(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175825
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】米飯食品の品質改良剤
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20221117BHJP
A23D 9/00 20060101ALN20221117BHJP
A23D 9/013 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
A23L7/10 B
A23D9/00 518
A23D9/013
A23D9/00 504
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082540
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭一
(72)【発明者】
【氏名】田村 美穂
【テーマコード(参考)】
4B023
4B026
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE11
4B023LG01
4B023LK10
4B023LK20
4B023LL04
4B023LP11
4B023LT03
4B026DC06
4B026DK05
4B026DL04
4B026DL08
4B026DP01
4B026DP03
4B026DP04
(57)【要約】
【課題】ほぐれ性が良好である米飯食品を、呈味に影響がなく安定して得ることができる、米飯食品の品質改良剤を提供すること。
【解決手段】脂質蛋白質複合体を有効成分とする、米飯食品の品質改良剤である。前記脂質蛋白質複合体を構成する脂質におけるリン脂質の含有量が、30~100質量%であることが好ましく、前記脂質蛋白質複合体を構成する蛋白質が、乳蛋白質、小麦蛋白質、豆類蛋白質及び米蛋白質からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質蛋白質複合体を有効成分とする、米飯食品の品質改良剤。
【請求項2】
前記脂質蛋白質複合体を構成する脂質におけるリン脂質の含有量が、30~100質量%である、請求項1に記載の米飯食品の品質改良剤。
【請求項3】
前記脂質蛋白質複合体を構成する脂質が、レシチンである、請求項1又は2に記載の米飯食品の品質改良剤。
【請求項4】
前記脂質蛋白質複合体を構成する蛋白質が、乳蛋白質、小麦蛋白質、豆類蛋白質及び米蛋白質からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の米飯食品の品質改良剤。
【請求項5】
前記脂質蛋白質複合体における蛋白質と脂質との質量比が、蛋白質100質量部に対し脂質が10~250質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の米飯食品の品質改良剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の米飯食品の品質改良剤を含有する米飯食品。
【請求項7】
米飯食品製造時に脂質蛋白質複合体を添加する工程を含む、米飯食品の品質改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯食品の品質改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物である米に水を加えて炊きあげるか、蒸すことによって米粒に含まれる澱粉を糊化した食品である米飯は、古くから日本人にとって主食であった。そして、粘りと弾力が適度のバランスをもっている食感(もちもちとした食感)が「おいしい米飯」の大きな条件であるとされている(非特許文献1参照)。
【0003】
ここで、もうひとつ重要な条件として最近注目を集めているのがほぐれ性である。炊飯直後は上記のように良好な食感でありながらほぐれ性が高いため、しゃもじや炊飯器の壁面への付着が少ないが、徐々にほぐれ性が低下してこの付着性が高まってくることが知られている。スーパーやコンビニエンスストアで販売される弁当やおにぎりを製造する大量生産ラインにおいては、このほぐれ性の悪化は製造ラインへの付着やおにぎり製造時の安定生産性の悪化など、作業効率が大きく低下してしまう。
【0004】
このほぐれ性を改善するため、乳化剤を添加する方法(例えば、特許文献1~3参照)、デキストリンを添加する方法(例えば、特許文献4参照)、でんぷん分解物やでんぷんの加工品を添加する方法(例えば、特許文献5及び6参照)、増粘多糖類を添加する方法(例えば、特許文献7及び8参照)、及びゼリー形成能をもつたんぱく質を添加する方法(例えば、特許文献9参照)等が提案されている。
【0005】
