレーションデータ510は、収集データ300に含まれる、処理前断面画像と処理後断面画像の複数のペアのうち、Proxel名=「Proxel_A」が対応付けられたペアからなるシミュレーションデータである。
【0073】
同様に、
図5の例において、シミュレーションデータ520は、収集データ300に含まれる複数のペアのうち、Proxel名=「Proxel_B」が対応付けられたペアからなるシミュレーションデータである。
【0074】
同様に、
図5の例において、シミュレーションデータ530は、収集データ300に含まれる複数のペアのうち、Proxel名=「Proxel_C」が対応付けられたペアからなるシミュレーションデータである。
【0075】
なお、上述したように、評価用データ生成部121では、同じProxelごとのシミュレーションデータを用いて最適なシミュレーションパラメータセットを導出する。
図5の例は、
・シミュレーションデータ510を用いて、セット名=「パラメータセットA」の最適なシミュレーションパラメータセットが導出されること、
・シミュレーションデータ520を用いて、セット名=「パラメータセットB」の最適なシミュレーションパラメータセットが導出されること、
・シミュレーションデータ530を用いて、セット名=「パラメータセットC」の最適なシミュレーションパラメータセットが導出されること、
を示している。
【0076】
続いて、シミュレーションデータの具体例について説明する。
図6は、シミュレーションデータ格納部に格納されるシミュレーションデータの具体例を示す図である。
【0077】
図6において、紙面左側に示す処理前断面画像は、ファイル名が「断面画像LD001」、「断面画像LD005」、「断面画像LD006」の処理前断面画像である。一方、
図6において、紙面右側に示す処理後断面画像は、ファイル名が「断面画像LD001'」、「断面画像LD005'」、「断面画像LD006'」の処理後断面画像である。
【0078】
(2)シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例
次に、シミュレーションパラメータ算出部430の処理の具体例について説明する。
図7は、シミュレーションパラメータ算出部の処理の具体例を示す図である。上述したように、シミュレーションパラメータ算出部430が実行する処理には、最適なシミュレーションパラメータセットを算出する処理と、評価用データを生成する処理とが含まれるが、ここでは、評価用データを生成する処理の具体例について説明する。
【0079】
図7の例は、シミュレーションパラメータ算出部430が、評価用データ700(ファイル名=「評価用データA」)を生成する様子を示している。
図7に示すように、評価用データ700には、情報の項目として、"Proxel"、"シミュレーションパラメータセット"、"第1の範囲情報"、"第2の範囲情報"が含まれる。
【0080】
このうち、"Proxel"には、例えば、シミュレーションデータ510(データ名=「シミュレーションデータA」)に含まれる複数のペアに対応付けられたProxel名=「Proxel_A」が格納される。
【0081】
また、"シミュレーションパラメータセット"には、シミュレーションデータ510に基づいて導出された、セット名=「パラメータセットA」のシミュレーションパラメータセットが格納される。
【0082】
また、"第1の範囲情報"には、シミュレーションデータ510の"処理前断面画像"に格納された各処理前断面画像の形状データ(例えば、開口幅、アスペクト比、表面材質等)の範囲を示す第1の範囲情報が格納される。
図7の例は、シミュレーションデータ510の"処理前断面画像"に格納された各処理前断面画像に基づいて各形状データが算出された様子を示している。また、
図7の例は、算出された各形状データに基づいて、第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00A」)が算出された様子を示している。
【0083】
また、"第2の範囲情報"には、シミュレーションデータ510の"処理後断面画像"に格納された各処理後断面画像の形状データ(例えば、開口幅、アスペクト比、表面材質等)の範囲を示す第2の範囲情報が格納される。
図7の例は、シミュレーションデータ510の"処理後断面画像"に格納された各処理後断面画像に基づいて各形状データが算出された様子を示している。また、
図7の例は、算出された各形状データに基づいて、第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00A'」)が算出された様子を示している。
【0084】
<評価用データ生成処理の流れ>
次に、評価用データ生成装置120による評価用データ生成処理の流れについて説明する。
図8は、評価用データ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
ステップS801において、評価用データ生成装置120は、収集データを読み出し、シミュレーションデータを生成する。
【0086】
ステップS802において、評価用データ生成装置120は、特定のProxelのシミュレーションデータに含まれる、処理前断面画像と処理後断面画像の複数のペアを取得する。
【0087】
ステップS803において、評価用データ生成装置120は、デフォルトのシミュレーションパラメータの値を、形状シミュレータ130に入力する。
【0088】
ステップS804において、評価用データ生成装置120は、複数のペアに含まれる各処理前断面画像を形状シミュレータ130に入力する。
【0089】
ステップS805において、評価用データ生成装置120は、形状シミュレータ130を動作させる。
【0090】
ステップS806において、評価用データ生成装置120は、形状シミュレータ130より、各処理後予測断面画像を取得する。
【0091】
ステップS807において、評価用データ生成装置120は、複数のペアに含まれる各処理後断面画像と、各処理後予測断面画像との各差分値を算出する。
【0092】
ステップS808において、評価用データ生成装置120は、各差分値の総和が最小になったか否かを判定する。
【0093】
ステップS808において、評価用データ生成装置120は、各差分値の総和が最小になっていないと判定した場合には(ステップS808においてNoの場合には)、ステップS809に進む。