しかし、乳化剤を添加する方法はもちもち感の低下を招きやすいという問題があり、デキストリンを添加する方法はそれ単独では効果が低いという問題があり、でんぷん分解物やでんぷんの加工品を添加する方法はもちもち感の低下がみられやすいという問題があり、増粘多糖類を添加する方法はもちもち感の低下を招きやすいという問題に加え炊飯時のふきこぼれが発生しやすい問題があり、ゼリー形成能をもつたんぱく質を添加する方法は風味に影響がでてしまうという問題がある。
【0006】
また、上記ほぐれ性の向上のために、炊飯時や炒飯の製造時に油脂を添加することがあり、その油脂の配合からの改良が各種提案されている(例えば、特許文献10~12参照)。しかし油脂を添加する方法ではほぐれ性はある程度改善されるが炒飯の食材や調味料の呈味性が悪化しやすいという問題があり、その点の解消が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-192658号公報
【特許文献2】特開2013-051916号公報
【特許文献3】特開2008-118987号公報
【特許文献4】特開2016-167999号公報
【特許文献5】特開2019-024368号公報
【特許文献6】特開2013-034414号公報
【特許文献7】特開2017-175956号公報
【特許文献8】特開2006-296259号公報
【特許文献9】WO2006-129691
【特許文献10】特開2019-058086号公報
【特許文献11】特開2015-198590号公報
【特許文献12】特開平05-316971号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】新食感事典、株式会社サイエンスフォーラム刊、156ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、ほぐれ性が良好である米飯食品を、呈味や食感に影響がなく安定して得ることができる、米飯食品の品質改良剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意研究した結果、脂質と蛋白質の混合物に特定の処理を行ったものを使用することにより上記課題を解決可能なことを知見した。
【0011】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、脂質蛋白質複合体を有効成分とする米飯食品の品質改良剤を提供するものである。
また本発明は、該米飯食品の品質改良剤を含有する米飯食品を提供するものである。
また本発明は、米飯食品製造時に脂質蛋白質複合体を添加する工程を含む米飯食品の品質改良方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の米飯食品の品質改良剤は、米飯食品に対し、呈味や食感に影響を与えることなく、ほぐれ性を安定して与えることができるため、加水炊飯時にも米粒感を残しながらもほぐれ性が良好であり、またおねばと言われる釜からのふきこぼれの発生も抑制され、釜汚れも防止することができる。さらに、炊飯米の二次加工品である炒飯においても、ほぐれ性が安定して付与される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の米飯食品の品質改良剤について、好ましい実施形態に基づき詳述する。
本発明の米飯食品の品質改良剤は、有効成分として脂質蛋白質複合体を含有する。更に、本発明の米飯食品の品質改良剤は、必要に応じ、後述するその他の成分を含有していてもよい。
【0014】
本発明において脂質蛋白質複合体とは、蛋白質と脂質とを含有し、且つ蛋白質と脂質との間に働く強い親和力により形成される高次構造を持つものを意味する。単に蛋白質と脂質とを含有するものは本発明の脂質蛋白質複合体には包含されない。
【0015】
まず、本発明の米飯食品の品質改良剤に含まれる脂質蛋白質複合体(以下、単に「複合体」ということがある。)の構成成分である脂質及び蛋白質について述べる。
【0016】
上記複合体を構成する脂質としては、特に限定されず、任意の脂質を使用することが可能である。脂質の具体例としては、例えば、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、リン脂質、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明の効果が一層顕著になることから、脂質として、モノグリセリド、リン脂質、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上を使用することが好ましく、リン脂質を使用することが風味の面からも機能の面からも特に好ましい。
【0017】
すなわち、本発明に用いる脂質は、一部又は全部がリン脂質であることが特に好ましい。上記脂質におけるリン脂質の含有量は、リン脂質とリン脂質以外の脂質との質量比率が、前者:後者で、30:70~100:0の範囲が好ましく、60:40~100:0の範囲がより好ましく、80:20~100:0の範囲が最も好ましい。換言すれば、脂質蛋白質複合体を構成する脂質におけるリン脂質の含有量は、30~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることが最も好ましい。本発明においては、目的に応じて、上記脂質の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
なお、リン脂質をレシチンの形で使用する場合は、リン脂質と、レシチンに含有されるその他の脂質との質量比率が、前者:後者で、30:70~100:0の範囲にある任意のレシチンを使用することができ、好ましくは60:40~100:0のレシチンを、より好ましくは80:20~100:0のレシチンを使用するとよい。すなわち、本発明においては、脂質蛋白質複合体を構成する脂質としてレシチンを用いることが好ましく、レシチンのリン脂質の含有量は、30~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることが最も好ましい。
【0019】
本発明においては、上記リン脂質の由来は特に限定されるものではなく、大豆由来リン脂質、ヒマワリ由来リン脂質、紅花由来リン脂質及び菜種由来リン脂質等の植物由来の植物性リン脂質、卵黄由来リン脂質、魚卵由来リン脂質及び乳由来リン脂質等の動物由来の動物性リン脂質、並びに微生物由来の微生物性リン脂質を使用することができる。また、これらの抽出物、精製物あるいは酵素処理品等を使用することも可能である。具体的なリン脂質としてはホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
本発明では、乳アレルゲンや卵アレルゲンを含まない米飯食品とすることが可能な点、菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することができる米飯食品とすることが可能な点で、大豆由来、ヒマワリ由来、紅花由来、菜種由来などの食物由来の植物性リン脂質又は微生物由来の微生物性リン脂質を使用することが好ましく、少量の添加で米飯食品に対して高い品質改良効果が得られる品質改良剤とすることができる点、更には脂質との複合体生成能が高い点から、大豆由来リン脂質及び/又はヒマワリ由来リン脂質を使用することが特に好ましい。大豆由来リン脂質は、大豆レシチンの形で、ヒマワリ由来リン脂質はヒマワリレシチンの形で用いることができる。
【0021】
上記複合体を構成する蛋白質としては、特に限定されず、任意の蛋白質を使用することが可能である。蛋白質の具体例としては、例えば、動物性蛋白質、微生物性蛋白質及び植物性蛋白質等が挙げられる。動物性蛋白質としては、例えば、ホエイ蛋白質及びカゼイン蛋白質等の乳蛋白質;並びに低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン及びオボムコイド等の卵蛋白質等が挙げられる。植物性蛋白質としては、グリアジン、グルテニン、プロラミン及びグルテリン等の小麦蛋白質;大豆蛋白質、エンドウ豆蛋白質、そら豆蛋白質、緑豆蛋白質、ひよこ豆蛋白質及びレンズ豆蛋白質等の豆類蛋白質、並びに米蛋白質等のその他穀類蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
本発明では、乳アレルゲンや卵アレルゲンを含まない食品とすることが可能な点、菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することができる食品とすることが可能な点で、蛋白質は動物性蛋白質を含有しないことが好ましい。すなわち本発明では、蛋白質は微生物性蛋白質及び/又は植物性蛋白質であることが好ましく、植物性蛋白質であることがより好ましい。植物性蛋白質としては、小麦蛋白質、豆類蛋白質及び米蛋白質からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、豆類蛋白質がより好ましい。豆類蛋白質としては、少量の添加で高い品質改良効果が得られる品質改良剤とすることができる点、脂質との複合体生成能が高い点、及び、水溶性が高いことから後述する製造方法をとることが容易である点で、大豆蛋白質、エンドウ豆蛋白質、そら豆蛋白質、緑豆蛋白質、ひよこ豆蛋白質及びレンズ豆蛋白質からなる群から選択される1種又は2種以上を使用すること好ましく、大豆蛋白質及び/又はエンドウ豆蛋白質を使用することが更に好ましい。
【0023】
本発明に含まれる複合体における、蛋白質と脂質との質量比は、蛋白質100質量部に対し脂質が10~250質量部であることが好ましく、20~130質量部であることがより好ましく、80~130質量部であることが更に好ましく、100~130質量部であることが最も好ましい。蛋白質100質量部に対する脂質の質量比を上述の範囲とすることで、米飯食品の品質改良効果が一層高まり、且つ米飯食品の風味が損なわれることがないため好ましい。また、複合体を製造する際に蛋白質と脂質とを含有する水溶液の粘度が高くならないので、該水溶液がゲル状になりにくくなり、その結果複合体の製造が容易となるため好ましい。