【0094】
ステップS809において、評価用データ生成装置120は、シミュレーションパラメータの値を変更し、変更後のシミュレーションパラメータの値を形状シミュレータ130に入力した後、ステップS804に戻る。
【0095】
一方、ステップS808において、各差分値の総和が最小になったと判定した場合には(ステップS808においてYesの場合には)、ステップS810に進む。
【0096】
ステップS810において、評価用データ生成装置120は、各差分値の総和を最小にする最適なシミュレーションパラメータの値からなるシミュレーションパラメータセットを評価用データ格納部124に格納する。
【0097】
ステップS811において、評価用データ生成装置120は、複数のペアに含まれる各処理前断面画像に基づいて、処理前基板の各形状データを算出し、各形状データの範囲を示す第1の範囲情報を評価用データ格納部124に格納する。また、評価用データ生成装置120は、複数のペアに含まれる各処理後断面画像に基づいて、処理後基板の各形状データを算出し、各形状データの範囲を示す第2の範囲情報を評価用データ格納部124に格納する。
【0098】
ステップS812において、評価用データ生成装置120は、特定のProxelと、シミュレーションパラメータセットと、第1の範囲情報と、第2の範囲情報とを対応付けることで、評価用データを生成する。
【0099】
<形状シミュレーションシステムのシステム構成(評価フェーズ)>
次に、評価フェーズにおける形状シミュレーションシステム全体のシステム構成について説明する。
図9は、形状シミュレーションシステムの評価フェーズにおけるシステム構成の一例を示す図である。
【0100】
図9に示すように、評価フェーズにおいて、形状シミュレーションシステム900は、基板処理装置110と、測定装置111と、評価装置910と、形状シミュレータ130とを有する。
【0101】
このうち、基板処理装置110、測定装置111、形状シミュレータ130については、
図1を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0102】
なお、
図9の例は、測定装置111が、ファイル名=「断面画像X」の処理前断面画像を生成した様子を示している。
【0103】
評価装置910には、評価プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、評価装置910は、データ取得部911、Proxel入力部912、シミュレータ制御部913、評価部914として機能する。
【0104】
データ取得部911は、測定装置111により生成された処理前断面画像、基板処理装置110により保持された処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)を取得する。データ取得部911は、取得した処理前断面画像をシミュレータ制御部913及び評価部914に通知する。また、データ取得部911は、取得した処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)を、Proxel入力部912に通知する。
【0105】
Proxel入力部912は、データ取得部911より通知された処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)がいずれのProxelに分類されるかを判定し、判定したProxelをシミュレータ制御部913に通知する。
【0106】
シミュレータ制御部913は予測部の一例である。シミュレータ制御部913は、Proxel入力部912より通知されたProxelに基づいて、評価用データ格納部124を参照し、通知されたProxelに対応付けられたシミュレーションパラメータセットを読み出す。また、シミュレータ制御部913は、データ取得部911より通知された処理前断面画像と、読み出したシミュレーションパラメータセットとを、形状シミュレータ130に入力することで、形状シミュレータ130を動作させる。
【0107】
また、シミュレータ制御部913は、形状シミュレータ130を動作させることで、形状シミュレータ130より出力された処理後予測断面画像を取得する。更に、シミュレータ制御部913は、取得した処理後予測断面画像を評価部914に通知する。
【0108】
評価部914は、データ取得部911より通知された処理前断面画像に基づいて処理前基板の形状データを算出する。また、評価部914は、シミュレータ制御部913より通知された処理後予測断面画像に基づいて処理後基板の形状データを算出する。
【0109】
また、評価部914は、評価用データ格納部124を参照し、処理前断面画像に基づいて算出した処理前基板の形状データが、第1の範囲情報により特定される範囲に含まれるか否かを判定する。同様に、評価部914は、評価用データ格納部124を参照し、処理後予測断面画像に基づいて算出した処理後基板の形状データが、第2の範囲情報により特定される範囲に含まれるか否かを判定する。
【0110】
更に、評価部914は、判定の結果、
・処理前断面画像に基づいて算出した処理前基板の形状データが、第1の範囲情報により特定される範囲に含まれる、かつ、
・処理後予測断面画像に基づいて算出した処理後基板の形状データが、第2の範囲情報により特定される範囲に含まれる、
場合、形状シミュレータ130から出力された処理後予測断面画像は、予測精度の高い予測結果であると評価する。
【0111】
一方、評価部914は、判定の結果、
・処理前断面画像に基づいて算出した処理前基板の形状データが、第1の範囲情報により特定される範囲を超えていた場合、または、
・処理後予測断面画像に基づいて算出した処理後基板の形状データが、第2の範囲情報により特定される範囲を超えていた場合、
形状シミュレータ130から出力された処理後予測断面画像は、予測精度の低い予測結果であると評価する。
【0112】
なお、評価部914が予測精度の低い予測結果であると評価した場合、例えば、評価装置910は、
・評価用データ格納部124に格納されている、対応する評価用データのシミュレーションパラメータセットを更新するための処理、及び、第1または第2の範囲情報を更新するための処理を行ってもよい。あるいは、
・新たなProxelを規定したうえで、新たな評価用データを生成するための処理を行ってもよい。