【0024】
上記脂質蛋白質複合体は、例えば、蛋白質や蛋白質を含有する食品素材、及び脂質や脂質を含有する食品素材を水に添加し、更に必要により後述するその他の成分を水に添加して蛋白質と脂質とを含有する水溶液を調製し、調製した水溶液を均質化することによって得ることができる。この場合、得られる水溶液は脂質蛋白質複合体を含有するものとなる。この際、蛋白質及び/又は蛋白質を含有する食品素材の使用量、並びに脂質及び/又は脂質を含有する食品素材の使用量を、得られる脂質蛋白質複合体における脂質と蛋白質との比が上述の範囲となるように適切に設定することが好ましい。なお、上記蛋白質として、蛋白質を含有する食品素材を使用した場合、また、脂質として、脂質を含有する食品素材を使用した場合、複合体における脂質の含有量及び蛋白質の含有量は、それぞれの食品素材に含まれる純蛋白質含有量及び純脂質含有量を用いて算出するものとする。
【0025】
上記の蛋白質と脂質とを含有する水溶液中における蛋白質の含有量は、好ましくは1~25質量%、より好ましくは5~25質量%、更に好ましくは5~20質量%であり、脂質の含有量は、好ましくは1~25質量%、より好ましくは5~25質量%、更に好ましくは5~20質量%である。上記の蛋白質と脂質とを含有する水溶液中の蛋白質及び脂質の含有量を上記の範囲とすることで、混合・撹拌によりダマを解消・分散させることができ、且つ十分に均質化を行うことができ、効率よく脂質蛋白質複合体を製造できるため好ましい。
【0026】
上述した通り、脂質蛋白質複合体の製造時に、水溶液中に蛋白質及び脂質以外のその他の成分を含有させることができるが、蛋白質及び脂質を高効率で複合化させる観点から、その他の成分を含有させないことが好ましい。
【0027】
脂質蛋白質複合体を製造する際、蛋白質と脂質とを含有する水溶液を均質化する前又は均質化した後に加熱殺菌することが好ましい。均質化の後に加熱殺菌する場合は、加熱殺菌の後に再度均質化することができる。
【0028】
上記均質化に用いる装置としては、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーのような高速せん断乳化釜、コミットロールやマスコロイダーのような高速せん断ミキサー、スタティックミキサー、インラインミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられる。この均質化処理は、2段式ホモジナイザーを用いて、例えば、1段目3~100MPa、2段目0~5MPaの均質化圧力にて行えばよい。
【0029】
上記加熱殺菌の方法としては、インジェクション式、インフュージョン式、マイクロ波等の直接加熱方式、及び、バッチ式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式があり、UHT、HTST、LTLT等の60~160℃の加熱処理を行えばよい。
【0030】
均質化・加熱殺菌を行った後、複合体を含有する水溶液を冷却することが好ましい。
冷却方法としては、例えば、チューブラー式、掻取式等の熱交換機によって冷却する方法が挙げられる。また、別の方法として、適当な容器に充填した後に、水浴、氷浴、冷蔵庫、冷凍庫等で冷却する方法も挙げられる。
【0031】
また、上記操作の後、必要に応じて濃縮操作を行うことができる。
本発明においては、良好な風味の米飯食品を得るという観点から、複合化工程又は濃縮の工程は、加熱を伴う乾燥工程等を含まないことが好ましい。
【0032】
また、複合体を含有する水溶液を凍結乾燥やスプレードライなどにより粉末化してもよい。
なお、凍結乾燥する際には、緩慢冷却により凍結することが好ましい。具体的には温度変化が2.0℃/h未満、好ましくは0.1~1.5℃/hの冷却速度で凍結することが好ましい。
【0033】
本発明の米飯食品の品質改良剤は、上記脂質蛋白質複合体を有効成分として含有するものである。
本発明の米飯食品の品質改良剤は、上記の、複合体を含有する水溶液を乾燥して粉末化したものや、複合体を含有する水溶液をそのまま使用することもできる。また複合体と下記のその他の成分とを混合して、常法により粉体、顆粒、錠剤等の固形状や、液剤、ペースト等の流動状の形態に製剤化することもできる。また、複合体を油脂に分散させた形態とすることもできる。
【0034】
本発明の米飯食品の品質改良剤が粉体、顆粒、錠剤等の固形状の形態である場合、本発明の米飯食品の品質改良剤における上記脂質蛋白質複合体の含有量は、少量の添加で効果を得るという目的のため、脂質蛋白質複合体の固形分として5~100質量%であることが好ましく、より好ましくは10~100質量%であり、更に好ましくは50~100質量%であり、更により好ましくは70~100質量%であり、最も好ましくは80~100質量%である。