【0113】
ただし、評価部914が予測精度の高い予測結果であると評価した場合には、評価装置910では、これらの処理は行われない。
【0114】
<評価装置のハードウェア構成>
次に、評価装置910のハードウェア構成について説明する。なお、評価装置910のハードウェア構成は、評価用データ生成装置120のハードウェア構成(
図2参照)と同様であるため、ここでは、評価用データ生成装置120との相違点について説明する。
【0115】
評価装置910の場合、プロセッサ201は、評価プログラムをメモリ202上に読み出して実行する。また、評価装置910の場合、補助記憶装置203は、評価用データ格納部124を実現する。
【0116】
また、評価装置910の場合、評価部914が評価した結果を表示する表示装置がI/F装置204に接続される。また、評価装置910の場合、通信装置205は、基板処理装置110、測定装置112と通信する。
【0117】
<シミュレーション制御部及び評価部の処理の具体例>
次に、評価装置910の各部のうち、シミュレータ制御部913及び評価部914の処理の具体例について説明する。
図10は、シミュレータ制御部及び評価部の処理の具体例を示す図である。
【0118】
図10の例は、シミュレータ制御部913が、
・ファイル名=「断面画像X」の処理前断面画像が生成された処理前基板を、
・Proxel_Aに対応する処理条件(プロセスデータ、レシピパラメータ等)のもとで処理した場合、
の処理後予測断面画像を予測する処理を示している。
【0119】
また、
図10の例は、評価部914が、
・予測された処理後予測断面画像(ファイル名=「断面画像X'」)についての予測精度を、
・評価用データ700を用いて評価する場合、
の処理を示している。
【0120】
具体的には、シミュレータ制御部913は、ファイル名=「断面画像X」の処理前断面画像と、Proxel_Aに対応付けられた、セット名=「パラメータセットA」のシミュレーションパラメータセットとを形状シミュレータ130に入力する。これにより、形状シミュレータ130は、ファイル名=「断面画像X'」の処理後予測断面画像を出力する。
【0121】
このとき、評価部914は、処理前断面画像(ファイル名=「断面画像X」)に基づいて、処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS」)を算出する。また、評価部914は、処理後予測断面画像(ファイル名=「断面画像X'」)に基づいて、処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS'」)を算出する。
【0122】
また、評価部914は、処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS」)が、評価用データ700に格納された、データ名=「第1の範囲情報S00A」の第1の範囲情報により特定される範囲に含まれるか否かを判定する。更に、評価部914は、処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS'」)が、評価用データ700に格納された、データ名=「第2の範囲情報S00A'」の第2の範囲情報により特定される範囲に含まれるか否かを判定する。
図10の例は、
・処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS」)が、データ名=「第1の範囲情報S00A」の第1の範囲情報により特定される範囲に含まれ、かつ、
・処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS'」)が、データ名=「第2の範囲情報S00A'」の第2の範囲情報により特定される範囲に含まれる、
と判定されたことで、処理後予測断面画像(ファイル名=「断面画像X'」)は、予測精度の高い予測結果であると評価した様子を示している。
【0123】
<評価処理の流れ>
次に、評価装置910による評価処理の流れについて説明する。
図11は、評価処理の流れを示すフローチャートである。
【0124】
ステップS1101において、評価装置910は、処理条件に対応するProxelを判定し、判定したProxelに対応付けられたシミュレーションパラメータを、形状シミュレータ130に入力する。
【0125】
ステップS1102において、評価装置910は、処理前断面画像を、形状シミュレータ130に入力する。
【0126】
ステップS1103において、評価装置910は、形状シミュレータ130を動作させる。これにより、形状シミュレータ130は、処理後予測断面画像を出力する。
【0127】
ステップS1104において、評価装置910は、形状シミュレータ130により出力された処理後予測断面画像を取得する。
【0128】
ステップS1105において、評価装置910は、形状シミュレータ130に入力した処理前断面画像に基づいて処理前基板の形状データを算出する。
【0129】
ステップS1106において、評価装置910は、評価用データを参照し、算出した処理前基板の形状データが、第1の範囲情報により特定される範囲に含まれるか否かを判定する。ステップS1106において、第1の範囲情報により特定される範囲を超えていたと判定した場合には(ステップS1106においてNoの場合には)、ステップS1110に進む。
【0130】
一方、ステップS1106において、第1の範囲情報により特定される範囲に含まれると判定した場合には(ステップS1106においてYesの場合には)、ステップS1107に進む。
【0131】
ステップS1107において、評価装置910は、処理後予測断面画像に基づいて処理後基板の形状データを算出する。
【0132】
ステップS1108において、評価装置910は、評価用データを参照し、算出した処理後基板の形状データが、第2の範囲情報により特定される範囲に含まれるか否かを判定する。ステップS1108において、第2の範囲情報により特定される範囲に含まれると判定した場合には(ステップS1108においてYesの場合には)、ステップS1109に進む。
【0133】
ステップS1109において、評価装置910は、処理後予測断面画像は、予測精度の高い予測結果であると評価する。
【0134】
一方、ステップS1108において、第2の範囲情報により特定される範囲を超えていたと判定した場合には(ステップS1108においてNoの場合には)、ステップS1110に進む。