【0035】
また、本発明の米飯食品の品質改良剤が液剤、ペースト等の流動状の形態である場合、本発明の米飯食品の品質改良剤における上記脂質蛋白質複合体の含有量は、少量の添加で効果を得るという目的、粘度が高すぎず使用しやすいこと、及び保存中の沈殿の生成を避けるため、脂質蛋白質複合体の固形分として1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは5~20質量%である。
【0036】
本発明の米飯食品の品質改良剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じ、上記脂質蛋白質複合体以外のその他の成分を含有することができる。該その他の成分としては、水、アルコール類、油脂、ゲル化剤や安定剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤、糖類・甘味料、糖アルコール、澱粉類、乳や乳製品、卵製品、穀類、無機塩、有機酸塩、酵素、ジグリセライド、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、直鎖デキストリン・分枝デキストン・環状デキストン等のデキストリン類、その他各種食品素材、微粒二酸化ケイ素・炭酸マグネシウム・リン酸二ナトリウム・酸化マグネシウム等の固結防止剤、ビタミン類、光沢剤、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、有機酸、重炭安等のアルカリ剤、強化剤等が挙げられる。
【0037】
上記油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、バター、バターオイル等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明では、上記の油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
上記ゲル化剤や安定剤としては、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、カシアガムが挙げられる。本発明では、上記ゲル化剤や安定剤の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0039】
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の合成乳化剤や、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、卵黄油、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤が挙げられる。本発明では、上記の乳化剤の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0040】
次に、本発明の米飯食品の品質改良剤を含有する米飯食品について述べる。
本発明の米飯食品は、本発明の米飯食品の品質改良剤を含有するものである。
【0041】
上記米飯食品に使用する米は、ジャポニカ種、インディカ種、うるち米、もち米、低アミロース米、古代米等の品種や、玄米、発芽玄米、白米、α化米、無洗米等の精米方法や加工方法に限定されず、特に制限なく使用することができる。なかでも、上記米としては、ジャポニカ種のうるち米に対する効果が極めて大きい点で、これを使用することが好ましい。
【0042】
上記米飯食品としては、品質改良剤を添加して炊飯された白飯、おかゆなどの炊飯米をはじめ、必要に応じ、他の食材と混合したり、あるいは組み合わせる等の方法で、赤飯、炊き込みご飯、おにぎり、酢飯(寿司飯)、もち、求肥、寿司、ちらし寿司、丼物、カレーライス、ドリア、お茶漬け、ピラフ、リゾット、炒飯、パエリア、雑炊、弁当等の様々な米飯食品を挙げることができる。
【0043】
本発明の米飯食品における、上記米飯食品の品質改良剤の含有量は、特に限定されず、使用する米の品種や、求める品質改良効果の強さに応じて適宜決定することができるが、米の乾燥重量100質量部に対し、米飯食品の品質改良剤に含まれる脂質蛋白質複合体の固形分として、好ましくは0.0001~0.5質量部、より好ましくは0.0005~0.2質量部、さらに好ましくは0.001~0.1質量部である。0.0001質量部未満又は0.5質量部を超えると、本発明の効果が認められ難く、また0.5質量部を超えると米飯が着色されてしまいやすい。
【0044】
本発明の米飯食品の品質改良剤を米に添加する時期は、米飯食品の製造の終了までの間であればよく、例えば、炊飯時、蒸し時、煮込時、さらには二次加工品である炒飯の製造時などの各時期に添加することができる。