【0135】
ステップS1110において、評価装置910は、処理後予測断面画像は、予測精度の低い予測結果であると評価する。
【0136】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る評価装置は、
・処理前基板の処理前断面画像を形状シミュレータに入力した場合の出力が、処理前基板を所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後基板の処理後断面画像に近づくように、形状シミュレータのシミュレーションパラメータを算出する。
・シミュレーションパラメータの算出に用いた処理前断面画像の形状データと同一の形状データとみなされる形状範囲を示す第1の範囲情報を算出する。
・シミュレーションパラメータの算出に用いた処理後断面画像の形状データと同一の形状データとみなされる形状範囲を示す第2の範囲情報を算出する。
・算出したシミュレーションパラメータと、第1の範囲情報と、第2の範囲情報とを対応付けて、評価用データを生成し、評価用データ格納部に格納する。
・新たな処理前基板の処理前断面画像と、算出したシミュレーションパラメータとを形状シミュレータに入力することで、新たな処理前基板を上記所定の処理条件のもとで処理した場合の処理後基板の処理後予測断面画像を予測する。
・処理前断面画像に基づいて算出した処理前基板の形状データと第1の範囲情報とを対比した結果、及び、処理後予測断面画像に基づいて算出した処理後基板の形状データと第2の範囲情報とを対比した結果を出力する。
【0137】
これにより、第1の実施形態に係る評価装置によれば、形状シミュレータにより出力された処理後予測断面画像が、予測精度の高い予測結果であるのか、予測精度の低い予測結果であるのかを評価することができる。
【0138】
つまり、第1の実施形態によれば、形状シミュレータにより予測された予測結果を評価することができる。
【0139】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、形状シミュレータにより予測された予測結果を評価するにあたり、1つのシミュレーションパラメータセットを用いて、形状シミュレータ130を1回動作させる場合について説明した。これに対して、第2の実施形態では、複数のシミュレーションパラメータセットを用いて、形状シミュレータ130を複数回動作させる場合について説明する。
【0140】
図12は、評価装置による評価処理の具体例を示す図である。
図12において、符号1210は、評価装置910のシミュレータ制御部913が、形状シミュレータ130を複数回動作させる様子を示したものである。
【0141】
具体的には、セット名=「パラメータセットA」~「パラメータセットC」の複数のシミュレーションパラメータセットを用いて、形状シミュレータ130を3回動作させる様子を示している。
【0142】
図12の符号1210の例によれば、ファイル名=「断面画像X」の処理前断面画像と、セット名=「パラメータセットA」のシミュレーションパラメータセットとが入力される。これにより、形状シミュレータ130からは、ファイル名=「断面画像X'」の処理後予測断面画像が出力される。
【0143】
また、
図12の符号1210の例によれば、ファイル名=「断面画像X'」の処理後予測断面画像が処理前断面画像として、セット名=「パラメータセットB」のシミュレーションパラメータセットとともに入力される。これにより、形状シミュレータ130からは、ファイル名=「断面画像X''」の処理後予測断面画像が出力される。
【0144】
また、
図12の符号1210の例によれば、ファイル名=「断面画像X''」の処理後予測断面画像が処理前断面画像として、セット名=「パラメータセットC」のシミュレーションパラメータセットとともに入力される。これにより、形状シミュレータ130からは、ファイル名=「断面画像X'''」の処理後予測断面画像が出力される。
【0145】
一方、
図12において、符号1220は、評価装置910の評価部914が予測結果を評価する様子を示している。
【0146】
具体的には、符号1220の例は、1回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部914が、
・ファイル名=「断面画像X」の処理前断面画像に基づいて算出した1回目の処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS」)と、
・評価用データ700の第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00A」)により特定される範囲と、
を対比し、
・ファイル名=「断面画像X'」の処理後予測断面画像に基づいて算出した1回目の処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS'」)と、
・評価用データ700の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00A'」)により特定される範囲と、
を対比した様子を示している。
【0147】
また、
図12の符号1220の例は、2回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部914が、
・ファイル名=「断面画像X'」の処理後予測断面画像に基づいて算出した2回目の処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS'」)と、
・評価用データ1230の第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00B」)により特定される範囲と、
を対比し、
・ファイル名=「断面画像X''」の処理後予測断面画像に基づいて算出した2回目の処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS''」)と、
・評価用データ1230の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00B'」)により特定される範囲と、
を対比した様子を示している。
【0148】
また、