【0045】
例えば炊飯時であれば、炊飯の終期に、主に糊化の調整のため蒸らし操作を行なう場合は、この蒸らし操作直前に添加してもよいが、炊飯の最初から添加することが好ましく、米をあらかじめ5~30分程度本発明の米飯食品の品質改良剤を含有する水に浸漬した後、炊飯を始めることがより好ましい。
【0046】
また炒飯の製造時であれば、炊飯時でも良く、また炒め油に添加したり、ほぐし油として炒め油と別途添加することも可能である。
【0047】
最後に、本発明の米飯食品の品質改良方法について述べる。
本発明の米飯食品の品質改良方法は、上記の本発明の米飯食品の品質改良剤を米飯食品製造時に添加するものであり、もちもちした食感である米飯を、異味を与えることなく、また、米の品種や炊飯方法等の影響を受けることなく、安定して得ることができるものである。
【0048】
米飯食品製造時における本発明の米飯食品の品質改良剤の添加時期は、上述のとおり、米飯食品製造の終了までの間であればよい。
【実施例0049】
本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0050】
<品質改良剤の製造>
〔製造例1〕
大豆蛋白質(「ProFam(登録商標)974」:ADM社製)(蛋白質含有量85.0質量%、脂質含有量3.0質量%、水分含有量6質量%)6質量部を、60℃に加温した水88質量部に加え、スリーワンモーターを使用して撹拌して十分に分散させた。ここに粉末状大豆レシチン(脂質含有量99質量%、リン脂質含有量90質量%)を6質量部添加し、よく撹拌して十分に分散・乳化させ、予備乳化液を得た。この予備乳化液をバルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて、30MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製:UHT殺菌機)で139℃・4秒間殺菌した後、5℃まで冷却した。これを-0.5℃/hの徐冷により、50時間かけて-20℃まで冷却し、これを凍結乾燥して得られた水分含有量が3質量%である粉末状の脂質蛋白質複合体を米飯食品の品質改良剤Aとした。得られた品質改良剤A中の複合体の含有量、米飯食品の品質改良剤Aの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0051】
〔製造例2〕
大豆蛋白質に代えてエンドウ豆蛋白質(「NUTRALYS(登録商標)S85F」:ロケット社製)(蛋白質含有量85.0質量%、脂質含有量7.0質量%、水分含有量4質量%)を使用した以外は製造例1と同様の配合及び製法で得られた水分含有量が3質量%である粉末状脂質蛋白質複合体を米飯食品の品質改良剤Bとした。得られた米飯食品の品質改良剤B中の複合体の含有量、米飯食品の品質改良剤Bの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0052】
〔製造例3〕
大豆蛋白質に代えて、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)(「Promilk85」:イングレディア社製)(蛋白質含有量81.0質量%、脂質含有量1.0質量%、水分含有量5質量%)を使用した以外は製造例1と同様の配合及び製法で得られた水分含有量が3質量%である粉末状の脂質蛋白質複合体を米飯食品の品質改良剤Cとした。得られた品質改良剤C中の複合体の含有量、米飯食品の品質改良剤Cの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0053】
〔製造例4〕
粉末状大豆レシチンを添加せず、且つ水88質量部を94質量部に変更した以外は製造例1と同様の配合及び製法で得られた水分含有量が3質量%である粉末を米飯食品の品質改良剤Dとした。得られた米飯食品の品質改良剤D中の複合体の含有量、米飯食品の品質改良剤Dの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0054】
〔製造例5〕
製造例1における大豆蛋白質6質量部を11質量部に変更し、粉末状大豆レシチン6質量部を1質量部に変更した以外は製造例1と同様の配合及び製法で得られた水分含有量が3質量%である粉末状の脂質蛋白質複合体を米飯食品の品質改良剤Eとした。得られた米飯食品の品質改良剤E中の複合体の含有量、米飯食品の品質改良剤Eの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0055】
〔製造例6〕
製造例1における大豆蛋白質6質量部を9.6質量部に変更し、粉末状大豆レシチン6質量部を2.4質量部に変更した以外は製造例1と同様の配合及び製法で得られた水分含有量が3質量%である粉末状の脂質蛋白質複合体を米飯食品の品質改良剤Fとした。得られた米飯食品の品質改良剤F中の複合体の含有量、品質改良剤Fの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0056】
〔製造例7〕
製造例1における大豆蛋白質6質量部を8質量部に変更し、粉末状大豆レシチン6質量部を4質量部に変更した以外は製造例1と同様の配合及び製法で得られた水分含有量が3質量%である粉末状の脂質蛋白質複合体を米飯食品の品質改良剤Gとした。得られた米飯食品の品質改良剤G中の複合体の含有量、米飯食品の品質改良剤Gの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0057】
〔製造例8〕
製造例1における大豆蛋白質6質量部を4質量部に変更し、粉末状大豆レシチン6質量部を8質量部に変更した以外は製造例1と同様の配合及び製法で得られた水分含有量が3質量%である粉末状の脂質蛋白質複合体を米飯食品の品質改良剤Hとした。得られた米飯食品の品質改良剤H中の複合体の含有量、米飯食品の品質改良剤Hの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0058】
〔製造例9〕
粉末状大豆レシチンに代えて粉末状ヒマワリレシチン(脂質含有量100質量%、リン脂質含有量90質量%)を使用した以外は製造例1と同様の配合及び製法で得られた水分含有量が3質量%である粉末状の脂質蛋白質複合体を米飯食品の品質改良剤Iとした。得られた米飯食品の品質改良剤I中の複合体の含有量、米飯食品の品質改良剤Iの固形分中における複合体の含有量、及び、複合体における蛋白質と脂質との質量比について表1に記載した。
【0059】
【0060】
<炊飯試験>
炊飯試験には、市販の電気炊飯器(タイガー魔法瓶株式会社 IH炊飯ジャー炊きたてJPA-A型)を使用し、予め数回のテスト炊飯実験によって、炊飯器の装置毎の米飯の炊き上がりの差、つまり「器差(機差)」が全くないか、又は微差であることを確認してから試験に用いた。
また、米については、ジャポニカ種のうるち米を使用した無洗米(商品名秋田県産あきたこまち)を使用した。
【0061】
〔実施例1〕
米100質量部に対し、水120質量部及び上記米飯食品の品質改良剤A0.05質量部を添加し、20分浸漬した後、上記炊飯器を使用して炊飯して、本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Aを得た。
得られた炊飯米(白飯)Aについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0062】
〔実施例2〕
米飯食品の品質改良剤Aに代えて、米飯食品の品質改良剤Bを使用した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Bを得た。得られた炊飯米(白飯)Bについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0063】
〔実施例3〕
米飯食品の品質改良剤Aに代えて、米飯食品の品質改良剤Cを使用した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Cを得た。得られた炊飯米(白飯)Cについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0064】
〔比較例1〕
米飯食品の品質改良剤Aに代えて、米飯食品の品質改良剤Dを使用した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって比較例の米飯食品である炊飯米(白飯)Dを得た。得られた炊飯米(白飯)Dについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0065】
〔実施例4〕
米飯食品の品質改良剤Aに代えて、米飯食品の品質改良剤Eを使用した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Eを得た。得られた炊飯米(白飯)Eについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0066】
〔実施例5〕
米飯食品の品質改良剤Aに代えて、米飯食品の品質改良剤Fを使用した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Fを得た。得られた炊飯米(白飯)Fについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0067】
〔実施例6〕
米飯食品の品質改良剤Aに代えて、米飯食品の品質改良剤Gを使用した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Gを得た。得られた炊飯米(白飯)Gについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0068】