図12の符号1220の例は、3回目に形状シミュレータを動作させた際に、評価部914が、
・ファイル名=「断面画像X''」の処理後予測断面画像に基づいて算出した3回目の処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS''」)と、
・評価用データ1240の第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00C」)により特定される範囲と、
を対比し、
・ファイル名=「断面画像X'''」の処理後予測断面画像に基づいて算出した3回目の処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS'''」)と、
・評価用データ1240の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00C'」)により特定される範囲と、
を対比した様子を示している。
【0149】
このように、複数のシミュレーションパラメータセットを用いて、形状シミュレータ130を複数回動作させて最終的な予測結果を得る場合、n回目(nは1以上の整数)の処理後予測断面画像に基づいて算出される処理後基板の形状データは、
・n回目に形状シミュレータを動作させた際に用いられたシミュレーションパラメータセットに対応付けられた第2の範囲情報と、
・(n+1)回目に形状シミュレータを動作させた際に用いられるシミュレーションパラメータセットに対応付けられた第1の範囲情報と、
を用いて、対比が行われることになる。
【0150】
これにより、評価部914では、各回において、第1及び第2の範囲情報と対比した結果、いずれの回においても、第1及び第2の範囲情報により特定される範囲に含まれる場合に、最終的な処理後予測断面画像は、予測精度の高い予測結果であると評価する。
【0151】
また、評価部914では、各回において、第1及び第2の範囲情報と対比した結果、いずれかの回において、第1または第2の範囲情報により特定される範囲を超えていた場合、最終的な処理後予測断面画像は、予測精度の低い予測結果であると評価する。
【0152】
つまり、第2の実施形態によれば、形状シミュレータを複数回動作させた場合であっても、形状シミュレータにより予測された予測結果を評価することができる。
【0153】
[第3の実施形態]
上記第2の実施形態では、予め決定された複数のシミュレーションパラメータセットの組み合わせを用いて、形状シミュレータ130を複数回動作させる場合について説明した。これに対して、第3の実施形態では、形状シミュレータ130を複数回動作させることで、最終的に目標とする形状データが得られ、かつ、予測精度の高い予測結果が得られるシミュレーションパラメータセットの組み合わせを探索する場合について説明する。以下、第3の実施形態について、上記第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0154】
<形状シミュレーションシステムのシステム構成(探索フェーズ)>
はじめに、探索フェーズにおける形状シミュレーションシステム全体のシステム構成について説明する。なお、探索フェーズとは、
・生成した評価用データに含まれるシミュレーションパラメータの組み合わせを用いて形状シミュレータを複数回動作させ、
・第1の範囲情報及び第2の範囲情報と、最終的に目標とする形状データとを用いて予測結果を評価することで、
・最終的に目標とする形状データが得られ、かつ、予測精度の高い予測結果が得られるシミュレーションパラメータセットの組み合わせを探索する、
フェーズを指す。
【0155】
図13は、形状シミュレーションシステムの探索フェーズにおけるシステム構成の一例を示す図である。
図13に示すように、探索フェーズにおいて、形状シミュレーションシステム1300は、基板処理装置110と、測定装置111と、評価装置1310と、形状シミュレータ130とを有する。
【0156】
このうち、基板処理装置110、測定装置111、形状シミュレータ130については、
図1を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0157】
評価装置1310には、評価プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、評価装置1310は、データ取得部1311、組み合わせ探索部1312、シミュレータ制御部1313、評価部1314として機能する。
【0158】
データ取得部1311は、測定装置111により生成された処理前断面画像を取得し、シミュレータ制御部1313及び評価部1314に通知する。
【0159】
組み合わせ探索部1312は、評価用データ格納部124に格納された評価用データより、シミュレーションパラメータセットを複数読み出し、複数のシミュレーションパラメータセットの組み合わせを生成する。また、組み合わせ探索部1312は、生成した組み合わせに含まれる複数のシミュレーションパラメータセットを、順次、シミュレータ制御部1313に通知する。
【0160】
また、組み合わせ探索部1312は、複数のシミュレーションパラメータセットを、順次、シミュレータ制御部1313に通知したことに応じて、評価部1314より予測結果についての評価結果を取得する。なお、組み合わせ探索部1312が取得する評価結果には、
・予測精度の高い予測結果であるのか、予測精度の低い予測結果であるのかを示す第1の評価結果と、
・予測結果に対応する最終的な処理後基板の形状データと、最終的に目標とする形状データとの誤差が所定の閾値以下であるか否かを示す第2の評価結果と、
が含まれる。
【0161】
また、組み合わせ探索部1312は、評価部1314により取得した評価結果に基づいて、シミュレーションパラメータの新たな組み合わせを生成する。また、組み合わせ探索部1312は、生成した新たな組み合わせに含まれる複数のシミュレーションパラメータセットを、順次、シミュレータ制御部1313に通知する。
【0162】
更に、組み合わせ探索部1312は、
・予測精度の高い予測結果であるとの第1の評価結果が得られ、かつ、
・予測結果に対応する最終的な処理後基板の形状データと、最終的に目標とする形状データとの誤差が所定の閾値以下であるとの第2の評価結果が得られた、
場合のシミュレーションパラメータセットの組み合わせを、探索結果として出力する。
【0163】
シミュレータ制御部1313は予測部の他の一例である。シミュレータ制御部1313は、データ取得部1311より通知された処理前断面画像と、組み合わせ探索部1312より最初に通知されたシミュレーションパラメータセットとを、形状シミュレータ130に入力することで、形状シミュレータ130を動作させる。
【0164】
また、シミュレータ制御部1313は、形状シミュレータ130より出力された処理後予測断面画像を評価部1314に通知する。また、シミュレータ制御部1313は、処理後予測断面画像を処理前断面画像として、次に組み合わせ探索部1312より通知されたシミュレーションパラメータセットとともに形状シミュレータ130に入力することで、形状シミュレータ130を動作させる。なお、シミュレータ制御部1313は、組み合わせ探索部1312より通知される全てのシミュレーションパラメータセットについて、同様の処理を繰り返す。
【0165】
評価部1314は、データ取得部1311より通知された処理前断面画像に基づいて処理前基板の形状データを算出する。また、評価部1314は、
・算出した処理前基板の形状データと、
・組み合わせ探索部1312により生成された組み合わせに含まれる最初のシミュレーションパラメータセットに対応付けられた第1の範囲情報により特定される範囲と、
を対比する。
【0166】
また、評価部1314は、
・n回目に形状シミュレータ130を動作させた際に用いられたシミュレーションパラメータセットに対応付けられた第2の範囲情報と、
・(n+1)回目に形状シミュレータ130を動作させた際に用いられたシミュレーションパラメータセットに対応付けられた第1の範囲情報と、
を用いて対比を行う。
【0167】
これにより、評価部1314は、第1の評価結果を組み合わせ探索部1312に通知する。
【0168】
また、評価部1314は、予測結果に対応する最終的な処理後基板の形状データと、最終的に目標とする形状データとの誤差が所定の閾値以下であるか否かを判定し、第2の評価結果を組み合わせ探索部1312に通知する。なお、最終的に目標とする形状データは、予め評価部1314に入力されているものとする。
【0169】
<評価及び探索処理の具体例>
次に、評価装置1310による評価及び探索処理の具体例について説明する。
図14は、評価及び探索処理の具体例を示す図である。
図14において、符号1410は、シミュレータ制御部1313が、形状シミュレータ130を複数回動作させる様子を示したものである。
【0170】
具体的には、まず、組み合わせ探索部1312が複数のシミュレーションパラメータセットの組み合わせとして、「パラメータセットA」と「パラメータセットB」との組み合わせ(組み合わせ1)を生成する。そして、シミュレータ制御部1313が、組み合わせ1を用いて、形状シミュレータ130を2回動作させる。
【0171】
図14の符号1410の例によれば、ファイル名=「断面画像X1」の処理前断面画像と、セット名=「パラメータセットA」のシミュレーションパラメータセットとが入力される。これにより、形状シミュレータ130からは、ファイル名=「断面画像X1'」の処理後予測断面画像が出力される。
【0172】
また、
図14の符号1410の例によれば、ファイル名=「断面画像X1'」の処理後予測断面画像が、処理前断面画像として、セット名=「パラメータセットB」のシミュレーションパラメータとともに入力される。これにより、形状シミュレータ130からは、ファイル名=「断面画像X1''」の処理後予測断面画像が出力される。
【0173】
一方、
図14において、符号1420は、評価部1314が予測結果を評価する様子を示している。
【0174】
図14の符号1420の例は、1回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部1314が、
・処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS1」)と、評価用データ700の第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00A」)により特定される範囲とを対比し、
・処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS1'」)と、評価用データ700の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00A'」)により特定される範囲とを対比、
した様子を示している。
【0175】
また、
図14の符号1420の例は、2回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部1314が、
・処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS1'」)と、評価用データ1230の第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00B」)により特定される範囲とを対比し、
・処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS1''」)と、評価用データ1230の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00B'」)により特定される範囲とを対比、
した様子を示している。
【0176】
また、
図14の符号1420の例は、2回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部1314が、
・最終的な処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS1''」と、
・最終的に目標とする形状データと、
の誤差を算出した様子を示している。
【0177】
このとき、処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS1''」)が評価用データ1230の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00B'」)により特定される範囲を超えていたとする。この場合、組み合わせ探索部1312では、新たな組み合わせを生成する際、セット名=「パラメータセットB」のシミュレーションパラメータセットにペナルティを科す。この結果、セット名=「パラメータセットB」のシミュレーションパラメータセットは新たな組み合わせに含まれにくくなる。