〔実施例7〕
米飯食品の品質改良剤Aに代えて、米飯食品の品質改良剤Hを使用した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Hを得た。得られた炊飯米(白飯)Hについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0069】
〔実施例8〕
米飯食品の品質改良剤Aに代えて、米飯食品の品質改良剤Iを使用した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Iを得た。得られた炊飯米(白飯)Iについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0070】
〔実施例9〕
米飯食品の品質改良剤Aの添加量を0.05質量部から0.01質量部に変更した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Jを得た。得られた炊飯米(白飯)Jについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0071】
〔実施例10〕
米飯食品の品質改良剤Aの添加量を0.05質量部から0.5質量部に変更した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって本発明の米飯食品である炊飯米(白飯)Kを得た。得られた炊飯米(白飯)Kについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0072】
〔比較例2〕
米飯食品の品質改良剤Aを無添加に変更した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって比較例の米飯食品である炊飯米(白飯)Lを得た。得られた炊飯米(白飯)Lについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0073】
〔比較例3〕
米飯食品の品質改良剤Aを無添加とし、大豆蛋白質0.0375質量部及び粉末状大豆レシチン0.0375質量部を添加した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって比較例の米飯食品である炊飯米(白飯)Mを得た。得られた炊飯米(白飯)Mについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0074】
〔比較例4〕
米飯食品の品質改良剤Aを無添加とし、大豆蛋白質0.075質量部を添加した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって比較例の米飯食品である炊飯米(白飯)Nを得た。得られた炊飯米(白飯)Nについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0075】
〔比較例5〕
米飯食品の品質改良剤Aを無添加とし、粉末状大豆レシチン0.075質量部を添加した以外は、実施例1の配合及び製法にしたがって比較例の米飯食品である炊飯米(白飯)Oを得た。得られた炊飯米(白飯)Oについて、炊飯直後及び10℃で8時間保管した後それぞれにおいて食感、風味及びほぐれ性の評価を下記評価基準に従い行った。結果を表2に記載した。
【0076】
なお、食感、風味及びほぐれ性の評価基準は以下の通りである。
評価基準:ほぐれ性・風味・食感(もちもち感)
専門パネラー10名による評価
◎:8割以上が良好と評価
○:5割以上8割未満が良好と評価
△:2割以上5割未満が良好と評価
×:2割未満が良好と評価
【0077】
【0078】
<炒飯製造試験>
〔実施例11〕
米飯食品の品質改良剤A0.05gを菜種サラダ油15gに分散させ、これを熱したフライパンに投入し、卵50g、炊飯米(白飯)L200g、及び、市販のチャーハンの素1袋(永谷園・焼豚チャーハンの素)(27g)を加えて約3分間炒めて、炒飯Aを得た。
炒飯Aは、米飯食品の品質改良剤Aを添加しないサラダ油を使用して同様にして得られた炒飯Bと比べ、呈味に影響することなく、ほぐれ性が改善されていた。
【0079】
〔実施例12〕
熱したフライパンに菜種サラダ油15gを引き、卵50g、炊飯米(白飯)A200g、及び、市販のチャーハンの素1袋(永谷園・焼豚チャーハンの素)(27g)を加えて約3分間炒めて、炒飯Cを得た。
炒飯Cは、米飯食品の品質改良剤Aを添加しないで得られた炊飯米(白飯)Lを使用して同様にして得られた炒飯Dと比べ、呈味に影響することなく、ほぐれ性が改善されていた。
【0080】
以上の結果から、本発明の米飯食品の品質改良剤は、米飯食品に対し、呈味や食感に影響を与えることなく、ほぐれ性を安定して与えることができることが分かる。また、炊飯米の二次加工品である炒飯においても、ほぐれ性を安定して与えることができることが分かる。