【0178】
このように、組み合わせ探索部1312では、
・m組目(mは1以上の整数)の組み合わせに含まれる、(n+1)回目の動作に用いられるシミュレーションパラメータセットに対応付けられた第1の範囲情報により特定される範囲に対して、n回目の処理後基板の形状データが超えていた場合、かつ、
・m組目(mは1以上の整数)の組み合わせに含まれる、n回目の動作に用いられるシミュレーションパラメータセットに対応付けられた第2の範囲情報により特定される範囲に、n回目の処理後基板の形状データが含まれていた場合、
(m+1)組目の組み合わせを生成する際、(n+1)回目の動作に用いられたシミュレーションパラメータセットを含まれにくくする。
【0179】
あるいは、組み合わせ探索部1312では、
・m組目(mは1以上の整数)の組み合わせに含まれる、n回目の動作に用いられるシミュレーションパラメータセットに対応付けられた第2の範囲情報により特定される範囲を、n回目の処理後基板の形状データが超えていた場合、
(m+1)組目の組み合わせを生成する際、n回目の動作に用いられたシミュレーションパラメータを含まれにくくする。
【0180】
図14の符号1430の例は、新たな組み合わせとして、
・セット名=「パラメータセットA」、
・セット名=「パラメータセットC」、
・セット名=「パラメータセットD」、
の各シミュレーションパラメータセットの組み合わせ(「組み合わせ2」)が生成された様子を示している。また、符号1430の例は、新たな組み合わせ(「組み合わせ2」)を用いて、形状シミュレータ130を3回動作させた様子を示している。
【0181】
図14の符号1430の例によれば、ファイル名=「断面画像X1」の処理前断面画像と、セット名=「パラメータセットA」のシミュレーションパラメータセットとが入力される。これにより、形状シミュレータ130からは、ファイル名=「断面画像X1'」の処理後予測断面画像が出力される。
【0182】
また、
図14の符号1430の例によれば、ファイル名=「断面画像X1'」の処理後予測断面画像が、処理前断面画像として、セット名=「パラメータセットC」のシミュレーションパラメータとともに入力される。これにより、形状シミュレータ130からは、ファイル名=「断面画像X2''」の処理後予測断面画像が出力される。
【0183】
また、
図14の符号1430の例によれば、ファイル名=「断面画像X2''」の処理後予測断面画像が、処理前断面画像として、セット名=「パラメータセットD」のシミュレーションパラメータセットとともに入力される。これにより、形状シミュレータ130からは、ファイル名=「断面画像X2'''」の処理後予測断面画像が出力される。
【0184】
一方、
図14において、符号1440は、評価部1314が予測結果を評価する様子を示している。
【0185】
図14の符号1440の例は、1回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部1314が、
・処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS1」)と、評価用データ700の第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00A」)により特定される範囲とを対比し、
・処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS1'」)と、評価用データ700の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00A'」)により特定される範囲とを対比、
した様子を示している。
【0186】
また、
図14の符号1440の例は、2回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部1314が、
・2回目の処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS1'」)と、評価用データ1240の第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00C」)により特定される範囲とを対比し、
・2回目の処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS2''」)と、評価用データ1240の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00C'」)により特定される範囲とを対比、
した様子を示している。
【0187】
また、
図14の符号1440の例は、3回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部1314が、
・3回目の処理前基板の形状データ(データ名=「形状データXS2''」)と、評価用データ1450の第1の範囲情報(データ名=「第1の範囲情報S00D」)により特定される範囲とを対比し、
・3回目の処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS2'''」)と評価用データ1450の第2の範囲情報(データ名=「第2の範囲情報S00D'」)により特定される範囲とを対比、
した様子を示している。
【0188】
また、
図14の符号1440の例は、3回目に形状シミュレータ130を動作させた際に、評価部1314が、
・最終的な処理後基板の形状データ(データ名=「形状データXS2'''」)と、
・最終的に目標とする形状データと、
の誤差を算出した様子を示している。
【0189】
このように、前回の組み合わせに基づく評価結果に基づいて、新たな組み合わせを生成して、新たな組み合わせに基づく評価結果を出力する処理を繰り返すことで、組み合わせ探索部1312によれば、最適な組み合わせを探索することができる。
【0190】
<評価及び探索処理の流れ>
次に、評価装置1310による評価及び探索処理の流れについて説明する。
図15は、評価装置による評価及び探索処理の流れを示すフローチャートである。
【0191】
ステップS1501において、評価装置1310は、シミュレーションパラメータセットの組み合わせとして、デフォルトの組み合わせを生成する。
【0192】
ステップS1502において、評価装置1310は、処理前断面画像を、現在の組み合わせに含まれるシミュレーションパラメータセットのうちの1つとともに、形状シミュレータ130に入力する。あるいは、評価装置1310は、形状シミュレータ130から前回出力された処理後予測断面画像を、今回の処理前断面画像として、現在の組み合わせに含まれるシミュレーションパラメータセットの1つとともに、形状シミュレータ130に入力する。
【0193】
ステップS1503において、評価装置1310は、形状シミュレータ130を動作させる。これにより、形状シミュレータ130は、今回の処理後予測断面画像を出力する。
【0194】
ステップS1504において、評価装置1310は、形状シミュレータ130から今回出力された処理後予測断面画像を取得する。
【0195】
ステップS1505において、現在の組み合わせに含まれる全てのシミュレーションパラメータセットについて、形状シミュレータ130に入力したか否かを判定する。ステップS1505において、形状シミュレータ130に入力していないシミュレーションパラメータセットがあると判定した場合には(ステップS1505においてNoの場合には)、ステップS1502に戻る。
【0196】
一方、ステップS1505において、現在の組み合わせに含まれる全てのシミュレーションパラメータセットについて、形状シミュレータ130に入力したと判定した場合には(ステップS1505においてYesの場合には)、ステップS1506に進む。
【0197】
ステップS1506において、評価装置1310は、形状シミュレータ130に入力した処理前断面画像に基づいて処理前基板の形状データを算出する。また、評価装置1310は、形状シミュレータ130より取得した処理後予測断面画像に基づいて、処理後基板の形状データを算出する。
【0198】
ステップS1507において、評価装置1310は、評価用データを参照し、算出した処理前基板及び処理後基板の形状データと、第1及び第2の範囲情報により特定される範囲とを対比する。
【0199】
ステップS1508において、評価装置1310は、第1及び第2の範囲情報により特定される範囲に含まれると判定した場合には(ステップS1508においてYesの場合には)、ステップS1510に進む。
【0200】
一方、ステップS1508において、第1または第2の範囲情報により特定される範囲を超えていたと判定した場合には(ステップS1508においてNoの場合には)、ステップS1509に進む。
【0201】
ステップS1509において、評価装置1310は、ステップS1508における対比の結果に応じたペナルティを、対応するシミュレーションパラメータセットに科し、ステップS1511に進む。
【0202】
ステップS1510において、評価装置1310は、最終的な処理後予測断面画像に基づいて算出した処理後基板の形状データと、最終的に目標とする形状データとの誤差が所定の閾値以下であるか否かを判定する。ステップS1510において、所定の閾値以下でないと判定した場合には(ステップS1510においてNoの場合には)、ステップS1511に進む。
【0203】
ステップS1511において、評価装置1310は、シミュレーションパラメータセットの新たな組み合わせを生成した後、ステップS1502に戻る。
【0204】
一方、ステップS1511において、所定の閾値以下であると判定した場合には、ステップS1512に進む。
【0205】
ステップS1512において、評価装置1310は、現在のシミュレーションパラメータセットの組み合わせを、最適なシミュレーションパラメータセットの組み合わせとして出力する。
【0206】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係る評価装置は、
・形状シミュレータ130を複数回動作させながら、予測結果を評価することで、最終的に目標とする形状データが得られ、かつ、予測精度の高い予測結果が得られる最適なシミュレーションパラメータセットの組み合わせを探索する。
【0207】
これにより、第3の実施形態に係る評価装置によれば、最適なシミュレーションパラメータセットの組み合わせを生成することができる。
【0208】
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、基板の形状を示す形状情報として、処理前断面画像を形状シミュレータ130に入力するものとして説明した。しかしながら、形状シミュレータ130に入力する基板の形状を示す形状情報は、処理前断面画像に限定されない。例えば、画像以外のデータ(例えば、処理前断面画像に基づいて算出した形状データ)であってもよい。あるいは、断面画像以外の画像(例えば、3次元画像)であってもよい。
【0209】
上記第3の実施形態では、新たな組み合わせを生成する際の生成方法について言及しなかったが、組み合わせ探索部1312は、例えば、遺伝的アルゴリズムを用いて、新たな組み合わせを生成してもよい。
【0210】
また、上記各実施形態では、評価用データ生成装置120、評価装置910、評価装置1310と、形状シミュレータ130とを別体として構成したが、これらは、一体として構成してもよい。また、上記各実施形態では、評価用データ生成装置120、評価装置910、評価装置1310を別体の装置としたが、これらは、一体の装置であってもよい。
【0211】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0212】
100 :形状シミュレーションシステム
110 :基板処理装置
111 :測定装置
112 :測定装置
120 :評価用データ生成装置
121 :評価用データ生成部
130 :形状シミュレータ
300 :収集データ
410 :シミュレーションデータ生成部
420 :取得部
430 :シミュレーションパラメータ算出部
510~530 :シミュレーションデータ
700 :評価用データ
900 :形状シミュレーションシステム
910 :評価装置
911 :データ取得部
912 :Proxel入力部
913 :シミュレータ制御部
914 :評価部
1230、1240 :評価用データ
1310 :評価装置
1311 :データ取得部
1312 :組み合わせ探索部
1313 :シミュレータ制御部